JPH0117222Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、加熱した油等の熱液を用いて揚げ物
食品を製造するための調理器に関するものであ
る。

（従来の技術） 従来、揚物食品の製造にあつては、鍋などを用
い、当該鍋の底のみを加熱するものや熱液層内に
伝熱管を水平に架設したフライヤーが提案されて
いる。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来の鍋などを用いる場合は、鍋底のみを
加熱するとともに燃焼ガスの全てが鍋内の調理用
熱液の加熱に関与するわけではないので熱効率が
極めて悪い。また、上記フライヤーでは、火室が
熱液層の外部に配置されていること及び伝熱管内
を通過する燃焼ガスが流体摩擦抵抗を受けること
などに基因して、それ程熱効率を高めることがで
きないという問題点があつた。

そしてかかる従来の調理器にあつては、熱液表
面が直接空気に接触しているので、油等の調理用
熱液が酸化されて劣化し、かつ熱液表面からの熱
損失も大きいという欠点があり、熱液中に揚げ滓
等の不純物が混入した場合には、一旦調理作業を
中断して熱液槽内の熱液を交換しなげればなら
ず、短時間のうちに不純物が熱液中に一定限度を
越えて混入し、揚物食品の品質を低下させるとい
う問題点があつた。

本考案は、上記従来の欠点にかんがみ、熱効率
が高く、調理用熱液が酸化され難く、かつ調理作
業中に揚げ滓等の不純物を熱液中から分離するこ
とができ、長時間に亘つて揚物食品の高品質を維
持し得る調理器を提供することを目的とする。

（問題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は、調理用
熱液を収容し上方を開放した熱液槽と、該熱液槽
内の熱液上面に対応して配置した不純物受けと、
前記熱液槽の下部に配置された不純物分離部及び
火室と、該火室で発生した燃焼ガスが内部を通過
し該燃焼ガスの熱を前記熱液に伝える伝熱管と、
該伝熱管内を通過した後の前記燃焼ガスを前記熱
液槽内の熱液上方へ導き該熱液上面に沿つて前記
不純物受けの方向へ吹き出すガス導管とを備えた
ことを特徴とする調理器として構成したものであ
る。

（作用） 本考案に係る調理器によれば、調理用熱液を収
容した熱液槽の下部に配置した火室で燃焼ガスを
発生させ、伝熱管を通過する当該燃焼ガスの熱を
前記熱液へ伝えて該熱液を加熱し、前記伝熱管内
を通過した後の前記燃焼ガスをガス導管によつて
前記熱液槽内の熱液上方へ導き、熱液槽内の熱液
上面に対応して配置した不純物受けの方向へ当該
燃焼ガスを熱液上面に沿つて吹き出し、当該燃焼
ガスによつて熱液上面を覆つて熱液の酸化と放熱
を防止するとともに、熱液表面の浮遊性不純物を
不純物受けへ吹き込んで除去し、かつ熱液槽の下
部に配置した不純物分離部で熱液中の不純物を分
離して除去し得るものである。

（実施例） 本考案の実施例について、図面を参照しながら
説明する。第１図は、本考案に係る調理器を示す
縦断面図である。

調理器は、加熱した油等の調理用熱液を収容し
上方を開放した熱液槽１を備え、この熱液槽１
は、熱液２を対流により循環させるための下降管
４及び上昇管５を有する循環管３を備えている。
また、調理器は、下降管４の下部に配置した不純
物分離部６と、上昇管５の下部に配置した火室７
とを備えている。そして、調理器は、火室７で発
生した燃焼ガスの熱を上昇管５内の熱液に伝える
伝熱管９と、当該伝熱管９内を通過した後の燃焼
ガスを熱液槽１内の熱液２上面及び熱液槽１の外
周へ導くガス導管１０等を備え、これらが共通の
ケーシング１１内に収納されており、ケーシング
１１の側板１１ａの外面上部に取付けた補給液タ
ンク１２とともに、全体がケーシング１１の下面
に設けたキヤスタ１３によつて容易に移動でき
る。

熱液槽１は、漏斗状断面を有し、底板１ａと側
板１ｂとを備え、底板１ａに下降管４が連通接続
し、側板１ｂの上部に上昇管５が連通接続してお
り、底板１ａの下降管４が接続する部分の内部に
調理品受けスクリーン１ｃが設けてある。

循環管３は、熱液２を下方へ導く下降管４と、
熱液を上方へ導く上昇管５と下降管４及び上昇管
５の下部に両端がそれぞれ接続された連絡管３ａ
とを備えている。下降管４は、下部に熱液中のス
ラツグ状の不純物を分離するための不純物分離部
６を有している。不純物分離部６は、下降管４の
下端に膨出形成した濾過室６ａと、濾過室６ａ内
に配置したフイルター６ｂとを有し、濾過室６ａ
の下端に連続式ドレンコツク１４が接続されてい
る。そしてフイルター６ｂで熱液から分離された
不純物は重力を利用してドレンコツク１４にて固
体と液体との分離がなされ、主として固体のみが
ドレンコツク１４から外部へ排出され、液体が回
収されるようになつている。上昇管５は、上端が
横向きに折曲形成され、熱液槽１の側板１ｂ上部
に連通接続されている。

火室７は上部が上昇管５内に収納され上昇管５
の下端を貫通して取り付けてあり、下端の開口７
ａに上向きのバーナ１５の上端が臨み、上端に複
数の伝熱管９が接続してある。

ガス導管１０は、縦導管１０ａと、当該縦導管
１０ａから分岐した横導管１０ｂとを備えてい
る。縦導管１０ａは、下端が伝熱管９の上端に接
続してあり、上端が横向きに折曲形成されて熱液
槽１内の熱液２上面に沿い不純物浮け８の方向へ
向いた吹出口１０ｃを有し、内部に開閉自在なダ
ンパー１６を備えている。横導管１０ｂはダンパ
ー１６の下方で縦導管１０ａから分岐し、上昇管
５を貫通し、熱液槽１の底板１ａの下方を通つて
下降管４の近傍で保温室１７に接続している。

伝熱管９全体及び火室７と縦導管１０ａの大部
分は、上昇管５内にある。そして、上昇管５、連
絡管３ａ、火室７、伝熱管９及びガス導管１０
は、複数組設けてそれらをそれぞれ熱液槽１及び
下降管４の外周に所定間隔を置いて配置する。

保温室１７は、仕切板１７ａでケーシング１１
内を底板１ａの下方で上下に仕切り、熱液槽１の
底板１ａ及び側板１ｂを含む上部側に形成したも
のであつて、横導管１０ｂで燃焼ガスを熱液槽１
の外周に導き、熱液槽１内の熱液２を保温するも
のである。

不純物受け８は、熱液槽１の側板１ｂ内面に沿
つて熱液２の上面に対応して配置された分割笊又
は複数の笊であつて、不純物用の受け口８ａが縦
導管１０ａの上端の吹出口１０ｃの方向へ向けて
ある。

補給液タンク１２は、内部にフロート１２ａを
有し、下部にニードルバルブ１２ｂを介して給液
管１８が接続してあり、この給液管１８の先端が
下降管４の側部を貫通している。そして食品等に
付着して熱液が持ち去られたり、あるいは、ドレ
ンコツク１４から排出される不純物と共に持ち去
られて、熱液槽１内の熱液が減少し、ニードルバ
ルブ１２ｂを下方へ引く力の方がフロート１２ａ
の浮力よりも大きくなると、補給液タンク１２の
下端面に形成した穴から給液管１８を介して補給
液が下降管４内へ下向きに流れ込み、熱液槽１内
の熱液面が所定高さになるまで、補給液が補充さ
れる。

次に本考案の上記構成による調理器の動作及び
使用方法について説明する。

バーナ１５に点火すると、火室７内に発生した
燃焼ガスは、窒素、二酸化窒素及び若干の空気か
らなり、その浮力によつて伝熱管９内を上昇し、
更にダンパー１６で調整された量が縦導管１０ａ
内を上昇し、この間に上昇管５内の熱液を加熱
し、吹出口１０ｃから熱液上面に沿つて吹き出
し、液面に浮かんでいる揚げ滓等の不純物を不純
物受け８へ吹き込むとともに、熱液上面全体を覆
つて熱液表面からの放熱及び熱液の酸化による劣
化を防止する。

上記燃焼ガスの一部は、横導管１０ｂを通じて
保温室１７内へ入り、熱液槽１の外周全体へ導か
れて、熱液２の保温を行う。

熱液槽１内の熱液２は、被調理物が上方から投
入されると温度が低下して比重が大となり、下降
管４内を下降し、不純物分離部６でフイルター６
ｂを通り、不純物が分離され連絡管３ａを経て上
昇管５内へ入り、ここで前述の通り燃焼ガスから
熱を受け比重が小となつて上昇し、上昇管５の上
端から熱液槽１内へ戻る。即ち熱液２は循環管３
を通じて対流のみにより常時循環し、その間に不
純物分離部６で不純物が分離除去されるとともに
伝熱管９等を通じて燃焼ガスにより加熱され、所
定温度以上に保持される。

分割笊又は複数の笊からなる不純物受け８は、
吹出口１０ｃから吹き出す燃焼ガスで吹き込まれ
た揚滓等の浮遊性不純物が手作業又は図示しない
取出装置で順次取り出される。

熱液が消耗して減少すると、補給液タンク１２
からニードルバルブ１２ｂ及び給液管１８を通じ
て自動的に下降管４内へ下向きに補給液が補給さ
れ、熱液槽１内の熱液量は常時最適に保持され、
熱液の損耗が少なくて済む。

また、火室７、伝熱管９及び縦導管１０ａから
なる高温加熱部は、上昇管５内の上昇熱液に対す
る伝熱係数の大きい部分で熱交換が行われ、熱液
の片寄りによる局部加熱がないので、熱液の損傷
が少ない。

なお、上昇管５、火室７、伝熱管９及びガス導
管１０を複数組設ける代わりに吹出口１０ｃのみ
を複数箇所に配置しても良い。

（考案の効果） 本考案は、上述の如く構成され、熱液を収容し
た熱液槽の下部に配置された火室と、該火室で発
生した燃焼ガスが内部を通過し該燃焼ガスの熱を
前記熱液に伝える伝熱管とを備え、該伝熱管内を
通過した後の前記燃焼ガスをガス導管を通じて前
記熱液上面に沿つて吹き出すことによつて、熱液
を効率良く加熱できるとともに熱液表面からの放
熱による熱損失と熱液の酸化を防止でき、熱液槽
内の熱液上面に対応して配置した不純物浮けと、
当該熱液槽の下部に配置された不純物分離部と、
前記燃焼ガスを熱液上面に沿つて前記不純物受け
の方向へ吹き出すガス導管とを備えることによ
り、熱液表面の浮遊性不純物を不純物受けに吹き
込んで除去し、熱液中の不純物も分離することが
でき、長時間に亘つて揚物食品の高品質を維持す
ることができる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例に係る調理器を示す
縦断面図である。 １……熱液槽、１ａ……底板、１ｂ……側板、
１ｃ……調理品受けスクリーン、２……熱液、３
……循環管、３ａ……連絡管、４……下降管、５
……上昇管、６……不純物分離部、６ａ……濾過
室、６ｂ……フイルター、７……火室、７ａ……
開口、８……不純物受け、８ａ……浮け口、９…
…伝熱管、１０……ガス導管、１０ａ……縦導
管、１０ｂ……横導管、１０ｃ……吹出口、１１
……ケーシング、１１ａ……側板、１２……補給
液タンク、１２ａ……フロート、１２ｂ……ニー
ドルバルブ、１３……キヤスタ、１４……ドレン
コツク、１５……バーナ、１６……ダンパー、１
７……保温室、１７ａ……仕切板、１８……給液
管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 調理用熱液を収容し上方を開放した熱液槽と、
   該熱液槽内の熱液上面に対応して配置した不純物
   受けと、前記熱液槽の下部に配置された不純物分
   離部及び火室と、該火室で発生した燃焼ガスが内
   部を通過し該燃焼ガスの熱を前記熱液に伝える伝
   熱管と、該伝熱管内を通過した後の前記燃焼ガス
   を前記熱液槽内の熱液上方へ導き該熱液上面に沿
   つて前記不純物受けの方向へ吹き出すガス導管と
   を備えたことを特徴とする調理器。