以下、図面を参照しながら各実施の形態について説明する。
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」などの用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば「シート」は、フィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。
また、本明細書において「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的且つ大局的に見た場合において対象となるシート状の部材の平面方向(面方向)と一致する面のことを指す。
<ワイヤレス電力伝送システム>
図1は、後述する実施の形態に係るコイル部品が適用され得るワイヤレス電力伝送システムSを概略的に示す。まず、ワイヤレス電力伝送システムS(以下、電力伝送システムSと略す。)について図1を参照しつつ説明する。
電力伝送システムSは、送電装置1と、受電装置2とを備える。送電装置1は、コイル部品10と、高周波電流供給部1Aとを含む。送電装置1におけるコイル部品10は、送電コイルとして機能する。高周波電流供給部1Aは、送電コイルとしてのコイル部品10に高周波電流を供給する。
受電装置2は、コイル部品10と、変換部2Aとを含む。受電装置2におけるコイル部品10は、受電コイルとして機能する。変換部2Aは、コイル部品10で生じる高周波電流を整形する。変換部2Aは、高周波電流を直流電流に変換する整流回路などを有する。
送電装置1から受電装置2にワイヤレス(非接触)で電力を伝送する際には、送電装置1が、高周波電流供給部1Aから送電コイルとしてのコイル部品10に所定の周波数の高周波電流を供給する。この際、コイル部品10には、電磁誘導により磁界が生じる。そして、この磁界の影響で、受電装置2では、受電コイルとしてのコイル部品10に高周波電流が生じる。変換部2Aは、この高周波電流を直流電流に変換し、変換した直流電流を例えば図示しないバッテリに供給する。
図1に示す電力伝送システムSは、電力伝送方式として、磁界共鳴方式を採用している。ただし、電力伝送システムSは、電磁誘導方式の電力伝送システムとして構成されてもよい。また、電力伝送システムSは、電気自動車にワイヤレスで電力を伝送するシステムとして構成される。この場合、送電装置1は、道路、駐車場などに設置される。受電装置2は、電気自動車に設置される。
ただし、電力伝送システムSの用途は、電気自動車への電力伝送に限られるものではない。例えば、電力伝送システムSは、ドローンなどの飛行体、ロボットへの電力伝送に用いられてもよい。また、電力伝送システムSは、海中における潜水艇や、探査ロボットへの電力伝送に用いられてもよい。なお、実施の形態に係るコイル部品の用途は、ワイヤレス電力伝送システムに限られない。例えば、実施の形態に係るコイル部品は、トランス、DC-DCコンバータ、アンテナなどに用いられてもよい。
電力伝送システムSはそれぞれ、コイル部品10として、後述する各実施の形態に係るコイル部品のいずれかを備える。なお、送電装置1及び受電装置2のそれぞれにおいて、同じ実施の形態のコイル部品が用いられてもよい。また、送電装置1及び受電装置2のそれぞれにおいて、互いに異なる実施の形態のコイル部品が用いられてもよい。また、送電装置1及び受電装置2のうちの一方において実施の形態のコイル部品が用いられ、他方ではその他の形式のコイル部品が用いられてよい。以下、各実施の形態に係るコイル部品について説明する。
<第1の実施の形態>
図2は、第1の実施の形態に係るコイル部品10Aの斜視図である。図3は、図2のIII-III線に沿うコイル部品10Aの断面図である。
図2及び図3に示すように、コイル部品10Aは、コイル11と、ケース20と、支柱30と、スペーサ部材40、磁気シールド部材44と、絶縁部材46と、第1接続端子51と、第2接続端子52と、を備える。
ケース20は、底壁部22と、底壁部22から立ち上がる側壁部23と、側壁部23の先端に設けられる頂壁部24と、を有する。図2では、説明の便宜上、頂壁部24が分離された状態で示されている。また、第1接続端子51及び第2接続端子52は、二点鎖線で簡易的に示されている。
ケース20は、コイル11、スペーサ部材40、磁気シールド部材44、及び絶縁部材46を収納する。支柱30は、後述するように頂壁部24に接続されるが、底壁部22と側壁部23と頂壁部24とによって囲まれる空間内に位置する。スペーサ部材40、磁気シールド部材44、及び絶縁部材46は、底壁部22上にこの順に配置されている。スペーサ部材40、磁気シールド部材44及び絶縁部材46はそれぞれシート状であり、重なっている。スペーサ部材40は、底壁部22と、磁気シールド部材44及び絶縁部材46との間に介在して、磁気シールド部材44及び絶縁部材46を支持する。コイル11は後述するように平面コイルであり、シート状の絶縁部材46に一体化されている。これにより、コイル11は、底壁部22から離れた状態で保持されている。
スペーサ部材40、磁気シールド部材44、絶縁部材46、及びコイル11は、側壁部23によって囲まれ、図3における上側から頂壁部24により覆われている。
支柱30は、底壁部22と頂壁部24との間に設けられ、底壁部22と頂壁部24は、支柱30を挟み込むように位置する。本実施の形態では、支柱30の一端が頂壁部24に接続され、支柱30の他端が底壁部22に接する。これにより、頂壁部24で受けた荷重が側壁部23と支柱30とに伝わり、頂壁部24で受けた荷重は、側壁部23と支柱30とによって支持される。なお、図2では、説明の便宜上、頂壁部24と支柱30とが分離された状態で示されている。以下、コイル部品10Aを構成する各部について詳細に説明する。
(コイル)
図4は、コイル11及び絶縁部材46の斜視図である。図5は、コイル11及び絶縁部材46の平面図である。コイル11は渦巻形状であり、導電材料から形成される。本実施の形態では、コイル11が銅から形成されるが、コイル11は導電材料であればよく、アルミニウムなどから形成されてもよい。図5では、説明の便宜上、コイル11の範囲にドットが付されている。
コイル11は板状である。すなわち、コイル11は平面コイルである。詳しくは、コイル11は、非リッツ線の平面コイルである。図3に示すように、コイル11の渦巻形状の周回方向に直交する方向での導線断面形状は矩形状になっている。
図2乃至図5に示す符号Cは、コイル11の渦巻形状の中心を通るコイル11の中心軸線を示している。以下、コイル11の軸方向と言う場合、その方向は、中心軸線C上を延びる方向又は中心軸線Cに平行な方向を意味する。また、中心軸線Cに直交する方向を径方向と言う。
コイル11は、渦巻形状を有する導電体11Eを含む。導電体11Eは、複数のターン部12nを含む。複数のターン部12nは、渦巻形状の中心軸線Cから径方向の外方に配列される。そして、複数のターン部12nは、中心軸線Cから径方向の外方に向かって中心軸線Cから次第に離れるように連なり、これにより、渦巻形状を形成する。
ターン部12nは、線状の導体部分が環状をなさずに中心軸線Cの周りを360度周回する形状を有する。いわゆる平面コイルである場合には、ターン部12nの両端部は、径方向にずれる。複数のターン部12nでは、或るターン部12nの径方向の外方側の端部に他のターン部12nの径方向の内方側の端部が接続し、他のターン部12nが中心軸線Cから離れるように延びていく。
ターン部12nにおける「n」は、1から、コイル11のターン数に対応する数字を取る変数を意味する。以下では、複数のターン部12nのうちの中心軸線Cに最も近いものを、ターン部121と称す場合がある。また、ターン部121における径方向の外方側の端部に接続するターン部を、ターン部122と称す場合があり、ターン部122における径方向の外方側の端部に接続するターン部を、ターン部123と称す場合がある。図4及び図5の例では、ターン数が9であり、複数のターン部12nが、9個のターン部121~129で構成される。ターン部129は、最外周に位置するターン部に対応する。
なお、ある部材の径方向の内方とは、当該部材よりも中心軸線Cに近い位置のことを意味する。また、ある部材の径方向の外方とは、当該部材よりも径方向の外方に離れた位置のことを意味する。例えば「コイル11の径方向の内方」と言う場合、これは、最内周のターン部121よりも中心軸線Cに近い位置のことを意味する。「コイル11の径方向の外方」と言う場合、これは、最外周のターン部129よりも径方向の外方に離れた位置のことを意味する。
図示の例において、コイル11の径方向の内方から1つ目のターン部12nは、ターン部121であり、コイル11の径方向の内方から2つ目のターン部12nは、122である。コイル11の径方向の外方から1つ目のターン部12nは、ターン部129であり、コイル11の径方向の外方から2つ目のターン部12nは、128である。また、2つの部材の位置関係を説明する際、径方向の内方の部材と言い、径方向の外方の部材と言う場合がある。この場合には、2つの部材のうちの中心軸線Cに近い部材が、径方向の内方の部材に対応する。また、2つの部材のうちの径方向の内方の部材よりも径方向に離れた位置にある部材は、径方向の外方の部材に対応する。
以下において複数のターン部12nのそれぞれに共通となる事項を説明する際には、基本的に、ターン部12nと称す。
本実施の形態では、ターン部12nが矩形状をなすように周回する。これにより、コイル11の平面視での形状も矩形状になる。図5に示すターン部12nは、第1直線部分131n、第1コーナー部分132n、第2直線部分133n、第2コーナー部分134n、第3直線部分135n、第3コーナー部分136n、第4直線部分137n、第4コーナー部分138nと、第5直線部分139nと、をこの順で接続させて矩形状をなす。第1直線部分131nの始端と、第5直線部分139nの終端とは、中心軸線Cから径方向に延ばした基準線St上に位置する関係になる。そして、第5直線部分139nの終端に、次のターン部12nの第1直線部分131nの始端が接続される。
上記符号131n~139nにおける「n」も、1から、コイル11のターン数に対応する数字を取る変数を意味する。以下、例えばターン部121の上記各部分のことを、第1直線部分1311、第1コーナー部分1321、第2直線部分1331、第2コーナー部分1341、第3直線部分1351、第3コーナー部分1361、第4直線部分1371、第4コーナー部分1381、第5直線部分1391と称す場合がある。
ターン部12nの形状について詳述すると、第1コーナー部分132nは、互いに離れた第1直線部分131nと第2直線部分133nとを連結している。第1直線部分131n、第1コーナー部分132n及び第2直線部分133nは、弓なりに曲がるように接続されている。本例では、第1コーナー部分132nが円弧状であり、第1直線部分131nは、第1コーナー部分132nの一端から直線に沿って延びる。第2直線部分133nは、第1コーナー部分132nの他端から直線に沿って延びる。
そして、第1直線部分131n、第1コーナー部分132n及び第2直線部分133nと同様の態様で、第2直線部分133n、第2コーナー部分134n及び第3直線部分135nが接続され、第3直線部分135n、第3コーナー部分136n及び第4直線部分137nが接続され、第4直線部分137n、第4コーナー部分138n及び第5直線部分139nが接続される。
なお、図5に示すターン部12nは矩形状に周回するが、ターン部12nの形状は特に限られるものではない。例えばターン部12nの一部又は全部は、円形をなすように周回する形状を有してもよい。また、上述のコーナー部分132n,134n,136n,138nは、直線状又は円弧に沿った折れ線状でもよい。なお、本明細書及び本開示で言う渦巻形状とは、螺旋状に巻いた平面曲線の形を意味する。ここで言う平面曲線には、図示のような折れ線状に曲がって連なる平面パターンも含む。また、言い換えると、渦巻形状は、コイル11の中心軸線Cの周りを、次第に外側に位置するように周回する形状である。
また、導電体11Eにおける複数の径方向に隣り合うターン部12nのペアの数は、ターン数が9であるため、8つになる。本実施の形態では、これら径方向に隣り合うターン部12nのペアに、径方向に隣り合うターン部12nとの間の隙間の幅が一定のものと、一定でないものと、が含まれる。
詳しくは、コイル11の径方向の内方から4つ目のターン部124と、5つ目のターン部125との隙間の幅は一定ではなく、当該隙間は、径方向に幅広の第1領域B1と、第1領域B1の径方向の幅よりも径方向での幅が狭い第2領域B2と、を含む。内方ターン部に対応する4つ目のターン部124と外方ターン部に対応する5つ目のターン部125においては、例えば、第1直線部分1314と第1直線部分1315が径方向に隣り合い、第2直線部分1334と第2直線部分1335が径方向に隣り合う。また、図示例では、第1直線部分1314と第1直線部分1315とが平行であり、第2直線部分1334と第2直線部分1335とが平行である。また、2つのターン部のうちの径方向の外方のターン部125の第1コーナー部分1325の両端である一端と他端との間の距離は、2つのターン部のうちの径方向の内方のターン部124の第1コーナー部分1324の両端である一端と他端との間の距離よりも小さい。より詳しくは、径方向の内方のターン部124の第1コーナー部分1324の曲率は、径方向の外方のターン部125の第1コーナー部分1325の曲率よりも小さい。
以上に説明した態様によって、径方向の外方の第1直線部分1315と径方向の内方の第1コーナー部分1324との間は、第1コーナー部分1324の中点の側に向けて次第に離れるように延びる。同様に、径方向の外方の第2直線部分1335と径方向の内方の第1コーナー部分1324との間は、第1コーナー部分1324の中点の側に向けて次第に離れるように延びる。この場合、径方向の内方の第1コーナー部分1324と径方向の外方の第1コーナー部分1325との間の距離は、例えば第1直線部分1314と第1直線部分1315との間の距離よりも長くなる。これにより、径方向の内方の第1コーナー部分1324と径方向の外方の第1コーナー部分1325との間は部分的に大きくなる。そして、第1領域B1は、径方向の内方の第1コーナー部分1324と径方向の外方の第1コーナー部分1325との間に形成される。また、第2領域B2は、例えば第1直線部分1314と第1直線部分1315との間に形成される。
本例では、4つ目のターン部124と5つ目のターン部125との隙間が、4つの第2領域B1を含む。詳しくは、径方向の内方の第1コーナー部分1324と径方向の外方の第1コーナー部分1325との間の第1領域B1に加えて、第2コーナー部分1344と第2コーナー部分1345との間の第1領域B1と、第3コーナー部分1364と第3コーナー部分1365との間の第1領域B1と、第4コーナー部分1384と第4コーナー部分1385との間の第1領域B1と、が形成される。そして、各第1領域B1には、後述する支柱30における第2支柱32が通過している。なお、第1領域B1及び第2領域B2は、4つ目のターン部124と5つ目のターン部125とのペア以外の他のターン部12nのペア間に形成されてもよい。
また、導電体11Eでは、隣り合うターン部12nの或るペアの間の隙間の幅が一定であるが、他の隣り合うターン部12nのペアの間の一定の隙間とは大きさが異なる場合がある。
具体的には、コイル11の径方向の内方から1つ目から4つ目までの4つのターン部121~124の間では、隣り合うターン部12nのペアの全ての間の隙間は一定である。また、コイル11の径方向の内方から5つ目から9つ目までの5つのターン部125~129の間では、隣り合うターン部12nのペアの全ての間の隙間は一定である。ただし、径方向の内方から5つ目から9つ目までの5つのターン部125~129の間において一定の大きさとなる隣り合うターン部12nのペア間の隙間は、径方向の内方から1つ目から4つ目までの4つのターン部121~124の間において一定の大きさとなる隣り合うターン部12nのペア間の隙間よりも小さい。
すなわち、本実施の形態では、コイル11のターン数nを2で割った値より大きい位置に存在する隣り合うターン部12nの間の隙間は、ターン数nを2で割った値より小さい位置に存在する隣り合うターン部12nの間の隙間よりも小さい。なお、隙間の大小の判断は、ターン数nを2で割った値より大きい位置に存在する隣り合うターン部12nの全ペア間の隙間の総面積を前記大きい位置に存在し連なる複数のターン部の全長で割った値と、ターン数nを2で割った値より小さい位置に存在する隣り合うターン部12nの全ペア間の隙間の総面積を前記小さい位置に存在し連なる複数のターン部の全長で割った値と、を比較することにより行われてもよい。
以上に説明したコイル11は、一例として銅板から渦巻形状に打ち抜かれて形成される。一方で、コイル11は、銅箔を渦巻形状にエッチングすることでも形成され得る。この場合、コイル11を複雑な渦巻形状パターンで形成可能となる。ただし、エッチングでは大電力の伝送を実施可能なコイル11の厚さの確保に手間がかかる。そのため、製造効率の観点では打ち抜きが好ましい。
また、コイル11における導電体11Eの厚さ、言い換えるとターン部12nの厚さは、例えば0.2mm以上1.0mm以下でもよい。また、コイル11の半径(中心軸線Cから径方向で最も離れた部分までの距離)は200mm以上でもよい。磁界共鳴方式で電気自動車に電力を伝送する場合、10KHzから200KHz、特に79KHzから90KHzの高周波電流の周波数域で、1Kw以上、望ましくは5Kw以上の電力を伝送可能とすることが望ましい。この場合、銅で形成されるコイル11の厚さは、0.4mm以上であることが好ましい。なお、コイル11の厚さが大き過ぎると重量が増加し、例えば車載に好ましくない。そのため、コイル11の厚さは、例えば2.0mm以下でもよいし、1.5mm以下でもよいし、1.0mm以下でもよい。
コイル11における導電体11Eの線幅は、特に限られない。ただし、例えば79KHzから90KHzの高周波電流の周波数域で、1Kw以上、好ましくは5Kw以上の電力を伝送可能とすることを考慮すると、ターン部12nの線幅は、2mm以上20mm以下でもよく、2mm以上16mm以下、2mm以上12mm以下、2mm以上8mm以下でもよい。なお、線幅とは、導電体11Eが周回する方向に直交する断面での導電体11Eの内周面と外周面との間の距離のことを意味する。
(ケース)
ケース20は、上述したように、底壁部22と、側壁部23と、頂壁部24とを有している。底壁部22は板状である。側壁部23は、底壁部22の周縁部から立ち上がり、コイル11の外周に位置する。側壁部23は、コイル11、支柱30、スペーサ部材40、磁気シールド部材44及び絶縁部材46を囲む。頂壁部24は、側壁部23の先端に結合し、側壁部23を閉鎖している。
ケース20は平面視で矩形状であり、底壁部22及び頂壁部24も平面視で矩形状である。側壁部23は、平面視で矩形枠状である。ただし、ケース20の平面視の形状は特に限られず、円形などの他の形状でもよい。コイル部品10Aは、例えば路面に設置される送電装置に組み込まれてもよい。路面に設置される送電装置では、車両が送電装置に乗り上がることが想定される。この場合、頂壁部24は、コイル11を上方から覆って保護する。
本実施の形態では、一例として側壁部23と頂壁部24とが一体的に形成され、同じ材料から形成されている。底壁部22は、側壁部23と頂壁部24とは別体で形成される。底壁部22は金属材料で形成され、導電性を有してもよい。具体的には、底壁部22はアルミニウムで形成されている。
上述したように、コイル部品10Aは路面に設置される送電装置に組み込まれることが想定される。この場合、側壁部23及び頂壁部24は、高い剛性及び強度を有することが好ましい。そのため、側壁部23及び頂壁部24の材料は、繊維強化プラスチックなどでもよい。側壁部23及び頂壁部24の材料は特に限られるものではない。ただし、コイル部品10Aでは、コイル11が発生させた磁気又は他のコイルからの磁気を頂壁部24を通して送受することを想定している。したがって、頂壁部24を形成する材料としては、磁気を遮断しない材料が選択される。頂壁部24は高い剛性及び強度を有することが好ましく、非導電性(絶縁性)且つ非磁性であることが好ましい。このような点を考慮し、頂壁部24の材料としては、繊維強化プラスチックが良い。絶縁性とは、体積抵抗率が、1010Ω・m以上であることを意味する。非磁性とは、磁性を示さないことを意味する。
側壁部23及び頂壁部24は、例えば射出成形により一体物で形成されてよい。また、側壁部23と頂壁部24とが別々に形成された後、溶着などにより互いに接合されてもよい。
底壁部22は、頂壁部24及び側壁部23とは異なる材料から形成されてもよい。底壁部22の材料は、アルミニウム合金、ステンレス鋼、合成樹脂などでもよい。底壁部22は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼などで形成される場合、外部への磁気漏洩を防ぐ磁気シールドとしても機能する。底壁部22が繊維強化プラスチックなどの合成樹脂で形成される場合には、生産性や軽量化の点で有利になり得る。ただし、底壁部22の材料は特に限られるものではない。
底壁部22を側壁部23に取り付ける態様は特に限られない。底壁部22は、側壁部23にネジ、ボルト等の締結手段により着脱可能に取り付けられてもよい。底壁部22は、側壁部23に溶着により取り付けられてもよいし、接着剤により取り付けられてもよい。
(支柱)
支柱30はコイル11の軸方向に延び、コイル11を通過している。支柱30は、互いに対向する頂壁部24と底壁部22とに挟み込まれるように位置する。本実施の形態では、支柱30の一端が頂壁部24の内面に接続され、支柱30の他端は底壁部22に接している。
図2に示すように、支柱30には、最内周に位置するターン部121の径方向の内方に位置し且つコイル11を通過する第1支柱31と、隣り合うターン部12nの間の隙間に位置し且つコイル11を通過する第2支柱32と、が含まれる。詳しくは、コイル部品10Aは、1つの第1支柱31と、4つの第2支柱32とを備える。ただし、支柱30の数は特に限られない。
第1支柱31は平面視で矩形状である。第1支柱31の4つの角部分は、円弧状に面取りされている。ターン部121は、第1直線部分1311、第1コーナー部分1321、第2直線部分1331、第2コーナー部分1341、第3直線部分1351、第3コーナー部分1361、第4直線部分1371、第4コーナー部分1381と、第5直線部分1391と、をこの順で接続させて矩形状をなす。平面視における第1支柱31の矩形状は、平面視におけるターン部121の矩形状と平行になっている。
また、第1支柱31の4つの角部分はそれぞれ、第1コーナー部分1321、第2コーナー部分1341、第3コーナー部分1361、第4コーナー部分1381と向き合う。このようなレイアウトにより、最内周に位置するターン部121の径方向の内方にスペース効率良く第1支柱31が設けられる。これにより、第1支柱31の断面積を可及的に大きく確保できる。
第1支柱31の形状は特に限られるものではなく、例えば円柱状や、楕円柱状などでもよい。第1支柱31が円柱状である場合、ターン部121の平面視形状は円形であることが好ましい。第1支柱31が楕円柱状である場合、ターン部121の平面視形状は楕円であることが好ましい。
第2支柱32は、4つ目のターン部124と5つ目のターン部125との隙間における上述した4つの第1領域B1のそれぞれを通過している。第2支柱32は、コイル11の径方向の内方から2つ目のターン部122からコイル11の径方向の外方から2つ目のターン部128までの範囲において、隣り合うターン部12nの間の隙間を通過することが好ましい。ただし、第2支柱32の位置は特に限られない。本実施の形態では、第2支柱32が4つ目のターン部124と5つ目のターン部125との隙間にのみ通されるが、他のターン部間の隙間に通される第2支柱32が設けられてもよい。
4つの第2支柱32は、中心軸線Cからの距離が同じになる位置に設けられている。コイル11の軸方向に見たとき、ケース20は矩形状である。この場合、第2支柱32は、コイル11の軸方向に見たとき、ケース20の対角線上に位置することが好ましい。又は、第2支柱32は、コイル11の軸方向に見たとき、ケース20の対角線をケース20の中心周りに±10度、好ましくは±5度回転させた位置に延びる2つの線分に挟まれる範囲内に位置することが好ましい。本実施の形態では、第2支柱32が後者の関係で設けられる。
なお、上述した渦巻形状の中心軸線Cは、本実施の形態では次のようにして定められる。まず、最内周のターン部121の径方向の内方の端部から最内周のターン部121と相似の形状の線状の仮想ターン部を径方向の内方に渦巻形状をなすように順次描画していく。そして、直径1cm内に収まる仮想ターン部が描画できるまで描画を継続する。そして、直径1cm内に収まる仮想ターン部の径方向の内方を、渦巻形状の周方向及び径方向に直交する方向に通過する線が、中心軸線Cとして定められる。
第1領域B1は、上述したように4つ目のターン部124と5つ目のターン部125との隙間において部分的に大きくなる領域である。このような第1領域B1に第2支柱32が通される場合、第2支柱32のサイズを大きくすることができる。一方で、4つ目のターン部124と5つ目のターン部125との隙間における第2領域B2は、第1領域B1よりも小さい。これにより、導電体11Eの面積の減少が抑制される。そのため、支柱の影響によりコイル特性が損なわれることが抑制される。
本実施の形態における第2支柱32は円柱状であるが、第2支柱32の形状は特に限られない。第2支柱32は、角柱状や、楕円柱状でもよい。第2支柱32は、断面形状が三角形、半円状、三日月、扇型等になる柱状でもよい。
第1支柱31及び第2支柱32は、コイル11を通過するため、コイル11から生じる磁気への影響が少ない又はない材料で形成されることが好ましい。具体的には、第1支柱31及び第2支柱32は、高い剛性及び強度を有することが好ましく、非導電性(絶縁性)且つ非磁性であることが好ましい。このような点を考慮し、第1支柱31及び第2支柱32の材料は、繊維強化プラスチックでもよい。ただし、第1支柱31及び第2支柱32の材料は特に限られるものではない。
また、第1支柱31及び第2支柱32は頂壁部24と一体的に接続される。本実施の形態では、第1支柱31及び第2支柱32と、頂壁部24とが一体に成形されている。なお、第1支柱31及び第2支柱32と頂壁部24は別々に形成された後、溶着などにより接合されてもよい。また、第1支柱31及び第2支柱32は底壁部22と一体的に接続されてもよい。また、第1支柱31及び第2支柱32はケース20と分離していてもよく、この場合、底壁部22と頂壁部24とに挟まれる状態で保持されてもよい。
また、第1支柱31の平面視での大きさは、コイル11の平面視での面積の10%以下でもよい。第2支柱32の1つあたりの平面視での大きさは、コイル11の平面視での面積の2.5%以下でもよい。ここで言うコイル11の平面視での面積は、コイル11の外周側端部11Bを最外周のターン部129に最短距離で接続した閉じ形状で囲まれる範囲の面積である。
(スペーサ部材)
スペーサ部材40は底壁部22に重なる状態で配置されている。スペーサ部材40は、コイル11を底壁部22から離した位置で支持する部材である。本実施の形態におけるスペーサ部材40は、磁気シールド部材44及び絶縁部材46を介してコイル11を支持している。スペーサ部材40は、底壁部22と磁気シールド部材44とに接している。
図示のスペーサ部材40はシート状又は板状である。底壁部22におけるスペーサ部材40が存在しない部分には、送電装置を構成する際に用いられるコンデンサなどの部品が配置されてもよい。ただし、スペーサ部材40の形状は特に限られない。
また、スペーサ部材40の材料は特に限られない。スペーサ部材40は、例えば、金属で形成されてもよいし、樹脂で形成されてもよい。
(磁気シールド部材)
磁気シールド部材44は、磁気の透過及び/又は漏れ磁界の抑制のために設けられている。磁気シールド部材44はシート状であり、平面視で絶縁部材46及びコイル11を包含する大きさに形成されている。磁気シールド部材44には、支柱30を通過させるための貫通孔が形成されている。磁気シールド部材44に形成される貫通孔は、コイル11において最内周に位置するターン部121の径方向の内方と、コイル11に形成される各第1領域B1と、に重なる。
磁気シールド部材44は磁性体を含む。コイル部品10Aで生じる磁界は、コイル11の中心軸線Cに対して全方向に広がるように生じる。この際、磁気シールド部材44は磁性を有することで、広がろうとする磁束線を中心軸線C側に配向できる。また、コイル部品10Aで生じる磁界が他の周辺部品側に流れると、周辺部品に悪影響が生じる場合がある。そのため、磁気シールド部材44は、磁力線の透過を抑制するために設けられている。これにより、磁気シールド部材44は電流の発生に寄与しない漏れ磁界を抑制できる。
磁気シールド部材44は好ましくは軟磁性体を含む。より具体的には、磁気シールド部材44はフェライトを含む、好ましくはソフトフェライトを含む。また、磁気シールド部材44は、ナノ結晶磁性体を含んでもよい。
(絶縁部材)
絶縁部材46は、コイル11の軸方向でコイル11と重なる。この状態で、絶縁部材46はコイル11と一体化されている。絶縁部材46はシート状であり、平面視でコイル11を包含する大きさに形成されている。
図3乃至図5に示すように、絶縁部材46は、コイル11の渦巻形状に対応する渦巻形状の凹部46gを有する。凹部46gは、コイル11の軸方向で見るときに渦巻形状であり、且つコイル11の軸方向で、言い換えると絶縁部材46の厚さ方向でへこむ。そして、コイル11の少なくとも一部は、その渦巻形状を凹部46gの渦巻形状に整合させた状態で、凹部46g内に収納されている。詳しくは、凹部46gは、導電体11Eの全体を収納する。
本実施の形態では、導電体11Eは凹部46gから突出せずに、絶縁部材46と面一である。ただし、コイル11の一部が凹部46gから突出するように、コイル11の一部が凹部46g内に収納されてもよい。また、絶縁部材46に凹部46gが形成されず、平坦な絶縁部材46の面にコイル11が設けられてもよい。また、導電体11Eは、外部に露出しない状態で絶縁部材46に埋め込まれてもよい。
絶縁部材46は、コイル11に凹部46gにおいて溶着している。すなわち、コイル11と凹部46gとは、アンカー効果で接合されている。コイル11と絶縁部材46とは例えば熱プレスにより一体化される。この際、絶縁部材46の一部がコイル11の表面の凹所に入り込み、その後、硬化する。これにより、コイル11と凹部46gとが溶着され、絶縁部材46はコイル11と一体化される。
本実施の形態では、絶縁部材46がガラス繊維入りエポキシ樹脂を含む。すなわち、絶縁部材46は、熱硬化性樹脂(熱硬化性材料)としてのエポキシ樹脂と、ガラス繊維とを含む材料から形成されている。コイル11と絶縁部材46とが熱プレスにより一体化される場合、絶縁部材46の形成材料にコイル11が押し込まれることで、渦巻形状の凹部46gが形成される。この際、絶縁部材46の形成材料がガラス繊維入りエポキシ樹脂であると、エポキシ樹脂が軟化し、コイル11の側面に沿うように流動して、凹部46gが形成される。この際、ガラス繊維は、エポキシ樹脂の過剰な流動を抑制する。
以上の点から、絶縁部材46及びその形成材料は、ガラス繊維入りエポキシ樹脂であることが好ましい。ただし、絶縁部材46及びその形成材料は特に限られるものではない。例えば、ガラス繊維が含まれなくもよい。また、ガラス繊維の代わりに、炭素繊維などが用いられてもよい。また、エポキシ樹脂ではなく、ポリイミド(熱可塑性樹脂)が用いられてもよい。
また、絶縁部材46には、図4及び図5に示すように支柱30を通過させるための貫通孔46tが形成されている。絶縁部材46に形成される貫通孔46tは、コイル11において最内周に位置するターン部121の径方向の内方と、コイル11に形成される各第1領域B1と、に重なる。詳しくは、貫通孔46tは、ターン部121の径方向の内方に重なる第1貫通孔46t1と、第1領域B1に重なる第2貫通孔46t2とを含む。第1貫通孔46t1は、平面視で矩形状である。第2貫通孔46t2は、円形である。なお、磁気シールド部材44に形成される孔は、対応する貫通孔46tと同じ形状でもよい。
また、図3に示すように、絶縁部材46及び絶縁部材46に一体化されたコイル11はケース20の頂壁部24の内面から離れている。これにより、頂壁部24が受けた荷重がコイル11に伝わることが抑制され、コイル11の保護が可能となる。ただし、コイル11及び/又は絶縁部材46は頂壁部24の内面に接してもよい。
(接続端子)
図2に示すように、第1接続端子51はコイル11の内周側端部11Aに接続されている。第2接続端子52はコイル11の外周側端部11Bに接続されている。なお、本実施の形態では、導電体11Eにおけるターン部121における径方向の内方側の端部に接続されたリード部がコイル11の内周側端部11Aを形成する。ターン部129の径方向の外方側の端部に接続されたリード部がコイル11の外周側端部11Bを形成する。第1接続端子51及び第2接続端子52は、例えば高周波電流供給部1A又は変換部2Aとの接続の際に用いられ得る。第1接続端子51と内周側端部11Aとの接続及び第2接続端子52と外周側端部11Bとの接続は、超音波接合で行われる。ただし、その接続手法は限られず、例えば導電性接着剤による接続が採用されてもよい。
(コイル部品の用途)
本実施の形態に係るコイル部品10Aは、例えば上述したワイヤレス電力伝送システムSの送電装置1における送電コイルとして用いることができ、受電装置2における受電コイルとして用いることができる。
送電コイルとしてコイル部品10Aを用いる場合、第1接続端子51及び第2接続端子52が図1で示したような高周波電流供給部1A又は交流電源に接続される。高周波電流がコイル部品10Aに供給されると、電流を、第1接続端子51からコイル11に流した後、第2接続端子52から高周波電流供給部1A又は交流電源に流すことができる。また、電流を、第2接続端子52からコイル11に流した後、第1接続端子51から高周波電流供給部1A又は交流電源に流すことができる。これにより、コイル11の中心軸線に沿う磁力線を含む磁界を発生させることができる。
一方で、受電コイルとしてコイル部品10Aを用いる場合、コイル11の中心軸線に沿う磁力線を含む磁界を受けることで、コイル11に高周波電流を発生させることができる。そして、この高周波電流を、第1接続端子51又は第2接続端子52から外部の装置に供給できる。
(作用・効果)
以上に説明したコイル部品10Aは、コイル11と、コイル11を収納する収納部材であるケース20と、コイル11の軸方向に延び、コイル11を通過する一つ又は複数の支柱30と、を備える。コイル11は、渦巻形状を有する導電体11Eを含み、導電体11Eは渦巻形状の中心軸線Cから径方向の外方に配列された複数のターン部12nを含む。そして、支柱30の両端部のうちの少なくとも一方は、ケース20の内面に接続されるか又はケース20の内面に接するか又はケース20の内面から離れて前記内面と向き合う。本実施の形態では、支柱30の一端部が頂壁部24の内面に接続されている。
この構成では、ケース20が受けた荷重を支柱30で支持できるため、ケース20のみで荷重を負担する場合よりもコイル部品10Aの強度が向上する。また、支柱30がコイル11を通過するように設けられることで、例えばコイル11の径方向の外方に支柱等の耐力部材が設けられる場合よりもコイルサイズの制約が緩和される。これにより、支柱30の影響によるコイル面積の減少が抑制されるため、コイル特性が損なわれることが抑制され得る。したがって、良好な強度及び良好なコイル特性を確保できる。
また、支柱30には、最内周に位置するターン部121の径方向の内方に位置する第1支柱31が含まれる。この構成では、最内周のターン部121の径方向の内方の比較的広いスペースを活用して大型の第1支柱31を設けることができる。これにより、コイル部品10Aの強度を効果的に向上できる。
また、支柱30には、隣り合うターン部12nの間を通過する第2支柱32が含まれる。この構成では、ターン部12n間の隙間を活用し第2支柱32を設けることにより、第2支柱32がコイル特性へ与える影響を抑制できる。これにより、良好なコイル特性を確保しつつ、コイル部品10Aの強度を効果的に向上できる。
また、第2支柱32は、コイル11の径方向の内方から2つ目のターン部122とコイル11の径方向の外方から2つ目のターン部128との間に位置することが好ましい。本実施の形態では、コイル11の径方向の内方から4つ目のターン部124と5つ目のターン部125との間に第2支柱32が位置する。この構成では、第2支柱32がコイルの径方向の内方寄り又は外方寄りに偏って配置されることを回避できる。これにより、コイル部品10Aにおける局所的な強度及び剛性の低下を抑制できるため、コイル部品10Aの強度を効果的に向上できる。
また、第2支柱32が通過する隣り合うターン部124,125の間の隙間は、第2支柱32が通過する第1領域B1と、第1領域B1の径方向での幅よりも径方向での幅が狭い第2領域B2とを含む。この構成では、第1領域B1を第2領域B2よりも大きくすることで、第2支柱32の面積を極力大きく確保できる。また、第2領域B2を狭くすることで、コイル11の面積の減少を抑制できる。これにより、コイル部品10Aの強度を効果的に向上させつつ、良好なコイル特性を確保できる。
また、第2支柱32が通過する隙間を形成する隣り合う内方ターン部に対応するターン部124及び外方ターン部に対応するターン部125においては、第1直線部分1314と第1直線部分1315が径方向に隣り合い、第2直線部分1334と第2直線部分1335が径方向に隣り合う。また、2つのターン部のうちの径方向の外方のターン部125の第1コーナー部分1325の両端である一端と他端との間の距離は、2つのターン部のうちの径方向の内方のターン部124の第1コーナー部分1324の両端である一端と他端との間の距離よりも小さい。これにより、第1領域B1は、内方ターン部に対応するターン部124の第1コーナー部分1324と、外方ターン部に対応するターン部125の第1コーナー部分1325との間に形成される。
この構成では、ターン部12nにおける急激な形状変化を抑制して電気抵抗を抑制しつつ、第2支柱32を通過させる第1領域B1を第2領域B2よりも大きくできる。これにより、良好な強度及び良好なコイル特性の確保の点で極めて有利となる。本実施の形態では、径方向に隣り合う第1コーナー部分1324,1325は円弧状であり、径方向の内方の第1コーナー部分1324の曲率は、外方の第1コーナー部分1325の曲率よりも小さい。この場合、簡易的な形態でターン部124,125における急激な形状変化を抑制して電気抵抗を抑制しつつ、第2支柱32を通過させる第1領域B1を第2領域B2よりも大きくできる。そのため、生産性、良好な強度及び良好なコイル特性の確保の点で極めて有利となる。
また、コイル11の軸方向に見たとき、ケース20は矩形状である。そして、コイル11の軸方向に見たとき、第2支柱32は、ケース20の対角線上に位置するか又はケース20の対角線をケース20の中心周りに±10度回転させた位置に延びる線分に挟まれる範囲内に位置する。この構成では、例えば第2支柱32がコイル11の第1支柱31及びケース20と協働してケース20が受けた荷重を負担することにより、支柱30の数を抑えつつ所望の強度を確保できる。これにより、良好な強度確保の点で有利になる。
また、コイル部品10Aは、コイル11の軸方向でコイル11に接する絶縁部材46をさらに備える。絶縁部材46には、第2支柱32が通過する隣り合うターン部124,125の間の隙間に重なる貫通孔が形成される。そして、第2支柱32は、絶縁部材46における貫通孔と、隣り合うターン部124,125の間の隙間とを通過する。この構成では、絶縁部材46によってコイル11の補強や変形を抑制しつつ、支柱30によりコイル部品10A全体の強度を向上できる。
また、コイル11は、支柱30が接続されるか又は接するか又は向き合うケース20の内面から離れる。この構成では、ケース20の内面からコイル11に荷重が伝わることを抑制でき、コイル11を保護できる。また、本実施の形態では支柱30がケース20の内面に接続されている。この構成では、ケース20と支柱30が一体化させることで、取り扱い性が良好となり、且つ高い強度を確保しやすくなる。また、ケース20は、コイル11の外周を囲む側壁部23と、側壁部23を閉鎖する端壁に対応する頂壁部24とを有する。そして、支柱30は、頂壁部24に一体的に接続されている。この構成では、支柱30と側壁部23とで頂壁部24からの荷重を負担できる。そのため、コイル部品10Aの強度を効果的に向上できる。
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係るコイル部品10Bについて説明する。図6はコイル部品10Bの斜視図である。図7はコイル部品10Bを構成するコイル11及び絶縁部材46の斜視図である。本実施の形態における構成部分のうちの第1の実施の形態の構成部分と同じものには同一の符号が付され、重複する説明は省略する。
図6及び図7に示すように、本実施の形態におけるコイル部品10Bは、2種の第2支柱32,32’を備える。2種の第2支柱32,32’のうちの第2支柱32は、第1の実施の形態で説明した構成と同じである。一方で、第2支柱32’は、第2支柱32とは異なる位置でコイル11を通過する。
第2支柱32’は、径方向に隣り合うターン部12nにおける互いに隣り合う径方向の内方の直線部分と径方向の外方の直線部分との間を通過する。図7に示すように、絶縁部材46には第2支柱32’を通過させるための第3貫通孔46t3が形成される。
より詳しくは、複数の隣り合うターン部12nにおける互いに隣り合う直線部分間に第2支柱32’が通過している。本実施の形態では、図5も参照し、径方向の内方から1つ目から9つ目までにおいて径方向に隣り合うターン部12nの8つのペアの全てで、径方向の内方の第1直線部分131nと径方向の外方の第1直線部分131nとの間、径方向の内方の第2直線部分133nと径方向の外方の第2直線部分133nとの間、径方向の内方の第3直線部分135nと径方向の外方の第3直線部分135nとの間、径方向の内方の第4直線部分137nと径方向の外方の第4直線部分137nとの間に、第2支柱32’が通過している。第2支柱32’の平面視での形状は、対応する直線部分間に沿って延びる長方形状である。
図8乃至図10は、コイル部品10Bの製造方法を説明する図である。本例では、まず、図8に示すように、コイル中間体11Mが準備される。コイル中間体11Mは、コイル11に、正確には導電体11Eに複数の連結部11Cが設けられた形状を有する。図示の連結部11Cは、導電体11Eにおける径方向で隣り合うターン部12n間を接続している。渦巻形状そのもののコイル11が打ち抜き加工で形成される場合には、コイル11が変形しやすくなる。連結部11Cは、コイル11の形状を維持するために設けられている。
次いで、図9に示すようにコイル中間体11Mと絶縁部材中間体46Mとが一体化される。コイル中間体11Mと絶縁部材中間体46Mとは熱プレスにより一体化されてもよい。絶縁部材中間体46Mは、貫通孔46tが形成される前の絶縁部材46に対応する。絶縁部材中間体46Mの形成材料は、熱硬化性樹脂(熱硬化性材料)としてのエポキシ樹脂と、ガラス繊維とを含む材料でもよい。熱プレスを行う場合、シート状の絶縁部材中間体46Mの形成材料と、コイル中間体11Mとが重ね合わされてもよい。そして、金型又はプレス機により、絶縁部材中間体46Mの形成材料とコイル中間体11Mとが押し付けられるように加圧しつつ加熱してもよい。
次いで、図10に示すように連結部11Cが削除される。この際、絶縁部材中間体46Mの一部とともに、連結部11Cが導電体11Eの軸方向に除去される。コイル11は、連結部11Cが除去されることにより形成される。絶縁部材中間体46Mには、第1貫通孔46t1と、第2貫通孔46t2と、第3貫通孔46t3とが形成される。これにより、絶縁部材46が形成される。第3貫通孔46t3は、絶縁部材中間体46Mにおける連結部11Cの対応部分を含む領域に形成される。第3貫通孔46t3は、連結部11Cよりも大きいサイズに形成される。第3貫通孔46t3は、隣り合うターン部12nにおける直線部分間に沿って長尺に延びる。これにより、第2支柱32’のサイズを大きく確保できる。
すなわち、第3貫通孔46t3は、連結部11Cを除去する際に形成される孔である。本実施の形態では、製造過程に起因して形成される第3貫通孔46t3が、第2支柱32’を通す孔として利用されている。
以上に説明した第2の実施の形態では、支柱30の数が増えるため、コイル部品10Bの強度が向上する。また、隣り合うターン部12nにおける直線部分間に第2支柱32’を配置することで、第2支柱32’の長さを大きくしやすくなり、且つ第2支柱32’の形状も簡易的になる。これにより、支柱の製造にかかる手間を抑制しつつ、良好な強度の確保の点で有利になる。
また、絶縁部材46における第2支柱32’を通す第3貫通孔46t3は、連結部11Cを除去する際に形成される孔である。そのため、製造過程に起因して形成される孔を有効活用してコイル部品10Bの強度を向上できる。なお、第3貫通孔46t3に第2支柱32’を配置しない場合には、第3貫通孔46t3を埋めることで絶縁部材46の強度を向上させてもよい。
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態に係るコイル部品10Cについて説明する。図11はコイル部品10Cの斜視図である。図12はコイル部品10Cを構成するコイル11及び絶縁部材46の斜視図である。本実施の形態における構成部分のうちの第1及び第2の実施の形態の構成部分と同じものには同一の符号が付され、重複する説明は省略する。
図11及び図12に示すように、本実施の形態におけるコイル部品10Cは、第1支柱31と、4つの第2支柱32とを備える。第1支柱31及び第2支柱32の位置及び数は、第1の実施の形態と同様である。一方で、第2支柱32の形状は、第1の実施の形態と異なる。
詳しくは、本実施の形態における第2支柱32は平面視で半円状に形成されている。すなわち、第2支柱32は、横断面での断面形状が半円状の柱状体として形成される。第2支柱32の円弧面は、隣り合うターン部12nのうちの径方向の外方のコーナー部分と対面している。絶縁部材46における第3貫通孔46t3も平面視で半円状に形成される。そして、第3貫通孔46t3は第1領域B1に重なる。
本実施の形態では、第2支柱32が平面視で半円状に形成されることで、第1領域B1を通過する第2支柱32のサイズを大きくしやすくなる。これにより、コイル部品10Cにおける良好な強度の確保の点で有利になる。
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態に係るコイル部品10Dについて説明する。図13はコイル部品10Dの斜視図である。図14はコイル部品10Dを構成するコイル11及び絶縁部材46の斜視図である。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第3の実施の形態の構成部分と同じものには同一の符号が付され、重複する説明は省略する。
図13及び図14に示すように、本実施の形態におけるコイル部品10Dは、第1の実施の形態と同様の第1支柱31と、第2の実施の形態で説明した複数の第2支柱32’と、を備える。一方で、コイル11における第1領域B1には第2支柱32が配置されない。
本実施の形態では、絶縁部材46における貫通孔46tの数を抑えることで、絶縁部材46の強度確保の点で有利になる。なお、コイル11においては第1領域B1が形成されてなくてもよい。
<第5の実施の形態>
次に、第5の実施の形態に係るコイル部品10Eについて説明する。図15はコイル部品10Eの断面図である。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第4の実施の形態の構成部分と同じものには同一の符号が付され、重複する説明は省略する。
図15に示すように、本実施の形態におけるコイル部品10Eでは、コイル11における導電体11Eが、外部に露出しない状態で絶縁部材46に埋め込まれている。このような構成では、コイル11の反りを効果的に抑制できる。
<第6の実施の形態>
次に、第6の実施の形態に係るコイル部品10Fについて説明する。図16はコイル部品10Fの断面図である。本実施の形態における構成部分のうちの第1
図16に示すように、本実施の形態におけるコイル部品10Fでは、コイル11が、第1コイル11-1と、第2コイル11-2とを含む。絶縁部材46は三層の構成であり、第1絶縁部材46-1と、第2絶縁部材46-2と、第3絶縁部材46-3とを含む。そして、第1コイル11-1と、第2コイル11-2と、第1絶縁部材46-1と、第2絶縁部材46-2と、第3絶縁部材46-3とが一体化されている。第1コイル11-1及び第2コイル11-2それぞれが含む導電体11Eは、外部に露出しない状態で絶縁部材46(46-1~46-3)に埋め込まれている。第1コイル11-1と、第2コイル11-2とは、軸方向に重なっており、軸方向に離れた状態で保持されている。第1コイル11-1は、正確にはその導電体11Eは、第1絶縁部材46-1と第2絶縁部材46-2との間に挟まれている。第2コイル11-2は、正確にはその導電体11Eは、第2絶縁部材46-2と第3絶縁部材46-3との間に挟まれている。また、第1絶縁部材46-1は、磁気シールド部材44に接している。
第1コイル11-1と第2コイル11-2とは直列に接続されてもよいし、並列に接続されてもよい。なお、図16では、第1絶縁部材46-1と第2絶縁部材46-2との境界が、第1コイル11-1の厚さ方向の中点近傍に示される。第2絶縁部材46-2と第3絶縁部材46-3との境界が、第2コイル11-2の厚さ方向の中点近傍に示される。これら境界は、第1絶縁部材46-1と第2絶縁部材46-2と第3絶縁部材46-3とが一体化された際に外観上表れなくなる場合があるが、図16で説明の便宜のために明確に示している。
以上のような構成では、第1コイル11-1と、第2コイル11-2と、第1絶縁部材46-1と、第2絶縁部材46-2と、第3絶縁部材46-3との一体物で生じ得る反りを効果的に抑制できる。また、コイルの総量が増えることで、コイルの単位面積あたりの発熱量を抑制できる。
<コイルの特性評価>
次に、第1の実施の形態に係るコイル部品10Aのコイル特性と、比較例に係るコイル部品のコイル特性とを評価した結果を説明する。評価では、各コイル部品に85Hzの高周波電流を供給し、その際のインダクタンスLs及びインピーダンスRsが測定された。そして、測定されたLs及びRsからQ値が算出された。
第1の実施の形態に係るコイル部品10Aでは、コイル11の径方向の内方から4つ目のターン部124と5つ目のターン部125との間の隙間が第1領域B1で部分的に大きくなる。比較例では、コイルの径方向の内方から1つ目~4つ目のターン部の形状は、コイル部品10Aと同じである。一方で、4つ目のターン部と5つ目のターン部との隙間の幅は一定である。そして、比較例では、1つ目のターン部から9つ目のターン部まで、ターン部間の隙間の幅を一定にしつつ各ターン部が渦巻形状を形成する。評価結果は、以下の表1に示すとおりである。
本実施の形態に係るコイル部品10AのインダクタンスLsは、比較例よりも下がっている。これは、コイル11の面積が比較例よりも減少したことが原因と考えられる。一方で、コイル部品10AのインピーダンスRsは、比較例よりも下がっている。これは、本実施の形態では近接効果による抵抗上昇が抑制されているものと考えられる。そして、Q値で比較すると、両者に差はないと評価できる。このような結果から、本実施の形態では、支柱30のために広げたターン部12n間の隙間が近接効果による抵抗上昇の抑制に寄与することが推認された。そして、これにより、コイル特性が損なわれることが抑制されつつ、支柱30によってコイル部品10Aの強度を向上できる効果が得られることが推認された。
以上、本開示の実施の形態を説明したが、上述の実施の形態には種々の変更を加えてもよい。このような変形例も、本開示の技術的範囲に含まれ得る。