JPH0130228Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は幼児用遊戯車両におけるボデイ組立装
置の改良に関する。

従来の幼児遊戯用自動車として、そのボデイを
合成樹脂材から成形したものでは、そのボデイ自
身が全体的に下部開放の断面倒立Ｕ字型を呈する
に過ぎない構造であるため、ボデイの強度に劣
り、全体として不正変形、就中横方向への歪曲を
生じやすく、これに起因してその開口下縁部から
亀裂や割れが入ると共に、幼児の足廻りも危険で
ある。この点、ボデイを上下の分割体から組立て
るに当り、上下両ボデイから外向き水平状にフラ
ンジを張り出し、その両フランジを合掌状に接合
した上、これにコ字型断面のサツシユを巻き付け
状に嵌着したものが提案されているけれども、こ
れでは特に横方向からの外力に弱く、上下両ボデ
イの相互位置ズレを生じやすいのであり、この位
置ズレの危険によつて更に上下両ボデイの組立作
業上も、そのサツシユを１人で円滑に且つ正しく
嵌着することが困難である。このことは、両フラ
ンジを上記のような水平合掌状に接合している限
り、サツシユに代るボルトを採用したと仮定して
も抜本的に解決できず、例えばボルト孔の相互合
致が容易でなく、やはり組立の作業性に劣る。

本考案はこのような問題点を、コスト安の極め
て簡素な構造のもとに解決したものであり、その
詳細を図示の実施態様に基き説明すれば、次の通
りである。即ち、その全体を表わした第１〜３図
において、Ａは全体的に断面略倒立Ｕ字型をなす
上ボデイ、Ｂは同じく断面略Ｕ字型の下ボデイで
あり、何れもポリプロピレン、その他の硬質な合
成樹脂を素材として、予じめ相互別体に一体成形
されている。１は上ボデイＡの略中央部に開設さ
れた着席開口、２はこの開口１に臨むよう、言わ
ば頂面から屈曲垂下されたシート板で、背もたれ
を一体に具備している。３は着席開口１の前方中
央部に位置しつつ、上ボデイＡの頂面に穿孔され
たステアリングハンドル軸挿通孔、４は同じく頂
面前部（ボンネツト部分）に隆起された左右一対
のヘツドライト支持筒である。

他方、５は下ボデイＢの後部中央から揚げ底式
に隆起されたシート支持板で、上ボデイＡのシー
ト板２へ下方から接合され、且つボルト６により
着脱自在に固定される。７は着席開口１の直下位
置に略対応する足入れ開口、８は下ボデイＢの底
面後部から下方へ膨出された左右一対の後車軸支
持壁で、これに軸受を介して図外の後車軸が回転
自在に支持される。この支持壁８は、何れもシー
ト支持板５と後輪フエンダー９との相互間に区成
されている。１０は同じく下ボデイＢの底面前部
から横断状として凹入形成された前車軸挿入凹溝
で、この中に図外の前車軸が下方から挿入固定さ
れる。１１は下ボデイＢに凹入形成された後輪フ
エンダー９と同様な前輪フエンダー、１２は同じ
く底面前部に形成された補強リブ、１３はバンパ
ーである。

このような上下両ボデイＡ，Ｂは、その向かい
合う開口縁部において互いに組立てられ、全体的
に中空ボツクス型のボデイを形作るわけである
が、そのために上ボデイＡの開口下縁部と、下ボ
デイＢの開口上縁部には、次のような構成が付与
されている。即ち、これを拡大図で表わした第
４，５図において、１４は上ボデイＡの開口下縁
部に外向きとして張り出し形成された水平状の鍔
片であり、全体的に環状をなす。１５はこの鍔片
１４の途中に貫通形成された所要数のボルト挿通
孔、１６は鍔片１４の張り出し先端から屈曲され
た環状の垂下片で、その内側には垂下片１６と略
平行する所要数の挟持片１７が、上記鍔片１４の
途中からやはり垂下されている。つまり、上ボデ
イＡの開口下縁部は、鍔片１４から一体に垂下す
る垂下片１６と挟持片１７とにより二叉状に形成
されているわけで、これによつて下ボデイＢの後
述する起立片を内外両側から挟み持つようになつ
ている。この場合、挟持片１７とボルト挿通孔１
５とは互いに位置ズレされた配置となつている。
又、図例では挟持片１７を点在する複数個として
開口下縁部の全体に亘り配列させているが、これ
は連続する環状の１個として垂下させることも可
能である。

１８は下ボデイＢの開口上縁部に起立形成され
た環状の起立片であり、上ボデイＡの垂下片１６
と挟持片１７との相互間隙内へ着脱自在に嵌め合
わされて、その垂下片１６により外側から被包さ
れる。１９はこの起立片１８の基端から内向き水
平状に張り出された支持片で、上ボデイＡの上記
鍔片１４の直下位置に対応して、該鍔片１４と略
平行する。つまり、下ボデイＢの内向きに張り出
す支持片１９と、上ボデイＡの外向きに張り出す
鍔片１４とは、上記挟持片１７の垂下長さに相応
する一定の間隔Ｌをおいて、互いに向かい合うよ
う関係配設されているわけである。そして、この
支持片１９の途中にもやはりボルト挿通孔２０の
所要数が穿孔されている。この場合、図例では下
ボデイＢの起立周面を円弧状に凹入形成すること
によつて、点在する複数個の平面視半円型支持片
１９としているけれども、これは例えば下ボデイ
Ｂの起立周面から外向きに張り出す環状の支持片
１９としても良い。そして、このような上ボデイ
Ａの鍔片１４と、下ボデイＢの支持片１９との相
互間には、各々のボルト挿通孔１５，２０を介し
て所要数のボルト２１が貫挿され、これにボデイ
の外側からナツト２２を螺着して締め上げること
により、上下両ボデイＡ，Ｂが固定されるわけで
ある。第４図から明白なように、バンパー１３を
もボルト２１で共締め固定すれば、合理的であ
る。尚、２３は座金を示している。

以上のように、本考案では合成樹脂製上ボデイ
Ａの開口下縁部に、水平に張り出す鍔片１４と、
その先端から屈曲する垂下片１６と、更にその内
側位置に該垂下片１６と略平行して垂下する所要
数の挟持片１７とを連成する一方、同じく合成樹
脂製下ボデイＢの開口上縁部に、上記鍔片１４と
一定間隔Ｌをおいて向かい合う水平な支持片１９
と、その先端から屈曲する起立片１８とを連成し
て、該起立片１８が上記挟持片１７と垂下片１６
とによつて内外両側から挟持されるように、上下
両ボデイＡ，Ｂを嵌め合わせると共に、上記鍔片
１４と支持片１９との相互に貫挿させたボルト２
１と、ボデイの外側から該ボルト２１に螺着させ
たナツト２２とによつて、上下両ボデイＡ，Ｂを
固定するよう構成してあるため、上下両ボデイ
Ａ，Ｂの嵌め合わせ状態における上ボデイＡの鍔
片１４と下ボデイＢの支持片１９とのボルト２１
による串差し固定作用並びに上ボデイＡの挟持片
１７と垂下片１６による下ボデイＢの起立片１８
の挟持作用で以つて、上下両ボデイＡ，Ｂが２重
の堅牢に組立一体化されるのであり、縦横方向か
らの外力に対しても歪曲変形する心配のない剛性
なボデイを、その合成樹脂材による軽量化のうち
に仕上げ得るのである。

しかも、上記挟持片１７と垂下片１６による起
立片１８の挟持作用により、上下両ボデイＡ，Ｂ
の嵌め合わせ状態が言わば仮りに位置決めされる
ことになり、従い自づと合致した鍔片１４のボル
ト挿通孔１５と、支持片１９のボルト挿通孔２０
との相互間に亘つて、その後上方からボルト２１
を正しく落し入れ状に容易に貫挿させることがで
き、且つボデイの外側から安楽にこれへ螺着させ
たナツト２２を締め上げるだけで、軽快に能率良
く上下ボデイＡ，Ｂの組立作業を行なえる。

更に、上記挟持片１７は外界に露呈せず、その
下ボデイＢの起立片１８も上ボデイＡの垂下片１
６により、外側から被包されているため、ボデイ
の外観デザインもそのままで優美となり、このこ
とはバンパー１３をも上記ボルト２１で併せ取付
け固定することについても言えることであつて、
上下両ボデイＡ，Ｂによるツートンカラー化など
の容易さも相俟ち、幼児の興趣に富む且つ安全な
遊戯車両を提供できるものとして、実益大な考案
と言い得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る上下両ボデイの組立状態
を示す全体の側断面図、第２図は上ボデイの全体
底面図、第３図は下ボデイの全体底面図、第４図
は第２，３図のＡ−Ａ線に沿う組立状態の部分拡
大断面図、第５図は同じくＢ−Ｂ線に沿う組立状
態の部分拡大断面図である。 Ａ……上ボデイ、Ｂ……下ボデイ、１４……鍔
片、１５，２０……ボルト挿通孔、１６……垂下
片、１７……挟持片、１８……起立片、１９……
支持片、２１……ボルト、２２……ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂製上ボデイＡの開口下縁部に、水平に
   張り出す鍔片１４と、その先端から屈曲する垂下
   片１６と、更にその内側位置に該垂下片１６と略
   平行して垂下する所要数の挟持片１７とを連成す
   る一方、同じく合成樹脂製下ボデイＢの開口上縁
   部に、上記鍔片１４と一定間隔Ｌをおいて向かい
   合う水平な支持片１９と、その先端から屈曲する
   起立片１８とを連成して、該起立片１８が挟持片
   １７と垂下片１６とによつて内外両側から挟持さ
   れるように、上下両ボデイＡ，Ｂを嵌め合わせる
   と共に、上記鍔片１４と支持片１９との相互に貫
   通させたボルト２１と、ボデイの外側から該ボル
   ト２１に螺着させたナツト２２とによつて、上下
   両ボデイＡ，Ｂを固定するよう設定したことを特
   徴とする幼児用遊戯車両のボデイ組立装置。