JP7861995B2 - 植物保護システム - Google Patents
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Description
図1~図5は本実施の形態に係る植物保護システムS1を示す。図1に示すように、植物保護システムS1は、対象作物の病害虫及び雑草の少なくとも一種による被害リスクを予測するシステムであり、端末装置Tと、サーバーC1とを備える。端末装置TとサーバーC1とは、ネットワークを介して接続される。
端末装置Tは、植物保護システムS1を利用する例えば営農者(システムS1のユーザー)が必要情報(データ)を入力し、且つサーバーC1から出力された被害リスク情報を表示するものである。そのため、端末装置Tは、ユーザーに入力された入力データをサーバーC1に送信し、サーバーC1から受信した被害リスク情報などの予測結果を出力表示する機能を有する。なお、端末装置Tは、サーバーC1と送受信可能、且つ被害リスク情報などを表示可能なものであれば特に限定されず、例えば、携帯電話(スマートフォン)、タブレット端末、パソコンなどの一般に市販されている電子機器などを使用できる。
サーバーC1は、植物保護システムS1を全体管理するコンピューターであり、図1に示すように、作物生育予測部1と、病害虫発生予測部2と、被害リスク予測部3とを備える。また、サーバーC1は、必要に応じて、各種データを読み書き可能に管理するデータベース4と、端末装置T(必要に応じて、後述する、環境データなどを測定する測定装置や害虫モニタリング装置Mなど)との間で各種データを送受信する機能を有する通信部5とを備える。
作物の生育は、主に温度や日長などの気象要因、土壌の地力などの環境条件、散布した肥料の種類や量などの栽培管理などで決まる。そのため、作物生育予測部1は、ユーザーが端末装置Tに入力した作物の種類と播種日に応じて、播種日以降の気象データや環境条件、栽培管理条件に基づいて作物の生育段階(ステージ)を予測する。具体的には、作物生育予測部1は、作物生育予測部1に入力される生育予測用データに基づいて、対象作物の生育ステージを予測する。また、作物生育予測部1は、予測された生育ステージに応じた病害虫の防除の重要性を示すデータ(以下「防除重要性データ」とも称する、図3参照)を特定する。
病害虫発生予測部2は、対象地点・対象作物における将来の病害虫及び雑草の少なくとも一種の発生量を予測する。病害虫の種類は対象作物に応じて適宜決定され特に限定されないが、植物保護システムS1では、移動性害虫も予測対象になる。飛来性(移動性)害虫としては、例えば、鱗翅目(蛾類など)、カメムシ目(カメムシ類・アブラムシ類など)、コウチュウ目(カミキリムシ類・コガネムシ類)、アザミウマ目、双翅目(ハエなど)、直翅目(バッタなど)の害虫などが挙げられる。植物保護システムS1では、雑草も予測対象になる。雑草は、病害虫と同様に他地点へ伝播する性質を持ち、病害虫と同様に防除する必要があるため、その種類や発生量を予測することが好ましい。雑草の種類は対象作物や、その営農地(対象地点)生育地及びその周囲に生える草に応じて適宜決定され特に限定されない。病害虫発生予測部2は、病害虫発生予測部2に入力される病害虫発生予測用データに基づいて、将来の病害虫及び雑草の少なくとも一種の発生量を予測する。
被害リスク予測部3は、作物生育予測部1で計算・予測された対象作物の生育予測結果と、病害虫発生予測部2で計算・予測された病害虫の将来の発生量とを加味して、作物の生育において、いつ・どのような病害虫による被害リスクがどの程度発生するのかを予測する。そのため、被害リスク予測部3において、被害リスクは、対象作物の生育ステージに対応して病害虫ごとに予測される。具体的には、図1に示すように、被害リスク予測部3は、作物生育予測部1から入力された生育ステージ予測データ(特に防除重要性データ)と、病害虫発生予測部2から入力された病害虫発生予測データ(特に発生緊急性データ)とに基づいて、対象作物の病害虫における被害リスクの程度を予測する。
以上のように構成される植物保護システムS1では、ユーザーが例えば端末装置Tに、対象作物の種類、播種日、対象地点などの営農データを入力することで、システムS1を構成する作物生育予測部1により、対象作物の将来の生育ステージが予測され、その予測結果に基づいて病害虫の防除重要性が特定される。また、システムS1を構成する病害虫発生予測部2により、対象作物・対象地点における病害虫発生が予測され、その予測結果に基づいて病害虫の発生緊急性が特定される。そして、システムS1を構成する被害リスク予測部3により、作物生育予測部1及び病害虫発生予測部2で予測・特定されたデータに基づいて、対象作物の生育ステージに応じた病害虫の被害リスクが予測される。予測された被害リスクは端末装置Tに表示される。
図6及び図7は第2の実施形態に係る植物保護システムS2を示す。この植物保護システムS2では、図6に示すように、病害虫防除情報を端末装置Tに出力表示するための構成をさらに備える点で、上述の第1の実施形態に係る植物保護システムS1とは異なる。その他の点については、上述の第1の実施形態と同様の構成であるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。なお、第1の実施形態の構成は、植物保護システムS2にもすべて適用可能である。
サーバーC2は、植物保護システムS2を全体管理するコンピューターであり、図6に示すように、作物生育予測部1と、病害虫発生予測部2と、被害リスク予測部3と、データベース4と、通信部5と共に、さらに特定部6を備える。
データベース4は、図6に示すように、上記した各種データベース41~45と共に、病害虫防除計画データを記憶する計画データベース46及び必要資材データを記憶する資材データベース47をさらに備える。病害虫防除計画データ及び必要資材データは、発生予測結果データベース44に記憶される病害虫発生予測データ及び/又は被害リスクデータベース45に記憶される被害リスクデータに紐付けられている。ここで、「紐付けられ」とは、例えば、病害虫発生予測及び/又は被害リスクに対応する防除計画や必要資材などを意味する。
特定部6は、計画データベース46及び資材データベース47の中から、好ましい防除計画や必要資材を特定する。これら防除計画や必要資材を特定する方法としては、例えば、病害虫発生予測部2で予測された対象作物の病害虫の種類及びその発生量に基づく解析により、防除計画や必要資材を特定する方法などが挙げられる。図7に示す例では、病害虫発生予測部2において、種々のモデル(算出アルゴリズム)を用いて算出される害虫発生量に、複数地点(対象地点x、他地点a,b,c…)ごと又は複数地点xにおける栽培作物A,B…や栽培作物A,B…に応じた作業α,β…などの環境条件を組み合わせて、対象地点xにおける将来の害虫発生量を予測する。続いて、特定部6において、将来の害虫発生量の予測ごとに、対応する農薬資材P,Q…の要否(使用量)や種類などの病害虫防除情報を特定する。
以上のように構成される植物保護システムS2では、システムS2を構成する特定部6により、病害虫発生予測及び被害リスクの少なくとも1つのデータに基づく防除計画、必要資材などの病害虫防除情報が特定され、端末装置Tに提示(表示)される。ユーザーは、使用すべき農薬や使用方法などの情報の広告・提示により、適した害虫防除を図ることができる。また、システムS2では、ユーザーに対して必要資材の購買・使用意欲向上を図ることができる。
図8は第3の実施形態に係る植物保護システムS3を示す。この植物保護システムS3では、図8に示すように、サーバーC3が防除効果予測部7をさらに備える点で、上述の第2の実施形態に係る植物保護システムS2とは異なる。その他の点については、上述の第2の実施形態と同様の構成であるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、第2の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。なお、第1及び第2の実施形態の構成は、植物保護システムS3にもすべて適用可能である。
植物保護システムS3では、端末装置Tに、入力データの一つとして、ユーザーにより使用資材データが入力される。使用資材データは、ユーザーが実際に使用した資材の情報をいい、例えば、使用された農薬の種類、使用量、使用タイミングなどの情報を含む。入力された使用資材データは、必要に応じて後述する使用資材データベース48で管理される。
サーバーC3は、植物保護システムS3を全体管理するコンピューターであり、図8に示すように、作物生育予測部1と、病害虫発生予測部2と、被害リスク予測部3と、データベース4と、通信部5と、特定部6と共に、さらに防除効果予測部7を備える。
データベース4は、図8に示すように、上記した各種データベース41~47と共に、使用資材データを記憶する使用資材データベース48と、防除効果予測部7での予測結果を記憶する防除効果予測結果データベース49とをさらに備える。
防除効果予測部7は、植物保護システムS3のユーザーが使用した農薬資材に関する情報と、ユーザーの栽培している作物周辺で発生した病害虫量に関する情報並びに/又は作物の生育情報とを組み合わせて、農薬資材の効き目を予測する。具体的には、図8に示すように、防除効果予測部7は、端末措置Tに入力された使用資材データと、発生予測用データベース43または発生予測結果データベース44に管理された対象作物の病害虫及び雑草の少なくとも一種の種類及びその発生量(必要に応じて病害虫発生予測部2から受信してもよい)並びに/又は生育予測用データベース41または生育予測結果データベース42に管理された対象作物の生育予測情報(必要に応じて作物生育予測部1から受信してもよい)とに基づいて、資材による防除の効果の程度を予測する。換言すると、防除効果予測部7において資材防除効果を予測するための入力データは、使用資材データと対象作物の病害虫及び雑草の少なくとも一種の種類及びその発生量とを組み合わせてもよく(例えば、資材の使用前後における病害虫や雑草の発生量の増減から資材防除効果を予測する);使用資材データと対象作物の生育予測情報とを組み合わせてもよく(例えば、資材の使用前後における作物の生育状況から資材防除効果を予測する);使用資材データと、対象作物の病害虫及び雑草の少なくとも一種の種類及びその発生量と、対象作物の生育予測情報とを組み合わせてもよい(資材の使用前後における病害虫や雑草の発生量の増減及び作物の生育状況という両方のデータを使用して資材防除効果を複合的に予測する)。資材による防除の効果を予測する方法としては、例えば、作物生育予測部1で予測された対象作物の生育ステージ(基準日、作物の生育情報)において、「病害虫発生予測部2で予測された病害虫や雑草の種類及びその発生量」(予測値)に対する、「病害虫発生予測部2で当該基準日にモニタリングされた(実際に発生している)病害虫や雑草の種類及びその発生量」(実測値)の割合を計算する方法;「作物生育予測部1で予測された対象作物の生育ステージの予測結果」(予測値)に対する、「実際の作物の生育情報」(実測値)の割合を計算する方法;これら両方を組み合わせて計算する方法などが挙げられる。入力データに作物の生育予測情報を使用する場合、使用資材による作物の生育への影響も予測することができる。なお、「実際の作物の生育情報」は、例えば、端末装置Tに、入力データの一つとして、ユーザーにより入力される。なお、予測された防除効果(防除効果予測結果)は、例えば、パーセンテージなどの数値で表示(出力)してもよいが、例えば、所定の基準に基づいてアルファベット等の文字で表示してもよい。防除効果予測結果は、必要に応じて、防除効果予測結果データベース49に記憶・管理される。
植物保護システムS3では、特定部6において、防除効果予測部7での防除効果予測結果に基づいて、病害虫防除情報が逐次更新される。具体的には、特定部6は、防除効果予測結果を受けて、計画データベース46及び資材データベース47の少なくとも1つを自動的に逐次更新する機能を有する。これにより、特定部6により特定される防除計画や必要資材が最適化される。例えば、防除効果予測結果が不良(防除効果が低い又はなし)の場合、農薬の種類、使用量、使用タイミングなどの必要資材を最適化し、それにより病害虫防除計画も修正する。一方、防除効果予測結果が良好(防除効果あり)であれば、病害虫防除情報はそのまま維持されていてもよい。
以上のように構成される植物保護システムS3では、ユーザーが例えば端末装置Tに、実際に使用した農薬の種類、使用量、使用タイミングなどの使用資材データ、必要に応じて作物の生育情報などを入力することで、システムS3を構成する防除効果予測部7により、対象作物のある生育ステージにおいて、実際に使用された農薬資材の効果の程度が予測される。また、システムS3を構成する特定部6により、防除効果予測部7での防除効果予測結果に応じて、端末装置Tに提示(表示)する病害虫防除情報が逐次更新される。これらより、ユーザーは、逐次更新される病害虫防除情報により、常に、最適な害虫防除を図ることができる。また、ユーザーは、使用資材の効果の程度を知ることができる。さらに、ユーザーは、使用資材による作物の生育への影響の程度を知ることができる。
本開示の植物保護システムS1,S2,S3の用途(利用)として、以下が想定される。研究資材用の利用としては、例えば、移動性害虫の詳細な移動経路やその大量発生のメカニズムの解明;移動性害虫の生態把握やその発生予測;被害リスク予測などに活用可能である。また、社会的利用としては、例えば、畑作物、野菜、果樹、花き、樹木などの害虫のモニタリングやその発生予察;感染症を媒介する害虫の防除や監視;植物防疫における基盤技術としての利用;害虫の発生データに基づく農薬散布の意思決定支援(スマート農業技術);高分解能発生データを利用した害虫発生及びそれによる被害リスク予測などに活用可能である。
実施例1では、本開示の植物保護システムを構成する病害虫発生予測部において、ある任意の地点(対象地点)のハスモンヨトウ(害虫)の発生量を過去の発生履歴から予測する際に、対象地点と共に他地点の発生情報を加味した「複数地点予測」と、対象地点のみの「単地点予測」の2つの害虫発生予測方法を開発し、両者の予測精度を比較した。解析には、広島県の3地点の圃場(北西部のK町、南部のM市及び南東部のF市。K町の圃場から最も離れているF市の圃場までの直線距離は約70~80kmである。)で2008年から2018年の間に収集したハスモンヨトウの雄成虫の捕獲データのうち6月から9月の4ヵ月間に収集した害虫量データを使用した。この害虫量データは、フェロモン剤を使用してハスモンヨトウの雄成虫を誘引するトラップを圃場に仕掛け、1月あたり計6回、約5日おきに集計した。つまり、解析に用いた害虫量データは、一年につき24時点分の発生量を記録したデータ数を含む(6 records/per month × 4 months/per year)。解析においては、10、20、30、40日前(4時点)の害虫量データを使用し、さらに「複数地点予測」では、同様の4時点における他地点の害虫量データも説明変数に加えた。つまり、「複数地点予測」では、3地点の害虫量データを使用し、1つの地点(対象地点)におけるハスモンヨトウの発生量を予測する際は、他の2地点の害虫量データ(4時点の過去の発生データ×他の2地点)も使用した。なお、解析に使用したハスモンヨトウの害虫量データに対しては対数変換を行ったうえで、すべての説明変数を標準化した。
C1,C2,C3 サーバー
T 端末装置
M 害虫モニタリング装置
1 作物生育予測部
2 病害虫発生予測部
3 被害リスク予測部
4 データベース
41 生育予測用データベース
42 生育予測結果データベース
43 発生予測用データベース
44 発生予測結果データベース
45 被害リスクデータベース
46 計画データベース
47 資材データベース
48 使用資材データベース
49 防除効果予測結果データベース適宜
5 通信部
6 特定部
7 防除効果予測部
Claims (6)
- 対象地点における対象作物の病害虫及び雑草の少なくとも一種による被害リスクを予測する植物保護システムであって、
ユーザーにより営農データが入力され、且つ前記被害リスクが表示される端末装置と、
前記端末装置にネットワークを介して接続されたサーバーとを備え、
前記サーバーは、
前記端末装置に入力された前記営農データ及び前記対象地点における気象データを含む生育予測用データに基づいて、前記対象作物の生育ステージを予測する作物生育予測部と、
前記対象地点における対象作物の病害虫及び雑草の少なくとも一種の種類及びその発生量を予測する病害虫発生予測部と、
前記作物生育予測部での生育予測結果と、前記病害虫発生予測部での発生予測結果とに基づいて、前記被害リスクを予測する被害リスク予測部とを備え、
前記被害リスク予測部において、前記被害リスクは前記対象作物の生育ステージに応じて病害虫及び雑草の少なくとも一種ごとに予測され、
前記作物生育予測部において、予測された対象作物の生育ステージに基づいて、該生育ステージに応じた病害虫及び雑草の少なくとも一種ごとの防除の重要性を示す防除重要性データが特定されることを特徴とする、植物保護システム。 - 前記病害虫発生予測部において、前記対象地点と該対象地点とは異なる少なくとも1つの他地点とを含む複数地点における病害虫及び雑草の少なくとも一種の種類及びその発生量に基づいて、前記対象地点における対象作物の病害虫及び雑草の少なくとも一種の種類及びその発生量が予測されることを特徴とする、請求項1に記載の植物保護システム。
- 前記病害虫発生予測部において、予測された対象作物の病害虫及び雑草の少なくとも一種の種類及びその発生量と、前記作物生育予測部で予測された対象作物の生育ステージとに基づいて、該生育ステージに応じた病害虫及び雑草の少なくとも一種ごとの発生の緊急性を示す発生緊急性データが特定されることを特徴とする、請求項1に記載の植物保護システム。
- 前記防除重要性データ及び前記発生緊急性データは、それぞれ、数値化されたパラメータデータで特定されており、
前記被害リスク予測部において、対象作物の生育ステージと病害虫及び雑草の少なくとも一種の種類とに対応する、前記防除重要性データを示すパラメータと前記発生緊急性データを示すパラメータとを組み合わせて計算することにより、前記被害リスクが予測されることを特徴とする、請求項3に記載の植物保護システム。 - 前記サーバーは、前記病害虫発生予測部で予測された対象作物の病害虫及び雑草の少なくとも一種の種類及びその発生量、並びに/又は前記被害リスク予測部で予測された前記被害リスクに紐付けられた病害虫防除計画及び必要資材の少なくとも1つを含む病害虫防除情報を特定する特定部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の植物保護システム。
- 前記端末装置には、ユーザーにより使用資材データが入力され、
前記サーバーは、前記使用資材データと、対象作物の病害虫及び雑草の少なくとも一種の種類及びその発生量並びに/又は対象作物の生育情報とに基づいて、前記使用資材による防除の効果を予測する防除効果予測部をさらに備えており、
前記特定部において、前記防除効果予測部での防除効果予測結果に基づいて、前記病害虫防除情報が逐次更新されることを特徴とする、請求項5に記載の植物保護システム。
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