JPH0117409Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、連続鋳造によつて製造される鋳片の
鋳造末期におけるトツプ部の溶融物流出を確実に
防止し得る流出防止板を提供することにより、鋳
造末期においても、引抜速度を低下させることな
く高生産性を維持することを可能ならしめるもの
である。

（従来の技術） 連続鋳造において、鋳造を終了するにあたつて
は鋳片のトツプ部（本考案において鋳片トツプ部
とは、鋳造終了時に鋳型から引抜かれる鋳片の尻
端部を云う）を確実に凝固させて引抜く必要があ
る。而して従来は、例えば特公昭49−40339号公
報に示されるように鋳造終了後トツプ部の未凝固
部分に金属製板状物を挿入し、凝固速度を高める
手段や特開昭56−47250号公報に示されるように
鋳造終了直後に鋳型内のパウダーやスラグを吸引
除去し、次いで凝固促進材を投入する手段等が実
施されていた。しかしながら前記従来法では、凝
固速度を高める効果はあるものの、完全に凝固す
るまでには、まだ長時間を要し、このため鋳造末
期の引抜速度を著しく低下させねばならず、生産
性が悪化するうえに、鋳片の温度降下も著しいも
のであつた。

特に近年積極的に採用されている直送圧延、つ
まり鋳片を冷却することなく圧延工程へ送給する
操業においては、前記温度降下が致命的な欠陥と
なり、鋳造末期に連鋳機内に位置する鋳片は、直
送圧延が実施できなかつた。

（考案が解決しようとする問題点） 前記問題を解決するために本出願人は、鋳造終
了時点にあたり、鋳片トツプ部に流出溶融物受金
具を装着せしめ引抜きを行なう技術を発明し、特
願昭57−1408号として出願した。この技術は、鋳
片の温度降下防止には、大なる効果が確認できた
が、受金具が重量物となり操作が行ない難く、
又、鋳片の幅の変化に追従させ難い問題があつ
た。

本考案は、前記従来の問題点を抜本的に解決
し、操作性に極めて秀れ、しかも鋳片幅が変化し
てもそれに容易に追従しうる溶融物流出防止板を
提供することを目的とするものである。

（問題を解決するための手段） 本考案は、それぞれの長辺上面に固定片を突設
すると共に、背面に握持具を固着した一対の薄平
板を拡縮自在に重畳せしめてなる連続鋳造鋳片ト
ツプ部の溶融物流出防止板に関する。

（実施例） 以下、実施例を示す図に基づき、本考案を詳述
する。

第１図は、本考案に基づく溶融物流出防止板
（以下、防止板と云う）の一実施例であり、第２
図は、前記防止板の鋳片トツプへの装着状況を示
す断面図である。図において２ａ，２ｂは一対の
薄厚の平板であり、該平板２ａ，２ｂは鋳片３の
幅Ｗに対応する幅に重畳され、防止板１を構成し
ている。重畳された平板２ａ，２ｂは例えばＵ型
クリツプ４で固定され、１枚の防止板１を形成す
る。平板２ａ，２ｂには、それぞれその長辺２
a₁，２b₁の上面に固定片５が突設され、又その背
面には、握持具６が固着されている。

（作用） 本考案の防止板１は、溶鋼の注入ノズルから鋳
型７への注入が終つたとき、つまり鋳造が終了
し、タンデイツシユおよび注入ノズルを退避させ
た後握持具６を持つて第２図に示すように防止板
１の表面を鋳片３のトツプ部３０に当接せしめ装
着される。このとき防止板１の平板下端部２a₂，
２b₂および固定片５が鋳片３の半凝固状態の凝固
殻３ａに食い込み固定され、凝固殻３ａが完全に
凝固するに伴つてトツプ部３０に強固に固定保持
される。トツプ部３０が連鋳機内を進行し、第３
図に示すようにトツプ部３０の薄い凝固殻３０ａ
（トツプ部３０は、一般にパウダーやスラグで覆
われていることから凝固速度が遅く、凝固殻３０
ａの成長速度も遅い。）に未凝固の溶融物の静圧
が加わるようになり溶融物３１が凝固殻３０ａを
破つて流出する現象が生じても防止板１がこれを
堰止める如く機能し、その流出を防止する。而し
て、平板下端部２a₂，２b₂から固定片５までの高
さｈは、製造される鋳片３の厚みＨとほぼ同一寸
法とすることが好ましい。又平板２ａ，２ｂの高
さh₁は、第３図に示すように溶鋼静圧が加わり始
めるときに、鋳片３の上面凝固殻３ａに達する高
さであればよく、本考案者等の経験では、例え
ば、鋳片厚Ｈが250mmの場合、平板高さh₁は150mm
程度で好結果が得られ防止板１の全体的重量も軽
減できた。同様に防止板１の幅ｗは、鋳片幅Ｗに
対応して構成されるが鋳片３の側面には鋳型７内
において比較的速く凝固殻３ａが生成されること
から鋳片幅Ｗより30〜50mm程度狭いものでも充分
である。

ところで連続鋳造で製造される鋳片はその厚み
Ｈはほぼ一定であるが、鋳片幅Ｗは500〜2400mm
と大きく変化する。

而して本考案においては、高さh₁を同一にし、
その長さｌを異ならしめた平板２ａ，２ｂを複数
個用意し、そのなかから適宜２枚を選択し、一対
の平板２ａ，２ｂとして重畳せしめて用いること
により、容易に対応できる。例えば760〜1300mm
の鋳片幅Ｗに対しては、250mm、700mmの２種類の
長さの平板２ａ，２ｂ（厚みは3.2mm）を用意し、
760〜900mmの範囲では、250mmと700mmを、又900
〜1300mmの範囲では700mmを２枚、それぞれ組合
わせていることにより総ての鋳片幅に対応でき
た。

（考案の効果） 本考案の防止板１は、極めて簡単な構成ではあ
るが溶融物の流出防止効果は極めて高く、しかも
軽量であることから鋳片トツプ部に無理なく、か
つ容易に装着でき、その操作性が著しく向上し
た。さらに一対の平板２ａ，２ｂを重畳せしめる
ことにより、総ての鋳片幅に対応できるようにな
つた。

この結果、鋳造末期における引抜速度の低下も
最小限で済み、鋳片の温度低下や生産性の低下を
大巾に改善できた。

【図面の簡単な説明】

各図は本考案の実施例を示すもので第１図は防
止板の斜視図、第２図および第３図は、防止板の
装着状況を示す断面図である。 １は防止板、２ａ，２ｂは平板、３は鋳片、４
はＶ型クリツプ、５は固定片、６は握持具、７は
鋳型。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. それぞれの長辺上面に固定片を突設すると共
   に、背面に握持具を固着した一対の薄平板を拡縮
   自在に重畳せしめてなる連続鋳造鋳片トツプ部の
   溶融物流出防止板。