JPH0135266Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は水処理装置、特に浄化後の水にカルシ
ユム等の硬度成分を溶出させて適度に硬水化する
家庭用等の水処理装置に関するものである。

従来、水処理装置は、その内部の通水路に、カ
ルシユウム等の硬度成分を除去して軟水化作用を
行なうイオン交換樹脂（硬度が高いと水の味を悪
くする）と、濾過作用を行なう活性炭と、更に適
度の硬度成分を溶出させて水質向上を図る可溶性
添加物が、順次上流側から層状態で配設されてお
り、水処理装置内に於ける通過水は、活性炭の層
を通過した直後に可溶性添加物の層を通過するよ
うになつている。

一方、水処理装置内の活性炭は通常、果粒状の
ものが充填されており、充填に先立つて十分洗浄
されてあるが、水処理装置が梱包時や輸送中に於
いて振動を受けると、活性炭の粒子相互が衝突し
合い、その一部が粉末化する。

従つて、一般需要者は、購入した後に於ける使
い始めの際に、水処理装置に暫く継続的な通水を
行い、粉末化した活性炭を洗い流して水処理装置
内を洗浄するようにしている。

しかしながら、上記従来のものの場合、水処理
装置を洗浄した後には可溶性添加物の溶解性が衰
え、硬度成分の溶出効率が低下する問題があつ
た。

これは、粉末活性炭を含む洗浄水が、排水時に
その直ぐ下流側に隣設した可溶性添加物の層を通
過し、粉末活性炭の一部が可溶性添加物の表面に
付着して該可溶性添加物と水との有効接触面積を
小さくするからである。

本考案は、水処理装置内の洗浄時後に於いても
硬度成分の溶出効率が低下しないようにするた
め、粉末活性炭を含む洗浄水が、可溶性添加物の
層を通過することなく排水されるようにすること
を課題とする。

上記課題を解決するための本考案の技術的手段
は、活性炭の層の下流側と可溶性添加物の層の下
流側とをバイパス流路で連結し、このバイパス流
路と可溶性添加物の層の下流側との合流点に、切
替えコツクを挿入したことである。

上記技術的手段は次のように作用する。

通常状態で使用する時は、切替えコツクを操作
してバイパス流路を遮断し、メインの流路のみが
通水状態となるようにする。

そうすると、イオン交換樹脂及び活性炭の吸着
体層を通過した水は、その後メインの流路を通過
して可溶性添加物の層に接触し、これにより、カ
ルシユウム等の硬度成分が溶出して処理水が取り
出されることとなる。

他方、水処理装置内を洗浄する場合には、上記
通常使用状態から切替えコツクを切替え操作し、
通過水がバイパス流路を通過するようにする。そ
して、この状態で所定時間継続して通水すると、
活性炭の層を通過した洗浄水はその後バイパス流
路を通過し、粉末化した活性炭は可溶性添加物の
層を通過することなく洗い流されることとなる。
従つて、粉末活性炭が従来のように可溶性添加物
の表面に付着することがない。

本考案は次の特有の効果を有する。

水処理装置洗浄時に、粉末活性炭が可溶性添加
物の表面に付着しないから、可溶性添加物と水と
の有効接触面積が減少せず、水処理装置洗浄後に
於いても硬度成分が効率良く溶出することとな
る。

又、イオン交換樹脂によつて硬度成分が除去さ
れた軟水は、洗剤との親和性が良く食器洗浄時な
どに於ける洗剤の泡立ちを良くして洗浄力を高め
るが、本考案のものによれば、可溶性添加物の層
を通過させた硬水と吸着体層を通過させたままの
軟水を、切替えコツクを切替えることによつて使
い分けすることができるから、食器等の洗浄時に
は洗浄に適した軟水を選択使用することにより洗
剤が節約できるだけでなく、無駄にカルシユウム
等の添加水を使用しないから可溶性添加物を浪費
させることがない。

次に、上記した本考案の実施例を図面に従つて
詳述する。

第１図に示すように、本考案実施例の水処理装
置は、本体ケース１と、この本体ケース１内に着
脱自在に装填されるカートリツジ式のフイルター
５と、更には、可溶性添加物の層７とにより構成
されている。

本体ケース１は、上記フイルター５を収納する
胴筒１１と、この胴筒１１の上端開口部を被蓋す
る蓋１２とから成り、胴筒１１の下部には、未浄
化の水を取入れる為の水入口１３と軟化後の水を
可溶性添加物の層７へ導く為の主流路１４とが配
設されている。他方、上記蓋１２には水取出し管
１５が取付けられ、その上流端が後述するフイル
ター５の出水口５４と連結されるように成つてい
る。又、上記水取出し管１５には、その下流側近
くに三方コツク２（既述した切替えコツクに対応
する）が挿入されてあり、この三方コツク２と上
記主流路１４との間に可溶性添加物の層７を介在
させてある。

この可溶性添加物の層７は、上下にネジ部７
１，７１を刻設した充填筒７０に、魚の骨を焼い
て得られる焼骨を充填して形成してあり、上記充
填筒７０の下端には主流路１４が、ネジ部７１と
袋ナツト７３を螺合することにより連結してあ
る。他方、充填筒７０の上方のネジ部７１は袋ナ
ツト７２により管７４と連結し、該管７４を介し
て三方コツク２に連通するように成つている。

又、フイルター５は、有底筒状に形成された容
器５１の上端開口部を、複数の流入孔５２，５２
を有する蓋５３で被蓋し、この蓋５３から容器５
１の低壁に亘つて両端開放のパイプ６を貫設する
ことにより構成している。又、このパイプ６の下
端部近傍には該パイプ内に水を取入れるための透
孔６１，６１が穿設してある。そして、容器５１
内には上記パイプ６の外側に、発泡性樹脂３０、
イオン交換樹脂３１、活性炭３２、更に発泡性樹
脂３４と上流側から順次充填してある。

この実施例では、上記パイプ６の下端近傍に穿
設された透孔６１，６１から、該パイプ６の上方
に至り更にその下流側の水取出し管１５に配設さ
れた三方コツク２迄の流路が既述したバイパス流
路に対応するようになつている。

次に、上記水処理装置による水処理の実際を述
べると、同図に示すように、本体ケース１の下部
に配設した水入口１３から取入れられた水を矢印
で示すようにフイルター５の外周と本体ケース１
の内周との間隙を上昇し、蓋５３に穿設した流入
孔５２，５２からフイルター５内に流れ込み、発
泡性樹脂３０、イオン交換樹脂３１、活性炭３
２、発泡性樹脂３４と順次下方に通過して、パイ
プ６の下部に穿設された透孔６１，６１から該パ
イプ６内に流入する。

そして、パイプ６内に流れ込んだ後の水は、三
方コツク２の切替えによつて、その後直ちに取出
される場合と、更に可溶性添加物の層７を通過さ
せた後に取出される場合と、選択して取出される
ようになつている。

即ち、水処理装置内を洗浄する場合には、イオ
ン交換樹脂３１及び活性炭３２を通過した後の洗
浄水を、可溶性添加物の層７を通過させることな
く直接排水することが必要であるから、この場
合、三方コツク２を可溶性添加物の層７と非接続
状態にする。そうすれば、パイプ６内に流入した
水は、該パイプ６の上方開口部に形成された出水
口５４から三方コツク２に至り、該三方コツク２
を介して排水されることと成り、活性炭３２を洗
浄した水は可溶性添加物の層７を通過することな
くそのまま排水されることとなる。

又、食器洗浄時等、軟水が必要な場合も、三方
コツク２を上記と同様な状態に切替えておけば良
い。

他方、処理後の水を飲料水とし使用する場合に
は、三方コツク２を可溶性添加物の層７の方に切
替えれば良く、この場合には、パイプ６内に流入
した水は、該パイプ６の下方の開口端から主流路
１４に導かれた後可溶性添加物の層７を通過し、
最後に三方コツク２を介して取出されることとな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の断面図であり、図中、 １……本体ケース、２……三方コツク、５……
フイルター、７……可溶性添加物の層、３１……
イオン交換樹脂、３２……活性炭。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 通水路内に、軟水化作用を行なうイオン交換樹
   脂３１と、濾過作用を行なう活性炭３２と、更
   に、適度の硬度成分を溶出させる可溶性添加物
   を、それぞれ層状態で順次上流側から配設した水
   処理装置に於いて、活性炭３２の層の下流側と可
   溶性添加物の層７の下流側とをバイパス流路で連
   結し、このバイパス流路と可溶性添加物の層７の
   下流側との合流点に、切替えコツクを挿入した水
   処理装置