JPH0125846Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、パルス燃焼装置、詳しくは、爆発燃
焼室からの爆発燃焼ガスの逆流を阻止するための
弁機構を有する燃料ガス供給路に接続されたガス
デイストリビユータを前記燃焼室の上流側に配設
すると共に、前記ガスデイストリビユータの上流
側に、前記爆発燃焼室からの爆発燃焼ガスの逆流
を阻止するための弁機構を介して燃焼用空気供給
路を連設し、かつ、前記爆発燃焼室の下流側に、
爆発燃焼ガスをその爆発力により該燃焼室から排
出させる排気路を連設して、前記爆発燃焼室内で
のガス・空気混合気の爆発燃焼後における燃焼ガ
スの排出動慣性に基づいて発生する吸引力を利用
して、燃焼ガスおよび燃焼用空気を該燃焼室内に
流入混合させると共に、排出燃焼ガスの一部を前
記排気路から該燃焼室内に逆流させることによ
り、その逆流燃焼ガスの保有熱をもつてガス・空
気混合気を爆発燃焼させる、という爆発燃焼サイ
クルを連続的に繰返すように構成されたパルス燃
焼装置に関する。

かかるパルス燃焼装置は、起動時以外は燃焼用
空気供給や点火のためのエネルギーが不要なため
省エネ運転が可能であり、また、高負荷燃焼が可
能なため能力の割に装置本体をコンパクトに構成
でき、かつ、爆発燃焼形態であるために燃焼ガス
の排気圧力が高いので排気路を非常に細く構成し
ながらも高速排気が可能であり、従つて、例えば
その排気路を細いテイルパイプで構成すると共
に、それを流体加熱用浸管として利用するような
場合に極めて高い加熱効率が得られる、といつた
種々の利点を有するのみならず、特に、爆発燃焼
直前に排気路から燃焼室内に燃焼ガスの一部が逆
流することによつて、所謂ある程度の排ガス循環
型燃焼形態が自然発生的に現出されることとなつ
て、低NOx燃焼（通常、O₂＝５％換算値で35〜
45ppmとかなり低いNOx発生量）が可能である、
という有利な特質を備えている。

しかしながら、このような種々の優れた特性を
有するパルス燃焼装置においても、なお次のよう
な欠点が残つている。

即ち、かかるパルス燃焼装置を、その燃焼部お
よび排気路を液中に浸漬させて液加熱用として用
いる、つまり、低温域において用いる場合には、
それほど問題にはならないが、中または高温炉の
加熱用として用いようとすると、従来の構造のも
のでは、燃焼部付近が極度に過熱して、その内部
にある各弁機構やガスデイストリビユータ等が早
期のうちに熱損傷を起してしまうため、このよう
な高温域での使用が事実上できない、という難点
がある。

本考案は、上記実情に鑑みてなされたものであ
つて、その主目的は、燃焼部の過熱を極力抑制で
きるようにしてその部分の耐久性を向上させるこ
とにより、種々の基本的利点を有しているこのパ
ルス燃焼装置を中・高温域の加熱用としても十分
に使用できるようにせんとすることにある。

以下、先ず本考案によるパルス燃焼装置の具体
的実施例を図面に基いて詳述する。

第１図に示すように、起動用点火プラグ１０を
有する爆発燃焼室１の上流側に、燃焼装置を起動
させるための空気圧送装置（ブロワ）２付きの起
動用空気導入流路１１が連結された燃焼用空気供
給路３を、該燃焼室１からの爆発燃焼ガスの逆流
を阻止するためのエアフラツパーと呼ばれる弁機
構４を介して連設すると共に、前記逆流阻止用弁
機構４の直下流側に燃料ガスデイストリビユータ
５を設け、かつ、そのガスデイストリビユータ５
に、燃焼室１からの爆発燃焼ガスの逆流を阻止す
るためのガスフラツパーと呼ばれる弁機構６を介
して、燃焼量を調節するためのガス流量調節弁７
を有する燃料ガス供給路８を連設し、一方、前記
爆発燃焼室１の下流側には、爆発燃焼ガスをその
爆発力により燃焼室１から排出させる排気路９を
形成する直管状テイルパイプを連設してある、と
いう基本的構成を有するパルス燃焼装置におい
て、更に、前記ガスデイストリビユータ５の周囲
に、一端が前記燃焼室１に開口し、かつ、他端が
閉塞された環状空間１２Ａを形成すると共に、そ
の環状空間１２Ａに、前記起動用空気導入流路１
１からの分岐流路１２Ｂを導入接続し、もつて、
前記環状空間１２Ａと分岐流路１２Ｂとで、前記
ガスデイストリビユータ５の周囲から前記爆発燃
焼室１内に至るように冷却用空気を導入するため
の流路１２を構成してある。なお、この場合、冷
却用空気導入流路１２に対する冷却用空気圧送供
給装置２′は、前記起動用空気圧送装置２をその
まま利用していることになる。

図中、V₁，V₂は、夫々、前記各流路１１，１
２に介装された電磁式開閉弁であつて、装置起動
時には前記起動用空気導入流路１１のみを空気流
動可能とし、逆に、装置起動完了後の定常燃焼作
用中には前記冷却用空気導入流路１２のみを空気
流動可能とするように、制御装置Ｃによつて自動
的に開閉制御されるべく構成してある。

前記ガスデイストリビユータ５は、その気体通
過路５Ａ……がベンチユリー管状に形成され、か
つ、そのベンチユリー管状気体通過路５Ａ……
夫々の喉部に、ガス噴出口５Ｂ……が開孔するよ
うに構成され、もつて、空気通過に伴つて喉部に
生じる低圧とガス供給圧との差圧により燃料ガス
を強力に吸引すると共に空気に対して良好に混合
させるべく構成してある。

前記燃焼用空気供給路３に対する逆流阻止用弁
機構４は、第２図にも示すように、円板状の弁座
４Ａに複数個の通気孔４ａ……を環状に並設し、
一方、中央通気孔４Ｃを有するリング状の受座４
Ｂにその全周にわたつて複数個の通気孔４ｂ……
を並設し、多数のボルト・ナツト状連結部材４Ｃ
……によつて受座４Ｂを弁座４Ａに対して適当間
隔離した状態で一体連結し、弁座４Ａと受座４Ｂ
の間にリング状の摺動弁体４Ｂを、連結部材４Ｃ
……を利用して径方向への位置決めをした状態で
設け、もつて、爆発燃焼に伴つて燃焼室１が正圧
になると、受座４Ｂの中央通気孔４ｃおよび周部
通気孔４ｂ……から弁体４Ｄに作用する押圧力で
弁体４Ｄを弁座４Ａに押付けて弁機構４を閉じ、
逆に、爆発燃焼直後に燃焼室１が負圧になると、
受座４Ｂの中央通気孔４ｃおよび周部通気孔４ｂ
……から作用する吸引力で弁体４Ｄを受座４Ｂに
押付けて、弁機構４を開くように構成してある。
そして、中央通気孔４ｄを備えた耐熱及び耐圧性
の円板４Ｅを、その盲部分４ｅが受座４Ｂの通気
孔４ｂ……全てに対して夫々全体を覆う状態で相
対向させて、棒状連結部材４Ｃ……に取付け、燃
焼室１からの放射伝熱による弁体４Ｄの加熱を抑
制すると共に、爆発燃焼時に燃焼室１から弁体４
Ｄにかかる強大な動圧を緩和するように構成して
ある。

次に、上記パルス燃焼装置の動作について説明
する。

起動時に、制御装置Ｃにより、空気圧送装置２
を作動させると共に、電磁弁V₁のみを開動させ
て、起動用空気を供給路３内に圧送し、この空気
と燃料ガスとをガスデイストリビユータ５を介し
て適当混合比で燃焼室１に供給し、かつ、点火プ
ラグ１０により燃焼室１内で爆発を生じさせる。
すると、前記燃焼室１内でのガス・空気混合気の
爆発燃焼後における燃焼ガスの排出動慣性に基づ
いて燃焼室１内に発生する負圧吸引力によつて、
燃料ガスおよび燃焼用空気が前記ガスデイストリ
ビユータ５を介して該燃焼室１内に適当量づつ導
入混合されると共に、この混合気の燃焼室１内へ
の流入の反動として、燃焼室１内の内圧が低下し
て、燃焼室１から先に排出した燃焼排ガスの一部
が排気路９から燃焼室１に逆流し、その逆流した
燃焼排ガスの保有熱により燃焼室１の燃料ガスと
燃焼用空気の混合気が爆発燃焼される。そして、
かかる爆発燃焼サイクルが連続的に繰返されるの
である。

そして、パルス燃焼が安定した定常状態に達す
ると、制御装置Ｃによつて、点火プラグ１０の作
動は自動停止され、また、電磁弁V₁が自動閉動
されると共に電磁弁V₂が自動開動され、もつて、
冷却用空気導入流路１２内に冷却用空気が供給さ
れる。この冷却用空気は、第１図中矢印Ｘ，Ｘで
示すように流れて、ガスデイストリビユータ５お
よび装置外壁部分を冷却した後、燃焼室１内に流
入する。従つて、ガスデイストリビユータ５およ
びその上流側に位置する各弁機構４，６等の過熱
が防止されると共に、燃焼室１内の燃焼温度が若
干低くなることから、より一層優れたNOx低減
効果が得られることになる。

なお、上記実施例においては、両空気導入路１
１，１２夫々に電磁式開閉弁V₁，V₂を介装した
ものを示したが、両流路１１，１２の分岐点にひ
とつの電磁式三方弁を設ける構成としてもよい。

以上要するに、本考案によるパルス燃焼装置
は、冒頭に記載した基本的構成を有するものにお
いて、前記ガスデイストリビユータの周囲から前
記爆発燃焼室内に至るように冷却用空気を導入す
るための流路と、前記冷却用空気導入流路に対す
る冷却用空気圧送供給装置を設けてある、という
特徴を備えている。

上記特徴構成により発揮される作用ならびに効
果は次の通りである。

即ち、燃焼室の直上流側に位置しているために
非常に過熱され易いガスデイストリビユータの周
囲に冷却用空気を流動させて、このガスデイスト
リビユータおよびその付近を冷却するように構成
したから、その上流側に位置する各弁機構へ伝達
される熱量も小さくなつて、これら弁機構も過熱
されることが無く、従つて、これら部材の耐久性
は従来に比べて大幅に向上し、また、それ故に、
従来困難とされていた中・高温域における使用も
可能なパルス燃焼装置にできたのである。更に、
ガスデイストリビユータ周りでの冷却作用を終え
た空気を燃焼室内へ流入させる構成としたことに
より、燃焼温度がある程度低下することとなつ
て、より一層優れたNOx低減効果を得られる、
という利点もある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るパルス燃焼装置の実施例を
示し、第１図は全体概略構成図、そして、第２図
は要部の分解斜視図である。 １……燃焼室、２……起動用空気圧送装置、
２′……冷却用空気圧送装置、３……燃焼用空気
供給路、４……逆流阻止用弁機構、５……ガスデ
イストリビユータ、６……逆流阻止用弁機構、８
……燃料ガス供給路、９……排気路、１１……起
動用空気導入流路、１２……冷却用空気導入流
路、V₁，V₂……開閉弁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 爆発燃焼室１からの爆発燃焼ガスの逆流を阻
   止するための弁機構６を有する燃料ガス供給路
   ８に接続されたガスデイストリビユータ５を前
   記燃焼室１の上流側に配設すると共に、前記ガ
   スデイストリビユータ５の上流側に、前記爆発
   燃焼室１からの爆発燃焼ガスの逆流を阻止する
   ための弁機構４を介して燃焼用空気供給路３を
   連設し、かつ、前記爆発燃焼室１の下流側に、
   爆発燃焼ガスをその爆発力により該燃焼室１か
   ら排出させる排気路９を連設して、前記爆発燃
   焼室１内でのガス・空気混合気の爆発燃焼後に
   おける燃焼ガスの排出動慣性に基づいて発生す
   る吸引力を利用して、燃料ガスおよび燃焼用空
   気を該燃焼室１内に流入混合させると共に、排
   出燃焼ガスの一部を前記排気路９から該燃焼室
   １内に逆流させることにより、その逆流燃焼ガ
   スの保有熱をもつてガス・空気混合気を爆発燃
   焼させる、という爆発燃焼サイクルを連続的に
   繰返すように構成されたパルス燃焼装置におい
   て、前記ガスデイストリビユータ５の周囲から
   前記爆発燃焼室１内に至るように冷却用空気を
   導入するための流路１２と、前記冷却用空気導
   入流路１２に対する冷却用空気圧送供給装置
   ２′を設けてあることを特徴とするパルス燃焼
   装置。 前記冷却用空気圧送供給装置２′は、起動用
   空気圧送装置２と兼用構成とされ、かつ、前記
   冷却用空気導入流路１２は前記起動用空気圧送
   装置２から前記燃焼用空気供給路３に至る起動
   用空気導入流路１１から分岐されていると共
   に、起動時には前記起動用空気導入流路１１の
   みを空気流動可能とし、逆に、起動完了後の燃
   焼作用中には前記冷却用空気導入流路１２のみ
   を空気流動可能とするように自動制御される切
   替弁V₁，V₂を設けてあることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第項に記載のパルス燃
   焼装置。