JPH0117279Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ズボン、スカート等の衣服を挟んだ
状態で吊り下げておくためのクリツプを有するハ
ンガーに関する。

〔従来の技術〕

クリーニング店においては、クリーニングを終
了した衣服は、ハンガーに掛けて保管しておき、
客が引き取りに来たときも、そのままハンガーを
付けた状態で衣服を渡している。客の方において
も、それを着用するまでは、そのハンガーを利用
して衣服を吊り下げた状態で保管しておくという
のが一般的である。

従来においては、ズボンやスカートの場合は、
先端をフツク状に曲げた針金製のハンガーの横金
にズボンやスカートを二つ折り状態で掛けていた
ので、そのままの状態で吊るしておくと、着用し
たときに折り目が付いたままになるという欠点が
あつた。したがつて、最近では、ズボンの裾部又
はスカートのベルト部を挟んで吊るすように考慮
したクリツプハンガーが歓迎されている。

クリツプ機構を有するハンガーとしては、スプ
リングを用いた２枚の挟持片の間にズボンの裾部
を挟み付け、前記スプリングのバネ力でズボンを
保持する構造のものが従来より存在している。し
かしながら、スプリングを有する機構は複雑であ
り、部材及び組立工数を多く必要とするため、コ
ストが嵩むという問題があつた。

特に、クリーニング店において使用するクリツ
プハンガーは、クリツプハンガー自体の価格を顧
客に対する料金として転稼し難いため、極力、安
価であることが要求される。したがつて、構造が
複雑であつたり、組立工数を要するものは、コス
トアツプにつながるため、好ましくない。

従来のクリツプハンガーとしては、本願出願人
が先に提案した第４図に示した構造のものがある
（実公昭56−7234号公報）。これは、中央部を屈曲
自在に構成したクリツプ本体Ａと、このクリツプ
本体Ａの中央部に基部が連結されるフツクＢと、
前記クリツプ本体Ａのアーム２１，２２の開きを
防止する長円状環体Ｃとよりなるものである。こ
れらそれぞれの部材は、合成樹脂によつて成型さ
れる。このクリツプハンガーを用いてズボン等を
挟むときは、挟持片２３と２４の間にズボンの裾
を入れて挟み付け、長円状環体Ｃを両アーム２
１，２２の外側の適当なところまで下ろして、ア
ーム２１，２２が開かないように保持するという
構造のものである。

この従来の構造のものは、クリツプハンガーの
それぞれの構成体であるクリツプ本体Ａ、フツク
Ｂ及び長円状環体Ｃとをそれぞれ一体成型でき、
また三者の組立作業も極めて簡単な作業ででき、
且つ、クリツプ本体Ａの可撓性を利用して衣服を
挟持できる構造であるため、別にスプリング等の
弾圧手段を必要とせず、従来に比べて大幅なコス
トダウンを実現することができた。これにより、
クリーニング業界においては、顧客サービスと経
済性とのバランスがとれるようになり、クリツプ
ハンガーを採用することが可能となり、現実に広
く採用されるに至つている。

第４図の構造を更に改良し、クリツプ本体Ａと
フツクＢとを一体成型して部品点数を更に減少さ
せている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、第４図に示す構造の従来のクリ
ツプハンガーでは、挟持片２３と２４との間に衣
服をセツトし、アーム２１と２２との間を締め付
けた状態で長円環状体Ｃを押し込むことが必要と
なる。このため、挟み付ける部分の衣服の幅が厚
くなる冬物のスカート等では、相当な押し込み力
を要し、その間、他方の手ではアーム２１と２２
とを強く握つてアーム２１，２２間の幅が狭くな
るようにしておかなければならないという問題が
あつた。

本考案は、このような従来の実情に鑑みて案出
されたものであり、厚手の衣服でも、軽い操作で
挟み付けや取り外しを行うことのできる構造を提
供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的を達成するため、本考案のクリツプハ
ンガーは、フツク部及び両アームを可撓性材料に
より一体成型し、前記アームの先端内側部にそれ
ぞれ衣服挟持片を形成し、前記両アームの外側に
装着されて前記両アーム間のなす角度を互いに狭
める方向に押さえ付けるための長円環のストツパ
ーを設け、且つ前記両アームの一方のアームの外
側の中間位置に前記ストツパーの内端部の一方を
係止するための係止部を、他方のアームの外側の
中間位置に前記ストツパーの内端部の他方を嵌入
するための凹部をそれぞれ形成し、該凹部を形成
した側のアームの上部と該凹部との間を、他方の
アームにおける前記係止部との距離が前記凹部に
近づくにつれて次第に大となるようなテーパー部
としたことを特徴とする。

〔実施例〕

以下、本考案の特徴を、図面に示した実施例に
基づいて具体的に説明する。

第１図は本考案の実施例の構造を示す断面図、
第２図はその正面図である。

本実施例のクリツプハンガーは、相対向する第
１及び第２のアーム１及び２を有し、これらのア
ーム１，２の下端には内側に挟持部３ａ及び４ａ
を有する挟持片３及び４を連接している。第１の
アーム１の上端にはフツク部５が連接されてい
る。このフツク部５の基部には鍔部６が形成され
ている。

さらに、鍔部６の下部には、前記第１及び第２
のアーム１，２間の上部における湾曲角度を規制
する凸部７が一体に連接されている。前記第１及
び第２のアーム１，２の外側には、補強のための
リブ部８，９が一体に連接されており、さらにそ
れらの外側には、アーム１，２間を狭める際に持
ち易くするための指当て部１０，１１がこれも一
体に連接されている。

第３図は、アーム１，２の外側に装着されるス
トツパー１２の平面図である。その形状は略長円
形をなし、長径の一方の内端部１２ａが第１のア
ーム１のリブ部８の外周に接し、他方の内端部１
２ｂが第２のアーム２のリブ部９の外周に接する
ように装着される。１２ｃはこのストツパー１２
によつて両アーム１，２の開閉を行う際に操作す
るつまみ部である。第１図に示すように、第１の
アーム１のリブ部８の上部には、ストツパー１２
の一方の内端部１２ａを係止するための係止部８
ａが形成されている。また、第２のアーム２のリ
ブ部９の上部には、同じくストツパー１２の他方
の内端部１２ｂが定位置において嵌入する凹部９
ａが設けられている。なお、リブ部９の上部に
は、ストツパー１２の内端部１２ｂが摺動し易い
ように、テーパー部９ｂが形成されている。

ストツパー１２はアーム及びフツク部とは別に
樹脂成型され、フツク部５と鍔部６を通すことに
より、両アーム１，２の外側に装着される。一旦
ストツパー１２が装着された後は、鍔部６が抜け
止めの役目を果たすため、通常の使用状態におい
ては離脱しないようになつている。

以上の構成にてなるクリツプハンガーの使用方
法について説明する。ストツパー１２を、第１図
において二点鎖線で示す状態に操作して両アーム
１，２間の束縛を緩め、挟持片３，４の挟持部３
ａ，４ａ間に衣服を挟み付ける。ついで指当て部
１０，１１間を持つて挟みつけながら他方の手で
ストツパー１２のつまみ部１２ｃを押し下げる。
これにより、ストツパー１２は、リブ部８の係止
部８ａを支点としてつまみ部１２ｃ側が移動し、
第１図の一点鎖線に示すように凹部９ａに嵌合し
た状態で停止する。これにより、両アーム１，２
間の間隔が狭められる方向に作用するため、挟持
片３，４の挟持部３ａ，４ａ間に挟みつけられた
衣服は確実に保持されることになる。衣服を取り
外す場合には、両アーム１，２外周の指当て部１
０，１１間を持つて挟みつけながら両アーム１，
２間の間隔を狭めてストツパー１２の両内端部間
の長さに余裕を持たせてやり、つまみ部１２ｃを
上方に押し上げることにより、容易にストツパー
１２を緩めることができる。このときも、ストツ
パー１２はリブ部８の係止部８ａを支点として回
動することになる。

〔考案の効果〕

以上に説明したように、本考案においては、ア
ームの挟み付け状態を保持するストツパーを、一
方のアームに形成した係止部を支点として開閉操
作できるようにしている。これにより、衣服を挟
みつける場合も取り外す場合も、ストツパーの一
方のつまみ部を片手で操作するだけでよいので、
操作が簡単となり、軽い力で操作できることにな
る。さらに、合成樹脂自体の弾性を衣服の保持の
ための弾性力として利用するようにしているた
め、スプリング等の別の部材を必要とすることが
なく、構造を簡素化することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の側面図、第２図はそ
の正面図、第３図はストツパーの平面図、第４図
は本願出願人が先に提案したクリツプハンガーを
示す斜視図である。 １，２……アーム、３，４……挟持片、３ａ，
４ａ……挟持部、５……フツク部、６……鍔部、
７……凸部、８，９……リブ部、８ａ……係止
部、９ａ……凹部、９ｂ……テーパー部、１０，
１１……指当て部、１２……ストツパー、１２
ａ，１２ｂ……内端部、１２ｃ……つまみ部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フツク部及び両アームを可撓性材料により一体
   成型し、前記両アームの先端内側部にそれぞれ衣
   服挟持片を形成し、前記両アームの外側に装着さ
   れて前記両アーム間のなす角度を互いに狭める方
   向に押さえ付けるための長円環のストツパーを設
   け、且つ前記両アームの一方のアームの外側の中
   間位置に前記ストツパーの内端部の一方を係止す
   るための係止部を、他方のアームの外側の中間位
   置に前記ストツパーの内端部の他方を嵌入するた
   めの凹部をそれぞれ形成し、該凹部を形成した側
   のアームの上部と該凹部との間を、他方のアーム
   における前記係止部との距離が前記凹部に近づく
   につれて次第に大となるようなテーパ部としたこ
   とを特徴とするクリツプハンガー。