JPH0129355Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、高温の排気、特に製鋼用電気炉の
排気を、排風機による吸引や除塵が可能な温度に
まで、誘導中に降温させる水冷ダクトに関する。

〈従来の技術〉 製鋼用電気炉は、醸化鉄粉やスラグ粉等の粉塵
を多量に発生するので、これを排気風で吸引して
除塵機を捕集しなければならない。そのために、
水冷ダクトを用いて、高温の電気炉排気を排風機
や除塵機の動作に支障がない温度まで降温させな
がら導出している。

従来の水冷ダクトは、例えば第４図に示すよう
に、半割り円筒形の水套１，１を有するダクト
２，２の接続端にフランジ３，３をそれぞれ溶接
し、フランジ同士をボルト４で結合することによ
つて接続していた。そして、屈曲部においては、
扇形乃至台形の短かいダクトを幾個が接続してい
た。

〈考案が解決しようとする問題点〉 ダクト２，２は千数百度の高温にさらされるこ
とに加え、炉の通電時と非通電時とによる大きな
熱サイクルの結果、大きな膨脹収縮をくり返し、
特にダクトとフランジとの間の溶接部附近に強い
応力を生ずる。しかも、この部分は冷却水による
冷却が十分に行われにくい位置にある。その結
果、溶接部に亀裂を生じて、ダクトの気密が破れ
たり、冷却水が漏洩したりすることがあつた。特
に、ダクトの湾曲部においては、部分的に高温排
気に激しく接触する箇所があり、そのような箇所
では上述のような事故が多発していた。

〈問題点を解決するための手段〉 この考案においては、ダクトの接続端には環状
の冷却水管が取付けられており、相隣るダクトは
冷却水管同士を互に接触させている。冷却水管の
外方には、同心的にフランジが設けられ、相隣る
ダクト間の機械的結合は、フランジ同士を互に結
合することによつて達成される。冷却水管同士の
接触部の外面には環状のパツキングが配置され、
上記フランジに設けた押圧部は、このパツキング
を冷却水管同士の接触部へ向つて押圧している。

〈作用〉 相隣るダクトは、冷却水管同士を接触させてい
るので、その接触部全域が冷却水によつて十分に
冷却されていて、昇温が防がれている。ダクト間
の機械的な接続強度はフランジ同士の結合によつ
て達成されるが、これらのフランジはダクトの外
に位置しているために、こゝには熱的な問題は存
在しない。そして、ダクトの気密は、押圧部によ
つて冷却水管同士の接触部に押当てられた環状パ
ツキングによつて維持される。

〈実施例〉 第１図乃至第３図において、ダクト１１の周囲
には、多数の半割り円筒形の水套１２，１２…が
ダクト中心軸に平行に設けられており、これらの
水套は両端で連通孔１３，１３…によつて直列に
結合されて、蛇行した一連の冷却水通路を形成し
ている。なお、冷却水通路の両端には流入口及び
排出口が存在するが、図示を省略する。ダクト１
１の接続端には環状の冷却水管１４，１４が溶接
されている。この冷却水管も、流入口及び排出口
が存在するが、図示を省略する。

水套１２，１２…の各端部を取巻いて環状のフ
ランジ取付座１５，１５が、各水套の頂部に溶接
されている。この取付座１５，１５に一端を溶接
された翼板１６，１６…の先端に、環状のフラン
ジ１７，１７が溶接されている。フランジ１７，
１７は、冷却水管１４，１４の外側においてこれ
と同心的に位置し、冷却水管１４，１４から完全
に離れている。フランジ１７，１７の一方にはＬ
字形に折曲されたパツキング押圧材１８が所々に
溶接されており、その折曲された先端部分には螺
子１９が螺入されている。

上述のような構造のダクトのフランジ１７同士
を当接させ、ボルト２０によつて結合すると、各
ダクトの冷却水管１４同士も第１図に示すように
互に接触する。そこで、冷却水管同士の接触部２
１の外面に環状の石綿パツキング２２を置き、そ
の周囲に帯状の抑え金２３を繞らして螺子１９に
よりこれを押圧する。

上述の構造によるときは、各ダクトの高温排気
ガスに接触する面は端部に至るまで十分に水冷さ
れ、しかも機械的応力が加わるフランジはダクト
の内面ではなく、ダクト内の熱が及ばない水套外
面に支持しているので、高温下での機械的応力や
熱サイクルに起因するダクト接続部の破損を効果
的に防ぐことができる。

〈考案の効果〉 以上のように、この考案によるときは、ダクト
の高温排気ガスに接触面の全域が、接続端に至る
まで完全に水冷され、かつダクト接続部に生ずる
機械的応力が高温排気ガス接触面に加わらないの
で、熱サイクルに起因する破損や高温下での機械
的応力に起因する破損を防止することができ、特
にダクトの屈曲部に適している。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図はこの考案の実施例を示し、
第１図は第３図におけるＡ−Ａ線に沿う拡大断面
図、第２図は平面図、第３図は第２図におけるＢ
−Ｂ線に沿う断面図、第４図は従来例の部分断面
図である。 １１……ダクト、１２……冷却水套、１４……
冷却水管、１５……フランジ取付座、１７……フ
ランジ、１８……パツキング押圧材、２２……パ
ツキング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外面に冷却水套を有するダクトの接続端に沿つ
   て環状の冷却水管を固定し、この冷却水管の外方
   には環状のフランジをこの冷却水管から離して同
   心的に設け、相隣るダクトの上記フランジを互に
   結合すると共に上記冷却水管を互に接触させ、環
   状のパツキングを上記冷却水管の接触部外面に密
   接させると共に、上記パツキングを上記冷却水管
   接触部へ押圧するパツキング押圧部を上記フラン
   ジに設けてなる水冷ダクト。