JP7846978B2 - 金属接合体 - Google Patents

金属接合体

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Description

本発明は、金属接合体に関する。具体的には、タングステン系部材を含む金属接合体に関する。
タングステン(W)を含むタングステン系部材(以下「W系部材」ともいう)は、融点が高く、かつ、熱膨張率が低いという特徴を有し、高温環境での信頼性に優れている。このため、W系部材は、ダイバータ、加速器、プラズマ放電装置、高温炉、薄膜形成装置等の高温環境に晒される超高温部品に使用される。一方、タングステンは、希少かつ高価な金属であり、かつ、加工が困難であるため、タングステン以外の金属を主成分とする部材(以下、「異種金属部材」ともいう)と接合された状態で用いられることが多い。例えば、材料コストや放熱性(熱伝導性)などの観点から、接合対象である異種金属部材の一例として、銅(Cu)を含む銅系部材(以下「Cu系部材」ともいう)が挙げられる。
W系部材とCu系部材との接合には、例えば、拡散接合(Diffusion Bonding Method)が用いられる。この拡散接合では、W系部材とCu系部材とを密着させた状態で加熱と加圧を同時に行う。これによって、W系部材とCu系部材との間に、W元素とCu元素とが相互に拡散したW-Cu拡散層が形成され、当該W-Cu拡散層を介してW系部材とCu系部材とが接合される。かかる拡散接合の一例が非特許文献1に開示されている。この非特許文献1に記載の拡散接合では、温度を980℃に設定し、圧力を106MPaに設定している。そして、非特許文献1では、上記条件の拡散接合によって、W系部材とCu系部材との間に厚さ22nm程度のW-Cu拡散層が形成されることが報告されている。
J.Zhang et al.,Material and design 137(2018)473-480
しかしながら、上述した拡散接合は、接合対象に対して非常に強い圧力(10-1~10MPa(例えば2MPa以上)の圧力)を加える必要があるため、破損しやすい精密部品などへの適用が非常に困難である。また、拡散接合を適切に実施するには、接合対象を加熱しながら強い圧力を加えるための接合装置が必要になるため、設備コストが増大する原因にもなり得る。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その主な目的は、強い圧力を加えることなく、W系部材とCu系部材との適切な接合を実現する新規な技術を提供することである。
上記目的を実現するべく、ここに開示される技術によって、以下の構成の金属接合体が提供される。
ここに開示される金属接合体は、タングステン(W)を含むタングステン系部材と、タングステン系部材の表面に接合されており、白金(Pt)と銅(Cu)を含む中間層とを備えている。そして、ここに開示される金属接合体では、タングステン系部材の結晶粒界に、白金(Pt)と銅(Cu)を含むPt-Cu相が存在している。
上記構成の金属接合体は、W系部材の表面に中間層が接合されている。かかる中間層は、Cu元素を含んでいるため、所定の温度で焼成するだけでCu系部材と適切に接合させることができる。さらに、この金属接合体では、W系部材の内部の結晶粒界にPt-Cu相が入り込んでいる。これによって、Pt元素とCu元素を含む中間層とW系部材とを適切に接合することができる。従って、ここに開示される金属接合体によると、中間層を介してW系部材とCu系部材とを積層させて焼成することによって、強い圧力を加えることなく、W系部材とCu系部材とを適切に接合することができる。
ここに開示される金属接合体の好適な一態様では、Pt-Cu相は、タングステン系部材と中間層との界面からタングステン系部材の内部に向かって10μm以内の領域に存在する。これによって、W系部材と中間層とをより適切に接合できる。
ここに開示される金属接合体の好適な一態様では、タングステン系部材は、タングステン、窒化タングステン、炭化タングステン、炭窒化タングステン、タングステン複合材料からなる群から選択される一種である。ここに開示される技術は、これらのW系部材に特に好適に適用できる。また、上記タングステン複合材料の一例として、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)からなる群から選択される少なくとも一種の元素を含むタングステン複合材料が挙げられる。
ここに開示される金属接合体の好適な一態様では、中間層は、銅(Cu)よりも融点が低い銅合金を含有する。これによって、W系部材とCu系部材とを接合した後に、中間層やCu系部材にカーケンダルボイドが形成されることを防止できるため、W系部材とCu系部材とをより適切に接合することができる。なお、銅(Cu)よりも融点が低い銅合金の一例として、銅(Cu)と金(Au)との合金が挙げられる。
ここに開示される金属接合体の好適な一態様では、中間層は、タングステン(W)を主成分とするW相と、白金(Pt)と銅(Cu)を含むPt-Cu相とが混在したW-Pt-Cu合金を含む。これによって、W系部材とCu系部材とをより適切に接合できる。
また、上記W-Pt-Cu合金は、Pt-Cu相からなるマトリックス中に複数のW相が存在することによって構成されていることが好ましい。このように、W相とPt-Cu相とが混在した構造の中間層を形成することによって、W系部材とCu系部材とをより適切に接合できる。
一実施形態に係る金属接合体を模式的に示す断面図である。 中間層の構造の一例を模式的に示す断面図である。 図1に示す金属接合体を用いて作製したW系部材とCu系部材との接合体を模式的に示す断面図である。 金属接合体の製造方法におけるPt-W生成工程の一例を模式的に示す断面図である。 金属接合体の製造方法におけるPt-Cu生成工程の一例を模式的に示す断面図である。 (a)は実施例1の断面SEM像(250倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例1の断面SEM像(1000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例1の断面SEM像(10000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例1の断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 実施例1をFIB加工した際のSEM画像であり、(a)はCu系部材とW系部材との境界を示す画像であり、(b)および(c)は境界部分をさらに拡大した画像である。 実施例1のHAADF-STEM画像を示す図である。 図11中の領域A(W相)におけるEDXスペクトルである。 図11中の領域B(Pt-Cu相)におけるEDXスペクトルである。 (a)は実施例2の断面SEM像(5000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例2のPt-Cu領域における断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例2のPt-W領域における断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例2のW-Pt-Cu領域における断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例2のW系部材における断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 図14(a)中の線分X1上におけるW、Pt、Cuの濃度分布を示すグラフである。なお、図中の(a)はPtの分析結果を示し、(b)はWの分析結果を示し、(c)はCuの分析結果を示す。 (a)は実施例2の反射電子像(5000倍)であり、(b)は(a)中の領域αの拡大図(20000倍)であり、(c)は(a)中の領域βの拡大図(20000倍)である。 (a)は実施例2の領域αにおける断面SEM像(20000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたCu,Pt,Wの元素マップである。 (a)は実施例2の領域βにおける断面SEM像(20000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたCu,Pt,Wの元素マップである。 実施例2のHAADF-STEM画像および元素マッピング像の結果を示す図である。 図23中の線分X2上におけるPt、Cu、Wの濃度分布を示すグラフである。 実施例2のW系部材と、W-Pt-Cu領域のW相と、W-Pt-Cu領域のPt-Cu相との界面におけるHAADF-STEM画像および元素マッピング像の結果を示す図である。 図25中の線分X3上におけるPt、Cu、Wの濃度分布を示すグラフである。 図25中の線分X3上におけるOとFeの濃度分布を示すグラフである。 (a)は図23(a)中の領域αにおける電子線回折の結果を示す画像であり、(b)は領域βにおける電子線回折の結果を示す画像であり、(c)は領域γにおける電子線回折の結果を示す画像であり、(d)は領域δにおける電子線回折の結果を示す画像である。 実施例2のW系部材におけるHAADF-STEM画像および元素マッピング像の結果を示す図である。 実施例2のPt-W領域におけるHAADF-STEM画像および元素マッピング像の結果を示す図である。 実施例2のPt-Cu領域におけるHAADF-STEM画像および元素マッピング像の結果を示す図である。 図29中のPt-Cu相におけるEDXスペクトルである。 図25中のPt-Cu相におけるEDXスペクトルである。 図30中のPt-Cu相におけるEDXスペクトルである。 図31中のPt-Cu相におけるEDXスペクトルである。 (a)は実施例3の断面SEM像(300倍)であり、(b)~(e)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Pt、Auの元素マップである。 (a)は実施例3の第1Pt-Cu-Au領域における断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(e)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Pt,Auの元素マップである。 (a)は実施例3の第1W-Pt-Cu-Au領域における断面SEM像(5000倍)であり、(b)~(e)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Pt,Auの元素マップである。 (a)は実施例3の第2Pt-Cu-Au領域における断面SEM像(5000倍)であり、(b)~(e)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Pt,Auの元素マップである。 (a)は実施例3の第2W-Pt-Cu-Au領域における断面SEM像(5000倍)であり、(b)~(e)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Pt,Auの元素マップである。 (a)は実施例3の第2W-Pt-Cu-Au領域とW系部材との境界における断面SEM像(5000倍)であり、(b)~(e)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Pt,Auの元素マップである。 (a)は実施例3のW系部材における断面SEM像(5000倍)であり、(b)~(e)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Pt,Auの元素マップである。 図36(a)中の線分X4上におけるW、Pt、Cu、Auの濃度分布を示すグラフである。なお、図中の(a)はPtの分析結果を示し、(b)はWの分析結果を示し、(c)はCuの分析結果を示し、(d)はAuの分析結果を示す。 図37におけるEDXスペクトルである。 図38におけるEDXスペクトルである。 図39におけるEDXスペクトルである。 図40におけるEDXスペクトルである。 図41におけるEDXスペクトルである。 図42におけるEDXスペクトルである。 実施例3の第1W-Pt-Cu-Au領域における断面SEM像(20000倍)である。 実施例3の第2W-Pt-Cu-Au領域における断面SEM像(20000倍)である。 (a)は実施例4の断面SEM像(5000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例4のPt-W領域の断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例4のW-Pt-Cu領域の断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例4のW系部材の断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例4のW系部材とW-Pt-Cu領域との界面における断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例5の断面SEM像(5000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例5のPt-Cu領域の断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例5の第1W-Pt-Cu領域の断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例5のPt-W層の断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 (a)は実施例5の第2W-Pt-Cu領域とW系部材との境界における断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたW,Cu,Ptの元素マップである。 図57中の線分X5上におけるPt、Cu、Wの濃度分布を示すグラフである。 (a)は比較例1の断面SEM像(250倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたO,Cu,Wの元素マップである。 (a)は比較例1の断面SEM像(1000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたO,Cu,Wの元素マップである。 (a)は比較例1の断面SEM像(5000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたO,Cu,Wの元素マップである。 (a)は比較例1の断面SEM像(50000倍)であり、(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたO,Cu,Wの元素マップである。 (a)は比較例2の断面SEM像(5000倍)であり、(c)はEDX分析に基づいたWの元素マップであり、(d)はPtの元素マップである。 比較例3の断面SEM像(5000倍)である。 比較例3の断面SEM像(50000倍)である。
以下、ここに開示される技術の一実施形態について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここに開示される技術の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここに開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施できる。なお、本明細書において、「A~B(A、Bは数値)」と記載した場合、「A以上B以下」を意味するものとする。
1.金属接合体
以下、ここに開示される金属接合体の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る金属接合体を模式的に示す断面図である。図2は、中間層の構造の一例を模式的に示す断面図である。また、図3は、図1に示す金属接合体を用いて作製したW系部材とCu系部材との接合体を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る金属接合体100は、タングステン系部材(W系部材)10と、中間層20とを備えている。以下、各々の構成について説明する。
(1)W系部材
W系部材10は、タングステン(W)を含む部材である。W系部材10は、W元素を含む固形の部材であれば、特に限定されない。また、W系部材10は、一般的な固形の金属部材と同様に、結晶粒12が複数集合することによって構成される。このW系部材10の結晶粒12は、W元素を主成分として含む結晶粒である。なお、結晶粒12は、W元素以外の元素を含んでいてもよい。すなわち、W系部材10の結晶粒12は、タングステンのみからなる構成に限定されず、窒化タングステン、炭化タングステン、炭窒化タングステン、銅-タングステン合金、銀-タングステン合金などであってもよい。また、W系部材10は、タングステン材料と他の金属材料とが複合した複合材料であってもよい。ここで、タングステン材料と複合され得る金属材料としては、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、鉄(Fe)、金(Au)、トリウム(Th)等の各種金属材料、トリア(ThO)、イットリア等の高融点セラミックなどが挙げられる。なお、説明の便宜上、図1では板状のW系部材10を記載しているが、W系部材の形状は特に限定されない。例えば、W系部材は、筒状、柱状などの一般的な金属部材がとり得る形状を特に制限なく採用できる。
ここで、本実施形態に係る金属接合体100では、W系部材10を構成する複数の結晶粒12の境界(結晶粒界)に、白金(Pt)と銅(Cu)を含むPt-Cu相14が存在している。これによって、後述する中間層20とW系部材10とを適切に接合することができる。具体的には、本実施形態における中間層20は、Pt元素とCu元素を含む層であるため、W系部材10側にも同様のPt元素とCu元素を存在させることによって、接合対象間の熱膨張差を緩和し、W系部材10と中間層20との接合強度を向上できる。
なお、W系部材10内のPt-Cu相14は、PtとCuを含んでいればよく、PtやCu以外の金属元素を含むことを排除する意図はない。さらに、Pt-Cu相14は、PtとCuが主成分である必要もなく、PtやCu以外の金属元素が主成分であってもよい。具体的には、Pt-Cu相14における金属原子の総数を100atm%としたときのPt原子とCu原子の合計原子数は、20atm%以上であってもよく、30atm%以上であってもよく、40atm%以上であってもよい。なお、W系部材10と中間層20との接合性を向上させるという観点では、W系部材10内のPt-Cu相14におけるPt原子とCu原子の合計原子数は、50atm%以上が好ましく、65atm%以上がより好ましく、75atm%以上がさらに好ましく、85atm%以上が特に好ましい。一方、Pt-Cu相14におけるPt原子とCu原子の合計原子数の上限は、特に限定されず、99.5atm%以下であってもよく、99atm%以下であってもよく、97.5atm%以下であってもよく、95atm%以下であってもよい。なお、本明細書における「原子数」は、合金材料の断面SEM画像に対してエネルギー分散型X線分析(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を実施して得られた元素分析に基づいた数値である。また、PtやCu以外の金属元素としては、W、Mo、Fe、Pd、Ir、Au、Co、Ni、Zn、Al、Sn、Pb、Mn、Ag、Thなどが挙げられる。これらの中でも、Cuとの間で合金を生成しやすい金属元素(例えば、Au、Co、Ni、Zn、Al、Sn、Pb、Mn、Ag、Thなど)は、Pt-Cu相14の主成分になり得る。
W系部材10内のPt-Cu相14におけるPtとCuの各々の原子数についても特に限定されない。例えば、Pt-Cu相14におけるPtの原子数は、0.1atm%以上であってもよく、0.5atm%以上であってもよく、1atm%以上であってもよい。一方、Pt原子の原子数の上限は、25atm%以下であってもよく、22.5atm%以下であってもよく、20atm%以下であってもよく、17.5atm%以下であってもよい。また、W系部材10内のPt-Cu相14におけるCuの原子数は、15atm%以上であってもよく、20atm%以上であってもよく、30atm%以上であってもよく、40atm%以上であってもよい。なお、W系部材10と中間層20との接合性を考慮すると、Cu原子の原子数は、50atm%以上が好ましく、65atm%以上がより好ましく、75atm%以上がさらに好ましく、80atm%以上が特に好ましい。一方、Pt-Cu相14におけるCu原子の原子数の上限は、85atm%以下であってもよく、82.5atm%以下であってもよく、80atm%以下であってもよい。
なお、Pt-Cu相14は、W系部材10の表層に存在していることが好ましい。なお、ここでの「W系部材の表層」とは、W系部材の表面を含む領域のことをいう。具体的には、W系部材10と中間層20との界面からW系部材10の内部に向かって10μm以内(典型的には5μm以内、好適には2μm以内)の領域にPt-Cu相14が存在している場合、W系部材10の表層にPt-Cu相14が存在しているということができる。なお、このことは、Pt-Cu相14が存在する領域を、W系部材10の表層に限定することを意図したものではない。例えば、W系部材10の断面SEM写真において確認されたPt-Cu相14の総面積を100%としたとき、上記W系部材10の表層に存在するPt-Cu相14は、30%以上でもよく、50%以上でもよく、70%以上でもよい。
また、W系部材10の結晶粒12の平均粒子径は、特に限定されず、20μm以下でもよく、10μmでもよく、7μm以下でもよく、4μm以下でもよい。また、結晶粒12の平均粒子径の下限値も、特に限定されず、50nm以上でもよく、100nm以上でもよく、150nm以上でもよく、200nm以上でもよい。なお、結晶粒12の粒子径は、W系部材10の全域に亘って均一でなくともよい。例えば、中間層20と近接するW系部材10の表層は、中間層20側にW元素が拡散し、結晶粒12の粒子径が小さくなる可能性がある。すなわち、W系部材10の表層における結晶粒12は、他の領域における結晶粒12よりも粒子径が小さくなることがあり得る。なお、本明細書における「結晶粒の平均粒子径」は、電子顕微鏡像によって得られた結晶粒の円相当径(ランダムに200個以上計測)の個数基準の算術平均値である。
(2)中間層
中間層20は、W系部材10の表面に接合され、Pt元素とCu元素を含む層である。この中間層20は、W系部材10とCu系部材200(図3参照)とを接合する接合材として機能する層である。具体的には、中間層20は、Cu系部材200の主成分であるCu元素を含んでいるため、所定の温度で焼成するだけでCu系部材200と好適に接合できる。一方、本実施形態に係る金属接合体100のW系部材10は、結晶粒界にPt-Cu相14が存在しているため、Pt元素とCu元素を含む中間層20と適切に接合される。なお、中間層20は、PtとCuを含んでいればよく、具体的な構造や他の金属元素の存在などは特に限定されない。以下、中間層20の構造の一例について図2を参照しながら説明する。
図2に示す中間層20は、Wを主成分とするW相22と、PtとCuを含むPt-Cu相24とが混在した三元二相のW-Pt-Cu合金を含んでいる。換言すると、図2に示す中間層20では、金属組織の全体でW相22とPt-Cu相24とが混ざり合った状態で存在している。典型的には、この中間層20では、Pt-Cu相24からなるマトリックスが形成されており、当該マトリックス中に複数のW相22が存在している。この種の三元二相のW-Pt-Cu合金は、W相22とPt-Cu相22との界面が安定しているため、W系部材10(図1参照)に対して好適な接合性を発揮できる。さらに、三元二相のW-Pt-Cu合金は、Cu元素を含むPt-Cu相24を有しているため、Cu系部材200(図3参照)に対しても好適な接合性を発揮できる。すなわち、図2に示す構成の中間層20を形成することによって、中間層20を介したW系部材10とCu系部材200との接合をより好適に実施できる。なお、三元二相のW-Pt-Cu合金の構造の一例として、長尺な島状のW相が厚み方向に延びるように複数点在し、当該複数のW相の間を充填するようにPt-Cu相が形成された構造が挙げられる(例えば、図8、図20等参照)。但し、W相の形状は、上述した長尺な島状に限定されず、略球形(例えば、図38参照)であってもよい。
なお、図2に示す中間層20内のW相22は、上述した通り、Wを主成分とする相である。本明細書において「タングステンを主成分とする」とは、タングステン以外の元素が意図的に含まれていないことを指す。したがって、原料や製造工程等に由来する不可避的不純物(W以外の金属元素)を副成分として含む相は、本明細書における「W相」の概念に包含される。例えば、二相合金における一方の相における金属元素の総数を100atm%としたときに、当該一方の相におけるW原子の原子数が75atm%以上であれば、「タングステンを主成分としたW相が形成されている」ということができる。なお、W系部材10と中間層20との接合性を考慮すると、W相におけるW原子の原子数は、77.5atm%以上が好ましく、80atm%以上がより好ましく、82.5atm%以上が特に好ましい。なお、W相におけるW原子の原子数の上限は、特に限定されず、99.5atm%以下であってもよく、97.5atm%以下であってもよく、95atm%以下であってもよく、92.5atm%以下であってもよく、90atm%以下であってもよい。なお、W相22に含まれ得る不可避的不純物としては、銅(Cu)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、金(Au)、トリウム(Th)などが挙げられる。また、W相22におけるタングステンは、金属単体の状態で存在していてもよいし、化合物(酸化物等)や、他の金属元素との合金の状態で存在していてもよい。
一方、中間層20内のPt-Cu相24は、W系部材10の結晶粒界に存在するPt-Cu相14(図1参照)と同等の構成を有していてもよい。これによって、W系部材10と中間層20とをさらに好適に接合することができる。また、中間層20内のPt-Cu相24の構成(PtやCuの原子数など)に関する説明は、上記W系部材10内のPt-Cu相14に関する説明と重複するため、詳しい記載を省略する。なお、かかる構成は、ここに開示される技術を限定するものではない。すなわち、中間層20内のPt-Cu相24は、W系部材10内のPt-Cu相14と異なる構成であってもよい。
なお、中間層20内のPt-Cu相24も、PtやCu以外の金属元素を含有していてもよい。中間層20内のPt-Cu相24は、上記W系部材10のPt-Cu相14と同様に、W、Mo、Fe、Pd、Ir、Au、Co、Ni、Zn、Al、Sn、Pb、Mn、Ag、Thなどを含有し得る。そして、これらの中でも、Au、Co、Ni、Zn、Al、Sn、Pb、Mn、Ag、Thなどは、Cuとの間で合金(例えば固溶体)や共晶組成を生成してPt-Cu相24の主成分になり得る。ここで、中間層20に含まれるPtやCu以外の金属元素は、Cu単体(融点:1084℃)よりも低融点のCu合金(又は共晶組成)を形成する金属元素であると好ましい。これによって、W系部材10とCu系部材200とをさらに好適に接合することができる。具体的には、中間層20を介してW系部材10とCu系部材200とを加熱接合すると、Cu系部材200からW系部材10の方向にCu元素の移動(拡散)が生じるため、中間層20やCu系部材200にカーケンダルボイドと呼ばれる空孔が形成され、中間層20とCu系部材200との接合性が低下する可能性がある。これに対して、低融点のCu合金や共晶組成が中間層20(例えば、Pt-Cu相24)含まれていると、当該低融点のCu合金(又は共晶組成)が焼成中に液相となってカーケンダルボイドを塞ぐため接合性の低下を抑制できる。なお、このような低融点の銅合金や共晶組成の一例として、AuとCuとの合金(Au-Cu合金)、BaとCuとの合金(Ba-Cu合金)、AgとCuとの共晶組成などが挙げられる。
なお、中間層は、Pt元素とCu元素を含んでいればよく、図2に示すような三元二相のW-Pt-Cu合金で形成されていなくてもよい。例えば、ここに開示される技術における中間層は、W相を有さず、Pt-Cu相のみを有するPt-Cu合金によって形成されていてもよい。このような単相の中間層を形成した場合であっても、中間層を介したW系部材とCu系部材との接合を十分に実現することができる。
(3)Cu系部材
次に、本実施形態に係る金属接合体100の接合対象の一例であるCu系部材200について説明する。図3に示すCu系部材200は、Pt元素とCu元素を含む中間層20に対して好適な接合性を有する金属部材であれば特に限定されず、Cu元素を含有する種々の金属部材を特に制限なく採用できる。かかるCu系部材200の材料の一例として、銅単体、Pt-Cu合金などが挙げられる。また、Cu系部材200の材料の他の例として、Ni、Zn、Sn、Mn、Fe、Al、Beの何れか一つを含むCu合金(例えば、Cu-Ni合金、Cu-Zn合金、Cu-Sn-P合金)など挙げられる。
このCu系部材200と金属接合体100とを接合する手順の一例を説明する。ここでは、金属接合体100の中間層20とCu系部材200とを接触させた状態で焼成処理を行う。これによって、中間層20とCu系部材200とが接合され、中間層20を介してW系部材10とCu系部材200とが接合された接合材が作製される。このとき、中間層20とCu系部材200は、Cu元素を含んでいるという点において共通しているため、拡散接合のような強い圧力を加えなくても、接触させた状態で焼成するだけで適切に接合できる。一方、本実施形態では、W系部材10の結晶粒界にPt-Cu相14が存在しているため、W系部材10と中間層20との間の熱膨張差を緩和し、W系部材10と中間層20とを強固に接合できる。以上の通り、本実施形態に係る金属接合体100を用いることによって、強い圧力を加えることなく、W系部材10とCu系部材200とを適切に接合できる。
なお、上述した接合手順は、ここに開示される技術を限定することを意図したものではない。例えば、W系部材10やCu系部材200が破損するような強い圧力でなければ、W系部材10とCu系部材200を挟み込むように加圧しながら焼成処理を実施してもよい。これによって、中間層20とCu系部材200との界面に隙間が生じることを抑制し、中間層20とCu系部材200とをより適切に接合できる。このときにW系部材10とCu系部材200とを挟持する際の圧力は、5kPa以下が好ましく、2.5kPa以下がより好ましく、2kPa以下がさらに好ましく、1kPa以下が特に好ましい。これによって、W系部材10やCu系部材200の破損を確実に防止できる。一方、中間層20とCu系部材200との界面における隙間の発生を抑制するという観点から、W系部材10とCu系部材200とを挟持する際の圧力は、0.1kPa以上が好ましく、0.25kPa以上がより好ましく、0.5kPa以上が特に好ましい。
2.金属接合体の製造方法
次に、本実施形態に係る金属接合体100を製造する方法の一例について説明する。本実施形態に係る金属接合体100は、例えば、Pt-W生成工程とPt-Cu生成工程を備えた製造方法によって製造できる。以下、各工程について図4~図5を参照しながら説明する。図4は、金属接合体の製造方法におけるPt-W生成工程の一例を模式的に示す断面図である。図5は、金属接合体の製造方法におけるPt-Cu生成工程の一例を模式的に示す断面図である。
(a)Pt-W生成工程
本工程では、白金(Pt)を含むPt源と、W系部材10とを接触させた状態で焼成処理を行う。これによって、PtとWを含む合金を有するPt-W層25がW系部材10の表面に生成される(図4参照)。なお、Pt-W層25は、PtとWを含んでいれば特に限定されない。例えば、Pt-W層25は、PtとWとを所定の整数比で含む金属間化合物(例えば、PtW)を含んでいることが好ましい。
さらに、本工程では、W系部材10の結晶粒12の境界(結晶粒界)にPt元素の一部が入り込む。これによって、W系部材10内部の結晶粒界にPtとWを含むPt-W相16が形成される。そして、かかるW系部材10の表層には、Pt-W相16が多く存在し、Pt-W層25よりもW元素の存在量が多いWリッチ層15が形成される。換言すると、Wリッチ層15は、Wを主成分とした結晶粒12と、結晶粒界に入り込んだPt-W相16とを備えている。なお、Wリッチ層15は、本工程における種々の条件(加熱条件など)を調節することによって好適に形成できる。以下、具体的に説明する。
例えば、本工程における焼成温度は、800℃以上が好ましく、850℃以上がより好ましく、880℃以上がさらに好ましく、900℃以上が特に好ましい。これによって、W系部材10の結晶粒界にPt元素が入り込みやすくなる傾向がある。一方、本工程における焼成温度の上限は、1300℃以下が好ましく、1250℃以下がより好ましく、1200℃以下がさらに好ましく、1150℃以下が特に好ましい。また、本工程における焼成時間は、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。このように一定以上の焼成時間を確保することによって、W系部材10の結晶粒界にPt元素が入り込みやすくなる傾向がある。一方、製造効率の観点から、本工程における焼成時間の上限は、5時間以下が好ましく、4時間以下がより好ましく、3時間以下が特に好ましい。なお、本明細書における「焼成温度」は焼成処理における最高温度を指し、「焼成時間」は当該最高温度を維持する時間を指す。また、焼成処理中の雰囲気は、非酸化雰囲気(中性雰囲気、還元雰囲気)に設定することが好ましい。還元ガスの一例として、水素(H)ガス、炭化水素(CH、Cなど)ガスなどが挙げられる。また、中性ガスの一例として、窒素(N)ガスなどが挙げられる。また、これらの還元ガスと中性ガスとを混合したものを使用することもできる。例えば、水素(H)ガスを1%~5%(例えば3%)の濃度で窒素(N)ガスと混合した混合ガスなどを用いることができる。
なお、本工程で使用されるPt源は、Pt元素を含む材料であればよく、詳細な成分や形態は特に限定されない。かかるPt源の一例として、所定の溶剤にPt粉末を分散させたPtペーストが挙げられる。このようなPtペーストをW系部材10の表面に塗布した後に焼成処理を行うことによって、W系部材10の表面にPt-W層25を形成できると共に、W系部材10の表層にWリッチ層15を形成できる。なお、Ptペーストは、Pt粒子を含んでいる点を除いて特に限定されず、ここに開示される技術の効果を阻害しない限り、従来公知のPtペーストを使用できる。一例として、ペースト中のPt粒子の平均粒子径は、0.01μm~10μmが好ましく、0.05μm~5μmがより好ましく、0.1μm~1.0μmが特に好ましく、例えば0.5μmである。なお、本明細書における「平均粒子径」は、SEM観察に基づいて測定した複数(例えば100個)の粒子の粒子径の平均値である。また、Ptペーストの総体積を100vol%としたときのPt粒子の含有量(体積比)は、1vol%以上が好ましく、5vol%以上がより好ましく、10vol%以上がさらに好ましく、20vol%以上が特に好ましい。これによって、Ptの不足によるPt-W合金の形成不良を防止できる。一方、Ptペーストの粘度上昇を抑制して作業性を向上させるという観点から、Pt粒子の含有量(体積比)の上限は、50vol%以下が好ましく、40vol%以下がより好ましく、35vol%以下がさらに好ましく、30vol%以下が特に好ましい。なお、Ptペーストの総重量を100wt%としたときのPt粒子の含有量(重量比)は、50wt%以上が好ましく、55wt%以上がより好ましく、60wt%以上がさらに好ましく、65wt%以上が特に好ましい。一方、Pt粒子の含有量(重量比)の上限は、90wt%以下が好ましく、85wt%以下がより好ましく、80wt%以下がさらに好ましく、75wt%以下が特に好ましい。なお、Pt粒子を除くPtペーストの成分(溶剤、バインダ、分散剤など)は、ここに開示される技術の効果を阻害しない限りにおいて、従来公知の成分を特に制限なく使用でき、ここに開示される技術を特徴付けるものではないため詳細な説明を省略する。
また、十分な厚みのPt-W層25(製造後の中間層20)を形成するという観点から、本工程におけるPtペーストの塗布厚みは、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましく、40μm以上が特に好ましい。一方、Ptペーストの塗布厚みの上限は、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、70μm以下がさらに好ましく、60μm以下が特に好ましい。これによって、未反応のPtがPt-W層25の表面に生じ、後述のPt-Cu生成工程におけるPt-W合金とCu源との反応を阻害することを防止できる。なお、Ptペーストの塗布厚みは、ペースト塗布時に使用するメタルマスクの厚みを調節することによって容易に制御できる。
なお、焼成処理中の急激な体積変化に伴う破損(クラック等)を防止するという観点から、焼成処理の前に、Ptペーストを乾燥させる乾燥処理を実施することが好ましい。かかる乾燥処理における加熱温度は、60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上が特に好ましい。一方、上記クラックの防止という観点から、乾燥処理における加熱温度の上限は、140℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。また、乾燥時間は10分以上60分以下(例えば30分程度)が好ましい。
また、バインダ等の有機成分がPtペーストに含まれている場合には、有機成分の除去を目的とした予備加熱処理(脱バインダ処理)を焼成処理の前に実施することが好ましい。なお、この脱バインダ処理によってW系部材10が酸化すると、酸化タングステンによって、Pt-W層25の生成が阻害される可能性がある。このため、Ptペーストに添加する有機成分(バインダ等)は、非酸化雰囲気で充分に加熱分解できる樹脂材料(例えば、アクリル樹脂など)が好ましい。なお、有機成分を確実に除去するという観点から、脱バインダ処理における加熱温度は、145℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、155℃以上がさらに好ましく、160℃以上が特に好ましい。一方、脱バインダ処理中にPt-W合金の生成が進行することを防止するため、脱バインダ処理における加熱温度の上限は、500℃以下が好ましく、450℃以下がより好ましく、400℃以下がさらに好ましく、350℃以下が特に好ましい。また、脱バインダ処理における加熱時間は、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。これによって、有機成分を確実に除去できる。一方、製造効率の観点から、脱バインダ処理における加熱時間の上限は、5時間以下が好ましく、4時間以下がより好ましく、3時間以下がさらに好ましく、2時間以下が特に好ましい。
(b)Pt-Cu生成工程
本工程では、Cu源とPt-W層25とを接触させた状態で焼成処理を行う。本工程で使用するCu源は、Cuを主成分として含む材料である。図5に示す例では、Cu源として、W系部材10の接合対象であるCu系部材200を使用している。そして、本工程における焼成処理を実施すると、Pt-W層25やWリッチ層15(W系部材10内のPt-W相16)からCu源(Cu系部材200)へのPtの移動(典型的には拡散)が進行する。そして、Ptが移動した後のWリッチ層15には、Cu系部材200から拡散したCuが供給される。これによって、W系部材10内のPt-W相16がPt-Cu相となる。これによって、結晶粒界にPt-Cu相14が存在するW系部材10(図1参照)が形成される。一方、Ptが移動した後のPt-W層25では、Pt-W合金からCuへの脱Ptが進み、Wが主成分であるW相22(図2参照)が形成される。一方、CuにPtが供給されることによって、W相22の周囲を充填するようにPt-Cu相24が形成される。これによって、三元二相のW-Pt-Cu合金を有する中間層20が形成される。
なお、Pt-W合金からCuへのPtの移動(拡散)は、反応障壁を超えることができれば進行するため、上述したような焼成処理等を実施する形態に限定されない。なお、焼成処理によってPtの移動を生じさせる場合には、当該焼成処理における最高温度は、750℃以上が好ましく、800℃以上がより好ましく、850℃以上がさらに好ましく、900℃以上が特に好ましい。これによって、Ptの拡散をより好適に促進してPt-Cu相14を効率よく形成できる。一方、最高焼成温度の上限は、1500℃以下が好ましく、1400℃以下がより好ましく、1300℃以下がさらに好ましく、1200℃以下が特に好ましい。また、本工程における焼成時間は、1時間以上が好ましく、1.5時間以上がより好ましい。これによって、W系部材10の結晶粒界に入り込んだPt-W層16をPt-Cu相14に適切に変化させることができる。一方、製造効率の観点から、本工程における焼成時間の上限は、3時間以下が好ましく、2.5時間以下がより好ましい。
また、本工程における焼成雰囲気は、非酸化雰囲気(例えば、中性雰囲気、不活性雰囲気、還元雰囲気)に設定することが好ましい。還元ガスの一例として、水素(H)ガス、炭化水素(CH、Cなど)ガスなどが挙げられる。また、不活性ガスの一例として、アルゴン(Ar)ガスなどが挙げられ、中性ガスの一例として、窒素(N)ガス、アンモニアなどが挙げられる。また、還元ガスと不活性ガス(若しくは中性ガス)とを混合したものを使用することもできる。例えば、水素ガスを1%~5%(例えば3%)の濃度で窒素ガスと混合した混合ガスなどを用いることができる。
本工程で使用するCu源は、Cuを含む材料であればよく、その成分は特に限定されない。例えば、Cu源は、Cu以外の金属元素を含んでいてもよい。かかるCu以外の金属元素の一例として、Pt元素が挙げられる。また、PtやCu以外の金属元素をCu源に混合することによって、製造後の中間層20(例えば、Pt-Cu相24)に、Cuと他の金属元素との合金を含ませることができる。上述した通り、ここで、銅合金を形成し得る金属元素としては、金(Au)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)シリカ(Si)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ベリリウム(Be)などが挙げられる。
一方、Cu源の形状も、特に限定されない。例えば、図5に示す例では、Cu源として、Cu系部材200を使用している。しかし、金属接合体を製造する際のCu源は、Cu系部材200のような固形の金属部材に限定されない。例えば、Cu源は、Cu粉末を溶剤に分散させたCuペーストであってもよい。なお、Cu源としてCu系部材200を用いた場合には、中間層20を介してW系部材10とCu系部材200とが接合された接合体(図3参照)を得ることができる。すなわち、図5に示す例では、金属接合体100の製造と、W系部材10とCu系部材200との接合を同時に実施できるため、作業効率の向上に貢献できる。一方で、Cu源として銅ペーストを使用した場合には、Cu系部材200が接合されていない金属接合体100(図1参照)を製造できる。このような単独の金属接合体100は、流通や販売が容易という利点を有している。また、銅ペーストの代わりのCu源として、化学蒸着などによって付着させた銅薄膜などを用いることもできる。この場合も、Cu系部材200が接合されていない金属接合体100を製造できる。なお、単独の金属接合体100を形成する場合のCu源の厚み(ペーストの塗布厚み又は薄膜の厚み)は、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、70μm以下がさらに好ましく、60μm以下が特に好ましい。一方、Cu元素の不足による中間層20の形成不良を防止するという観点から、Cu源の厚みの下限値は、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましく、40μm以上が特に好ましい。
なお、Cu源としてCuペーストを使用する場合、当該ペースト中のCu粒子の平均粒子径は、0.01μm~10μmが好ましく、0.1μm~5μmがより好ましく、0.5μm~2μmが特に好ましく、例えば1μmである。また、Cuペーストの総体積を100vol%としたときのCu粒子の含有量(体積比)は、5vol%以上が好ましく、10vol%以上がより好ましく、15vol%以上がさらに好ましく、20vol%以上が特に好ましい。これによって、Cuの不足によるPt-Cu相14の形成不良を防止できる。一方、銅ペーストの粘度上昇を抑制して作業性を向上させるという観点から、Cu粒子の含有量(体積比)の上限は、55vol%以下が好ましく、50vol%以下がより好ましく、45vol%以下がさらに好ましく、40vol%以下が特に好ましい。なお、Cuペーストの総重量を100wt%としたときのCu粒子の含有量(重量比)は、60wt%以上が好ましく、65wt%以上がより好ましく、70wt%以上がさらに好ましく、75wt%以上が特に好ましい。一方、Cu粒子の含有量(重量比)の上限は、95wt%以下が好ましく、90wt%以下がより好ましく、85wt%以下が特に好ましい。なお、Cu粒子を除くCuペーストの成分(溶剤、バインダ、分散剤など)は、ここに開示される技術の効果を阻害しない限りにおいて、従来公知の成分を特に制限なく使用でき、ここに開示される技術を特徴付けるものではないため詳細な説明を省略する。また、上述したように、PtやCu以外の金属元素を含む中間層20を形成する場合には、当該PtやCu以外の金属元素の粉体をCuペーストに添加することもできる。詳しくは後述するが、このときに添加するPtやCu以外の金属元素の粉体としては、Cu単体の融点よりも融点が低い銅合金を生成する金属元素の粉体であることが好ましい。
(2)他の製造方法
なお、ここに開示される金属接合体を製造する方法は、上述の方法に限定されず、種々の方法を適宜採用できる。例えば、上述した製造方法では、Pt-W生成工程と、Pt-Cu生成工程の各々において焼成処理を実施している。しかしながら、W系部材とCu源との間にPtペーストを挟み込んだ状態で一度に焼成処理を行った場合でも、ここに開示される金属接合体を製造できることが実験において確認されている。具体的には、W系部材とPtペーストとCu源とをまとめて焼成すると、W系部材とPtペーストとの境界にPt-W層が生成されると共に、W系部材の結晶粒界にPt-W相が形成される。そして、焼成処理がさらに進むと、W系部材内のPt-W相のPtがCu系部材に向かって移動すると共に、Cu元素がW系部材の結晶粒界に供給されてPt-Cu相が生成される。これによって、結晶粒界にPt-Cu相が存在するW系部材を備えた金属接合体を製造できる。なお、ここに開示される金属接合体を確実に形成するという観点からは、上述のように、Pt-W生成工程とPt-Cu生成工程に分けて焼成処理を実施した方が好ましい。一方、製造効率や製造コストを考慮する場合には、W系部材とPtペーストとCu源とをまとめて焼成した方が好ましい。
また、上述した製造方法では、Pt-Cu生成工程において、Pt-W層25からCu源(Cu系部材200)へのPtの拡散が生じるため、製造後の金属接合体100の中間層20に三元二相のW-Pt-Cu合金(図2参照)が生成される。しかしながら、ここに開示される金属接合体の中間層は、三元二相のW-Pt-Cu合金を有する形態に限定されず、単相のPt-Cu合金で形成されていてもよい。このような単相のPt-Cu合金を有する中間層を形成する場合には、上述の製造方法におけるPt-W層の厚みを薄くするとよい。例えば、Pt-W層の厚みを50nm以下(好適には40nm以下、より好適には30nm以下、さらに好適には20nm以下)とすることによって、単相のPt-Cu合金を有する中間層を容易に形成できる。また、このような薄いPt-W層を実現するには、Pt-W生成工程におけるPt源として、Pt粒子径が小さなPtペーストや、非常に薄いPt箔を使用するという手段を採用することよい。
また、上述した製造方法では、何れもPt-W層とCu源とを直接接触させている。しかしながら、ここに開示される技術は、かかる製造方法に限定されない。すなわち、Pt-W層とCu源との間に、中間金属材料(薄膜やペースト乾燥膜を含む)を介在させてもよい。本発明者は、中間金属材料を介してPt-W層とCu源とを接触させた状態で焼成処理を行っても、ここに開示される金属接合体が製造されることを確認している。なお、かかる中間金属材料の一例として、Auを含む金属部材(例えばAuペーストの乾燥膜)や、Ptを含む金属部材(例えばPtペーストの乾燥膜)などが挙げられる。特に、Auを含む金属部材を使用すると、Au-Cu合金を含む中間層を形成できるため、カーケンダルボイドの発生による接合性の低下を防止できる。
以上、ここに開示される技術の実施形態について説明した。なお、ここに開示される技術は、以上の説明に限定されるものではなく、ここに開示される技術の効果を著しく阻害しない限りにおいて、種々の構成を適宜変更することができる。例えば、以上の説明では、ここに開示される金属接合体の接合対象としてCu系部材を提示している。しかし、ここに開示される金属接合体の接合対象は、Pt元素とCu元素を含む中間層に好適に接合できる金属部材であればよく、Cu系部材以外の金属部材でもよい。Cu系部材以外の接合対象の一例として、Pt系部材が挙げられる。ここに開示される金属接合体の中間層は、Pt元素を含んでいるため、Pt系部材に対しても好適な接合性を発揮できる。
[試験例]
以下、本発明に関する試験例を説明するが、かかる試験例は、ここに開示される技術を限定することを意図したものではない。
1.実施例1
(1)サンプルの作製
まず、W系部材としてタングステン板(厚さ0.3mm、長さ7.5mm、幅7.5mm)を準備した。そして、Pt元素を含むPtペーストを準備し、当該PtペーストをW系部材の片面全面に塗布した。なお、本試験で使用したPtペーストは、21vol%のPt粉末(平均粒子径:0.5μm)と、バインダ(エチルセルロース系樹脂)と、分散材と、溶剤とを混錬したものである。なお、Ptペーストの溶剤には、2,2,4-Trimethyl-1,3-pentanediol 1-Monoisobutyrateを使用した。そして、本試験では、120℃、30分間の乾燥処理を行ってPtペーストを乾燥させた後に、大気中で脱バインダ処理(昇温速度:10℃/min、最高温度:200℃、加熱時間:3時間)を行った。次に、Cu源(Cu系部材)として、銅板(厚さ0.3mm、長さ20mm、幅20mm)を準備した。そして、上記W系部材のペースト塗布面とCu系部材とを面接触させ、W系部材の上に50gのアルミナブロックを載置することによって、W系部材とCu系部材との接触部分に0.89kPaの圧力を加えた。この状態で、昇温速度4℃/min、最高焼成温度を1000℃、焼成時間2時間の焼成処理を実施することによって、W系部材とCu系部材とが強固に接合された接合体サンプルを得た。なお、焼成時の雰囲気ガスには、3%の水素(H)を含むNガスを使用した。
(2)サンプルの解析
(a)SEM観察およびEDX分析
実施例1のサンプルを積層方向に沿って切断した後、イオンミリングを用いて切断面を研磨し、切断面の断面SEM画像を撮像した。また、撮像した断面SEM画像に対してEDX分析を実施し、タングステン(W)と、銅(Cu)と、白金(Pt)の各々の元素マッピング像を取得した。倍率250倍における解析結果を図6に示し、倍率1000倍における解析結果を図7に示し、倍率10000倍における解析結果を図8に示し、倍率50000倍における解析結果を図9に示す。なお、図6~図9における(a)は断面SEM画像であり、(b)はWの元素マップであり、(c)はCuの元素マップであり、(d)はPtの元素マップである。
まず、図6に示すように、低倍率250倍での観察では、W系部材とCu系部材との間に、Pt-Cu合金を主成分とした合金層(中間層)が形成されていることが確認された。かかる中間層の主成分であるPt-Cu合金は、通常、W系部材に対する接合性が低いにも関わらず、実施例1では、中間層とW系部材とが強固に接合されていた。そこで、図8(a)および(b)に示すように、より高倍率(10000倍)の観察を行った結果、実施例1では、W系部材の内部(結晶粒界)にW元素以外の成分が入り込んでいることが確認された。そして、図8(c)および(d)に示すように、このW系部材の内部に入り込んだ元素は、Pt元素とCu元素であることが確認された。以上のことから、実施例1のW系部材の結晶粒界には、Pt元素とCu元素を含むPt-Cu相が存在しており、当該Pt-Cu相によって、W系部材と中間層(Pt-Cu合金)との接合性が向上していると推測された。また、図7に示すように、実施例1では、中間層におけるW系部材との境界付近に、WとPtとCuとが混在する層(W-Pt-Cu領域)が形成されていることが分かった。そして、このW-Pt-Cu領域をさらに拡大したところ、図8および図9に示すように、Pt-Cu相マトリクス中にW相が混在したW-Pt-Cu合金が確認された。以上の解析結果から、W系部材とCu系部材との間には、三元二相のW-Pt-Cu合金を有する中間層が形成されていることが分かった。このW-Pt-Cu合金を有する中間層によって、W系部材とCu系部材との接合性がさらに向上していると予想される。
(b)結晶組織の観察
FIB-SEMを用いて実施例1のサンプルを薄片化してSEM/EBSD画像を取得した。結果を図10に示す。かかる図10に示すように、実施例1では、W系部材とCu系部材との間にPt-Cu合金が形成されており、そのPt-Cu合金とW系部材との境界にW-Pt-Cu合金が形成されていることが分かる。そして、W系部材におけるW-Pt-Cu合金に接した領域では、Wの結晶粒が他の領域よりも小さくなっていることが確認された。これは、W-Pt-Cu合金の生成のために、当該領域からWが供給されたためと推測される。そして、当該W系部材の結晶組織が小さくなった領域では、図8に示す通り、結晶粒界にPt-Cu相が入り込んでいるため、熱膨張差の緩和によって各部材の間の接合強度の向上が期待できる。
(c)元素マッピング
また、本試験では、FIB-SEMで薄片化した試験片のHAADF-STEM(High Angle Annular Dark-Field Scanning Transmission Electron Microscopy)画像(倍率50000倍)を取得した。HAADF-STEM画像を図11に示す。また、図11中の領域A(中間層内のW相)のEDXスペクトルを図12に示す。そして、領域B(中間層内のP-Cu相)のEDXスペクトルを図13に示す。
まず、図12に示すように、中間層内のW相では、W元素、Mo元素、Fe元素、O元素が主に確認された。これらのうち、Mo元素、Fe元素は、W系部材に含まれる不純物に由来すると考えられる。また、Moに関してはサンプルフォルダに含まれるものを検出した可能性がある。一方、図13に示すように、中間層内のPt-Cu相では、Cu元素、Pt元素、O元素が主に確認された。なお、W相とPt-Cu相の両方で確認されたO元素は、測定環境で付着した酸素や試験片の表面酸化に由来すると考えられる。
そして、図12を解析した結果、中間層内のW相におけるWの原子数は84.57atm%であり、Cuの原子数は2.56atm%であり、Ptの原子数は0.06atm%であった。また、W相には、不純物であるモリブデン(Mo)が12.81atm%含まれていたが、これはサンプルフォルダに含まれるものを検出したと考えられる。一方、図13を解析した結果、中間層内のPt-Cu相におけるWの原子数は2.31atm%であり、Cuの原子数は78.13atm%であり、Ptの原子数は15.59atm%であった。また、Pt-Cu相には、不純物であるモリブデン(Mo)が3.97atm%含まれていた。このMoもサンプルフォルダに含まれるものを検出したと考えられる。
2.実施例2
(1)サンプルの作製
実施例2では、PtペーストにおけるPt粉の含有量を10vol%に減らし、Ptペーストの塗布後の脱バインダ処理の条件を160℃,30分間に変更した点を除いて、実施例1と同じ条件でW系部材とCu系部材とを接合した接合体サンプルを作製した。
(2)サンプルの解析
(a)SEM観察およびEDX分析
上記実施例2のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。実施例2の倍率5000倍の解析結果を図14に示し、Pt-Cu領域における倍率50000倍の解析結果を図15に示し、Pt-W層における倍率50000倍の解析結果を図16に示し、W-Pt-Cu領域における倍率50000倍の解析結果を図17に示し、W系部材における倍率50000倍の解析結果を図18に示す。なお、図14~図18中の(a)は断面SEM画像であり、(b)はWの元素マップであり、(c)はCuの元素マップであり、(d)はPtの元素マップである。また、実施例2については、図14(a)の上側(Pt-Cu合金側)から下側(W系部材側)に長さ20μmの線分X1を引き、当該ライン上におけるW、Pt、Cu各元素の濃度分布の変化を調べた。かかるライン分析の結果を図19に示す。この図19の横軸の0μmの位置は線分X1の上端に対応しており、20μmの位置は線分X1の下端に対応している。また、縦軸は各々の元素の特性X線強度を示している。そして、図19中の(a)はPtの分析結果を示し、(b)はWの分析結果を示し、(c)はCuの分析結果を示している。図19に示すように、Pt-Cu合金が存在する領域では、Pt元素とCu元素の存在が確認され、W元素は確認されなかった。そして、W-Pt-Cu合金が存在する領域では、W元素とPt元素とCu元素の各々が確認された。そして、W系部材が存在する領域(12μm~20μm)の殆どがW元素であった(図19(b))が、当該W系部材の表層(13.8μm付近の領域)においてPt元素とCu元素の存在を示すピークが確認された。このことから、実施例2においても、W系部材の結晶粒界にPt元素とCu元素が入り込んでいることが確認された。なお、このW系部材の結晶粒界に存在するPt-Cu相は、図18に示す元素マップにおいても確認できる。
(c)反射電子像解析
また、実施例2では、FIBを用いてサンプルを薄片化し、上記図14とは異なる視野における反射電子像を取得して種々の解析を行った。図20(a)は実施例2の反射電子像(5000倍)であり、(b)は(a)中の領域αの拡大図(20000倍)であり、(c)は(a)中の領域βの拡大図(20000倍)である。この図20にも示されているように、実施例2では、W系部材とCu系部材との間の中間層に、W-Pt-Cu合金を含む領域(W-Pt-Cu領域)と、Pt-W合金を含む領域(Pt-W領域)と、Pt-Cu合金を含む領域(Pt-Cu領域)とが形成されていた。そして、実施例2では、図20(a)中の領域αと領域βの各々において、EDX分析に基づいた元素マッピング像を取得した。領域αにおける元素マッピング像の結果を図21に示し、領域βにおける元素マッピング像の結果を図22に示す。先ず、図21に示すように、領域α中のPt-W領域では、粒子径が100~500nm程度のPt-W結晶粒子の間に、微量のPt-Cu結晶粒子が存在していることが確認された。このPt-W領域におけるPt-W結晶粒子とPt-Cu結晶粒子との面積比は、98.5:1.5であった。また、図22に示すように、反射電子像においても、W系部材の結晶粒界にPt元素とCu元素が入り込んでいることが確認された。また、図22に示されるW-Pt-Cu領域におけるPt-Cu相とW相との面積比は、52.9:47.1であった。
(d)HAADF-STEM解析
次に、実施例2では、HAADF-STEM画像と、当該HAADF-STEM画像の元素マッピング像も取得した。図23は、実施例2のHAADF-STEM画像および元素マッピング像の結果を示す図である。また、図24は、図23中の線分X2上におけるPt、Cu、Wの濃度分布を示すグラフである。この図24および図23に示すように、実施例2では、主にWで構成されたW系部材と、W相とPt-Cu相とを有したW-Pt-Cu領域と、Pt-W合金で形成されたPt-W領域と、Pt-Cu合金で形成されたPt-Cu領域とが形成されていた。
さらに、図25は、実施例2のW系部材と、W-Pt-Cu領域のW相と、W-Pt-Cu領域のPt-Cu相との界面におけるHAADF-STEM画像および元素マッピング像の結果を示す図である。また、図26は、図25中の線分X3上におけるPt、Cu、Wの濃度分布を示すグラフであり、図27は、線分X3上におけるOとFeの濃度分布を示すグラフである。図25および図27に示すように、W系部材内に少量の鉄(Fe)元素の存在が確認された。また、酸素(O)元素は、測定ノイズによるものと推測される。そして、これらのFe元素やO元素は、いずれの領域においても存在しており、W-Pt-Cu領域のPt-Cu相とW系部材との界面において明らかな偏在は確認されなかった。
また、実施例2では、図23中の領域α~領域δの各領域において電子線回折を行った。結果を図28に示す。図28(a)は、領域α(W系部材)における電子線回折の結果を示す画像である。かかる電子線回折結果から、領域α(W系部材)における主成分がWであることが分かる。次に、図28(b)は、領域β(W-Pt-Cu領域)における電子線回折の結果を示す画像である。かかる電子線回折結果から、領域β(W-Pt-Cu領域)においてW相とPt-Cu相が確認された。さらに、W-Pt-Cu領域中のPt-Cu相には、少なくともCuPtが存在していることが分かった。また、図28(c)は、領域γ(Pt-W領域)における電子線回折の結果を示す画像である。かかるPt-W領域では、Pt-W合金の他に、Pt-Cu合金も確認された。そして、Pt-W層は、Pt-W合金として、少なくともPtWを含み、Pt-Cu合金として、少なくともCuPtを含んでいた。そして、図28(d)は、領域δ(Pt-Cu領域)における電子線回折の結果を示す画像である。かかるPt-Cu領域は、Pt-Cu合金として、少なくともCuPtを含んでいた。
次に、上述の図25に示すように、実施例2では、W系部材とW-Pt-Cu領域との界面におけるHAADF-STEM画像および元素マッピング像を取得している。これに加え、実施例2では、W系部材とPt-W領域とPt-Cu領域の各層におけるHAADF-STEM画像および元素マッピング像を取得した。結果を図29~図31に示す。図25、図30および図31に示すように、実施例2では、W-Pt-Cu領域とPt-W層とPt-Cu領域の各々の領域において、PtとCuとを有するPt-Cu相が確認された。さらに、図29に示すように、実施例2では、W系部材の結晶粒界においても、Pt-Cu相が確認された。これらの各領域におけるPt-Cu相のEDXスペクトルを図32~図35に示すと共に、かかるEDXスペクトルに基づいて算出した元素比率を表1に示す。図32~図35および表1に示すように、W系部材の結晶粒界に存在するPt-Cu相の元素比率は、他の層におけるPt-Cu相の元素比率と大きな違いがなかった。
以上の解析の結果、実施例2でも、W系部材の結晶粒界にPt-Cu相が入り込んでいた。このことから、W系部材にPtペーストを塗布して焼成処理することによって、W系部材の結晶粒界にPt元素が入り込んでPt-W相が生成された後、Pt-Cu相が生成されたと考えられる。また、実施例2においても、Pt-W領域とW系部材との間にW-Pt-Cu合金が形成されていた。
3.実施例3
(1)サンプルの作製
実施例3では、実施例1、2と同様のW系部材の表面に、実施例2と同じ組成のPtペーストを塗布して乾燥処理(120℃、30分間)を実施した後、大気雰囲気で脱バインダ処理(昇温速度:10℃/min、最高温度:160℃、加熱時間:0.5h)を実施した。次に、Nガス(3%水素(H)含有)雰囲気下で焼成処理(昇温速度:4℃/min、最高温度:1000℃、焼成時間:2h)を実施した。そして、室温まで冷却した後に表面を観察すると、Pt焼成膜が生成されて金属光沢を示していた。また、W系部材とPt焼成膜の間にはPt-W合金が生成されていた。次に、Pt焼成膜の表面にAuペーストを塗布した。なお、本試験で使用したAuペーストは、20vol%のAu粉末(平均粒子径:0.5μm)と、ガラス粉(SiO-B系ガラス)と、バインダ(エチルセルロース系樹脂)と、分散材と、溶剤(2,2,4-Trimethyl-1,3-pentanediol 1-Monoisobutyrate)とを混錬したものである。その後、乾燥処理(120℃、30分間)を実施した後、大気雰囲気で脱バインダ処理(昇温速度:10℃/min、最高温度:350℃、焼成時間:3h)を実施した、W系部材とPt-W層とPt焼成膜とAu乾燥膜とが、このの順に積層された4層構造物を得た。そして、かかる4層構造物のAu乾燥膜に、実施例1、2と同様のCu系部材を接触させて荷重(50gのアルミナブロック)を乗せた状態で、Nガス(3%水素(H)含有)雰囲気下で焼成処理(昇温速度:4℃/min、最高温度:1000℃、焼成時間:2h)を実施した。これによって、W系部材とCu系部材とが強固に接合された接合体サンプルを得た。
(2)サンプルの解析
(a)SEM観察およびEDX分析
上記実施例3のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。実施例3の倍率300倍の解析結果を図36に示す。また、図36中の第1Pt-Cu-Au領域における倍率50000倍の解析結果を図37に示し、第1W-Pt-Cu-Au領域における倍率50000倍の解析結果を図38に示し、第2Pt-Cu-Au領域における倍率50000倍の解析結果を図39に示し、第2W-Pt-Cu-Au領域における倍率50000倍の解析結果を図40に示す。さらに、第2W-Pt-Cu-Au領域とW系部材との境界における倍率50000倍の解析結果を図41に示し、W系部材における倍率50000倍の解析結果を図42に示す。なお、図36~図42中の(a)は断面SEM画像であり、(b)はWの元素マップであり、(c)はCuの元素マップであり、(d)はPtの元素マップであり、(e)はAuの元素マップである。
また、実施例3では、図36(a)の上側(第1Pt-Cu-Au領域側)から下側(W系部材側)に長さ約300μmの線分X4を引き、当該ライン上におけるW、Pt、Cu、Au各元素の濃度分布の変化を調べた。結果を図43に示す。この図43の横軸の0μmの位置は線分X4の上端に対応しており、300μmの位置は線分X4の下端に対応している。また、縦軸は各々の元素の特性X線強度を示している。そして、図43中の(a)はPtの分析結果を示し、(b)はWの分析結果を示し、(c)はCuの分析結果を示し、(d)はAuの分析結果を示している。さらに、実施例3では、図37~図42に示す各視野におけるEDXスペクトルを取得した。これらの各視野におけるEDXスペクトルを図44~図49に示す。
まず、図41、42、48、49に示すように、実施例3においても、W系部材の結晶粒界にPt元素とCu元素が入り込んでいることが確認された。このことから、Pt-W層とCu源(Cu系部材)との間にAu層が介在した状態で焼成処理を行った場合でも、W系部材の結晶粒界にPt-Cu相が形成されることが確認された。
また、図36~40に示すように、実施例3では、Pt-Cu-Au合金を含む領域(t-Cu-Au領域)とW-Pt-Cu-Au合金を含む領域(W-Pt-Cu-Au領域)とが厚み方向において交互に形成されていた。このような層状構造が形成された原因は、Pt-W層が厚く形成された結果、当該Pt-W層にひび割れが生じ、Pt-W層からのPtの拡散が層表面と層内部の両方から生じたためと推測される。また、図50および図51に示すように、第1W-Pt-Cu-Au領域と第2W-Pt-Cu-Au領域の各々を拡大して観察した結果、何れの領域においても粒状のW相が形成されていた。このことから、実施例3の中間層には、W相とPt-Cu-Au相とを含む四元二相のW-Pt-Cu-Au合金が形成されていることが確認された。また、図36~図41に示すように、実施例3の中間層には、実施例1(図7参照)にて確認されたようなカーケンダルボイドが存在しなかった。これは、実施例3の中間層は、低融点のAu-Cu合金を含んでおり、焼成中にAu-Cu合金が液相となってカーケンダルボイドを塞いだためと推測される。
4.実施例4
(1)サンプルの作製
実施例4では、Auペーストの代わりに、Pt焼成膜の表面にCuペーストを塗布した点を除いて、実施例3と同じ手順で接合体サンプルを作製した。なお、本試験で使用したCuペーストは、20vol%のCu粉末(平均粒子径:0.5μm)と、ガラス粉(SiO-B系ガラス)と、バインダ(エチルセルロース系樹脂)と、分散材と、溶剤(2,2,4-Trimethyl-1,3-pentanediol 1-Monoisobutyrate)とを混錬したものである。
(2)サンプルの解析
(a)SEM観察およびEDX分析
上記実施例4のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。実施例4の倍率5000倍の解析結果を図52に示し、Pt-W領域における倍率50000倍の解析結果を図53に示し、W-Pt-Cu領域における倍率50000倍の解析結果を図54に示し、W系部材における倍率50000倍の解析結果を図55に示し、W系部材とW-Pt-Cu領域との界面における倍率50000倍の解析結果を図56に示す。なお、図52~図56中の(a)は断面SEM画像であり、(b)はWの元素マップであり、(c)はCuの元素マップであり、(d)はPtの元素マップである。
まず、図55に示すように、実施例4においても、W系部材の結晶粒界にPt-Cu相が入り込んでいることが確認された。さらに、図54および図56に示すように、実施例4においても、中間層に三元二相のW-P-Cu合金が形成されていることが確認された。また、図52及び図53に示すように、実施例4では、中間層の一部に、Pt-W合金を主成分としたPt-W領域が形成されていることが確認された。

5.実施例5
(1)サンプルの作製
実施例5では、実施例1~4と同様のW系部材の表面に、実施例2と同じ組成のPtペーストを塗布して乾燥処理(120℃、30分間)を実施した後、大気雰囲気で脱バインダ処理(昇温速度:10℃/min、最高温度:160℃、加熱時間:0.5h)を実施した。そして、Nガス(3%水素(H)含有)雰囲気下で焼成処理(昇温速度:4℃/min、最高温度:1000℃、焼成時間:2h)を実施した。なお、実施例5では、他の実施例と異なり、Ptペーストの塗布厚みを10μmから2μmに減少させた。このため、冷却後の塗布面を観察すると、Pt-W層の表面からW系部材の一部が露出し、当該Pt-W層の表面が灰色でざらついていた。次に、本実施例では、Cu源としてPt-Cuペーストを準備し、Pt-W層の表面に塗布した。なお、本試験で使用したPt-Cuペーストは、20vol%のPt-Cu粉末(平均粒子径0.5μmのPt粉末と平均粒子径0.5μmのCu粉末とを10:90の割合で混合したもの)と、ガラス粉(SiO-B系ガラス)と、バインダ(エチルセルロース系樹脂)と、分散材と、溶剤(2,2,4-Trimethyl-1,3-pentanediol 1-Monoisobutyrate)とを混錬したものである。そして、乾燥処理(120℃、30分間)を実施した後、大気雰囲気で脱バインダ処理(昇温速度:10℃/min、最高温度:350℃、加熱時間:3h)を実施した後に、Nガス(3%水素(H)含有)雰囲気下で焼成処理(昇温速度:4℃/min、最高温度:1000℃、焼成時間:2h)を実施した。これによって、W系部材の表面に、白金(Pt)と銅(Cu)を含む中間層が形成された接合体サンプルを得た。
(2)サンプルの解析
上記実施例5のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。実施例5の倍率5000倍の解析結果を図57に示し、Pt-Cu領域における倍率50000倍の解析結果を図58に示し、第1W-Pt-Cu領域における倍率50000倍の解析結果を図59に示し、Pt-W領域における倍率50000倍の解析結果を図60に示し、第2W-Pt-Cu領域とW系部材との境界における倍率50000倍の解析結果を図61に示す。なお、図57~図61中の(a)は断面SEM画像であり、(b)はWの元素マップであり、(c)はCuの元素マップであり、(d)はPtの元素マップである。また、実施例5については、図57(a)の下側(W系部材側)から上側(Pt-Cu領域側)に長さ20μmの線分X5を引き、当該ライン上におけるW、Pt、Cu各元素の濃度分布の変化を調べた。結果を図62に示す。この図62の横軸の0μmの位置は線分X5の下端に対応しており、20μmの位置は線分X5の上端に対応している。また、縦軸は各元素の特性X線強度を示している。
まず、図61及び図62に示すように、実施例5においても、W系部材の結晶粒界にPt元素とCu元素が入り込んでいることが確認された。このことから、Cu源としてCuペーストを使用した場合でも、結晶粒界にPt-Cu相が存在するW系部材を備えた金属接合体を製造できることが確認された。また、図57~図61に示すように、実施例5では、Pt-Cu領域と第1W-Pt-Cu領域とPt-W領域と第2W-Pt-Cu領域とが積層した層状構造の中間層が形成されていた。このような層状構造の中間層が形成された原因は、上記実施例3と同様に、Pt-W層のひび割れによって、Pt-W層からのPtの拡散が層表面と層内部の両方から生じたためと推測される。
6.比較例1
(1)サンプルの作製
比較例1では、W系部材の表面にCuペーストを塗布して乾燥・焼成を行った。具体的には、実施例1と同じ寸法のW系部材の表面に、実施例4と同じ組成のCuペーストを塗布した。そして、120℃、30分間の乾燥処理を行って、Cuペーストを乾燥させた後に、空気中で400℃、1時間の加熱処理を行った。その後、焼成速度を5℃/min、最高焼成温度を1000℃、焼成時間を30分間に設定した焼成処理を行った。
(2)サンプルの解析
上記比較例1のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。比較例1の倍率250倍の解析結果を図63に示し、倍率1000倍の解析結果を図64に示し、倍率5000倍の解析結果を図65に示し、倍率50000倍の解析結果を図66に示す。なお、図63~図66中の(a)は断面SEM画像であり、(b)はO(酸素)の元素マップであり、(c)はCuの元素マップであり、(d)はWの元素マップである。これらの解析の結果、比較例1では、W系部材の結晶粒界にCu元素等が入り込むような現象は確認されなかった(例えば図66(c)参照)。また、WとCuとが混在した合金材料を含む中間層なども形成されていなかった。すなわち、Ptが存在していない状態(W-Pt合金が生成されていない状態)でCuとWとを接触させて焼成処理を行っても、結晶粒界にCu元素等が入り込んだW系部材や、WとCuとが混在した中間層は生成されないことが分かった。そして、この比較例1のサンプルは、外部からの力によってW系部材とCu層との界面が容易に剥離した。
7.比較例2
(1)サンプルの作製
比較例2では、板状のW系部材の表面にPtペーストを塗布して乾燥・焼成を行った。具体的には、実施例1と同じ寸法のW系部材の表面に、実施例1と同じ組成のPtペーストを塗布した。そして、120℃、30分間の乾燥処理でPtペーストを乾燥させた後に、空気中で160℃、0.5時間の加熱処理を行った。その後、焼成速度を3℃/min、最高焼成温度を1300℃、焼成時間を10分間に設定した焼成処理を行った。これによって、W系部材の表面に、白金(Pt)を含む層が形成された接合体を得た。
(2)サンプルの解析
上記比較例2のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。比較例2の倍率5000倍の解析結果を図67に示す。なお、図67の(a)は断面SEM画像であり、(c)はWの元素マップであり、(d)はPtの元素マップである。これらの解析の結果、比較例2のようにPt源とW源とを接触させた状態で焼成することによって、W系部材の表面に、PtとWを含む合金(Pt-W合金)が生成されることが確認された。
8.比較例3
(1)サンプルの作製
比較例3では、板状のW系部材の表面にPt-Cuペーストを塗布して乾燥・焼成を行った。具体的には、実施例1と同じ寸法のW系部材の表面に、実施例5と同じ組成のPt-Cuペーストを塗布した。そして、120℃、30分間の乾燥処理を行ってペーストを乾燥させた後に、空気中で160℃、0.5時間の第1加熱処理を行った後に、3%Hガス含有Nガス中で、昇温速度10℃/min、最高加熱温度400℃、加熱時間を1時間に設定した第2加熱処理を行った。そして、昇温速度5℃/min、最高焼成温度を1000℃、焼成時間を30分間の焼成処理を行った。
(2)サンプルの解析
上記比較例3のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。比較例3の倍率5000倍の解析結果を図68に示し、倍率50000倍の解析結果を図69に示す。これらの解析の結果、比較例3のようにPt源とCu源を混合して焼成した場合、W系部材の表面にPt源とCu源が存在していたにも関わらず、結晶粒界にPt元素とCu元素が入り込んだW系部材は形成されなかった。さらに、W系部材の表面には、Pt-Cu合金が形成されていたが、このPt-Cu合金はW系部材と適切に接合されていなかった。このような結果になった原因は次のように推測される。比較例3では、混在させたPt源とCu源との反応が優先的に生じ、Pt-W合金が生成されなかった。そして、Pt源とCu源とが反応して生じたPt-Cu合金は、W系部材との反応性が低いため、W系部材の結晶粒界に入り込むような移動(拡散)が生じなかった。このことから、結晶粒界にPt-Cu相が存在するW系部材を形成するには、W系部材の表面にPt-W合金を生成した後に、当該Pt-W合金にCu源を接触させて焼成処理を行った方がよいことが分かった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 W系部材
12 結晶粒
14 Pt-Cu相
15 Wリッチ層
16 Pt-W相
20 中間層
22 W相
24 Pt-Cu相
25 Pt-W層
100 金属接合体
200 Cu系部材

Claims (7)

  1. タングステン(W)元素を80atm%以上含む結晶粒が複数集合したタングステン系部材と、
    前記タングステン系部材の表面に接合されており、白金(Pt)と銅(Cu)を含む中間層と
    を少なくとも備え、
    前記タングステン系部材の前記結晶粒の粒界に、白金(Pt)と銅(Cu)を含むPt-Cu相が存在している、金属接合体。
  2. 前記Pt-Cu相は、前記タングステン系部材と前記中間層との界面から前記タングステン系部材の内部に向かって10μm以内の領域に存在する、請求項1に記載の金属接合体。
  3. 前記タングステン系部材の前記結晶粒は、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)からなる群から選択される少なくとも一種の元素を含む、請求項1に記載の金属接合体。
  4. 前記中間層は、銅(Cu)よりも融点が低い銅合金を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の金属接合体。
  5. 前記銅(Cu)よりも融点が低い銅合金は、銅(Cu)と金(Au)との合金である、請求項4に記載の金属接合体。
  6. 前記中間層は、タングステン(W)を主成分とするW相と、白金(Pt)と銅(Cu)を含むPt-Cu相とが混在したW-Pt-Cu合金を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属接合体。
  7. 前記W-Pt-Cu合金は、前記Pt-Cu相からなるマトリックス中に複数の前記W相が存在することによって構成される、請求項1に記載の金属接合体。
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