JPH0122954Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案の技術分野 本考案は板体上にインボリユートまたはそれに
近い曲線でできたうずまき体を形成してなる旋回
スクロールと固定スクロールの一対のスクロール
部材がうずまき体を内側にした状態で互いにかみ
合い、旋回スクロールが固定スクロールに対し自
転することなく旋回運動することにより流体を圧
縮するスクロール圧縮機に関するものである。

従来技術 スクロール圧縮機は回転型の容積式流体圧縮機
で板体の面上にうずまき体を形成してなるスクロ
ール部材の一対を角度をずらせかみ合うよう重ね
合せ、駆動要素を介して円軌動上を公転運動する
旋回スクロールを一方のスクロール部材の固定ス
クロールに対して動かして両うずまき体間に閉塞
された空間を形成しつつ流体を取り込み旋回スク
ロールの運動に伴い、その空間を中心方向に移動
せしめかつ容積の減少を伴わせ圧縮作用を行うも
のである。

このようなスクロール圧縮機の動作原理は古く
から、種々の文献に開示されよく知られている。

第１図ａ乃至第１図ｄはそのスクロール圧縮機
の動作原理の説明図であり、そのスクロール圧縮
機の動作原理を第１図ａ乃至第１図ｄとともに説
明する。

第１図ａは吸入完了と同時に圧縮を始める状態
の旋回スクロール１と固定スクロール２との関係
位相を示し、第１図ｂ、第１図ｃ、第１図ｄはそ
れぞれ第１図ａ、第１図ｂ、第１図ｃの状態から
旋回スクロール１が時計方向に90度回転した状態
を示す。

第１図ａの状態から第１図ｂ、第１図ｃ、第１
図ｄの状態に移るに従つて両スクロール１，２に
よつて形成される密閉空間（斜線で示す）３が次
第に減少し流体は圧縮され、第１図ｃと第１図ｄ
との間のある回転角度で密閉空間３と吐出ポート
４とが通じることにより圧縮流体が吐出される。
そして第１図ｄの状態から旋回スクロールが時計
方向に90度回転することにより、元の状態すなわ
ち第１図ａの状態に戻り再び密閉空間が形成され
る。以後上記のような動作を繰り返して流体の圧
縮を行なうものである。

上記のような動作原理のスクロール圧縮機は第
２図に示すように構成されるものであり、第２図
において、１はうずまき体１ａ及び板体１ｂ、駆
動要素との連結ボス１ｃを有する旋回スクロー
ル、２はうずまき体２ａ、板体２ｂを有する固定
スクロール、３は密閉空間、４は吐出ポート、５
は吸入室、６はフレーム、７はクランクシヤフ
ト、８はモータ、９は吸入管、１０は吐出管、１
１はオルダムリングよりなる旋回スクロール１の
自転防止機構、１２はケーシングである。

上記のように構成してなるスクロール圧縮機は
モータ８によりクランクシヤフト７を回転させ、
そのクランクシヤフト７により旋回スクロール１
を固定スクロール２に対し、クランクシヤフト７
の偏心量で、自転防止機構１１により自転するこ
となく旋回運動させ吸入管９より吸入した流体を
吸入室５から密閉空間３に取り入れ圧縮し、その
圧縮した流体を吐出ポート４よりケーシング１２
内に吐出し更に吐出管１０からケーシング１２外
に吐出される。

上記のように構成したスクロール圧縮機の場
合、クランクシヤフト７の偏心量εとうずまき体
の厚みａ及びうずまき体間の内寸法ｂの関係は次
のようになる。

ε≦（ｂ−ａ）／２ ｂ−ａ／２とεの差はゼロから二十数マイクロメー トル（μｍ）に設定することにより旋回スクロー
ル１と固定スクロール２の両うずまき体１ａ，２
ａと板体１ｂ，２ｂによつて形成される密閉空間
３内の圧縮流体がうずまき体側面から他室へ洩れ
るのは防ぐことができるが、このような関係を保
つためには、上記ａ，ｂ，ε各寸法を高精度に確
保し、うずまき体の形状精度、輪郭度及び両スク
ロールの組み合わせ精度を高精度にしなければな
らない。これらの各要素を高精度に確保するとは
非常に難しく、従来、寸法嵌合は選択嵌合で行
い、組み立ては高精度に加工された基準穴や面を
つかつたり、低回転で旋回スクロール１を運動さ
せながら組み立てたりしてきた。しかし、このよ
うにしても完全でなく、また生産性も悪いという
欠点があつた。

本考案の目的 本考案は上記の旋回偏心量εが容易に自動調整
され両スクロールのうずまき体側面のシールが確
実に行われる旋回半径自動調整機構を有するよう
にして上記欠点を除去したスクロール圧縮機を得
ることを目的とするものである。

本考案の実施例 以下本考案の旋回半径自動調整機構を有するス
クロール圧縮機の旋回半径自動調整機構の一実施
例を第３図乃至第６図とともに説明するが、上記
従来例と同一部分は同一符号を符しその説明は省
略する。

まず第３図乃至第５図において、７ａはクラン
クシヤフト７のクランク部、１ｃは旋回スクロー
ル１の駆動要素連結ボス、１３はプレート（板
体），１４はリング、Ｏはクランクシヤフト７の
回転中心、O′はクランク部７ａの中心である。

クランク部７ａの偏心量ε′（クランクシヤフト
７の回転中心Ｏからクランク部７ａの中心O′ま
での距離）を旋回スクロール１の所定の旋回半径
より小さくとる。また、クランク部７ａの外半径
とリング１４の内半径の差はクランク部７ａの偏
心量ε′より小さく設定する。このように構成した
クランク部７ａの直径軸にＵ溝を形成し、その溝
にプレート１３を摺動自在に嵌合し、そしてその
プレート１３を内直径とするリング１４を嵌入
し、更に連結ボス１ｃを適正な隙間で嵌合する。

上記の構成にて、クランクシヤフト７を回転さ
せることによりクランク部７ａが偏心量ε′で中心
Ｏの回りを回転する。その回転力がプレート１３
に伝達され更にリング１４、連結ボス１ｃに伝わ
る。この時、プレート１３、リング１４、旋回ス
クロール１の重心は回転中心Ｏから偏心し、中心
O′側に位置する。従つてクランクシヤフト７の
回転により中心O′方向に遠心力を生じることに
なる。この遠心力は旋回スクロール１に旋回半径
を大きくする方向に働き、旋回スクロール１のう
ずまき体１ａの側面が固定スクロール２のうずま
き体２ａの側面に当接するまで大きくなる。この
時プレート１３はクランク部７ａのＵ溝を摺動し
ている。

このようにして旋回スクロール１の旋回量はそ
のうずまき体１ａの側面が固定スクロール２のう
ずまき体２ａの側面に当接するように自在に変化
することができるため、うずまき体１ａ，２ａの
形状精度あるいは組立による両うずまき体１ａ，
２ａの相体位置精度が悪くても全周にわたり、互
いに当接しながらなめらかに移動でき上記従来の
欠点を除去することができる。

上記のような旋回半径自動調整機構の構成にお
いては、圧縮機の運転中に遠心力により旋回スク
ロール１のうずまき体１ａが固定スクロール２の
うずまき体２ａに押しつけられているが、停止中
にはこのような力が働かないため、両うずまき体
１ａ，２ａの間には隙間が生じることがあり、こ
のような時に起動がかかると、遠心力が急激に作
用するため、旋回スクロール１のうずまき体１ａ
が固定スクロール２のうずまき体２ａに衝突し、
以後反発、衝突を繰り返すため振動、騒音、摩耗
の原因となる。

従つて、第６図に示すようにリング１４とクラ
ンク部７ａに永久磁石１５を同極同志が相対する
ように固着し、その反発力により停止中において
も旋回スクロール１のうずまき体１ａが固定スク
ロール２のうずまき体２ａに押しつけられている
ようにし、起動時に遠心力が急激に作用しても衝
突することがないようにしたものである。

この場合第７図に示すように第６図の構成とは
反対方向に永久磁石１５を取り付け、異極同志の
吸引力により同様の効果をもたらすようにしても
良い。

本考案の効果 本考案のスクロール圧縮機は上記のような構成
であるから、精度を高めることなく旋回スクロー
ルと固定スクロールの両うずまき体と板体によつ
て形成される密閉空間内の圧縮流体がうずまき体
側面から洩れるのを防ぐことができ、生産性を向
上させることができ、しかも運転開始時にうずま
き体同志が衝突し異常音、異常摩耗が発生するの
を確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ乃至第１図ｄはスクロール圧縮機の動
作原理の説明図、第２図は従来のスクロール圧縮
機の要部断面構成図、第３図は本考案のスクロー
ル圧縮機の一実施例を示す要部断面構成図、第４
図は第３図のＡ−Ａ線の要部断面構成図、第５図
は第３図の要部部品の斜視図、第６図は第４図の
他の実施例を示す要部断面構成図、第７図は第６
図の他の実施例を示す要部断面構成図である。 図面中、１は旋回スクロール、１ａはうずまき
体、１ｂは板体、１ｃは連結ボス、２は固定スク
ロール、２ａはうずまき体、２ｂは板体、７はク
ランクシヤフト、７ａはクランク部、１３はプレ
ート、１５は永久磁石を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 板体上にインボリユートまたはそれに近い曲線
   でできたうずまき体を形成して成る旋回スクロー
   ルと固定スクロールの一対のスクロール部材がう
   ずまき体を内側にした状態で互いにかみ合い、旋
   回スクロールが固定スクロールに対し自転するこ
   となく旋回運動することにより流体を圧縮するス
   クロール圧縮機において、 クランクシヤフトのクランク部に形成されたＵ
   溝に摺動自在に嵌合するプレートが往復運動する
   ことにより旋回半径を自動的に調整する旋回半径
   自動調整機構を有し、 その旋回半径自動調整機構のクランク部と旋回
   スクロールの連結ボスに嵌入されたリングとにそ
   れぞれ磁石を設け、 その磁石の異極による反発力あるいは同極によ
   る吸引力を利用して旋回量が最大となる方向に力
   を加え、運転開始時にうずまき体同志が衝突し異
   常音、異常摩耗が発生するのを防止するようにし
   たことを特徴とするスクロール圧縮機。