JPH01113059A

JPH01113059A - 医療用プラスチック器具

Info

Publication number: JPH01113059A
Application number: JP62271484A
Authority: JP
Inventors: Shozo Shiraishi; 白石　省三; Seiichiro Honda; 本多　誠一郎; Toshiharu Matsumiya; 松宮　俊治
Original assignee: Sekisui Chemical Co Ltd
Current assignee: Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date: 1987-10-26
Filing date: 1987-10-26
Publication date: 1989-05-01

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、血液や薬液の注入、排出、保存に好適な医療
用プラスチック器具に関する。

（従来の技術）薬液や血液の注入、排出、保存には１、例えば、カテー
テル、血液バッグなどの管状又は袋状のプラスチック器
具が用いられる。この種の医療用器具には、耐熱性、耐
寒性、熱融着性、気体不透過性、柔軟性、透明性、安全
性などが要求される。

かかる要求品質を充足するものとして、例えば、特公昭
５８−４１８６２号公報及び特公昭６１−３８７０５号
公報には、電子線を照射して架橋されたエチレン−酢酸
ビニル共重合体のような特定の共重合体からなる医療用
器具が開示されている。

ところが、上記公報により開示された医療用器具は、電
子線を器具の厚さ方向に完全に透過させ、厚さ方向に略
均等に架橋させたものであって、次のような問題を内蔵
している。

すなわち、高圧蒸気滅菌に耐え得るように耐熱性を向上
させるべく、架橋度を高くすると、高周波ヒートシーラ
ーなどによる器具本体自体或いは器具本体と排液ボート
などの付属品との熱融着性が低下するという問題がある
。したがって、器具が袋状の場合、実際には、架橋前に
高周波ヒートシーラーなどの熱融着機を用いて袋状の形
状に熱融着加工し、この個々の袋状器具に電子線を照射
して架橋させる方法に限定され、生産性が悪い。

また、管状又は袋状の器具の厚さ方向に略均等に架橋す
るには、比較的高い加速電圧の電子線が照射されるが、
この場合は架橋と並行して起こる分解により、ビニルエ
ステル部分の酸基が遊離した低分子量化合物、例えば酢
酸分子などが多量に生成するという問題がある。

このような多量の分解生成物が器具に付着すると、この
ままでは日本薬局方の輸液用プラスチック容器試験に規
定する溶出物試験に合格しない。したがって、管状又は
袋状の器具を水による洗浄、エアーレーション、真空脱
気などの処理に付して分解生成物を除去する必要がある
が、分解生成物が多ければその除去処理に長時間を要し
、生産性が悪い。

（発明が解決しようとする問題点）本発明は、上記従来の問題点を解決するものであり、そ
の目的とするところは、電子線照射により、良好な耐熱
性と熱融着性とを併有した医療用プラスチック器具を提
供することにある。

本発明の他の目的は、電子線照射による分解生成物の生
成の少ない医療用プラスチック器具を提供することにあ
る。本発明のその他の目的は、生産性の良い医療用プラ
スチック器具を提供することにある。

（問題点を解決するための手段）本発明の医療用プラスチック器具は、電子線を照射して
架橋されたビニル−ビニルエステル共重合体からなる管
状又は袋状の器具であって、上記電子線の加速電圧を調
節することにより、上記器具の外側から内側への厚さ方
向に架橋度が小さくなされていることを特徴とし、その
ことにより上記目的が達成される。

本発明において、ビニル−ビニルエステル共重合体とは
、ビニル系モノマーとビニルエステル糸上ツマ−とを重
合させてなる共重合体を指称する。そして、ビニル七ツ
マ−としては、エチレン、塩化ビニル、臭化ビニル、ス
チレン、プロピレンなどがあり、特にエチレン、塩化ビ
ニルが好適に用いられる。また、ビニルエステルモノマ
ーとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル、バルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、アク
リル酸エステルなどがあり、特に酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニルが好適に用いられる。

上記のビニル−ビニルエステル共重合体のうち、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体が最適である。この場合、一般
に酢酸ビニル含有量が１０〜３０重量％となされる。酢
酸ビニル含量が１０重量％を下まわると柔軟性や透明性
が劣る。酢酸ビニル含量が３０重量％を上まわると柔軟
性や透明性は良好であるが、耐熱性が低下しブロッキン
グ性が大きくなる。

上記の共重合体は、押出成型、ブロー成型、カレンダー
成型などの成型法により、先ず、管状又はシート状若し
くはチューブ状に成型される。この成型物の厚さは、機
械的強度、気体不透過性、柔軟性などを考慮し、一般に
０．１〜１゜０論、好ましくは０．３〜０．６ｍｍの範
囲となされる。

かかる管状又はシート状若しくはチューブ状の成型物に
電子線が照射される。成型物がシート状の場合は、片面
から電子線が照射され、成型物がチューブ状や管状の場
合は、両面から電子線が照射される。かかる電子線の照
射装置としては、ファンデグラフ型加速機や線型加速機
があり、加速電圧３ＭｅＶ、ビーム電流１００　ｍＡま
での加速機が実用化されており、本発明に用いることが
できる。

そして、電子線は、成型物がシート状の場合は、−側か
ら他側への厚さ方向に架橋度が小さくなるように照射さ
れる。また、成型物がチューブ状又は管状の場合は、外
側から内側への厚さ方向に架橋度が小さくなるように照
射される。

このように厚さ方向に異なる架橋度は、照射する電子線
の加速電圧を調節することによって得られる。すなわち
、電子線は透過能力に限界があり、加速電圧が低い場合
や成型品の肉厚が厚い場合は、途中で阻止されて照射さ
れる側とは反対の側は充分に架橋されない。かかる電子
線の透過率（相対線量）と加速電圧と成型品の厚さ（密
度１．０　ｇ／ｃｍ３に換算した場合）との関係は、第
１図のようになる。

したがって、例えば、上記成型物の厚さが０゜１〜１．
０ｍｍの場合、加速電圧が１００〜４００　ＫｅＶ（キ
ロ電子ボルト）に調節された電子線を照射することによ
って、上記成型物の一側から他側或いは外側から内側へ
の厚さ方向に架橋度が小さくなるように架橋させること
ができる。

しかして、上記電子線の照射吸収線量は、−般に５〜１
５Ｍｒａｄ（メガラド）となされる。照射吸収線量が５
　Ｍｒａｄを下まわると、全体の架橋度が小さくなり所
望の耐熱性が得られにくい。

また、照射吸収線量が１５　Ｍｒａｄを上まわると、全
体の架橋度が大きくなり所望の熱融着性が得られにくく
なる。これを架橋度（熱キシレンによる不溶のゲル分率
）で表わすと、概ね２０〜８０重量％となる。

このように架橋された成型物は、必要に応じて水による
洗浄、エアーレーション、真空脱気などの処理に付され
る。しかる後、成型物がシートの場合は、架橋度の小さ
い他側を内側に当接させて、高周波ヒートシーラーなど
の熱融着機を用いて袋状の容器に熱融着加工される。ま
た、成型物がチューブ状の場合も同様にして内側を当接
させて袋状に熱融着加工される。また、成型物が管状の
場合は熱融着加工を必要としない。

なお、上記の熱融着加工の際には、排液ボートなどの付
属品を同時に熱融着してもよく、或いはかかる付属品を
上記の熱融着加工の後に別途熱融着してもよい。

かくして、本発明の医療用プラスチック器具が得られる
。

（作用）本発明の医療用プラスチック容器は、電子線を照射して
架橋されたビニル−ビニルエステル共重合体からなる管
状又は袋状の器具の架橋度が、外側から内側への厚さ方
向に小さくなされている。それゆえ、架橋構造により全
体として器具の耐熱性が良好となる。しかも器具の内側
は架橋構造が少ないため、器具内側の熱融着性が低下し
ない。

また、本発明においては、上記のように架橋度を変化さ
せるために、加熱電圧を調節するがこの場合、比較的低
い加速電圧の電子線を照射することになるので、上記共
重合体の分解生成物の生成が少なくなる。

さらに、本発明においては、上記のように器具内側の熱
融着性が低下しないので、袋状に熱融着加工する前に電
子線の照射を行なうことが可能となる。

（実施例）以下本発明の実施例及び比較例を示す。

１　　び　　″　　１エチレン−酢酸ビニル共重合体（メルトインデックス１
．５、密度０．９３７　ｇ／ｃｍ’、酢酸ビニル含有量
１５重量％）をシート状に溶融押出し、厚さ０．４ｍｍ
のシートを作成した。このシートに一側から加速電圧が
それぞれ３００ＫｅＶ　、４００ＫｅＶ、５００ＫｅＶ
で、照射吸収線量がそれぞれ１０Ｍｒａｄの電子線を照
射し架橋シートを得た。なお、電子線の照射は、走査型
電子線照射機で大気中で照射したものである。

上記の架橋シートにおいて、加速電圧３００ＫｅＶで照
射された架橋シートは、第１図のグラフから電子線の透
過率が約２０％となり、−側から他側への厚さ方向に架
橋度が小さくなっていることがわかる。加速電圧４００
ＫｅＶで照射された架橋シートも一側から他側へ厚さ方
向に架橋度が小さくなっている。また、加速電圧５００
ＫｅＶで。

照射された架橋シートは、第１図のグラフから電子線の
透過率が１００％に近く、−側から他側への厚さ方向に
架橋度が略均等になっていることがわかる。

上記三種類の架橋シートを用い、シートの他側が内側と
なるように二枚重ね合せ、高周波ヒートシーラーを用い
、一部に未シール部を残し、縦２００ｍｍ横１１０ｍｍ
の長方形の袋状に熱融着加工を行った。その後上記の未
シール部に高密度ポリエチレン（メルトインデックス１
．０）とエチレン−酢酸ビニル共重合体（メルトインデ
ックス１．５、酢酸ビニル含有１１５ｆｉｒｉｉ％）　
（！：（７）１／１混合物からなる排液ポート管（外径
１２ｍｍ、厚さ２胴、長さ６０［１１１１）の一端部を
挿入し、高周波加工により袋へ熱融着を行ない三種類の
袋状の器具を製造した。

この二種類の器具に生理食塩水５００＋＋　１と空気５
０ｍ　ｌとを注入し、排液ポート管を熱融着により封止
し、これを高圧蒸気滅菌器で１２１°Ｃの温度で２０分
間滅菌した。

その結果、加速電圧３００にｅＶ及び４００ＫｅＶで照
射して得られた器具のものは、全く異常は認められず、
耐熱性が良好で熱融着性も低下していないことがわかる
。また、加速電圧５００ＫｅＶで照射したものは、袋の
熱融着加工部が剥離し、熱融着性が低下していることが
わかる。

実施１実施例１と同じエチレン−酢酸ビニル共重合体を用い、
インフレーション押出成型により、幅１１０ｍｍ、厚さ
０．４ｍｍのチューブを作成した。

このチューブに両側から加速電圧がそれぞれ３００Ｋｅ
Ｖ　、　　５００ＫｅＶで、照射吸収線量が１０Ｍｒａ
ｄの電子線を照射し、架橋チューブを得た。なお、電子
線の照射は、走査型電子線照射機で大気中で照射したも
のである。

また、比較のために、上記チューブに電子線を全く照射
しない未架橋チューブを用意した。

また、電子線の照射前に上記チューブを高周波ヒートシ
ーラーで袋状に熱融着加工を行ない、その後この袋に上
記と同様に加速電圧が５００ＫｅＶで、照射吸収線量が
１０Ｍｒａｄの電子線を照射し、袋状の容器を作成した
。

これらの未架橋チューブ、架橋チューブ、袋状の容器に
ついて、第１表に示す時間のエアーレーシゴンを行った
後、日本薬局方の輸液プラスチック容器試験に規定する
溶出物試験を行った。その結果を第１表に示す。

第１表から、加速電圧３００ＫｅＶで照射して得られた
ものは、加速電圧が５００ＫｅＶで照射したものに比べ
、分解生成物の生成が少なく、またエアーレーションの
時間を短かくなし得ることがわかる。また、チューブ状
のものは、袋状の容器としたものに比べ、分解生成物の
除去が容易でエアーレーションの時間を短かくなし得る
ことがわかる。

（発明の効果）上述の通り、本発明の医療用プラスチック器具は、電子
線を照射して架橋されたビニル−ビニルエステル共重合
体からなるので、高圧蒸気滅菌可能な耐熱性を有する。

しかも、器具の外側から内側への厚さ方向に架橋度が小
さくなされているので、高周波ヒートシーラーなどの熱
融着機による器具内側の熱融着性が低下しない。したが
って、袋状に熱融着加工する前に、電子線を連続的に照
射して、器具の生産性を向上させることができる。

また、電子線の加速電圧を調節して、比較的低い加速電
圧の電子線の照射を行なうので、共重合体の分解生成物
の生成が少なく、この分解生成物の除去が短時間になし
得る。特に、器具が袋状の場合、袋状に熱融着加工する
前に分解生成物の除去がなし得るので、その除去が容易
である。したがって、容器の生産性を向上させることが
できる０本発明は、以上のような利点をもっている。

【図面の簡単な説明】

第１図は電子線の透過能力を示すグラフ図である。

Claims

【特許請求の範囲】１、電子線を照射して架橋されたビニル−ビニルエステ
ル共重合体からなる管状又は袋状の器具であって、上記
電子線の加速電圧を調節することにより、上記器具の外
側から内側への厚さ方向に架橋度が小さくなされている
ことを特徴とする医療用プラスチック器具。２、ビニル−ビニルエステル共重合体が、エチレン−酢
酸ビニル共重合体である特許請求の範囲第１項に記載の
医療用プラスチック器具。３、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量
が、１０〜３０重量％である特許請求の範囲第２項に記
載の医療用プラスチック器具。４、器具の厚さが、０．１〜１．０ｍｍであり、電子線
の加速電圧が、１００〜４００ＫｅＶである特許請求の
範囲第１項から第３項のいずれか１項に記載の医療用プ
ラスチック器具。５、電子線の照射吸収線量が、５〜１５Ｍｒａｄである
特許請求の範囲第１項から第４項のいずれか１項に記載
の医療用プラスチック器具。