JPH0125298B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は双極直流送電線系統において帰路導体
を有する直流送電線の送電方式に関する。

一般に直流送電系統は双極と呼ばれる正、負の
電圧を有する一対の双電線を単位として構成され
ることが多い。これは正あるいは負の電圧のみを
高圧送電線とすると大地を帰路とした場合には地
中金属の電蝕などの問題が発生し、また導体を帰
路とした場合でも帰路導体分の損失が増加するの
に対し正、負一対の高圧送電線を用いて双極とし
た場合には正、負送電線の電流を循環するように
流すことにより実質的に帰路電流を低下させたり
零とすることができ、大地帰路の場合は大地電流
の低下、帰路導体をもつ場合は帰路導体損失の減
少を行わせることができる。

すなわち、第１図は従来の帰路導体付双極１回
線の直流送電系統の送電方式例を示したもので、
図において、１，２は直流高電圧送電線、３はそ
の直流高電圧送電線１，２の帰路導体で、上記
夫々の送電線１，２及び帰路導体３の直流送電系
統入出力端には平滑リアクトル８…１１を介して
変換器４…７が接続されている。また１２…１５
は変換用変圧器で直流送電で連繋される連繋交流
系統１６，１７に接続されている、そして帰路導
体３の一端に接地されており、他端は非接地とな
つている。従つて直流高電圧送電線１に流れる電
流と直流高圧電線２に流れる電流とが互いに等し
いとき、これら直流送電電流は互いに循環する回
路構成となるので帰路導体３にはアンバランス電
流は流れず、これら送電線の損失は直流高圧送電
線１および２の抵抗分によるもののみに限定され
る。そして第１図に示す様な従来の回路において
は直流高圧送電線２が落雷などによつてアーク地
路を起こした場合には、まず、変換器６，７の運
転を直ちに停止させアークが消滅してから所定時
間を経過後に再起動を行い事故前の運転状態に引
きもどす方式が一般的にとられている。従つて変
換器６，７が停止している間は直流高圧送電線１
を流れていた電流は当然帰路導体３を介して循環
電流を流すので変換器４，５はそのまま運転が継
続される。

また、直流高圧送電線２の故障が断線などの如
き永続的なものであつた場合には、変換器６，７
の再起動はできず、直流高圧送電線１を流れる電
流は定常的に帰路導体３を流れ、いわゆる導体帰
路単極運転を連続的に行うことになる。この状態
では変換器６，７は運転休止状態となるので送電
電力は半減することになり、この場合の緊急処置
として直流高圧送電線、１及び帰路導体３に送電
電流容量の余裕があれば、変換器６を変換器４と
並列に変換器７を変換器５と並列に切換接続する
ことによつて送電電力容量をほとんど低下させる
ことなく送電を継続することも可能である。しか
し、この場合には事故発生前の２倍の直流電流が
直流高圧送電線１、及び帰路導体３に流入するの
で送電容量の大なる送電線を常時装備する必要が
あるばかりか、送電線による損失は双極運転を行
つていたときの約４倍となり高効率の直流送電方
式とは言い難い欠点があつた。

従つて、本発明は上記の欠点を除去するために
なされたもので従来の帰路導体は機能的に帰路導
体自身に流れる電流による電圧降下が常時出力側
に定常的に現われる方式であつたので設計的には
高圧側送電線より数段低い絶縁レベルで充分であ
つたが、本発明はこれを高圧側送電線と同一レベ
ルの絶縁階級に引上げて設計することにより、直
流高圧送電線のどちらか一方が永久故障となつた
場合にも、帰路導体を高圧送電線の替りに用いる
ことによつて、双極送電を継続して行うことがで
きる直流送電線の送電方式を提供することを目的
とする。

以下本発明の一実施例を第２図について説明す
る。図中第１図と同一の部分は同一の符号をもつ
て示した第２図において、２１…３０は直流回路
形成のための開閉器である。すなわち、帰路導体
付直流送電線の双極運転においては定常時は開閉
器２１…２６は閉路されており他の開閉器２７…
３０は開路されている。この様な状態において、
今、高圧直流送電線２に落雷などが起因でアーク
地路が生じた場合は、第１図で既述したのと同様
に変換器６，７を直ちに停止してアークを消滅さ
せ、しばらく後に再起動することにより、変換器
４，５は運転を継続したままで高圧直流送電線２
のアーク地路事故を除去する。そして事故除去後
は双極運転を継続する。

一方、直流高圧送電線２に断線の如き永続的事
故が発生した場合には、まず、変換器６，７の運
転を停止して直流高圧送電線２に流れている電流
を消滅させてから開閉器２３，２４を開路するこ
とにより、事故送電線を除去する。そしてこのと
き変換器４及び５は、直流高圧送電線１及び帰路
導体３によつて単極運転を継続する。次に開閉器
２９，３０を閉成し変換器６，７にバイパスペア
点弧指令を出力する。かくしてこの状態において
開閉器２５，２６を開路するとその開閉器２５，
２６の端子間の電圧はバイパスペア可能電圧に達
した時点から開閉器２５に流れる電流は変換器
６、平滑リアクトル１０及び開閉器２９を介して
帰路導体３に閉回路が構成される。他方開閉器２
６に流れていた電流は変換器７、平滑リアクトル
１１及び開閉器３０を介した閉回路構成によつ
て、それぞれ転流を始め、最終的に開閉器２５、
及び２６に流れる電流は零となる。その後変換器
６及び７のバイパスペアを解除して本来の定常運
転状態に移行すれば送電システとしては、事故前
と同一の双極運転が継続可能となり、双極高電圧
送電線のうちの一方が永久事故となつた場合でも
送電線電流の増加や送電線損失の増加もなく事故
前と同様の直流送電容量を維持でき、かつ操作中
においても健全側変換器は継続運転を行うことが
できる。尚、上記の説明では直流高圧送電線２が
永続事故を起してた場合の事例としてシーケンス
動作のみを述べたが、帰路導体双極運転から直流
高圧送電線１が永続事故を起こした場合にも、変
換器４，５の停止、開閉器２１，２２の開放、開
閉器２７，２８の閉成、変換器４，５のバイパス
ペア、開閉器２５，２６の開放、変換器４，５の
バイパスペア解除などの運転操作を上述の解説例
と同様のシーケースを用いて実施することにより
直流高圧送電線２が永続事故を起こしたときと同
様に、事故後も双極運転を継続することができる
ものである。

従つて、本発明によれば、帰路導体付双極直流
送電系統において帰路導体を高圧側の送電線と同
階級の絶縁レベルとし、かつ、送電線切替用の開
閉器を装備することにより、双極の直流高圧送電
線のどちらか一方が永続的に使用不能となつた場
合にも帰路導体を高圧送電線の代替とすることが
でき、双極運転の継続が行えるので直流送電系統
の信頼性、および利用率の向上が図れるなど直流
送電にとつて大変顕著な効果がある。

なお、帰路導体の絶縁レベルを高圧側送電線と
同階級にすると送電線を当初から敷設する場合に
はコスト高のそしりを免れ得ぬが、本発明を既設
の三相交流送電線に適用し、直流送電線とする場
合には、同絶縁レベルの送電線が三本ずつ対にな
つて存在しているのでコスト高につながる心配は
全くない。

また、既述の実施例では１組の帰路導体付双極
系統のみについて述べたが、複数組の帰路導体付
双極直流送電系統に対しても適用できること多言
を要しない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の帰路導体付双極直流送電系統の
回路構成図、第２図は本発明の一実施例を示す帰
路導体付双極直流送電系統の回路構成図である。 １，２……高圧直流送電線、３……帰路導体、
４〜７……変換器、８〜１１……平滑リアクト
ル、１２〜１５……変換用変圧器、１６，１７…
…連繋交流系統、２１〜３０……直流回路形成用
開閉器。なお、図中同一符号は同一又は相当部分
を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 帰路導体を有する双極直流送電線系統におい
   て、高圧側送電線と同一の絶縁階級を有する前記
   帰路導体と、前記帰路導体及び前記双極直流送電
   線の開閉動作が可能な複数の送電線切換開閉器と
   を有し、一方の高圧送電線が送電不能になつた時
   に帰路導体を高圧送電線として代替えし双極運転
   を継続できることを特徴とする直流送電線の送電
   方式。