JPH0128296Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は摺動絞り弁型気化器に関し、特に有底
筒状の摺動絞り弁の底部に、該摺動絞り弁の摺動
変位方向に延びるニードル弁を貫通させ、摺動絞
り弁内に突出したニードル弁の基端部に設けられ
た張出し部分が摺動絞り弁内に装着されるセツト
プレートによつて前記底部に押圧保持された摺動
絞り弁型気化器に関する。

従来、ニードル弁の基端部の張出し部分、例え
ばＥ型止め輪などを摺動絞り弁の底部に押圧する
ためのセツトプレートとしては略Ｌ字形のものが
用いられており、この略Ｌ字形セツトプレートを
少なくとも２個のねじ部材で摺動絞り弁の筒底に
締結個定していた。そのため少なくとも２個のね
じ部材やワツシヤが必要であり、しかも少なくと
も２ヶ所のねじ加工が必要であつた。更に摺動絞
り弁の比較的狭い筒内でねじ締め作業を実施しな
ければならないために、作業能率が劣つていた。

このような従来技術の欠点に鑑み、本考案の主
な目的は、部品点数を低減し得る簡単な構造のセ
ツトプレートを用いることにより簡単にニードル
弁の固定作業を行ない得るようにした摺動絞り弁
型気化器を提供することにある。

このような本考案の目的は、ガイド孔内に摺動
可能に受容され、かつ底部にニードル弁が垂設さ
れた摺動絞り弁と、該摺動絞り弁を駆動するため
のリンクを枢支するべく該摺動絞り弁に軸支され
たピン軸とを有する摺動絞り弁型気化器に於て、
前記ピン軸に小径部が設けられており、概ねＵ字
形をなすセツトプレートの底部により前記ニード
ル弁がその基端方向について抜け止めされてお
り、前記セツトプレートの一方の側板が前記摺動
絞り弁の内壁に当接し、かつ他方の側板に形成さ
れた係合部が前記ピン軸の前記小径部と係合する
ことをもつて該ピン軸をその軸線方向について抜
け止めしていると共に、前記両側板が互いに外向
きの弾発力を発生することをもつて前記セツトプ
レートが弾発的に前記摺動絞り弁内に嵌着されて
いることを特徴とする摺動絞り弁型気化器を提供
することにより達成される。

このような本考案の構成によれば、所謂ワンタ
ツチでニードル弁の固定作業が可能となり、しか
も摺動絞り弁を駆動するために用いられるリンク
を枢支するピン軸の軸線方向に対する抜け止めの
作用を持つことができるために、部品点数を大き
く低減し得るという利点がある。

以下、本考案の実施例を添付の図面について詳
しく説明する。

第１図は、本考案に基づく摺動絞り弁型気化器
の全体を示している。気化器本体１の内部には、
第１図に於ける左右方向に延在する吸気通路２が
設けられており、該気化器本体の下側にはフロー
ト室体３が螺着されており、該フロート室体の内
部にフロート室４が郭定されている。フロート室
４の内部にはガソリンなどからなる液体燃料が貯
留されており、フロート５に付設されたフロート
弁６及び該フロート弁６と共働する弁座７により
貯留燃料の液面が一定に保持されるようになつて
いる。

フロート室４内に貯留された燃料は、該貯留燃
料内に没入するように保持されているメイン燃料
ジエツト８を経て、エアブリードチユーブ９に於
て、メインエアジエツト１０及びメインエア通路
１１を経て供給された空気と混合され、メイン吐
出ノズル１２に至るようになつている。該メイン
吐出ノズル１２は、後記する摺動絞り弁１６の下
部に垂設されたニードル弁１３と共働するように
なつており、それにより該メイン吐出ノズル１２
から吐出される燃料の流量が調節されるようにな
つている。

メイン燃料ノズル８の吸気流についての下流側
に隣接する位置にはスロー燃料ジエツトを兼ねた
エアブリードチユーブ１４が連設されており、そ
の上端部に於て、前記メイン吐出ノズル１２の吸
気流についての下流側に隣接する吸気通路２内に
開口するバイパスポート１５に連通している。

気化器本体１の第１図に於ける上側には、筒体
１７が一体的に立設されており、その上端部がト
ツプカバー１８により閉じられている。そして摺
動絞り弁１６が、この筒体１７の内壁面により郭
定されるガイド孔１７ａ内に上下に摺動可能に受
容されている。この摺動絞り弁１６の吸気流につ
いての下流側の側面下部には、下向き突片１６ａ
が一体的に突設されており、その先端が前記バイ
パスポート１５と共働することにより、該バイパ
スポート１５から吐出されるアイドル並びに低速
用燃料の流量を定め得るようになつている。

第２図に良く示されているように、摺動絞り弁
１６上部内側には、ピン軸１９が、摺動絞り弁１
６に穿設された貫通孔１６ｃに緩挿されることに
より架設されており、該ピン軸１９には連結リン
ク２０の一端が枢支されている。該連結リンクの
他端は、ガイド孔１７ａ内に側面から突入してい
る駆動リンク２２の遊端にピン２１を介して枢支
されている。駆動リンク２２の基端は、筒体１７
の外部に於て、スロツトルドラム２４と一体的に
回動するスロツトルシヤフト２３に固着されてい
る。スロツトルドラム２４には、ワイヤエンド係
止部２５に一端が係着された図示されていないス
ロツトルワイヤが掛け廻され、同じく図示されて
いないアクセルグリツプまたはアクセルペダルに
よつてこのスロツトルワイヤを介して、スロツト
ルドラム２４及びスロツトルシヤフト２３を適宜
回動し得るようになつている。

ニードル弁１３は、その基端にかしめなどによ
り固着された張出し部分２７により突出方向に対
して抜け止めされている。また、絞り弁１６内に
挿入された概ねＵ字形をなすばね鋼板からなるセ
ツトプレート２６の底部２６ａに設けられた、ニ
ードル弁１３の最基端１３ａは通過し得るがその
張出し部分２７が通過し得ないような孔が設けら
れていることにより、ニードル弁１３はその基端
方向について抜け止めがされている。

第２図と第３図とに良く示されているように、
このセツトプレート２６の一方の側板２６ｂは、
絞り弁１６の吸気流についての上流側の内壁面に
当接しており、該内壁部分から内向きに突設され
た突条１６ｂにより、セツトプレート２６の側板
２６ｂが左右方向に動かないようにされている。
セツトプレート２６の他方の側板２６ｃには、外
向きに凹形をなす係合部２６ｄが設けられてお
り、ピン軸１９に設けられた小径部１９ａに補完
的に当接し、かつ小径部１９ａの両端の段部と係
合することにより、ピン軸１９が軸線方向に抜け
出し得ないようにしている。このセツトプレート
の両側板２６ｂ，２６ｃはその装着状態にあつて
は外向きに付勢力を発生するように形状が定めら
れているため、セツトプレート２６を摺動絞り弁
１６の底壁に向けて挿入し、セツトプレートの側
板２６ｃの係合部２６ｄが、ピン軸１９の小径部
１９ａに係合すると、セツトプレート２６自体も
摺動絞り弁１６内に嵌着することとなる。セツト
プレート２６の一方の側板２６ｂに穿設された孔
２８は、セツトプレート２６を取外す際にドライ
バなどを挿入してセツトプレート２６を上に引上
げるためのものである。

本考案に基づく摺動絞り弁型気化器の摺動絞り
弁を組立てるに際しては、先ずニードル弁１３を
摺動絞り弁１６の内部から摺動絞り弁１６の底壁
の貫通孔に挿入し、連結リンク２０を枢支するよ
うにピン軸１９を摺動絞り弁１６の左右に互いに
整合して設けられた貫通孔１６ｃに挿入した後、
セツトプレート２６を上から摺動絞り弁の底壁に
向けて押込むだけで、一方に於てニードル弁１３
をその基端方向に対して抜け止めし、他方に於
て、ピン軸１９をその軸線方向に対して抜け止め
することができる。セツトプレート２６自体も、
その側板２６ｃに設けられた係合部２６ｄとピン
軸１９の小径部１９ａとの係合によりそれ自体の
抜け止めがなされる。また摺動絞り弁の吸気流に
ついての上流側に設けられた突条１６ｂにより側
板２６ｂが左右に運動し得ないようにされている
ために、気化器を使用している間にセツトプレー
ト２６が脱落することがない。

上記実施例に於ては、セツトプレート２６の側
板２６ｃに設けられた係合部２６ｄが、ピン軸１
９の小径部１９ａに対して補完的な凹形をなすも
のであつたが、第５図に示されているようにセツ
トプレート２６′の側板２６c′の係合部２６d′を
外向きに、即ちピン軸１９ａに向けて凸形をなす
ものとし、セツトプレート２６′を装着するに際
して、該凸形係合部２６d′がピン軸１９の小径部
１９ａを通過して装着されるようにしておくこと
により、セツトプレート２６′自体の抜け止め及
びピン軸１９の軸線方向に対する抜け止めの両者
が前記実施例と同様にして達成されるようにする
こともできる。

このように本考案によれば、極めて少ない部品
点数をもつてしかも極めて簡単に摺動絞り弁を組
立てることができるため、絞り弁の製造組立を極
めて経済的かつ容易なものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に基づく摺動絞り弁型気化器の
縦断面図である。第２図は第１図の絞り弁を一部
切除して示す斜視図である。第３図は第２図の摺
動絞り弁の縦断面図である。第４図及び第５図
は、セツトプレートの側板の係合部の２種の実施
態様を示す説明図である。 １……気化器本体、２……吸気通路、３……フ
ロート室体、４……フロート室、５……フロー
ト、６……フロート弁、７……弁座、８……メイ
ン燃料ジエツト、９……エアブリードチユーブ、
１０……メインエアジエツト、１１……エア通
路、１２……メイン吐出ノズル、１３……ニード
ル弁、１３ａ……基端、１４……エアブリードチ
ユーブ、１５……バイパスポート、１６……摺動
絞り弁、１６ａ……突片、１６ｂ……突条、１６
ｃ……貫通孔、１７……筒体、１７ａ……ガイド
孔、１８……トツプカバー、１９……ピン軸、２
０……連結リンク、２１……ピン、２２……駆動
リンク、２３……スロツトルシヤフト、２４……
スロツトルドラム、２５……スロツトルワイヤ係
止部、２６……セツトプレート、２６ａ……底
部、２６ｂ，２６ｃ……側板、２６ｄ……係合
部、２７……張出し部分、２８……孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ガイド孔内に摺動可能に受容され、かつ底部
   にニードル弁が垂設された摺動絞り弁と、該摺
   動絞り弁を駆動するためのリンクを枢支するべ
   く該摺動絞り弁に軸支されたピン軸とを有する
   摺動絞り弁型気化器に於て、前記ピン軸に小径
   部が設けられており、概ねＵ字形をなすセツト
   プレートの底部により前記ニードル弁がその基
   端方向について抜け止めされており、前記セツ
   トプレートの一方の側板が前記摺動絞り弁の内
   壁に当接し、かつ他方の側板に形成された係合
   部が前記ピン軸の前記小径部と係合することを
   もつて該ピン軸をその軸線方向について抜け止
   めしていると共に、前記両側板が互いに外向き
   の弾発力を発生することをもつて前記セツトプ
   レートが弾発的に前記摺動絞り弁内に嵌着され
   ていることを特徴とする摺動絞り弁型気化器。 ２ 前記係合部が、前記小径部に対して補完的な
   凹形をなしていることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項に記載の摺動絞り弁型気化
   器。 ３ 前記係合部が、前記小径部に対して前記セツ
   トプレートの抜け止めをなす凸形をなしている
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項に記載の摺動絞り弁型気化器。