JPH0129903Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はスピーカの周波数特性を改善すべくこ
れに付加されるスピーカ用帯域フイルタに関す
る。

フルレンジスピーカの周波数特性は、一般に、
第１図に示すようなＸ軸およびＹ軸をそれぞれ周
波数（Hz）およびレスポンスdBとするグラフに
おいて、全体に山形の特性線Ａで示される。

このスピーカの周波数特性の平坦化を図るため
に、抵抗体、コンデンサのようなキヤパシタンス
素子およびコイルのようなインダクタンス素子を
相互に並列に接続して成る帯域フイルタが、前記
スピーカの入力端子と、音源の出力端子との間に
挿入されることがある。前記帯域フイルタは前記
グラフの特性線Ｂで示される特性を示すことか
ら、前記スピーカの周波数特性を前記グラフの特
性線Ｃで示されるような平坦な特性に改善するこ
とができ、これにより前記スピーカの低音域およ
び高音域を拡げることができる。

しかしながら、その反面、低音域の大きな出力
の音声信号が前記帯域フイルタを経て前記スピー
カに伝えられると、該スピーカのコーン紙の振幅
が大きくなり、この振幅が許容動作範囲を起える
と低音に歪が生じ、最悪の場合にはコーン紙の破
損を招くことがある。

従つて、本考案の目的は、スピーカの低音歪を
防止し得るスピーカ用帯域フイルタを提供するこ
とにある。

本考案は、前記したような低周波音声信号成分
が前記帯域フイルタの構成素子のうちのインダク
タンス素子を主として流れることに着目し、通電
による温度上昇に伴なつて電気抵抗値が増大する
可変抵抗素子を介して、インダクタンス素子を抵
抗体およびキヤパシタンス素子のそれぞれに並列
的に接続したことを特徴とする。

本考案によれば、前記インダクタンス素子に直
列に接続された前記可変抵抗素子は、前記インダ
クタンス素子を流れる低周波音声信号成分の増大
に応じて抵抗値を増大させることから、帯域フイ
ルタとしての機能を損なうことなく大出力の低周
波音声信号成分がスピーカに伝えられることを防
止し、これにより低音の歪の発生を防止すること
ができる。

本考案が特徴とするところは、図示の実施例に
ついての以下の説明により、さらに明らかとなろ
う。

本考案に係る帯域フイルタ１０は、第２図に示
されているように、音源１２と、該音源から音声
信号を受けるスピーカ１４との間に挿入されてい
る。

音源１２の一方の出力端子１２ａは帯域フイル
タ１０の入力端子１０ａに接続され、また帯域フ
イルタの出力端子１０ｂはスピーカ１４の一方の
入力端子１４ａに接続されている。このスピーカ
１４の他方の入力端子１４ｂは音源１２の他方の
出力端子１２ｂに直接に接続されている。このス
ピーカ１４は、それ自体の周波数特性として、例
えば第１図のグラフの特性線bAで示されるよう
な周波数特性を有する。

前記帯域フイルタ１０は、その両端子１０ａ，
１０ｂ間で相互に並列に接続された抵抗体１６お
よびキヤパシタンス素子１８を含む。さらに、帯
域フイルタ１０は、その両端子１０ａ，１０ｂ間
で相互に直列に接続されたインダクタンス素子２
０および可変抵抗素子２２を含み、これによりイ
ンダクタンス素子２０は前記可変抵抗素子２２を
介して抵抗体１６およびキヤパシタンス素子１８
のそれぞれに並列的に接続されている。

前記抵抗体１６、キヤパシタンス素子１８およ
びインダクタンス素子２０の各値は、従来の前記
帯域フイルタにおけると同様、帯域フイルタ１０
が、スピーカ１４の特性線Ａで示される周波数特
性を前記特性線Ｃで示されるような特性に改善す
るために必要な、例えば前記特性線Ｂで示される
特性を有するように選択される。

前記可変抵抗素子２２は、該素子への通電によ
るそれ自体の温度上昇に伴なつて電気抵抗値を増
大させる。いわゆる正特性を有する感温素子であ
る。この感温素子２２として、必要に応じて種々
の温度特性を有するサーミスタ、白金線および電
灯用金属フイラメント等を用いることができる
が、コスト上、前記金属フイラメントを用いるこ
とが好ましい。

前記可変抵抗素子２２はインダクタンス素子２
０にのみ直列に接続されていることから、前記可
変抵抗素子はインダクタンス素子２０のみを流れ
る音声信号成分の増減に応じてその抵抗値を増減
する。従つて、前記インダクタンス素子２０を流
れる低周波音声信号成分が増大しようとすると、
それに応じて可変抵抗素子２２の電気抵抗値が増
大し、また前記低周波音声信号成分が減少すると
その電気抵抗値が減少する。また前記可変抵抗素
子１０は抵抗体１６およびキヤパシタンス素子１
８に直列に接続されていないことから、前記可変
抵抗素子の挿入によつて、スピーカ１０に送られ
る音声信号の低周波成分を除く他の部分が大きく
減衰されることはない。

従つて、記帯域フイルタ１０によれば、スピー
カ１４からの低音に歪を生じさせる程に大きな出
力の低周波音声信号が該スピーカに入力されるこ
とを防止することができ、これにより前記スピー
カの低音歪を防止することができる。

本考案によれば、前記したように、インダクタ
ンス素子が、通電による温度上昇に伴なつて電気
抵抗値を増大する可変抵抗素子を介して、抵抗体
およびキヤパシタンス素子のそれぞれに並列的に
接続されて帯域フイルタが構成されることから、
スピーカ用帯域フイルタの機能を損なうことなく
スピーカへの大出力の低周波信号成分の入力を防
止することができ、これにより前記スピーカの周
波特性の改善を図ると共に該スピーカの低音歪を
除去することがき、スピーカのコーン紙の許容動
作範囲を越える振動を防止して該コーン紙の破損
を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る帯域フイルタの周波数特
性を示すグラフであり、第２図は本考案に係る帯
域フイルタの電気回路図である。 １０：帯域フイルタ、１２ａ：音声出力端子、
１４：スピーカ、１６：抵抗体、１８：キヤパシ
タンス素子、２０：インダクタンス素子、２２：
可変抵抗素子。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 音声出力端子と該出力端子から音声信号を受
   けるスピーカとの間に挿入される帯域フイルタ
   であつて、抵抗体、キヤパシタンス素子および
   インダクタンス素子を含み、該インダクタンス
   素子は通電による温度上昇に伴なつて電気抵抗
   値が増大する可変抵抗素子を介して前記抵抗体
   およびキヤパシタンス素子のそれぞれに並列的
   に接続されて成る、スピーカ用帯域フイルタ。 (2) 前記可変抵抗素子は金属フイラメントである
   実用新案登録請求の範囲第(1)項に記載のスピー
   カ用帯域フイルタ。