JPH0114679B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は可撓性チユーブ状ヒータに係り、例え
ば医療用の加熱機能を有する各種カテーテルチユ
ーブ、各種流体制御機器に於ける加熱機能を有す
る配管用チユーブなどとして使用するのに好適な
ものである。 例えば血液・人工血液・リンゲル液・透析液な
どの医療用液体をチユーブ状ヒータ内に導入して
加熱処理して使用する場合、そのチユーブは少な
くとも内面は導入液体と化学的に不活性であり、
又毒性・浸出物のないこと（即ち無害なものであ
ること）、チユーブ長手各部に於て均等な加熱作
用を有するものであること、全体に内外断熱作用
のあるものであること等が必要である。 又例えば呼気のガスクロマトグラフイ分析に於
て、呼気中の水分を結露させることなく採集する
ため細長のチユーブ状ヒータを肺の中に挿入して
呼気の採集をする等、チユーブ状ヒータを臓器内
に挿入して使用する場合にはそのチユーブは前記
条件の他に、チユーブ外面についても無害な材質
のものであること、臓器内への挿入が容易で、挿
入過程で臓器の組織面を傷付けないように、全体
に良好な可撓性・耐キンク性を有すると共に外面
がやわらかく滑らかであること、内部流通気体が
チユーブ壁を通つて漏れないこと等が必要であ
る。 従来、一般に上記のような用途に利用されてい
るチユーブ状ヒータは、適当な材質の樹脂チユー
ブの肉厚内にニクロム線を往復埋設したものであ
るが、チユーブを適当長さに切断したときチユー
ブ切断端の切り離し状態になつた往復ニクロム線
端部同士を閉回路を構成させるために互に接続処
理をする必要がある。しかしニクロム線同士の完
全接続はなかなか困難であり、不完全な接続では
漏電の恐れがある。漏電は医療用品の場合厳に防
止しなければならない。又ニクロム線の入力端と
先端間には電圧降下が生ずるため高い印加電圧を
必要とするが、医療用品の場合危険防止上高い印
加電圧は好ましくない。またニクロム線の剛性の
ためチユーブ全体の可撓性に難点がある。 本発明は前述の例えば加熱機能を有する医療用
カテーテルチユーブなどとして要求される諸性能
を具備し、且つ上記従来のニクロム線を利用した
もののような欠点のない、経済的に製造すること
ができる、チユーブ状ヒータを提供することを目
的とするもので、弗素樹脂からなるチユーブ内層
と、このチユーブ内層の外周面に螺旋状に巻き付
けられるテープ状発熱体からなる発熱層と、これ
らの外周を被覆する弗素樹脂からなるチユーブ外
層とを備え、前記テープ状発熱体は、導電性弗素
樹脂テープに接して少なくとも二本の導体を互い
に平行離間関係をもつて長手方向に配置し、これ
らを弗素樹脂からなる保護層により被覆一体化し
たものであり、且つ前記チユーブ内層及び同外層
の少なくとも一方が四弗化エチレン樹脂の連続気
孔性延伸多孔質材からなる可撓性チユーブ状ヒー
タを要旨とする。 四弗化エチレン樹脂PTFE、四弗化エチレンと
六弗化プロピレンの共重合体FEP、四弗化エチ
レンとパーフロロアルキルビニルエーテルの共重
合体PFA、四弗化エチレンとエチレンの共重合
体ETFE等の弗素樹脂は、他の系の樹脂に比べて
総じて、自然に或いは化学物により溶解・分解・
解離・変化等を生じ難く化学的に極めて安定であ
る、生体に対する毒性・為害作用がなく或はほと
んどなく、安全である、抗血栓性（抗凝血性）に
優れる、撥水性・滑り性、耐熱性に優れる、電気
絶縁抵抗が大きい等の性質を有する物質である。
なかんずくPTFEは上記の諸性質に優れる。 そしてPTFEの連続気孔性延伸多孔質材（以下
Ｅ―PTFEと記す）は、PTFEしての上記優れた
諸性質に加えて、延伸処理で形成された連続気孔
性多孔質肉質構造によつて極めて優れた柔軟性
と、高度な分子の配向により高い引張強度を有す
る。 本発明は、上記のような弗素樹脂及びＥ―
PTFEに着目し、前記のようにチユーブ内層、発
熱層及び外層の何れも弗素樹脂を素材とし、さら
にチユーブ内層・チユーブ外層の少なくとも一
方、即ち内層又は外層、或いはその両者をＥ―
PTFEとしたものであつて、その基本的構成は、
第１図に示すように、チユーブ内層１とこのチユ
ーブ内層１の外周面に螺旋状に巻き付けられるテ
ープ状発熱体２１からなる発熱層２と、これらの
外周面を被覆するチユーブ外層３とからなつてい
る。 (a) 弗素樹脂のチユーブ内層１ 充実内質のものとするのであれば、例えば、
PTFE以外の弗素樹脂は、溶融押出し成形が可能
であるからそれをチユーブ状に溶融押出しして製
造できる。PTFEの場合はその粉末と押出し助剤
とのペースト状混和物をチユーブ状に成形し、次
いで焼成処理することによりPTFE充実肉質チユ
ーブを製造できる。又弗素樹脂（PTFEも含む）
の充実肉質テープ状物或はシート状物を耐熱性の
芯棒に螺旋に或はのり巻状に巻付けて加熱処理す
ることによつて製造できる。 又Ｅ―PTFE（即ち、四弗化エチレン樹脂の連
続気孔性多孔質肉質構造）のものとするのであれ
ば、例えば、特公昭51―18991号公報に開示の方
法、即ちPTFE粉末と押出し助剤とのペースト状
混和物をチユーブ状に押出し成形し、次いでその
押出しチユーブを延伸処理し、次いでその延伸処
理チユーブを熱収縮を阻止した状態で焼成処理す
る。これにより微細結節点と微細フイブリルによ
つて構成された微細連続気孔性延伸多孔質肉質の
ものを製造できる。又焼成又は半焼成のＥ―
PTFEのテープ状物或はシート状物を耐熱性の芯
棒に螺旋に或はのり巻状に巻付けて加熱処理する
ことによつても製造できる。 (b) 発熱層２ 上記チユーブ内層１の外面に設けられる発熱層
２は、第１図に示すようにテープ状の発熱体２１
をチユーブ内層１の外面に長手に沿つて螺旋に巻
付けることにより形成される。本例に用いたテー
プ状発熱体２１は第２図に示すように、細幅・薄
肉のテープ状の導電性弗素樹脂２２の面にその長
手両縁に沿つて２条の細幅・薄肉のテープ状金属
箔導体２３，２３を被着させたものを保護層とし
ての２枚の細幅・薄肉の弗素樹脂テープ２４，２
４間にサンドイツチに挾んで包み込み全体を一体
に熱融着或は接着してなるものである。導電性弗
素樹脂テープ２２は適宜の弗素樹脂にグラフアイ
ト粉末・カーボンブラツク粉末・炭素繊維・金属
粉末等の導電性粉末を適当割合で配合混合して適
度の導電性を与えたものである（例えば、PTFE
フアインパウダーに導電性カーボンブラツクを
10wt％コアギユレイト法により混入し、助剤と
してナフサを約40wt％用いてブレンドし、その
ブレンド物をラム押出し機で押出した後４ミル厚
にロールダウンし、ナフサを蒸発除去したものな
ど）。平行導体２３，２３間に電圧を印加すると
その導体２３，２３間の導電性弗素樹脂テープ２
２の各部に於てテープ２２の幅方向に電流が流
れ、テープ２２は全長にわたつて各部が発熱す
る。導体２３，２３は導電性弗素樹脂テープ２２
の肉厚内に埋め込んだ形態で設けてもよい。又よ
り効果的な発熱を得る目的に於て導体２３，２３
は本出願人の先の提案（実願昭52―9524号）に係
る平形発熱電線のように、３本以上の導体を平行
離間関係を保持して設け、その複数本の導体に選
択的に電圧を印加する、或は導体間交互に逆電位
を加えるようにするとよい。又導電性弗素樹脂テ
ープ２２は長手方向の全長にわたつて存在させる
以外に、適宜の間隔をおいて間欠的に配置するこ
ともでき、こうすることによつてチユーブに発熱
する部分と発熱しない部分を設けることができ
る。 (c) 弗素樹脂のチユーブ外層３ 充実肉質のものとするのであれば、上記発熱層
２を形成したチユーブ内層１の外周面に、PTFE
以外の弗素樹脂（PFA等）を溶融押出し被覆法
により被着させて形成する。PTFEの場合はペー
スト押出し被覆法で被着させた後焼成処理する。
弗素樹脂（PTFEも含む）の充実肉質のテープ状
物或はシート状物を螺旋に或はのり巻状に巻付け
て加熱処理することによつても形成できる。 又Ｅ―PTFEのものとするのであれば、焼成又
は半焼成のＥ―PTFEのテープ状物或はシート状
物を螺旋に或はのり巻状に巻付けて加熱処理する
こと等によつて形成できる。 以上本発明のチユーブ状ヒータに依れば次のよ
うな効果が得られる。 (1) チユーブ内外層１，３の素材として弗素樹脂
を用いたから、チユーブの内外面共に化学的に
不活性で且つ毒性、浸出物がない。 (2) 発熱層２を、導電性弗素樹脂テープ２２及び
そのテープ２２に接触して或はテープ中に埋め
られてテープ長手に沿つて縦添えに存在する互
いに平行離間関係の２本以上の導体２３，２３
とを２枚の弗素樹脂テープ２４，２４からなる
保護層で被覆一体化したテープ状発熱体２１で
構成したから、チユーブを切断してもその切断
端に於ける導体２３，２３同士を前述従来のニ
クロム線利用のチユーブのように接続処理する
必要がなく、少なくともそのチユーブ切断端面
の導体端面露呈面を例えば未焼成のPTFEテー
プ等の絶縁テープで絶縁処理する、或は絶縁樹
脂液を塗布して絶縁被覆処理するだけで足り
る。この場合、チユーブ内層１とチユーブ外層
３との間に導電性の液体が浸入してもテープ状
発熱体２１の中途部分においては、導体２３，
２３が露出していないので短絡することはな
く、このため、必ずしもチユーブ切断端面の全
周にわたつて液体の侵入を完全に阻止する必要
はないから、端末処理が簡単である。又チユー
ブの内外層１，３と発熱層２は共に電気絶縁性
に優れた弗素樹脂であることも相まつて全体に
電気的に安全（漏電を生じない）である。又ニ
クロム線利用のチユーブと異なり導電性弗素樹
脂テープ２２に作用する印加電圧はそのテープ
２２の長手方向の全体にわたつて同一であるの
で入力電圧を低くすることができ、且つテープ
２２の長手方向の各部が均等に、即ちチユーブ
はその長手方向の全長にわたつて均等に発熱す
る。 (3) 発熱層２は、ニクロム線ではなく、導電性弗
素樹脂テープであること、及びチユーブの内層
１又外層３、或は両者１，３は、四弗化エチレ
ン樹脂の連続気孔性延伸多孔質材（Ｅ―
PTFE）としたことにより、発熱層をニクロム
線としたり、チユーブ内外層を充実肉質材とし
たものに比べて全体の屈曲可撓性は著しく向上
したものとなり、耐キンク性も向上する。 しかも、Ｅ―PTFEは延伸よつて引張強度等
の機械特性が改善されたものであるか、耐久性
に優れたものとなる。又内外断熱性も優れたも
のとなる。この場合Ｅ―PTFE（フイブリル長
約１〜1000μm）は連続気孔性の多孔質構造に
もかかわらずPTFEの優れた撥水性により液体
が透過しにくい。ただし気体の透過が問題にな
る場合は必要に応じてＥ―PTFEのチユーブ内
層１の外周面に或は同外層３の外周面に例えば
弗素ゴム液等を塗布乾燥させて目止め層を形成
するようにすればよい。 (4) チユーブの内面及び外面は弗素樹脂の優れた
滑性により極めて滑りがよい。又チユーブの内
外層１，３の両者をＥ―PTFEにしてチユーブ
状ヒータを構成した場合にはそのチユーブの内
面・外面は共にやわらかく、又該チユーブを屈
曲させたときその曲げ部内側面にシワを生じな
い。従つてチユーブ内への導入流体の流れ性が
極めて良好に行われると共に、臓器内への挿入
を前述(3)の良好な可撓性と相まつて極めてスム
ーズに、且つ挿入過程で臓器組織面を傷付ける
ことなく行うことができる。 (5) 弗素樹脂の優れた耐熱性・耐薬品性により高
温による十分な消毒、作用の強い薬品による十
分な消毒が可能で、消毒或は清浄化手段の選択
自由度が大きい。 (6) 少なくともチユーブ内層１をＥ―PTFEで形
成すればそのチユーブ状ヒータは保温又は加熱
作用のある抗血栓性の人工血管としても使用で
きる。 従つて例えば前述の医療用の加熱機能を有する
各種カテーテル構成用チユーブ、人工血管をはじ
め、耐熱性・耐薬品性に優れ、液体の200℃程度
までの加熱、腐食性液体の加熱も可能であるか
ら、各種流体制御機器に於ける加熱機能を有する
流体加熱用或は配管用チユーブなどとして有効適
切なものである。 実施例 １ 内径2.0mm、外径2.6mmのPFA溶融押出チユーブ
をチユーブ内層１とし、そのチユーブ外周面に第
２図例の構成のテープ状弗素樹脂製発熱体２１
（幅５mm、厚さ0.3mm、導体２３，２３の内側間隔
1.9mm、電気抵抗１ｍ当たり30Ω）をピツチ10mm
で第１図例のようにスパイラルに巻付けて発熱層
２とした。次いで、その発熱層２を形成したチユ
ーブ外周面に、PTFEの厚さ0.1mmの未焼成３倍
延伸多孔質テープ（未焼成Ｅ―PTFEテープ）を
３層に巻付けて370℃の溶融塩槽に10秒浸漬して
焼成処理し、次いで水冷することによりチユーブ
外層３を形成して本発明のチユーブ状ヒータを得
た。 このチユーブ状ヒータは外径4.0mmで可撓性に
富み、外表面はやわらかく、又滑性があり、食
道、肺その他の臓器内へ挿入するカテーテルチユ
ーブとして好適なものであつた。 長さ２ｍに切断した該チユーブ状ヒータの一端
側の導体２３，２３端末間に7Vの電圧を印加し
たところチユーブ内温度は37℃（室温26℃）、
10V印加で42℃となつた。又上記に於て夫々チユ
ーブ内に流速に0.1ｍで空気を導入したところ各
35℃及び28℃の加温空気が得られた。 実施例 ２ 実施例１に於てチユーブ内層１として、内径
2.0mm、外径2.6mmの1.5倍延伸の多孔質焼成PTFE
チユーブ（Ｅ―PTFEチユーブ）の外周面に0.1
mm厚に弗素樹脂液を塗布して目止め処理をしたも
のを用い、他は実施例１と同じ要領で発熱層２、
外層３を順次に形成して本発明のチユーブ状ヒー
タを得た。尚、発熱層２・外層３の形成の際内層
１のつぶれを防止し、又層２，３の形成を容易に
するため内層１内に保形心棒として直径1.9mmの
銅線を挿入し、ヒータ完成後その銅線は引き抜い
て除去した。 このチユーブ状ヒータは可撓性に富み、内表面
は抗血栓性であり、外表面はやわらかく滑性に富
み、血液を加熱するのに最適のものであり、又実
施例１のものと同様に臓器挿入用カテーテルチユ
ーブとしても好適なものである。 長さ２ｍに切断した該チユーブ状ヒータの一端
側の導体２３，２３端末間に15Vの電圧を印加し
たところチユーブ内温度は55℃（室温26℃）にな
り、流速0.1ｍで水（21℃）を流したところ36℃
の加温水を得た。 又チユーブ内の発熱体部又は適宜の場所に熱電
体などの温度検知器を内蔵或は接触させ、これを
温度制御装置と接続するなどしてチユーブの温度
を適宜に制御することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明による可撓性チユーブ状ヒ
ータの一実施例を示す一部切欠き斜視図、第２図
は、それに用いたテープ状発熱体の一部切欠き拡
大斜視図である。 １：チユーブ内層、２：発熱層、３：チユーブ
外層、２１：テープ状発熱体、２２：導電性弗素
樹脂テープ、２３：導体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 弗素樹脂からなるチユーブ内層と、このチユ
   ーブ内層の外周面に螺旋状に巻き付けられるテー
   プ状発熱体からなる発熱層と、これらの外周を被
   覆する弗素樹脂からなるチユーブ外層とを備え、
   前記テープ状発熱体は、導電性弗素樹脂テープに
   接して少なくとも二本の導体を互いに平行離間関
   係をもつて長手方向に配置し、これらを弗素樹脂
   からなる保護層により被覆一体化したものであ
   り、前記チユーブ内層及び同外層の少なくとも一
   方が四弗化エチレン樹脂の連続気孔性延伸多孔質
   材からなる可撓性チユーブ状ヒータ。