JP7846978B2 - 金属接合体 - Google Patents
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Description
以下、ここに開示される金属接合体の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る金属接合体を模式的に示す断面図である。図2は、中間層の構造の一例を模式的に示す断面図である。また、図3は、図1に示す金属接合体を用いて作製したW系部材とCu系部材との接合体を模式的に示す断面図である。
W系部材10は、タングステン(W)を含む部材である。W系部材10は、W元素を含む固形の部材であれば、特に限定されない。また、W系部材10は、一般的な固形の金属部材と同様に、結晶粒12が複数集合することによって構成される。このW系部材10の結晶粒12は、W元素を主成分として含む結晶粒である。なお、結晶粒12は、W元素以外の元素を含んでいてもよい。すなわち、W系部材10の結晶粒12は、タングステンのみからなる構成に限定されず、窒化タングステン、炭化タングステン、炭窒化タングステン、銅-タングステン合金、銀-タングステン合金などであってもよい。また、W系部材10は、タングステン材料と他の金属材料とが複合した複合材料であってもよい。ここで、タングステン材料と複合され得る金属材料としては、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、鉄(Fe)、金(Au)、トリウム(Th)等の各種金属材料、トリア(ThO2)、イットリア等の高融点セラミックなどが挙げられる。なお、説明の便宜上、図1では板状のW系部材10を記載しているが、W系部材の形状は特に限定されない。例えば、W系部材は、筒状、柱状などの一般的な金属部材がとり得る形状を特に制限なく採用できる。
中間層20は、W系部材10の表面に接合され、Pt元素とCu元素を含む層である。この中間層20は、W系部材10とCu系部材200(図3参照)とを接合する接合材として機能する層である。具体的には、中間層20は、Cu系部材200の主成分であるCu元素を含んでいるため、所定の温度で焼成するだけでCu系部材200と好適に接合できる。一方、本実施形態に係る金属接合体100のW系部材10は、結晶粒界にPt-Cu相14が存在しているため、Pt元素とCu元素を含む中間層20と適切に接合される。なお、中間層20は、PtとCuを含んでいればよく、具体的な構造や他の金属元素の存在などは特に限定されない。以下、中間層20の構造の一例について図2を参照しながら説明する。
次に、本実施形態に係る金属接合体100の接合対象の一例であるCu系部材200について説明する。図3に示すCu系部材200は、Pt元素とCu元素を含む中間層20に対して好適な接合性を有する金属部材であれば特に限定されず、Cu元素を含有する種々の金属部材を特に制限なく採用できる。かかるCu系部材200の材料の一例として、銅単体、Pt-Cu合金などが挙げられる。また、Cu系部材200の材料の他の例として、Ni、Zn、Sn、Mn、Fe、Al、Beの何れか一つを含むCu合金(例えば、Cu-Ni合金、Cu-Zn合金、Cu-Sn-P合金)など挙げられる。
次に、本実施形態に係る金属接合体100を製造する方法の一例について説明する。本実施形態に係る金属接合体100は、例えば、Pt-W生成工程とPt-Cu生成工程を備えた製造方法によって製造できる。以下、各工程について図4~図5を参照しながら説明する。図4は、金属接合体の製造方法におけるPt-W生成工程の一例を模式的に示す断面図である。図5は、金属接合体の製造方法におけるPt-Cu生成工程の一例を模式的に示す断面図である。
本工程では、白金(Pt)を含むPt源と、W系部材10とを接触させた状態で焼成処理を行う。これによって、PtとWを含む合金を有するPt-W層25がW系部材10の表面に生成される(図4参照)。なお、Pt-W層25は、PtとWを含んでいれば特に限定されない。例えば、Pt-W層25は、PtとWとを所定の整数比で含む金属間化合物(例えば、Pt2W)を含んでいることが好ましい。
本工程では、Cu源とPt-W層25とを接触させた状態で焼成処理を行う。本工程で使用するCu源は、Cuを主成分として含む材料である。図5に示す例では、Cu源として、W系部材10の接合対象であるCu系部材200を使用している。そして、本工程における焼成処理を実施すると、Pt-W層25やWリッチ層15(W系部材10内のPt-W相16)からCu源(Cu系部材200)へのPtの移動(典型的には拡散)が進行する。そして、Ptが移動した後のWリッチ層15には、Cu系部材200から拡散したCuが供給される。これによって、W系部材10内のPt-W相16がPt-Cu相となる。これによって、結晶粒界にPt-Cu相14が存在するW系部材10(図1参照)が形成される。一方、Ptが移動した後のPt-W層25では、Pt-W合金からCuへの脱Ptが進み、Wが主成分であるW相22(図2参照)が形成される。一方、CuにPtが供給されることによって、W相22の周囲を充填するようにPt-Cu相24が形成される。これによって、三元二相のW-Pt-Cu合金を有する中間層20が形成される。
なお、ここに開示される金属接合体を製造する方法は、上述の方法に限定されず、種々の方法を適宜採用できる。例えば、上述した製造方法では、Pt-W生成工程と、Pt-Cu生成工程の各々において焼成処理を実施している。しかしながら、W系部材とCu源との間にPtペーストを挟み込んだ状態で一度に焼成処理を行った場合でも、ここに開示される金属接合体を製造できることが実験において確認されている。具体的には、W系部材とPtペーストとCu源とをまとめて焼成すると、W系部材とPtペーストとの境界にPt-W層が生成されると共に、W系部材の結晶粒界にPt-W相が形成される。そして、焼成処理がさらに進むと、W系部材内のPt-W相のPtがCu系部材に向かって移動すると共に、Cu元素がW系部材の結晶粒界に供給されてPt-Cu相が生成される。これによって、結晶粒界にPt-Cu相が存在するW系部材を備えた金属接合体を製造できる。なお、ここに開示される金属接合体を確実に形成するという観点からは、上述のように、Pt-W生成工程とPt-Cu生成工程に分けて焼成処理を実施した方が好ましい。一方、製造効率や製造コストを考慮する場合には、W系部材とPtペーストとCu源とをまとめて焼成した方が好ましい。
以下、本発明に関する試験例を説明するが、かかる試験例は、ここに開示される技術を限定することを意図したものではない。
(1)サンプルの作製
まず、W系部材としてタングステン板(厚さ0.3mm、長さ7.5mm、幅7.5mm)を準備した。そして、Pt元素を含むPtペーストを準備し、当該PtペーストをW系部材の片面全面に塗布した。なお、本試験で使用したPtペーストは、21vol%のPt粉末(平均粒子径:0.5μm)と、バインダ(エチルセルロース系樹脂)と、分散材と、溶剤とを混錬したものである。なお、Ptペーストの溶剤には、2,2,4-Trimethyl-1,3-pentanediol 1-Monoisobutyrateを使用した。そして、本試験では、120℃、30分間の乾燥処理を行ってPtペーストを乾燥させた後に、大気中で脱バインダ処理(昇温速度:10℃/min、最高温度:200℃、加熱時間:3時間)を行った。次に、Cu源(Cu系部材)として、銅板(厚さ0.3mm、長さ20mm、幅20mm)を準備した。そして、上記W系部材のペースト塗布面とCu系部材とを面接触させ、W系部材の上に50gのアルミナブロックを載置することによって、W系部材とCu系部材との接触部分に0.89kPaの圧力を加えた。この状態で、昇温速度4℃/min、最高焼成温度を1000℃、焼成時間2時間の焼成処理を実施することによって、W系部材とCu系部材とが強固に接合された接合体サンプルを得た。なお、焼成時の雰囲気ガスには、3%の水素(H2)を含むN2ガスを使用した。
(a)SEM観察およびEDX分析
実施例1のサンプルを積層方向に沿って切断した後、イオンミリングを用いて切断面を研磨し、切断面の断面SEM画像を撮像した。また、撮像した断面SEM画像に対してEDX分析を実施し、タングステン(W)と、銅(Cu)と、白金(Pt)の各々の元素マッピング像を取得した。倍率250倍における解析結果を図6に示し、倍率1000倍における解析結果を図7に示し、倍率10000倍における解析結果を図8に示し、倍率50000倍における解析結果を図9に示す。なお、図6~図9における(a)は断面SEM画像であり、(b)はWの元素マップであり、(c)はCuの元素マップであり、(d)はPtの元素マップである。
FIB-SEMを用いて実施例1のサンプルを薄片化してSEM/EBSD画像を取得した。結果を図10に示す。かかる図10に示すように、実施例1では、W系部材とCu系部材との間にPt-Cu合金が形成されており、そのPt-Cu合金とW系部材との境界にW-Pt-Cu合金が形成されていることが分かる。そして、W系部材におけるW-Pt-Cu合金に接した領域では、Wの結晶粒が他の領域よりも小さくなっていることが確認された。これは、W-Pt-Cu合金の生成のために、当該領域からWが供給されたためと推測される。そして、当該W系部材の結晶組織が小さくなった領域では、図8に示す通り、結晶粒界にPt-Cu相が入り込んでいるため、熱膨張差の緩和によって各部材の間の接合強度の向上が期待できる。
また、本試験では、FIB-SEMで薄片化した試験片のHAADF-STEM(High Angle Annular Dark-Field Scanning Transmission Electron Microscopy)画像(倍率50000倍)を取得した。HAADF-STEM画像を図11に示す。また、図11中の領域A(中間層内のW相)のEDXスペクトルを図12に示す。そして、領域B(中間層内のP-Cu相)のEDXスペクトルを図13に示す。
(1)サンプルの作製
実施例2では、PtペーストにおけるPt粉の含有量を10vol%に減らし、Ptペーストの塗布後の脱バインダ処理の条件を160℃,30分間に変更した点を除いて、実施例1と同じ条件でW系部材とCu系部材とを接合した接合体サンプルを作製した。
(a)SEM観察およびEDX分析
上記実施例2のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。実施例2の倍率5000倍の解析結果を図14に示し、Pt-Cu領域における倍率50000倍の解析結果を図15に示し、Pt-W層における倍率50000倍の解析結果を図16に示し、W-Pt-Cu領域における倍率50000倍の解析結果を図17に示し、W系部材における倍率50000倍の解析結果を図18に示す。なお、図14~図18中の(a)は断面SEM画像であり、(b)はWの元素マップであり、(c)はCuの元素マップであり、(d)はPtの元素マップである。また、実施例2については、図14(a)の上側(Pt-Cu合金側)から下側(W系部材側)に長さ20μmの線分X1を引き、当該ライン上におけるW、Pt、Cu各元素の濃度分布の変化を調べた。かかるライン分析の結果を図19に示す。この図19の横軸の0μmの位置は線分X1の上端に対応しており、20μmの位置は線分X1の下端に対応している。また、縦軸は各々の元素の特性X線強度を示している。そして、図19中の(a)はPtの分析結果を示し、(b)はWの分析結果を示し、(c)はCuの分析結果を示している。図19に示すように、Pt-Cu合金が存在する領域では、Pt元素とCu元素の存在が確認され、W元素は確認されなかった。そして、W-Pt-Cu合金が存在する領域では、W元素とPt元素とCu元素の各々が確認された。そして、W系部材が存在する領域(12μm~20μm)の殆どがW元素であった(図19(b))が、当該W系部材の表層(13.8μm付近の領域)においてPt元素とCu元素の存在を示すピークが確認された。このことから、実施例2においても、W系部材の結晶粒界にPt元素とCu元素が入り込んでいることが確認された。なお、このW系部材の結晶粒界に存在するPt-Cu相は、図18に示す元素マップにおいても確認できる。
また、実施例2では、FIBを用いてサンプルを薄片化し、上記図14とは異なる視野における反射電子像を取得して種々の解析を行った。図20(a)は実施例2の反射電子像(5000倍)であり、(b)は(a)中の領域αの拡大図(20000倍)であり、(c)は(a)中の領域βの拡大図(20000倍)である。この図20にも示されているように、実施例2では、W系部材とCu系部材との間の中間層に、W-Pt-Cu合金を含む領域(W-Pt-Cu領域)と、Pt-W合金を含む領域(Pt-W領域)と、Pt-Cu合金を含む領域(Pt-Cu領域)とが形成されていた。そして、実施例2では、図20(a)中の領域αと領域βの各々において、EDX分析に基づいた元素マッピング像を取得した。領域αにおける元素マッピング像の結果を図21に示し、領域βにおける元素マッピング像の結果を図22に示す。先ず、図21に示すように、領域α中のPt-W領域では、粒子径が100~500nm程度のPt-W結晶粒子の間に、微量のPt-Cu結晶粒子が存在していることが確認された。このPt-W領域におけるPt-W結晶粒子とPt-Cu結晶粒子との面積比は、98.5:1.5であった。また、図22に示すように、反射電子像においても、W系部材の結晶粒界にPt元素とCu元素が入り込んでいることが確認された。また、図22に示されるW-Pt-Cu領域におけるPt-Cu相とW相との面積比は、52.9:47.1であった。
次に、実施例2では、HAADF-STEM画像と、当該HAADF-STEM画像の元素マッピング像も取得した。図23は、実施例2のHAADF-STEM画像および元素マッピング像の結果を示す図である。また、図24は、図23中の線分X2上におけるPt、Cu、Wの濃度分布を示すグラフである。この図24および図23に示すように、実施例2では、主にWで構成されたW系部材と、W相とPt-Cu相とを有したW-Pt-Cu領域と、Pt-W合金で形成されたPt-W領域と、Pt-Cu合金で形成されたPt-Cu領域とが形成されていた。
(1)サンプルの作製
実施例3では、実施例1、2と同様のW系部材の表面に、実施例2と同じ組成のPtペーストを塗布して乾燥処理(120℃、30分間)を実施した後、大気雰囲気で脱バインダ処理(昇温速度:10℃/min、最高温度:160℃、加熱時間:0.5h)を実施した。次に、N2ガス(3%水素(H2)含有)雰囲気下で焼成処理(昇温速度:4℃/min、最高温度:1000℃、焼成時間:2h)を実施した。そして、室温まで冷却した後に表面を観察すると、Pt焼成膜が生成されて金属光沢を示していた。また、W系部材とPt焼成膜の間にはPt-W合金が生成されていた。次に、Pt焼成膜の表面にAuペーストを塗布した。なお、本試験で使用したAuペーストは、20vol%のAu粉末(平均粒子径:0.5μm)と、ガラス粉(SiO2-B2O3系ガラス)と、バインダ(エチルセルロース系樹脂)と、分散材と、溶剤(2,2,4-Trimethyl-1,3-pentanediol 1-Monoisobutyrate)とを混錬したものである。その後、乾燥処理(120℃、30分間)を実施した後、大気雰囲気で脱バインダ処理(昇温速度:10℃/min、最高温度:350℃、焼成時間:3h)を実施した、W系部材とPt-W層とPt焼成膜とAu乾燥膜とが、このの順に積層された4層構造物を得た。そして、かかる4層構造物のAu乾燥膜に、実施例1、2と同様のCu系部材を接触させて荷重(50gのアルミナブロック)を乗せた状態で、N2ガス(3%水素(H2)含有)雰囲気下で焼成処理(昇温速度:4℃/min、最高温度:1000℃、焼成時間:2h)を実施した。これによって、W系部材とCu系部材とが強固に接合された接合体サンプルを得た。
(a)SEM観察およびEDX分析
上記実施例3のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。実施例3の倍率300倍の解析結果を図36に示す。また、図36中の第1Pt-Cu-Au領域における倍率50000倍の解析結果を図37に示し、第1W-Pt-Cu-Au領域における倍率50000倍の解析結果を図38に示し、第2Pt-Cu-Au領域における倍率50000倍の解析結果を図39に示し、第2W-Pt-Cu-Au領域における倍率50000倍の解析結果を図40に示す。さらに、第2W-Pt-Cu-Au領域とW系部材との境界における倍率50000倍の解析結果を図41に示し、W系部材における倍率50000倍の解析結果を図42に示す。なお、図36~図42中の(a)は断面SEM画像であり、(b)はWの元素マップであり、(c)はCuの元素マップであり、(d)はPtの元素マップであり、(e)はAuの元素マップである。
(1)サンプルの作製
実施例4では、Auペーストの代わりに、Pt焼成膜の表面にCuペーストを塗布した点を除いて、実施例3と同じ手順で接合体サンプルを作製した。なお、本試験で使用したCuペーストは、20vol%のCu粉末(平均粒子径:0.5μm)と、ガラス粉(SiO2-B2O3系ガラス)と、バインダ(エチルセルロース系樹脂)と、分散材と、溶剤(2,2,4-Trimethyl-1,3-pentanediol 1-Monoisobutyrate)とを混錬したものである。
(a)SEM観察およびEDX分析
上記実施例4のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。実施例4の倍率5000倍の解析結果を図52に示し、Pt-W領域における倍率50000倍の解析結果を図53に示し、W-Pt-Cu領域における倍率50000倍の解析結果を図54に示し、W系部材における倍率50000倍の解析結果を図55に示し、W系部材とW-Pt-Cu領域との界面における倍率50000倍の解析結果を図56に示す。なお、図52~図56中の(a)は断面SEM画像であり、(b)はWの元素マップであり、(c)はCuの元素マップであり、(d)はPtの元素マップである。
(1)サンプルの作製
実施例5では、実施例1~4と同様のW系部材の表面に、実施例2と同じ組成のPtペーストを塗布して乾燥処理(120℃、30分間)を実施した後、大気雰囲気で脱バインダ処理(昇温速度:10℃/min、最高温度:160℃、加熱時間:0.5h)を実施した。そして、N2ガス(3%水素(H2)含有)雰囲気下で焼成処理(昇温速度:4℃/min、最高温度:1000℃、焼成時間:2h)を実施した。なお、実施例5では、他の実施例と異なり、Ptペーストの塗布厚みを10μmから2μmに減少させた。このため、冷却後の塗布面を観察すると、Pt-W層の表面からW系部材の一部が露出し、当該Pt-W層の表面が灰色でざらついていた。次に、本実施例では、Cu源としてPt-Cuペーストを準備し、Pt-W層の表面に塗布した。なお、本試験で使用したPt-Cuペーストは、20vol%のPt-Cu粉末(平均粒子径0.5μmのPt粉末と平均粒子径0.5μmのCu粉末とを10:90の割合で混合したもの)と、ガラス粉(SiO2-B2O3系ガラス)と、バインダ(エチルセルロース系樹脂)と、分散材と、溶剤(2,2,4-Trimethyl-1,3-pentanediol 1-Monoisobutyrate)とを混錬したものである。そして、乾燥処理(120℃、30分間)を実施した後、大気雰囲気で脱バインダ処理(昇温速度:10℃/min、最高温度:350℃、加熱時間:3h)を実施した後に、N2ガス(3%水素(H2)含有)雰囲気下で焼成処理(昇温速度:4℃/min、最高温度:1000℃、焼成時間:2h)を実施した。これによって、W系部材の表面に、白金(Pt)と銅(Cu)を含む中間層が形成された接合体サンプルを得た。
上記実施例5のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。実施例5の倍率5000倍の解析結果を図57に示し、Pt-Cu領域における倍率50000倍の解析結果を図58に示し、第1W-Pt-Cu領域における倍率50000倍の解析結果を図59に示し、Pt-W領域における倍率50000倍の解析結果を図60に示し、第2W-Pt-Cu領域とW系部材との境界における倍率50000倍の解析結果を図61に示す。なお、図57~図61中の(a)は断面SEM画像であり、(b)はWの元素マップであり、(c)はCuの元素マップであり、(d)はPtの元素マップである。また、実施例5については、図57(a)の下側(W系部材側)から上側(Pt-Cu領域側)に長さ20μmの線分X5を引き、当該ライン上におけるW、Pt、Cu各元素の濃度分布の変化を調べた。結果を図62に示す。この図62の横軸の0μmの位置は線分X5の下端に対応しており、20μmの位置は線分X5の上端に対応している。また、縦軸は各元素の特性X線強度を示している。
(1)サンプルの作製
比較例1では、W系部材の表面にCuペーストを塗布して乾燥・焼成を行った。具体的には、実施例1と同じ寸法のW系部材の表面に、実施例4と同じ組成のCuペーストを塗布した。そして、120℃、30分間の乾燥処理を行って、Cuペーストを乾燥させた後に、空気中で400℃、1時間の加熱処理を行った。その後、焼成速度を5℃/min、最高焼成温度を1000℃、焼成時間を30分間に設定した焼成処理を行った。
上記比較例1のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。比較例1の倍率250倍の解析結果を図63に示し、倍率1000倍の解析結果を図64に示し、倍率5000倍の解析結果を図65に示し、倍率50000倍の解析結果を図66に示す。なお、図63~図66中の(a)は断面SEM画像であり、(b)はO(酸素)の元素マップであり、(c)はCuの元素マップであり、(d)はWの元素マップである。これらの解析の結果、比較例1では、W系部材の結晶粒界にCu元素等が入り込むような現象は確認されなかった(例えば図66(c)参照)。また、WとCuとが混在した合金材料を含む中間層なども形成されていなかった。すなわち、Ptが存在していない状態(W-Pt合金が生成されていない状態)でCuとWとを接触させて焼成処理を行っても、結晶粒界にCu元素等が入り込んだW系部材や、WとCuとが混在した中間層は生成されないことが分かった。そして、この比較例1のサンプルは、外部からの力によってW系部材とCu層との界面が容易に剥離した。
(1)サンプルの作製
比較例2では、板状のW系部材の表面にPtペーストを塗布して乾燥・焼成を行った。具体的には、実施例1と同じ寸法のW系部材の表面に、実施例1と同じ組成のPtペーストを塗布した。そして、120℃、30分間の乾燥処理でPtペーストを乾燥させた後に、空気中で160℃、0.5時間の加熱処理を行った。その後、焼成速度を3℃/min、最高焼成温度を1300℃、焼成時間を10分間に設定した焼成処理を行った。これによって、W系部材の表面に、白金(Pt)を含む層が形成された接合体を得た。
上記比較例2のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。比較例2の倍率5000倍の解析結果を図67に示す。なお、図67の(a)は断面SEM画像であり、(c)はWの元素マップであり、(d)はPtの元素マップである。これらの解析の結果、比較例2のようにPt源とW源とを接触させた状態で焼成することによって、W系部材の表面に、PtとWを含む合金(Pt-W合金)が生成されることが確認された。
(1)サンプルの作製
比較例3では、板状のW系部材の表面にPt-Cuペーストを塗布して乾燥・焼成を行った。具体的には、実施例1と同じ寸法のW系部材の表面に、実施例5と同じ組成のPt-Cuペーストを塗布した。そして、120℃、30分間の乾燥処理を行ってペーストを乾燥させた後に、空気中で160℃、0.5時間の第1加熱処理を行った後に、3%H2ガス含有N2ガス中で、昇温速度10℃/min、最高加熱温度400℃、加熱時間を1時間に設定した第2加熱処理を行った。そして、昇温速度5℃/min、最高焼成温度を1000℃、焼成時間を30分間の焼成処理を行った。
上記比較例3のサンプルに対して、実施例1と同じ条件でSEM観察とEDX分析を実施した。比較例3の倍率5000倍の解析結果を図68に示し、倍率50000倍の解析結果を図69に示す。これらの解析の結果、比較例3のようにPt源とCu源を混合して焼成した場合、W系部材の表面にPt源とCu源が存在していたにも関わらず、結晶粒界にPt元素とCu元素が入り込んだW系部材は形成されなかった。さらに、W系部材の表面には、Pt-Cu合金が形成されていたが、このPt-Cu合金はW系部材と適切に接合されていなかった。このような結果になった原因は次のように推測される。比較例3では、混在させたPt源とCu源との反応が優先的に生じ、Pt-W合金が生成されなかった。そして、Pt源とCu源とが反応して生じたPt-Cu合金は、W系部材との反応性が低いため、W系部材の結晶粒界に入り込むような移動(拡散)が生じなかった。このことから、結晶粒界にPt-Cu相が存在するW系部材を形成するには、W系部材の表面にPt-W合金を生成した後に、当該Pt-W合金にCu源を接触させて焼成処理を行った方がよいことが分かった。
12 結晶粒
14 Pt-Cu相
15 Wリッチ層
16 Pt-W相
20 中間層
22 W相
24 Pt-Cu相
25 Pt-W層
100 金属接合体
200 Cu系部材
Claims (7)
- タングステン(W)元素を80atm%以上含む結晶粒が複数集合したタングステン系部材と、
前記タングステン系部材の表面に接合されており、白金(Pt)と銅(Cu)を含む中間層と
を少なくとも備え、
前記タングステン系部材の前記結晶粒の粒界に、白金(Pt)と銅(Cu)を含むPt-Cu相が存在している、金属接合体。 - 前記Pt-Cu相は、前記タングステン系部材と前記中間層との界面から前記タングステン系部材の内部に向かって10μm以内の領域に存在する、請求項1に記載の金属接合体。
- 前記タングステン系部材の前記結晶粒は、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)からなる群から選択される少なくとも一種の元素を含む、請求項1に記載の金属接合体。
- 前記中間層は、銅(Cu)よりも融点が低い銅合金を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の金属接合体。
- 前記銅(Cu)よりも融点が低い銅合金は、銅(Cu)と金(Au)との合金である、請求項4に記載の金属接合体。
- 前記中間層は、タングステン(W)を主成分とするW相と、白金(Pt)と銅(Cu)を含むPt-Cu相とが混在したW-Pt-Cu合金を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属接合体。
- 前記W-Pt-Cu合金は、前記Pt-Cu相からなるマトリックス中に複数の前記W相が存在することによって構成される、請求項1に記載の金属接合体。
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