JPH0134148B2 - - Google Patents
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- JPH0134148B2 JPH0134148B2 JP56139182A JP13918281A JPH0134148B2 JP H0134148 B2 JPH0134148 B2 JP H0134148B2 JP 56139182 A JP56139182 A JP 56139182A JP 13918281 A JP13918281 A JP 13918281A JP H0134148 B2 JPH0134148 B2 JP H0134148B2
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Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B29—WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
- B29D—PRODUCING PARTICULAR ARTICLES FROM PLASTICS OR FROM SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE
- B29D30/00—Producing pneumatic or solid tyres or parts thereof
- B29D30/06—Pneumatic tyres or parts thereof (e.g. produced by casting, moulding, compression moulding, injection moulding, centrifugal casting)
- B29D30/08—Building tyres
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
- Heating, Cooling, Or Curing Plastics Or The Like In General (AREA)
- Tyre Moulding (AREA)
- Tires In General (AREA)
Description
この発明はベルトプライの端部を補強した乗用
車用ラジアルタイヤの製造法に関する。 自動車を高速走行すると、タイヤにはタイヤ回
転による遠心力が作用し、この遠心力は式 遠心力=タイヤ質量×タイヤ半径×(角速度)2 で算出される。タイヤ半径が比較的に小さい乗用
車用タイヤは、同一の高速で走行するためには、
タイヤ半径が小さい分だけ角速度が大きくなるの
で、タイヤには大きな遠心力が作用し、この遠心
力がタイヤ重量の約半分を占めるトレツドゴム内
に外周方向の引張り応力として作用する。そころ
がトレツドゴムに埋設されているベルト層はトレ
ツドゴムに比べて剛性がはるかに大きいために、
上記トレツドゴム内の外周方向の引張り応力が抑
制され、タイヤが半径方向に伸びるのが阻止され
ている。 しかしながらラジアルタイヤにおいては、第1
図に示すように、ベルト層Bの中央部Bmはスチ
ールコードCが互いに交差しているが、ベルト層
Bの両端部BeはスチールコードCの端部Ceが自
由端となつているために、第2図に示すように、
上記中央部Bmは剛性が大きいが両端部Beの剛性
は小さくなつていわゆる剛性の肩落ちDを生じて
いる。その結果、第3図に示すようにクラウン部
TWに遠心力による外周方向の引張り応力Fが作
用したとき、上記ベルト層Bの両端部Beは上記
引張り応力に対する抵抗が小さいために、点線に
示すようにクラウン部TWの両端部が外方に膨れ
てその外面が凹状に変形する。このような状態の
タイヤが接地したときには膨れた部分に大きな圧
縮力が作用することになる。このようにクラウン
部TWの外面両端部では、遠心力による伸長と、
接地による圧縮とを繰り返した歪を受けるので、
コードとゴムの剥離(セパレーシヨン)を生ずる
などの問題があつた。 上記ラジアルタイヤの問題を解決するために、
種々の方法が提案されている。 ベルト層の幅をトレツド幅と同じかまたはそれ
より大きくしてベルト層の剛性有効幅を大きくす
ることが知られているが、この公知の方法ではベ
ルト層の端部が、最も歪の大きいシヨルダ部の近
くとなつて応力が集中し、ベルト層のコード切れ
などの故障が発生し易いという欠点がある。また
ベルトプライの両端に、熱収縮性コードをタイヤ
円周方向に配列し、加硫工程において熱収縮性コ
ードを熱収縮させてベルト層を補強する方法(特
開昭47―14805号公報参照)が知られているが、
加硫工程において熱収縮されたコードはモジユラ
スが著しく低下されるので遠心力によつてベルト
プライ端部が円周方向に拡張するのを防止する効
果は小さく、また高速運転時の発熱によるタイヤ
温度の上昇によつてさらにモジユラスが低下して
補強効果は小さくなる。さらに一部のベルトプラ
イの両端部を折り返して他のベルトプライの端部
に重ねて肩落ち現象を防止する方法(特公昭44―
19561号公報参照)が知られているが、この公知
の方法では輪帯状のベルトプライの両端部を折り
返すために多くの工数と特別の設備を必要とし、
また両端部の折り返し幅が不均一になつてタイヤ
のユニフオミテイが低下するなどの問題がある。
さらにまた最終伸度3%のスチールコードからな
るベルトプライの円周方向外側に、最終伸度4〜
8%のスチールコードをベルトプライと同じ幅に
設けたバスなどの大型車両用ラジアルタイヤ(特
開昭52―84610号公報、特開昭54―126305号公報
参照)が知られているが、上記スチールコードは
スチールフイラメントを束ねてストランドとしこ
れに片寄りを施して最終伸度を大きくしたいわゆ
る高伸度コードであつて、各スチールフイラメン
トは隣接するスチールフイラメントと線接触を
し、かつコード内部には空隙が存在しており、こ
のコードをゴム中に埋設するに際してゴムはコー
ド内部に十分に侵入せず空隙が残つている。従つ
てタイヤ走行中に受けた外傷から浸入した水が上
記タイヤ内部の空隙を伝つてタイヤ全周内部に浸
透してタイヤコードがさび、接着力および強力が
低下し、その結果セパレーシヨンおよびタイヤ破
損を生ずる。またタイヤ成型時に幅中心部のコー
ドは3〜8%伸長されるがベルトプライの端部は
それほど伸長されないので、上記補強層コードの
両端部はかなり大きい残存伸度を有しているため
にモジユラスが小さく、従つてベルトプライの端
部を緊持する作用は不十分であるなどの問題があ
る。 本発明者らは、上記ラジアルタイヤのベルトプ
ライ両端部を補強してタイヤ走行の遠心力による
トレツドゴム両端部の膨張を防止することを目的
として種々研究した結果、この発明を完成するに
至つたのである。 すなわちこの発明は、有機繊維コードがタイヤ
円周方向に対して直角に配列されたカーカスプラ
イの両端部が1対のビードコアに係止され、該カ
ーカスプライの中央部の外側に、スチールコード
がタイヤ円周方向に対して10〜30度の角度で平行
に配列されたベルトプライの少なくとも2枚を相
互に反対方向に重合してなるベルト層が配置さ
れ、上記少なくとも1枚のベルトプライの両端部
に、円筒コイル状スチールフイラメントがタイヤ
円周方向に平行に配列された補強層が重合され、
上記各層全体が中央部のトレツドゴムとこれに連
続する1対のサイドウオールゴムとで覆われてな
るグリーンタイヤを、該グリーンタイヤより若干
大きい直径を有するモールド内で加硫成型するこ
とを特徴とする乗用車用ラジアルタイヤの製造法
である。 この発明のタイヤの軸方向断面構造を第4図に
よつて説明する。第4図の左半分は加硫成型前の
グリーンタイヤGT、右半分は加硫成型されたタ
イヤMTを示すものである。1は有機繊維コード
がタイヤ円周方向に対して直角に配列された1層
のカーカスプライであつて、このカーカスプライ
1の両端部は1対のビードコア2に係止されてい
る。該カーカスプライ1の中央部の円周方向外側
に、スチールコードがタイヤ円周方向に対して10
〜30度の角度で平行に配列された内側ベルトプラ
イ3と、この内側ベルトプライ3のスチールコー
ドと反対の角度で平行に配列された外側ベルトプ
ライ4とでベルト層5が形成され、上記外側ベル
トプライ4の幅は内側ベルトプライ3の幅より若
干小さくて両端部に段部5aが形成されている。
上記外側ベルトプライ4の外側に、内側ベルトプ
ライ3および外側ベルトプライ4の端部を覆うよ
うに複数本の円筒コイル状スチールフイラメント
6が円周方向に平行に配列された補強層7が重合
されている。そして上記ベルト層5、補強層7、
およびカーカスプライ1の中央部はトレツドゴム
組成物8にて覆われ、カーカスプライ1の両側部
は上記トレツドゴム組成物8に連続する1対のサ
イドウオールゴム組成物9にて覆われてグリーン
タイヤGTが形成されている。 第4図に示す成型タイヤMTにおいて、10は
トレツド外周面に成型された凹状のトレツドパタ
ーンであり、その他の符号は上記第4図のグリー
ンタイヤGTと同じである。 上記ベルト層5の両端部に重合された補強層7
の幅は、ベルト層5の全幅の5分の1以下、具体
的には5〜50mmが好ましく、特に10〜40mmが好ま
しい。補強層7の幅が5mm未満であるとベルト層
Bの端部Beの剛性肩落ちを補強することができ
ず、また50mmを越えるとシエーピング工程におけ
る補強層端部側のスチールフイラメントの伸長率
が補強層中心側のスチールフイラメントの伸長率
に比べて小さくなり、その結果ベルト層Bの端部
Beを緊持する作用が小さくなつてベルト層Bの
端部Beの補強効果が減少されることになる。補
強層7を形成する円筒コイル状スチールフイラメ
ントは、タイヤ成型工程におけるベルト層B端部
の伸長に追随するための伸長率と、タイヤ回転時
の遠心力によるクラウン部端部の膨張に対応する
ための剛性とを具備するものであり、上記伸長率
と剛性とを満足するように円筒コイル状スチール
フイラメントの形状が設定される。 一般にカーカスプライに有機繊維コードを使用
した乗用車用ラジアルタイヤは、上下に二分割さ
れた簡単な構造のモールドによつて加硫成型さ
れ、上記凹状のトレツドパターン10を成型する
ためにモールド内面に形成した凸状部の先端でグ
リーンタイヤGTのトレツドゴム組成物8の表面
が引き掻かれるのを防止することを目的として、
グリーンタイヤGTの外径RGは、モールド(図
示されていない)の内径、すなわち成型タイヤ
MTの外径より小さくしており、グリーンタイヤ
GTが加硫成型中に膨張されて成型タイヤMTが
成型されるようにしており、この際クラウン部
TWの中心部の直径RCはクラウン部両端部の直
径RSより大きく膨張される。グリーンタイヤGT
をモールド内に装填して加硫成型する工程におい
ては、モールド内の空気を排出させると共にグリ
ーンタイヤを均一に膨張させるために、タイヤ内
腔にブラダーを介して圧力1〜3Kg/cm2のスチー
ムを供給するいわゆるシエーピング工程を経たの
ち、圧力20〜30Kg/cm2の高圧スチームを供給して
加圧加熱して加硫成型を行なうものであるが、上
記タイヤ成型時のグリーンタイヤの膨張は主とし
て上記シエーピング工程が行なわれる。そして上
記タイヤ成型時の膨張により、カーカスプライ1
およびベルト層5が外方に伸長され、その伸長程
度はトレツドパターン10の深さ、クラウン部
TWの曲率半径によつて異なるが、通常ベルト層
5の中心部の伸長率は3〜8%、ベルト層の両端
部の伸長率は1〜3%である。前記したようにこ
の発明における補強層7はベルト層5の両端部に
おいてベルト層5の幅の5分の1以下に設けられ
るものであるから補強層7の伸長率は1.5〜6%
であることが好ましい。 一方、シエーピング工程においてベルト層5に
作用する応力は、シエーピング圧(Kg/cm2)とベ
ルト層直径(cm)との積の2分の1で表わされ、
通常の乗用車用タイヤでは上記ベルト層に作用す
る応力は幅1cm当り7Kgであることが平均的数値
である。従つて円筒コイル状スチールフイラメン
トに作用する応力Sは、S=7×l/n(但し、
lは補強層の幅cm、nはフイラメント本数)とな
る。以上の説明から理解できるように、円筒コイ
ル状スチールフイラメントがタイヤ成型工程にお
けるベルト層端部の伸長に追随するためには、7
×l/n(Kg/本)の応力における伸長率が1.5〜6 %であることが好ましいのである。 円筒コイル状スチールフイラメントが、上記の
ようにタイヤ成型時に伸長されたのちは、タイヤ
回転時の遠心力によるクラウン部端部に膨張を抑
制するための剛性を有することが必要である。こ
の剛性は、第5図に示す引張り応力と伸長率との
関係を表わすグラフにおける最大引張り接線モジ
ユラスによつて示される。円筒コイル状スチール
フイラメントを伸長すると、初期には円筒コイル
状フイラメントのコイルピツチが長くなつて変形
するので小さい応力で伸長率が曲線的に増大し、
更に伸長を続けるとコイルは伸び切つてフイラメ
ント自体が伸長するので伸長率の勾配は大きくか
つ直線的に増大し遂に切断に至る。そして最大引
張り接線モジユラスは、上記フイラメント自体の
伸長域における勾配が最大になるときの接線の任
意の点Fに対応する引張り応力f、および点Fに
おける伸長率m(%)と接線の引張り応力が0に
おける伸長率n(%)との差m−n(%)をもつて
次式により算出される。 最大引張り接線モジユラス= f/(m−n)・a×100(Kg/mm2) ただしaはフイラメントの総断面積(mm2)であ
る。 この発明においては、円筒コイル状スチールフ
イラメントの最大引張り接線モジユラスは5000〜
15000Kg/mm2であることが好ましい。スチールフ
イラメントの最大引張り接線モジユラスが5000
Kg/mm2未満であるとベルトプライ端部の受ける遠
心力に対する補強効果は小さくなり、また15000
Kg/mm2を越えると円筒コイル状に成形したときの
上記所望の伸長率が得られにくい。 上記所望の最大引張り接線モジユラスを有する
スチールフイラメントをもつて、上記所望の伸長
率を有する円筒コイル状スチールフイラメントを
成形するには、スチールフイラメントの太さ(直
径)、円筒コイル状スチールフイラメントのコイ
ル外径およびコイルピツチ長さを適宜に設定する
ことによつて得られる。スチールフイラメントの
太さは従来のスチールコードに使用されているス
チールフイラメントの太さの範囲であつて0.1〜
0.4mmである。円筒コイル状スチールフイラメン
トのコイル外径の好ましい範囲は、スチールフイ
ラメントの太さの3〜20倍、特に好ましくは4〜
10倍であり、コイル外径が3倍未満であるとコイ
ルを伸長するのに大きな力を要し換言すれば上記
所望の伸長率は得られず、またコイル外径が20倍
を越えると補強層の厚みが大きくなくてタイヤ走
行時の発熱が多くなり、セパレーシヨン発生の原
因となる。コイルのピツチ長さは好ましくは20mm
以下、特に好ましくは5〜15mmである。コイルピ
ツチ長さが20mmを越えると所定の伸長率が得られ
ない。 なお、上記スチールフイラメントの太さ、円筒
コイル状スチールフイラメントのコイル外径およ
びコイルピツチ長さの範囲であれば所望の伸長率
が得られるという意味ではなく、上記範囲のうち
の数値を適宜に選択、組合せることによつて所望
の伸長率が得られるのである。 上記の性能を有する円筒コイル状スチールフイ
ラメントで補強層を形成するには、上記スチール
フイラメントの1本ずつを平行に配列したもので
もよいし、またスチールフイラメントの数本(2
〜20本)を束ねたスチールフイラメント束を平行
に配列したものでもよい。スチールフイラメント
束を使用する場合は、上記円筒コイル状スチール
フイラメントの伸長率の範囲1.5〜6%を規定す
るための引張り応力の式S=7×l/n中のnは
フイラメント束の個数を使用する。 上記に説明した第5図は、下記第1表に示す各
種形状の円筒コイル状スチールフイラメント束の
引張り応力―伸長率の関係を示すグラフである。
車用ラジアルタイヤの製造法に関する。 自動車を高速走行すると、タイヤにはタイヤ回
転による遠心力が作用し、この遠心力は式 遠心力=タイヤ質量×タイヤ半径×(角速度)2 で算出される。タイヤ半径が比較的に小さい乗用
車用タイヤは、同一の高速で走行するためには、
タイヤ半径が小さい分だけ角速度が大きくなるの
で、タイヤには大きな遠心力が作用し、この遠心
力がタイヤ重量の約半分を占めるトレツドゴム内
に外周方向の引張り応力として作用する。そころ
がトレツドゴムに埋設されているベルト層はトレ
ツドゴムに比べて剛性がはるかに大きいために、
上記トレツドゴム内の外周方向の引張り応力が抑
制され、タイヤが半径方向に伸びるのが阻止され
ている。 しかしながらラジアルタイヤにおいては、第1
図に示すように、ベルト層Bの中央部Bmはスチ
ールコードCが互いに交差しているが、ベルト層
Bの両端部BeはスチールコードCの端部Ceが自
由端となつているために、第2図に示すように、
上記中央部Bmは剛性が大きいが両端部Beの剛性
は小さくなつていわゆる剛性の肩落ちDを生じて
いる。その結果、第3図に示すようにクラウン部
TWに遠心力による外周方向の引張り応力Fが作
用したとき、上記ベルト層Bの両端部Beは上記
引張り応力に対する抵抗が小さいために、点線に
示すようにクラウン部TWの両端部が外方に膨れ
てその外面が凹状に変形する。このような状態の
タイヤが接地したときには膨れた部分に大きな圧
縮力が作用することになる。このようにクラウン
部TWの外面両端部では、遠心力による伸長と、
接地による圧縮とを繰り返した歪を受けるので、
コードとゴムの剥離(セパレーシヨン)を生ずる
などの問題があつた。 上記ラジアルタイヤの問題を解決するために、
種々の方法が提案されている。 ベルト層の幅をトレツド幅と同じかまたはそれ
より大きくしてベルト層の剛性有効幅を大きくす
ることが知られているが、この公知の方法ではベ
ルト層の端部が、最も歪の大きいシヨルダ部の近
くとなつて応力が集中し、ベルト層のコード切れ
などの故障が発生し易いという欠点がある。また
ベルトプライの両端に、熱収縮性コードをタイヤ
円周方向に配列し、加硫工程において熱収縮性コ
ードを熱収縮させてベルト層を補強する方法(特
開昭47―14805号公報参照)が知られているが、
加硫工程において熱収縮されたコードはモジユラ
スが著しく低下されるので遠心力によつてベルト
プライ端部が円周方向に拡張するのを防止する効
果は小さく、また高速運転時の発熱によるタイヤ
温度の上昇によつてさらにモジユラスが低下して
補強効果は小さくなる。さらに一部のベルトプラ
イの両端部を折り返して他のベルトプライの端部
に重ねて肩落ち現象を防止する方法(特公昭44―
19561号公報参照)が知られているが、この公知
の方法では輪帯状のベルトプライの両端部を折り
返すために多くの工数と特別の設備を必要とし、
また両端部の折り返し幅が不均一になつてタイヤ
のユニフオミテイが低下するなどの問題がある。
さらにまた最終伸度3%のスチールコードからな
るベルトプライの円周方向外側に、最終伸度4〜
8%のスチールコードをベルトプライと同じ幅に
設けたバスなどの大型車両用ラジアルタイヤ(特
開昭52―84610号公報、特開昭54―126305号公報
参照)が知られているが、上記スチールコードは
スチールフイラメントを束ねてストランドとしこ
れに片寄りを施して最終伸度を大きくしたいわゆ
る高伸度コードであつて、各スチールフイラメン
トは隣接するスチールフイラメントと線接触を
し、かつコード内部には空隙が存在しており、こ
のコードをゴム中に埋設するに際してゴムはコー
ド内部に十分に侵入せず空隙が残つている。従つ
てタイヤ走行中に受けた外傷から浸入した水が上
記タイヤ内部の空隙を伝つてタイヤ全周内部に浸
透してタイヤコードがさび、接着力および強力が
低下し、その結果セパレーシヨンおよびタイヤ破
損を生ずる。またタイヤ成型時に幅中心部のコー
ドは3〜8%伸長されるがベルトプライの端部は
それほど伸長されないので、上記補強層コードの
両端部はかなり大きい残存伸度を有しているため
にモジユラスが小さく、従つてベルトプライの端
部を緊持する作用は不十分であるなどの問題があ
る。 本発明者らは、上記ラジアルタイヤのベルトプ
ライ両端部を補強してタイヤ走行の遠心力による
トレツドゴム両端部の膨張を防止することを目的
として種々研究した結果、この発明を完成するに
至つたのである。 すなわちこの発明は、有機繊維コードがタイヤ
円周方向に対して直角に配列されたカーカスプラ
イの両端部が1対のビードコアに係止され、該カ
ーカスプライの中央部の外側に、スチールコード
がタイヤ円周方向に対して10〜30度の角度で平行
に配列されたベルトプライの少なくとも2枚を相
互に反対方向に重合してなるベルト層が配置さ
れ、上記少なくとも1枚のベルトプライの両端部
に、円筒コイル状スチールフイラメントがタイヤ
円周方向に平行に配列された補強層が重合され、
上記各層全体が中央部のトレツドゴムとこれに連
続する1対のサイドウオールゴムとで覆われてな
るグリーンタイヤを、該グリーンタイヤより若干
大きい直径を有するモールド内で加硫成型するこ
とを特徴とする乗用車用ラジアルタイヤの製造法
である。 この発明のタイヤの軸方向断面構造を第4図に
よつて説明する。第4図の左半分は加硫成型前の
グリーンタイヤGT、右半分は加硫成型されたタ
イヤMTを示すものである。1は有機繊維コード
がタイヤ円周方向に対して直角に配列された1層
のカーカスプライであつて、このカーカスプライ
1の両端部は1対のビードコア2に係止されてい
る。該カーカスプライ1の中央部の円周方向外側
に、スチールコードがタイヤ円周方向に対して10
〜30度の角度で平行に配列された内側ベルトプラ
イ3と、この内側ベルトプライ3のスチールコー
ドと反対の角度で平行に配列された外側ベルトプ
ライ4とでベルト層5が形成され、上記外側ベル
トプライ4の幅は内側ベルトプライ3の幅より若
干小さくて両端部に段部5aが形成されている。
上記外側ベルトプライ4の外側に、内側ベルトプ
ライ3および外側ベルトプライ4の端部を覆うよ
うに複数本の円筒コイル状スチールフイラメント
6が円周方向に平行に配列された補強層7が重合
されている。そして上記ベルト層5、補強層7、
およびカーカスプライ1の中央部はトレツドゴム
組成物8にて覆われ、カーカスプライ1の両側部
は上記トレツドゴム組成物8に連続する1対のサ
イドウオールゴム組成物9にて覆われてグリーン
タイヤGTが形成されている。 第4図に示す成型タイヤMTにおいて、10は
トレツド外周面に成型された凹状のトレツドパタ
ーンであり、その他の符号は上記第4図のグリー
ンタイヤGTと同じである。 上記ベルト層5の両端部に重合された補強層7
の幅は、ベルト層5の全幅の5分の1以下、具体
的には5〜50mmが好ましく、特に10〜40mmが好ま
しい。補強層7の幅が5mm未満であるとベルト層
Bの端部Beの剛性肩落ちを補強することができ
ず、また50mmを越えるとシエーピング工程におけ
る補強層端部側のスチールフイラメントの伸長率
が補強層中心側のスチールフイラメントの伸長率
に比べて小さくなり、その結果ベルト層Bの端部
Beを緊持する作用が小さくなつてベルト層Bの
端部Beの補強効果が減少されることになる。補
強層7を形成する円筒コイル状スチールフイラメ
ントは、タイヤ成型工程におけるベルト層B端部
の伸長に追随するための伸長率と、タイヤ回転時
の遠心力によるクラウン部端部の膨張に対応する
ための剛性とを具備するものであり、上記伸長率
と剛性とを満足するように円筒コイル状スチール
フイラメントの形状が設定される。 一般にカーカスプライに有機繊維コードを使用
した乗用車用ラジアルタイヤは、上下に二分割さ
れた簡単な構造のモールドによつて加硫成型さ
れ、上記凹状のトレツドパターン10を成型する
ためにモールド内面に形成した凸状部の先端でグ
リーンタイヤGTのトレツドゴム組成物8の表面
が引き掻かれるのを防止することを目的として、
グリーンタイヤGTの外径RGは、モールド(図
示されていない)の内径、すなわち成型タイヤ
MTの外径より小さくしており、グリーンタイヤ
GTが加硫成型中に膨張されて成型タイヤMTが
成型されるようにしており、この際クラウン部
TWの中心部の直径RCはクラウン部両端部の直
径RSより大きく膨張される。グリーンタイヤGT
をモールド内に装填して加硫成型する工程におい
ては、モールド内の空気を排出させると共にグリ
ーンタイヤを均一に膨張させるために、タイヤ内
腔にブラダーを介して圧力1〜3Kg/cm2のスチー
ムを供給するいわゆるシエーピング工程を経たの
ち、圧力20〜30Kg/cm2の高圧スチームを供給して
加圧加熱して加硫成型を行なうものであるが、上
記タイヤ成型時のグリーンタイヤの膨張は主とし
て上記シエーピング工程が行なわれる。そして上
記タイヤ成型時の膨張により、カーカスプライ1
およびベルト層5が外方に伸長され、その伸長程
度はトレツドパターン10の深さ、クラウン部
TWの曲率半径によつて異なるが、通常ベルト層
5の中心部の伸長率は3〜8%、ベルト層の両端
部の伸長率は1〜3%である。前記したようにこ
の発明における補強層7はベルト層5の両端部に
おいてベルト層5の幅の5分の1以下に設けられ
るものであるから補強層7の伸長率は1.5〜6%
であることが好ましい。 一方、シエーピング工程においてベルト層5に
作用する応力は、シエーピング圧(Kg/cm2)とベ
ルト層直径(cm)との積の2分の1で表わされ、
通常の乗用車用タイヤでは上記ベルト層に作用す
る応力は幅1cm当り7Kgであることが平均的数値
である。従つて円筒コイル状スチールフイラメン
トに作用する応力Sは、S=7×l/n(但し、
lは補強層の幅cm、nはフイラメント本数)とな
る。以上の説明から理解できるように、円筒コイ
ル状スチールフイラメントがタイヤ成型工程にお
けるベルト層端部の伸長に追随するためには、7
×l/n(Kg/本)の応力における伸長率が1.5〜6 %であることが好ましいのである。 円筒コイル状スチールフイラメントが、上記の
ようにタイヤ成型時に伸長されたのちは、タイヤ
回転時の遠心力によるクラウン部端部に膨張を抑
制するための剛性を有することが必要である。こ
の剛性は、第5図に示す引張り応力と伸長率との
関係を表わすグラフにおける最大引張り接線モジ
ユラスによつて示される。円筒コイル状スチール
フイラメントを伸長すると、初期には円筒コイル
状フイラメントのコイルピツチが長くなつて変形
するので小さい応力で伸長率が曲線的に増大し、
更に伸長を続けるとコイルは伸び切つてフイラメ
ント自体が伸長するので伸長率の勾配は大きくか
つ直線的に増大し遂に切断に至る。そして最大引
張り接線モジユラスは、上記フイラメント自体の
伸長域における勾配が最大になるときの接線の任
意の点Fに対応する引張り応力f、および点Fに
おける伸長率m(%)と接線の引張り応力が0に
おける伸長率n(%)との差m−n(%)をもつて
次式により算出される。 最大引張り接線モジユラス= f/(m−n)・a×100(Kg/mm2) ただしaはフイラメントの総断面積(mm2)であ
る。 この発明においては、円筒コイル状スチールフ
イラメントの最大引張り接線モジユラスは5000〜
15000Kg/mm2であることが好ましい。スチールフ
イラメントの最大引張り接線モジユラスが5000
Kg/mm2未満であるとベルトプライ端部の受ける遠
心力に対する補強効果は小さくなり、また15000
Kg/mm2を越えると円筒コイル状に成形したときの
上記所望の伸長率が得られにくい。 上記所望の最大引張り接線モジユラスを有する
スチールフイラメントをもつて、上記所望の伸長
率を有する円筒コイル状スチールフイラメントを
成形するには、スチールフイラメントの太さ(直
径)、円筒コイル状スチールフイラメントのコイ
ル外径およびコイルピツチ長さを適宜に設定する
ことによつて得られる。スチールフイラメントの
太さは従来のスチールコードに使用されているス
チールフイラメントの太さの範囲であつて0.1〜
0.4mmである。円筒コイル状スチールフイラメン
トのコイル外径の好ましい範囲は、スチールフイ
ラメントの太さの3〜20倍、特に好ましくは4〜
10倍であり、コイル外径が3倍未満であるとコイ
ルを伸長するのに大きな力を要し換言すれば上記
所望の伸長率は得られず、またコイル外径が20倍
を越えると補強層の厚みが大きくなくてタイヤ走
行時の発熱が多くなり、セパレーシヨン発生の原
因となる。コイルのピツチ長さは好ましくは20mm
以下、特に好ましくは5〜15mmである。コイルピ
ツチ長さが20mmを越えると所定の伸長率が得られ
ない。 なお、上記スチールフイラメントの太さ、円筒
コイル状スチールフイラメントのコイル外径およ
びコイルピツチ長さの範囲であれば所望の伸長率
が得られるという意味ではなく、上記範囲のうち
の数値を適宜に選択、組合せることによつて所望
の伸長率が得られるのである。 上記の性能を有する円筒コイル状スチールフイ
ラメントで補強層を形成するには、上記スチール
フイラメントの1本ずつを平行に配列したもので
もよいし、またスチールフイラメントの数本(2
〜20本)を束ねたスチールフイラメント束を平行
に配列したものでもよい。スチールフイラメント
束を使用する場合は、上記円筒コイル状スチール
フイラメントの伸長率の範囲1.5〜6%を規定す
るための引張り応力の式S=7×l/n中のnは
フイラメント束の個数を使用する。 上記に説明した第5図は、下記第1表に示す各
種形状の円筒コイル状スチールフイラメント束の
引張り応力―伸長率の関係を示すグラフである。
【表】
第5図のグラフで示すように、スチールフイラ
メント束の試料(イ),(ロ)はコイルが延びるまでの伸
長率はこの発明の好ましい範囲にあるが、試料(ハ)
は好ましい範囲を外れるものである。なお、グラ
フ中の試料(ニ)はベルト層に使用するスチールコー
ドで、そのフイラメント径0.25mm、フイラメント
数5本、コード外径0.7mm、撚りピツチ10mmであ
る。 上記の補強層を形成するには、直線状のスチー
ルフイラメントを円筒コイル状にくせずけしたも
のを配列してゴム中に埋設したものであり、その
方法の一例は特開昭47―13684号公報に開示され
ている。 補強層を設ける位置は、第4図に示すように、
内側ベルトプライ3および外側ベルトプライ4の
それぞれの端部を覆うような位置のほかに、第6
図に示すように、内側ベルトプライ3と外側ベル
トプライ4との間に内側ベルトプライ3の端部に
至るような位置でもよく、また第7図に示すよう
に、内側ベルトプライ3の端部のみを覆う外側で
補強層7のタイヤ中心部側端部が外側ベルトプラ
イ4の端部に近接するような位置でもよい。 上記のように構成されたグリーンタイヤは、グ
リーンタイヤの半径RGより若干大きい半径の二
つ割りモールドに装填して加硫成型される。 加硫成型された成型タイヤ内の補強層における
スチールフイラメントは、タイヤ成型時に伸長さ
れたものであるが、その伸長程度は補強層幅のタ
イヤ中心部側からタイヤシヨルダ部側に向つて漸
次大きくなり、補強層幅の半分のタイヤ中心部側
では、コイルは未だ伸び切つておらず、もとの円
筒コイル状スチールワイヤに対して、コイルピツ
チ長さは1〜6%長く、コイル外径は5〜70%小
さくなつている。 以上に説明したように、この発明のタイヤ補強
層は、円筒コイル状スチールフイラメントもしく
はフイラメント束を使用するものであるから、ス
チールフイラメント同士が線接触をしておらず、
そのためにフイラメント間に空隙を生ずることが
ない。その結果、タイヤ走行時にできた外傷から
水が浸入しても、補強層のスチールフイラメント
がさびたり、セパレーシヨンをおこしたりするこ
とがない。 以下にこの発明の実施例を説明する。 実施例 1 ポリエステルコードからなる1層のカーカスプ
ライの中央部外側に、1×5×0.25mm、撚りピツ
チ10mm、コード径0.7mmのスチールコードからな
り、タイヤ円周方向に対して角度20度で平行に配
列されたベルトプライの2枚を相互に反対方向に
重合したベルト層を配置し、このベルト層の両端
部に前記第1表の円筒コイル状スチールフイラメ
ント束(イ)または(ロ)からなる補強層を第4図に示す
ように内側ベルトプライ3および外側ベルトプラ
イ4の両側端部を覆うように配置し、これら各層
をトレツドゴム組成物とこれに連続するサイドウ
オールゴム組成物で覆つてグリーンタイヤを形成
し、このグリーンタイヤを、グリーンタイヤの外
径より4%大きい内径を有するモールドに装填し
たのち加硫成型してモールドの内径と同じ大きさ
に膨張されたサイズ185/70HR13のラジアルタ
イヤを製造した。この実施例1における補強層の
構造およびタイヤの性能を下記第2表に示す。
メント束の試料(イ),(ロ)はコイルが延びるまでの伸
長率はこの発明の好ましい範囲にあるが、試料(ハ)
は好ましい範囲を外れるものである。なお、グラ
フ中の試料(ニ)はベルト層に使用するスチールコー
ドで、そのフイラメント径0.25mm、フイラメント
数5本、コード外径0.7mm、撚りピツチ10mmであ
る。 上記の補強層を形成するには、直線状のスチー
ルフイラメントを円筒コイル状にくせずけしたも
のを配列してゴム中に埋設したものであり、その
方法の一例は特開昭47―13684号公報に開示され
ている。 補強層を設ける位置は、第4図に示すように、
内側ベルトプライ3および外側ベルトプライ4の
それぞれの端部を覆うような位置のほかに、第6
図に示すように、内側ベルトプライ3と外側ベル
トプライ4との間に内側ベルトプライ3の端部に
至るような位置でもよく、また第7図に示すよう
に、内側ベルトプライ3の端部のみを覆う外側で
補強層7のタイヤ中心部側端部が外側ベルトプラ
イ4の端部に近接するような位置でもよい。 上記のように構成されたグリーンタイヤは、グ
リーンタイヤの半径RGより若干大きい半径の二
つ割りモールドに装填して加硫成型される。 加硫成型された成型タイヤ内の補強層における
スチールフイラメントは、タイヤ成型時に伸長さ
れたものであるが、その伸長程度は補強層幅のタ
イヤ中心部側からタイヤシヨルダ部側に向つて漸
次大きくなり、補強層幅の半分のタイヤ中心部側
では、コイルは未だ伸び切つておらず、もとの円
筒コイル状スチールワイヤに対して、コイルピツ
チ長さは1〜6%長く、コイル外径は5〜70%小
さくなつている。 以上に説明したように、この発明のタイヤ補強
層は、円筒コイル状スチールフイラメントもしく
はフイラメント束を使用するものであるから、ス
チールフイラメント同士が線接触をしておらず、
そのためにフイラメント間に空隙を生ずることが
ない。その結果、タイヤ走行時にできた外傷から
水が浸入しても、補強層のスチールフイラメント
がさびたり、セパレーシヨンをおこしたりするこ
とがない。 以下にこの発明の実施例を説明する。 実施例 1 ポリエステルコードからなる1層のカーカスプ
ライの中央部外側に、1×5×0.25mm、撚りピツ
チ10mm、コード径0.7mmのスチールコードからな
り、タイヤ円周方向に対して角度20度で平行に配
列されたベルトプライの2枚を相互に反対方向に
重合したベルト層を配置し、このベルト層の両端
部に前記第1表の円筒コイル状スチールフイラメ
ント束(イ)または(ロ)からなる補強層を第4図に示す
ように内側ベルトプライ3および外側ベルトプラ
イ4の両側端部を覆うように配置し、これら各層
をトレツドゴム組成物とこれに連続するサイドウ
オールゴム組成物で覆つてグリーンタイヤを形成
し、このグリーンタイヤを、グリーンタイヤの外
径より4%大きい内径を有するモールドに装填し
たのち加硫成型してモールドの内径と同じ大きさ
に膨張されたサイズ185/70HR13のラジアルタ
イヤを製造した。この実施例1における補強層の
構造およびタイヤの性能を下記第2表に示す。
【表】
【表】
第2表の比較例1のフイラメント束(ハ)は前記第
1表に示すフイラメント束であり、比較例2の(ホ)
はベルトプライに使用したスチールコードであ
り、比較例3の(ヘ)は1260d/2、上下各撚数4
回/cmの熱収縮性ナイロンコードである。 上記第2表において成型タイヤのコイル外径お
よびコイルピツチ長さは、成型タイヤからトレツ
ドゴムが付着した状態で補強層を剥ぎ取り、レン
トゲン写真による画像から測定した値で、補強層
の幅中心付近のスチールフイラメントの測定値を
示した。 成型タイヤの高速耐久性は、欧洲経済委員会規
則ECEのRegulationNo.3の規定に準じ、タイヤ
内圧2.9Kg/cm2、荷重400gの条件で回転試験機で
タイヤを回転させ、回転速度を10分毎に10Km、時
ずつ増加してタイヤの故障が発生するに至るとき
の速度(Km/時)をもつて示した。 耐食性は、成型タイヤの両側の補強層の位置の
タイヤ円周上に、90度間隔で補強層に達するまで
の釘穴をあけ、この成型タイヤを取付けた自動車
を、途中に海水の水溜めを設けた1周2.5Kmの走
行試験路で約5000Km走行させ、走行後のタイヤを
解体して補強層のスチールフイラメントのゴム付
着率および錆発生状況を観察した。そしてゴム付
着率は、トレツドゴムと補強層との間を切り裂く
ように剥離して補強層のスチールフイラメントの
露出の程度を、A:10%以下、B:10〜70%、
C:70%以上に区分して判定し、露出程度をもつ
てスチールフイラメントの接着性低下を評価し
た。また錆の発生は、A:補強層に錆の発生が無
いもの、B:釘穴をあけた部分のみに錆が発生し
たもの、C:3〜5本のフイラメント束の全周に
わたつて錆が発生したものに区分して判定した。 上記第2表でみられるように、この実施例1の
各タイヤはいずれも高速耐久性および耐食性が良
好であるが、比較例1(円筒コイル状スチールフ
イラメントの伸長率が大きい)は、高速耐久性が
低下し、かつ錆が発生した。また比較例2(スチ
ールコード使用)は、高速耐久性は変らないがそ
の耐食性がはるかに劣る。比較例3(熱収縮性ナ
イロンコード使用)は、耐食性は劣らないが最大
伸長接線モジユラスが低く、高速耐久性が劣つて
いる。 実施例 2 上記実施例1において、補強層を第6図に示す
ように内側ベルトプライ3の両端部にて内側ベル
トプライ3と外側ベルトプライ4との間に設けた
以外は実施例1と同様にして成型タイヤを製造し
た。 実施例 3 上記実施例1において、補強層を第7図に示す
ように外側ベルトプライ4の端部より10mm長い内
側ベルトプライ3の端部のみに幅7mmの補強層を
設けた以外は実施例1と同様にして成型タイヤを
製造した。 上記実施例2および3の補強層の構造およびタ
イヤの性能を下記第3表に示す。
1表に示すフイラメント束であり、比較例2の(ホ)
はベルトプライに使用したスチールコードであ
り、比較例3の(ヘ)は1260d/2、上下各撚数4
回/cmの熱収縮性ナイロンコードである。 上記第2表において成型タイヤのコイル外径お
よびコイルピツチ長さは、成型タイヤからトレツ
ドゴムが付着した状態で補強層を剥ぎ取り、レン
トゲン写真による画像から測定した値で、補強層
の幅中心付近のスチールフイラメントの測定値を
示した。 成型タイヤの高速耐久性は、欧洲経済委員会規
則ECEのRegulationNo.3の規定に準じ、タイヤ
内圧2.9Kg/cm2、荷重400gの条件で回転試験機で
タイヤを回転させ、回転速度を10分毎に10Km、時
ずつ増加してタイヤの故障が発生するに至るとき
の速度(Km/時)をもつて示した。 耐食性は、成型タイヤの両側の補強層の位置の
タイヤ円周上に、90度間隔で補強層に達するまで
の釘穴をあけ、この成型タイヤを取付けた自動車
を、途中に海水の水溜めを設けた1周2.5Kmの走
行試験路で約5000Km走行させ、走行後のタイヤを
解体して補強層のスチールフイラメントのゴム付
着率および錆発生状況を観察した。そしてゴム付
着率は、トレツドゴムと補強層との間を切り裂く
ように剥離して補強層のスチールフイラメントの
露出の程度を、A:10%以下、B:10〜70%、
C:70%以上に区分して判定し、露出程度をもつ
てスチールフイラメントの接着性低下を評価し
た。また錆の発生は、A:補強層に錆の発生が無
いもの、B:釘穴をあけた部分のみに錆が発生し
たもの、C:3〜5本のフイラメント束の全周に
わたつて錆が発生したものに区分して判定した。 上記第2表でみられるように、この実施例1の
各タイヤはいずれも高速耐久性および耐食性が良
好であるが、比較例1(円筒コイル状スチールフ
イラメントの伸長率が大きい)は、高速耐久性が
低下し、かつ錆が発生した。また比較例2(スチ
ールコード使用)は、高速耐久性は変らないがそ
の耐食性がはるかに劣る。比較例3(熱収縮性ナ
イロンコード使用)は、耐食性は劣らないが最大
伸長接線モジユラスが低く、高速耐久性が劣つて
いる。 実施例 2 上記実施例1において、補強層を第6図に示す
ように内側ベルトプライ3の両端部にて内側ベル
トプライ3と外側ベルトプライ4との間に設けた
以外は実施例1と同様にして成型タイヤを製造し
た。 実施例 3 上記実施例1において、補強層を第7図に示す
ように外側ベルトプライ4の端部より10mm長い内
側ベルトプライ3の端部のみに幅7mmの補強層を
設けた以外は実施例1と同様にして成型タイヤを
製造した。 上記実施例2および3の補強層の構造およびタ
イヤの性能を下記第3表に示す。
第1図はラジアルタイヤのベルトプライコード
の展開平面図、第2図はベルト層の幅と剛性との
関係を示すグラフ、第3図はトレツド部の変形状
態を説明する切断正面図、第4図はこの発明の実
施例のグリーンタイヤと成型タイヤの切断正面
図、第5図は円筒コイル状スチールフイラメント
の応力―伸長率の関係を示すグラフ、第6図およ
び第7図はこの発明の他の実施例の切断正面図で
ある。 1:カーカスプライ、2:ビードコア、3:内
側ベルトプライ、4:外側ベルトプライ、5:ベ
ルト層、6:円筒コイル状スチールフイラメン
ト、7:補強層、8:トレツドゴム、9:サイド
ウオールゴム、GT:グリーンタイヤ、MT:成
型タイヤ。
の展開平面図、第2図はベルト層の幅と剛性との
関係を示すグラフ、第3図はトレツド部の変形状
態を説明する切断正面図、第4図はこの発明の実
施例のグリーンタイヤと成型タイヤの切断正面
図、第5図は円筒コイル状スチールフイラメント
の応力―伸長率の関係を示すグラフ、第6図およ
び第7図はこの発明の他の実施例の切断正面図で
ある。 1:カーカスプライ、2:ビードコア、3:内
側ベルトプライ、4:外側ベルトプライ、5:ベ
ルト層、6:円筒コイル状スチールフイラメン
ト、7:補強層、8:トレツドゴム、9:サイド
ウオールゴム、GT:グリーンタイヤ、MT:成
型タイヤ。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 有機繊維コードがタイヤ円周方向に対して直
角に配列されたカーカスプライの両端部が1対の
ビードコアに係止され、該カーカスプライの中央
部の外側に、スチールコードがタイヤ円周方向に
対して10〜30度の角度で平行に配列されたベルト
プライの少なくとも2枚を相互に反対方向に重合
してなるベルト層が配置され、上記少なくとも1
枚のベルトプライの両端部に、円筒コイル状スチ
ールフイラメントがタイヤ円周方向に平行に配列
された補強層が重合され、上記各層全体が中央部
のトレツドゴムとこれに連続する1対のサイドウ
オールゴムとで覆われてなるグリーンタイヤを、
該グリーンタイヤより若干大きい直径を有するモ
ールド内で加硫成型することを特徴とする乗用車
用ラジアルタイヤの製造法。 2 補強層は円筒コイル状スチールフイラメント
が等間隔に配列されたものである特許請求の範囲
第1項記載の乗用車用ラジアルタイヤの製造法。 3 補強層は円筒コイル状スチールフイラメント
が数本束ねられたフイラメント束である特許請求
の範囲第1項記載の乗用車用ラジアルタイヤの製
造法。 4 補強層の幅が5〜50mmである特許請求の範囲
第1項ないし第3項のいずれかに記載の乗用車用
ラジアルタイヤの製造法。 5 円筒コイル状スチールフイラメントは、式S
=7l/n(Sは引張り応力Kg、lは補強層の幅mm、
nはスチールフイラメント本数)で示される引張
り応力による伸長率が1.5〜6%である特許請求
の範囲第1項ないし第4項のいずれかに記載の乗
用車用ラジアルタイヤの製造法。 6 円筒コイル状スチールフイラメントの最大引
張り接線モジユラスが5000〜15000Kg/mm2である
特許請求の範囲第1項ないし第5項のいずれかに
記載の乗用車用ラジアルタイヤの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP56139182A JPS5839438A (ja) | 1981-09-02 | 1981-09-02 | 乗用車用ラジアルタイヤの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP56139182A JPS5839438A (ja) | 1981-09-02 | 1981-09-02 | 乗用車用ラジアルタイヤの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5839438A JPS5839438A (ja) | 1983-03-08 |
JPH0134148B2 true JPH0134148B2 (ja) | 1989-07-18 |
Family
ID=15239465
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP56139182A Granted JPS5839438A (ja) | 1981-09-02 | 1981-09-02 | 乗用車用ラジアルタイヤの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5839438A (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62184002U (ja) * | 1986-05-14 | 1987-11-21 | ||
JPS63116906A (ja) * | 1986-11-05 | 1988-05-21 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 空気入りラジアルタイヤ及びその製造方法 |
JPH0396403A (ja) * | 1989-09-09 | 1991-04-22 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 空気入りラジアルタイヤ |
JPH0396402A (ja) * | 1989-09-09 | 1991-04-22 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 空気入りラジアルタイヤ |
JP2528189B2 (ja) * | 1989-10-27 | 1996-08-28 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ |
JP3058590B2 (ja) * | 1996-06-28 | 2000-07-04 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ |
DE19905643C2 (de) * | 1999-02-11 | 2001-05-03 | Continental Ag | Verfahren zur Herstellung eines Luftreifens |
JP3475135B2 (ja) * | 1999-11-05 | 2003-12-08 | 住友ゴム工業株式会社 | 自動二輪車用ラジアルタイヤの製造方法 |
JP4866177B2 (ja) * | 2006-08-28 | 2012-02-01 | 住友ゴム工業株式会社 | 重荷重用タイヤ |
EP3800069B1 (en) * | 2018-07-11 | 2024-03-27 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Heavy-duty pneumatic tire and manufacturing method thereof |
-
1981
- 1981-09-02 JP JP56139182A patent/JPS5839438A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5839438A (ja) | 1983-03-08 |
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US20050126673A1 (en) | Pneumatic tire | |
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