JP7843484B2 - 静電吸着ツール及び対象物表面加工方法 - Google Patents

静電吸着ツール及び対象物表面加工方法

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Description

本発明は、対象物を吸着保持する静電吸着ツール及び静電吸着状態の対象物表面に加工を施す対象物表面加工方法に関する。
従来、クーロン力を利用する静電チャックとしては、セラミックス基台と、セラミックス基台の一方の主面に形成され、絶縁性基板を吸着する吸着面を有する絶縁層と、セラミックス基台と絶縁層との間に形成される一対の電極と、を備えるものが知られている。絶縁層は、セラミックス基台と同一のセラミックス焼結体であり、絶縁層の厚みは、0.001mm以上0.1mm以下であり、一対の電極間の距離は、0.3mm以上2.5mm以下である(例えば、特許文献1参照)。
特開2021-141141号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された先行技術にあっては、静電チャックに対して薄物対象物を吸着する吸着面が、絶縁層(セラミックス焼結体)になっている構成である。このため、ウェット(高湿度)環境において、短時間であれば吸着を維持することはできるが、長時間になると保持力の低下が進んでしまい、薄物対象物の吸着を維持することができない、という課題があった。
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、ウェット環境において薄物対象物の吸着を長時間にわたって維持し続けることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の静電吸着ツールは、電気絶縁層の内部に電極要素群を埋設させ、前記電極要素群への電圧印加により薄物対象物を静電吸着する静電吸着力発生部材を備える。前記静電吸着力発生部材は、少なくとも前記薄物対象物を吸着する吸着面に、撥水性材料による撥水層を有する。前記静電吸着力発生部材に有する前記電極要素群に対して接続/切り離し可能な吸着力制御部を設ける。前記吸着力制御部は、前記薄物対象物を吸着するときに前記静電吸着力発生部材へ接続し、前記薄物対象物を吸着した後、前記静電吸着力発生部材から切り離し、前記静電吸着力発生部材に蓄積された電荷により静電吸着力の発生を維持するコードレス方式とする。前記静電吸着ツールは、ウェット環境による工程を含む表面加工装置へ投入するとき、前記吸着力制御部を前記静電吸着力発生部材から切り離し、前記薄物対象物を吸着したままで独立に移送可能なユニット状態にする。発明1は、前記静電吸着力発生部材は、ベース板と、電極要素群を内部に埋設させた前記電気絶縁層と、を有する。前記撥水層は、前記電気絶縁層の対象物吸着側に設定した第1撥水絶縁層である。発明2は、前記静電吸着力発生部材は、ベース板と、前記電極要素群を内部に埋設させた前記電気絶縁層とを有する。前記撥水層は、前記電気絶縁層の全体と置き換えることにより設定した第2撥水絶縁層である。
上記課題解決手段を採用したため、ウェット環境においても撥水層により吸湿が抑えられ、長時間になっても保持力が維持され、薄物対象物の吸着を長時間にわたって維持し続けることができる。この結果、ウェット環境での工程において、薄物対象物を長時間吸着維持し続けることができるようになり、各ウェット工程での処理能力の改善が可能となった。発明1は、第1撥水絶縁層によってウェット環境において撥水機能を有する静電吸着ツールを、既存の静電吸着ツールをベースとして付加する構造により容易に製造することができる。発明2は、第2撥水絶縁層によってウェット環境において撥水機能を有する静電吸着ツールを、電気絶縁層を省略する簡単な構造により製造することができる。加えて、第2撥水絶縁層は電極要素群の埋設領域まで拡大して設定していることで、第1撥水絶縁層より高い吸湿抑制効果を得ることができる。
実施例1の静電吸着ツールA1を示す平面図である。 実施例1の静電吸着ツールA1を示す縦断面図である。 実施例1の静電吸着ツールA1の拡大構成と吸着力制御部を示す詳細図である。 静電チャックによる静電吸着力の発生原理を示す説明図である。 実施例1の薄物対象物保持ユニットUを用いた表面加工の一例であるスピンエッチング加工例を示す対象物表面加工方法説明図である。 先行例において吸湿影響がある場合の薄物対象物の吸着作用を示す作用説明図である。 実施例1において吸湿影響を排除した場合の薄物対象物の吸着作用を示す作用説明図である。 実施例2の静電吸着ツールA2の拡大構成と吸着力制御部を示す詳細図である。
以下、本発明による静電吸着ツール及び対象物表面加工方法を実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
実施例1における静電吸着ツールは、ICチップ(半導体集積回路)の材料となるウエハを薄物対象物とする。対象物表面加工方法は、吸着状態での対象物表面に微細な配線や素子等の回路パターンを様々な表面加工により施し、半導体チップ単体(ダイ)を製造する半導体製造装置群に適用されるものである。以下、「静電吸着ツールA1の構成」、「対象物表面加工方法」について説明する。
[静電吸着ツールA1の構成(図1~図4)]
静電吸着ツールA1は、図1~図3に示すように、薄物対象物10と、静電吸着力発生部材30と、吸着力制御部40と、を備えている。
薄物対象物10は、厚みが0.5mm以下の円形薄板状対象物であり、半導体物質の結晶でできた円形の薄い板による「ウエハ」を代表的な対象物とする。ここで、「ウエハ」としては、最も一般的なシリコンウエハ以外に、シリコンカーバイトウエハやサファイアウエハや化合物半導体ウエハ(リン化ガリウムウエハ、ヒ化ガリウムウエハ、リン化インジウムウエハ、窒化ガリウムウエハ等)が含まれる。さらに、「ウエハ」には、サポート基板として用いられるガラスウエハも含まれる。
静電吸着力発生部材30は、静電界を用いて吸着力を発生し、薄物対象物10を吸着保持する吸着力の発生機能を発揮する。静電吸着力発生部材30は、図3に示すように、電気絶縁層301と、電極要素群302,303と、ベース板304と、第1撥水絶縁層305(撥水層)と、を備える構成としている。
電気絶縁層301は、ベース板304に設けられ、プラス電極とマイナス電極を交互に配置した電極要素群302,303を内部に埋設させた電気的な絶縁層である。
第1撥水絶縁層305は、撥水性材料としてフッ素材料が用いられ、電気絶縁層301の対象物吸着側に設定した層である。第1撥水絶縁層305は、薄物対象物10を静電吸着する吸着面305aを有する。よって、薄物対象物10を吸着する吸着面305aは、撥水性材料による撥水層による面になる。ここで、「撥水」とは、表面で水をはじく性質をいう。
吸着力制御部40は、図3に示すように、静電吸着力発生部材30に有する電極要素群302,303に対して接続/切り離しが可能に設けられる。吸着力制御部40は、電極要素群302,303に接続して静電吸着力の発生/消滅を制御すると共に、静電吸着力を発生させると電極要素群302,303から切り離しても、静電吸着力発生部材30に蓄積された電荷により静電吸着力の発生を維持する。即ち、吸着力制御部40は、電極要素群302,303に対してリード線等により常時接続しているコード方式ではなく、静電吸着力発生部材30に電荷を蓄積すると、静電吸着力発生部材30から切り離されるコードレス方式としている。
ここで、コードレス方式の場合、薄物対象物10を吸着するときに静電吸着力発生部材30に吸着力制御部40を接続し、電極要素群302,303への電圧印加により薄物対象物10を静電吸着する。そして、静電吸着力の発生が確認されると、その後、静電吸着力発生部材30から吸着力制御部40を切り離し、静電吸着力発生部材30に蓄積された電荷により静電吸着力の発生を維持する使い方をする。
吸着力制御部40は、図3に示すように、電極要素群302とアースとの導通制御を行う第1スイッチSW1と、電極要素群302への電圧印加制御を行う第2スイッチSW2と、第2スイッチSW2により印加される電圧と逆極性の電圧印加制御を行う第3スイッチSW3と、電極要素群303とアースとの導通制御を行う第4スイッチSW4と、電極要素群303への電圧印加制御を行う第5スイッチSW5と、第5スイッチSW5により印加される電圧と逆極性の電圧印加制御を行う第6スイッチSW6と、を備えている。
吸着力制御部40は、初期状態において、全スイッチSW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6がオフとされる。静電吸着力を発生させるときは、静電吸着力発生部材30に吸着力制御部40を接続し、各スイッチのオン/オフ制御を実行することにより静電吸着力を発生させた後、静電吸着力発生部材30から吸着力制御部40が切り離される。そして、切り離された後も静電吸着力の発生が長時間にわたって維持される。よって、静電吸着力を解除させるときは、再度、静電吸着力発生部材30に吸着力制御部40を接続し、各スイッチのオン/オフ制御を実行することにより静電吸着力を解除する。
次に、静電吸着力発生部材30での静電吸着力の発生原理を図4に基づいて説明する。実施例1で用いた静電吸着力発生部材30は、クーロン力により対象物を静電吸着する「静電チャック」の一例である。この「静電チャック」による静電吸着力の発生原理は、図4に示すように、電極に電圧を印加すると、対象物の表面に表面分極を誘起する。ここで、プラス電圧を印加した電極部分に対向する対象物の表面部分にはマイナスの表面分極を誘起する。また、マイナス電圧を印加した電極部分に対向する対象物の表面部分にはプラスの表面分極を誘起する。そして、電極面と対象物表面間には、プラス電極から対象物の表面を経過しマイナス電極への円弧状流れによる静電界が形成され、この静電界により対象物を絶縁層の表面に吸着する静電吸着力が生じる。
そして、静電吸着力を解除するときは、図4に示すように、電極への印加電圧を遮断する操作を行うと、対象物は元状態(静電チャックと対象物が分離している状態)に戻り、しかも対象物に電荷を供与しない。なお、電極への印加電圧の遮断により対象物に電荷を供与しない理由は、印加電圧により対象物の表面分極で静電吸引力を誘起しているため、電極への印加電圧を遮断すると対象物の表面分極も無くなることによる。
[対象物表面加工方法(図5)]
上記のように、静電吸着力発生部材30は、吸着力制御部40を静電吸着力発生部材30から切り離すコードレス方式としている。このため、静電吸着ツールA1は、薄物対象物10を吸着したままで独立に移送可能なユニット状態で、ウェット(高湿度)環境による工程を含む表面加工装置へ投入することができる。この表面加工装置への投入により実行されるのが対象物表面加工方法である。以下、薄物対象物保持ユニットUを用いた表面加工の一例であるスピンエッチング装置50でのエッチング加工例を、図5に基づいて説明する。
薄物対象物10を静電吸着力発生部材30に静電吸着した薄物対象物保持ユニットUを用いる対象物表面加工方法であって、スピンエッチング装置50への内部移送ステップと、スピンエッチング加工ステップと、スピンエッチング装置50からの外部移送ステップと、を備えている。
内部移送ステップは、薄物対象物保持ユニットUを、腐食作用により回路生成を実現するスピンエッチング装置50(ウェット環境の工程を含む表面加工装置の一例)の内部へ移送してセットする。ここで、スピンエッチング装置50とは、半導体製造において、事前処理にて露出させた必要な回路部分以外の不要な薄膜を、滴下した溶剤で腐食させ剥離させる装置をいう。スピンエッチング装置50は、図5に示すように、例えば、ユニット受け台51と、受け台支軸52と、モータ53と、洗浄水受け容器54と、洗浄水噴射ノズル55と、を有し、薄物対象物保持ユニットUをユニット受け台51にセットする。
スピンエッチング加工ステップは、セットした薄物対象物保持ユニットUに対して腐食作用を利用して所望の回路を生成する回路生成加工を施す。ここで、回路生成加工には、フォトマスク作成工程と、エッチング処理前洗浄工程と、レジスト塗布工程と、露光工程と、レジスト除去工程と、エッチング工程と、硬化レジスト除去工程と、エッチング処理後洗浄工程と、を有する。そして、エッチング処理前洗浄工程とエッチング処理後洗浄工程とが、洗浄液を用いるウェット環境による工程になる。さらに、これら洗浄工程以外にも、レジスト塗布工程、レジスト除去工程、エッチング工程などのように、洗浄液以外の各種液体を用いて行われる工程もウェット環境による工程に含まれる。
外部移送ステップは、スピンエッチング加工が完了すると、加工済みの薄物対象物10を保持したままでスピンエッチング装置50の内部処理位置から薄物対象物保持ユニットUを外し、スピンエッチング装置50の外部へ移送する。
ここで、スピンエッチング装置50の外部へ移送した後、薄物対象物保持ユニットUから成膜加工済みの薄物対象物10を静電吸着力発生部材30から分離して取り出す場合は、外部移送先にて吸着力制御部40を接続し、静電吸着力を解除する。一方、成膜加工が連続表面加工処理の一部の加工処理である場合は、薄物対象物保持ユニットUのままで、スピンエッチング装置50の外部に設置されている次の表面加工装置へ移送する。また、次の表面加工装置が成膜加工面と反対の面である場合は、静電吸着力を解除し、薄物対象物10の表裏を反転させた後、再び、静電吸着力を発生させて薄物対象物10を静電吸着し、薄物対象物10の裏面に成膜加工を施す。
このように、対象物表面加工方法は、薄物対象物10と静電吸着力発生部材30により構成される薄物対象物保持ユニットUを用いることで、ウェット環境であっても静電吸着状態が維持された薄物対象物10に対して表面加工を施すことを目指すものである。よって、ウェット環境での工程を含む表面加工装置としては、腐食作用により回路生成を実現するスピンエッチング装置50に限られるものではなく、半導体素子の製造工程のうち、ウェット(高湿度)工程を含むウェットエッチング装置、スピン洗浄装置、印刷塗布装置、等も勿論含まれる。
ウェットエッチング装置は、回転させることなく化学薬品による腐食作用を利用し、必要な回路部分以外の不要な薄膜を剥離するもので、エッチング処理前とエッチング処理後に洗浄工程を有する。スピン洗浄装置は、回転させながら洗浄液により洗浄し、パーティクル(目に見えないほどの小さなゴミ)、油分、その他汚染物質を除去する。印刷塗布装置は、絶縁膜、金属膜、保護膜等をスクリーン印刷によって生成するもので、印刷処理前と印刷処理後に洗浄工程を有する。そして、何れの装置へ適用しても処理性能の向上が可能になる。
次に、「背景技術と課題解決方策」について説明する。
[背景技術と課題解決方策(図6、図7)]
近年では精密プロセスを必要とする対象物の薄化が進み、薄化により強度が低下した薄物対象物の取り扱いが困難となっている。強度が低下した薄物対象物を破損無く精密プロセスの工程で処理を行うためには、吸着保持ツールなどの補強が必要不可欠となっている。また、薄化により大きな反りを有する薄物対象物について吸着保持ツールにて反りを矯正する必要性がある。精密プロセス工程にはウェット(高湿度)や高温環境、真空環境などの特殊環境もあり、適用できる吸着保持ツールには大きな制限があります。精密プロセスの工程にて処理を進めるためには、薄物対象物を吸着保持ツールで補強した状態で長時間(例えば2週間)吸着を維持し続けなければならない。
静電吸着ツールにおいては、大気環境や真空環境では薄物対象物を長時間にわたって吸着維持することは可能である。しかし、ウェット(高湿度)環境においては短時間であれば吸着を維持することはできるが、長時間では保持力の低下が進んでしまい吸着を維持することができません。
例えば、上記特許文献1に記載された先行技術の場合、図6に示すように、静電チャックに対して薄物対象物を吸着する吸着面が、絶縁層(セラミックス焼結体)になっている構成である。このため、ウェット(高湿度)環境において、短時間であれば吸着を維持することはできるが、長時間になると保持力fの低下が進んでしまい、図6に示すように、薄物対象物が吸着面から剥がれてしまう。
これに対し、本発明者等は、ウェット(高湿度)環境において保持力の低下が進む原因について検証を進めた。その結果、静電吸着ツールが吸湿することで正常な電界を維持できなくなり吸着力が徐々に低下することを実験により知見した。また、静電吸着ツールに撥水性材料を用いて吸湿を抑えることで、薄物対象物を長時間吸着保持できることが確認できました。また、撥水性材料としてフッ素材料を使用したものについては防汚作用により汚染が低減されることも確認できました。
したがって、上記知見や確認に基づいて、静電吸着力発生部材30の構成として、図7に示すように、電気絶縁層301の対象物吸着側に第1撥水絶縁層305を設定する構成を採用した。このため、ウェット(高湿度)環境においても第1撥水絶縁層305により吸湿が抑えられ、図7に示すように、長時間になっても保持力Fが維持され、薄物対象物10の吸着を長時間にわたって維持し続けることができる。
この結果、ウェット(高湿度)環境での工程であるスピンエッチング工程、スピン洗浄工程、塗布工程、等のウェット(高湿度)環境での工程において、薄物対象物を長時間吸着維持し続けることができるようになり、各ウェット(高湿度)工程での処理能力の改善が可能となった。
以上述べたように、実施例1の静電吸着ツールA1及び対象物表面加工方法にあっては、下記に列挙する効果を奏する。
(1)電気絶縁層301の内部に電極要素群302,303を埋設させ、電極要素群302,303への電圧印加により薄物対象物10を静電吸着する静電吸着力発生部材30を備える静電吸着ツールA1であって、静電吸着力発生部材30は、少なくとも薄物対象物10を吸着する吸着面に、撥水性材料による撥水層(第1撥水絶縁層305)を有する。
このため、ウェット環境において薄物対象物10の吸着を長時間にわたって維持し続けることができる。
(2)静電吸着力発生部材30は、ベース板304と、電極要素群302,303を内部に埋設させた電気絶縁層301と、を有し、撥水層は、電気絶縁層301の対象物吸着側に設定した第1撥水絶縁層305である。
このため、第1撥水絶縁層305によってウェット環境において撥水機能を有する静電吸着ツールA1を、既存の静電吸着ツールをベースとして付加する構造により容易に製造することができる。
(3)撥水層(第1撥水絶縁層305)は、撥水性材料としてフッ素材料を用いる。
このため、フッ素材料の防汚作用により吸着される薄物対象物10を汚染させるのを低減することができる。加えて、防汚効果により静電吸着ツールA1の清浄度の向上が可能になる。さらに、防汚効果により薄膜形成プロセスで静電吸着ツールA1に付着した形成膜を容易に除去することが可能となる。
(4)薄物対象物10は、厚みが0.5mm以下の薄板状対象物とする。
このため、精密プロセスを必要とする対象物の薄化が進むことに伴って、クーロン力を利用する静電吸着だけで整然と密着保持されるシリコンウエハ等のウエハを、薄物対象物10に含めることができる。
(5)静電吸着力発生部材30に有する電極要素群302,303に対して接続/切り離し可能な吸着力制御部40を設け、吸着力制御部40は、薄物対象物10を吸着するときに静電吸着力発生部材30へ接続し、薄物対象物10を吸着した後、静電吸着力発生部材30から切り離すコードレス方式とする。
このため、薄物対象物10を静電吸着した状態で薄物対象物10と静電吸着力発生部材30により構成される独立した薄物対象物保持ユニットUになり、表面加工装置への移送や取り付けを容易に行うことができる。
(6)薄物対象物10を静電吸着させた静電吸着力発生部材30により構成される薄物対象物保持ユニットUを、ウェット環境の工程を含む表面加工装置(スピンエッチング装置50等)へ移送し、表面加工装置(スピンエッチング装置50等)の内部処理位置に薄物対象物保持ユニットUをセットして表面加工を施し、表面加工が完了すると、表面加工済みの薄物対象物10を保持したままで表面加工装置(スピンエッチング装置50等)から装置外部へ薄物対象物保持ユニットUを移送する。
このため、薄物対象物10と静電吸着力発生部材30により構成される独立の薄物対象物保持ユニットUを用い、ウェット環境の工程を含む表面加工装置(スピンエッチング装置50等)において薄物対象物10の吸着を維持し続けながら表面加工を施すことができる。加えて、ウェット環境の工程を含む表面加工装置(スピンエッチング装置50等)に適用することで、処理性能を向上させることができる。
実施例2は、電気絶縁層の全体を撥水層とする静電吸着力発生部材を備える静電吸着ツールA2とした例である。
実施例2の静電吸着力発生部材は、図8に示すように、電極要素群302,303(プラス電極302、マイナス電極303)と、ベース板304と、第2撥水絶縁層306(撥水層)と、を備える構成としている。
第2撥水絶縁層306は、ベース板304に設けられ、プラス電極とマイナス電極を交互に配置した電極要素群302,303を内部に埋設させた電気絶縁層と撥水層とを兼用する層である。即ち、第2撥水絶縁層306は、電気絶縁層の全体と置き換えることにより設定した層である。そして、第2撥水絶縁層306は、実施例1の第1撥水絶縁層305と同様に、撥水性材料としてフッ素材料が用いられ、薄物対象物10を静電吸着する吸着面306aを有する。よって、薄物対象物10を吸着する吸着面306aは、撥水性材料による撥水層になる。
なお、実施例2での他の構成、並びに、対象物表面加工方法については、実施例1と同様であるので、図示及び説明を省略する。
以上述べたように、実施例2の静電吸着ツールA2及び対象物表面加工方法にあっては、実施例1の(1)、(3)、(4)、(5)、(6)の効果に加えて下記の効果を奏する。
(7)静電吸着力発生部材30は、ベース板304と、電極要素群302,303を内部に埋設させた電気絶縁層とを有し、撥水層は、電気絶縁層の全体と置き換えることにより設定した第2撥水絶縁層306である。
このため、第2撥水絶縁層306によってウェット環境において撥水機能を有する静電吸着ツールA2を、電気絶縁層を省略する簡単な構造により製造することができる。加えて、第2撥水絶縁層306は電極要素群302,303の埋設領域まで拡大して設定していることで、第1撥水絶縁層305より高い吸湿抑制効果を得ることができる。
以上、本発明の静電吸着ツール及び対象物表面加工方法を、実施例1及び実施例2に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や構成の追加等は許容される。
実施例1,2では、薄物対象物10として、ICチップ(半導体集積回路)の材料となるウエハを用いる例を示した。しかし、薄物対象物としては、ウエハに限られることはない。例えば、ウェット環境による処理装置において、静電吸着ツールによる保持力の低下が問題になるフィルム等であっても良い。
実施例1では、撥水層として、電気絶縁層301の対象物吸着側に設定した第1撥水絶縁層305の例を示した。実施例2では、撥水層として、電気絶縁層の全体と置き換えることにより設定した第2撥水絶縁層306の例を示した。しかし、撥水層としては、実施例1,2に示す構造に限られるものではない。要するに、薄物対象物を吸着する吸着面に撥水性材料による撥水層を有する構成であれば、例えば、静電吸着力発生部材の全体や一部を撥水樹脂フィルム等で覆う構成等としても良い。
実施例1,2では、撥水層(第1撥水絶縁層305及び第2撥水絶縁層306)の撥水性材料としてフッ素材料を用いる好ましい例を示した。しかし、撥水層の撥水性材料として、フッ素材料を用いるものに限られるものではなく、少なくとも撥水性を有するものであれば、フッ素材料以外の材料を用いても良い。
A1,A2 静電吸着ツール
10 薄物対象物
30 静電吸着力発生部材
305 第1撥水絶縁層(撥水層)
306 第2撥水絶縁層(撥水層)
40 吸着力制御部
50 スピンエッチング装置(表面加工装置)
U 薄物対象物保持ユニット

Claims (5)

  1. 電気絶縁層の内部に電極要素群を埋設させ、前記電極要素群への電圧印加により薄物対象物を静電吸着する静電吸着力発生部材を備える静電吸着ツールであって、
    前記静電吸着力発生部材は、少なくとも前記薄物対象物を吸着する吸着面に、撥水性材料による撥水層を有し、
    前記静電吸着力発生部材に有する前記電極要素群に対して接続/切り離し可能な吸着力制御部を設け、
    前記吸着力制御部は、前記薄物対象物を吸着するときに前記静電吸着力発生部材へ接続し、前記薄物対象物を吸着した後、前記静電吸着力発生部材から切り離し、前記静電吸着力発生部材に蓄積された電荷により静電吸着力の発生を維持するコードレス方式とし、
    前記静電吸着ツールは、ウェット環境による工程を含む表面加工装置へ投入するとき、前記吸着力制御部を前記静電吸着力発生部材から切り離し、前記薄物対象物を吸着したままで独立に移送可能なユニット状態にし、
    前記静電吸着力発生部材は、ベース板と、電極要素群を内部に埋設させた前記電気絶縁層と、を有し、
    前記撥水層は、前記電気絶縁層の対象物吸着側に設定した第1撥水絶縁層である
    ことを特徴とする静電吸着ツール。
  2. 請求項1に記載された静電吸着ツールにおいて、
    前記撥水層は、撥水性材料としてフッ素材料を用いる
    ことを特徴とする静電吸着ツール。
  3. 請求項1又は2に記載された静電吸着ツールにおいて、
    前記薄物対象物は、厚みが0.5mm以下の薄板状対象物とする
    ことを特徴とする静電吸着ツール。
  4. 電気絶縁層の内部に電極要素群を埋設させ、前記電極要素群への電圧印加により薄物対象物を静電吸着する静電吸着力発生部材を備える静電吸着ツールであって、
    前記静電吸着力発生部材は、少なくとも前記薄物対象物を吸着する吸着面に、撥水性材料による撥水層を有し、
    前記静電吸着力発生部材に有する前記電極要素群に対して接続/切り離し可能な吸着力制御部を設け、
    前記吸着力制御部は、前記薄物対象物を吸着するときに前記静電吸着力発生部材へ接続し、前記薄物対象物を吸着した後、前記静電吸着力発生部材から切り離し、前記静電吸着力発生部材に蓄積された電荷により静電吸着力の発生を維持するコードレス方式とし、
    前記静電吸着ツールは、ウェット環境による工程を含む表面加工装置へ投入するとき、前記吸着力制御部を前記静電吸着力発生部材から切り離し、前記薄物対象物を吸着したままで独立に移送可能なユニット状態にし、
    前記静電吸着力発生部材は、ベース板と、前記電極要素群を内部に埋設させた前記電気絶縁層とを有し、
    前記撥水層は、前記電気絶縁層の全体と置き換えることにより設定した第2撥水絶縁層である
    ことを特徴とする静電吸着ツール。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載された静電吸着ツールを用いる対象物表面加工方法であって、
    前記薄物対象物を静電吸着させた前記静電吸着力発生部材により構成される薄物対象物保持ユニットを、前記ウェット環境の工程を含む前記表面加工装置へ移送し、
    前記表面加工装置の内部処理位置に前記薄物対象物保持ユニットをセットして表面加工を施し、
    前記表面加工が完了すると、表面加工済みの前記薄物対象物を保持したままで前記表面加工装置から装置外部へ前記薄物対象物保持ユニットを移送する
    ことを特徴とする対象物表面加工方法。
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