JP7843723B2 - 水電解セルおよび水電解装置 - Google Patents

水電解セルおよび水電解装置

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Description

本開示は、水電解セルおよび電解装置に関する。
特許文献1には、2つのマクロポーラス炭素系バッキング層と、当該2つのマクロポーラス炭素系バッキング層の間に配置されたアイオノマー層(イオン交換膜)と、これらマクロポーラス炭素系バッキング層およびアイオノマー層の間で、アイオノマー層の側から順に触媒層(電極触媒層)、バリア層、およびマイクロポーラス層が配置された層構造を含む膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)が開示されている。触媒層は、アイオノマー層の両面に接合されている。
特許第6430969号公報
ところで、膜電極接合体を備える電気化学セルの分野では、イオン交換膜に接する電極触媒層の表面が粗く形成される場合がある。このため、電極触媒層がイオン交換膜に密着している部分と密着していない部分とがまばらに存在することがある。当該密着している部分における接触抵抗の集中を抑制するために、イオン交換膜に電極触媒層側から面圧が付与される場合がある。しかしながら、この場合、付与される面圧の大きさによっては、電極触媒層の表面の粗さに起因してイオン交換膜に損傷などの不具合が生じる場合がある。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、大きな面圧を付与した場合でも不具合を生じにくい水電解セルおよび電解装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示に係る水電解セルは、イオン交換膜と、前記イオン交換膜よりも一方側に配置された陰極触媒層と、前記イオン交換膜よりも、前記一方側とは反対の他方側に配置された陽極触媒層と、前記陰極触媒層と前記イオン交換膜との間と、前記陽極触媒層と前記イオン交換膜との間とのうち少なくとも一方に配置されたセラミックス粒子含有層と、を備え、前記イオン交換膜は、前記セラミックス粒子含有層に接する第1面を有し、前記セラミックス粒子含有層は、セラミックス粒子と、ポリマー結着剤と、空隙を含み、前記陰極触媒層または前記陽極触媒層は、前記セラミックス粒子含有層に接する第2面を有し、前記第2面は、前記第1面と比べて粗く、前記セラミックス粒子含有層の厚さは、前記第2面の面粗度の最大高さよりも大きく、前記セラミックス粒子含有層を間に挟む前記陰極触媒層または前記陽極触媒層と前記イオン交換膜との間に所定の面圧を作用させる押圧機構をえ、前記所定の面圧を、前記セラミックス粒子含有層が存在しないことを除く同じ構成において、前記イオン交換膜に不具合が生じる面圧よりも高い値に調整した場合に、前記イオン交換膜が損傷することによる短絡が発生しない。
本開示に係る電解装置は、上記電気化学セルである電解セルと、前記電解セルに電解液を供給する電解液供給部と、前記電解セルに電圧を印加する電源部と、を備える。
本開示によれば、大きな面圧を付与した場合でも不具合を生じにくい水電解セルおよび電解装置を提供することができる。
本開示の第1実施形態に係る電解装置の全体構成を示す概略構成図である。 本開示の第1実施形態に係る電気化学セルを模式的に示す図である。 本開示の第1実施形態に係るセラミックス粒子含有層の断面を模式的に示す図である。 本開示の第1実施形態に係る電気化学セルを模式的に示す分解斜視図である。 本開示の第1実施形態に係る電気化学セルを示す断面図である。 本開示の第1実施形態に係る押圧機構を説明するための図(断面図)である。 本開示の第1実施形態に係る膜電極接合体の製造方法を示す断面図である。 本開示の第2実施形態に係る膜電極接合体の製造方法を示す断面図である。 本開示の第3実施形態に係る膜電極接合体の製造方法を示す断面図である。 本開示の実施形態に係るセラミックス粒子含有層が有る場合と、無い場合の、面圧と接触抵抗の関係を対比的に示す図である。 本開示の実施形態に係るセラミックス粒子含有層が有る場合と、無い場合の、電流密度とセル電圧の関係を対比的に示す図である。
以下、本開示の実施形態に係る電解装置1、および当該電解装置1に含まれる膜電極接合体43の製造方法を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。本明細書中の「対向する」とは、ある方向で見た場合に2つの部材が重なることを意味し、上記2つの部材の間に別の部材(例えば別の層)が存在する場合も含み得る。
先に図5を参照し、Z方向、X方向、およびY方向を定義する。Z方向は、後述する第1セパレータ41から第2セパレータ42に向かう方向(図5中の左右方向)である。また、Z方向は、後述する膜電極接合体43のイオン交換膜50、セラミックス粒子含有層51、陰極触媒層54、陰極給電体55、陽極触媒層56、および陽極給電体57が層構造を成した時の積層方向でもある。X方向は、Z方向とは交差する(例えば直交する)方向であり、膜電極接合体43の中央部Cから膜電極接合体43の一端部に向かう方向(図5中の上下方向)である。Y方向は、Z方向およびX方向とは交差する(例えば直交する)方向であり、例えば図5における紙面奥行方向である。本明細書中の「面積」とは、Z方向で見た場合における面積(すなわちX方向およびY方向に広がる面積)を意味する。また、本明細書中の「外形サイズ」とは、Z方向で見た場合における外形サイズを意味する。すなわち「外形サイズ」と「面積」は、実質的に同じものを意味する場合があり、適宜互いに読み替えられてもよい。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の電解装置1の全体構成を示す概略構成図である。本実施形態では、電解装置1は、電解液に含まれる水(HO)を電気分解することで水素(H)を生成する装置(電気分解装置)である。なお、電解装置1は、水を電気分解して水素を生成する構成に限定されることはなく、例えば、電解液に含まれる有機物・無機物の生成や精製、あるいは所定の物質の濃縮などを目的として電解液を電気分解する装置であってもよい。また、本実施形態では、電解装置1は、例えば、アニオン交換膜(AEM:Anion Exchange Membrane)式の装置である。ただし、電解装置1は、アニオン交換膜式に限定されることはなく、プロトン交換膜(PEM:Polymer Electrolyte Membrane)式の装置や、燃料電池、CO電解還元装置、食塩電解装置、化成品電解合成装置などであってもよい。電解装置1は、例えば、セルスタック10と、電解液供給部20と、電源部30とを備えている。
(セルスタック)
セルスタック10は、複数の電気化学セル11の集合体である。セルスタック10は、例えば、複数の電気化学セル11が一方向に並べられることで形成される。各々の電気化学セル11は、陰極室Saと、陽極室Sbとを含む。電気化学セル11については、詳しく後述する。
(電解液供給部)
電解液供給部20は、各々の電気化学セル11に電解液を供給する供給部である。電解液は、例えば、純水あるいはアルカリ水溶液である。本実施形態における電解液には、アルカリ水溶液として水酸化カリウム(KOH)水溶液が採用される。電解液供給部20は、陰極側供給部20aと、陽極側供給部20bとを含む。
陰極側供給部20aは、各々の電気化学セル11の陰極室Saに電解液を供給する供給部である。陰極側供給部20aは、例えば、水素気液分離装置21、第1ポンプ22、水素回収部23、第1電解液供給部24、および配管ラインL1,L2を含む。複数の電気化学セル11を積層したセルスタック10では、例えば、各々の電気化学セル11を互いに連結したマニホールドと呼ばれる電気化学セル11内の配管構造に配管ラインL1,L2を接続し、配管ラインL1側では電解液を供給し、配管ラインL2側では電解液と生成した水素を排出する。
水素気液分離装置21は、電解液を貯留する。水素気液分離装置21の供給口は、配管ラインL1を介して電気化学セル11の陰極室Saに接続される。第1ポンプ22は、配管ラインL1の途中に設けられ、水素気液分離装置21に貯留された電解液を電気化学セル11の陰極室Saに向けて送る。
水素気液分離装置21の戻り口は、配管ラインL2を介して電気化学セル11の陰極室Saに接続される。水素気液分離装置21には、電気化学セル11で生成された水素を含む電解液が電気化学セル11から流入する。水素気液分離装置21は、電解液に含まれる水素を分離する気液分離部を有している。水素気液分離装置21により電解液から分離された水素は、水素回収部23によって回収される。水素気液分離装置21には、第1電解液供給部24から電解液が補充される。
一方で、陽極側供給部20bは、各々の電気化学セル11の陽極室Sbに電解液を供給する供給部である。陽極側供給部20bは、例えば、酸素気液分離装置26、第2ポンプ27、酸素回収部28、第2電解液供給部29、および配管ラインL3,L4を含む。複数の電気化学セル11を積層したセルスタック10では、例えば、各々の電気化学セル11を互いに連結したマニホールドと呼ばれる電気化学セル11内の配管構造に配管ラインL3,L4を接続し、配管ラインL3側では電解液を供給し、配管ラインL4側では電解液と生成した酸素を排出する。
酸素気液分離装置26は、電解液を貯留する。酸素気液分離装置26の供給口は、配管ラインL3を介して電気化学セル11の陽極室Sbに接続される。第2ポンプ27は、配管ラインL3の途中に設けられ、酸素気液分離装置26に貯留された電解液を電気化学セル11の陽極室Sbに向けて送る。
酸素気液分離装置26の戻り口は、配管ラインL4を介して電気化学セル11の陽極室Sbに接続される。酸素気液分離装置26には、電気化学セル11で生成された酸素(O)を含む電解液が電気化学セル11から流入する。酸素気液分離装置26は、電解液に含まれる酸素を分離する気液分離部を有している。酸素気液分離装置26により電解液から分離された酸素は、酸素回収部28によって回収される。酸素気液分離装置26には、第2電解液供給部29から電解液が補充される。
(電源部)
電源部30は、電気化学セル11に電圧を印加する直流電源装置である。電源部30は、電気化学セル11の陽極48と陰極47(図2参照)との間に、電解液の電気分解に必要な直流電圧を印加する。複数の電気化学セル11を積層したセルスタック10では、例えば、セルスタック10の両端の電極に電源部30からの電線が接続され、必要直流電流と積層段数の倍数で必要電圧が印加され、必要電力が供給される。なお、本実施形態では、下記式(i)が成立する。
(1つの電気化学セル11に必要な電解電流(A))×(1つの電気化学セル11に必要な電解電圧(V))×(積層した電気化学セル11の数)=供給電力(W) …(i)
(電気化学セルの構成)
次に、電気化学セル11について詳しく説明する。電気化学セル11は、外部から入力された電気エネルギーにより電解液中で化学反応(電気分解)を引き起こして特定の物質(所望の物質)を生成する装置、あるいは電解液中で化学反応させることにより外部に出力するための電気エネルギーを生じさせる装置である。
本実施形態では、電気化学セル11は、外部から入力された電気エネルギーにより、電解液に含まれる水の電気分解を引き起こして水素を生成する電解セル(水電解セル)である。なお、電気化学セル11は、水を電気分解して水素を生成する電解セルに限定されることはなく、例えば、二酸化炭素(CO)を電解還元するなど異なるタイプの装置や、燃料電池、食塩電解装置、化成品電解合成装置などであってもよい。
図2は、電気化学セル11を模式的に示す断面図である。電気化学セル11などは、例えば、第1セパレータ41、第2セパレータ42、および膜電極接合体43を含む。
(第1セパレータ)
第1セパレータ41は、電気化学セル11の収容空間Sの一方の面を規定する部材である。収容空間Sは、後述する陰極室Saおよび陽極室Sbを含む空間である。第1セパレータ41は、例えば、矩形の板状であり、ステンレスやチタン、ニッケルなどの金属部材、または導電性カーボン板やモールド樹脂で封止された導電性カーボン板などにより形成される。第1セパレータ41は、例えば、後述する第1集電体61(図4および図6参照)を介して電源部30からマイナス電圧が印加される。
第1セパレータ41は、第1セパレータ端部41e1(例えば下端部)と、第1セパレータ端部41e1とは反対側に位置した第2セパレータ端部41e2(例えば上端部)とを有している。第1セパレータ41の第1セパレータ端部41e1には、上述した配管ラインL1が接続される。第1セパレータ41の第2セパレータ端部41e2には、上述した配管ラインL2が接続される。
第1セパレータ41は、後述する陰極室Saに面する第1内面41aを有している。第1内面41aには、配管ラインL1から供給される電解液が流れる第1流路FP1が形成されている。第1流路FP1は、例えば、第1内面41aから凹むように設けられた溝である。第1流路FP1を流れた電解液は、配管ラインL2を通じて電気化学セル11の外部に排出される。
なお、図2に示される各構造(例えば電解液の流路構造など)は、あくまで例示であり、本実施形態の内容を限定するものではない。例えば、流路構造は、装置の大きさや目的、使用環境などに応じて種々の構造が利用可能である。これは、他の図で示される各構造についても同様である。
(第2セパレータ)
第2セパレータ42は、第1セパレータ41の少なくとも一部との間に収容空間Sを空けて配置され、収容空間Sの他方の面を規定する部材である。第2セパレータ42は、例えば、矩形の板状であり、ステンレスやチタン、ニッケルなどの金属部材、または導電性カーボン板やモールド樹脂で封止された導電性カーボン板などにより形成される。第2セパレータ42は、後述する第2集電体62(図4および図6参照)を介して電源部30からプラス電圧が印加される。同じ電気化学セル11に含まれる第1セパレータ41と第2セパレータ42とは、一対のセパレータとして当該電気化学セル11の電解槽40を形成する。
第2セパレータ42は、第1セパレータ端部42e1(例えば下端部)と、第1セパレータ端部42e1とは反対側に位置した第2セパレータ端部42e2(例えば上端部)とを有している。第2セパレータ42の第1セパレータ端部42e1には、上述した配管ラインL3が接続される。第2セパレータ42の第2セパレータ端部42e2には、上述した配管ラインL4が接続される。
第2セパレータ42は、後述する陽極室Sbに面する第2内面42aを有している。第2内面42aには、配管ラインL3から供給される電解液が流れる第2流路FP2が形成されている。第2流路FP2は、例えば、第2内面42aから凹むように設けられた溝である。第2流路FP2を流れた電解液は、配管ラインL4を通じて電気化学セル11の外部に排出される。
なお、ここでは説明の便宜上、第1セパレータ41の第1内面41aが流路用の溝(第1流路FP1)を有し、第2セパレータ42の第2内面42aが流路用の溝(第2流路FP2)を有する構成について説明している。しかしながら、例えばセルスタック10(図1参照)に含まれる電気化学セル11の第1セパレータ41は、第1内面41aに加えて第1内面41aとは反対側の面41bにも同様の流路用の溝(第1流路FP1、図2中に二点鎖線で示す)を有したバイポーラプレートでもよい。また、セルスタック10に含まれる電気化学セル11の第2セパレータ42は、第2内面42aに加えて第2内面42aとは反対側の面42bにも同様の流路用の溝(第2流路FP2、図2中に二点鎖線で示す)を有したバイポーラプレートでもよい。なお、第1セパレータ41の両面および第2セパレータ42の両面に設けられる流路用の溝は、互いに形状や配置が異なってもよい。
(膜電極接合体の構成)
膜電極接合体43(MEA:Membrane Electrode Assembly)は、イオン交換膜、触媒、および給電体が組み立てられた構造体である。膜電極接合体43は、第1セパレータ41と第2セパレータ42との間に配置され、収容空間Sに位置する。膜電極接合体43は、例えば、イオン交換膜50、セラミックス粒子含有層51、陰極触媒層54、陰極給電体55、陽極触媒層56、および陽極給電体57を含む。
(イオン交換膜)
イオン交換膜50は、イオンを選択透過させる膜である。イオン交換膜50は、例えば、固体高分子電解質膜である。イオン交換膜50は、例えば、水酸化物イオン(OH)伝導性のあるアニオン交換膜(AEM)である。ただし、イオン交換膜50は、上記例に限定されず、上記例とは異なるタイプの例えばプロトン交換膜(PEM)であってもよい。
イオン交換膜50は、例えば、矩形のシート状であり、可撓性を有している。イオン交換膜50の外形サイズは、第1セパレータ41または第2セパレータ42の外形サイズよりも小さい。イオン交換膜50は、第1セパレータ41と第2セパレータ42との間に配置され、上述した収容空間Sに位置する。イオン交換膜50は、所定の分子骨格を成し、分子量が所定の第1量である第1高分子を含む。本明細書中に記載する「分子骨格」は、例えば、高分子(第1高分子、および後述の第2高分子)に含まれる分子同士(または原子同士)の、3次元の連続的かつ立体的な位置関係などを意味する。さらに説明すると、本明細書中の分子骨格は、高分子主鎖および側鎖、ならびにイオン交換基などの化学組成および原子配列を意味する。
イオン交換膜50は、第1セパレータ41の第1内面41aと対向する第1交換膜面50aと、第1交換膜面50aとは反対側に位置した第2交換膜面50bとを有している。イオン交換膜50の第2交換膜面50bは、第2セパレータ42の第2内面42aと対向する。第1交換膜面50aおよび第2交換膜面50bは、いずれも「第1面」の一例である。収容空間Sで、イオン交換膜50の第1交換膜面50aと第1セパレータ41の第1内面41aとの間には、陰極室Saが規定される。また、収容空間Sで、イオン交換膜50の第2交換膜面50bと第2セパレータ42の第2内面42aとの間には、陽極室Sbが規定される。
陰極室Saでは、電気化学セル11に電圧が印加される場合に、下記(化1)に示す化学反応が生じ、電解液から水素が生成される。なお、本明細書中の「XXが生成される」とは、XXの生成に伴って他の物質が同時に生成される場合も含み得る。陰極室Saで生成された水酸化物イオンは、膜電極接合体43を通過して陰極室Saから陽極室Sbに移動する。
2HO+2e→H+2OH …(化1)
陽極室Sbでは、電気化学セル11に電圧が印加される場合に、下記(化2)に示す化学反応が生じ、電解液から酸素が生成される。
2OH→1/2O+HO+2e …(化2)
これにより、電気化学セル11全体で見た場合は、下記(化3)に示す化学反応が生じる。
O→H+1/2O …(化3)
イオン交換膜50は、イオン伝導率が比較的高い膜の一例として、主鎖にポリスチレン系またはテトラフェニル系の組成を含み、側鎖にイミダゾリウム基または4級アンモニウム基を含んでよい。一方、これに代えて、イオン交換膜50は、耐酸化性が比較的高い膜の一例として、ポリスルフォン系またはブロモブチルスチレン系の組成を含んでもよい。
(セラミックス粒子含有層)
セラミックス粒子含有層51は、イオン交換膜50の両面(第1交換膜面50aおよび第2交換膜面50b)に設けられた層である。セラミックス粒子含有層51は、水酸化物イオンが通過可能である。図3は、セラミックス粒子含有層51の断面を模式的に示す図である。図3に示すように、セラミックス粒子含有層51(後述の第1層52および第2層53)は、セラミックス粒子Csと、非セラミックス粒子Adとを含む。本実施形態では、セラミックス粒子含有層51は、これらセラミックス粒子Csおよび非セラミックス粒子Adにより構成されている。セラミックス粒子含有層51中のセラミックス粒子Csおよび非セラミックス粒子Adは、所定の比(質量比や体積比)で存在している。また、セラミックス粒子含有層51は、所定の厚さ(図3中に示すT)で形成されている。本実施形態では、セラミックス粒子含有層51の厚さは、例えば、3μm以上、10μm以下である。なお、セラミックス粒子含有層51中には、電解液が通過可能な空隙Gaが存在している。
セラミックス粒子Csは、絶縁性を有している。セラミックス粒子Csは、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、シリカ(SiO)、酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)、酸化イットリウム(Y)、窒化ケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)などのうち1つ以上を含む。本実施形態では、セラミックス粒子Csの粒径は、1μm以上、10μm以下である。なお、電解液に水酸化カリウム水溶液が採用された場合、セラミックス粒子Csは、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化ケイ素、炭化ケイ素などのうち、1つ以上を含むことが望ましい。
非セラミックス粒子Adは、例えば、ポリマー結着剤、イオノマーなどのうち、1つ以上を含む。本実施形態では、非セラミックス粒子Adは、ポリマー結着剤およびイオノマーの両方を含む。ポリマー結着剤は、上記セラミックス粒子Csに対するバインダーとして機能する。すなわち、ポリマー結着剤は、セラミックス粒子Csを互いに結着させる。本実施形態におけるポリマー結着剤には、例えば、フッ素系バインダーを採用することができる。フッ素系バインダ―には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF:Poly Vinylidene Difluoride)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA:Tetrafluoroethylene/perfluoroalkyl vinyl ether copolymer)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP:Tetrafluoroethylene hexafluoropropylene copolymer)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE:Ethylene Tetrafluoro Ethylene copolymer)などが採用される。なお、ポリマー結着剤は、セラミックス粒子を結着させる作用を有するものであれば良く、ポリマー結着剤には、非フッ素系バインダーも採用することが出来る。
イオノマー(ionomer、アイオノマー)は、セラミックス粒子含有層51全体の電気抵抗を低減させるためのイオン交換樹脂成分である。イオノマーには、例えば、Diaza (bicyclo-octane) polyethersulfone、または、poly[(p-terphenyl-4,4'-diyl)(N,N-dimethyl-piperidinium-bicarbonate-4,4-diyl)-co-(p-terphenyl-4,4'-diyl)(2,2,2-trifluoro-1-phenylethylidene-diyl)]、または、poly[(p-terphenyl-4,4'-diyl)(N,N-dimethyl-piperidinium-bicarbonate-4,4-diyl)]など、芳香族系高分子骨格に4級アンモニウム基が導入されたカチオン性高分子が採用される。また,イオノマーには、フッ素系高分子骨格にスルホン酸基やカルボン酸基などのアニオン性官能基が導入されたアニオン性高分子を採用することも可能である。また、本実施形態では、イオノマーは、イオン交換膜50に含まれる第1高分子よりも分子量が小さく、かつ第1高分子と分子骨格が同一である第2高分子を含む。第2高分子は、分子量が所定の第2量である。第2量は、上記第1量よりも小さい。なお、第2高分子の分子量と第1高分子の分子量との関係は、上記に限定されることはなく、第2高分子の分子量が第2高分子と同じ、または第2高分子の分子量が第1高分子の分子量よりも大きくてもよい。本実施形態では、セラミックス粒子含有層51の全体は、絶縁性を有している。
図2に戻り、本実施形態では、セラミックス粒子含有層51は、陰極室Saに配置されて、イオン交換膜50の第1交換膜面50aに接している第1層52と、陽極室Sbに配置されて、イオン交換膜50の第2交換膜面50bに接している第2層53とを有している。すなわち、第1層52および第2層53は、イオン交換膜50を両側から挟み込んでいる。本明細書中では、イオン交換膜50に対して第1層52が設けられている側(図2中の左側)を「一方側」と称し、一方側とは反対(図2中の右側)を「他方側」と称する。したがって、第1層52は、イオン交換膜50よりも一方側に配置されており、第2層53は、イオン交換膜50よりも他方側に配置されている。後述するが、第1層52および第2層53は、いずれもイオン交換膜50にコーティングされることで形成されたコーティング層である。第1層52および第2層53は、例えば矩形のシート状である。本実施形態では、第1層52および第2層53の外形サイズは、イオン交換膜50の外形サイズと同じであるか、又は小さい。ただし、第1層52および第2層53の外形サイズは、後述の面圧(積層方向の押し圧力)がかかる陰極給電体55及び陽極給電体57の外形サイズよりも大きい。
(陰極触媒層)
陰極触媒層54は、上述した陰極室Saでの化学反応を促進する層(電極触媒層)である。陰極触媒層54は、例えば、矩形のシート状である。本実施形態では、陰極触媒層54の外形サイズは、例えば、第1層52と同じ大きさに形成されている。陰極触媒層54は、陰極室Saに配置されて、第1層52の全域にイオン交換膜50とは反対側から設けられている。したがって、陰極触媒層54は、イオン交換膜50よりも一方側に配置されている。陰極触媒層54は、第1層52の全域に接している第1陰極触媒面54aと、当該第1陰極触媒面54aとは反対側を向く第2陰極触媒面54bとを有している。すなわち、第1層52は、陰極触媒層54の第1陰極触媒面54aに接している。第1陰極触媒面54aは、イオン交換膜50の第1交換膜面50aおよび第2交換膜面50bよりも粗く形成されている。第1陰極触媒面54aは、「第2面」の一例である。第2陰極触媒面54bの全域には、後述の陰極給電体55が接続されている。陰極触媒層54は、第1セパレータ41および陰極給電体55を介して電源部30からマイナス電圧が印加され、電気化学セル11の陰極47の一部として機能する。
陰極触媒層54の材質としては、上述した陰極室Saでの化学反応を促進する材質であればよく、種々の材質が利用可能である。例えば、陰極触媒層54は、ニッケル、ニッケル合金、セリウム酸化物、ランタン酸化物、または白金のうち1つ以上を含む。なお、本明細書中の「〇〇酸化物」は、〇〇および酸素以外の別材料を含み得る。なお、陰極触媒層54は、上述した材料に加えて、例えばカーボンなどの別材料を含んでもよい。
(陰極給電体)
陰極給電体55は、第1セパレータ41に印加された電圧を陰極触媒層54に伝える電気接続部である。陰極給電体55は、陰極室Saに配置されている。陰極給電体55は、第1セパレータ41の第1内面41aと陰極触媒層54との間に位置し、第1セパレータ41の第1内面41aおよび陰極触媒層54の双方に接している。すなわち、陰極触媒層54は、陰極給電体55におけるイオン交換膜50側を向く面に形成されている。以下、説明の便宜上、陰極給電体55における陰極触媒層54が形成される面を「陰極面55a」と称する。陰極面55aと、陰極触媒層54の第2陰極触媒面54bとは、接している。
陰極給電体55は、内部を電解液とガスが通過可能な構造を有している。陰極給電体55は、例えば、金属製のメッシュ構造体、焼結体、ファイバー、または導電性カーボン繊維のメッシュ構造体、不織布などにより形成される。本実施形態では、陰極給電体55の外形サイズは、陰極触媒層54の外形サイズよりも小さい。本実施形態では、陰極触媒層54と陰極給電体55とにより、電気化学セル11の陰極47が形成されている。
(陽極触媒層)
陽極触媒層56は、上述した陽極室Sbでの化学反応を促進する層(電極触媒層)である。陽極触媒層56は、例えば、矩形のシート状である。本実施形態では、陽極触媒層56の外形サイズは、例えば、第2層53と同じ大きさに形成されている。陽極触媒層56は、陽極室Sbに配置され、第2層53の全域にイオン交換膜50とは反対側から設けられている。したがって、陽極触媒層56は、イオン交換膜50よりも他方側に配置されている。陽極触媒層56は、第2層53の全域に接している第1陽極触媒面56aと、当該第1陽極触媒面56aとは反対側を向く第2陽極触媒面56bとを有している。すなわち、第2層53は、陽極触媒層56の第1陽極触媒面56aに接している。第1陽極触媒面56aは、イオン交換膜50の第1交換膜面50aおよび第2交換膜面50bよりも粗く形成されている。第1陽極触媒面56aは、「第2面」の一例である。第2陽極触媒面56bの全域には、後述の陽極給電体57が接続されている。陽極触媒層56は、第2セパレータ42および陽極給電体57を介して電源部30からプラス電圧が印加され、電気化学セル11の陽極48の一部として機能する。本実施形態では、陽極触媒層56は、陰極触媒層54と同じ厚さに形成されている。
陽極触媒層56の材質としては、上述した陽極室Sbでの化学反応を促進する材質であればよく、種々の材質が利用可能である。例えば、陽極触媒層56は、ニッケル、ニッケル合金、ニッケル酸化物、銅酸化物、イリジウム酸化物、ニオブ酸化物、鉛酸化物、またはビスマス酸化物のうち1つ以上を含む。上述したように、本明細書中の「XX酸化物」は、XXおよび酸素以外の別材料を含み得る。例えば、「ニッケル酸化物」は、ニッケルおよび酸素の他に、鉄(Fe)やコバルト(Co)などの別材料を含み得る。また、「銅酸化物」は、銅(Cu)および酸素の他に、コバルトなどの別材料を含み得る。「イリジウム酸化物」は、イリジウム(Ir)および酸素の他に、ルテニウム(Ru)などの別材料を含み得る。「鉛酸化物」は、鉛(Pb)および酸素の他に、ルテニウムなどの別材料を含み得る。「ビスマス酸化物」は、ビスマス(Bi)および酸素の他に、ルテニウムなどの別材料を含み得る。なお、陽極触媒層56は、上述した材料に加えて、例えばカーボンなどの別材料を含んでもよい。
したがって、上述したセラミックス粒子含有層51(第1層52および第2層53)は、イオン交換膜50と陰極触媒層54との間、およびイオン交換膜50と陽極触媒層56との間に、陰極触媒層54および陽極触媒層56と別体として設けられて、これらイオン交換膜50、陰極触媒層54、および陽極触媒層56と共に層構造(5層)を成している。すなわち、第1層52と陰極触媒層54との間、および第2層53と陽極触媒層56との間には、境界面が存在している。同様に、第1層52とイオン交換膜50との間、および第2層53とイオン交換膜50との間には、境界面が存在している。
(陽極給電体)
陽極給電体57は、第2セパレータ42に印加された電圧を陽極触媒層56に伝える電気接続部である。陽極給電体57は、陽極室Sbに配置されている。陽極給電体57は、第2セパレータ42の第2内面42aと陽極触媒層56との間に位置し、第2セパレータ42の第2内面42aおよび陽極触媒層56の双方に接している。すなわち、陽極触媒層56は、陽極給電体57におけるイオン交換膜50側を向く面に形成されている。以下、説明の便宜上、陽極給電体57における陽極触媒層56が形成される面を「陽極面57a」と称する。陽極面57aと、陽極触媒層56の第2陽極触媒面56bとは、接している。
陽極給電体57は、内部を電解液とガスが通過可能な構造を有している。陽極給電体57は、例えば、金属製のメッシュ構造体、焼結体、ファイバー、または導電性カーボン繊維のメッシュ構造体、不織布などにより形成される。本実施形態では、陽極給電体57の外形サイズは、陽極触媒層56の外形サイズよりも小さい。本実施形態では、陽極触媒層56と陽極給電体57とにより、電気化学セル11の陽極48が形成されている。
図4は、電気化学セル11を模式的に示す分解斜視図である。電気化学セル11は、上述した構成に加えて、例えば、第1集電体61、第2集電体62、第1絶縁体63、第2絶縁体64、第1絶縁材65、第2絶縁材66、第1エンドフランジ67、および第2エンドフランジ68を更に含む。なお図4中では、後述する支持部70、封止部80、および押圧機構90の図示は省略している。
(第1集電体)
第1集電体61は、電源部30から印加されるマイナス電圧を第1セパレータ41に伝える電気接続部である。第1集電体61は、金属製の板部材(例えば銅板)である。第1集電体61は、例えば、電気化学セル11の収容空間Sとは反対側から第1セパレータ41に接し、第1セパレータ41に電気的に接続される。第1集電体61には、電気化学セル11での電気分解に必要なマイナス電圧が電源部30から印加される。なお、第1集電体61は、セルスタック10中で互いに隣り合う2つの電気化学セル11によって共有されてもよい。
(第2集電体)
第2集電体62は、電源部30から印加されるプラス電圧を第2セパレータ42に伝える電気接続部である。第2集電体62は、金属製の板部材(例えば銅板)である。第2集電体62は、例えば、電気化学セル11の収容空間Sとは反対側から第2セパレータ42に接し、第2セパレータ42に電気的に接続される。第2集電体62には、電気化学セル11での電気分解に必要なプラス電圧が電源部30から印加される。なお、第2集電体62は、セルスタック10中で互いに隣り合う2つの電気化学セル11によって共有されてもよい。
(第1絶縁体)
第1絶縁体63は、第1セパレータ41の外周部と第2セパレータ42の外周部との間を絶縁する部材である。第1絶縁体63は、第1層52の外形、陰極触媒層54の外形、および陰極給電体55の外形よりもひと回り大きな枠状のシート部材である。第1絶縁体63は、第1セパレータ41の第1内面41aに取り付けられ、第1内面41aの端部を覆う(図5および図6参照)。第1絶縁体63の材質は、絶縁材料であれば特に限定されず、例えばPTFEなどのシート状樹脂である。
(第2絶縁体)
第2絶縁体64は、第1絶縁体63と同様に、第1セパレータ41の外周部と第2セパレータ42の外周部との間を絶縁する部材である。第2絶縁体64は、第2層53の外形、陽極触媒層56の外形、および陽極給電体57の外形よりもひと回り大きな枠状のシート部材である。第2絶縁体64は、第2セパレータ42の第2内面42aに取り付けられ、第2内面42aの端部を覆う(図5および図6参照)。第2絶縁体64の材質は、絶縁材料であれば特に限定されず、例えばPTFEなどのシート状樹脂である。また、第1絶縁体63と第2絶縁体64は、一体化された絶縁体であってもよい。
(第1絶縁材)
第1絶縁材65は、第1集電体61と第1エンドフランジ67との間に位置する。第1絶縁材65の外形サイズは、例えば、第1集電体61の外形サイズと同じ、または第1集電体61の外形サイズよりも大きい。
(第2絶縁材)
第2絶縁材66は、第2集電体62と第2エンドフランジ68との間に位置する。第2絶縁材66の外形サイズは、例えば、第2集電体62の外形サイズと同じ、または第2集電体62の外形サイズよりも大きい。
(第1エンドフランジ)
第1エンドフランジ67は、電気化学セル11の収容空間Sに対して、第1絶縁材65とは反対側に位置する。第1エンドフランジ67は、例えば、金属製の板部材(例えばステンレス板)などにより形成されている。第1エンドフランジ67の外形サイズは、例えば、第1絶縁材65の外形サイズよりも大きい。
(第2エンドフランジ)
第2エンドフランジ68は、電気化学セル11の収容空間Sに対して、第2絶縁材66とは反対側に位置する。第2エンドフランジ68は、例えば、金属製の板部材(例えばステンレス板)などにより形成されている。第2エンドフランジ68の外形サイズは、例えば、第2絶縁材66の外形サイズよりも大きい。
なお、電気化学セル11は、上述した構成に限定されない。例えば、セルスタック10が、複数の電気化学セル11が並べて配置されることで構成される場合、複数の電気化学セル11のなかで隣り合う2つの電気化学セル11は、それぞれバイポーラプレートである第1セパレータ41または第2セパレータ42を共有してもよい。この場合、隣り合う2つの電気化学セル11の間には、集電体(第1集電体61または第2集電体62)、絶縁体(第1絶縁体63または第2絶縁体64)、絶縁材(第1絶縁材65または第2絶縁材66)、エンドフランジ(第1エンドフランジ67または第2エンドフランジ68)は存在しなくてもよい。
(電気化学セルの外周部の構造)
図5は、電気化学セル11を示す断面図である。本実施形態では、イオン交換膜50の外形サイズは、セラミックス粒子含有層51(第1層52および第2層53)の外形サイズ、陰極触媒層54の外形サイズ、および陰極給電体55の外形サイズの各々よりも大きい。言い換えると、イオン交換膜50の面積は、セラミックス粒子含有層51の面積、陰極触媒層54の面積、および陰極給電体55の面積の各々よりも大きい。イオン交換膜50は、膜電極接合体43の厚さ方向(Z方向)とは直交する方向(例えばX方向またはY方向)で、陰極触媒層54および陰極給電体55よりも外側(外周側)に突出している。本明細書中の「外側」または「外周側」とは、膜電極接合体43の厚さ方向(Z方向)とは直交する方向(例えばX方向またはY方向)で、膜電極接合体43の中央部Cから離れる側を意味する。
図5に示すように、電気化学セル11は、上述した構成に加えて、例えば、支持部70、および封止部80を更に含む。支持部70は、電気化学セル11の内部(具体的には第1セパレータ41および第2セパレータ42の間)で、膜電極接合体43を支持する部材である。封止部80は、第1セパレータ41と第2セパレータ42との間の収容空間Sを外周側から閉じる部材である。以下、これら支持部70および封止部80について説明する。
(支持部)
支持部70は、第1セパレータ41と第2セパレータ42との間に配置されている。支持部70は、イオン交換膜50の外縁部50eよりも内側(内周側)に位置し、イオン交換膜50を支持する。本明細書中の「外縁部50e」とは、膜電極接合体43の厚さ方向(Z方向)とは直交する方向(例えばX方向またはY方向)で、膜電極接合体43の中央部Cから離れた縁部を意味する。また、本明細書中の「内側」または「内周側」とは、膜電極接合体43の中央部Cから見て内側(中央部Cに近い側)を意味する。本実施形態では、支持部70は、例えば、第1支持部71と、第2支持部72とを含む。第1支持部71は、陰極47側の支持部である。第1支持部71は、第1セパレータ41の第1内面41aと陰極触媒層54の第2陰極触媒面54bとの間に配置されている。第1支持部71は、イオン交換膜50の外縁部50eよりも内側(内周側)に位置する。第1支持部71は、陰極給電体55よりも外側(外周側)の位置で第1内面41a(または第1絶縁体63)と第2陰極触媒面54bとの間に挟まれて、第1内面41aに対してイオン交換膜50を支持する。第1支持部71は、イオン交換膜50の外縁部50eに沿う環状(例えば枠状)であって、イオン交換膜50の外縁部50eよりもひと回り小さな環状に形成されている。第2支持部72は、陽極48側の支持部である。第2支持部72は、第2セパレータ42の第2内面42aと陽極触媒層56の第2陽極触媒面56bとの間に配置されている。第2支持部72は、イオン交換膜50の外縁部50eよりも内側(内周側)に位置する。第2支持部72は、陽極給電体57よりも外側(外周側)の位置で第2内面42aと第2陽極触媒面56bとの間に挟まれて、第2内面42aに対してイオン交換膜50を支持する。第2支持部72は、イオン交換膜50の外縁部50eに沿う環状(例えば枠状)であって、イオン交換膜50の外縁部50eよりもひと回り小さな環状に形成されている。
(封止部)
封止部80は、第1セパレータ41と第2セパレータ42との間に配置されている。封止部80は、イオン交換膜50の外縁部50eよりも外側(外周側)に位置し、電気化学セル11の収容空間Sを封止する。本実施形態では、封止部80は、第1封止部81と、第2封止部82とを含む。ただし、第1封止部81と第2封止部82とは、一体に形成されてもよい。すなわち、第1封止部81と第2封止部82とは、1つの部材であってもよい。また、封止部80は、上述した第1絶縁体63および第2絶縁体64のうち少なくとも一方と一体に形成されてもよい。第1封止部81は、陰極47側の封止部である。第1封止部81は、イオン交換膜50の外縁部50eよりも外側(外周側)に位置する。第1封止部81は、第1セパレータ41の第1内面41aと第2封止部82との間に挟まれて、収容空間Sの外周側の一部を封止する。本実施形態では、第1封止部81は、第1内面41aに取り付けられた第1絶縁体63と第2封止部82との間に挟まれている。第1封止部81は、イオン交換膜50の外縁部50eに沿う環状(例えば枠状)であって、イオン交換膜50の外縁部50eよりもひと回り大きな環状に形成される。第2封止部82は、陽極48側の封止部である。第2封止部82は、イオン交換膜50の外縁部50eよりも外側に位置する。第2封止部82は、第2セパレータ42の第2内面42aと第1封止部81との間に挟まれて、収容空間Sの外周側の一部を封止する。本実施形態では、第2封止部82は、第2内面42aに取り付けられた第2絶縁体64と第1封止部81との間に挟まれている。第2封止部82は、イオン交換膜50の外縁部50eに沿う環状(例えば枠状)であって、イオン交換膜50の外縁部50eよりもひと回り大きな環状に形成される。
電気化学セル11は、上述した構成に加えて、例えば、押圧機構90を更に含む。図6は、押圧機構90を説明するための図である。図6中では、図5中で図示された構成に加えて、第1集電体61、第2集電体62、第1絶縁材65、第2絶縁材66、第1エンドフランジ67、第2エンドフランジ68、および押圧機構90が更に図示されている。
(押圧機構)
押圧機構90は、例えば、第1部品91と、第2部品92とを有している。本実施形態では、例えば、第1部品91が頭部を有さないボルト(スタッドボルトなど)であり、第2部品92が第1部品91に螺合可能なナットである。第1部品91および第2部品92は、金属などの材料により形成されている。
ここで、図6に示すように、本実施形態では、第1エンドフランジ67、第1絶縁材65、第2絶縁材66、および第2エンドフランジ68のそれぞれには、互いに積層される方向(Z方向、以下「積層方向」と称する)に貫通した孔が形成されており、それぞれに形成された孔が積層方向(図6中の左右方向)で互いに重なることで、積層方向に延びる挿通孔11hが形成されている。本実施形態では、複数(例えば3つ以上)の挿通孔11hが、第1絶縁体63、第2絶縁体64、支持部70(第1支持部71および第2支持部72)、および封止部80(第1封止部81および第2封止部82)の枠状に沿うように互いに間隔をあけて配置されている。なお、図6中では、図示の便宜上、2つの挿通孔11hのみを示している。すなわち、電気化学セル11は、複数の押圧機構90を含む。
第1部品91は、上述した各々の挿通孔11hに挿通されている。本実施形態では、第2部品92は、各々の挿通孔11hに挿通された各々の第1部品91に2つずつ螺合している。第1部品91に螺合した2つの第2部品92のうち、一方の第2部品92は、第1エンドフランジ67に対して第1絶縁材65とは反対側から当接している。一方、第1部品91に螺合した2つの第2部品92のうち、他方の第2部品92は、第2エンドフランジ68に対して第2絶縁材66とは反対側から当接している。すなわち、各々の第1部品91に螺合した2つの第2部品92は、第1エンドフランジ67および第2エンドフランジ68を介してこれら第1エンドフランジ67および第2エンドフランジ68の間に配置された電気化学セル11の各要素に対して積層方向の面圧を付与している。
したがって、複数の押圧機構90は、セラミックス粒子含有層51を間に挟む陰極触媒層54および陽極触媒層56と、イオン交換膜50との間に所定の面圧(図6中に示す矢印Ps)を作用させている。当該所定の面圧の大きさは、例えば、第2部品92の締付けトルクにより調整されている。なお、本実施形態では、第1部品91に螺合した2つの第2部品92の積層方向における押圧力は、いずれの押圧機構90でも等しく調整されている。
(膜電極接合体の製造方法)
次に、膜電極接合体43の製造方法について説明する。
図7は、本実施形態における膜電極接合体43の製造方法を示す断面図である。
まず、図7中の(a)に示すように、イオン交換膜50の第1交換膜面50aに、セラミックス粒子含有層51の第1層52が設けられる。第1層52は、例えば、イオン交換膜50の第1交換膜面50aに第1層52を形成するための材料が塗布(コーティング)されて、塗布された第1層52を形成するための材料とイオン交換膜50とが所定の温度および所定の圧力の下でプレスされることで形成される。ここでいう「第1層52を形成するための材料」は、上述したセラミックス粒子Csと、非セラミックス粒子Ad(ポリマー結着剤およびイオノマー)と、所定の溶剤とが混合されて形成されたスラリーである。所定の温度および所定の圧力の下でプレスされることで、第1交換膜面50a上に塗布されたスラリーから溶剤が揮発する(スラリーが乾燥する)。これによって、第1交換膜面50a上にコーティング層としての第1層52が形成される。すなわち、イオン交換膜50の第1交換膜面50aがセラミックス粒子含有層51の第1層52に接した状態となる。同様に、イオン交換膜50の第2交換膜面50bに、第2層53が設けられる。第2層53は、例えば、イオン交換膜50の第2交換膜面50bに第2層53を形成するための材料が塗布(コーティング)されて、塗布された第2層53を形成するための材料とイオン交換膜50とが所定の温度および所定の圧力の下でプレスされることで形成される。ここでいう「第2層53を形成するための材料」は、第1層52を形成するための材料と同じスラリーである。所定の温度および所定の圧力の下でプレスされることで、第2交換膜面50b上に塗布されたスラリーから溶剤が揮発する(スラリーが乾燥する)。これによって、第2交換膜面50b上にコーティング層としての第2層53が形成される。すなわち、イオン交換膜50の第2交換膜面50bがセラミックス粒子含有層51の第2層53に接した状態となる。第1層52を形成するための材料および第2層53を形成するための材料の塗布は、例えば、塗工法、CVD法、無電解メッキ法、触媒インクを用いる方法、またはスプレーにより塗布する方法などが適宜選択されてよい。なお、第1層52および第2層53をイオン交換膜50に設ける順番が限定されることはない。
続いて、図7中の(b)に示すように、セラミックス粒子含有層51の第1層52に、陰極触媒層54が設けられる。陰極触媒層54は、例えば、第1層52上に陰極触媒層54の材料が塗布(コーティング)されて、塗布された陰極触媒層54の材料と、イオン交換膜50およびセラミックス粒子含有層51とが所定の温度および所定の圧力の下でプレスされることで形成される。これによって、第1層52上に陰極触媒層54が形成される。すなわち、陰極触媒層54の第1陰極触媒面54aがセラミックス粒子含有層51の第1層52に接した状態となる。同様に、セラミックス粒子含有層51の第2層53に陽極触媒層56が設けられる。陽極触媒層56は、例えば、第2層53上に陽極触媒層56の材料が塗布(コーティング)されて、塗布された陽極触媒層56の材料とイオン交換膜50およびセラミックス粒子含有層51とが所定の温度および所定の圧力の下でプレスされることで形成される。これによって、第2層53上に陽極触媒層56が形成される。すなわち、陽極触媒層56の第1陽極触媒面56aがセラミックス粒子含有層51の第2層53に接した状態となる。陰極触媒層54の材料および陽極触媒層56の材料の塗布は、例えば、塗工法、CVD法、無電解メッキ法、触媒インクを用いる方法、またはスプレーにより塗布する方法などが適宜選択されてよい。なお、陰極触媒層54および陽極触媒層56をセラミックス粒子含有層51に設ける順番が限定されることはない。また、イオン交換膜50に第1層52および第2層53を設けた後に陰極触媒層54および陽極触媒層56が設けられなくてもよく、例えば、イオン交換膜50に第1層52のみを設けた後に陰極触媒層54を第1層52に設けてもよいし、イオン交換膜50に第2層53のみを設けた後に陽極触媒層56を第2層53に設けてもよい。
続いて、図7中の(c)に示すように、陰極給電体55を陰極触媒層54の第2陰極触媒面54bに重ねる。そして、陰極給電体55を陰極触媒層54に重ねた状態で所定の温度および所定の圧力でプレスされることで、陰極給電体55と陰極触媒層54とが互いに接続される。すなわち、陰極給電体55の陰極面55aと、陰極触媒層54の第2陰極触媒面54bとが接する。これによって、陰極触媒層54に陰極給電体55が設けられる。同様に、陽極給電体57を陽極触媒層56の第2陽極触媒面56bに重ねる。そして、陽極給電体57を陽極触媒層56に重ねた状態で所定の温度および所定の圧力でプレスされることで、陽極給電体57と陽極触媒層56とが互いに接続される。すなわち、陽極給電体57の陽極面57aと、陽極触媒層56の第2陽極触媒面56bとが接する。これによって、陽極触媒層56に陽極給電体57が設けられる。なお、陰極給電体55と陰極触媒層54との接続、および陽極給電体57と陽極触媒層56との接続の順番が限定されることはない。
以上により、膜電極接合体43が完成する。セラミックス粒子含有層51は、イオン交換膜50と陰極触媒層54との間、およびイオン交換膜50と陽極触媒層56との間に、陰極触媒層54および陽極触媒層56と別体として設けられて、陰極47(陰極触媒層54および陰極給電体55)および陽極48(陽極触媒層56および陽極給電体57)と共に層構造を成す。
(作用・効果)
比較例として、イオン交換膜50の両面(第1交換膜面50aおよび第2交換膜面50b)に、陰極触媒層54および陽極触媒層56が設けられた電気化学セル11の構造について考える。ここで、陰極触媒層54および陽極触媒層56が塗工などによって形成された場合、イオン交換膜50に接する陰極触媒層54の表面(第1陰極触媒面54a)および陽極触媒層56の表面(第1陽極触媒面56a)は粗く形成されることがある。そのため、陰極触媒層54および陽極触媒層56がイオン交換膜50に密着している部分と密着していない部分とがまばらに存在することがある。当該密着している部分における接触抵抗の集中を抑制するために、イオン交換膜50に電極触媒層側から面圧が付与される場合がある。しかしながら、付与される面圧の大きさによっては、陰極触媒層54および陽極触媒層56の表面の粗さ(凹凸)に起因して、イオン交換膜50に損傷などの不具合が発生する場合がある。
一方で、本実施形態では、電気化学セル11は、イオン交換膜50と陰極触媒層54との間、およびイオン交換膜50と陽極触媒層56との間に配置されたセラミックス粒子含有層51を備えている。このような構成によれば、陰極触媒層54の表面(第1陰極触媒面54a)および陽極触媒層56の表面(第1陽極触媒面56a)に凹凸がまばらに生じていた場合であっても、面圧がかけられた際に陰極触媒層54および陽極触媒層56は、セラミックス粒子含有層51を押圧する。すなわち、陰極触媒層54および陽極触媒層56の凹凸がイオン交換膜50に直接的に影響することがない。したがって、大きな面圧を付与した場合であっても、イオン交換膜50に損傷などの不具合が発生することを回避することができる。つまり、電気化学セル11の耐久性の向上を図ることができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について図8を参照して説明する。図8は、第2実施形態の膜電極接合体43の製造方法を示す断面図である。第2実施形態では、膜電極接合体43の製造方法が、第1実施形態で説明した膜電極接合体43の製造方法と異なる。
まず、図8中の(a)に示すように、陰極給電体55の陰極面55aに、陰極触媒層54が設けられる。陰極触媒層54は、例えば、陰極給電体55の陰極面55aに陰極触媒層54の材料が塗布(コーティング)され、塗布された陰極触媒層54の材料と陰極給電体55とが所定の温度および所定の圧力の下でプレスされることで形成される。同様に、陽極給電体57の陽極面57aに陽極触媒層56が設けられる。陽極触媒層56は、例えば、陽極給電体57の陽極面57aに陽極触媒層56の材料が塗布(コーティング)され、塗布された陽極触媒層56の材料と陽極給電体57とが所定の温度および所定の圧力の下でプレスされることで形成される。陰極触媒層54の材料および陽極触媒層56の材料の塗布は、例えば、塗工法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、無電解メッキ法、触媒インクを用いる方法、またはスプレーにより触媒を塗布する方法などが適宜選択されてよい。なお、陰極触媒層54および陽極触媒層56を陰極給電体55および陽極触媒層56に設ける順番が限定されることはない。
続いて、図8中の(b)に示すように、陰極触媒層54にセラミックス粒子含有層51の第1層52が設けられる。第1層52は、例えば、陰極触媒層54に第1層52を形成するための材料が塗布(コーティング)されて、塗布された第1層52を形成するための材料と陰極触媒層54および陰極給電体55とが所定の温度および所定の圧力の下でプレスされることで形成される。これによって、陰極触媒層54に第1層52が形成される。同様に、陽極触媒層56にセラミックス粒子含有層51の第2層53が設けられる。第2層53は、例えば、陽極触媒層56に第2層53を形成するための材料が塗布(コーティング)されて、塗布された第2層53の材料と陽極触媒層56および陽極給電体57とが所定の温度および所定の圧力の下でプレスされることで形成される。これによって、陽極触媒層56に第2層53が形成される。第1層52を形成するための材料および第2層53を形成するための材料の塗布は、例えば、塗工法、CVD法、無電解メッキ法、触媒インクを用いる方法、またはスプレーにより触媒を塗布する方法などが適宜選択されてよい。なお、第1層52を陰極触媒層54に設けること、および第2層53を陽極触媒層56に設けることの順番が限定されることはない。
続いて、図8中の(c)に示すように、陰極触媒層54に形成された第1層52をイオン交換膜50の第1交換膜面50aに重ねた状態で、所定の温度および所定の圧力でプレスされることで、第1層52を介して陰極47(陰極触媒層54および陰極給電体55)とイオン交換膜50とが互いに接続される。同様に、陽極触媒層56に形成された第2層53をイオン交換膜50の第2交換膜面50bに重ねた状態で、所定の温度および所定の圧力でプレスされることで、第2層53を介して陽極48(陽極触媒層56および陽極給電体57)とイオン交換膜50とが互いに接続される。なお、第1層52を介した陰極47とイオン交換膜50との接続、および第2層53を介した陽極48とイオン交換膜50との接続の順番が限定されることはない。
本実施形態で説明した製造方法によっても、第1実施形態で説明した膜電極接合体43を完成させることができる。本実施形態で説明した方法によれば、イオン交換膜50の表面(第1交換膜面50aおよび第2交換膜面50b)に、セラミックス粒子含有層51(第1層52および第2層53)を形成するための材料(スラリー)を塗布する必要がない。このため、例えば、イオン交換膜50がスラリーに含まれる溶剤などを吸収してたわむことがない。したがって、膜電極接合体43(電気化学セル11)の製造性を高めることができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について図9を参照して説明する。図9は、第3実施形態の膜電極接合体43の製造方法を示す断面図である。第3実施形態では、膜電極接合体43の製造方法が、第1実施形態および第2実施形態で説明した膜電極接合体43の製造方法と異なる。
まず、図9中の(a)に示すように、イオン交換膜50の第1交換膜面50aに、セラミックス粒子含有層51の第1層52が設けられる。同様に、イオン交換膜50の第2交換膜面50bに、第2層53が設けられる。イオン交換膜50の第1交換膜面50aにセラミックス粒子含有層51の第1層52を設ける方法、およびイオン交換膜50の第2交換膜面50bにセラミックス粒子含有層51の第2層53を設ける方法は、第1実施形態で図7中の(a)を参照しながら説明した方法を採用してよい。
続いて、図9中の(b)に示すように、陰極給電体55の陰極面55aに陰極触媒層54が設けられる。同様に、陽極給電体57の陽極面57aに陽極触媒層56が設けられる。陰極給電体55の陰極面55aに陰極触媒層54を設ける方法、および陽極給電体57の陽極面57aに陽極触媒層56を設ける方法は、図8中の(a)を参照しながら第2実施形態で説明した方法を採用してよい。
なお、図9中の(a)が示す方法および図9中の(b)が示す方法が実行される順番が限定されることはない。
続いて、図9中の(c)に示すように、陰極給電体55に形成された陰極触媒層54を、イオン交換膜50の第1交換膜面50aに形成されたセラミックス粒子含有層51の第1層52に重ねた状態で所定の温度および所定の圧力でプレスされることで、第1層52を介して陰極47(陰極触媒層54および陰極給電体55)とイオン交換膜50とが互いに接続される。同様に、陽極給電体57に形成された陽極触媒層56を、イオン交換膜50の第2交換膜面50bに形成されたセラミックス粒子含有層51の第2層53に重ねた状態で所定の温度および所定の圧力でプレスされることで、第2層53を介して陽極48(陽極触媒層56および陽極給電体57)とイオン交換膜50とが互いに接続される。なお、第1層52を介した陰極47とイオン交換膜50との接続、および第2層53を介した陽極48とイオン交換膜50との接続の順番が限定されることはない。
本実施形態で説明した製造方法によっても、第1実施形態で説明した膜電極接合体43を完成させることができる。
図10は、上述した各実施形態に係る電気化学セル11中にセラミックス粒子含有層51が有る場合と、無い場合の、面圧と接触抵抗の関係の一例を対比的に示す図である。図10中で横軸に基づき示される「面圧」は、押圧機構90により、陰極触媒層54および陽極触媒層56とイオン交換膜50との間に作用する面圧の大きさを意味する。なお、当該面圧の大きさは、上述した締付けトルクの大きさにより測定されてもよいし、例えば感圧紙などが電気化学セル11中に配置されることで測定されてもよい。図10中で縦軸に基づき示される「接触抵抗」は、陰極触媒層54および陽極触媒層56に生じる接触抵抗の大きさを意味する。図10は、発明者らの解析により得られた結果である。図10中の実線の曲線に示されるように、セラミックス粒子含有層51を間に挟む(セラミックス粒子含有層51有り)陰極触媒層54および陽極触媒層56と、イオン交換膜50との間に作用する面圧が増大するにしたがって、陰極触媒層54および陽極触媒層56の接触抵抗が低下している。また、図10中の点線の曲線に示されるように、セラミックス粒子含有層51を間に挟まない(セラミックス粒子含有層51無し)陰極触媒層54および陽極触媒層56と、イオン交換膜50との間に作用する面圧が増大するにしたがって、陰極触媒層54および陽極触媒層56の接触抵抗が低下している。しかしながら、「セラミックス粒子含有層51無し」の場合では、ある面圧(図10中に示すA)よりも大きい面圧がかけられた場合に、イオン交換膜50が損傷することによる短絡が発生して、接触抵抗が急激に低下していることが把握された。イオン交換膜50が損傷することによる短絡は、「イオン交換膜50に生じる不具合」の一例である。上記第1実施形態から第3実施形態で説明した押圧機構90が作用させる所定の面圧は、上記のある面圧(A)よりも大きい面圧の範囲(図10中に示すR)から採用される。言い換えれば、上記実施形態で説明した所定の面圧は、セラミックス粒子含有層51が存在しないことを除く同じ構成において、イオン交換膜50に不具合が生じる面圧よりも高い値に調整される。
図11は、上述した各実施形態に係る電気化学セル11中にセラミックス粒子含有層51が有る場合と、無い場合の、電流密度とセル電圧の関係を対比的に示す図である。図11中で横軸に基づき示される「電流密度」は、陰極触媒層54および陽極触媒層56における電流密度を意味する。図11中で縦軸に基づき示される「セル電圧」は、陰極触媒層54および陽極触媒層56に印加される電圧の大きさを意味する。すなわち、図11は、陰極触媒層54および陽極触媒層56に印加される電圧(V)と、印加された電圧に伴って陰極触媒層54および陽極触媒層56に流れる電流(I)の関係を示したI-V特性でもある。図11に示す電流密度とセル電圧との関係は、例えば押圧機構90が一定の面圧を作用させた時のものである。図11は、発明者らの解析により得られた結果である。図11中の実線の曲線および点線の曲線に示されるように、陰極触媒層54および陽極触媒層56における電流密度が増大するにしたがって、陰極触媒層54および陽極触媒層56に印加される電圧が増大している。しかしながら、セラミックス粒子含有層51を間に挟まない(セラミックス粒子含有層51無し)陰極触媒層54および陽極触媒層56に印加される電圧は、セラミックス粒子含有層51を間に挟む(セラミックス粒子含有層51有り)陰極触媒層54および陽極触媒層56に印加される電圧よりも高い。したがって、「セラミックス粒子含有層51無し」の場合では、「セラミックス粒子含有層51有り」の場合と比較して、陰極触媒層54および陽極触媒層56に生じる接触抵抗が大きいことが把握される。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。
本実施形態では、電気化学セル11におけるセラミックス粒子含有層51(第1層52および第2層53)の厚さは、上記第2面(陰極触媒層54の第1陰極触媒面54aおよび陽極触媒層56の第1陽極触媒面56a)の面粗度(表面粗さ)の最大高さよりも大きい。具体的には、第1層52の厚さ(図3中に示すT)は、第1陰極触媒面54aの面粗度の最大高さよりも大きい。第2層53の厚さ(図3中に示すT)は、第1陽極触媒面56aの面粗度の最大高さよりも大きい。ここでいう「面粗度」は、例えば、JIS B 0601:1994, JIS B 0031:1994などに規定されている表面粗さを意味している。当該面粗度の最大高さ(Rmax)は、例えば、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定し、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
(作用・効果)
発明者らは、セラミックス粒子含有層51の厚さが第2面の面粗度の最大高さよりも大きい場合、セラミックス粒子含有層51の厚さが第2面の面粗度の最大高さよりも小さい場合と比較して、押圧機構90により作用する面圧を増大させた時に、イオン交換膜50に生じる不具合が発生する蓋然性が低くなることを見出した。したがって、本実施形態の構成によれば、第1実施形態で説明した作用・効果をより高精度に実現することができる。つまり、押圧機構90により作用する面圧をより増大させて接触抵抗を低下させることができる結果、より良好な電気化学セル11のI-V特性を実現することができる。
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
例えば、セラミックス粒子含有層51は、イオン交換膜50よりも陰極触媒層54側にのみに配置されていてもよい。すなわち、イオン交換膜50と陽極触媒層56との間に第2層53が存在せず、第1層52のみがイオン交換膜50と陰極触媒層54との間に配置されてよい。この場合、陽極触媒層56は、例えば、イオン交換膜50の第2交換膜面50bに面圧着されてよい。また、セラミックス粒子含有層51は、イオン交換膜50よりも陽極触媒層56側にのみに配置されていてもよい。すなわち、イオン交換膜50と陰極触媒層54との間に第1層52が存在せず、第2層53のみがイオン交換膜50と陽極触媒層56との間に配置されてよい。まとめると、セラミックス粒子含有層51は、イオン交換膜50の片面(第1交換膜面50aまたは第2交換膜面50b)にのみ設けられてもよい。なおこの場合、陰極触媒層54は、例えば、イオン交換膜50の第1交換膜面50aに面圧着されてよい。
また、セラミックス粒子含有層51(第1層52および第2層53)は、陰極触媒層54および陽極触媒層56に接してなくてもよい。この場合、セラミックス粒子含有層51と、陰極触媒層54および陽極触媒層56との間には、例えば他の材料から成る層が介在していてもよい。また、セラミックス粒子含有層51(第1層52および第2層53)は、イオン交換膜50(第1交換膜面50aおよび第2交換膜面50b)に接してなくてもよい。この場合、セラミックス粒子含有層51およびイオン交換膜50の間には、例えば他の材料から成る層が介在していてもよい。
<付記>
各実施形態に記載の電気化学セル11および電解装置1は、例えば以下のように把握される。
(1)第1の態様に係る電気化学セル11は、イオン交換膜50と、前記イオン交換膜50よりも一方側に配置された陰極触媒層54と、前記イオン交換膜50よりも、前記一方側とは反対の他方側に配置された陽極触媒層56と、前記陰極触媒層54と前記イオン交換膜50との間とのうち少なくとも一方に配置されたセラミックス粒子含有層51と、を備えている。
これにより、陰極触媒層54および陽極触媒層56とイオン交換膜50との間に面圧が作用した場合に、陰極触媒層54および陽極触媒層56は、セラミックス粒子含有層51を押圧する。すなわち、陰極触媒層54および陽極触媒層56の凹凸がイオン交換膜50に直接的に影響しない。
(2)第2の態様に係る電気化学セル11は、(1)の電気化学セル11であって、前記電気化学セル11は、電解セルであってもよい。
これにより、上記作用が電解セルのなかで実現される。すなわち、電解セルの耐久性を向上させることができる。
(3)第3の態様に係る電気化学セル11は、(1)または(2)の電気化学セル11であって、前記セラミックス粒子含有層51は、前記陰極触媒層54または前記陽極触媒層56に接し、かつ前記イオン交換膜50に接してもよい。
これにより、陰極触媒層54または陽極触媒層56と、イオン交換膜50との間に面圧が作用した場合に、陰極触媒層54または陽極触媒層56は、セラミックス粒子含有層51を直接的に押圧する。すなわち、陰極触媒層54または陽極触媒層56に生じた凹凸が、セラミックス粒子含有層51に直接的に影響する。したがって、陰極触媒層54または陽極触媒層56からの直接的な押圧による影響を吸収するための専用の層などをセラミックス粒子含有層51以外に設ける必要がない。その結果、例えば、電気化学セル11全体の電気抵抗の増加を抑制することができ、電気化学セル11中での電解を効率的に実現することができる。
(4)第4の態様に係る電気化学セル11は、(1)から(3)のうちいずれか1つの電気化学セル11であって、前記セラミックス粒子含有層51は、絶縁性を有してもよい。
これにより、例えば、電気化学セル11の経年の使用に伴って、イオン交換膜50に穿孔などの不具合が生じた場合であっても、陰極触媒層54および陽極触媒層56の間に絶縁性を有するセラミックス粒子含有層51が介在するため、陰極触媒層54と陽極触媒層56との間で電気が流れてしまうことを抑制できる。
(5)第5の態様に係る電気化学セル11は、(3)の電気化学セル11であって、前記イオン交換膜50は、前記セラミックス粒子含有層51に接する第1面を有し、前記陰極触媒層54または前記陽極触媒層56は、前記セラミックス粒子含有層51に接する第2面を有し、前記第2面は、前記第1面と比べて粗くてもよい。
これにより、陰極触媒層54または陽極触媒層56の第2面の粗さがイオン交換膜50の第1面よりも粗い粗さであっても、面圧の作用に伴う影響をセラミックス粒子含有層51で吸収することができる。したがって、イオン交換膜50に損傷などの不具合が発生することをより回避できる。
(6)第6の態様に係る電気化学セル11は、(5)の電気化学セル11であって、前記セラミックス粒子含有層51の厚さは、前記第2面の面粗度の最大高さよりも大きくてもよい。
発明者らは、セラミックス粒子含有層51の厚さが第2面の面粗度の最大高さよりも大きい場合、セラミックス粒子含有層51の厚さが第2面の面粗度の最大高さよりも小さい場合と比較して、面圧を増大させた時にイオン交換膜50に不具合が発生する蓋然性が低くなることを見出した。つまり、上記作用をより具体的な設定で高精度に実現することができる。
(7)第7の態様に係る電気化学セル11は、(1)から(6)のうちいずれか1つの電気化学セル11であって、前記セラミックス粒子含有層51は、セラミックス粒子Csと、ポリマー結着剤とを含んでもよい。
これにより、ポリマー結着剤がセラミックス粒子Cs同士を結着させるため、セラミックス粒子含有層51の保持性を高めることができる。したがって、例えばポリマー結着剤を含まないセラミックス粒子含有層51が設けられている場合と比較して、電気化学セル11の経年の使用に伴ってセラミックス粒子含有層51からセラミックス粒子Csが脱落してしまうことなどを抑制できる。
(8)第8の態様に係る電気化学セル11は、(1)から(7)のうちいずれか1つの電気化学セル11であって、前記セラミックス粒子含有層51は、セラミックス粒子Csと、イオノマーとを含んでもよい。
これにより、例えばイオノマーを含まないセラミックス粒子含有層51が設けられている場合と比較して、陰極触媒層54から陽極触媒層56に向けてセラミックス粒子含有層51中をイオンが通りやすくなる。すなわち、セラミックス粒子含有層51の電気抵抗を低減させることができる。
(9)第9の態様に係る電気化学セル11は、(8)の電気化学セル11であって、前記イオン交換膜50は、第1高分子を含み、前記イオノマーは、前記第1高分子と同一、または、前記第1高分子と分子骨格が同一である第2高分子を含んでもよい。
これにより、セラミックス粒子含有層51がイオン交換膜50に接した場合に、例えば第2高分子を含まないセラミックス粒子含有層51が設けられている場合と比較して、イオン交換膜50との化学的な相溶性(親和性)が高く、セラミックス粒子含有層51およびイオン交換膜50の密着性が高くなる。
(10)第10の態様に係る電気化学セル11は、(1)から(9)のうちいずれか1つの電気化学セル11であって、前記セラミックス粒子含有層51は、セラミックス粒子Csを含むコーティング層であってもよい。
これにより、例えばセラミックス粒子含有層51(例えばセラミックス粒子Csを含むシート状の材料など)を別に準備して、張り合わせることにより形成する場合と比較して、製造性が良好となる。
(11)第11の態様に係る電気化学セル11は、(1)から(10)のうちいずれか1つの電気化学セル11であって、前記セラミックス粒子含有層51を間に挟む前記陰極触媒層54または前記陽極触媒層56と前記イオン交換膜50との間に所定の面圧を作用させる押圧機構90をさらに備え、前記所定の面圧は、前記セラミックス粒子含有層51が存在しないことを除く同じ構成において、前記イオン交換膜50に不具合が生じる面圧よりも高い値に調整されてもよい。
発明者らは、セラミックス粒子含有層51を間に挟む陰極触媒層54または陽極触媒層56とイオン交換膜50とを備える電気化学セル11と、セラミックス粒子含有層51が存在しないことを除く同じ構成を備える電気化学セルとを比較検討した。その結果、前者の電気化学セル11は、後者の電気化学セルと比較して、イオン交換膜50との間に作用する面圧が増大するにしたがって、イオン交換膜50に不具合が生じることなく陰極触媒層54または陽極触媒層56の接触抵抗が低下することを見出した。つまり、上記作用をより具体的な設定で高精度に実現することができる。
(12)第12の態様に係る電解装置1は、(1)から(11)のうちいずれか1つの電気化学セル11である電解セルと、前記電解セルに電解液を供給する電解液供給部20と、前記電解セルに電圧を印加する電源部30と、を備える。
1…電解装置 10…セルスタック 11…電気化学セル 11h…挿通孔 20…電解液供給部 20a…陰極側供給部 20b…陽極側供給部 21…水素気液分離装置 22…第1ポンプ 23…水素回収部 24…第1電解液供給部 26…酸素気液分離装置 27…第2ポンプ 28…酸素回収部 29…第2電解液供給部 30…電源部 40…電解槽 41…第1セパレータ 41a…第1内面 41b,42b…面 41e1…第1セパレータの第1セパレータ端部 41e2…第1セパレータの第2セパレータ端部 42…第2セパレータ 42a…第2内面 42e1…第2セパレータの第1セパレータ端部 42e2…第2セパレータの第2セパレータ端部 43…膜電極接合体 47…陰極 48…陽極 50…イオン交換膜 50a…第1交換膜面 50b…第2交換膜面 50e…外縁部 51…セラミックス粒子含有層 52…第1層 53…第2層 54…陰極触媒層 54a…第1陰極触媒面 54b…第2陰極触媒面 55…陰極給電体 55a…陰極面 56…陽極触媒層 56a…第1陽極触媒面 56b…第2陽極触媒面 57…陽極給電体 57a…陽極面 61…第1集電体 62…第2集電体 63…第1絶縁体 64…第2絶縁体 65…第1絶縁材 66…第2絶縁材 67…第1エンドフランジ 68…第2エンドフランジ 70…支持部 71…第1支持部 72…第2支持部 80…封止部 81…第1封止部 82…第2封止部 90…押圧機構 91…第1部品 92…第2部品 Ad…非セラミックス粒子 C…中央部 Cs…セラミックス粒子 FP1…第1流路 FP2…第2流路 L1,L2,L3,L4…配管ライン S…収容空間 Sa…陰極室 Sb…陽極室

Claims (5)

  1. イオン交換膜と、
    前記イオン交換膜よりも一方側に配置された陰極触媒層と、
    前記イオン交換膜よりも、前記一方側とは反対の他方側に配置された陽極触媒層と、
    前記陰極触媒層と前記イオン交換膜との間と、前記陽極触媒層と前記イオン交換膜との間とのうち少なくとも一方に配置されたセラミックス粒子含有層と、を備え、
    前記イオン交換膜は、前記セラミックス粒子含有層に接する第1面を有し、
    前記セラミックス粒子含有層は、セラミックス粒子と、ポリマー結着剤と、空隙を含み、
    前記陰極触媒層または前記陽極触媒層は、前記セラミックス粒子含有層に接する第2面を有し、
    前記第2面は、前記第1面と比べて粗く、
    前記セラミックス粒子含有層の厚さは、前記第2面の面粗度の最大高さよりも大きく、
    前記セラミックス粒子含有層を間に挟む前記陰極触媒層または前記陽極触媒層と前記イオン交換膜との間に所定の面圧を作用させる押圧機構をえ、
    前記所定の面圧を、前記セラミックス粒子含有層が存在しないことを除く同じ構成において、前記イオン交換膜に不具合が生じる面圧よりも高い値に調整した場合に、前記イオン交換膜が損傷することによる短絡が発生しない、
    電解セル。
  2. 前記セラミックス粒子含有層は、前記陰極触媒層または前記陽極触媒層に接し、かつ前記イオン交換膜に接する、
    請求項1に記載の水電解セル。
  3. 前記セラミックス粒子含有層は、絶縁性を有する、
    請求項に記載の電解セル。
  4. 前記セラミックス粒子含有層は、セラミックス粒子を含むコーティング層である、
    請求項に記載の電解セル。
  5. 請求項に記載の電解セルと、
    前記電解セルに電解液を供給する電解液供給部と、
    前記電解セルに電圧を印加する電源部と、
    を備えた電解装置。
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