JPH0122132B2

JPH0122132B2 -

Info

Publication number: JPH0122132B2
Application number: JP58101663A
Authority: JP
Inventors: Teruo Tachibana
Original assignee: Ube Industries Ltd
Current assignee: Ube Corp
Priority date: 1983-06-09
Filing date: 1983-06-09
Publication date: 1989-04-25
Also published as: JPS59227425A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は発泡射出成形法に関するものである。

熱可塑性樹脂を射出成形して比較的厚肉の成形
品を得ようとする場合、成形品の表面の引けが大
きいことが従来しばしば問題となつた。

成形品の表面の引けは、成形品が一様の速さで
冷却固化しないために起こる。成形品の表面はす
ぐに冷却固化するが、内部は冷却固化するまでに
時間がかかり、大きく収縮する。このため、冷却
固化の際に成形品の表面が内側に引つ張られて、
引けを生ずる。

成形品の表面の引けを防止するため、従来は型
キヤビテイ内に樹脂を射出後、冷却固化時の収縮
に見合う量の樹脂を高圧で更に押し込むという方
法を採つていた。しかし、このような方法では型
キヤビテイに高圧がかかるうえ、成形品表面の引
けを完全には防止できなかつた。

本発明の射出成形法は、比較的厚肉の射出成形
品を製造する場合において、気体内圧を作用させ
た型キヤビテイ内に発泡性樹脂を射出しつつ型キ
ヤビテイ内を放圧して成形品の内部を発泡させる
方法である。成形品の内部を発泡させることによ
り成形品の冷却固化時の収縮を補償し、成形品の
表面の引けを防止する。本発明の射出成形法によ
り、比較的肉厚の射出成形品の製造において、比
較低発泡ではあるが、表面が極めて平滑できれい
な良質の発泡射出成形品を、確実容易に得ること
ができる。

つぎに、図面に示した１実施例によつて、本発
明を説明する。

第１図において、１は固定盤、２は可動盤、３
は固定金型、４は可動金型、５は金型キヤビテ
イ、６は射出用のノズル部である。可動金型４
は、押出ロツド７の前後進部を除いて密閉状態に
あるエジエクタブロツク８を介して可動盤２に取
付けられている。９は製品押出用の数本の押出ピ
ン、１０は押出板であり、押出板１０は、図示し
ていない押出シリンダの押出ロツド７の作用によ
つて後退限にあるときに、エジエクタブロツク８
の後端板部８ａに密着させうるようにした。１１
は押出板１０の後面またはエジエクタブロツク８
の後端板部８ａの前面に設けたエンドレス状のＯ
リングであり、Ｏリング１１の作用により、エジ
エクタブロツク８の内部を充分に密封しうるよう
にした。

可動金型４または固定金型３の分割面におい
て、金型キヤビテイ５の全周には、金型キヤビテ
イ５の端面から例えば25〜35mmのように所望の距
離を保つてエンドレスなガス集積溝１２を設け、
金型キヤビテイ５の端面部とガス集積溝１２の間
は、例えば、幅20〜30mmで深さ0.04〜0.08mmの浅
溝１３を20〜30mmの間隔を保つて多数個設けた。
浅溝１３は、ガスは充分に通すが、樹脂は通らな
いような寸法と形状にした。ガス集積溝１２の外
周にはエンドレス状のＯリング１４を設け、型締
時に金型キヤビテイ５内を密封状態に保ちうるよ
うにした。

ガス集積溝１２の底の一部と、エジエクタブロ
ツク８の側板の一部には、それぞれ外部まで伸び
ている高圧気体供給排出用の通路１５，１６を設
け、この通路１５，１６には気体圧回路を連結し
た。気体圧回路において、１７はコンプレツサや
圧力タンクやレギユレータ等からなる圧気供給源
で、20Kg／cm²以上の圧縮空気または窒素ガス等を
供給しうるものである。圧気供給源１７は、金型
キヤビテイ５内に供給する圧気の圧力を20Kg／cm²
以上の所望の圧力に設定するためのリリーフ弁１
８を有する回路１９、圧気の供給排出の切替を行
う三方電磁切替弁２０、コツク２１、フレキシブ
ルホース２２等を介して、前記通路１５，１６に
連結した。２３は圧力計、２０ａは三方電磁切替
弁２０のソレノイドである。

これらの装置を用いて発泡射出成形を行う場合
は、まず、リリーフ弁１８の設定圧を20Kg／cm²以
上、例えば、25Kg／cm²のように所望の圧力に設定
しておく。この設定圧を20Kg／cm²以上にしておく
のは、ポリスチレン、ポリプロピレン、ASB、
ノリル、ナイロン等の樹脂を用いて種々実験した
結果、この設定圧が17Kg／cm²以下の状態で発泡成
形した場合は、発泡射出成形品の表面に気泡が一
部残り、いわゆる、スワールマークが生じ、表面
がきれいにならないばかりか、内層部の発泡状態
も不均一になり、前記設定圧が17〜19Kg／cm²程度
では、発泡射出成形品の表面が時折きれいでない
時が生じるからである。

なお、コツク２１は全開しておいても良いし、
適宜所望の開度にしておいても良い。

この状態で型締を行い、第１図に示すような状
態にする。この状態では、固定金型３と可動金型
４の分割面にあるＯリング１４の作用で、金型キ
ヤビテイ５内やガス集積溝１２内は外気から密閉
され、また、エジエクタボツクス８内も押出板１
０の後面のＯリング１１の作用で外気から密閉さ
れている。なお、金型キヤビテイ５内とエジエク
タボツクス８内は、可動金型４内を貫通している
押出ピン９の外周の極めて狭いすき間を介して連
通しているが、これは何らさしつかえはない。

つぎに、三方電磁切替弁２０のソレノイド２０
ａを励磁させて、三方電磁切替弁２０を切替え
る。そうすれば、圧気供給源１７やリリーフ弁１
８の作用により、金型キヤビテイ５内とエジエク
タブロツクボツクス８内に高圧の圧縮空気または
窒素ガス等の圧気が供給される。そして、金型キ
ヤビテイ５内等は、リリーフ弁１８で設定されて
いる20Kg／cm²以上の所望の気体圧に保たれる。

金型キヤビテイ５内が確実に所望圧力になつた
ら、射出用のノズル部６を開いて、発泡剤を樹脂
に均一に混合した発泡性樹脂の可塑化溶融したも
のを金型キヤビテイ５内に射出する。この場合、
金型キヤビテイ５内には圧気が充満しているの
で、圧気の作用により、発泡性樹脂の発泡が押え
られ続けた状態で、発泡性樹脂は金型キヤビテイ
５内に充填されていく。したがつて、発泡作用に
よる気泡が発泡性樹脂の表面にあらわれることは
ない。なお、発泡性樹脂が金型キヤビテイ５内に
充填されるに従い、金型キヤビテイ５内の圧気は
その分だけリリーフ弁１８を通つて外気へ排出さ
れる。

樹脂としては、ポリスチレン、ポリプロピレ
ン、ABS、ノリル、ナイロン等を適宜用いるこ
とができるし、発泡剤としては、例えば、アゾジ
カルバマイドのような一般の発泡成形のときに用
いられる発泡剤を用いることができる。勿論、射
出装置のスクリユを内蔵した加熱筒内で、射出装
置に別々に供給した樹脂と発泡剤を混合しながら
可塑化射出しても良いし、樹脂と発泡剤をあらか
じめ均一に混合したものを射出装置内に供給して
可塑化射出しても良い。

このような射出工程において、可塑化されてい
る発泡性樹脂が、金型キヤビテイ５内に、金型キ
ヤビテイ５の容積の80〜90％まで射出が進行した
時、三方電磁切替弁２０のソレノイド２０ａを消
磁させ、三方電磁切替弁２０を図示した状態に瞬
時に切替え、金型キヤビテイ５内の圧気を外気中
にいつきに排出させて気体内圧を急速に低下させ
る。なお、発泡性樹脂が金型キヤビテイ５内に所
望の％だけ充填されたことは、射出装置中のスク
リユ等の前進動作から、リミツトスイツチの作動
等によつて電気的に検知することができるし、そ
の指令信号によつて三方電磁切替弁２０の切替を
行うことができる。

金型キヤビテイ５内の圧気を外気中に排出して
いる間も、金型キヤビテイ５内への発泡性樹脂の
射出は継続している。

金型キヤビテイ５内に発泡性樹脂が80〜90％充
填されたとき、金型キヤビテイ５内の圧気をいつ
きに抜けば、それまで圧気のために発泡するのを
押えられていた発泡性樹脂はただちに発泡を始め
る。そして、発泡性樹脂体の内層部のみが発泡す
る。発泡性樹脂体の外面層は、射出中に、内層部
に比べて温度が幾分低下し凝固し始めており、か
つ、圧気の圧力が急速に低下し終るとすぐに、発
泡性樹脂体の外面層は金型キヤビテイ５の内面ま
で到達し、射出圧力の作用で金型キヤビテイ５の
内面に強く押付けられるので、発泡作用は行われ
ず、したがつて、発泡成形品の表面部にはスキン
層ができ、表面は極めて滑らかで、スワールマー
クなども生じないきれいな状態になる。なお、金
型キヤビテイ５内の圧気を外気中に排出している
間も、当該金型キヤビテイ内への発泡性樹脂の射
出は継続しているので、発泡倍率は1.04〜1.06程
度になる。

ここで、金型キヤビテイ５内の圧気をいつきに
抜いて気体内圧を急速に低下させるというのは、
射出された発泡性樹脂が金型キヤビテイ５内に充
満し終るまでの短い時間内に、キヤビテイ５内に
作用していた圧気を、例えば0.1Kg／cm²Ｇ以下の
ように、ほぼ大気圧と同じ程度の圧力にすること
である。その間の時間は、金型キヤビテイ５の容
積や射出条件等にもよるが、１〜２秒程度以内が
良い。なお、圧気をゆつくり抜きすぎると、発泡
性樹脂の内部の気泡が粗大になつたり、表面にス
ワールマークができたりする。

種々実験した結果、前記したいずれの樹脂を用
いた場合においても、射出時に金型キヤビテイ５
内に気体圧を作用させておくカウンタ圧が20Kg／
cm²以上であれば、発泡性樹脂の射出が金型キヤビ
テイ５の容積の80〜90％まで進行した時、金型キ
ヤビテイ５内の圧気をいつきに抜けば、内層部は
比較的低発泡ではあるが適度に発泡し、表面は極
めて滑らかで、スワールマークやひけなどもな
く、きれいな発泡射出成形品を確実容易に得るこ
とができた。なお、射出中に金型キヤビテイ内の
圧気を抜く時点が、発泡性樹脂の射出が金型キヤ
ビテイ５の容積の75％まで進行した時点以前であ
ると、圧気の作用が充分でなく、発泡成形品の表
面にスワールマークが生じ、発泡性樹脂の射出が
金型キヤビテイ５の容積の95％まで進行した時点
以降であると、圧気によつて最後まで発泡が押え
られた状態になるので、発泡がほとんど行われな
かつた。また、金型キヤビテイ５内の圧気を抜く
時点が、発泡性樹脂の射出が金型キヤビテイ５の
容積の75％まで進行した時点より後で、金型キヤ
ビテイ５の容積の80％まで進行した時点より前で
あると、成形品の表面状態が不安定になる問題が
あつた。又、金型キヤビテイ５内の圧気を抜く時
点が、発泡性樹脂の射出が金型キヤビテイ５の容
積の90％まで進行した時点より後で、金型キヤビ
テイ５の容積の95％まで進行した時点より前であ
ると、発泡状態が不安定になり、必ずしも充分満
足のいくような発泡射出成形品を得ることができ
なかつた。

このように、本発明においては、特許請求の範
囲に記載したような方法にしたので、表面が極め
て滑らかできれいな発泡射出成形品を確実容易に
得ることができる。また、比較的簡単な装置を用
いることができ、操作も極めて簡単で、自動化も
容易に行うことができ、従来より用いられている
射出成形機をほとんどそのまま用いることができ
るなど、極めて実用的である。さらに、発泡射出
成形品の表面が極めて平滑できれいだと、そのま
ま塗装やホツトスタンピングなどの後作業を行つ
ても、良好な製品を得ることができ、後工程の手
間もおおいに省略される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の方法を実施するための装置の
１実施例を示す縦断面図および気体圧回路図であ
る。１…固定盤、２…可動盤、３…固定金型、４…
可動金型、５…金型キヤビテイ、６…ノズル部、
８…エジエクタボツクス、９…押出ピン、１０…
押出板、１１，１４…Ｏリング、１２…ガス集積
溝、１３…浅溝、１７…圧気供給源、１８…リリ
ーフ弁、２０…三方電磁切替弁。

Claims

【特許請求の範囲】１ (a) 20Kg／cm²以上の気体内圧を作用させてい
る金型キヤビテイ内に発泡性樹脂を射出し、 (b) 上記発泡性樹脂の射出が、上記金型キヤビテ
イの容積の80〜90％まで進行した時点で、 (c) 上記発泡性樹脂の射出を更に継続しながら、
上記金型キヤビテイ内の気体内圧を急速に低下
させることにより、上記金型キヤビテイ内に射出された発泡性樹脂
を、発泡倍率が1.04〜1.06倍であり、且つ表面が
平滑なスキン層であり、内部が発泡構造になつて
いる発泡射出成形品とする発泡射出成形法。