JPH0130932B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明はコーマにおけるデタツチングボトム
ローラのクリヤラ装置に関するものである。

従来技術 一般に60番手以上の細糸あるいは特に太さの均
斉又は強力を必要とする糸を紡出する場合には、
カージング工程で除去することが難しい短繊維及
びカージングで残つたカス、ゴミ等の夾雑物やネ
ツプを完全に除去して長さの揃つた優良な繊維だ
けを残すとともに、スライバ中の各繊維を平行に
配列し、規則正しく重ね合わせて糸の強力を増す
ためのコーミング作用をなすコーマが使用され
る。そして、コーマは第１図に示すように、間欠
的に回転されるフイードローラ１の作用により所
定量ずつ送り出されボトムニツパ２及びトツプニ
ツパ３からなるニツパにより把持されたラツプＬ
の先端が第１図の反時計方向に回転するコーミン
グシリンダ４によつてくしけずられ、短繊維やネ
ツプ等が除去されるとともに長繊維が平行に引き
揃えられたフリースＦとなり、ボトムニツパ２の
前進（第１図の左方への移動）によつて一対のデ
タツチングローラ５へ向けて移動される。このボ
トムニツパ２の前進に対応してデタツチングロー
ラ５が逆転（第１図の時計方向への回転）して先
に引き取つたフリースＦを後退させ、該フリース
Ｆの上に前記くしけずられたばかりのフリースＦ
を重ね合わせ、その後デタツチングローラ５が前
記逆転量より多く正転してニツパからフリースＦ
を引き取るとともに、フリースＦ内に突きさされ
たトツプコーム６によりフリースＦの後端がくし
けずられる。この作用が繰り返し行われる。又、
コーミングシリンダ４のコーミング針４ａにより
捕らえられた短繊維は矢印方向に回転するブラシ
７により除去されて風綿状となつて吹き飛ばさ
れ、多孔ローラ８の吸引気流によりサクシヨンボ
ツクス９内を下方へ移動して該多孔ローラ８の表
面に吸着されてノイルＮとなり、多孔ローラ８の
回転につれて後方へ移動され図示しない巻取ロー
ラにより巻き取られるようになつている。

前記デタツチングローラ５はコーミングシリン
ダ４及びトツプコーム６の作用により清浄にされ
たフリースＦを順次前進させる作用をなすもので
あるから、その表面を常に清浄に保つ必要があ
る。従来、前記デタツチングローラ５のトツプロ
ーラ１０の表面を掃除する装置は特に不都合はな
いが、デタツチングボトムローラ１１の表面を掃
除するクリヤラ装置にはいくつかの問題点があ
る。従来、デタツチングボトムローラ１１のクリ
ヤラ装置として、例えば、第２図に示すようにゴ
ムあるいは革製の板状部材１２を各デタツチング
ボトムローラ１１に対してそれぞれ当接する状態
に固定したものや、第３図に示すようにチユーブ
状のスクラツチヤ１３をゴムあるいは革により形
成し、両デタツチングボトムローラ１１に当接す
る位置に固定したものがある。これらの従来装置
はいずれもデタツチングボトムローラ１１の表面
を掃除する部材が一定位置に固定されているた
め、その上部にゴミ、カス、風綿が溜るため、定
期的にしかも短期間内にクリヤラを外して掃除を
する必要があり機台の稼動効率が低下するばかり
でなく、溜つたゴミがフリースＦに塊りとなつて
混入して後工程における糸切れや品質低下の原因
となる不都合があつた。この不都合を解消するた
め、第４図に示すようにスクラツチヤ１３を駆動
装置（図示せず）により上下又は揺動運動させて
ボトムローラ１１への当接を間欠的に行うように
したものもあるが、構造が複雑となるだけでなく
スクラツチヤ１３の上部にゴミ等が溜るのを確実
に防止することが不可能であること及びスクラツ
チヤ１３の上下又は揺動運動のため気流が乱れて
フリースＦが乱れるという問題がある。

目 的 この発明は前記従来装置の問題点を解消するた
めになされたものであつて、その目的はデタツチ
ングボトムローラの正逆転運動を利用してその表
面の汚れを確実に除去するとともに、該デタツチ
ングローラ表面の掃除を行うクリヤラの掃除も自
動的に行うことができクリヤラのメインテナンス
を省くことができるコーマにおけるデタツチング
ボトムローラのクリヤラ装置を提供することにあ
る。

発明の構成 前記目的を達成するためこの発明においては、
往復回転される１対のデタツチングボトムローラ
の下部外周面に、該ボトムローラの回転が伝えら
れるようクリヤラを圧接させ、該クリヤラには、
その一方向の回転を抑制又は制御しかつゴミ、風
綿を除去するための清掃部材を当接させるように
構成した。

実施例 １ 次にこの発明を具体化した第一の実施例を第５
〜７図に従つて説明する。筋ローラよりなる１対
のデタツチングボトムローラ１１の下方中間位置
には被動ローラ１４が両デタツチングボトムロー
ラ１１と平行に回転自在に配設されている。被動
ローラ１４は第６，７図に示すように、その両側
に配設された支承板１５に形成された遊挿溝１５
ａに遊挿されるとともに、該支承板１５にブラケ
ツト１６を介して固定された圧接スプリング１７
により常に前記デタツチングボトムローラ１１側
に押圧付勢された支軸１８に対して、ベアリング
１９を介して回転自在に支持されている。該被動
ローラ１４の外周面にはデタツチングボトムロー
ラ１１の掃除を行うクリヤラとしてのクリヤラク
ロス２０が、その一部が前記圧接スプリング１７
の作用により前記両デタツチングボトムローラ１
１に圧接された状態で被動ローラ１４と一体回転
可能に巻装されている。被動ローラ１４の下方に
はニユーマダクト（図示せず）に連通するサクシ
ヨンボツクス２１が配設されるとともに、その上
部内側には前記クリヤラクロス２０に付着したゴ
ミ、風綿等を除去する清掃部材としてのコーム２
２が、その先端が前記クリヤラクロス２０の接線
に対して鋭角をなして当接する状態でブラケツト
２３により固定されている。

次に前記のように構成された装置の作用を説明
する。クリヤラクロス２０は両デタツチングボト
ムローラ１１に圧接された状態で被動ローラ１４
に巻装されているので、その摩擦力によりデタツ
チングボトムローラ１１の往復回動に伴い往復回
動される。デタツチングボトムローラ１１とクリ
ヤラクロス２０との回転速度が同一の場合には当
接部において摺動作用がないためクリヤラクロス
２０はデタツチングボトムローラ１１の表面を掃
除することはできない。しかし、この装置におい
てはクリヤラクロス２０に対してその一方向（こ
の実施例においては矢印Ｑ方向）と対向する方向
からコーム２２が当接するように配設されている
ため、クリヤラクロス２０の回転抵抗に方向性が
生じデタツチングボトムローラ１１及びクリヤラ
クロス２０の回転速度に差が生じクリヤラクロス
２０によるデタツチングボトムローラ１１表面の
掃除が可能となる。すなわち、デタツチングボト
ムローラ１１の逆転（第５図の矢印Ｂ方向）時に
は、クリヤラクロス２０は被動ローラ１４ととも
に矢印Ｑ方向に回転される。矢印Ｑ方向への回転
時にはコーム２２がその回転を抑制する抵抗とし
て作用するため、クリヤラクロス２０の回転速度
がデタツチングボトムローラ１１の回転速度より
も遅くなつて両者間に摺動作用が生じ、クリヤラ
クロス２０がデタツチングボトムローラ１１の表
面を掃除することになる。又、この時コーム２２
はクリヤラクロス２０上のゴミ、風綿等をかき落
とし、クリヤラクロス２０上からかき落とされた
ゴミ、風綿等はサクシヨンボツクス２１を通つて
ニユーマダクトに吸引される。一方、デタツチン
グボトムローラ１１の正転（第５図の矢印Ａ方
向）時には、クリヤラクロス２０は被動ローラ１
４とともに矢印Ｐ方向に回転されるが、この際に
はコーム２２はクリヤラクロス２０の回転の抵抗
とはならず、クリヤラクロス２０はデタツチング
ボトムローラ１１とほぼ同一速度で回転される。

実施例 ２ 次にこの発明を具体化した第二の実施例を第８
図に従つて説明する。この実施例の装置において
は、デタツチングボトムローラ１１の掃除を行う
クリヤラとしてクリヤラクロス２０に代えて前記
被動ローラ１４の外周面にゴム製の羽根２４が被
動ローラ１４と一体回転可能にかつ放射方向に対
してある角度をもつて延設されている。又、サク
シヨンボツクス２１の内部には第５図実施例のコ
ーム２２に代えて前記羽根２４の先端部に係合し
てその一方向（第８図の矢印Ｑ方向）への回転を
阻止し、矢印Ｐ方向への回転のみを許容するスト
ツパ２５がクリヤラの清掃部材としてブラケツト
２６により固定されている。従つて、デタツチン
グボトムローラ１１の逆転（第８図の矢印Ｂ方
向）時にはクリヤラの回転方向に羽根２４が指向
しているので、その先端がストツパ２５と係合し
た時点で被動ローラ１４の回転が阻止され、その
状態でデタツチングボトムローラ１１が回転する
ためデタツチングボトムローラ１１の表面はそこ
を摺動する羽根２４の先端外面で掃除される。そ
して、デタツチングボトムローラ１１の正転（第
８図の矢印Ａ方向）時には羽根２４がボトムロー
ラ１１の回転方向と対向しているため、被動ロー
ラ１４は矢印Ｐ方向へ回転される。矢印Ｐ方向へ
の回転時には羽根２４がゴムにより形成されてい
ることと羽根２４が傾斜していることのため、ス
トツパ２５と係合することにより内側へ撓みスト
ツパ２５を通過する。この時、先にボトムローラ
１１を清掃したことにより羽根２４の先端部に付
着したゴミ、風綿等はストツパ２５により除去さ
れるとともに、羽根２４がストツパ２５を離れる
際の跳ね戻り作用により、一層効果的にゴミ等の
除去が行われる。そして前記実施例と同様にサク
シヨンボツクス２１を経てニユーマダクトへ吸引
される。

なお、この発明は前記各実施例に限定されるも
のではなく、例えば、第９図に示すように被動ロ
ーラ１４を１対配設するとともにクリヤラクロス
２０をベルト状に形成して両被動ローラ１４間に
巻き掛けたり、第１０図に示すように被動ローラ
１４を１対設けるとともに外周面に羽根２４が突
設された無端状のベルト２７を被動両ローラ１４
間に巻き掛けしたり、クリヤラの下方にサクシヨ
ンボツクス２１を配設せずコーム２２あるいは羽
根２４から除去されたゴミ等を処理する他の手段
を採用するなどこの発明の趣旨を逸脱しない範囲
において各部の形状、構成等を任意に変更するこ
とも可能である。

効 果 以上詳述したように、この発明によれば特別な
駆動装置を設けることなくデタツチングボトムロ
ーラの正逆転を利用してクリヤラの回転を起こさ
せるとともに、該クリヤラとそれに当接する清掃
部材との組合わせによりボトムローラの清掃とク
リヤラの清掃とを自動的に行うことができる。こ
のためクリヤラのメインテナンスを省略すること
ができ、機台の稼動効率を高めることができると
ともに後工程における糸切れや品質低下の原因と
なるゴミ等のフリースへの混入を確実に防止する
ことができるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はコーマの一部破断要部概略側面図、第
２〜４図は従来のクリヤラ装置を示す側面図、第
５図はこの発明を具体化した第一の実施例を示す
側断面図、第６図は同じく被動ローラの支承状態
を示す側面図、第７図は同じくその正面図、第８
図は第二の実施例を示す側断面図、第９，１０図
は変更例を示す側断面図である。 デタツチングボトムローラ……１１、被動ロー
ラ……１４、クリヤラクロス……２０、サクシヨ
ンボツクス……２１、コーム……２２、羽根……
２４、ストツパ……２５、フリース……Ｆ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 往復回転される１対のデタツチングボトムロ
   ーラの下部外周面に、該ボトムローラの回転が伝
   えられるようクリヤラを圧接させ、該クリヤラに
   は、その一方向の回転を抑制又は制御しかつゴ
   ミ、風綿を除去するための清掃部材を当接させた
   ことを特徴とするコーマにおけるデタツチングボ
   トムローラのクリヤラ装置。 ２ 前記クリヤラは前記両デタツチングボトムロ
   ーラの下方中間位置に両デタツチングボトムロー
   ラと平行に配設された被動ローラに対して一対回
   転可能に巻装されたクリヤラクロスであり、前記
   清掃部材はコームである特許請求の範囲第１項に
   記載のコーマにおけるデタツチングボトムローラ
   のクリヤラ装置。 ３ 前記クリヤラは前記両デタツチングボトムロ
   ーラの下方中間位置に両デタツチングボトムロー
   ラと平行に配設された被動ローラに対して一体回
   転可能にかつ放射方向と角度をもつて延設固定さ
   れた多数の弾性部材製の羽根であり、前記清掃部
   材は前記羽根の先端部に係合してその一方向への
   回転のみを許容する位置に配設されたストツパで
   ある特許請求の範囲第１項に記載のコーマにおけ
   るデタツチングボトムローラのクリヤラ装置。