JP7844548B2 - 有機ヨウ素化合物の製造方法 - Google Patents

有機ヨウ素化合物の製造方法

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Description

本発明は、有機ヨウ素化合物の製造方法に関する。詳細には、本発明は、多価アルコールを原料とした有機ヨウ素化合物の工業的に有利な製造方法に関する。
有機ヨウ素化合物、例えば低分子のアルキルヨウ素化合物は、医薬用中間体等の各種化学品の合成原料として、またその炭素-ヨウ素結合の開裂により発生するラジカル種を活かしたラジカル反応開始剤、ラジカル重合開始剤等の種々の用途に有用である。さらに、ブロックコポリマー、星形ポリマーやテレケリックポリマー等の機能性ポリマーの製造を指向して、ラジカル種の活性制御の観点から3級ラジカル種を複数発生させることができる有機ヨウ素化合物が注目されている。例えば非特許文献1には、種々の低分子アルキルヨウ素化合物を合成し、それらを開始剤としたメタクリル酸メチルのラジカル重合におけるka値、分子量分布等についての検討結果が開示されている。
Atsushi Goto,et al.,Macromolecules,2014,47,pp.6610-6618
非特許文献1に開示される有機ヨウ素化合物の製法は、ジクロロメタン中で、例えばエチレングリコールとブロモイソブチリルブロミドとを反応させてエチレングリコールビス(2-ブロモイソブチレート)を得、次いでアセトニトリル中でヨウ化ナトリウムと反応させることにより製造しているが、その収率は35%と低く、工業的な観点からは改善が求められる。
本発明の目的は、有機ヨウ素化合物を収率よく、工業的に有利に、かつ純度よく製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、多価アルコールを原料とし、かつ特定条件下でのハロゲン交換反応を適用することで、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、下記の態様を有する。
[1] 下記一般式(I)
(式中、Lはn価の有機基を表し、nは2~6の整数を表す。)
で示される多価アルコール(以下、「多価アルコール(I)」とも記す。)と、下記一般式(II)
(式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基を表すか、または一緒になって炭素数2~6のアルキレン基を表す。)
で示されるハロゲノカルボン酸(以下、「ハロゲノカルボン酸(II)」とも記す。)とを酸の存在下に反応させて、
下記一般式(III)
(式中、L、X、R及びRは前記定義のとおりであり、aは0以上n未満の正数を表し、bは0超n以下の正数を表し、nは2~6の整数を表す。但し、a+b=nである。)
で示されるエステル化合物(以下、「エステル化合物(III)」とも記す。)を得、前記エステル化合物を、ルイス酸の存在下にヨウ化物塩と反応させる、下記一般式(IV)
(式中、L、R、R、a及びbは前記定義のとおりである。)
で示される有機ヨウ素化合物(以下、「有機ヨウ素化合物(IV)」とも記す。)の製造方法。
[2] 多価アルコール(I)と、下記一般式(V)
(式中、X及びXはそれぞれ独立して塩素原子又は臭素原子を表し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基を表すか、または一緒になって炭素数2~6のアルキレン基を表す。)
で示される酸ハロゲン化物(以下、「酸ハロゲン化物(V)」とも記す。)とを塩基の存在下に反応させてエステル化合物(III)を得、前記エステル化合物(III)を、ルイス酸の存在下にヨウ化物塩と反応させる、有機ヨウ素化合物(IV)の製造方法。
[3] エステル化合物(III)を、ルイス酸の存在下にヨウ化物塩と反応させる、有機ヨウ素化合物(IV)の製造方法。
[4] 前記多価アルコール(I)が、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトールからなる群より選択される少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[5] 前記ルイス酸が、金属塩である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 前記金属塩が、鉄化合物である、[5]に記載の製造方法。
本発明によれば、有機ヨウ素化合物を収率よく、工業的に有利に、かつ純度よく製造できる。
本発明は、多価アルコール(I)とハロゲノカルボン酸(II)とを酸の存在下に反応させてエステル化合物(III)を得、前記エステル化合物(III)を、ルイス酸の存在下にヨウ化物塩と反応させる、有機ヨウ素化合物(IV)の製造方法である。
本発明はまた、多価アルコール(I)と酸ハロゲン化物(V)とを塩基の存在下に反応させてエステル化合物(III)を得、前記エステル化合物(III)を、ルイス酸及び溶媒の存在下にヨウ化物塩と反応させる、有機ヨウ素化合物(IV)の製造方法である。
本発明はさらに、エステル化合物(III)を、ルイス酸の存在下にヨウ化物塩と反応させる、有機ヨウ素化合物(IV)の製造方法である。
本発明によれば、炭素-ヨウ素結合の解離によって3級ラジカル種を生じさせることができ、精密ラジカル重合の開始剤や各種化学品の合成原料等として有用な有機ヨウ素化合物を、工業的に有利に、かつ純度よく製造できる。
上記一般式中、Lが表すn価の有機基とは、n個(すなわち2~6個)の水酸基と結合し得る結合手を有する基である。n価の有機基が有する炭素数は特に限定されず、例えば2~500の範囲であることができ、2~100の範囲であるのが好ましく、その炭素原子の一つ以上が酸素原子等の他の原子で置換されていてもよい。
中でも炭素数2~20のn価の有機基がより好ましい。かかる炭素数2~20のn価の有機基としては、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基等の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基に由来し、その炭素原子の一つ以上が酸素原子で置換されていてもよい基が好ましい。
上記一般式中、R及びRがそれぞれ独立して表す炭素数1~6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
及びRが一緒になって表す炭素数2~6のアルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられる。
以下、各工程について説明する。
<1>多価アルコール(I)とハロゲノカルボン酸(II)とを酸の存在下に反応させて、エステル化合物(III)を得る工程(工程1)
工程1で用いる多価アルコール(I)としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の2価のアルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価のアルコール;ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等の4価~6価のアルコール;等が挙げられる。中でも、反応性、反応制御の容易さ、及び最終的に得られる有機ヨウ素化合物(IV)の安定性の観点から、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトールからなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましく、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールがより好ましい。
工程1で用いるハロゲノカルボン酸(II)の具体例としては、α-ブロモイソ酪酸、α-クロロイソ酪酸、2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸、2-クロロ-2-メチルプロピオン酸、2-ブロモ-2-メチル酪酸、2-クロロ-2-メチル酪酸、2-ブロモ-2-メチル吉草酸、2-クロロ-2-メチル吉草酸、2-ブロモ-2-メチルカプロン酸、2-クロロ-2-メチルカプロン酸、2-ブロモ-2-メチルエナント酸、2-クロロ-2-メチルエナント酸、2-ブロモ-2-エチルプロピオン酸、2-クロロ-2-エチルプロピオン酸、2-ブロモ-2-エチル酪酸、2-クロロ-2-エチル酪酸、2-ブロモ-2-エチル吉草酸、2-クロロ-2-エチル吉草酸、2-ブロモ-2-エチルカプロン酸、2-クロロ-2-エチルカプロン酸、2-ブロモ-2-エチルエナント酸、2-クロロ-2-エチルエナント酸、2-ブロモ-2-プロピルプロピオン酸、2-クロロ-2-プロピルプロピオン酸、2-ブロモ-2-プロピル酪酸、2-クロロ-2-プロピル酪酸、2-ブロモ-2-プロピル吉草酸、2-クロロ-2-プロピル吉草酸、2-ブロモ-2-プロピルカプロン酸、2-クロロ-2-プロピルカプロン酸、2-ブロモ-2-プロピルエナント酸、2-クロロ-2-プロピルエナント酸、2-ブロモ-2-ブチルプロピオン酸、2-クロロ-2-ブチルプロピオン酸、2-ブロモ-2-ブチル酪酸、2-クロロ-2-ブチル酪酸、2-ブロモ-2-ブチル吉草酸、2-クロロ-2-ブチル吉草酸、2-ブロモ-2-ブチルカプロン酸、2-クロロ-2-ブチルカプロン酸、2-ブロモ-2-ブチルエナント酸、2-クロロ-2-ブチルエナント酸、2-ブロモ-2-ペンチルプロピオン酸、2-クロロ-2-ペンチルプロピオン酸、2-ブロモ-2-ペンチル酪酸、2-クロロ-2-ペンチル酪酸、2-ブロモ-2-ペンチル吉草酸、2-クロロ-2-ペンチル吉草酸、2-ブロモ-2-ペンチルカプロン酸、2-クロロ-2-ペンチルカプロン酸、2-ブロモ-2-ペンチルエナント酸、2-クロロ-2-ペンチルエナント酸、2-ブロモ-2-ヘキシルプロピオン酸、2-クロロ-2-ヘキシルプロピオン酸、2-ブロモ-2-ヘキシル酪酸、2-クロロ-2-ヘキシル酪酸、2-ブロモ-2-ヘキシル吉草酸、2-クロロ-2-ヘキシル吉草酸、2-ブロモ-2-ヘキシルカプロン酸、2-クロロ-2-ヘキシルカプロン酸、2-ブロモ-2-ヘキシルエナント酸、2-クロロ-2-ヘキシルエナント酸等が挙げられる。中でも、反応性、反応制御が容易でエステル化合物(III)を得やすい等の観点から、α-ブロモイソ酪酸、α-クロロイソ酪酸が好ましく、α-ブロモイソ酪酸がより好ましい。
ハロゲノカルボン酸(II)の使用量は、エステル化合物(III)における、多価アルコール(I)に由来する水酸基の残存量に応じて適宜選択でき、反応終了後の反応混合物からのエステル化合物(III)の単離が容易となりやすい観点から、通常、n価の多価アルコール(I)に対し0.1n~1.5nモル倍の範囲が好ましい。
多価アルコール(I)に由来する水酸基を残存させたエステル化合物(III)を製造する場合には、ハロゲノカルボン酸(II)の使用量はn価の多価アルコール(I)に対し0.2n~0.8nモル倍の範囲がより好ましい。
一方、エステル化合物(III)において多価アルコール(I)に由来する水酸基を残存させない(すなわち、全てエステルに変換する)場合には、ハロゲノカルボン酸(II)の使用量はn価の多価アルコール(I)に対し1.05n~1.5nモル倍の範囲であるのが好ましく、1.1n~1.3nモル倍の範囲がより好ましい。
工程1で用いる酸としては、例えばp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸;硫酸、塩酸、三フッ化ホウ素、りん酸等の無機酸が挙げられる。中でも、反応性、反応制御が容易であり、また反応後のエステル化合物(III)との分離が容易である等の観点から、硫酸、塩酸、りん酸が好ましく、硫酸がより好ましい。
酸の使用量に特に制限はないが、反応性、生産性や、反応終了後の残留物の取扱いを容易としやすい観点から、通常、多価アルコール(I)に対し5モル%以上であるのが好ましく、10モル%以上であるのがより好ましい。酸の使用量は多価アルコール(I)に対し150モル%以下であるのが好ましく、90モル%以下であるのがより好ましい。
酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
工程1は、多価アルコール(I)、ハロゲノカルボン酸(II)及び酸を混合して行うのが好ましい。多価アルコール(I)、ハロゲノカルボン酸(II)及び酸の混合順序に特に制限はなく、多価アルコール(I)及びハロゲノカルボン酸(II)を混合し、次いで酸を添加してもよいし、これらの成分を一括して混合してもよい。
また、工程1は、反応の進行に伴い生成する水を除去しながら行うのが好ましい。かかる水の除去手段としては、ディーンスターク装置を用いる方法や、生成する水を減圧条件下で留去しながら工程1を行う等の手段が挙げられる。
工程1は、空気雰囲気下、又は窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下のいずれの雰囲気下で行ってもよい。
工程1は、大気圧下でも加圧下でも減圧下でも実施できる。操作が容易であり、副生する水を除去しやすい観点から、大気圧下又は減圧下で行うのが好ましく、減圧下で行うのがより好ましい。
工程1は、例えば炭化水素、エーテル、ケトン、ニトリル、アミド又はエステル等の溶媒の存在下に行ってもよい。生産性の観点からは、溶媒の不存在下に行うのが好ましい。
工程1の反応温度は、用いる多価アルコール(I)及びハロゲノカルボン酸(II)の種類や量によっても異なるが、反応を工業的に有利に進行させる観点から、10℃~120℃の範囲が好ましく、40℃~100℃の範囲がより好ましい。
反応時間は、多価アルコール(I)及びハロゲノカルボン酸(II)の種類や量、反応温度によっても異なるが、通常10分~24時間の範囲である。
このようにして得られたエステル化合物(III)は、通常の有機化合物の単離・精製に用いられる方法により単離・精製することができる。例えば、工程1で得た反応混合液を必要に応じトルエン等の水に不溶の溶媒で希釈してから水、食塩水、塩基性水溶液等で洗浄して、残留する多価アルコール(I)や酸等の水溶性成分を除去し、有機層を無水硫酸ナトリウム等で乾燥後、濃縮してエステル化合物(III)を含む粗生成物を得る。かかる粗生成物は蒸留、クロマトグラフィー、再結晶等の通常の精製手段によりさらに精製してエステル化合物(III)の純度を高めてもよく、精製せず、後述する工程2で必要に応じ存在させる溶媒に溶解させて、そのまま工程2に供することもできる。
<1’>多価アルコール(I)と酸ハロゲン化物(V)とを酸の存在下に反応させて、エステル化合物(III)を得る工程(工程1’)
工程1’で用いる多価アルコール(I)の詳細は、上述した工程1で説明したのと同様である。
工程1’で用いる酸ハロゲン化物(V)の具体例としては、2-ブロモ-2-メチルプロピオニルブロミド、2-クロロ-2-メチルプロピオニルブロミド、2-ブロモ-2-メチルブチリルブロミド、2-クロロ-2-メチルブチリルブロミド、2-ブロモ-2-メチル吉草酸ブロミド、2-クロロ-2-メチル吉草酸ブロミド、2-ブロモ-2-メチルカプロン酸ブロミド、2-クロロ-2-メチルカプロン酸ブロミド、2-ブロモ-2-メチルエナント酸ブロミド、2-クロロ-2-メチルエナント酸ブロミド、2-ブロモ-2-エチルプロピオン酸ブロミド、2-クロロ-2-エチルプロピオン酸ブロミド、2-ブロモ-2-エチル酪酸ブロミド、2-クロロ-2-エチル酪酸ブロミド、2-ブロモ-2-エチル吉草酸ブロミド、2-クロロ-2-エチル吉草酸ブロミド、2-ブロモ-2-エチルカプロン酸ブロミド、2-クロロ-2-エチルカプロン酸ブロミド、2-ブロモ-2-エチルエナント酸ブロミド、2-クロロ-2-エチルエナント酸ブロミド、2-ブロモ-2-プロピルプロピオン酸ブロミド、2-クロロ-2-プロピルプロピオン酸ブロミド、2-ブロモ-2-プロピル酪酸ブロミド、2-クロロ-2-プロピル酪酸ブロミド、2-ブロモ-2-プロピル吉草酸ブロミド、2-クロロ-2-プロピル吉草酸ブロミド、2-ブロモ-2-プロピルカプロン酸ブロミド、2-クロロ-2-プロピルカプロン酸ブロミド、2-ブロモ-2-プロピルエナント酸ブロミド、2-クロロ-2-プロピルエナント酸ブロミド、2-ブロモ-2-ブチルプロピオン酸ブロミド、2-クロロ-2-ブチルプロピオン酸ブロミド、2-ブロモ-2-ブチル酪酸ブロミド、2-クロロ-2-ブチル酪酸ブロミド、2-ブロモ-2-ブチル吉草酸ブロミド、2-クロロ-2-ブチル吉草酸ブロミド、2-ブロモ-2-ブチルカプロン酸ブロミド、2-クロロ-2-ブチルカプロン酸ブロミド、2-ブロモ-2-ブチルエナント酸ブロミド、2-クロロ-2-ブチルエナント酸ブロミド、2-ブロモ-2-ペンチルプロピオン酸ブロミド、2-クロロ-2-ペンチルプロピオン酸ブロミド、2-ブロモ-2-ペンチル酪酸ブロミド、2-クロロ-2-ペンチル酪酸ブロミド、2-ブロモ-2-ペンチル吉草酸ブロミド、2-クロロ-2-ペンチル吉草酸ブロミド、2-ブロモ-2-ペンチルカプロン酸ブロミド、2-クロロ-2-ペンチルカプロン酸ブロミド、2-ブロモ-2-ペンチルエナント酸ブロミド、2-クロロ-2-ペンチルエナント酸ブロミド、2-ブロモ-2-ヘキシルプロピオン酸ブロミド、2-クロロ-2-ヘキシルプロピオン酸ブロミド、2-ブロモ-2-ヘキシル酪酸ブロミド、2-クロロ-2-ヘキシル酪酸ブロミド、2-ブロモ-2-ヘキシル吉草酸ブロミド、2-クロロ-2-ヘキシル吉草酸ブロミド、2-ブロモ-2-ヘキシルカプロン酸ブロミド、2-クロロ-2-ヘキシルカプロン酸ブロミド、2-ブロモ-2-ヘキシルエナント酸ブロミド、2-クロロ-2-ヘキシルエナント酸ブロミド等の酸臭化物;
2-ブロモ-2-メチルプロピオニルクロリド、2-クロロ-2-メチルプロピオニルクロリド、2-ブロモ-2-メチルブチリルクロリド、2-クロロ-2-メチルブチリルクロリド、2-ブロモ-2-メチル吉草酸クロリド、2-クロロ-2-メチル吉草酸クロリド、2-ブロモ-2-メチルカプロン酸クロリド、2-クロロ-2-メチルカプロン酸クロリド、2-ブロモ-2-メチルエナント酸クロリド、2-クロロ-2-メチルエナント酸クロリド、2-ブロモ-2-エチルプロピオン酸クロリド、2-クロロ-2-エチルプロピオン酸クロリド、2-ブロモ-2-エチル酪酸クロリド、2-クロロ-2-エチル酪酸クロリド、2-ブロモ-2-エチル吉草酸クロリド、2-クロロ-2-エチル吉草酸クロリド、2-ブロモ-2-エチルカプロン酸クロリド、2-クロロ-2-エチルカプロン酸クロリド、2-ブロモ-2-エチルエナント酸クロリド、2-クロロ-2-エチルエナント酸クロリド、2-ブロモ-2-プロピルプロピオン酸クロリド、2-クロロ-2-プロピルプロピオン酸クロリド、2-ブロモ-2-プロピル酪酸クロリド、2-クロロ-2-プロピル酪酸クロリド、2-ブロモ-2-プロピル吉草酸クロリド、2-クロロ-2-プロピル吉草酸クロリド、2-ブロモ-2-プロピルカプロン酸クロリド、2-クロロ-2-プロピルカプロン酸クロリド、2-ブロモ-2-プロピルエナント酸クロリド、2-クロロ-2-プロピルエナント酸クロリド、2-ブロモ-2-ブチルプロピオン酸クロリド、2-クロロ-2-ブチルプロピオン酸クロリド、2-ブロモ-2-ブチル酪酸クロリド、2-クロロ-2-ブチル酪酸クロリド、2-ブロモ-2-ブチル吉草酸クロリド、2-クロロ-2-ブチル吉草酸クロリド、2-ブロモ-2-ブチルカプロン酸クロリド、2-クロロ-2-ブチルカプロン酸クロリド、2-ブロモ-2-ブチルエナント酸クロリド、2-クロロ-2-ブチルエナント酸クロリド、2-ブロモ-2-ペンチルプロピオン酸クロリド、2-クロロ-2-ペンチルプロピオン酸クロリド、2-ブロモ-2-ペンチル酪酸クロリド、2-クロロ-2-ペンチル酪酸クロリド、2-ブロモ-2-ペンチル吉草酸クロリド、2-クロロ-2-ペンチル吉草酸クロリド、2-ブロモ-2-ペンチルカプロン酸クロリド、2-クロロ-2-ペンチルカプロン酸クロリド、2-ブロモ-2-ペンチルエナント酸クロリド、2-クロロ-2-ペンチルエナント酸クロリド、2-ブロモ-2-ヘキシルプロピオン酸クロリド、2-クロロ-2-ヘキシルプロピオン酸クロリド、2-ブロモ-2-ヘキシル酪酸クロリド、2-クロロ-2-ヘキシル酪酸クロリド、2-ブロモ-2-ヘキシル吉草酸クロリド、2-クロロ-2-ヘキシル吉草酸クロリド、2-ブロモ-2-ヘキシルカプロン酸クロリド、2-クロロ-2-ヘキシルカプロン酸クロリド、2-ブロモ-2-ヘキシルエナント酸クロリド、2-クロロ-2-ヘキシルエナント酸クロリド等の酸塩化物;が挙げられる。
中でも、反応性、反応制御が容易でエステル化合物(III)を得やすい等の観点から、酸ハロゲン化物(V)として2-ブロモ-2-メチルプロピオニルブロミド、2-ブロモ-2-メチルプロピオニルクロリド、2-クロロ-2-メチルプロピオニルブロミド、2-クロロ-2-メチルプロピオニルクロリドが好ましい。
酸ハロゲン化物(V)の使用量は、エステル化合物(III)における、多価アルコール(I)に由来する水酸基の残存量に応じて適宜選択でき、反応終了後の反応混合物からのエステル化合物(III)の単離が容易となりやすい観点から、通常、n価の多価アルコール(I)に対し0.1n~1.5nモル倍の範囲が好ましい。
多価アルコール(I)に由来する水酸基を残存させたエステル化合物(III)を製造する場合には、酸ハロゲン化物(V)の使用量はn価の多価アルコール(I)に対し0.2n~0.8nモル倍の範囲がより好ましい。
一方、エステル化合物(III)において多価アルコール(I)に由来する水酸基を残存させない(すなわち、全てエステルに変換する)場合には、酸ハロゲン化物(V)の使用量はn価の多価アルコール(I)に対し1.05n~1.5nモル倍の範囲であるのが好ましく、1.1n~1.3nモル倍の範囲がより好ましい。
工程1’で用いる塩基としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリオクチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の脂肪族アミン;ピリジン、ピコリン、キノリン、イミダゾール等の芳香族アミン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等の無機塩基が挙げられる。中でも、取り扱い性や反応の制御が容易であり、また反応後のエステル化合物(III)との分離が容易である等の観点から有機塩基が好ましく、脂肪族アミン又は芳香族アミンがより好ましく、ピリジンがさらに好ましい。
塩基の使用量に特に制限はないが、反応性、生産性や、反応終了後の残留物の取扱いを容易としやすい観点から、通常、酸ハロゲン化物(V)に対して100モル%以上であるのが好ましく、200モル%以上であるのがより好ましく、400モル%以上がさらに好ましい。塩基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
工程1’は、多価アルコール(I)、酸ハロゲン化物(V)及び塩基を混合して行うのが好ましい。多価アルコール(I)、酸ハロゲン化物(V)及び塩基の混合順序に特に制限はないが、反応を制御しやすい観点からは、多価アルコール(I)及び塩基を混合し、次いで酸ハロゲン化物(V)を添加するのが好ましい。
工程1’は、空気雰囲気下、又は窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下のいずれの雰囲気下で行ってもよい。
工程1’は、大気圧下でも加圧下でも減圧下でも実施できる。
工程1’は、例えば炭化水素、エーテル、ケトン、ニトリル、アミド又はエステル等の溶媒の存在下に行ってもよい。
工程1’の反応温度は、用いる多価アルコール(I)及び酸ハロゲン化物(V)の種類や量によっても異なるが、反応を工業的に有利に進行させる観点から、0℃~120℃の範囲が好ましく、20℃~100℃の範囲がより好ましい。
反応時間は、多価アルコール(I)及び酸ハロゲン化物(V)の種類や量、反応温度によっても異なるが、通常、10分~12時間の範囲である。
nが4~6である多価アルコール(I)を出発原料として用いてエステル化合物(III)を製造する場合には、反応性が良好で生産性及び収率を向上しやすい観点から、工程1’を経由するのが好ましい。
このようにして得られたエステル化合物(III)は、通常の有機化合物の単離・精製に用いられる方法により単離・精製することができる。例えば、工程1’で得た反応混合液を必要に応じトルエン等の水に不溶の溶媒で希釈してから水、食塩水、塩基性水溶液等で洗浄して、副生する臭化物塩、残留する多価アルコール(I)や塩基等の水溶性成分を除去し、有機層を無水硫酸ナトリウム等で乾燥後、濃縮してエステル化合物(III)を含む粗生成物を得る。かかる粗生成物は蒸留、クロマトグラフィー、再結晶等の通常の精製手段によりさらに精製してエステル化合物(III)の純度を高めてもよく、精製せず、後述する工程2で必要に応じ存在させる溶媒に溶解させて、そのまま工程2に供することもできる。
<2>エステル化合物(III)を、ルイス酸の存在下にヨウ化物塩と反応させる、有機ヨウ素化合物(IV)を得る工程(工程2)
工程2で用いるルイス酸は、金属塩であるのが好ましい。かかる金属塩を構成する金属としては例えばB、Mg、Al、Sc、Ti、Fe、Zn、Zr、Nb、In、Sn、Cu、Ag、Sb、Hf、ランタノイド等が挙げられる。中でも、遷移金属を含む遷移金属塩であるのが好ましい。
ルイス酸として用いることができる遷移金属塩としては、例えばTi、Fe、Zn、Zr、Nb、In、Sn、Cu、Sb、Hf、ランタノイド等の金属のフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン塩;硫酸塩、硝酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等が挙げられる。これらの遷移金属塩は水和物であってもよい。
中でも、遷移金属塩が塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の鉄化合物であるのが好ましい。
ルイス酸の使用量に厳密な意味での制限はないが、通常、エステル化合物(III)が有するXで示される臭素原子又は塩素原子の数に対して、0.1~20モル%の範囲であるのが好ましく、反応を円滑に進行させてかつ望まない副反応を抑制する観点から、1~8モル%の範囲であるのがより好ましい。
ルイス酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
工程2で用いるヨウ化物塩としては、例えばヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のヨウ化アルカリ金属塩;ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化バリウム等のヨウ化アルカリ土類金属塩が挙げられる。入手性及び工程2の反応を円滑に進行できる観点から、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のヨウ化アルカリ金属塩が好ましく、ヨウ化ナトリウムを用いることがより好ましい。
ヨウ化物塩の使用量に特に制限はないが、反応を円滑に進行させ、有機ヨウ素化合物(IV)を高純度で生産性良く得やすい観点からは、通常、エステル化合物(III)が有するXで示される臭素原子又は塩素原子の数に対して、1モル倍以上であるのが好ましく、1.2モル倍以上がより好ましい。また、操作の容易性や経済性の観点から、ヨウ化物塩の使用量は、エステル化合物(III)が有するXで示される臭素原子又は塩素原子の数に対して、5モル倍以下であるのが好ましく、2.5モル倍以下がより好ましく、1.8モル倍以下がさらに好ましい。
工程2は溶媒の不存在下又は存在下に実施できる。溶媒の存在下に行う場合、使用できる溶媒としては、例えば炭化水素、エーテル、ケトン、ニトリル、アミド又はエステル等が挙げられる。中でもケトン、ニトリル又はエステルから選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
ケトンとしては、例えばアセトン、2-ブタノン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
エステルとしては、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。
ニトリルとしては、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。
溶媒を使用する場合、これらの溶媒は1種類を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、工程2の反応を円滑に進行させやすい観点からアセトン、2-ブタノン等のケトンが好ましく、アセトンがより好ましい。
溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、通常、エステル化合物(III)に対して0.1~50質量倍の範囲が好ましく、0.1~10質量倍の範囲がより好ましい。なお、溶媒として2種以上を併用する場合は、用いる溶媒の全量が前記範囲を満足するのが好ましい。
工程2は、エステル化合物(III)、ルイス酸及びヨウ化物塩を必要に応じて溶媒を存在させて混合して行うことができる。添加順序に特に制限はなく、例えばエステル化合物(III)にルイス酸及びヨウ化物塩を順次混合して撹拌する等が挙げられる。
工程2は、空気雰囲気下、又は窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下のいずれの雰囲気下で行ってもよい。
工程2は、大気圧下でも加圧下でも減圧下でも実施できる。操作が容易である観点から、大気圧下で行うのが好ましい。
工程2の反応温度は、エステル化合物(III)、ルイス酸、ヨウ化物塩、及び必要に応じ存在させる溶媒の種類や量によっても異なるが、反応を工業的に有利に進行させる観点から、0℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましい。工程2の反応温度は、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。
反応時間は、エステル化合物(III)、ルイス酸、ヨウ化物塩、及び必要に応じ存在させる溶媒の種類や量、反応温度によっても異なるが、通常、10分~24時間の範囲である。
このようにして得られた有機ヨウ素化合物(IV)は、通常の有機化合物の単離・精製に用いられる方法により単離・精製することができる。例えば、工程2で得た反応混合液を水、亜硫酸水素ナトリウム水溶液、酸性水溶液等で洗浄して有機層を分液し、必要に応じて無水硫酸ナトリウム等で乾燥後、濃縮して有機ヨウ素化合物(IV)を含む粗生成物を得る。かかる粗生成物は蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の通常の精製手段により精製して、有機ヨウ素化合物(IV)の純度をさらに高めることもできる。
得られた有機ヨウ素化合物(IV)は、リビングラジカル重合等の重合開始剤、例えばRCMP(reversible coordination mediated polymerization)、RTCP(reversible chain transfer catalyzed polymerization)、RAFT(reversible addition fragmentation chain transfer polymerization)、ATRP(atom transfer radical polymerization)等の精密ラジカル重合開始剤として、ブロックコポリマーや星形ポリマー等の、分子量分布の狭い機能性ポリマー製造に好適に使用することができる。例えば後述する実施例で得られるエチレンビス(2-ヨード-2-メチルプロパノエート)は、RCMPの重合開始剤等に適用できる。本発明は、このような、2つ以上のヨウ素原子を有し、3級ラジカル種を複数生じさせることができる有機ヨウ素化合物を工業的に有利に製造できる観点から、特に有用である。
また、有機ヨウ素化合物(IV)は、医薬用中間体等の各種化学品の合成原料として有効に使用できる。
以上、本発明の有機ヨウ化化合物の製造方法について説明したが、本発明は、前述した実施形態の構成に限定されない。例えば、本発明の有機ヨウ化化合物の製造方法は、上記実施形態の構成において、他の任意の構成を追加で有してもよいし、同様の作用を生じる任意の構成と置換されていてよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。各実施例において、生成物の純度は定量NMR(qNMR)又は高速液体クロマトグラフ(HPLC)によって決定した。なお、反応中の転化率の変化の追跡は、反応混合液を適時にサンプリングして、HNMRを用いて行った。
実施例1 エチレングリコールビス(2-ヨード-2-メチルプロパノエート)の合成
(1)2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸100g(0.60mol)、エチレングリコール16.9g(0.27mol)及び98%硫酸5.4g(0.05mol)を混合して加熱し、80~90℃に保って、撹拌しながら減圧下で1時間反応させた。反応混合物を室温(25℃)まで冷却してトルエン35.1gを加え、この溶液を水45g、3質量%水酸化ナトリウム水溶液156g、水35.5gで順次洗浄して、有機層を分液した。この有機層を減圧下に濃縮して、83.0gのエチレングリコールビス(2-ブロモ-2-メチルプロパノエート)(以下、「エステル化合物1」と称する。)を得た(収率85%)。
(2)上記(1)で得た83.0gのエステル化合物1とアセトン42.7gとを混合し、次いでヨウ化ナトリウム87g(0.58mol)及び塩化第二鉄2.3g(0.01mol)を加えて55℃に加熱し、撹拌しながら1時間反応させた。反応混合物を室温(25℃)まで冷却して酢酸エチル85.4g(ml)を添加し、この溶液に水83g及び35質量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液21gを加えて洗浄し、有機層を分離してさらに1.3質量%塩酸42gを加えて再度洗浄して、有機層を分液した。この有機層を減圧下に濃縮し、得られた残留物に水を加えて濾過した。
得られた結晶にメタノール71gを加えて40℃まで加熱して溶解させた後、5℃まで冷却し、析出した結晶をろ過により回収して乾燥させることで、89gのエチレングリコールビス(2-ヨード-2-メチルプロパノエート)を得た(収率85%、純度99%)。
実施例2 エチレングリコールビス(2-ヨード-2-メチルプロパノエート)の合成
2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸149kg(0.89kmol)、エチレングリコール25.1kg(0.27mol)及び98%硫酸8.1g(0.08kmol)を混合して加熱し、80~90℃に保って、撹拌しながら減圧下で1時間反応させた。反応混合物を室温(25℃)まで冷却してトルエン52.6kgを加え、この溶液を水66.9kg、3質量%水酸化ナトリウム水溶液232.4kg、水52.7kgで順次洗浄して、有機層を分液した。
この有機層を減圧下に濃縮し、得られた残留物にアセトン63.8kgを加えて希釈した。次いで、希釈液にヨウ化ナトリウム129kg(0.86kmol)及び塩化第二鉄3.3kg(0.02kmol)を加えて55℃に加熱し、撹拌しながら1時間反応させた。反応混合物を室温(25℃)まで冷却して酢酸エチル127.6kgを添加し、この溶液に水124kg及び35質量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液31.3kgを加えて洗浄した。有機層を分離してさらに1.3質量%塩酸42gを加えて再度洗浄し、分液した有機層を減圧下に濃縮し、得られた残留物に水を加えて濾過した。
得られた結晶にメタノール106kgを加えて40℃まで加熱して溶解させ、5℃まで冷却した。析出した結晶をろ過により回収して乾燥させることで、133kgのエチレングリコールビス(2-ヨード-2-メチルプロパノエート)を得た(総収率72%、純度99%)。
実施例3 2-ヒドロキシエチル 2-ヨード-2-メチルプロパノエートの合成
(1)2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸120g(0.719モル)、エチレングリコール178.4g(2.87モル)及びトルエン480mLの混合物に、25℃で硫酸14.1g(0.144モル)をゆっくり滴下し、滴下終了後、混合物を70~75℃に昇温して4時間撹拌した。反応混合液を25℃に冷却し、水400mL、9%炭酸水素ナトリウム水溶液120mL、及び水120mLで順次洗浄して、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して、2-ヒドロキシエチル 2-ブロモ-2-メチルプロパノエート120gを得た(単離収率79.1%)。
(2)上記で得た2-ヒドロキシエチル 2-ブロモ-2-メチルプロパノエート50g(0.237モル)及びアセトン240mLを混合し、この混合液にヨウ化ナトリウム56.8g(0.38モル)、塩化第二鉄1.54g(9.48ミリモル)を順次添加して、還流条件下で3時間撹拌した。反応混合液をろ過後、減圧下に濃縮して、残留物にジクロロメタン300mLを加え、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸水溶液、及び飽和食塩水で順次洗浄して、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮し、さらに真空下で乾燥することで、2-ヒドロキシエチル 2-ヨード-2-メチルプロパノエート55.8gを得た(単離収率87.4%、純度98%)。
実施例4 トリメチロールエタン トリス(2-ヨード-2-メチルプロパノエート)の合成
(1)容量1Lの三口フラスコに2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸211.27g(1.265モル)を入れて55℃で加熱して融解させ、次いでトリメチロールエタン40g(0.333モル)及び硫酸21.990g(0.220モル)を添加し、90℃に加熱して三口フラスコ内を8kPaまで減圧して3時間反応を行った。反応混合物を60℃まで冷却し、トルエン144.2mLを加えて室温(25℃)まで冷却した後、水400mL、0.8N水酸化ナトリウム水溶液415mL、及び水300mLで順次洗浄して、有機層を分離した。有機層を減圧下に濃縮することで、トリメチロールエタン トリス(2-ブロモ-2-メチルプロパノエート)を粗結晶として170.9g得た(粗収率90.52%)。
(2)上記で得たトリメチロールエタン トリス(2-ブロモ-2-メチルプロパノエート)の粗結晶70g、アセトン45.7mL及びヨウ化ナトリウム77.7g(0.518モル)を混合して40℃に加熱し、次いで塩化第二鉄0.2g(0.0062モル)を加えて内温を70℃まで加熱し、還流下で1時間30分反応させた。反応混合物を室温(25℃)まで冷却して塩化メチレン98.83mLを加え、水155.9mlと飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液3.85mLの混合溶液、1N塩酸水溶液123.77mL、及び水125mLで順次洗浄して、有機層を分離した。有機層を減圧(30kPa)下、30℃で濃縮し、溶媒が留出しなくなったところで一旦大気圧下に戻した。残留物にメタノール131.115gを加えて再び減圧(30kPa)下、40℃で濃縮し、結晶が濃縮液中に析出してきたことを確認できた後、5分後に濃縮操作を停止し、得られたスラリー状の濃縮物を40℃から5℃以下まで徐々に冷却した。冷却した濃縮物をろ過し、真空下で乾燥することにより、トリメチロールエタン トリス(2-ヨード-2-メチルプロパノエート)76.564gの結晶を得た(単離収率87.6%、純度98%)。
実施例5 ペンタエリスリトール テトラ(2-ヨード-2-メチルプロパノエート)の合成
(1)ペンタエリスリトール6.5g(0.048モル)及びピリジン77.1mLを混合して約10℃に冷却し、次いで2-ブロモ-2-メチルプロピオニルブロミド54.879g(0.239モル)を、内温が30℃を超えないようにゆっくり滴下した。滴下終了後、内温を15℃に保ちながら撹拌し、NMRにてペンタエリスリトールの消失を確認後、反応混合物にトルエン70mL及び水70mLを加えて洗浄し、有機層を分離した。有機層にさらにトルエン70mLを加えて、0.5N塩酸水溶液140mL、0.75N水酸化ナトリウム水溶液140mL、及び水140mLで順次洗浄し、再び有機層を分離した。この有機層を減圧(2kPa)下、40℃で濃縮し、得られた残留物にメタノール139.8g及び水1.4gを加えて再び減圧(10kPa)下、40℃で濃縮し、結晶が濃縮液中に析出してきたことを確認して濃縮操作を停止し、得られたスラリー状の濃縮物を40℃から5℃以下まで徐々に冷却した。冷却した濃縮物をろ過することにより、ペンタエリスリトール テトラ(2-ブロモ-2-メチルプロパノエート)の粗結晶32.4gを得た(粗収率92.70%)。
(2)上記で得たペンタエリスリトール テトラ(2-ブロモ-2-メチルプロパノエート)の粗結晶22g、アセトン41mL及びヨウ化ナトリウム25.2g(0.168モル)を混合して40℃に加熱し、次いで塩化第二鉄0.73g(0.0045モル)を加えて内温を60℃まで加熱し、還流下で1時間反応させた。反応混合物を室温(25℃)まで冷却して塩化メチレン85mLを加え、水120mlと飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液1.2mLの混合溶液、1N塩酸水溶液90mL、及び水100mLで順次洗浄して、有機層を分離した。有機層を減圧(30kPa)下、30℃で濃縮し、溶媒が留出しなくなったところで一旦大気圧下に戻した。残留物にメタノール82.95gを加えて再び減圧(10kPa)下、40℃で濃縮し、結晶が濃縮液中に析出してきたことを確認できた後、5分後に濃縮操作を停止し、得られたスラリー状の濃縮物を40℃から5℃以下まで徐々に冷却した。冷却した濃縮物をろ過し、真空下で乾燥することにより、ペンタエリスリトール テトラキス(2-ヨード-2-メチルプロパノエート)26.123gの結晶を得た(単離収率94.5%、純度95%)。
実施例6 ジペンタエリスリトール ヘキサキス(2-ヨード-2-メチルプロパノエート)の合成
(1)ジペンタエリスリトール5.086g(0.020モル)及びピリジン51.7mLを混合して約10℃に冷却し、次いで2-ブロモ-2-メチルプロピオニルブロミド36.787g(0.160モル)を、内温が30℃を超えないようにゆっくり滴下した。滴下終了後、内温を15℃に保ちながら撹拌し、NMRにてジペンタエリスリトールの消失を確認後、反応混合物にトルエン40mL及び水40mLを加えて洗浄し、有機層を分離した。有機層にさらにトルエン40mLを加えて、0.5N塩酸水溶液80mL、0.75N水酸化ナトリウム水溶液80mL、及び水80mLで順次洗浄し、再び有機層を分離した。この有機層を減圧(2kPa)下、40℃で濃縮し、得られた残留物にメタノール91.88gを加えて再び減圧(10kPa)下、40℃で濃縮し、結晶が濃縮液中に析出してきたことを確認して濃縮操作を停止し、得られたスラリー状の濃縮物を40℃から5℃以下まで徐々に冷却した。冷却した濃縮物をろ過することにより、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(2-ブロモ-2-メチルプロパノエート)の粗結晶17.15gを得た(粗収率74.68%)。
(2)上記で得たジペンタエリスリトール ヘキサキス(2-ブロモ-2-メチルプロパノエート)の粗結晶9g、アセトン16.8mL及びヨウ化ナトリウム10.530g(0.070モル)を混合して40℃に加熱し、次いで塩化第二鉄0.271g(0.0017モル)を加えて内温を55℃まで加熱し、還流下で1時間反応させた。反応混合物を室温(25℃)まで冷却して塩化メチレン70mLを加え、水100mlと飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液1mLの混合溶液、1N塩酸水溶液70mL、及び水50mLで順次洗浄して、有機層を分離した。有機層を減圧(30kPa)下、30℃で濃縮し、溶媒が留出しなくなったところで一旦大気圧下に戻した。残留物にメタノール30gを加えて再び減圧(10kPa)下、40℃で濃縮し、結晶が濃縮液中に析出してきたことを確認できた後、5分後に濃縮操作を停止し、得られたスラリー状の濃縮物を40℃から5℃以下まで徐々に冷却した。冷却した濃縮物をろ過し、真空下で乾燥することにより、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(2-ヨード-2-メチルプロパノエート)9.132gの結晶を得た(単離収率76.34%、純度95%)。
本発明の製造方法で得られる有機ヨウ化素化合物は炭素-ヨウ素結合の解離によって3級ラジカル種を生じさせることができるため、例えば精密ラジカル重合の重合開始剤用途、また各種化学品の合成原料等として有用である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)
    (式中、Lはn価の有機基を表し、nは2~6の整数を表す。)
    で示される多価アルコールと、下記一般式(II)
    (式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基を表すか、または一緒になって炭素数2~6のアルキレン基を表す。)
    で示されるハロゲノカルボン酸とを酸の存在下に反応させて、
    下記一般式(III)
    (式中、L、X、R及びRは前記定義のとおりであり、aは0以上n未満の正数を表し、bは0超n以下の正数を表し、nは2~6の整数を表す。但し、a+b=nである。)
    で示されるエステル化合物を得、前記エステル化合物をルイス酸の存在下にヨウ化物塩と反応させる、下記一般式(IV)
    (式中、L、R、R、a及びbは前記定義のとおりである。)
    で示される有機ヨウ素化合物の製造方法。
  2. 下記一般式(I)
    (式中、Lはn価の有機基を表し、nは2~6の整数を表す。)
    で示される多価アルコールと、下記一般式(V)
    (式中、X及びXはそれぞれ独立して塩素原子又は臭素原子を表し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基を表すか、または一緒になって炭素数2~6のアルキレン基を表す。)
    で示される酸ハロゲン化物とを塩基の存在下に反応させて、
    下記一般式(III)
    (式中、L、X、R及びRは前記定義のとおりであり、aは0以上n未満の正数を表し、bは0超n以下の正数を表し、nは2~6の整数を表す。但し、a+b=nである。)
    で示されるエステル化合物を得、前記エステル化合物を、ルイス酸の存在下にヨウ化物塩と反応させる、下記一般式(IV)
    (式中、L、R、R、a及びbは前記定義のとおりである。)
    で示される有機ヨウ素化合物の製造方法。
  3. 下記一般式(III)
    (式中、Lはn価の有機基を表し、Xは塩素原子又は臭素原子を表し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基を表すか、または一緒になって炭素数2~6のアルキレン基を表し、aは0以上n未満の正数を表し、bは0超n以下の正数を表し、nは2~6の整数を表す。但し、a+b=nである。)
    で示されるエステル化合物を、ルイス酸の存在下にヨウ化物塩と反応させる、下記一般式(IV)
    (式中、L、R、R、a及びbは前記定義のとおりである。)
    で示される有機ヨウ素化合物の製造方法。
  4. 前記多価アルコールが、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  5. 前記ルイス酸が、金属塩である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記金属塩が、鉄化合物である、請求項5に記載の製造方法。

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J. Allen MILLER et al.,"Synthesis of alkyl iodides",Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1,1976年,No. 4,p.416-420,DOI: 10.1039/P19760000416
Lin LEI et al.,"Systematic Study on Alkyl Iodide Initiators in Living Radical Polymerization with Organic Catalysts",Macromolecules,2014年09月16日,Vol. 47, No. 19,p.6610-6618,DOI: 10.1021/ma501569j

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