JPH0126150Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、電磁波シールド効果を有する筐体
に関するものであり、産業用、家庭用その他用途
での電子機器を収容するハウジング材として電磁
波シールド効果を有する、金属箔とプラスチツク
との複合からなる筐体に関する。

既に周知の如く、近年のエレクトロニクスの発
展に伴なつて多くの電気・電子機器が使われるよ
うになり、これら電気・電子機器自体又は他の機
械装置から発生する電磁波の他の電気・電子機器
への影響が問題となつている。同時に各種機器類
の合成樹脂化が進んでいるため、合成樹脂の導電
性化、電磁気シールド性付与が要望されている。

この要望に対処するため、本考案者等は高導電
率の金属薄板又は箔を用いたシート状の電磁波シ
ールド材料について検討を重ねて来た。その成果
の一部分は、例えば、実開昭58−29983号公報、
あるいは実開昭58−66693号公報に見るように、
既に公知である。

これらのシート状の電磁波シールド材料は、導
電性カーボンブラツクや金属フイラーを混合した
塗料型もしくは成型用樹脂型の材料に比べて優れ
た電磁波シールド効果を持つこと（特に、特願昭
58−93737号に記載された電磁波遮蔽材料は、厚
さ100μのもので、１mm以上の銅板や鉄板に匹敵
する）、及び可撓性があること、切断が容易であ
ること、深さ１〜２cm程度の容器状に深絞り成型
できることなどの加工性の点で銅板や鉄板等に比
べても優れていた。

この加工性の点について更に述べれば、深さ１
〜２cm程度の容器状に深絞り成型できることは、
これ以上の深い形状には絞り成型ができないこと
を意味する。更に言えば、複雑な形状を有する電
気・電子機器のハウジングの内面には、このシー
ト状の電磁波シールド材料は、貼着することもで
きず、深絞り成型もできないので、適応すること
ができないのである。

そこで、本考案者等はこの点につき熟慮した結
果、これらのシート状シールド材料のシールド効
果を少し犠性にすれば、どのような複雑な形状に
は適応できることを発見し、本考案を完成した。
シールド効果を犠性にするといつても、プラスチ
ツク製筐体をそのまま用いた場合に比べて、シー
ルド性能はずつと優れているのである。

すなわち、本考案はプラスチツク製筐体の内面
に、厚さ15μ〜100μの電鋳鉄箔を含む積層シート
で、かつ連続的な切り込みを入れた積層シート
を、前記プラスチツク製筐体の内面形状に沿つて
一体化させたことを特徴とする電磁波シールド効
果を有する筐体である。

以下、図面を参照して本考案を説明する。図面
はいずれも本考案の実施例を示している。

すなわち、第１図は本考案に係る積層シート１
の断面図で、鉄箔１１の両面に接着剤１２を介し
て絶縁性シート１３を接着し、更に片面には、こ
の上に粘着剤層１４を塗布している。

鉄箔１１は電気鋳造法により作成した純度
99.95％以上の電鋳鉄箔又はこの電鋳鉄箔の片面
又は両面に金、銀、銅、錫、鉛、亜鉛、クロム、
ニツケル等の異種金属でメツキして成るフオイル
であり、厚さ9μ以上、好ましくは15μ以上、100μ
以下の厚みを有することが好ましい。この電鋳法
による鉄箔は極めて高純度であること、及びその
表面が最密充填格子を有する結晶構造であること
から、普通の圧延鉄板に比べて薄くても電磁波シ
ールド効果がある。しかし、製造上その厚みが
15μ以下であるとピンホール等の危険があり、特
に9μ以下になるとこの危険は大きい。また、
100μを越えると、柔軟性が劣つて、プラスチツ
ク筐体の内面形状の追従性に劣る。

また、金属メツキは、接着剤との接着性の改善
や周波数のわずかな変化による電磁波シールド効
果の安定化などを目的としてなされるもので、同
じ目的のため、他の金属箔と電鋳鉄箔とを積層す
ることもできる。

前記、鉄箔１１と積層する絶縁性シート１３と
してはポリエステルフイルム、ポリアミドフイル
ム、ポリイミドフイルム、ポリプロピレンフイル
ム、ポリエチレンフイルム等のプラスチツクフイ
ルムや、紙、セロフアン、布等が可能であるが、
プラスチツクフイルムが適当であり、その厚みや
種類などは使用する筐体への形状に則して柔か
さ、強度、接着性等から選択される。この絶縁性
シート１３を使用する目的は、電鋳鉄箔１１単体
では、切り込み加工性や、引つ張り強度、引き裂
き強度の不足やプラスチツク筐体との一体化のと
きの加工性などに劣るが、このプラスチツクフイ
ルムとの積層化によつてこれらの諸点が解決され
るからである。

また１４は粘着剤を示しているが、この粘着剤
はゴム系等の通常の粘着剤で良く、使用前は、こ
の表面に剥離紙やポリオレフインフイルム等の剥
離性シートを積層しておくと良い。また粘着剤の
代わりに、接着剤を塗布しておくこともできる。

第２図ａ及びｂはプラスチツク製筐体２の斜視
図と第２図aX−Ｘ部分の断面図である。この筐
体２は説明の便のため特別複雑なものではない
が、この内面にビス留め突起などがある時、本考
案は特に有用である。

すなわち、このプラスチツク製筐体２の内面
に、上記鉄箔１１を含む積層シート１を接着積層
化するに際して、この積層シート１に渦巻き状の
連続的な切り込み３を入れる。この平面図が第３
図ａである。

この切り込み３の入つた積層シート１を、その
中央を一方から押し上げるか押し下げることによ
り、第３図ｂに示すような立体形状に成型する。
なお、第３図ｂの積層シートは、第２図に示すプ
ラスチツク製筐体２の内面形状に合致する。

こうして立体形状に成型された積層シート１を
プラスチツク製筐体２の内面に挿入し、粘着剤１
４により接着する。

こうして、得られた筐体は、積層シート１の初
り込み３の部分から、電磁波の洩れが生じるか
ら、切り込みのない積層シートを用いた場合に比
べてその電磁波シールド効果は劣つたものとなる
が、以下の実施例から分るようにプラスチツク製
筐体単体のハウジングを用いる場合に比べて優れ
た電磁波シールド効果を有するのである。

なお、切り込み３部分からの電磁波の洩れが大
きい場合には、この部分にシールド用接着テープ
により目止めをして、その改善を図ることもでき
る。

以下、実施例により本考案を説明する。

＜実施例＞ 鉄分を含む電解液から電気鋳造法により作成し
た25μの鉄箔の両面に2μの亜鉛メツキを施こした
フオイルと、ポリエステルフイルム（12μ）とを
ウレタン系の接着剤で貼り合わせ、積層化した。
次いで、このポリエステルフイルム面にアクリル
系の粘着剤を20ｇ／m²塗布し、シリコンロート離
型紙をこの粘着剤面につけて積層シートとした。

この積層シートには、渦巻き状の連続的な切り
込みを入れておいた。

一方ABS樹脂を射出成形したプラスチツク筐
体を作成し、この内面に前記の積層シートの離型
紙を剥し、立体形状に成型して粘着剤面とプラス
チツク筐体の内面とを合せて接着した。

この様にして得られた金属とプラスチツクの複
合から成る筐体は周波数1KHzで20dB以上、
100MHzで30dB以上の電磁波シールド効果を示し
た。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は積層シ
ートの断面図、第２図ａはプラスチツク製筐体の
斜視図、第２図ｂは第２図ａのＸ−X′線部分の
断面図、第３図ａは切り込みを入れた積層シート
の平面図、第３図ｂは立体成型された積層シート
の斜視図である。 １……積層シート、１１……電鋳鉄箔、１２…
…接着剤層、１３……絶縁性シート、１４……粘
着剤層、２……プラスチツク製筐体、３……切り
込み。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ プラスチツク製筐体の内面に、厚さ15μ〜
   100μの電鋳鉄箔を含む積層シートで、かつ連
   続的な切り込みを入れた積層シートを、前記プ
   ラスチツク製筐体の内面形状に沿つて一体化さ
   せたことを特徴とする電磁波シールド効果を有
   する筐体。 ２ 切り込みが渦巻き状であることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の筐体。 ３ 積層シートが、片面又は両面に金、銀、銅、
   錫、鉛、亜鉛、クロム、ニツケル等の異種金属
   をメツキした厚さ15μ〜100μの電鋳鉄箔を含む
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項又は第２項記載の筐体。 ４ 積層シートが、ポリエステルフイルム、ポリ
   アミドフイルム、ポリイミドフイルム、ポリプ
   ロピレンフイルム、ポリエチレンフイルム等の
   プラスチツクフイルムを含むことを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第１項から第３項のい
   ずれかに記載の筐体。 ５ 積層シートの表面が粘着剤層であることを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項から第
   ４項のいずれかに記載の筐体。