JPH0121496Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、新規な構造の電線接続部保護カバー
に関するものである。

従来、電線間の接続部を保護するにあつては、
露顕させた電線の導体部を捻合させた後、その接
続部に絶縁テープ等を巻装するなどしていたが、
このような方法では、作業性が面倒な上に、巻装
した絶縁テープが経年変化により劣化して剥れ落
ちることが多く危険でもあつた。

このため、近年に至つては、第４図に示すよう
に、ヒンジ部ａを介して開閉可能に連結された２
つ割状の合成樹脂製半筒体ｂ，ｂの内室内に大気
に触れると硬化するような柔軟な絶縁コンパウン
ドｃを充填させた保護カバーｄが開発されてい
る。この保護カバーｄは、半筒体ｂ，ｂを開いた
後、コンパウンドｃの充填された内室内に予め導
体部の接続された第２図中に示されるような電線
が収納されるようにして閉封して使用するように
なつており、半筒体ｂ，ｂの閉封後は、内室内に
充填された絶縁コンパウンドｃが電線の接続部を
取り囲むようにして硬化することによつて電線を
外部からの損傷に対して保護されるようになつて
いる。

しかしながら、このような保護カバーｄにおい
ては、半筒体ｂ，ｂを閉封させた時に両者の接合
部に生じる間隙より充填したコンパウンドｃが漏
出してその接合部の周縁を汚したり、作業者に付
着させて手を汚してしまう等の問題を生じてい
る。

本考案は、このような不具合を解消し、作業性
の改善された電線接続部の保護カバーを提供する
ことを目的とする。

本考案の電線接続部保護カバーは、上記目的を
達成するために、前記各半筒体の周壁を、その半
筒体の合せ面側が開口する内、外２重壁構造に形
成し、該内外壁の間を、前記絶縁コンパウンドが
充填された２つ割状の半筒体内に電線接続部が収
納されたとき各半筒体から漏出する絶縁コンパウ
ンドを受け入れる受入部となしたものである。

次に本考案の好適な一実施例を以下添付図と共
に説明する。

２つ割状に成型された半筒体１，２をヒンジ部
３で開閉可能に連結して保護カバー７を形成して
いる。

各々の半筒体１，２はいずれも耐候性、絶縁性
に優れた合成樹脂素材によつて形成されており、
それらの半筒体１，２の周壁は内室壁１ａ，２ａ
の外周に保護カバー７の外壁となる外室壁１ｂ，
２ｂを形成した内、外二重壁構造に成型されてお
り、その半筒体１，２の合せ面側は開口されてい
るとともに、先細り状に成形された両端部には、
同一の開口径を有した開口部１ｃ，２ｃを同心上
に開設している。

そして、ヒンジ部３の形成されていない側縁に
は半筒体１，２の閉封時に弾性係合されるように
した一対の係合部１ｄ，２ｄを形成しており、半
筒体１，２の閉封時にはその閉封状態を保持出来
るようになつている。

このような係合部１ｄ，２ｄは、必ずしも必要
なものではないが、電線の収納保護をワンタツチ
操作で行なうためにはきわめて有益なものであ
る。このような係合部１ｄ，２ｄを形成しない場
合は、必要に応じて止具、テープ等で押え止めし
ておけばよいことはいうまでもない。

各々の半筒体１，２の内室４，４内には、大気
に触れると適度に硬化する絶縁コンパウンド６が
充填されており、この内室４，４の上面には保護
カバー７の不使用時に絶縁コンパウンド６が乾燥
硬化しないように剥離シート（不図示）を被せて
いる。

保護カバー７の外壁に形成された開口部１ｃ，
２ｃは、保護すべき電線の外被径に応じた開口径
を有するように形成されており、内室壁１ａ，２
ａと外室壁１ｂ，２ｂとの間で内周壁１ａ，２ａ
を取り囲むようにして形成された受入部８…は、
半筒体１，２の閉封時に電線によつて押しのけら
れるコンパウンド６の全体積が少なくとも収容さ
れる程度の大きさを有している。

絶縁コンパウンド６は、大気に触れると硬化又
は固化するが、大気に触れないうちは粘性に富ん
だ水アメのような状態を保持する柔軟な合成ゴム
などの中から適宜採択使用されるが、このような
コンパウンド６は、半筒体１，２の内室壁１ａ，
２ａの上端縁に対して面一状に充填させる必要は
必ずしもなく、保護すべき電線の収納を容易にす
るため、その電線の形状に応じて一部に窪を生じ
るように充填させておいてもよい。このような場
合にはコンパウンド６の充填量を軽減させるだけ
でなく、受入部８…も小さく形成できるので保護
カバー７を小型化できるという利点もある。

また、半筒体１，２の両端に設けた開口部１
ｃ，２ｃの外室壁の一部を形成する開口周縁には
薄膜（不図示）を設けておいてもよく、このよう
な薄膜を設けた場合には、コンパウンド６の開口
部１ｃ，２ｃよりの漏出を防止するのに一層有効
である。

保護カバー７の使用にあつては、半筒体１，２
を開き絶縁コンパウンド６の上面に被せられた剥
離シート（不図示）を剥した後、予め電線コネク
タ９などを圧着するなどして接続された電線５，
５を第２図に示すように配してから、係合部１
ｄ，２ｄを弾性係合させて半筒体１，２を閉封す
るだけでよく、このような簡単な方法によつて電
線５，５の接続部は、ワンタツチで確実に保護さ
れることになる。

以上の詳述より理解されるように、本考案の保
護カバーによればその構成上の特徴から次のよう
な特有の効果が奏される。

すなわち、２つ割状に成型された半筒体をいず
れも内、外壁を有した二重壁構造に成型している
ので、電線の接続部をコンパウンドの充填された
内室内に収容して半筒体を閉封させる時に漏出す
るコンパウンドを、内、外壁間に形成された受入
部内に収容でき、したがつてコンパウンドが保護
カバーの外部に漏出して保護カバーを汚したり、
作業者の手を汚したりする虞れがない。

また、コンパウンド上面に被せられた剥離シー
トを剥した後、２つ割状に成型された半筒体を閉
封するだけのいわゆるワンタツチ操作で電線の接
続部を容易に保護でき、しかも半筒体の閉封後は
半筒体の内室内に充填されたコンパウンドが電線
の接続部を取り囲むようにして硬化するので、接
続部の接続強度を増大させるばかりでなく、経年
変化に強いので漏電の虞れもなく外部より損傷を
受けるようなこともない。

また、絶縁コンパウンドの外側に半筒体を被せ
て電線の接続部を保護するようにしているので耐
蝕性、水密性にも優れている。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は、本考案の一実施例図であ
り、第１図は、本考案の保護カバーを開いた状態
を示す図、第２図は、その使用要領を示す図、第
３図は、閉封状態を示す図、第４図は、従来公知
の保護カバーを示す図である。 （符号の説明）、７は本考案保護カバー、１，
２は半筒体、３はヒンジ部、４は内室、６は絶縁
コンパウンドである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ヒンジ部を介して開閉可能に連結された電線接
   続部を収納するための２つ割状の半筒体内に、柔
   軟な絶縁コンパウンドが充填され、各半筒体の両
   端に電線を挿通するための開口部が形成された電
   線接続部保護カバーにおいて、前記各半筒体の周
   壁を、その半筒体の合せ面側が開口する内、外２
   重壁構造に形成し、該内外壁の間を、前記絶縁コ
   ンパウンドが充填された２つ割状の半筒体内に電
   線接続部が収納されたとき各半筒体から漏出する
   絶縁コンパウンドを受け入れる受入部となしたこ
   とを特徴とする電線接続部保護カバー。