WO2024106455A1 - コイル部品及びその製造方法、送電装置、受電装置、並びに電力伝送システム - Google Patents

コイル部品及びその製造方法、送電装置、受電装置、並びに電力伝送システム Download PDF

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Abstract

[解決手段]一実施の形態に係るコイル部品10は、第1平面コイル11と、第1平面コイル11に隙間を空けて重ねられる第2平面コイル12と、前記隙間を埋める第3層23を含むスペーサ部材20と、を備える。そして、このコイル部品10では、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向に流れる電流に対する第3層23の体積抵抗値が、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向に直交する面に定められる直交座標系CS上の第3層23の位置によって異なる。

Description

コイル部品及びその製造方法、送電装置、受電装置、並びに電力伝送システム
 本開示は、コイル部品及びその製造方法、送電装置、受電装置、並びに電力伝送システムに関する。
 非接触で電力を伝送するワイヤレス電力伝送システムが普及しつつある。
 例えば、コイルを含む共振回路に高周波の電流を流すことで、非接触で電力を伝送するシステムが知られている。
 コイルに高周波の電流が流される場合、表皮効果が生じ得る。表皮効果は、交流抵抗を増大させるため、電力伝送時の伝送効率を低下させる原因になる。これを考慮し、コイルをリッツ線で形成した場合には、表皮効果が抑制され得るため、伝送効率の低下が抑制され得る。ただし、リッツ線は、多数のエナメル線を撚り合わせて形成されるため、製造コストが高く且つ製造に手間がかかり、コイルのサイズが大きくなる程、製造の手間が大きくなる。
 一方で、渦巻形状且つ板状で、導線断面が矩形状の平面コイルを採用する技術も知られている(JP2020-47514A参照)。このような平面コイルは、例えば板材から打ち抜かれることで形成され得る。したがって、このような平面コイルによれば、コイルのサイズによらず製造効率の向上が図れる。また、コイルを組み込む装置の薄型化及び軽量化の点でも有利になる。
 また、特許文献1には、コイルに重なるように磁性体を設けるとともに、コイルにおける隣り合うターン部の間に磁性体を設ける構造が開示されている。この構造によれば、ターン部間での近接効果による損失増加を抑制することが可能となる。
 上記のような平面コイルでインダクタンスを増加させる場合、複数の平面コイルを重ねて直列に接続することにより、全体的なターン数を増加させてもよい。本件発明者は、このような平面コイルの多層化構造において、互いに対面する平面コイルの間の隙間を、例えば1mm以下など比較的小さく設定することで、コイル性能が向上し得ることを知見している。また、上記隙間が小さくなると、薄型化の点でも有利になる。本件発明者はさらに、上記隙間を磁性体で埋めた場合には、コイル性能がより向上し得ることも知見している。
 しかしながら、上記隙間が小さくなると、互いに対面する平面コイルの間での絶縁破壊又は短絡が生じやすくなる。これを考慮し、上記隙間を大きくした場合には、薄型化及びコイル性能が損なわれ得る。
 本開示の課題は、複数の平面コイルが重ねられる場合において、大型化及び性能低下を抑えつつ、互いに対面する平面コイルの間の絶縁を適正に確保できるコイル部品及びその製造方法、送電装置、受電装置、並びに電力伝送システムを提供することである。
 本開示の実施の形態は、以下[1]~[21]に関連する。
[1] 第1平面コイルと、
 前記第1平面コイルに隙間を空けて重ねられる第2平面コイルと、
 前記隙間を埋める層を含むスペーサ部材と、を備え、
 前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向に流れる電流に対する前記層の体積抵抗値が、前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向に直交する面に定められる直交座標系上の前記層の位置によって異なる、コイル部品。
[2] 前記層の厚さが部分的に異なり、
 前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとの間の距離が部分的に異なる、[1]に記載のコイル部品。
[3] 第1平面コイルと、
 前記第1平面コイルに隙間を空けて重ねられる第2平面コイルと、
 前記隙間を埋める層を含むスペーサ部材と、を備え、
 前記層の厚さが部分的に異なり、
 前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとの間の距離が部分的に異なっている、コイル部品。
[4] 前記第1平面コイルは、径方向に配列される3つ以上のターン部を含み、
 前記第2平面コイルは、径方向に配列される3つ以上のターン部を含み、
 前記第1平面コイルの中心からn番目(nは、1から、3以上となる前記第1平面コイルのターン数までの整数)のターン部は、前記第2平面コイルの中心からn番目(nは、1から、3以上となる前記第2平面コイルのターン数までの整数)のターン部と部分的に対面するように位置し、
 前記層における、前記第1平面コイルの中心から3番目以上のターン部と、前記3番目以上のターン部と対面する前記第2平面コイルの対応するターン部との間に位置する部分の一部又は全部の厚さが、前記第1平面コイルの中心から2番目以下のターン部と、前記2番目以下のターン部と対面する前記第2平面コイルの対応するターン部との間に位置する部分の厚さよりも大きくなっている、[2]又は[3]に記載のコイル部品。
[5] 前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向における前記第2平面コイルの外周縁から前記第1平面コイルまでの距離が、前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向における前記第2平面コイルの内周縁から前記第1平面コイルまでの距離よりも大きくなるように、前記第2平面コイルが湾曲している、[2]乃至[4]のいずれかに記載のコイル部品。
[6] 前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとは、それぞれの径方向の内方の端部で電気的に接続されている、[1]乃至[5]のいずれかに記載のコイル部品。
[7] 前記第1平面コイルは、径方向に配列される3つ以上のターン部を含み、
 前記第2平面コイルは、径方向に配列される3つ以上のターン部を含み、
 前記第1平面コイルの中心からn番目(nは、1から、3以上となる前記第1平面コイルのターン数までの整数)のターン部は、前記第2平面コイルの中心からn番目(nは、1から、3以上となる前記第2平面コイルのターン数までの整数)のターン部と部分的に対面するように位置し、
 前記層における、前記第1平面コイルの最外周のターン部から数えて3番目以上のターン部と、前記3番目以上のターン部と対面する前記第2平面コイルの対応するターン部との間に位置する部分の一部又は全部の部分の厚さが、前記第1平面コイルの最外周の前記ターン部から数えて2番目以下のターン部と、前記2番目以下のターン部と対面する前記第2平面コイルの対応するターン部との間に位置する部分の厚さよりも大きくなっている、[2]又は[3]に記載のコイル部品。
[8] 前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向における前記第2平面コイルの内周縁から前記第1平面コイルまでの距離が、前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向における前記第2平面コイルの外周縁から前記第1平面コイルまでの距離よりも大きくなるように、前記第2平面コイルが湾曲している、[2]又は[3]に記載のコイル部品。
[9] 前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとは、それぞれの径方向の外方の端部で電気的に接続されている、[1]乃至[3]のいずれか、又は[7]又は[8]に記載のコイル部品。
[10] 前記第2平面コイルは、径方向に配列される複数のターン部を含み、
 前記複数のターン部のうちの少なくとも1つのターン部は、前記第1平面コイルから遠ざかるように湾曲している、[1]乃至[9]のいずれかに記載のコイル部品。
[11] 前記少なくとも1つのターン部は、貫通孔を有し、前記少なくとも1つのターン部における少なくとも前記貫通孔の周縁部が前記第1平面コイルから遠ざかるように湾曲している、[10]に記載のコイル部品。
[12] 前記スペーサ部材は、全体的に磁性を有する、[1]乃至[11]のいずれかに記載のコイル部品。
[13] 前記スペーサ部材は、樹脂を含む保持材料と、前記保持材料に保持された磁性体粒子とを含む、[12]に記載のコイル部品。
[14] 前記層は、磁性体を含む磁性体含有部分と、磁性体を含まない非磁性部分と、を含み、
 前記磁性体含有部分の前記体積抵抗値が、前記非磁性部分の前記体積抵抗値よりも小さくなっている、[1]に記載のコイル部品。
[15] 前記非磁性部分は、ナイロン又はポリプロピレン又はエポキシで形成される、[14]に記載のコイル部品。
[16] 前記第1平面コイルは、径方向に配列される3つ以上のターン部を含み、
 前記第2平面コイルは、径方向に配列される3つ以上のターン部を含み、
 前記第1平面コイルの中心からn番目(nは、1から、3以上となる前記第1平面コイルのターン数までの整数)のターン部は、前記第2平面コイルの中心からn番目(nは、1から、3以上となる前記第2平面コイルのターン数までの整数)のターン部と部分的に対面するように位置し、
 前記層における、前記第1平面コイルの中心から3番目以上のターン部と、前記3番目以上のターン部と対面する前記第2平面コイルの対応するターン部との間に位置する部分の一部又は全部が、前記非磁性部分で形成される、[14]又は[15]に記載のコイル部品。
[17] 前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向における距離が、内周側から外周側に向けて次第に大きくなる、[2]、[3]、[5]、[6]、及び[10]~[13]のいずれかに記載のコイル部品。
[18] 互いに高さが異なる部分を含む設置面を有する金型を準備する工程と、
 第2平面コイルの一部が前記設置面における前記高さが異なる部分に対面するように前記第2平面コイルを前記金型に設置する工程と、
 第1成形材料を前記第2平面コイルを介して前記設置面に押し付けて、硬化された前記第1成形材料と前記第2平面コイルとを一体化させる工程と、
 前記金型から前記第1成形材料と前記第2平面コイルとを取り外す工程と、
 前記第2平面コイルにおける前記第1成形材料と接合する面とは反対の面との間に隙間を形成し、且つ、前記反対の面に重なるように、第1平面コイルを配置する工程と、
 前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとの間を埋めるように第2成形材料を充填する工程と、を備える、コイル部品の製造方法。
[19] [1]乃至[17]のいずれかに記載のコイル部品を備える、送電装置。
[20] [1]乃至[17]のいずれかに記載のコイル部品を備える、受電装置。
[21] 送電装置と、受電装置とを備え、
 前記送電装置及び前記受電装置のうちの少なくともいずれかが、[1]乃至[17]のいずれかに記載のコイル部品を備える、電力伝送システム。
 本開示によれば、複数の平面コイルが重ねられる場合において、大型化及び性能低下を抑えつつ、互いに対面する平面コイルの間の絶縁を適正に確保できる。
第1の実施の形態に係るコイル部品が適用されるワイヤレス電力伝送システムを概略的に示す図である。 第1の実施の形態に係るコイル部品の平面図である。 図2に示すコイル部品の分解斜視図である。 図2に示すコイル部品の断面図である。 図2に示すコイル部品の平面図であって、コイル部品における厚さの異なる部分を示す図である。 図2に示すコイル部品に電流を流した際の電界強度分布の一例を示す図である。 図2に示すコイル部品の製造方法の一例を説明する図である。 図2に示すコイル部品の製造方法の一例を説明する図である。 図2に示すコイル部品の製造方法の一例を説明する図である。 図2に示すコイル部品の製造方法の一例を説明する図である。 図2に示すコイル部品の製造方法の一例を説明する図である。 図2に示すコイル部品の製造方法の一例を説明する図である。 図2に示すコイル部品の製造方法の一例を説明する図である。 第2の実施の形態に係るコイル部品の断面図である。 第3の実施の形態に係るコイル部品の断面図である。 図15に示すコイル部品の製造方法の一例を説明する図である。 第4の実施の形態に係るコイル部品の断面図である。 図17に示すコイル部品の製造方法の一例を説明する図である。 第5の実施の形態に係るコイル部品の断面図である。 第6の実施の形態に係るコイル部品の断面図である。 図20に示すコイル部品に所定の寸法を設定した際の電界強度と、比較例に係るコイル部品の電界強度とを説明するためのグラフを示す図である。 図20に示すコイル部品の斜視図であり、当該コイル部品に設定された図21の場合とは異なる所定の寸法が図面上に表記された図である。 図22に示す寸法条件のコイル部品の電界強度を説明するためのグラフを示す図である。 図20に示すコイル部品の斜視図であり、当該コイル部品に設定された図21及び図22の場合と異なる所定の寸法が図面上に表記された図である。 図24に示す寸法条件のコイル部品の電界強度を説明するためのグラフを示す図である。
 以下、図面を参照しながら各実施の形態について説明する。
 なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」などの用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば「シート」は、フィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。
<<第1の実施の形態>>
 図1は、第1の実施の形態に係るコイル部品10が適用されるワイヤレス電力伝送システムSを概略的に示す。まず、ワイヤレス電力伝送システムS(以下、電力伝送システムSと略す。)について図1を参照しつつ説明する。なお、電力伝送システムSに第1の実施の形態とは異なる実施の形態に係るコイル部品が適用され得ることは言うまでもない。
<ワイヤレス電力伝送システム>
 電力伝送システムSは、送電装置1と、受電装置2とを備える。送電装置1は、コイル部品10と、高周波電流供給部1Aとを含む。送電装置1におけるコイル部品10は、送電コイルとして機能する。高周波電流供給部1Aは、送電コイルとしてのコイル部品10に高周波電流を供給する。
 受電装置2は、コイル部品10と、変換部2Aとを含む。受電装置2におけるコイル部品10は、受電コイルとして機能する。変換部2Aは、コイル部品10で生じる高周波電流を整形する。変換部2Aは、高周波電流を直流電流に変換する整流回路などを有する。変換部2Aは、例えば複数のダイオードを含む全波整流回路と、平滑化コンデンサーと、を備えて構成されてもよい。
 本実施の形態では、送電装置1及び受電装置2のそれぞれがコイル部品10を含む。ただし、送電装置1及び受電装置2のうちの一方のみにコイル部品10が用いられ、他方には異なる形式のコイル部品が用いられてもよい。
 送電装置1から受電装置2にワイヤレス(非接触)で電力を伝送する際には、送電装置1が、高周波電流供給部1Aから送電コイルとしてのコイル部品10に所定の周波数の高周波電流を供給する。この際、コイル部品10には、電磁誘導により磁界が生じる。そして、この磁界の影響で、受電装置2では、受電コイルとしてのコイル部品10に高周波電流が生じる。すなわち、受電装置2は送電装置1から磁界を受信して又は送電装置1での磁界の影響を受けて、電磁誘導により高周波電流を通流させる。変換部2Aは、この高周波電流を直流電流に変換し、変換した直流電流を例えば図示しないバッテリに供給する。
 図1に示す電力伝送システムSは、電力伝送方式として、磁界共鳴方式を採用している。ただし、本実施の形態に係るコイル部品10は、電磁誘導方式の電力伝送システムで用いられてもよい。また、電力伝送システムSは、電気自動車にワイヤレスで電力を伝送するシステムとして構成される。この場合、送電装置1は、道路、駐車場などに設置される。受電装置2は、電気自動車に設置される。
 ただし、電力伝送システムSの用途は、電気自動車への電力伝送に限られるものではない。例えば、電力伝送システムSは、ドローンなどの飛行体、ロボットへの電力伝送に用いられてもよい。また、電力伝送システムSは、海中における潜水艇や、探査ロボットへの電力伝送に用いられてもよい。また、コイル部品10の用途は、ワイヤレス電力伝送システムに限られない。例えば、コイル部品10は、トランス、DC-DCコンバータ、アンテナなどに用いられてもよい。
<コイル部品>
 以下、コイル部品10について説明する。図2は、コイル部品10の平面図である。図3は、コイル部品10の分解斜視図である。図4は、コイル部品10の断面図である。図4は、図2のIV-IV線に対応する断面図である。
 図2乃至図4に示すように、コイル部品10は、第1平面コイル11と、第2平面コイル12と、スペーサ部材20と、第1接続端子61と、第2接続端子62と、を備えている。図2においては、説明の便宜のために第2平面コイル12にドットが付けられている。
 図4に示すように、第1平面コイル11と第2平面コイル12とは、隙間を空けて互いに重ねられる。スペーサ部材20は、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の隙間を維持するように機能する。また、スペーサ部材20は、第1平面コイル11と第2平面コイル12とを一体化させる機能も有する。
 図3及び図4に示すように、スペーサ部材20は、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の隙間を埋めつつ、第1平面コイル11における第2平面コイル12と対面する面(第1の面11A)の反対の面(第2の面11B)を覆っている。図3では、説明の便宜のために、スペーサ部材20における第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の隙間を埋める部分(層)と、第1平面コイル11における第2平面コイル12と対面する面の反対の面を覆う部分(層)と、が分離されて示されているが、これらの部分は、実際は、図4に示すように、つなぎ目無く一体的に形成されている。また、図2及び図3では、第1接続端子61及び第2接続端子62が二点鎖線にて簡略的に示されている。以下、コイル部品10の各部について詳述する。
(第1平面コイル及び第2平面コイル)
 第1平面コイル11は渦巻形状であり、導電材料から形成される。本実施の形態では、第1平面コイル11が銅を含む。具体的には、第1平面コイル11は銅から形成される。ただし、第1平面コイル11は、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等で形成されてもよい。
 図3に示すように、第1平面コイル11は板状であり、図4に示すように、第1平面コイル11が渦巻形状に周回する方向(言い換えると渦巻形状で延びる方向)に直交する方向での第1平面コイル11の断面形状は、矩形状である。
 図2及び図3に示す符号C1は、第1平面コイル11の渦巻形状の中心を通る第1平面コイル11の第1中心軸線を示している。以下、第1平面コイル11の軸方向と言う場合、その方向は、第1中心軸線C1上を延びる方向又は第1中心軸線C1に平行な方向を意味する。また、第1中心軸線C1に直交する方向を第1平面コイル11の径方向と言う。第1平面コイル11は、軸方向で互いに反対となる第1の面11Aおよび第2の面11Bを含む。第1平面コイル11は、第1の面11Aに対して第2平面コイル12を隙間を空けて重ねられる。
 図3に示すように、第1平面コイル11は、複数のターン部11nにより渦巻形状をなす導電体11Eを有する。第1平面コイル11の複数のターン部11nは、渦巻形状の第1中心軸線C1に直交する方向である径方向に配列される。詳しくは、当該複数のターン部11nは、渦巻形状の第1中心軸線C1から径方向の外方に向かって第1中心軸線C1から次第に離れるように接続される。そして、これにより渦巻形状が形成される。
 ターン部11nは、基本的には線状の導体部分が環状をなさずに第1中心軸線C1の周りを360度周回する形状である。いわゆる平面コイルである場合には、ターン部11nの両端部は、径方向にずれる。複数のターン部11nでは、或るターン部11nの径方向の外方の端部に他のターン部11nの径方向の内方の端部が接続し、他のターン部11nが第1中心軸線C1から離れるように延びていく。
 以下では、複数のターン部11nのうちの第1中心軸線C1に最も近いものを、ターン部111と称す場合がある。また、ターン部111に接続するターン部を、ターン部112と称す場合がある。本実施の形態では、複数のターン部11nが、5個のターン部111~115で構成される。以下において複数のターン部11nのそれぞれに共通となる事項を説明する際には、基本的に、ターン部11nと称す。
 本実施の形態では、ターン部11nが矩形状をなすように周回する。ただし、ターン部11nは、円形をなすように周回する形状でもよい。なお、本明細書及び本開示で言う渦巻形状とは、螺旋状に巻いた平面曲線の形を意味する。ここで言う平面曲線には、図示のような折れ線状に曲がりつつ繰り返し周回する平面パターンも含む。また、言い換えると、渦巻形状は、第1平面コイル11の第1中心軸線C1の周りを、次第に外側に位置するように周回する形状である。
 第1中心軸線C1に最も近いターン部111の径方向の内方の端部(第1中心軸線C1に近い端部)は、第2平面コイル12と電気的に接続される。一方で、複数のターン部11nのうちの第1中心軸線C1から最も離れるターン部115の径方向の外方の端部(第1中心軸線C1から離れる方の端部)は、第1接続端子61と接続している。
 ここで、第1平面コイル11(ターン部11n)の径方向の内方とは、当該径方向において第1中心軸線C1に近づく方向を意味する。また、第1平面コイル11(ターン部11n)の径方向の外方とは、当該径方向において第1中心軸線C1から離れる方向を意味する。また、第1中心軸線C1は、本実施の形態では次のようにして定められる。まず、最内周のターン部111の径方向の内方の端部から最内周のターン部111と相似の形状の線状の仮想ターン部を径方向の内方に渦巻形状をなすように順次描画していく。そして、直径1cm内に収まる仮想ターン部が描画できるまで描画を継続する。そして、直径1cm内に収まる仮想ターン部の径方向の内方の領域を、渦巻形状の周方向及び径方向に直交する方向に通過する線が、第1中心軸線C1として定められる。
 本実施の形態における第1平面コイル11は、一例として銅板から渦巻形状に打ち抜かれて形成される。ただし、第1平面コイル11は、銅箔を渦巻形状にエッチングすることでも形成され得る。
 第1平面コイル11の厚さ(導電体11Eの厚さ)は、例えば0.1mm以上1.0mm以下でもよい。また、第1平面コイル11の半径(第1中心軸線C1から径方向で最も離れた部分までの距離)は80mm以上でもよく、80mm以上450mm以下でもよい。また、断面形状が矩形となる第1平面コイル11(導電体11E)のアスペクト比は、第1平面コイル11(導電体11E)の径方向幅(径方向での幅)を第1平面コイル11(導電体11E)の厚さで割ることにより定められる。第1平面コイル11(導電体11E)のアスペクト比は、40以下でもよいし、2以上12以下でもよいし、3以上10以下でもよい。
 磁界共鳴方式で電気自動車に電力を伝送する場合、10KHzから200KHz、特に75KHz以上100KHz以下、さらに79KHzから90KHzの高周波電流の周波数帯で、1Kw以上、望ましくは5Kw以上の電力を伝送可能とすることが望ましい。この場合、銅で形成される第1平面コイル11の厚さは、0.2mm以上であることが好ましい。この観点で、第1平面コイル11の厚さの下限値が、0.2mmに設定されてもよい。また、電気自動車に電力を伝送する場合、サイズが過剰に大きいことは望まれず、サイズを制限されることがある。この観点で、第1平面コイル11及び後述の第2平面コイル12も、詳しくは第1平面コイル11の導電体11E及び第2平面コイル12の導電体12Eは、一辺が800mmの正方形に収まるサイズで形成されることが好ましい。
 また、第1平面コイル11の線幅(導電体11Eの線幅)、すなわち各ターン部11nの径方向幅(径方向での幅)は、特に限られない。ただし、例えば79KHzから90KHzの高周波電流の周波数帯で、1Kw以上、望ましくは5Kw以上の電力を伝送可能とすることを考慮すると、ターン部11nの径方向幅は、2mm以上20mm以下でもよく、2mm以上16mm以下、2mm以上12mm以下、2mm以上8mm以下でもよい。また、第1平面コイル11のターン数は、4以上12以下でもよいが、特に限られない。
 つづいて、第2平面コイル12も渦巻形状であり、本実施の形態では、第2平面コイル12が銅を含む。詳しくは、第2平面コイル12は銅から形成される。なお、第2平面コイル12の材質は特に限られず、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等でもよい。また、第2平面コイル12も板状であり、図4に示すように、第2平面コイル12が渦巻形状に周回する方向に直交する方向での第2平面コイル12の断面形状は、矩形状である。
 図2及び図3に示す符号C2は、第2平面コイル12の渦巻形状の中心を通る第2平面コイル12の第2中心軸線を示している。以下、第2平面コイル12の軸方向と言う場合、その方向は、第2中心軸線C2上を延びる方向又は第2中心軸線C2に平行な方向を意味する。また、第2中心軸線C2に直交する方向を第2平面コイル12の径方向と言う。第2平面コイル12は、軸方向で互いに反対となる第1の面12Aおよび第2の面12Bを含む。第2平面コイル12は、第1の面12Aをスペーサ部材20から露出させ、第2の面12Bで第1平面コイル11(第1の面11A)と対面する。
 本実施の形態では、第2平面コイル12が第1平面コイル11と同軸になるように配置されている。つまり、第1平面コイル11の第1中心軸線C1と第2平面コイル12の第2中心軸線C2とが一致する、言い換えると、同一直線上に位置する。ただし、第1平面コイル11と第2平面コイル12は、第1平面コイル11の第1中心軸線C1と第2平面コイル12の第2中心軸線C2とが互いに平行になるように重なってもよい。すなわち、第1平面コイル11と第2平面コイル12は同軸でなくてもよい。
 第2平面コイル12も、複数のターン部12nにより渦巻形状をなす導電体12Eを有する。第2平面コイル12の複数のターン部12nは、渦巻形状の第2中心軸線C2に直交する方向に配列される。
 複数のターン部12nの接続態様や、位置に応じた呼称(ターン部121など)は、第1平面コイル11のターン部11nと同様である。本実施の形態では、第1平面コイル11のターン数と第2平面コイル12のターン数とが同じであり、複数のターン部12nは、5個のターン部121~125で構成される。また、ターン部12nは、ターン部11nと同様に矩形状をなすように周回する。なお、ターン部12nは、円形をなすように周回する形状でもよい。また、第1平面コイル11のターン数と第2平面コイル12のターン数とは異なってもよい。また、例えばターン部12nが矩形状となり、ターン部11nが円形状となる態様でもよい。
 上述したように第1中心軸線C1に最も近いターン部111の径方向の内方の端部は、第2平面コイル12と電気的に接続される。詳しくは、ターン部111の径方向の内方の端部は、第2平面コイル12におけるターン部121の内方の端部に接続される。ここで、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが接続された際、第1平面コイル11が第2平面コイル12に接続されない端部(ターン部115の径方向の外方の端部)から第2平面コイル12に接続される端部まで周回する方向は、第2平面コイル12が第1平面コイル11に接続される端部から第1平面コイル11に接続されない端部(ターン部125の径方向の外方の端部)まで周回する方向と同じになる。
 そして、複数のターン部12nのうちの第2中心軸線C2から最も離れるターン部125の径方向の外方の端部は、第2接続端子62と接続している。なお、第2平面コイル12(ターン部12n)の径方向の内方及び外方が意味する方向は、上述した第1平面コイル11の径方向の内方及び外方の場合と同様に定められる。また、第2中心軸線C2の位置の決め方も、第1中心軸線C1の場合と同様に定められる。また、本実施の形態における第2平面コイル12も、一例として銅板から渦巻形状に打ち抜かれて形成される。ただし、第2平面コイル12は、銅箔を渦巻形状にエッチングすることでも形成され得る。
 本実施の形態では、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる状態において、図4に示すように第1平面コイル11の中心からn番目(nは、1から、第1平面コイル11のターン数までの整数)のターン部11nは、第2平面コイル12の中心からn番目(nは、1から、第2平面コイル12のターン数までの整数)のターン部12nと部分的に対面するように位置している。また、第1平面コイル11の中心からn番目のターン部11nは、第2平面コイル12の中心からn番目以外(n-1や、n+1等)のターン部12nとは対面しないように位置している。第1平面コイル11の中心からn番目のターン部11nと、第2平面コイル12の中心からn番目のターン部12nとが対面する範囲は、ターン部11n及びターン部12nのそれぞれの全長に対して1/2以上でもよく、3/4以上でもよい。本件発明者の知見では、良好なコイル性能の確保の観点において、ターン部11nと対応するターン部12nとが対面する範囲は大きいほど好ましい。
 本実施の形態では、ターン部11nと対応するターン部12nとの互いに対面する部分は、互いに重なる方向(軸方向)で見たときに、一方に対して他方がはみ出ないように対面する。本件発明者の知見では、良好なコイル性能の確保の観点において、ターン部11nと対応するターン部12nとの互いに対面する部分は、互いに重なる方向(軸方向)で見たときに、一方に対して他方がはみ出ないように対面することが好ましい。本実施の形態では、ターン部11nの線幅とターン部12nの線幅とが同じであり、ターン部11nとターン部12nとの互いに対面する部分は、互いに重なる方向(軸方向)で見たときに一方に対して他方がはみ出さない。すなわち、ターン部11nとターン部12nとの互いに対面する部分の一方を他方に対して軸方向に投影したときに、投影した一方の像が他方に一致する関係が成り立っている。
 図3を参照し、本実施の形態では、ターン部11n及びターン部12nがそれぞれ、正方形の四辺に沿って延び且つ一部が開放する主部11nX,12nXと、主部11nX,12nXの一方の端部から径方向の内側に延びる移行部11nY,12nYと、を含む。そして、互いに対面するターン部11nとターン部12nにおいては、主部11nXと主部12nXとがほぼ全体で互いに対面する。これにより、ターン部11nと対応するターン部12nとの互いに対面する範囲は、それぞれのターン部11n及びターン部12nの全長に対して90%以上になっている。
 本実施の形態では、第2平面コイル12の厚さ(導電体12Eの厚さ)は、例えば0.1mm以上1.0mm以下でもよい。また、第2平面コイル12の半径(第2中心軸線C2から径方向で最も離れた部分までの距離)は、第1平面コイル11の場合と同様に、80mm以上でもよく、80mm以上450mm以下でもよい。また、断面形状が矩形となる第2平面コイル12(導電体12E)のアスペクト比は、第1平面コイル11の場合と同様に、40以下でもよいし、2以上12以下でもよいし、3以上10以下でもよい。また、第2平面コイル12の線幅(導電体12Eの線幅)、すなわち各ターン部12nの径方向幅(径方向での幅)は、2mm以上20mm以下でもよく、2mm以上16mm以下、2mm以上12mm以下、2mm以上8mm以下でもよい。また、第2平面コイル12のターン数は、4以上12以下でもよいが、特に限られない。
 また、第1平面コイル11と第2平面コイル12は隙間を空けて重なっている。この隙間は、例えば0.5mm以上2.5mm以下でもよいし、0.5以上1.5mm以下でもよい。
 ここで、本実施の形態では、図4に示すように第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の隙間の寸法が部分的に異なっている。言い換えると、スペーサ部材20における第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の隙間を埋める部分(後述の第3層23)の厚さが部分的に異なることで、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の距離が部分的に異なっている。これにより、本実施の形態では、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向に流れる電流に対するスペーサ部材20における上記隙間を埋める部分(第3層23)の体積抵抗値が、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向に直交する面に定められる直交座標系CS上の上記部分(第3層23)の位置によって異なる状態が形成される。図4及び図5には直交座標系CSが示され、当該直交座標系CSが規定される方向が示されている。
 なお、上述した第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向に直交する面とは、言い換えると、第1中心軸線C1及び第2中心軸線C2に直交する又は実質的に直交する面である。また、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向に直交する面は、第1平面コイル11の径方向及び第2平面コイル12の径方向に平行な面である。
 「体積抵抗値」は、「体積抵抗率」が一定の場合、距離に比例して大きくなる。本実施の形態では、スペーサ部材20が一種の材料から形成されるため、スペーサ部材20の全体の体積抵抗率が一定となる。したがって、スペーサ部材20の厚さ方向に流れる電流に対する体積抵抗値は、言い換えると第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向に流れる電流に対する体積抵抗値は、スペーサ部材20における第1平面コイル11と第2平面コイル12との隙間を埋める部分の厚さが大きい程、大きくなる。本実施の形態では、スペーサ部材20における第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の隙間を埋める部分(第3層23)における外周側の部分が、内周側の部分よりも大きくなっている。これにより、スペーサ部材20における外周側の部分の体積抵抗値が、内周側の部分よりも大きくなる。スペーサ部材20の第3層23の或る位置における、厚さ方向に流れる電流に対する体積抵抗値は、上記或る位置を厚み方向で一対の電極で挟み込み、電極間に電流を流すことにより、計測される電気抵抗値である。この計測の際、一対の電極それぞれのスペーサ部材20に対する接触面は、5mm×5mmに設定される。本実施の形態では、第1平面コイル11がスペーサ部材20に埋め込まれ、第2平面コイル12がスペーサ部材20に一体化されているため、体制抵抗値の計測の際には、適宜スペーサ部材20が切断されつつ、第1平面コイル11及び第2平面12コイルがスペーサ部材20から取り出され、第3層23の厚さ方向における2つの対向する面を露出させた後、この2つの対向する面に上記電極を接触させる。以下、スペーサ部材20について詳述する。
(スペーサ部材)
 スペーサ部材20は、上述したように第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の隙間を埋めつつ、第1平面コイル11における第2平面コイル12と対面する第1の面11Aの反対の第2の面11Bを覆っている。詳しくは、図4に示すように、スペーサ部材20は、第1平面コイル11の第2の面11Bを覆う第1層21と、第1層21から第2平面コイル12に向かう方向に第1層21に対して積み重なるように位置する第2層22、第3層23及び第4層24と、を含む。このうちの第3層23が、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の隙間を埋める部分であり、部分的に異なる厚さを有している。なお、これら第1層21、第2層22、第3層23、及び第4層24は、実際は、つなぎ目無く一体的に形成されている。
 第1平面コイル11及び第2平面コイル12の軸方向で見た場合に、第1層21、第2層22及び第3層23は、第1平面コイル11及び第2平面コイル12の全体を包含する大きさに形成されている。第1層21は、第1平面コイル11の第2の面11Bを覆うシート状の部分である。第1層21は、第1平面コイル11の第2の面11Bと接し、第2の面11Bを全体的に覆っている。第2層22は、第1層21に重なり、第1平面コイル11の側面を覆う部分である。言い換えると、第2層22は、第1平面コイル11の側面の全体を径方向の内方及び外方から覆う部分である。なお、第1平面コイル11の側面は、第1の面11Aと第2の面11Bとの間に位置する面である。
 第3層23は、上述したように第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の隙間を埋めるシート状の部分であって、第2平面コイル12と直接的に接している。詳細は後述するが、図4に示すように、第3層23の厚さは部分的に異なる。そして、第4層24は、第3層23における第2平面コイル12が位置しない部分から、言い換えると第3層23における第2平面コイル12の隣り合うターン部12n間から露出する部分から、突出する部分である。第4層24は、図2及び図3に示すように渦巻形状の第2平面コイル12に沿って渦巻形状で延びている。第4層24は、第2平面コイル12を越えるように突出している。図4に示すように、本実施の形態では第4層24の先端の位置(高さ位置)が径方向の内方の端部から外方の端部にわたって一定になっている。ただし、第4層24の先端の位置は部分的に異なってもよい。
 以下、第3層23について詳述する。本実施の形態における第3層23は、互いに厚さの異なる第1部分23Aと第2部分23Bとを含んでいる。図5においては、第2部分23Bに対応する範囲にドットが付されている。第2部分23Bは、第3層23において第1部分23Aよりも外周側に位置する部分である。図4に示すように、第2部分23Bの厚さT2は、第1部分23Aの厚さT1よりも大きくなっている。厚さT1は、例えば0.3mm以上0.7mm以下でもよく、0.4mm以上0.6mm以下でもよく、0.5mmでもよい。厚さT2は、例えば厚さT1の2.5倍以上4倍以下でもよい。厚さT2は、例えば1mm以上2.5mm以下でもよく、1.25mm以上2mm以下でもよく、1.25mm以上1.75mm以下でもよく、1.5mmでもよい。
 上述したように、第1平面コイル11の中心からn番目のターン部11nは、第2平面コイル12の中心からn番目のターン部12nと部分的に対面するように位置する。本実施の形態では、図4及び図5に示すように、第1平面コイル11の中心から3番目のターン部113と第2平面コイル12の中心から3番目のターン部123とが互いに対面する部分の間に位置する第3層23の部分及び当該部分よりも外周側に位置する部分を含む範囲が、第2部分23Bに対応する。すなわち、第1平面コイル11の中心から3番目のターン部113と第2平面コイル12の中心から3番目のターン部123とが互いに対面する部分から外周側に延び広がる第2部分23Bが、その内周側の第1部分23Aよりも厚さが大きくなっている。
 すなわち、ここで本実施の形態では、第3層23における、第1平面コイル11の中心から3番目以上のターン部113~115と、当該3番目以上のターン部113~115と対面する第2平面コイル12の対応するターン部123~125との間に位置する部分の一部又は全部(本例では、全部)の厚さ(T2)が、第1平面コイル11の中心から2番目以下のターン部111、112と、当該2番目以下のターン部111、112と対面する第2平面コイル12の対応するターン部121、122との間に位置する部分の厚さ(T1)よりも大きくなる、という関係が成り立っている。
 本実施の形態では、上述のように第3層23において第2部分23Bの厚さが第1部分23Aの厚さよりも大きく、スペーサ部材20が一種の材料から形成される。そのため、第3層23では、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向に流れる電流に対する第2部分23Bの体積抵抗値が、厚さの小さい第1部分23Aの体積抵抗値よりも大きくなる。
 また、第3層23において第2部分23Bの厚さT2が第1部分23Aの厚さT1よりも大きくなることで、第2部分23Bを挟んで対面する第1平面コイル11及び第2平面コイル12における外周側の部分間の距離は、第1部分23Aを挟んで対面する第1平面コイル11及び第2平面コイル12における内周側の部分間の距離よりも大きくなる。ここで、本実施の形態では第3層23における第1平面コイル11に接する面は平坦である一方、第3層23における第2平面コイル12に接する面は、第1部分23Aと第2部分23Bとに対応して段差形状になる。そして、上記段差形状に対応して、第2平面コイル12が第1平面コイル11から遠ざかるように湾曲している。詳しくは、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向(軸方向)における第2平面コイル12の外周縁から第1平面コイル11までの距離が、第1平面コイル11と第2平面コイルとが重なる方向における第2平面コイル12の内周縁から第1平面コイル11までの距離よりも大きくなるように、第2平面コイル12が湾曲している。
 本実施の形態のように第1平面コイル11と第2平面コイル12とがそれぞれの径方向の内方の端部で電気的に接続される場合、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の電界強度(電位差)は、径方向の内方の端部から径方向から離れるにしたがって、大きくなる傾向がある。この場合、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間では、外周寄りの位置において絶縁破壊又は短絡が生じやすくなる。これに対して、本実施の形態では、上述のように第1平面コイル11と第2平面コイル12との間を埋める第3層23において外周側に位置する第2部分23Bの厚さを内周側に位置する第1部分23Aよりも大きくすることにより、第2部分23Bの体積抵抗値を高める。また、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の距離を外周側で大きくする。これにより、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の層の体積抵抗値が一定の場合又は第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の距離が一定の場合よりも、絶縁破壊又は短絡が生じることが抑制される。
 そして、本実施の形態では第3層23において外周側に位置する第2部分23Bの厚さを内周側に位置する第1部分23Aよりも大きくするが、厚さが大きくなる第2部分23Bは、第3層23における一部である。そのため、第3層23の厚さの増加による大型化やコイル性能の低下が抑制される。
 図6は、コイル部品10に電流を流した際の第1平面コイル11と第2平面コイル12との間での電界強度分布の一例を示す図である。図6では、電強強度の大きさがドットの濃度で示されている。図6においては、ドットの濃度が高いほど、電界強度がより大きいことが示されている。また、ドットが示されていない部分は、電位差が無い又はほぼ無い。
 図6では、第1平面コイル11の中心から3番目のターン部113と、当該3番目のターン部113と対面する第2平面コイル12の対応するターン部123との間から電界強度が徐々に増加し、第1平面コイル11における最外周のターン部115と第2平面コイル12における最外周のターン部125との間の電界強度が最も大きくなる傾向が生じている。このように中心から3番目周辺のターン部間から電界強度が大きくなる傾向は、ターン数が6以上になった場合、3以上4以下の場合にも同様に当てはまる。
 上述の傾向を考慮し、本実施の形態では、第1平面コイル11の中心から3番目のターン部113と第2平面コイル12の中心から3番目のターン部123との間の部分から外周側に延び広がる第3層23における第2部分23Bの厚さT2を、第2部分23Bよりも内周側の第1部分23Aよりも大きくする形状が採用されている。ただし、第2部分23Bの範囲、すなわち第3層23において体積抵抗値又は厚さを部分的に大きくする範囲は、特に限られるものではない。電界強度分布の傾向は、コイルの形状やターン数、供給される電流の大きさ等の条件の変更によって変化し得る。そのため、第3層23において体積抵抗値又は厚さを部分的に大きくする範囲は、コイルの形状やターン数等の条件に応じて適宜変更されてよい。例えば第3層23は、第1平面コイル11及び第2平面コイル12の中心から外周側に向けて次第に厚さを増加させる形状に形成されてもよい。この場合、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の距離は、第1平面コイル11及び第2平面コイル12の中心から外周側に向けて次第に増加する。
 本実施の形態におけるスペーサ部材20は全体として磁性を有し、すなわち、第1層21、第2層22、第3層23、及び第4層24のそれぞれは磁性を有する。スペーサ部材20は、磁性により渦電流損失や漏れ磁束を抑制したり、結合係数を高くしたりすることにより、コイル性能の向上を図る。スペーサ部材20の比透磁率は、2.0以上であることが好ましく、2.0以上10.0以下でもよい。スペーサ部材20の比透磁率は、5.0以上であることがより好ましく、5.0以上10.0以下でもよい。スペーサ部材20の比透磁率は特に限られないが、大き過ぎるとスペーサ部材20の柔軟性や強度が不所望に損なわれる場合がある。したがって、スペーサ部材20の比透磁率は200以下でもよい。
 また、スペーサ部材20は第2平面コイル12に対して突出する第4層24を備えることにより、コイル性能を効果的に向上できる。第4層24が第2平面コイル12から突出する高さは特に限られるものではないが、例えば、0.3mm以上でもよく、0.5mm以上でもよく、1.0mm以上でもよい。第4層24の高さは高い程、渦電流損失の抑制効果が高くなり且つ結合係数を高くなる傾向がある。一方で、第4層24は、高くなる程、根元を起点として破損しやすくなる傾向がある。そこで、第4層24の高さは、例えば10mm以下にしてもよい。なお、第4層24は設けられなくてもよい。
 本実施の形態におけるスペーサ部材20は、一例として、樹脂を含む保持材料と、磁性体で構成される複数又は無数の磁性体粒子と、を含む。磁性体粒子は、保持材料に保持される。保持材料は絶縁性である。なお、絶縁性とは、体積抵抗率が、1010Ω・m以上であることを意味する。
 スペーサ部材20に含まれる保持材料は、例えば繊維強化プラスチックでもよい。より具体的には、スペーサ部材20に含まれる保持材料は、ガラス繊維強化ポリアミドでもよい。ただし、保持材料は特に限られるものではない。例えば、ガラス繊維が含まれなくもよい。また、ポリアミド以外の樹脂が用いられてもよい。
 磁性体粒子は、フェライト特に軟磁性材料のフェライト、ナノ結晶磁性体、ケイ素鋼、電磁軟鉄、及びアモルファス金属のうちのいずれか又は二種以上から形成されてもよい。なお、スペーサ部材20は、磁性体を含まずに、絶縁性の材料のみで形成されてもよい。この場合においても、第3層23の厚さが部分的に異なる場合には、第3層23において部分的に体積抵抗値が異なる状態が形成され得る。
(接続端子)
 図2及び図3に示すように、第1接続端子61は、第1平面コイル11におけるターン部115の径方向の外方の端部に接続されている。第2接続端子62は、第2平面コイル12におけるターン部125の径方向の外方の端部に接続されている。第1接続端子61及び第2接続端子62は、例えば高周波電流供給部1A又は変換部2Aとの接続の際に用いられ得る。第1接続端子61とターン部115との接続及び第2接続端子62とターン部125との接続は、超音波接合で行われてもよい。ただし、その接続手法は限られず、例えば導電性接着剤による接続が採用されてもよい。
<コイル部品10の製造方法>
 以下、コイル部品10の製造方法の一例について説明する。図7は、コイル部品10を製造するための金型200の概略図である。コイル部品10を製造する際には、まず、金型200が準備される。金型200は、第2平面コイル12の設置面201を有する。設置面201には、低位部201Lと、低位部201Lよりも高さの高い高位部201Hとが含まれる。また、金型200には、設置面201に対して隆起して渦巻形状で延びる凸部202が形成される。凸部202は、第2平面コイル12の径方向の内方の端部の径方向の内方の位置から、各ターン部12nに沿って第2平面コイル12の径方向の外方の端部まで渦巻形状で延びるように形成されている。
 図8には、設置面201に第2平面コイル12が設置された状態が示されている。第2平面コイル12は、凸部202に接触しないように設置面201に設置される。第2平面コイル12は、中心から2番目までのターン部121、122が設置面201における低位部201Lに対面し、中心から3番目以降のターン部123~125が設置面201における高位部201Hに対面するように設置される。
 その後、図8に示すように、第1成形材料210が第2平面コイル12に被せられる。そして、図9に示すように、第1成形材料210が、第2平面コイル12を介して設置面201に押し付けられる。第1成形材料210は、例えば熱可塑性樹脂を含む材料でもよく、この場合、第1成形材料210及び第2平面コイル12は、金型200と図示しない他の金型との間で熱プレスされてもよい。また、第1成形材料210が射出により金型200と図示しない他の金型との間に充填されてもよい。
 上述のように第1成形材料210が第2平面コイル12を介して設置面201に押し付けられた後、第1成形材料210が硬化される。そして、第1成形材料210と第2平面コイル12とを一体化させた後、図10に示すように第1成形材料210と第2平面コイル12との一体物であるコイル中間材10Mが、金型200から取り外される。図10に示すコイル中間材10Mは、図9に示す状態から反転されている。コイル中間材10Mでは、第2平面コイル12における中心から2番目までのターン部121、122が、中心から3番目以降のターン部123~125よりも第1成形材料210から離れている。
 その後、図11に示すように、第2平面コイル12における第1成形材料210と接合する面(第1の面12A)とは反対の面(第2の面12B)との間に隙間を形成し、且つ、前記反対の面(第2の面12B)に重なるように、第1平面コイル11が配置される。第1平面コイル11の位置は、図示しないスペーサによって保持されてもよい。このようなスペーサは、例えば第1成形材料210に形成されてもよい。そして、第2成形材料220が、第1平面コイル11に被せられる。第2成形材料220は、スペーサ部材20を形成する材料である。上述した第2平面コイル12上における第1平面コイル11の位置を保持するスペーサの材質は、第2成形材料220、すなわちスペーサ部材20の材質と同じでもよい。この場合、当該スペーサは第1成形材料210とは別に作製され、第1成形材料210に設けられてもよい。
 その後、図12に示すように、第2成形材料220が、コイル中間材10Mに押し付けられる。この際、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間を埋めるように第2成形材料220が充填される。第2成形材料220は、樹脂を含む保持材料と、磁性体で構成される複数又は無数の磁性体粒子と、を含む。第2成形材料220が、コイル中間材10Mに押し付けられる際、第2成形材料220は液化又は軟化した状態であり、コイル中間材10Mへの押し付けに応じて流動し、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間に充填される。
 その後、第2成形材料220が硬化される。これにより、第2成形材料220からスペーサ部材20が形成される。そして、図13に示すように、第1成形材料210が取り外されることにより、コイル部品10が得られる。
<コイル部品の用途>
 本実施の形態に係るコイル部品10は、上述したワイヤレス電力伝送システムSの送電装置1における送電コイルとして用いることができ、受電装置2における受電コイルとして用いることができる。
 送電コイルとしてコイル部品10を用いる場合、第1接続端子61及び第2接続端子62が図1で示したような高周波電流供給部1A又は交流電源に接続される。高周波電流がコイル部品10に供給されると、電流を、第1接続端子61から第1平面コイル11及び第2平面コイル12に流した後、第2接続端子62から高周波電流供給部1A又は交流電源に流すことができる。また、電流を、第2接続端子62から第2平面コイル12及び第1平面コイル11に流した後、第1接続端子61から高周波電流供給部1A又は交流電源に流すことができる。これにより、平面コイルの中心軸線に沿う磁力線を含む磁界を発生させることができる。
 一方で、受電コイルとしてコイル部品10を用いる場合、第1平面コイル11及び第2平面コイル12の内側を通過するように磁力線を含む磁界を受ける又は発生させることで、第1平面コイル11及び第2平面コイル12に高周波電流を発生させることができる。そして、この高周波電流を、第1接続端子61又は第2接続端子62から外部の装置に供給できる。
 また、コイル部品10は、トランス、アンテナなどでも用いることができる。例えばトランスにおける一次側コイルとしてコイル部品10が機能する場合には、第1接続端子61及び第2接続端子62が交流電源に接続される。そして、高周波電流を供給されることで、平面コイルの中央側から鉄心に磁束を供給できる。
 以上に説明した本実施の形態にかかるコイル部品10は、第1平面コイル11と、第1平面コイル11に隙間を空けて重ねられる第2平面コイル12と、前記隙間を埋める第3層23を含むスペーサ部材20と、を備える。そして、このコイル部品10では、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向に流れる電流に対する第3層23の体積抵抗値が、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向に直交する面に定められる直交座標系CS上の第3層23の位置によって異なる。
 このようなコイル部品10では、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間における絶縁破壊又は短絡が生じやすい部分に、第3層23における体積抵抗値が大きい部分(本例では、第2部分23B)を位置づけ、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間における絶縁破壊又は短絡が生じる可能性の低い部分に、第3層23の体積抵抗値が小さい部分(本例では、第1部分23A)を位置づけることにより、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間で生じ得る絶縁破壊又は短絡を抑制できる。
 そして、第3層23において体積抵抗値が大きい部分を形成する手法として、本実施の形態では第3層23の厚さを部分的に大きくする構成が採用される。この場合、第3層23における厚さが大きくなる部分は、第3層23における一部であるため、第3層23の厚さの増加による大型化やコイル性能の低下が抑制される。また、第3層23において体積抵抗値が大きい部分を形成する手法として、部分的に体積抵抗率が大きい材料を使用してもよいが、この場合には、第3層23の厚さを必ずしも部分的に大きくしなくてよい。
 したがって、本実施の形態にかかるコイル部品10によれば、複数の平面コイル11,12が重ねられる場合において、大型化及び性能低下を抑えつつ、互いに対面する平面コイル11,12の間の絶縁を適正に確保できる。
<<第2の実施の形態>>
 次に、第2の実施の形態に係るコイル部品10aについて説明する。図14は、第2の実施の形態に係るコイル部品10aの部分的な断面図である。なお、以下に説明する実施の形態における構成部分のうちの第1の実施の形態と同一又は対応するものには同一の符号を付ける。構成が同じである場合には、その詳細な説明は省略する。
 第2の実施の形態では、スペーサ部材20における第3層23が互いに厚さの異なる第1部分23Aと第2部分23Bとを含み、内周側に位置する第1部分23Aの厚さT1が、外周側に位置する第2部分23Bの厚さT2よりも大きい。厚さT2は、例えば0.3mm以上0.7mm以下でもよく、0.4mm以上0.6mm以下でもよく、0.5mmでもよい。厚さT1は、例えば厚さT2の2.5倍以上4倍以下でもよい。厚さT1は、例えば1mm以上2.5mm以下でもよく、1.25mm以上2mm以下でもよく、1.25mm以上1.75mm以下でもよく、1.5mmでもよい。
 本実施の形態では、第1平面コイル11及び第2平面コイル12のターン数がともに5である。そして、本実施の形態では、第1平面コイル11の最外周のターン部115から数えて3番目のターン部113と第2平面コイル12の最外周のターン部125から数えて3番目のターン部123とが互いに対面する部分の間に位置する第3層23の部分及び当該部分よりも内周側に位置する部分を含む範囲が、第1部分23Aに対応する。すなわち、第1平面コイル11の最外周から3番目のターン部113と第2平面コイル12の最外周から3番目のターン部123とが互いに対面する部分から各平面コイル11,12の中心にわたる第1部分23Aが、その外周側の第2部分23Bよりも厚さが大きくなっている。
 そして、本実施の形態では、第3層23における、第1平面コイル11の最外周のターン部115から数えて3番目以上のターン部113~111と、当該3番目以上のターン部113~111と対面する第2平面コイル12の対応するターン部123~121との間に位置する部分の一部又は全部(本例では、全部)の厚さが、第1平面コイル11の最外周のターン部115から数えて2番目以下のターン部115,114と、当該2番目以下のターン部115,114と対面する第2平面コイル12の対応するターン部125,124との間に位置する部分の厚さよりも大きくなる、という関係が成り立つ。
 そして、本実施の形態においてもスペーサ部材20は一種の材料から形成される。そのため、第3層23では、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向に流れる電流に対する第1部分23Aの体積抵抗値が、厚さの小さい第2部分23Bの体積抵抗値よりも大きくなる。
 また、第3層23において第1部分23Aの厚さT1が第2部分23Bの厚さT2よりも大きくなることで、第1部分23Aを挟んで対面する第1平面コイル11及び第2平面コイル12における内周側の部分間の距離は、第2部分23Bを挟んで対面する第1平面コイル11及び第2平面コイル12における外周側の部分間の距離よりも大きくなる。そして、本実施の形態では第3層23における第1平面コイル11に接する面は平坦である一方、第3層23における第2平面コイル12に接する面は、第1部分23Aと第2部分23Bとに対応して段差形状になる。これにより、上記段差形状に対応して、第2平面コイル12が第1平面コイル11から遠ざかるように湾曲する。詳しくは、本実施の形態では、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向における第2平面コイル12の内周縁から第1平面コイル11までの距離が、第1平面コイル11と第2平面コイル12とが重なる方向における第2平面コイル12の外周縁から第1平面コイル11までの距離よりも大きくなるように、第2平面コイル12が湾曲している。
 本実施の形態では、第1平面コイル11と第2平面コイル12とがそれぞれの径方向の外方の端部で電気的に接続される。この場合、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の電界強度(電位差)は、径方向の外方の端部から各平面コイル11,12の中心に近づくにしたがって、大きくなる傾向がある。この場合、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間では、内周側の部分において絶縁破壊又は短絡が生じやすくなる。これに対して、本実施の形態では、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間を埋める第3層23において内周側に位置する第1部分23Aの厚さを外周側に位置する第2部分23Bよりも大きくすることにより、第1部分23Aの体積抵抗値を高める。また、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の距離を内周側で大きくする。これにより、本実施の形態によれば、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の層の体積抵抗値が一定の場合又は第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の距離が一定の場合よりも、絶縁破壊又は短絡が生じることを抑制することが可能となる。
<<第3の実施の形態>>
 次に、第3の実施の形態に係るコイル部品10bについて説明する。図15は、第3の実施の形態に係るコイル部品10bの部分的な断面図である。なお、以下に説明する実施の形態における構成部分のうちの第1及び第2の実施の形態と同一又は対応するものには同一の符号を付ける。構成が同じである場合には、その詳細な説明は省略する。
 図15に示すように、第3の実施の形態では第2平面コイル12の複数のターン部12nのうちの少なくとも1つのターン部12nが、第1平面コイル11から遠ざかるように湾曲している。詳しくは、複数のターン部12nのうちの少なくとも外周側に位置する複数のターン部12nが湾曲しており、これら湾曲したターン部12nよりも内周側に位置するターン部12bは湾曲していない。より詳しくは、本実施の形態においても、第2平面コイル12のターン数は5である。そして、第2平面コイル12の中心から数えて3番目以上のターン部123~125が、第1平面コイル11から遠ざかるように円弧状又はU字状に湾曲している。
 上述のようにターン部12nが第1平面コイル11から遠ざかるように湾曲する場合、スペーサ部材20の第3層23における、例えばターン部12nの第1平面コイル11から最も離れた部分と第1平面コイル11との間に位置する部分の体積抵抗値は、ターン部12nの第1平面コイル11に最も近い部分と第1平面コイル11との間に位置する部分の体積抵抗値よりも大きくなる。また、言うまでもなく、ターン部12nの第1平面コイル11から最も離れた部分と第1平面コイル11との間の距離は、ターン部12nの第1平面コイル11に最も近い部分と第1平面コイル11との間の距離よりも大きくなる。
 図16は、図15に示すコイル部品10bの製造方法の一例を説明する図である。図16(A)は、コイル部品10bの作製に使用する金型200’を概略的に示している。この金型200’では、第2平面コイル12の設置面201の一部に湾曲部201Cが形成される。湾曲部201Cは、本例では、設置面201における第2平面コイル12のターン部123~125が設置される部分に形成されている。湾曲部201Cの断面形状は円弧状である。詳しくは、湾曲部201Cは、設置面201における湾曲部201Cが形成されてない平坦な部分と同じ高さの位置から第2平面コイル12の径方向の内方及び外方に対応する方向に次第に高さが大きくなるように湾曲している。そして、第2平面コイル12は、その一部(ターン部123~125)が湾曲部201Cに対面するように金型200’に設置される。その後は、図8~図12で示した操作と同様の操作が行われる。この際、第2平面コイル12のターン部123~125は、湾曲部201Cに押し付けられることで湾曲した形状に形成される。そして、図16(B)に示すように、硬化された第1成形材料210と、第2平面コイル12と、第1平面コイル11と、硬化された第2成形材料220との一体物が形成される。この状態から、第1成形材料210が取り除かれることで、図16(C)に示すように、コイル部品10bが得られる。
 本実施の形態では、第1平面コイル11と第2平面コイル12とがそれぞれの径方向の内方の端部で電気的に接続される。この場合、上述したように第1平面コイル11と第2平面コイル12との間では、外周側の位置において絶縁破壊又は短絡が生じやすくなる。また、絶縁破壊又は短絡が生じる場合、電流は、通常、第1平面コイル11の縁と第2平面コイル12の縁との間に流れる。したがって、本実施の形態では、複数のターン部12nのうちの少なくとも外周側に位置する複数のターン部12nを湾曲させる構成が採用されている。そして、これにより、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間で生じ得る絶縁破壊又は短絡を抑制できる。そして、本実施の形態では第2平面コイル12の各ターン部12nの厚さ方向に位置がほぼ同じであるため、第3層23の厚さの増加による大型化やコイル性能の低下を効果的に抑制できる。
 なお、第1平面コイル11と第2平面コイル12とがそれぞれの径方向の外方の端部で電気的に接続される場合には、複数のターン部12nのうちの内周側に位置する複数のターン部12nを湾曲させる構成が採用されてもよい。
<<第4の実施の形態>>
 次に、第4の実施の形態に係るコイル部品10cについて説明する。図17は、第4の実施の形態に係るコイル部品10cの部分的な断面図である。なお、以下に説明する実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第3の実施の形態と同一又は対応するものには同一の符号を付ける。構成が同じである場合には、その詳細な説明は省略する。
 図17に示すように、第4の実施の形態においても、第2平面コイル12の複数のターン部12nのうちの少なくとも1つのターン部12nが、第1平面コイル11から遠ざかるように湾曲している。詳しくは、複数のターン部12nのうちの少なくとも外周側に位置する複数のターン部12nが湾曲しており、これら湾曲したターン部12nよりも内周側に位置するターン部12bは湾曲していない。より詳しくは、本実施の形態においても、第2平面コイル12のターン数は5である。そして、第2平面コイル12の中心から数えて3番目以上のターン部123~125が、第1平面コイル11から遠ざかるように湾曲している。
 ただし、本実施の形態におけるターン部12nは、その径方向の中央側の部分が第1平面コイル11から遠ざかるように湾曲しており、この点で第3の実施の形態と異なる。より詳しくは、湾曲するターン部12nは、径方向の中央側の部分に貫通孔12Tを有する。そして、湾曲するターン部12nでは、少なくとも貫通孔12Tの周縁部が第1平面コイル11から遠ざかるように湾曲している。より詳しくは、湾曲するターン部12nでは、その径方向の中央側の部分の全体が第1平面コイル11から遠ざかるように湾曲している。
 図18は、図17に示すコイル部品10cの製造方法の一例を説明する図である。図18(A)は、コイル部品10cの作製に使用する金型200’’を概略的に示している。この金型200’’では、第2平面コイル12の設置面201の一部に隆起部201Pが形成される。隆起部201Pは、本例では、設置面201における第2平面コイル12のターン部123~125が設置される部分に形成されている。隆起部201Pの断面形状は台形状である。詳しくは、隆起部201Pは、設置面201における湾曲部201Cが形成されてない平坦な部分と同じ高さの位置から隆起し、第2平面コイル12の径方向の内方及び外方に対応する方向に次第に高さが大きくなるように先細りになる。そして、隆起部201Pには、上底に対応する部分から下底に向けてへこむ有底孔204が形成されている。そして、第2平面コイル12は、その一部(ターン部123~125)が隆起部201Pに対面するように金型200’’に設置される。また、ターン部123~125は、貫通孔12Tが隆起部201Pにおける有底孔204に重なるように設置される。その後は、図8~図12で示した操作と同様の操作が行われる。この際、第2平面コイル12のターン部123~125は、隆起部201Pに押し付けられることで湾曲した形状に形成される。そして、図18(B)に示すように、硬化された第1成形材料210と、第2平面コイル12と、第1平面コイル11と、硬化された第2成形材料220との一体物が形成される。ここで、図18(B)に示すように、第1成形材料210には、第2平面コイル12の貫通孔12Tを通過する棒状部分が形成される。この棒状部分は、貫通孔12Tと有底孔204とに第1成形材料210が充填させることで形成される。そして、図18(B)に示す状態から、第1成形材料210が取り除かれることで、図18(C)に示すように、コイル部品10cが得られる。
 本実施の形態においても、第1平面コイル11と第2平面コイル12とがそれぞれの径方向の内方の端部で電気的に接続される。この場合、上述したように第1平面コイル11と第2平面コイル12との間では、外周側の位置において絶縁破壊又は短絡が生じやすくなる。また、絶縁破壊又は短絡が生じる場合、電流は、通常、第1平面コイル11の縁と第2平面コイル12の縁との間に流れる。したがって、本実施の形態では、複数のターン部12nのうちの外周側に位置する複数のターン部12nを湾曲させる構成が採用されている。そして、これにより、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間で生じ得る絶縁破壊又は短絡を抑制できる。また、本実施の形態では、第2平面コイル12の各ターン部12nの厚さ方向に位置がほぼ同じであるため、第3層23の厚さの増加による大型化やコイル性能の低下を効果的に抑制できる。
 なお、第1平面コイル11と第2平面コイル12とがそれぞれの径方向の外方の端部で電気的に接続される場合には、複数のターン部12nのうちの内周側に位置する複数のターン部12nを湾曲させる構成が採用されてもよい。
<<第5の実施の形態>>
 次に、第5の実施の形態に係るコイル部品10dについて説明する。図19は、第5の実施の形態に係るコイル部品10dの部分的な断面図である。なお、以下に説明する実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第4の実施の形態と同一又は対応するものには同一の符号を付ける。構成が同じである場合には、その詳細な説明は省略する。
 第5の実施の形態では、図19に示すようにスペーサ部材20の第3層23が、磁性体を含む磁性体含有部分231と、磁性体を含まない非磁性部分232と、を含む。非磁性部分232は、互いに対面する第1平面コイル11のターン部11nと第2平面コイル12のターン部12nの複数のペアのうちの少なくとも1つのペアの間に設けられている。本実施の形態では、互いに対面する第1平面コイル11のターン部11nと第2平面コイル12のターン部12nの複数のペアのうちの少なくとも外周側に位置するペアを含む複数(3つの)のペアの間に、非磁性部分232が設けられている。詳しくは、第3層23における、第1平面コイル11の中心から3番目以上のターン部113~115と、当該3番目以上のターン部113~115と対面する第2平面コイル12の対応するターン部123~125との間に位置する部分の一部又は全部(本例では、全部)が、非磁性部分232で形成されている。
 磁性体含有部分231の体積抵抗値は、非磁性部分232の体積抵抗値よりも小さくなっている。非磁性部分232は、絶縁性の材料であって、例えばナイロン又はポリプロピレン又はエポキシで形成されてもよい。ただし、非磁性部分232の材質は、非磁性且つ絶縁性であれば特に限られない。
 本実施の形態においても、第1平面コイル11と第2平面コイル12とがそれぞれの径方向の内方の端部で電気的に接続される。この場合、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の電界強度(電位差)は、径方向の内方の端部から径方向から離れるにしたがって、大きくなる傾向がある。この場合、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間では、外周側の位置において絶縁破壊又は短絡が生じやすくなる。これに対して、本実施の形態では、互いに対面する第1平面コイル11のターン部11nと第2平面コイル12のターン部12nの複数のペアのうちの少なくとも外周側に位置するペア含む複数(3つの)のペアの間で、第3層23における非磁性部分232を設ける。より詳しくは、第3層23における、第1平面コイル11の中心から3番目以上のターン部113~115と、当該3番目以上のターン部113~115と対面する第2平面コイル12の対応するターン部123~125との間に位置する部分の一部又は全部(本例では、全部)が、非磁性部分232で形成される。なお、第3層23の厚さは全域で一定である。
 以上に説明した第5の実施の形態では、以上のように第3層23において部分的に非磁性部分232を設けることにより、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の層の体積抵抗値が一定の場合よりも、絶縁破壊又は短絡が生じることが抑制され得る。
<<第6の実施の形態>>
 次に、第6の実施の形態に係るコイル部品10eについて説明する。図20は、第6の実施の形態に係るコイル部品10eの部分的な断面図である。なお、以下に説明する実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第5の実施の形態と同一又は対応するものには同一の符号を付ける。構成が同じである場合には、その詳細な説明は省略する。
 第6の実施の形態では、スペーサ部材20の第3層23が、第1平面コイル11及び第2平面コイル12の中心から外周側に向けて次第に厚さを増加させる形状に形成されている。
 詳しくは、図20の例では、中心から2番目以降の第1平面コイル11のターン部11nと、2番目以降のターン部11nと対面する第2平面コイル12の対応するターン部12nとの間に位置する第3層23の一部の厚さが、全体的に又は部分的にその内周側で対面するターン部11nとターン部12nとの間に位置する第3層23の一部の厚さよりも大きくなる。この関係が、2番目以降の第1平面コイル11のターン部11nと、2番目以降のターン部11nと対面する第2平面コイル12の対応するターン部12nとの間に位置する第3層23の各部について成立している。すなわち、図20におけるT1-1、T1-2、T2-1~T2-3は第3層23における厚さを示し、T1-1<T1-2<T2-1<T2-2<T2-3となる。
 スペーサ部材20の第3層23が、第1平面コイル11及び第2平面コイル12の中心から外周側に向けて次第に厚さを増加させる形状は、第3層23における、最も内周側に位置する第1平面コイル11のターン部11nと第2平面コイル12のターン部12nとの間に位置する部分の径方向の内方の端部から、第3層23における、最も外周側に位置する第1平面コイル11のターン部11nと第2平面コイル12のターン部12nとの間に位置する部分の径方向の外方の端部にわたり、第3層23の厚さが常時大きくなる形状でもよい。
 また、スペーサ部材20の第3層23が、第1平面コイル11及び第2平面コイル12の中心から外周側に向けて次第に厚さを増加させる形状は、中心から2番目以降の第1平面コイル11のターン部11nと、2番目以降のターン部11nと対面する第2平面コイル12の対応するターン部12nとの間に位置する第3層23の一部の厚さが、その内周側で対面するターン部11nとターン部12nとの間に位置する第3層23の一部の厚さに対して、ある地点で大きくなる形状でもよい。この態様において厚さを変化させる地点は、ターン部11nの直線部分とターン部12nの直線部分との間であることが望ましい。本実施の形態では、例えばターン部11n、ターン部12nが図5に示すように矩形状であり、4つの直線部分と、隣り合う直線部分の端部を連結する弧状のコーナ部と、を含む。この場合、例えばターン部12nの直線部分でターン部12nをターン部11nから離れるように曲げることで、第3層23の厚みが変化する部分を形成することが望ましい。この場合、例えば製造容易化の観点で有利になる。なお、このような形状は、外周側から内周側に向けて第3層23の厚さが大きくなる形態において適用されてもよい。
 図21は、コイル部品10eに所定の寸法を設定し、ある条件でコイル部品10eに高周波電流を供給した際の電界強度と、比較例に係るコイル部品に同じ条件で高周波電流を供給した際の電界強度と、を説明するためのグラフである。ある条件は、具体的には、50Aで、85KHzの交流電流を供給する条件である。横軸に示される1~5は、互いに対面する第1平面コイル11のターン部11nと第2平面コイル12のターン部12nとのペアの中心(C1,C2)から数えた際の位置を示す。1は、ターン部111とターン部121との間の位置を意味する。縦軸は、電界強度の値を示している。コイル部品10eに対応する電界強度は、Xの折れ線で示されている。
 比較例に係るコイル部品は、第3層23に相当する部分が一定の厚さを有する。比較例1では、互いに重なる平面コイルの間に0.5mmの隙間が形成され、厚さ0.5mmの絶縁性の樹脂が設けられている。比較例2では、互いに重なる平面コイルの間に1.0mmの隙間が形成され、厚さ1.0mmの絶縁性の樹脂が設けられている。比較例3では、互いに重なる平面コイルの間に2.0mmの隙間が形成され、厚さ2.0mmの絶縁性の樹脂が設けられている。比較例1~3に対応する電界強度は、Y1~Y3の折れ線で示されている。
 樹脂の厚さが0.5mmとなる比較例1では、中心から3番目のターン部間以降で、絶縁破壊が生じることが確認された。具体的には、中心から3番目のターン部間の電界強度が約1300kV/mmであった。また、樹脂の厚さが1.0mmとなる比較例2では、中心から5番目のターン部間で、絶縁破壊が生じることが確認された。比較例3では、絶縁破壊は確認されなかった。
 上述の比較例の結果を考慮し、コイル部品10eでは、互いに対面する第1平面コイル11のターン部11nと第2平面コイル12のターン部12nとの間の全てで電界強度が1kV/mm以下になるように第3層23の厚さが調整され、これにより、絶縁破壊の発生を回避している。
 具体的には、コイル部品10eは、第3層23が内周側から外周側に向けて常時厚さを増加させる形状であり、第3層23における、最も内周側に位置する第1平面コイル11のターン部11nと第2平面コイル12のターン部12nとの間に位置する部分の径方向の内方の端部の厚さが約0.5mmに設定されている。そして、第3層23における、最も外周側に位置する第1平面コイル11のターン部11nと第2平面コイル12のターン部12nとの間に位置する部分の径方向の外方の端部の厚さが約1.6mmに設定されている。これにより、図21における符号Xで示すように、全体的に電界強度が1kV/mm以下に抑えられている。そして、絶縁破壊の発生は確認されなかった。コイル部品10eでは、第3層23における中心から3番目のターン部113とターン部123との間の部分の厚さは、約0.8mmであり、第3層23における中心から4番目のターン部114とターン部124との間の部分の厚さは、約1.2mmである。
 以上の結果により、コイル部品10eによれば、全体的な厚さを抑えつつコイル部品10eの性能を向上できるという効果が得られることを確認できる。
 また、図22は、コイル部品10eの斜視図であり、コイル部品10eに設定された図21の場合とは異なる所定の寸法が図面上に表記された図である。すなわち、図22には、第2平面コイル12上に「0.5」、「0.75」、「1.0」・・・「1.6」という数字が示され、これらの数字は、示された位置における第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の隙間の距離(mm)、言い換えると第3層23の厚さ(mm)を示している。
 図22に示す例では、第3層23における、最も内周側に位置する第1平面コイル11のターン部11nと第2平面コイル12のターン部12nとの間に位置する部分の径方向の内方の端部の厚さは、0.5mmに設定されている。そして、第2平面コイル12の複数のターン部12nは、それぞれの直線部分において第1平面コイル11のターン部11nから離れるように曲げられる。これにより、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の距離及び第3層23の厚さが、内周側から外周側に向けて大きくなるように形成されている。
 図23は、図22に示す寸法条件のコイル部品10eの電界強度を説明するためのグラフである。電流供給条件とグラフの横軸及び縦軸の意味は、図21の場合と同じである。符号X11は、図22に示す寸法条件のコイル部品10eの電界強度を示す。符号X11に示すように、図22に示すコイル部品10eにおいても、互いに対面する第1平面コイル11のターン部11nと第2平面コイル12のターン部12nとの間の全てで電界強度は、1kV/mm以下になっている。また、図23におけるX12は、コイル部品10eが、第3層23が内周側から外周側に向けて常時厚さを増加させる形状の場合の電界強度の結果を示す。X11で示す形態の方が、X12で示す形態よりも電界強度が抑えられている。この結果は、第3層23が内周側から外周側に向けて常時厚さを増加させる形状の場合には、電界強度を急に下げ難い場合があるという点が言える。この観点で、第3層23の厚さを任意の点で大きくする形状は、例えば電界強度を所望の値に調整した場合に有利である。
 図24も、コイル部品10eの斜視図であり、コイル部品10eに設定された図21及び図22の場合とは異なる所定の寸法が図面上に表記された図である。すなわち、図24には、第2平面コイル12上に「0.5」、「0.7」、「0.9」・・・「1.7」という数字が示され、これらの数字は、示された位置における第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の隙間の距離(mm)、言い換えると第3層23の厚さ(mm)を示している。
 図24に示す例では、第3層23における、中心から1番目と2番目に位置する第1平面コイル11のターン部11nとこれに対面する第2平面コイル12のターン部12nとの間に位置する部分の厚さが、0.5mmに設定されている。そして、第3層23における、中心から3番目以降の第1平面コイル11のターン部11nとこれに対面する第2平面コイル12のターン部12nとの間に位置する部分の厚さが外周側に向けて次第に大きくなる。これにより、第1平面コイル11と第2平面コイル12との間の距離及び第3層23の厚さが、内周側から外周側に向けて大きくなるように形成されている。
 図25は、図24に示す寸法条件のコイル部品10eの電界強度を説明するためのグラフである。電流供給条件とグラフの横軸及び縦軸の意味は、図21の場合と同じである。符号X21は、図24に示す寸法条件のコイル部品10eの電界強度を示す。符号X21に示すように、図24に示すコイル部品10eにおいても、互いに対面する第1平面コイル11のターン部11nと第2平面コイル12のターン部12nとの間の全てで電界強度は、1kV/mm以下になっている。
 以上、本開示の各実施の形態を説明したが、上述の実施の形態には種々の変更を加えてもよい。このような変形例も、本開示の技術的範囲に含まれ得る。
S…電力伝送システム
1…送電装置
1A…高周波電流供給部
2…受電装置
2A…変換部
10, 10a,10b,10c,10d,10e…コイル部品
10M…コイル中間材
11…第1平面コイル
11A…第1の面
11B…第2の面
11n…ターン部
11nX…主部
11nY…移行部
11E…導電体
11h…通し孔
12…第2平面コイル
12A…第1の面
12B…第2の面
12n…ターン部
12nX…主部
12nY…移行部
12E…導電体
12T…貫通孔
20…スペーサ部材
21…第1層
22…第2層
23…第3層
23A…第1部分
23B…第2部分
231…磁性体含有部分
232…非磁性部分
24…第4層
61…第1接続端子
62…第2接続端子
200,200’,200’’…金型
201…設置面
201L…低位部
201H…高位部
201C…湾曲部
201P…隆起部
202…凸部
204…有底孔
210…第1成形材料
220…第2成形材料
C1…第1中心軸線
C2…第2中心軸線

Claims (21)

  1.  第1平面コイルと、
     前記第1平面コイルに隙間を空けて重ねられる第2平面コイルと、
     前記隙間を埋める層を含むスペーサ部材と、を備え、
     前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向に流れる電流に対する前記層の体積抵抗値が、前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向に直交する面に定められる直交座標系上の前記層の位置によって異なる、コイル部品。
  2.  前記層の厚さが部分的に異なり、
     前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとの間の距離が部分的に異なる、請求項1に記載のコイル部品。
  3.  第1平面コイルと、
     前記第1平面コイルに隙間を空けて重ねられる第2平面コイルと、
     前記隙間を埋める層を含むスペーサ部材と、を備え、
     前記層の厚さが部分的に異なり、
     前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとの間の距離が部分的に異なっている、コイル部品。
  4.  前記第1平面コイルは、径方向に配列される3つ以上のターン部を含み、
     前記第2平面コイルは、径方向に配列される3つ以上のターン部を含み、
     前記第1平面コイルの中心からn番目(nは、1から、3以上となる前記第1平面コイルのターン数までの整数)のターン部は、前記第2平面コイルの中心からn番目(nは、1から、3以上となる前記第2平面コイルのターン数までの整数)のターン部と部分的に対面するように位置し、
     前記層における、前記第1平面コイルの中心から3番目以上のターン部と、前記3番目以上のターン部と対面する前記第2平面コイルの対応するターン部との間に位置する部分の一部又は全部の厚さが、前記第1平面コイルの中心から2番目以下のターン部と、前記2番目以下のターン部と対面する前記第2平面コイルの対応するターン部との間に位置する部分の厚さよりも大きくなっている、請求項2又は3に記載のコイル部品。
  5.  前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向における前記第2平面コイルの外周縁から前記第1平面コイルまでの距離が、前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向における前記第2平面コイルの内周縁から前記第1平面コイルまでの距離よりも大きくなるように、前記第2平面コイルが湾曲している、請求項2又は3に記載のコイル部品。
  6.  前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとは、それぞれの径方向の内方の端部で電気的に接続されている、請求項4に記載のコイル部品。
  7.  前記第1平面コイルは、径方向に配列される3つ以上のターン部を含み、
     前記第2平面コイルは、径方向に配列される3つ以上のターン部を含み、
     前記第1平面コイルの中心からn番目(nは、1から、3以上となる前記第1平面コイルのターン数までの整数)のターン部は、前記第2平面コイルの中心からn番目(nは、1から、3以上となる前記第2平面コイルのターン数までの整数)のターン部と部分的に対面するように位置し、
     前記層における、前記第1平面コイルの最外周のターン部から数えて3番目以上のターン部と、前記3番目以上のターン部と対面する前記第2平面コイルの対応するターン部とのの間に位置する部分の一部又は全部の部分の厚さが、前記第1平面コイルの最外周の前記ターン部から数えて2番目以下のターン部と、前記2番目以下のターン部と対面する前記第2平面コイルの対応するターン部との間に位置する部分の厚さよりも大きくなっている、請求項2又は3に記載のコイル部品。
  8.  前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向における前記第2平面コイルの内周縁から前記第1平面コイルまでの距離が、前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向における前記第2平面コイルの外周縁から前記第1平面コイルまでの距離よりも大きくなるように、前記第2平面コイルが湾曲している、請求項2又は3に記載のコイル部品。
  9.  前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとは、それぞれの径方向の外方の端部で電気的に接続されている、請求項7に記載のコイル部品。
  10.  前記第2平面コイルは、径方向に配列される複数のターン部を含み、
     前記複数のターン部のうちの少なくとも1つのターン部は、前記第1平面コイルから遠ざかるように湾曲している、請求項1乃至3のいずれかに記載のコイル部品。
  11.  前記少なくとも1つのターン部は、貫通孔を有し、前記少なくとも1つのターン部における少なくとも前記貫通孔の周縁部が前記第1平面コイルから遠ざかるように湾曲している、請求項10に記載のコイル部品。
  12.  前記スペーサ部材は、全体的に磁性を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載のコイル部品。
  13.  前記スペーサ部材は、樹脂を含む保持材料と、前記保持材料に保持された磁性体粒子とを含む、請求項12に記載のコイル部品。
  14.  前記層は、磁性体を含む磁性体含有部分と、磁性体を含まない非磁性部分と、を含み、
     前記磁性体含有部分の前記体積抵抗値が、前記非磁性部分の前記体積抵抗値よりも小さくなっている、請求項1に記載のコイル部品。
  15.  前記非磁性部分は、ナイロン又はポリプロピレン又はエポキシで形成される、請求項14に記載のコイル部品。
  16.  前記第1平面コイルは、径方向に配列される3つ以上のターン部を含み、
     前記第2平面コイルは、径方向に配列される3つ以上のターン部を含み、
     前記第1平面コイルの中心からn番目(nは、1から、3以上となる前記第1平面コイルのターン数までの整数)のターン部は、前記第2平面コイルの中心からn番目(nは、1から、3以上となる前記第2平面コイルのターン数までの整数)のターン部と部分的に対面するように位置し、
     前記層における、前記第1平面コイルの中心から3番目以上のターン部と、前記3番目以上のターン部と対面する前記第2平面コイルの対応するターン部との間に位置する部分の一部又は全部が、前記非磁性部分で形成される、請求項14又は15に記載のコイル部品。
  17.  前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとが重なる方向における距離が、内周側から外周側に向けて次第に大きくなる、請求項2又は3に記載のコイル部品。
  18.  互いに高さが異なる部分を含む設置面を有する金型を準備する工程と、
     第2平面コイルの一部が前記設置面における前記高さが異なる部分に対面するように前記第2平面コイルを前記金型に設置する工程と、
     第1成形材料を前記第2平面コイルを介して前記設置面に押し付けて、硬化された前記第1成形材料と前記第2平面コイルとを一体化させる工程と、
     前記金型から前記第1成形材料と前記第2平面コイルとを取り外す工程と、
     前記第2平面コイルにおける前記第1成形材料と接合する面とは反対の面との間に隙間を形成し、且つ、前記反対の面に重なるように、第1平面コイルを配置する工程と、
     前記第1平面コイルと前記第2平面コイルとの間を埋めるように第2成形材料を充填する工程と、を備える、コイル部品の製造方法。
  19.  請求項1に記載のコイル部品を備える、送電装置。
  20.  請求項1に記載のコイル部品を備える、受電装置。
  21.  送電装置と、受電装置とを備え、
     前記送電装置及び前記受電装置のうちの少なくともいずれかが、請求項1に記載のコイル部品を備える、電力伝送システム。
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