JPH01214360A - 人工歯根 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は歯牙疾患などにより失われた歯を修復、治療す
るための人工歯根に関する。

〈従来の技術及びその問題点〉 従来、人工歯根の材料としては金属（例えばチタン等）
及びセラミックス（例えばアルミナ、ヒドロキシアパタ
イト等）が使用されている。しかし、金属製人工歯根は
生体内で腐蝕溶解性があること、骨組織に比して硬さや
弾性率が大きすぎることなどのため、生体適合性に問題
があり、また一方、セラミックス製人工歯根も脆性や靭
性並びに加工性についての問題がある。

更に、金属を芯材としてその表面にセラミックスを付着
させた人工歯根も従来製造されてはいるが、金属とセラ
ミックスとの結合が脆弱であり、実際の使用には問題点
がある。

前記問題点を解決するために、最近例えば顎骨と接する
部分に設けた生体適合性を有する複合材部と、該複合材
部の内側に配置し開口を有する金属部材と、該開口内に
挿入する金属製ポストと、該金属製ポストとの間隙を埋
める弾性緩衝材とを備えた人工歯根（特開昭６２−１５
２４４９号）が開発されている。しかしながら、前記人
工歯根は、緩衝作用が必ずしも十分ではなく、金属製ポ
ストに加わる歯圧を受けて、該金属製ポストが動き得る
範囲（以下可動量とする）が天然歯に比して少ないとい
う欠点があり、また十分な強度及び可動量を有する形状
に人工歯根を製造できないのが現状である。

〈発明の解決する課題〉 本発明の課題は、生体適合性に優れ、かつ生体の骨組織
の弾性率と同程度の弾性率及び高強度を有する人工歯根
を提供することである。

本発明の別の課題は、十分な可動量を保持し。

天然歯に近い特性を示す人工歯根を提供することである
。

本発明の更に別の課題は、製造が容易であり、しかも損
傷又は老朽した部材を変換し長期間使用可能な人工歯根
を提供することである。

本発明の他の課題は、歯肉部に炎傷が発生しにくい手術
を行うことを可能とした人工歯根を提供することである
。

本発明の他の課題は、歯肉粘膜（上皮組ｍ）と人工歯と
の接着が損なわれた場合に、容易に再接着が可能な人工
歯根を提供することである。

〈課題を解決するための手段〉 本発明によれば顎骨と接する部分に設けた生体適合性を
有する複合材部と、該複合材部の内側に配置し開口を有
する金属部材と、該開口内に挿入する金属製ポストと、
該金属部材と該金属製ポストとの間隙に配設した弾性緩
衝材とを備え、前記生体適合性を有する複合材部が４０
〜９５重量％のリン酸カルシウム化合物と６０〜５重量
％の有機重合体とを含有し、前記金属製ポストに加わる
歯圧を可動し得るよう受理するため２個以上の前記弾性
緩衝材を互いに離隔して配置することを特徴とする人工
歯根が提供される。

以下、本発明について更に詳細に説明する。

本発明は、顎骨と接する部分に設けた生体適合性を有す
る複合材部と、該複合材部の内側に配置し開口を有する
金属部材と、該開口内に挿入する金属製ポストと、該金
属部材と該金属製ポストとの間隙に離隔して配置した弾
性緩衝材とがら構成される。

本発明における生体適合性を有する該複合材部は顎骨に
接する部分であるため、良好な生体親和性を有するリン
酸カルシウム化合物４０〜９５重量％と有機重合体６０
〜５重量％とを含有する複合材を使用する。この際、リ
ン酸カルシウム化合物の配合割合が４０重量％未満であ
ると、新生骨の生成が遅くなり、複合材部と顎骨との一
体化に時間がかかりすぎる。また９５重量％を越えると
、人工歯根の加工が困難なため、工業的量産が難しくな
る。なお、リン酸カルシウム化合物の配合割合が４０〜
９５重量％の範囲では、人工歯根材料の周囲への新生骨
の生成量も多く、かつ物性値も井に近くなる外に、人工
歯根の弾性率が天然歯と同程度となり、また加工性も良
好で一定の大きさの人工歯根が量産できるために手術も
行ないやすい。前記リン酸カルシウム化合物としてはリ
ン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸四カ
ルシウム、オキシアパタイト、ピロリン酸カルシウム、
フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイトの水酸基の１
部がフッ素イオンで置換された化合物、ブルッシャイト
（ＣａＨＰＯ４・２Ｈ２０）及びこれらの混合物等を挙
げることができるが、これらのうちで新生骨の生成速度
が早いもの、すなわちリン酸三カルシウム、ヒドロキシ
アパタイト、フッ素アパタイト若しくはリン酸四カルシ
ウムのうちから選ばれた１種若しくは２種以上の混合物
等を用いることが好ましい、中でも、ヒドロキシアパタ
イトは新生骨生成速度が最も早いことから、最も好まし
いものと言える。ヒドロキシアパタイトの中でも５００
℃以上、特に好ましくは７００℃以上で熱処理して得た
ヒドロキシアパタイトが特に新生骨の生成が早く好まし
い、熱処理の上限温度については特に限定されるもので
はないが、ヒドロキシアパタイトが分解を開始するので
、分解温度以下とするべきである。また本発明にて使用
し得るリン酸カルシウム化合物は湿式法、乾式法、水熱
法などの公知の製造方法により、人工的に合成されたも
のであっても又、骨などから得られる天然のものを用い
てもよい。また、本発明に用いるリン酸カルシウム化合
物は有機重合体のモノマーと混合が可能であれば粉末状
、顆粒状、多孔体状のいづれを用いることもできる。ま
た前記有機重合体としては生体に対し毒性がなく且つリ
ン酸カルシウム化合物との親和性があれば特に限定され
るものではないが、たとえばポリ乳酸ポリグリコール酸
などのカルボン酸系重合体；ポリメタクリル酸メチル（
以下ＰＭＭＡと称す）、ポリ（メタクリル酸トリフルオ
ロエチル）（以下、Ｐ　Ｔ　Ｆ　Ｅ　Ｍ　Ａと称す）な
どのカルボン酸エステル系重合体；及びポリエチレン、
ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体等を用いるこ
とができる。

これらのうちでは強度及びリン酸カルシウム化合物との
親和性が高いという点からＰ　Ｍ　Ｍ　Ａ　、　Ｐ　Ｔ
ＦＥＭＡが好ましく、特にＰ　Ｔ　Ｆ　Ｅ　Ｍ　Ａはリ
ン酸カルシウム化合物との親和性が最も高いので最も好
ましい。

本発明に用いる該複合材は、人工歯根として要求される
生体適合性、弾性及び材料の加工性という必須の特性を
兼ね備えたものである。該複合材部は、側面に円滑な表
面を有していてもよいが、凹凸構造とすると、複合材と
新生骨との結合面積が増大し、咬合時に加わる応力が分
散緩和され更に骨組織に加わる負担が軽減されるので好
ましい。

また、凹凸構造を螺状の凹凸とすると１人工歯根を埋入
した直後の初期固定にも非常に優れているので特に望ま
しい、更に該複合材部の底面部は平面形状であってもよ
いが、咬合時に応力分散が良好である半球状のものが特
に好ましい。

該複合材を製造するには、例えば、有機重合体のモノマ
ー及びポリマーを含むペーストをリン酸カルシウム化合
物と撹拌して混合し、次いで加熱、重合する方法等によ
り製造することができる。

本発明では、該複合材部の内側に開口を有する金属部材
と該開口内に挿入する金属製ポストとを使用する。該金
属部材と該金属製ポストとは、各々公知の生体材料用金
属、例えばチタニウム、コバルト−クロム合金、ステン
レス（３１６Ｌ）等を人工歯根としての強度、靭性を満
足する限り、任意に使用できる。該金属部材は、該金属
ポストを内側に挿入しえるような開口を有しておれば、
一体型又は分離型どちらでも使用することができる。前
記分離型としては、例えば該金属部材が上部金属部材と
下部金属部材とから成り、前記上部金属部材と前記下部
金属部材とが脱着自在に連結固定可能であれば、公知の
いかなる方法を用いることもできる。前記分離型の金属
部材を用いる場合は、本発明の人工歯根埋込み手術にお
いて、２段階型の手術、具体的には、まず第１段階とし
て該複合材部と前記下部金属部材とを顎骨内に完全に埋
入させ、歯肉粘膜で被い、完全に骨と一体化させた後、
次いで第２段階として、前記上部金属部材と該金属製ポ
ストとを前記下部金属部材に例えば螺合等の方法により
脱着自在に連結固定する手術を行なうことができる。こ
のような手術を行なうことにより埋入した人工歯根の周
囲にみられる顎骨のロート状の吸収及び細菌による感染
が防止され、更に手術後損傷又は老朽により交換が必要
になった場合に、容易に交換可能であるので分離型の金
属部材を用いることが特に好ましい、また該金属部材に
おいて、歯肉粘膜と接触する部分は、できる限り円滑に
なるようにすることが好ましく、例えばコラーゲン、フ
ィブロネクチン等の生体高分子材料を該金属部材が前記
歯肉粘膜と接触する部分に配置することが歯肉炎を防止
するのに極めて効果的であり、特に該金３部材と前記歯
肉粘膜との接触部のうち下部接触部に例えばプラズマ重
合法等により接着することが望ましい、該金属部材及び
該金属製ポストは各々施盤加工、放電加工等の公知の方
法にて、所望の形状に製造することができる。

本発明に使用する該弾性緩衝材は、咬合の際、該金属製
ポストに加わる歯圧を可動し得るよう受理するため、換
言すれば、天然歯に近い特性を示し、十分な可動量を保
持し得るように、該金属部材と該金属製ポストとの間隙
に２個以上離隔して配設する必要がある。該弾性緩衝材
を配設する箇所及びその数は、治療する歯の位置及び歯
並びにより異なるが歯圧に対する緩衝作用が十分得るこ
とができれば、該金属部材と該金属製ポストとの間隙の
どの箇所に配置させることも可能である。

しかし十分な可動量を保持するために、該弾性緩衝材は
離隔して、即ち空隙箇所を有するように配置させなけれ
ばならない。このように弾性緩衝材を配置することによ
り十分な可動量及び緩衝作用を得ることができる。また
、該弾性緩衝材の形状は、特別限定されるものではない
が該金属部材の上面とその上面に対応する該金属製ポス
トの面とにより形成される間隙に用いる場合、例えばリ
ング状の形状にて配置させることもできる。更に例えば
該金属部材の上面とその上面に対応する該金属製ポスト
の面とにより形成される間隙に該弾性緩衝材を配置させ
る場合、弾性緩衝材の一部を間隙に挿入し、該金属部材
と該金属製ポストとに各々凹部を設け、前記凹部と嵌着
可能に凸部を有する弾性緩衝材を用いることもできる。

このような形状を有する弾性緩衝材を使用することによ
り、ただ単に緩衝作用のみを発揮するばかりでなく、該
金属部材と該金属製ポストとを連結する作用をも同時に
得ることが可能である。このように連結作用を有する弾
性緩衝材を用いることにより従来金属部材と金属製ポス
トとを連結するために求められた寸法精度はど、高い精
度を必要としないため、従来に比して材料設計及び製造
を容易に行うことができる。前記連結作用を有する弾性
緩衝材を配置する箇所は特に限定さけるものではなく、
また連結方法も該金属部材と該金属製ポストとが連結さ
れるように弾性緩衝材を配置することが可能であれば、
公知の連結方法を用いることができる。

本発明に用いる該弾性緩衝材としては、ポリウレタンゴ
ム、ポリフルオロエチレンゴム、フッ素系ゴムなどの合
成ゴム又はシリコーンゴム等を好ましく用いることがで
き、たとえばヤング率２〜２５０　ｋｇ／ｃｍ”、好ま
しくは４０〜１８０ｋｇ／ａｍ”の範囲内のものが望ま
しく、弾力があり、かつ耐久性並びに強度の大きい任意
の材料が使用できる。

この際、配設する箇所に応じて、弾性率の異なる緩衝材
を用いることも可能であり、歯正に対し、微妙な緩衝作
用を保持させることができる。

本発明において、複合材部と金属部材とは、市販の歯科
用接着剤、例えばメチルメタアクリレート系接着剤、商
品名「スーパーボンドＣ＆ＢＪモリタ（株）販売などに
より接着することができ、また金属部材と金属ポストと
の間の弾性ａ受材は、該金属部材及び／又は金属製ポス
トの表面に直接コーティングするか前記のように弾性緩
衝材の形状により金属部材及び金属製ポストとを嵌着す
る等の方法を用いることができる。

〈発明の効果〉 本発明による人工歯根は、生体適合性に優れ、高強度で
あり、十分な可動量を保持し得るので天然歯に近い特性
を示すことができる。更に、製造が容易であり、しかも
損傷又は老朽した部材を交換し、長期間使用することも
可能である。更にまた、手術が行ないやすく、歯肉炎を
防止することもできる。

〈実施例〉 以下本発明を実指例及び比較例により更に詳細に説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない
。

ス遣濠１− 本発明の１実施例を図に示す。

図に示すとおり、ヒドロキシアパタイト７８重量％とＰ
ＴＦＥＭＡ２２重量％とから成る複合材部２とチタニウ
ム金属製の下部金属部材３ａとを接着し、犬の小臼歯部
の顎骨１ａと直接接触する部分に充てんして、その上縁
部が骨上縁部に一致するように埋込み歯肉粘膜１ｂで完
全に被覆した。

次いで複合部材２と顎骨１ａとを一体化させた後歯肉粘
膜１ｂを開いてチタニウム製上部金属部材３ｂと前記下
部金属部材３ａとを螺合させた。前記上部金属部材３ｂ
と歯肉粘膜１ｂとの間に生体高分子であるコラーゲン９
を配置させるように、あらかじめ前記上部金属部材３ｂ
に、コラーゲン９をプラズマ重合法により付着させてお
き、コラーゲン９と歯肉粘膜１ｂとを密に接触させた。

次いでチタニウム製金属ポスト４の凹部７ｃに弾性緩衝
材５ａの凸部８ｂを嵌着させ、その状態のまま金属部材
３ａ、３ｂの開口内に挿入した。その後リング状の弾性
緩衝材５ｂの２個の凸部８ａを夫々金属製ポスト４の環
状溝７ａと上部金属部材３ｂの環状溝７ｂに嵌着し、上
部金属部材３ｂと金属ポスト４とをリング状弾性緩衝材
５ｂで連結し歯冠６を装着した。図に示されるとおり金
属部材３ａ、３ｂと金属製ポスト４との間には空隙１０
が形成された。その結果咬み合わせは良好であり、天然
歯と変らない感触であった。レントゲン観察においても
顎骨１ａと人工歯根とは一体化しており、ロート状の吸
収も全く見られなかった。

ル狡匹よ 金属部材３ａと３ｂとを一体化した金属部材と金属製ポ
スト４との間隙に、空隙箇所が全くなくなるように弾性
部材を配設し、実施例１のような２段階の手術ではなく
１段階の手術により、人工歯根を埋め込んだ、その結果
、２段階手術が行なえないため十分な緩圧効果が得られ
ず、レントゲンａ察では、顎骨にロート状の吸収が認め
られ、最終的には歯根が脱落してしまった。

【図面の簡単な説明】

図は、本発明による人工歯根の断面略示図である。 １ａ・・顎骨、１ｂ・・歯肉粘膜、２・・複合材部、３
ａ・・下部金属部材、３ｂ・・上部金属部材、４・・金
属製ポスト、５ａ・・弾性緩衝材。 ５ｂ・・リング状弾性緩衝材、９・・コラーゲン、１０
・・空隙。 特許出願人　　三菱鉱業セメント株式会社代理人弁理士
　　酒　　井　　　　　−同　　　　　　兼　　　坂　
　　　　　　異同　　　　　　　兼　　　坂　　　　　
　　繁１ｄ、顎骨 １図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １）顎骨と接する部分に設けた生体適合性を有する複合
   材部と、該複合材部の内側に配置し開口を有する金属部
   材と、該開口内に挿入する金属製ポストと、該金属部材
   と該金属製ポストとの間隙に配設した弾性緩衝材とを備
   え、前記生体適合性を有する複合材部が４０〜９５重量
   ％のリン酸カルシウム化合物と６０〜５重量％の有機重
   合体とを含有し、前記金属製ポストに加わる歯圧を可動
   し得るよう受理するため２個以上の前記弾性緩衝材を互
   いに離隔して配置することを特徴とする人工歯根。 ２）前記金属部材が上部金属部材と下部金属部材とから
   成り、前記上部金属部材と前記下部金属部材とを脱着自
   在に連結固定することを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載の人工歯根。 ３）前記金属部材と歯肉粘膜との接触する部分に、歯肉
   炎を防止する生体高分子材料を配置することを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項又は第２項記載の人工歯根。