JP7843985B2 - オプシンの活性を調節する方法 - Google Patents

オプシンの活性を調節する方法

Info

Publication number
JP7843985B2
JP7843985B2 JP2019155659A JP2019155659A JP7843985B2 JP 7843985 B2 JP7843985 B2 JP 7843985B2 JP 2019155659 A JP2019155659 A JP 2019155659A JP 2019155659 A JP2019155659 A JP 2019155659A JP 7843985 B2 JP7843985 B2 JP 7843985B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
opsin
cells
scintillator
gagg
activity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019155659A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021031467A (ja
Inventor
貴之 山下
崇紀 松原
健之 柳田
範明 河口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujita Health University
Original Assignee
Fujita Health University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujita Health University filed Critical Fujita Health University
Priority to JP2019155659A priority Critical patent/JP7843985B2/ja
Publication of JP2021031467A publication Critical patent/JP2021031467A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7843985B2 publication Critical patent/JP7843985B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

本発明は、オプシンの活性を調節する方法等に関する。
近年、光感受性タンパク質(オプシン)を特定の細胞に発現させ、光照射によって細胞機能を操作する技術(光遺伝学)が開発され、特に神経科学分野に応用されて動物行動の神経基盤解明のために広く用いられている。しかしながら、オプシンの活性化波長が可視光領域であるために、体表から刺激光を照射しても深部組織には到達しない。そのため、組織に光ファイバを刺入して可視光を送達する手法が取られてきたが、光ファイバの刺入は組織侵襲が避けられず、また、光ファイバと光照射装置とを物理的に繋げないといけないために、対象動物の運動に制限を与えることとなる。
これらの問題を解決するため、生体組織透過性の高い近赤外光を吸収して可視光を発するアップコンバージョン粒子を用いた遠隔的脳神経操作法が考案され、報告されている(非特許文献1)。ところが、近赤外光の生体組織透過性やアップコンバージョン効率が十分ではないために、本手法は、自由行動中のマウスでは約3 mm程度以上の脳深度では適用できないことが分かっている(非特許文献2)。また、近赤外光は皮膚や骨を透過しにくいため、本手法の適用には頭皮と骸骨の一部を除去する必要があり、さらには、脳実質表面から近赤外照射すると表面温度が急上昇して熱傷を引き起こすという問題がある。
Chen, S. et al. Near-infrared deep brain stimulation via upconversion nanoparticle-mediated optogenetics. Science 359, 679-684 (2018). Miyazaki, T. et al. Large Timescale Interrogation of Neuronal Function by Fiberless Optogenetics Using Lanthanide Micro-particles. Cell Rep. 26, 1033-1043 (2019).
本発明者は、上記問題に鑑み、X線照射によりオプシンの活性を調節することに着目した。そして、オプシンの活性化波長は可視光領域であるので、X線をシンチレータにより可視光波長域の光に変換することに着目した。
本発明は、シンチレータを利用した、X線照射によりオプシンの活性を調節する技術を提供することを課題とする。
本発明者は、研究を進める中で、可視光領域の光への変換効率、蛍光の波長、細胞毒性等の観点から、X線照射によるオプシン活性調節には使用できないシンチレータがあることを見出した。そして、さらに研究を進め、シンチレータとしてCe又はEuドープ型シンチレータ及びAg,Cl:ZnSからなる群より選択される少なくとも1種のシンチレータが最適であることを見出し、Ce又はEuドープ型シンチレータ及びAg,Cl:ZnSからなる群より選択される少なくとも1種のシンチレータにX線を照射することを含む、オプシンの活性を調節する方法、であれば上記課題を解決できることを見出した。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. Ce又はEuドープ型シンチレータ及びAg,Cl:ZnSからなる群より選択される少なくとも1種のシンチレータにX線を照射することを含む、オプシンの活性を調節する方法.
項2. 前記シンチレータがCe:GAGGである、項1に記載の方法.
項3. 前記オプシンが単離細胞、単離組織又は生体に含まれる、項1又は2に記載の方法.
項4. 前記オプシン及び前記シンチレータが生体に含まれる、項1~3のいずれかに記載の方法.
項5. 前記オプシンが生体の神経細胞に含まれる、項4に記載の方法.
項6. 前記生体にX線を照射することを含む、項4又は5に記載の方法.
項7. 前記調節により前記生体の行動及び/又は嗜好性を変化させる、項6に記載の方法.
項8. 前記オプシンがチャネルロドプシン、ハロロドプシン、又はアーキロドプシンである、項1~7のいずれかに記載の方法.
項9. 前記オプシンがbReaChES、C1V1、ChrimsonR、ChR2(ET/TC)、GtACR1、GtACR2、又はBEGC1である、項1~8のいずれかに記載の方法.
項10. 前記オプシンがbReaChES又はGtACR1である、項1~9のいずれかに記載の方法.
項11. Ce又はEuドープ型シンチレータ及びAg,Cl:ZnSからなる群より選択される少なくとも1種のシンチレータを含む、項1~10に記載の方法に用いるための試薬.
項12. Ce又はEuドープ型シンチレータ及びAg,Cl:ZnSからなる群より選択される少なくとも1種のシンチレータ、並びにオプシン及びオプシン発現カセットからなる群より選択される少なくとも1種を含有する細胞.
項13. Ce又はEuドープ型シンチレータ及びAg,Cl:ZnSからなる群より選択される少なくとも1種のシンチレータ、並びにオプシン及びオプシン発現カセットからなる群より選択される少なくとも1種を含有する動物.
項14. Ce又はEuドープ型シンチレータ及びAg,Cl:ZnSからなる群より選択される少なくとも1種のシンチレータ、並びにオプシン、オプシン発現カセット、及びはオプシン又は該発現カセットを含む細胞からなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1~9に記載の方法に用いるためのキット.
本発明によれば、シンチレータを利用した、X線照射によりオプシンの活性を調節する技術を提供することができる。
Aは、マウスの脳の切片(厚み1mm、2mm、3mm、4mm、又は5mm)の各電磁波の透過率を示し、Bは、マウス脳全体、マウス頭骨、又はマウス頭皮の各電磁波の透過率を示し、Cは、A 及びB の結果から推定された、頭皮から脳最深部への各電磁波の透過率を示す(参考例1)。 Aは、各電磁波による生体温度の経時変化の平均値を示す(各群n=4)。A中のバーは電磁波を照射している時間を示す。B は、一定時間の各電磁波の照射により変化した温度の平均値を示す(各群n=4)。**** P < 0.0001。 Ce:GAGGにUV照射して得られる光ルミネセンス(PL)と、X線照射して得られる放射蛍光(RL)のスペクトルを示す(参考例3)。 上方の写真はGtACR1-Venusを発現するHEK293細胞の蛍光観察像である。下方の図はin vitro電気生理試験(参考例4-2)の概要を示す模式図である。 Ce:GAGGにUV照射し、発せられたPLが各オプシン発現細胞(HEK293細胞)に照射された際の電流変化を測定した結果を示す(参考例4-2)(n=8-14)。**** P < 0.0001, ** P = 0.0016, * P = 0.017(P値はGFPに対する値である)。 aは、in vitro電気生理試験( 参考例5-3)の概要を示す模式図である。bは、bReaChes発現ドーパミン神経標本についての電圧固定記録結果を示す(n=6)。c及びdは、bReaChes発現ドーパミン神経標本についての電流固定記録結果を示す(d:n=6)。eは、GtACR1発現ドーパミン神経標本についての電圧固定記録結果を示す(n=5)。f及びgは、GtACR1発現ドーパミン神経標本についての電流固定記録結果を示す(g:n=5)。 aは、Ce:GAGGから放出されるRLの強度がX線強度に比例することを示すグラフである。b は、Ce:GAGGからのRLによる海馬ニューロンの刺激方法の概要を示す模式図である(実施例1-2)。cは、実施例1-3の免疫染色像を示す。dは、実施例1-3の免疫染色像から算出された、c-Fos陽性細胞の割合を示す(n=4-6 dish)。d中、** P < 0.01, *** P < 0.001(P値はbReaChES(+)/Ce:GAGG(+)/X-ray(+)に対する値である)。eは、海馬ニューロンをCe:GAGG結晶を含む培地中で培養した際の、細胞像(上段)及び細胞生存率(下段:n=7)を示す(DIVは培養開始からの経過日数を示す。)(参考例6)。fは、シンチレータ結晶(上段)又は光ファイバー(下段)をVTAに移植してから4週間後の脳スライスの免疫染色像を示す(参考例7) 。 a~cは、X線照射による生体操作(実施例2)の概要を示す。d及びeは、アンバイアス方式のCPPテストの結果を示す(d:n=7-10)。fは、バイアス方式のCPPテストの結果を示す(n=4-6)。d及びf中、* P < 0.05、** P < 0.01(P値はGFP発現群に対する値)。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.オプシンの活性を調節する方法
本発明は、その一態様において、Ce又はEuドープ型シンチレータ及びAg,Cl:ZnSからなる群より選択される少なくとも1種のシンチレータ(本明細書において、「本発明のシンチレータ」と示すこともある。)にX線を照射することを含む、オプシンの活性を調節する方法(本明細書において、「本発明の方法」と示すこともある。)に関する。以下、これについて説明する。
オプシンとしては、光の受容によりその活性が変化するタンパク質である限り、特に制限されない。オプシンとしては、例えばイオンチャネル、イオンポンプ、酵素(例えば、アデニル酸シクラーゼ、グアニル酸シクラーゼ等)、光活性調節型タンパク質(例えば、光活性化型Cas9タンパク質等の光によって活性が調節(活性化又は抑制)されるように変異させたタンパク質等)等のタンパク質が挙げられ、より好ましくはイオンチャネル、イオンポンプ等が挙げられ、さらに好ましくはチャネルロドプシン、ハロロドプシン、アーキロドプシン等が挙げられる。以下、オプシンについて詳述する。
オプシンの具体例としては、bReaChES、C1V1、ChrimsonR、ChR2(ET/TC)、GtACR1、GtACR2、BEGC1、ChR2、変異型ChR2、ChR2/H134R、ChR2/C128X(XはT, AまたはS)、ChR2/D156A、ChR2/E123T(ChETA)、ステップ・ファンクション型ChR(C128S/D156A)、キメラ型ChR、ChR2(T159C)、ChR2(E123A)、VChR1、eNpHR、Archaerhodopsin-3、Archaerhodopsin-T、MAC、OptoXRs、PAC、Melanopsin、SwiChR、iC1C2、eNpHR 3.0、ChETA、ChRmine等が挙げられる。これらの中でも、本発明のシンチレータからの放射光による活性変化レベルの観点から、好ましくはbReaChES、C1V1、ChrimsonR、ChR2(ET/TC)、GtACR1、GtACR2、BEGC1等が挙げられ、特に好ましくはbReaChES及びGtACR1等挙げられる。
種々のオプシンのアミノ酸配列は公知である。例えば、公知のデータベース(例えば、NCBI:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/)等から入手することができる。具体的には、例えばbReaChESとしては、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(NCBI Accession Number:AME16506)が挙げられ、GtACR1としては、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(NCBI Accession Number:AKN63094.1)が挙げられる。
オプシンは、光の受容によりその活性が変化する性質、並びに変化前及び/又は変化後における活性が、著しく低減しない限りにおいて、アミノ酸の置換、欠失、付加、挿入等の変異を有していてもよい。変異としては、好ましくは置換、より好ましくは保存的置換が挙げられる。アミノ酸変異を有する場合、変異前のオプシンのアミノ酸配列に対して、例えば85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、よりさらに好ましくは99%以上の同一性を有する。
アミノ酸配列の「同一性」とは、2以上の対比可能なアミノ酸配列の、お互いに対するアミノ酸配列の一致の程度をいう。従って、ある2つのアミノ酸配列の一致性が高いほど、それらの配列の同一性又は類似性は高い。アミノ酸配列の同一性のレベルは、例えば、配列分析用ツールであるFASTAを用い、デフォルトパラメータを用いて決定される。若しくは、Karlin及びAltschulによるアルゴリズムBLAST(KarlinS, Altschul SF.“Methods for assessing the statistical significance of molecular sequence features by using general scoringschemes”Proc Natl Acad Sci USA.87:2264-2268(1990)、KarlinS,Altschul SF.“Applications and statistics for multiple high-scoring segments in molecular sequences.”Proc Natl Acad Sci USA.90:5873-7(1993))を用いて決定できる。このようなBLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている。これらの解析方法の具体的な手法は公知であり、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のウェエブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を参照すればよい。また、塩基配列の『同一性』も上記に準じて定義される。
本明細書中において、「保存的置換」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置換されることを意味する。例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジンといった塩基性側鎖を有するアミノ酸残基同士で置換されることが、保存的な置換にあたる。その他、アスパラギン酸、グルタミン酸といった酸性側鎖を有するアミノ酸残基;グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システインといった非帯電性極性側鎖を有するアミノ酸残基;アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンといった非極性側鎖を有するアミノ酸残基;スレオニン、バリン、イソロイシンといったβ-分枝側鎖を有するアミノ酸残基;チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンといった芳香族側鎖を有するアミノ酸残基同士での置換も同様に、保存的な置換にあたる。
bReaChESの好ましい具体例としては、下記(a)に記載するタンパク質及び下記(b)に記載するタンパク質:
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、及び
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
GtACR1の好ましい具体例としては、下記(c)に記載するタンパク質及び下記(d)に記載するタンパク質:
(c)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、及び
(d)配列番号2に示されるアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
上記(b)及び(d)において、同一性は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。また、上記(b)及び(d)において変異しているアミノ酸数は、例えば1~30個、好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、さらに好ましくは1~5個、よりさらに好ましくは1~2個である。
オプシンは、光の受容によりその活性が変化する性質、並びに変化前及び/又は変化後における活性が、著しく低減しない限りにおいて、化学修飾されたものであってもよい。
オプシンは、C末端がカルボキシル基(-COOH)、カルボキシレート(-COO)、アミド(-CONH2)またはエステル(-COOR)の何れであってもよい。
ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルなどのC1-6アルキル基;例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基;例えば、フェニル、α-ナフチルなどのC6-12アリール基;例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル-C1-2アルキル基;α-ナフチルメチルなどのα-ナフチル-C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基;ピバロイルオキシメチル基などが用いられる。
オプシンは、C末端以外のカルボキシル基(またはカルボキシレート)が、アミド化またはエステル化されていてもよい。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、オプシンには、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているもの、生体内で切断されて生成し得るN末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば-OH、-SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質などの複合蛋白質なども包含される。
オプシンは、リンカー、エピトープタグ、蛍光タンパク質、精製を容易にするペプチド、切断可能なリンカーペプチドなどが付加されたもの(例えば、融合タンパク質)であってもよい。タグとしては、例えばヒスチジンタグ、FLAGタグ、GSTタグ等が挙げられる。蛍光タンパク質としては、例えば緑色蛍光(GFP)またはその変異体、GFPの青色蛍光変異体(BFP)、GFPのシアン蛍光変異体(CFP)、GFPの黄色蛍光変異体(YFP)、高感度GFP(EGFP)、高感度CFP(ECFP)、高感度YFP(EYFP)、GFPS65T、エメラルド、トパーズ(TYFP)、ビーナス、シトリン、mシトリン、GFPuv、不安定化EGFP(dEGFP)、不安定化ECFP(dECFP)、不安定化EYFP(dEYFP)、mCFPm、セルリアン、T-サファイア、CyPet、YPet、mKO、HcRed、t-HcRed、DsRed、DsRed2、DsRedモノマー、J-Red、ダイマー2、t-ダイマー2(12)、mRFP1、ポシロポリン(pocilloporin)、レニラGFP、モンスターGFP、paGFP、カエデタンパク質及びキンドリング(kindling)タンパク質、フィコビリンタンパク質及びフィコビリンタンパク質コンジュゲート(B-フィコエリトリン、R-フィコエリトリン及びアロフィコシアニンを含む)等が挙げられる。蛍光タンパク質の他の例としては、mHoneydew、mBanana、mOrange、dTomato、tdTomato、mTangerine、mStrawberry、mCherry、mGrape1、mRaspberry、mGrape2、mPlum、FusionRed、mKate2等が挙げられる。
オプシンとしては、1種単独を採用することもでき、2種以上を組合わせて採用することもできる。
Ce又はEuドープ型シンチレータは、母材(ホスト)にCe又はEuがドープされてなる結晶であり、特に制限されない。Ce又はEuドープ型シンチレータとして、特に好ましくは、Ce:Gd3(Al,Ga)5O12(Ce:GAGG)が挙げられる。また、この他にも、可視光領域の光への変換効率、蛍光の波長等の観点から、Ce:YSO、Ce:YI3、Ce:LuI3、Eu:CaI2、Eu:SrI2、Eu:KSr2I5、Eu:CsBa2I5等が好ましく例示される。
Ag,Cl:ZnSは、発光量が高く且つ潮解性が低い(又は無い)ので、好ましく使用することができる。
本発明のシンチレータの形状としては、特に制限されず、球状、楕円体状、円盤状、ロッド状、柱状、リン片状など任意の形状が挙げられる。また、任意の形状の固体表面上に本発明のシンチレータが付着した(例えばコーティングされた)ものも、本発明のシンチレータとして利用することができる。
本発明のシンチレータのサイズは、特に制限されない。本発明のシンチレータの長径又は長辺は、例えば1nm~10cm、1μm~5cm、100μm~3cm、200μm~1cm、500μm~5mmである。本発明のシンチレータの短径又は短辺は、例えば1nm~10cm、1μm~5cm、50μm~1cm、100μm~5mm、200μm~2mmである。
本発明のシンチレータとしては、1種単独を採用することもでき、2種以上を組合わせて採用することもできる。
本発明の方法においては、本発明のシンチレータにX線を照射する。これにより、本発明のシンチレータから放射蛍光が発せられる。該放射蛍光のスペクトルは、図3に示される通り、約520~530nmをピークとするスペクトルである。該放射蛍光がオプシンに照射されることにより、オプシンの活性が調節される。
X線照射条件は、本発明のシンチレータから放射蛍光を発することができる程度の条件である限り、特に制限されない。該条件として、例えば管電圧は、例えば20~200kV、好ましくは50~180kV、より好ましくは80~160kV、さらに好ましくは90~150kV、よりさらに好ましくは100~150kVである。該条件として、例えば管電流は、例えば1~50mA、好ましくは1~30mA、より好ましくは3~20mAである。
前述の通り、本発明のシンチレータから発せられる放射蛍光がオプシンの活性を調節するので、本発明のシンチレータとオプシンとは、互いに比較的近傍に存在することが望ましい。本発明のシンチレータとオプシンとの距離は、例えば10cm以下、5cm以下、2cm以下、1cm以下、5mm以下、2mm以下、1mm以下、0.5mm以下、0.2mm以下、0.1mm以下である。該距離の下限は、特に制限されず、例えば1pm、1nm、1μm、10μm、100μm、200μmである。
本発明の方法は、in vitroの方法であることもでき、又はin vivoの方法であることもできる。
本発明の方法において、オプシンは、好ましくは単離細胞、単離組織又は生体に含まれ、より好ましくは単離組織又は生体に含まれ、さらに好ましくは生体に含まれる。本発明の方法は、X線を利用するので、より深部組織に存在するオプシンであっても、その活性を調節することができる。
単離細胞は、生体又は組織から分離された状態のものである限り特に制限されず、培養細胞、初代細胞等を包含する。細胞の由来は、特に制限されず、例えば哺乳動物では、例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、シカ等が挙げられる。また、これら以外にも、原核細胞、真核細胞を問わず、採用することができる。細胞の種類も特に制限されず、例えば動物細胞の場合であれば、例えば神経細胞、線維芽細胞、上皮細胞、血管内皮細胞、肝細胞、ケラチン生成細胞、筋細胞、表皮細胞、内分泌細胞、血液細胞、造血幹細胞・前駆細胞、配偶子(精子、卵子)、ES細胞、iPS細胞、組織幹細胞、がん細胞等が挙げられる。これらの中でも、神経細胞が好ましい。神経細胞としては、例えば、ドーパミン分泌神経細胞、アセチルコリン分泌神経細胞、セロトニン分泌神経細胞、ノルアドレナリン分泌神経細胞、アドレナリン分泌神経細胞、グルタミン酸分泌神経細胞、ガンマアミノ酪酸分泌神経細胞などが挙げられる。
単離組織は、細胞の集合体であって、生体から分離された状態のものである限り特に制限されず、生体由来組織(例えば神経組織)、人工組織(例えば、細胞を適当な支持体状に保持させてなる人工組織(2次元組織、3次元組織のいずれも包含する))等を包含する。単離組織を構成する細胞としては、上記単離細胞として挙げた細胞を採用することができる。単離組織として、好ましくは脳(全体又はその一部)等の神経組織が挙げられる。
生体は、特に制限されず、例えば哺乳動物では、例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、シカ等が挙げられる。本発明の一態様においては、生体からはヒトは除かれる。生体において、オプシンが含まれる部位は、特に制限されない。例えば中枢神経組織、末梢神経組織等の神経組織が挙げられる。この場合、オプシンは、好ましくは神経細胞に含まれる。
オプシンが含まれる単離細胞、単離組織又は生体は、公知の方法に従って又は準じて、得ることができる。例えば、ウイルスベクターを利用する方法、プラスミドを利用する方法、遺伝子改変動物を利用する方法等が挙げられる。ウイルスベクターとしては、特に制限されないが、好適には、レンチウイルスベクターやアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)等が挙げられる。また、Creリコンビナーゼを発現するウイルスベクターを利用することもできる。
オプシンが単離細胞、単離組織又は生体に含まれる場合、本発明のシンチレータの位置は、本発明のシンチレータから発せられる放射蛍光がオプシンの活性を調節可能な限りにおいて、特に制限されない。本発明のシンチレータから発せられる放射蛍光が何らかの物質により遮られて、オプシンまで一定程度到達できないことがない限り、本発明のシンチレータの位置は任意である。例えば、オプシンが単離細胞に含まれる場合、例えば本発明のシンチレータは培地中に含まれていてもよいし、培養容器外に配置されていてもよい。例えば、オプシンが単離組織に含まれている場合、本発明のシンチレータは単離組織に含まれていてもよいし、培地中に含まれていてもよいし、培養容器外に配置されていてもよい。例えば、オプシンが生体に含まれる場合は、通常、本発明のシンチレータから発せられる放射蛍光は生体の最外層(皮膚等)を効率的に透過することができないので、好ましくは本発明のシンチレータは生体に含まれる(より好ましくはオプシンを含む細胞や組織の近傍に配置されている)。
オプシン及び本発明のシンチレータが単離細胞、単離組織又は生体に含まれる場合、X線は、単離細胞、単離組織又は生体に照射される。
本発明の方法によれば、オプシンの活性を調節することができる。例えば、オプシンがイオンチャネルやイオンポンプである場合は、そのイオンの流入量を調節することができ、これにより細胞を脱分極又は過分極させることができる。また、例えば、オプシンがシクラーゼ等の酵素である場合は、例えばcAMPやcGMP等の産生量を調節することができ、これにより細胞内シグナル伝達を調節することができる。また、例えば、オプシンが光活性化Cas9などのDNA修飾タンパク質である場合には、ゲノム上の遺伝子配列の書き換えや遺伝子ノックアウトなどが可能である。このように、本発明の方法によれば、細胞や単離組織の性質を変化させることができる。また、神経細胞の脱分極や過分極を調節することにより、生体の行動及び/又は嗜好性を変化させることも可能である。
2.試薬、キット、細胞、動物
本発明は、その一態様において、本発明のシンチレータ又はオプシン発現カセットを含む、本発明の方法に用いるための試薬に関する。本発明は、その一態様において、本発明のシンチレータ、並びにオプシン、オプシン発現カセット、及びオプシン又は該発現カセットを含む細胞からなる群より選択される少なくとも1種を含む、本発明の方法に用いるためのキットに関する。本発明は、その一態様において、本発明のシンチレータ、並びにオプシン及びオプシン発現カセットからなる群より選択される少なくとも1種を含有する細胞又は動物に関する。
オプシン発現カセットについては、オプシンコード配列がオプシン発現可能な状態で組み込まれているポリヌクレオチドである限りにおいて特に限定されない。典型的には、該発現カセットは、プロモーター配列、及びオプシンコード配列(必要に応じて、さらに転写終結シグナル配列)を含むポリヌクレオチド、必要に応じて他の配列を含む。プロモーターは、特に制限されず、例えばCMVプロモーター、EF1プロモーター、SV40プロモーター、MSCVプロモーター、hTERTプロモーター、βアクチンプロモーター、CAGプロモーターなどなどが挙げられる。発現カセットは、ウイルスベクターやプラスミド等の形態であってもよい。また、薬剤により誘導可能な各種プロモーターも使用することができる。他の配列としては、特に制限されず、ウイルスベクターやプラスミドが含み得る公知の配列を各種採用することができる。
細胞については、上述の本発明の方法に使用される細胞と同様である。また、動物については、上述の本発明の方法に使用される生体と同様である。
試薬は、必要に応じてさらに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、特に限定されるものではないが、例えば基剤、担体、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、保湿剤、着色料、香料、キレート剤等が挙げられる。
キットは、必要に応じてウイルス調製用試薬、遺伝子導入試薬、細胞、緩衝液等、後述の本発明の方法の実施に必要な他の材料、試薬、器具等を適宜含んでいてもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
参考例1.X線の生体組織透過性の解析
X線の生体組織透過性を他の電磁波と比較した。具体的には、試料(マウスの脳の切片(厚み1mm、2mm、3mm、4mm、又は5mm)、マウス脳全体、マウス頭骨、又はマウス頭皮)の上方から各種電磁波(X線:0.129-0.131 Gy/min、近赤外光:43.1-45.1 mW/cm2、又は青色LED光:51.3 mW/cm2)を照射して、試料下方の検出器(近赤外光及び青色LEDはフォトダイオードセンサー、X線はイオンチェンバ線量計)で検出し、その透過率を算出した。
透過率の算出結果を図1A及び図1Bに示す。また、得られた透過率から推定された、頭皮から脳最深部への透過率を図1Cに示す。従来の光遺伝学にてオプシン活性化に用いられる青色光やアップコンバージョン粒子を利用した光遺伝学に用いられる近赤外光と比較して、X線は生体組織透過性が非常に高く、マウスの全脳・頭骸骨・頭皮を透過し、これら全体での透過率は83%であった。
参考例2.X線照射による温度変化の解析
X線照射による生体温度の変化を解析した。具体的には、マウスの頭皮と頭骨の間に熱電対プローブを挿入し、外部から各種電磁波(X線(150 kV, 3 mA, 1.35 Gy/min)、近赤外光(10 mW、ファイバー直径400μm)、青色LED(200 mW/mm2、コリメーターレンズ直径4mm))を照射した際の温度変化を測定した。また、X線照射については、Ce:GAGG結晶(6 mm x 4 mm x 1 mm)を頭皮と頭骨の間に配置した場合についても、測定した。
結果を図2に示す。X線照射により組織温度に変化はなかった。
参考例3. シンチレータの探索
可視光領域の光への変換効率、蛍光の波長、潮解性、細胞毒性等の観点から、さらには各種オプシンを使用した試験結果に基づいて、X線照射によるオプシン活性調節に使用するシンチレータとして、Ce:GAGGを選択した。Ce:GAGGにUV照射して得られる光ルミネセンス(PL)と、X線照射して得られる放射蛍光(RL)共に、非常に類似した光スペクトル特性を持つ黄色光であった(図3)。そこで、以下の参考例4及び5では、UVを利用してオプシン活性の調節を試みた。
参考例4.好適なオプシンの探索
培養HEK293細胞に各種オプシンを発現させ、UV誘発性のCe:GAGG発光により最も活性化するオプシンを探索した。具体的には以下のようにして行った。
<参考例4-1.各種オプシン発現細胞の調製>
各種オプシン(bReaChES、C1V1、ChrimsonR、ChR2(ET/TC)、GtACR1、GtACR2、PsChR、ArchT、eNpHR3.0)と蛍光タンパク質との融合タンパク質、又は蛍光タンパク質(GFP)の発現ベクター(pCMVベクター)を、Lipofectamine 2000 (Thermo Fisher Scientific)を用いて、HEK 293細胞に導入した。トランスフェクションの3~4時間後に細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、DMEM培地(添加成分及び最終濃度:10%(vol / vol)ウシ胎児血清(FBS)、100 unit / mlペニシリン、0.1 mg / mlストレプトマイシン)中のカバースリップ上に播種した。その後、記録前に、細胞を24~36時間培養した。
<参考例4-2.in vitro電気生理試験>
本試験の概要を図4に示す。HEK293細胞が付着したカバースリップの下方にUVカットフィルター、Ce:GAGGの順に配置し、Ce:GAGGにUV照射し、発せられたPLが各オプシン発現細胞(HEK293細胞)に照射された際の電流変化を測定した。電流変化がより大きい程、オプシンがより活性化したことを示す。具体的には、以下のようにして行った。
Ce:GAGG結晶のPLは、365 nmのUV光(LEDMOD V2、Omicron; LC-L2、浜松ホトニクス)で照射することにより誘導した。培養されたHEK 293細胞のパッチクランプ記録は、室温下でパッチクランプ記録用増幅器(IPA、Sutter Instruments)を使用して実施した。蛍光標識された細胞は、科学的な相補型金属酸化物半導体(sCMOS)ビデオカメラ(Zyla4.2plus; Andor)を備えた正立顕微鏡(BX51WI; Olympus)を使用して視覚的に識別した。記録ピペットを、細胞内溶液(組成:135mMグルコン酸カリウム、4mM KCl、4mM Mg-ATP、10mM Na2-ホスホクレアチン、0.3mM Na-GTP、および10mM HEPES(pH 7.3、 280 mOsmol / l))で満たした。パッチピペット(5~7MΩ)の直列抵抗は6.5~25MΩであり、電圧固定記録の最終値が6.5~7.0MΩになるように補正した。脱分極オプシンの光電流を測定するために、HEK 293細胞を-60 mVで電圧固定した。GtACR1とGtACR2の光電流を測定するために、細胞を0 mVで電圧固定した。ArchTまたはeNpHR3.0の光電流を測定するために、HEK 293細胞を-20~0 mVで電圧固定して、保持電流をゼロ付近にした。フォトダイオードセンサーを使用してPL強度を測定し、各実験日ごとに較正した。
<参考例4-3.結果>
結果を図5に示す。脱分極型のオプシンではbReaChES、過分極型のオプシンではGtACR1がそれぞれ最も効率よく活性化した。
参考例5.UV照射による神経細胞操作
神経細胞の活動をCe:GAGGからのPLにより操作することを試みた。遺伝子改変マウスとアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて、マウス中脳・腹側被蓋野(VTA)のドーパミン神経に特異的にbReaChES又はGtACR1を発現させ、VTAを含む急性スライス標本を作成し、ドーパミン神経からパッチクランプ記録を行い、膜電位を測定しながらCe:GAGGからの発光により刺激を行った。具体的には、以下のようにして行った。
<参考例5-1.ウイルスの作成>
HEK293細胞に、標準リン酸カルシウム法を使用して、オプシン(bReaChES又はGtACR1)をコードするpAAV(pAAV-Ef1a-DIO-bReaChes-TS-eYFP又はpAAV-hSyn1-SIO-stGtACR1-FusionRed)、pHelperおよびpAAV-RC(血清型9またはDJ)をトランスフェクトした。3日後、トランスフェクトされた細胞を回収し、溶解バッファー(150 mM NaCl、20 mM Tris pH 8.0)に懸濁した。4回の凍結融解サイクル後、細胞溶解物を250 U / mlベンゾナーゼヌクレアーゼ(Merck)および1 mM MgCl2で37℃で10-15分処理し、4℃で4000 rpmで20分遠心分離した。次いで、イオジキサノール勾配超遠心分離により上清からAAVを精製した。精製したAAV溶液を、ろ過によりPBSで濃縮し、-80℃で保存した。
<参考例5-2.スライス標本の作成>
AAV-Ef1a-DIO-bReaChes-TS-eYFP(力価:6.0×1013コピー/ ml)、AAV-hSyn1-SIO-stGtACR1-FusionRed(力価:1.1×1013コピー/ ml)またはAAV-CMV-DIO-hrGFP(力価:6.0×1012コピー/ ml)を、~1.2%イソフルラン麻酔下のDAT-IRES-CreマウスのVTA(AP:-3.0~-3.3 mm、LM:±0.5 mm、深さ:4.2 mm)に両側から注入した。注射量は部位あたり200 nlとした。AAV注射後少なくとも3週間はホームケージで飼育した。マウスに、イソフルラン麻酔下で氷冷切開バッファー(組成:87mM NaCl、25 mM NaHCO3、25 mM D-グルコース、2.5 mM KCl、1.25 mM NaH2PO4、0.5 mM CaCl2、7 mM MgCl2、75 mMスクロース、95%O2 + 5%CO2で通気)で灌流した。次に、マウスを断頭し、脳を摘出し、氷冷解剖バッファーでビブラトーム上に厚さ200μmの水平切片を作成した。VTAを含むスライスを解剖バッファーで35℃で30分間インキュベートし、標準人工脳脊髄液(aCSF)(組成:125mM NaCl、25 mM NaHCO3、25 mM D-グルコース、2.5 mM KCl、1.25 mM NaH2PO4、1 mM MgCl2、2 mM CaCl2、95%O2 + 5%CO2で通気)で室温に維持した。
<参考例5-3.in vitro電気生理試験>
本試験の概要を図6aに示す。スライス標本を載せたカバースリップの下方にUVカットフィルター、Ce:GAGGの順に配置し、Ce:GAGGにUV照射し、発せられたPLが各オプシン発現ドーパミン神経に照射された際の電流変化、スパイク頻度、スパイク頻度抑制率等を測定した。具体的には、参考例4-2と同様にして行った。
<参考例5-4.結果>
bReaChes発現ドーパミン神経標本について、電圧固定記録結果を図6bに示し、電流固定記録結果を図6c及びdに示す。GtACR1発現ドーパミン神経標本について、電圧固定記録結果を図6eに示し、電流固定記録結果を図6f及びgに示す。bReaChES発現ドーパミン神経では脱分極が誘発され活動電位頻度が上昇し、GtACR1発現ドーパミン神経では過分極が誘発され活動電位の発生が阻害された。
実施例1.X線照射による神経細胞操作
神経細胞の活動をCe:GAGGからのRLにより操作することを試みた。Ce:GAGGから放出されるRLの強度は、X線強度に比例していた(図7a)。単離した海馬ニューロンにbReaChESを発現させ、Ce:GAGGからのRLで刺激した際のレポーター(c-fos)の発現を測定した。具体的には、以下のようにして行った。
<実施例1-1.bReaChES発現海馬ニューロンの調製>
胚(E17.5)マウスから分離した海馬組織を、1%DNase I(Sigma-Aldrich)および2.5%トリプシンを含むHank's Balanced Salt Solution(HBSS; Sigma-Aldrich)中、37℃で10分間インキュベートし、HBSSで3回洗浄した。次いで、組織を、Neurobasal培地(Thermo Fisher Scientific)でピペッティングすることにより分散させた。濾過により凝集細胞を除去した後、海馬細胞をDMEM(Sigma-Aldrich)中のポリ-L-リジンでコーティングしたカバースリップ(直径12mm)に播種し、37℃で4時間インキュベートした。その後、培地を0.5 mM GlutaMAX(Thermo Fisher Scienctific)、2%(vol / vol)B-27(Thermo Fisher Scienctific)、100 unit / mlペニシリンおよび0.1 mg / mlストレプトマイシンを補充したNeurobasal培地に交換した。in vitroで2日後(DIV 2)、bReaChES-eYFP(1μg/皿)またはhrGFP(1μg/皿)発現プラスミドを、Lipofectamine 2000を使用して培養ニューロンにトランスフェクトした。
<実施例1-2.Ce:GAGGからのRLによる刺激>
テトロドトキシン(TTX、1μM)を、TTXのストック溶液をDIV 9の培地に加えることにより培養ニューロンに適用し、培養皿を5%CO2および95%空気で24時間34℃に維持した。DIV 10で、培地をTTXを含まないNeurobasal培地に交換し、次に培養皿をCe:GAGG結晶の上に置き、X線を室温で照射した(150 kV、3 mA、1.3 Gy / min、20秒、1分ごとに、30回)(図7b)。次に、培養皿を5%CO2および95%空気で34℃に維持した。X線照射の2時間後、培養細胞を4%パラホルムアルデヒド(PFA)でRTで10分間固定し、PBSで洗浄した。
<実施例1-3.免疫染色>
固定ニューロン(実施例1-2)を1%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.25%Triton-X in PBS(ブロッキングバッファー)で3回洗浄し、一次抗体(抗GFP(マウスモノクローナル、1 :1000、Wako)、又は抗c-fos(ウサギポリクローナル、1:1000、Santa Cruz Biotechnology))を含むブロッキングバッファー中、4℃で24~48時間インキュベートした。続いて、固定ニューロンをブロッキングバッファーで3回洗浄し、二次抗体(CF594ロバ抗ウサギIgG(1:1000、Biotium)、又はCF488Aロバ抗マウスIgG(1:1000、Biotium))とともに4°で一晩インキュベートした。
<実施例1-4.結果>
免疫染色像を図7cに示し、c-Fos陽性細胞の割合を図7dに示す。Ce:GAGGからのRLにより、bReaChESの活性を調節し、これにより神経細胞の活動を操作できることが分かった。
参考例6.Ce:GAGGの細胞/生体毒性の解析1
実施例1-1で単離した海馬ニューロンをCe:GAGG結晶を含む培地中で培養した。培養開始、1日経過後(DIV1)、4日経過後(DIV4)、及び7日経過後(DIV7)の細胞像及びDIV1、2、4、及び7の細胞生存率を図7eに示す。細胞はCe:GAGG結晶に向かって伸長しており(図7e上段)、また生存率に影響は無かった(図7e下段)。
参考例7.Ce:GAGGの細胞/生体毒性の解析2
シンチレータ結晶を生体内に移植し、炎症マーカーの発現を指標にして、その生体毒性を評価した。具体的には以下のようにして行った。
シンチレータ結晶の生体適合性をテストするために、可動金属プランジャーと共に金属ガイドチューブ(内径:0.5 mm)を使用して、VTAの上に棒状のCe:GAGG結晶(0.5 mm x 0.5 mm x 1.0-1.5 mm)を埋め込んだ。結晶の移植後、金属製ガイドチューブを最初に引き抜いた後、プランジャーを引き込んだ。移植から4週間後、脳スライスの免疫染色のために、4%PFAを使用して一晩経心臓灌流および後固定を行い、その後、固定した脳をビブラトームの冠状または水平スライスに切断した(切片厚:80μm)。スライスをブロッキングバッファーで3回洗浄した後、一次抗体(抗チロシンヒドロキシラーゼ(ウサギポリクローナル、1:1000、Merck Millipore)、抗Iba-1(ウサギモノクローナル、1:1000、Wako)、抗GFAP(マウスモノクローナル、1:1000、Merck Millipore))を含むブロッキングバッファー中で、4℃で一晩インキュベートした。その後、スライスをブロッキングバッファーで3回洗浄し、二次抗体を含むブロッキングバッファー中で、室温下1~2時間インキュベートした。細胞核は、室温でDAPI(リン酸緩衝液中2μM)で10~15分間インキュベートすることにより染色した。
染色像を図7fに示す。シンチレータ結晶を移植した場合(上段)は、ネガティブコントロール(シンチレータ結晶に代えて光ファイバーを埋め込んだ場合)(下段)と同様に、炎症マーカーは検出されなかった。
実施例2.X線照射による生体操作
マウスのVTAドーパミン神経にbReaChES又はGtACR1を発現させて、VTAの直上にCe:GAGG結晶(縦0.5 mm横0.5 mm長さ 1.0~1.5 mm)を留置し、場所嗜好性テストを行った(概要を図8a、図8b、及び図8cに示す)。具体的には、以下のようにして行った。
参考例5-1で得られたウイルス(AAV)を、参考例5-2と同様にしてDAT-IRES-CreマウスのVTAに注入した。AAV注射の2週間以上後、マウスに棒状のCe GAGG結晶(0.5 mm x 0.5 mm x 1.0-1.5 mm)を両側から移植した。結晶の移植から1週間以上後、マウスを行動試験に供した。条件付き場所嗜好性(CPP)テストを、暗所で、X線装置(MX-160Labo、mediXtec Japan)を用いて行った。CPPテストの初日に、マウスを2つのコンパートメント(それぞれ10 cm×12 cm)のあるテストチャンバーに入れた。コンパートメントは、異なる床のテクスチャと壁の視覚的刺激を有する(図8b)。マウスをチャンバー内で5分間馴化させ、X線を照射せずにさらに10分間自由に探索させた。2日目と3日目に、X線(150 kV、3 mA、床で0.6 Gy /分)を一方のコンパートメントに照射し、もう一方のコンパートメントに照射せずに、マウスをチャンバー内で10分間条件付けした。一方の側のX線照射を制限するために、他方のコンパートメントは部分的に鉛板で覆われた(図8b)。4日目に、X線を照射せずにマウスを再びチャンバーに10分間置いた。アンバイアス方式のCPPテスト中、マウスはUSBカメラを使用して斜めの角度でビデオ録画され、チャンバー全体が周囲の白色LEDライトで照らされ、マウスの耳は機械学習トラッキングツール(DeepLabCut)を使用してオフラインで追跡された。バイアス方式のCPPテストでは、X線照射しないコンパートメントに柔らかいフロアマットを敷き、X線照射コンパートメントでの滞在時間およびX線被爆総量を少なくした。また、バイアス方式のCPPテストでは、IRカメラを使用してマウスを赤外線(IR)光の下で撮影し、マウスが各コンパートメントで過ごした合計時間をマウスの頭の場所に基づいて測定した。
アンバイアス方式のCPPテストの結果を図8d及び図8eに示し、バイアス方式のCPPテストの結果を図8fに示す。X線を照射したコンパートメントに対して、bReaChES発現マウスではより嗜好性が上昇し、GtACR1発現マウスでは嗜好性が低下した。また、嗜好性にバイアスを書けた場合にも同様の結果が得られた。VTAドーパミン神経の活性化は場所嗜好性を上昇させ、不活性化はそれを低下させることが知られていることから、これらの結果は、自由行動中のマウスにおいてもCe:GAGGからのRLによりドーパミン神経活動の操作が可能であることを示す。

Claims (6)

  1. シンチレータであるCe:GAGGにX線を照射することによりオプシンの活性を調節する方法であって、前記Ce:GAGGの長径又は長辺の下限が100 μmである、オプシンの活性を調節する方法(ただし、ヒトを対象にin vivoで行う方法を除く。)。
  2. 前記オプシンが単離細胞、単離組織又は生体に含まれる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記オプシンがチャネルロドプシン、ハロロドプシン、又はアーキロドプシンである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. シンチレータであるCe:GAGGを含み、前記Ce:GAGGの長径又は長辺の下限が100 μmである、請求項1~3のいずれかに記載の方法に用いるための試薬。
  5. 長径又は長辺の下限が100 μmであるシンチレータであるCe:GAGG、並びにオプシン及びオプシン発現カセットからなる群より選択される少なくとも1種を含有する非ヒト動物。
  6. 長径又は長辺の下限が100 μmであるシンチレータであるCe:GAGG、並びにオプシン、オプシン発現カセット、及びオプシン又は該オプシン発現カセットを含む細胞からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法に用いるためのキット。
JP2019155659A 2019-08-28 2019-08-28 オプシンの活性を調節する方法 Active JP7843985B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019155659A JP7843985B2 (ja) 2019-08-28 2019-08-28 オプシンの活性を調節する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019155659A JP7843985B2 (ja) 2019-08-28 2019-08-28 オプシンの活性を調節する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021031467A JP2021031467A (ja) 2021-03-01
JP7843985B2 true JP7843985B2 (ja) 2026-04-13

Family

ID=74677197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019155659A Active JP7843985B2 (ja) 2019-08-28 2019-08-28 オプシンの活性を調節する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7843985B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008024739A (ja) 2006-07-18 2008-02-07 Hitachi Medical Corp 酸化物蛍光体及び放射線検出器及びx線ct装置
US10183081B2 (en) 2013-02-07 2019-01-22 Yaroslav M. Shuba Use of scintillator-based nanoparticles for in vivo control of light-sensitive bioactive molecules

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106422081B (zh) * 2010-11-05 2019-06-21 斯坦福大学托管董事会 用于光遗传学方法的光的上转换

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008024739A (ja) 2006-07-18 2008-02-07 Hitachi Medical Corp 酸化物蛍光体及び放射線検出器及びx線ct装置
US10183081B2 (en) 2013-02-07 2019-01-22 Yaroslav M. Shuba Use of scintillator-based nanoparticles for in vivo control of light-sensitive bioactive molecules

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
高橋成企他, GAGGシンチレータの発光特性, 日本物理学会第71回年次大会概要集, 日本物理学会第71回年次大会概要集, 2016年, p. 284 (19pAA-1)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021031467A (ja) 2021-03-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Dong et al. T-cell calcium dynamics visualized in a ratiometric tdTomato-GCaMP6f transgenic reporter mouse
US10711044B2 (en) Channelrhodopsins for optical control of cells
Wietek et al. A bistable inhibitory optoGPCR for multiplexed optogenetic control of neural circuits
ES2886664T3 (es) SynP162, un promotor para la expresión específica de genes en fotorreceptores de bastón
Adam et al. All-optical electrophysiology reveals brain-state dependent changes in hippocampal subthreshold dynamics and excitability
JP6942789B2 (ja) Chrimsonを用いた光遺伝学的視覚回復
JP2018529335A (ja) 光応答性ポリペプチド及びその使用方法
Richie et al. Near-infrared fluorescent protein iRFP713 as a reporter protein for optogenetic vectors, a transgenic Cre-reporter rat, and other neuronal studies
KR102260361B1 (ko) 광감도가 향상된 cry2 변이체 및 그 용도
US10836802B2 (en) Calcium reporter gene
US10882892B2 (en) Channelrhodopsin variants and uses thereof
JP7843985B2 (ja) オプシンの活性を調節する方法
Liu et al. Transcriptional activity assessment of three different promoters for mouse in utero electroporation system
US11275079B2 (en) Genetically encoded red fluorescent voltage sensors enabling millivolt-resolution and high-speed neural voltage imaging
Chambers et al. Light‐Activated Ion Channels for Remote Control of Neural Activity
JP2019522469A (ja) チャネルロドプシンの変異型光誘導性イオンチャネル
KR102471929B1 (ko) 크림슨의 돌연변이 광-유도성 이온 채널
US20240400622A1 (en) Genetically encoded voltage indicators and uses thereof
Scardigli et al. Optogenetic confirmation of trans erse-tubular membrane excitabilit in intact cardiac m oc tes.,(5), 791-808. doi: 10.1113
JP5875773B2 (ja) 紫外光測定方法
Unda et al. Bidirectional Regulation of Motor Circuits Using Magnetogenetic Gene Therapy Short: Magnetogenetic Regulation of Motor Circuits
Gurdita Investigating the Mechanisms That Regulate Rod Photoreceptor Positioning and Connectivity in the Developing Murine Retina
Hagio et al. Optogenetic manipulation of second messengers in neurons and cardiomyocytes with microbial rhodopsins and adenylyl cyclase
AU2015203097B2 (en) Light-activated chimeric opsins and methods of using the same
Lam et al. 41598_2017_Article_11791. pdf

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20211022

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20211022

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220608

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230412

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230425

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230619

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230912

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231030

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20231106

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20240105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20251219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20260325

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7843985

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150