JP7842367B2 - 光学フィルム用樹脂フィルムおよび光学フィルム用樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

光学フィルム用樹脂フィルムおよび光学フィルム用樹脂フィルムの製造方法

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Description

本発明は光学フィルム用樹脂フィルムおよび光学フィルム用樹脂フィルムの製造方法に関する。
光学特性に特徴を有するアクリル酸系樹脂フィルムが知られている。例えば特許文献1は、メタクリル酸エステル系重合体と、特定の構造を有するジアセタール化合物とからなる、光学フィルム用樹脂フィルムを開示している。特許文献1に開示された樹脂フィルムは、分散不良が生じず、複屈折が小さいという特徴を有することが開示されている。特許文献1で作製された樹脂フィルムは、ジアセタール化合物を含有することで配向複屈折が正の方向に変化し、ジアセタール化合物を含まない樹脂フィルムよりも複屈折が小さくなっていることが開示されている。
特許文献2は、画像表示装置の表面を保護するための表面保護フィルム用基材を開示している。特許文献2に開示された表面保護フィルム用基材は、特定の範囲の位相差特性を有することが特徴である。このフィルム用基材の具体的な組成として、ポリカーボネート、ポリエステル、シクロオレフィン樹脂、アクリル系樹脂およびセルロース樹脂から選択される少なくとも1つの樹脂を含むことが開示されている。また、フィルム用基材が、脂環式構造または負の固有複屈折を示す芳香族環構造を有する樹脂を含んでよいことが開示されている。
特開2010-254730号公報 WO2020/054135号公報
本発明は、負の複屈折を有する樹脂と、ジアセタール化合物を含み、負の方向に複屈折が調整された光学フィルム用樹脂フィルム、および、その製造方法を提供することを課題とする。
本開示にかかる光学フィルム用樹脂フィルムは、負の複屈折を有する非晶質樹脂と、式(1)で表されるジアセタール化合物と、を含有するフィルムである。前記フィルム中で前記ジアセタール化合物は負の複屈折を示す結晶または会合状態として存在している。前記光学フィルム用樹脂フィルムは、負の複屈折を示す。

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、同一または異なり、それぞれ、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基、炭素数1~4のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルケニル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基または炭素数1~4のハロゲン化アルキル基を示す。)
本開示にかかる樹脂フィルムは、負の複屈折を有する樹脂と、ジアセタール化合物を含み、負の方向に複屈折が調整されている。
図1は、実施例4の樹脂フィルムのTEM画像である。 図2は、実施例5の樹脂フィルムのTEM画像である。
[実施形態の概要]
最初に本開示にかかる光学フィルム用樹脂フィルムおよびその製造方法の実施形態を列挙して説明する。なお、本明細書においては、特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は「A以上、B以下」を意味する。
本開示にかかる光学フィルム用樹脂フィルムは、負の複屈折を有する非晶質樹脂と、式(1)で表されるジアセタール化合物と、を含有するフィルムである。前記フィルム中で前記ジアセタール化合物は負の複屈折を示す結晶または会合状態として存在している。
前記光学フィルム用樹脂フィルムは、負の複屈折を示す。
(式中、R、R、R、R、RおよびRは、同一または異なり、それぞれ、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基、炭素数1~4のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルケニル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基または炭素数1~4のハロゲン化アルキル基を示す。)
従来、光学特性が調整された樹脂フィルムについて多くの提案がされている。上述のとおり、特許文献2では、フィルムを構成する樹脂の側鎖に負の複屈折を示す化学構造を組み込んだものが提案されている。一方、特許文献1では、メタクリル酸エステル系重合体とジアセタール化合物とを混練し、溶融したメタクリル酸エステル系重合体にジアセタール化合物を溶解させて、重合体中にジアセタール化合物が均一に分散した混合物を得ることが記載されている。
特許文献1の実施例1,2ではポリメチルメタクリレート中にジアセタール化合物が溶解せず、粉末状の状態で分散したフィルムが得られたことが記載されている。実施例3では、実施例1,2とは異なる作製方法で作製されたフィルムが、実施例1と同様の配向複屈折および光弾性係数が得られたことが記載されている。ただし、いずれの場合もジアセタール化合物の具体的な分散状態は不明である。また、ジアセタール化合物が存在することによって、複屈折が正の方向に変化している。
これに対して、本開示にかかる光学フィルム用樹脂フィルムでは、ジアセタール化合物によって、複屈折が負の方向に調整される。本開示にかかるフィルムは、複屈折の制御効果に優れ、負の複屈折を有する光学フィルム用樹脂フィルムが得られる。
前記光学フィルム用樹脂フィルムにおいて、前記ジアセタール化合物は、前記非晶質樹脂に対して1%以上20%以下含有されてよい。この範囲であるとき、フィルム中でジアセタール化合物を確実に析出させて、負の方向に複屈折が調整されたフィルムを得ることができる。
前記光学フィルム用樹脂フィルムにおいて、前記非晶質樹脂は、ポリスチレン樹脂およびポリメチルメタクリレート樹脂からなる群から選択される1種または2種以上であってよい。
本開示にかかる光学フィルム用樹脂フィルムの製造方法は、負の複屈折を有する非晶質樹脂と、式(1)で表されるジアセタール化合物とを前記非晶質樹脂の軟化点以上の温度で加熱混合し、ジアセタール化合物を非晶質樹脂に溶解させることによって、樹脂組成物を得る工程と、
前記非晶質樹脂のガラス転移点以上の温度で、前記樹脂組成物にせん断力を与えながら成形する工程と、
前記成形する工程から継続してせん断力を与えながら冷却する工程と、
を含む。
(式中、R、R、R、R、RおよびRは、同一または異なり、それぞれ、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基、炭素数1~4のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルケニル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基または炭素数1~4のハロゲン化アルキル基を示す。)
前記製造方法において、前記光学フィルム用樹脂フィルム中で前記ジアセタール化合物が結晶または会合状態として存在し、前記ジアセタール化合物が負の方向に複屈折を調整している。この製造方法によれば、負の方向に複屈折特性が制御された樹脂フィルムを得ることができる。
以下、本開示にかかる樹脂フィルムについてより詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸エステル」という文言は、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの両方を一括して表す。
(樹脂)
本開示にかかる樹脂フィルムは、フィルムを構成する基体となる樹脂として負の複屈折を有する非晶質樹脂を含有する。非晶質樹脂は、負の複屈折を有し、用途に応じた透明度を有するものであれば特に制限されない。生産性やコストの観点から、負の複屈折を有する樹脂として、ポリスチレン樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂およびポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本開示にかかる樹脂フィルムは負の複屈折を示すが、基体となる樹脂も負の複屈折を示す。本開示にかかる樹脂フィルムは、フィルム中でジアセタール化合物の結晶または会合状態として存在している。また、ジアセタール化合物が複屈折を負の方向に調整する。この形態となることで、ジアセタール化合物の光学調整作用が強く発揮され、負の複屈折を示す樹脂フィルムを構成できる。
なお、樹脂フィルムの複屈折は、フィルム面内の直交する2つの軸方向の屈折率(n、n)の差(Δn)であると定義され、以下の式で表される。
Δn=n-n
前記式において、nは遅相軸の屈折率、nは進相軸の屈折率を表す。樹脂フィルムが正の複屈折を有する場合、n>nとなり、流動または変形方向の遅相軸の屈折率がそれと垂直な方向の進相軸の屈折率よりも高い。樹脂フィルムが負の複屈折を有する場合、n<nとなり、進相軸の屈折率のほうが遅相軸の屈折率よりも高い。
樹脂フィルムの複屈折は、例えば偏光顕微鏡を用いて公知の方法に準じて測定できる。具体的な複屈折の測定方法は実施例に詳述される。
本明細書において、「複屈折が負の方向に調整されている」とは、式(1)で特定されるアセタール化合物を含まない樹脂フィルムの複屈折の値(Δn)に対して、式(1)で特定されるアセタール化合物を含む樹脂フィルムの複屈折の値(Δnad)が小さいことを意味している。
樹脂フィルムの基体となる樹脂がポリスチレン樹脂である場合、ポリスチレン樹脂は、主成分としてスチレンおよびスチレン誘導体を重合して得られる樹脂、および、スチレンとその他の樹脂との共重合体である樹脂を含む。ポリスチレン樹脂として、公知のポリスチレン系熱可塑性樹脂等を用いることができる。特に、フィルム強度、耐熱性の観点から、スチレン系共重合体樹脂を用いることが好ましい。このような共重合体樹脂としては、例えば、スチレン-アクリロニトリル系樹脂、スチレン-アクリル系樹脂、スチレン-無水マレイン酸系樹脂、あるいはこれらの多元(二元、三元等)共重合ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン-アクリル系樹脂やスチレン-無水マレイン酸系樹脂が耐熱性・フィルム強度の観点から好ましい。
スチレン-無水マレイン酸系樹脂は、スチレンと無水マレイン酸との質量組成比がスチレン:無水マレイン酸=95:5~50:50であることが好ましく、スチレン:無水マレイン酸=90:10~70:30であることがより好ましい。また、水素添加されたスチレン系樹脂も好ましく用いられる。スチレン-無水マレイン酸系樹脂としては、例えば、ノバケミカル社製の「Daylark D332」等が挙げられる。また、スチレン-アクリル系樹脂としては、旭化成ケミカル社製の「デルペット980N」などを用いることができる。また、ポリスチレン系樹脂の立体規則性はアタクチック構造でもシンジオタクチック構造でもよい。
樹脂フィルムの基体となる樹脂がメタクリル酸エステル系重合体、すなわちメタクリル酸エステル系樹脂である場合、好適なメタクリル酸エステル系樹脂として、メタクリル酸エステルを主成分とする重合体が挙げられる。ここで、本明細書にいう「メタクリル酸エステルを主成分とする」とは、メタクリル酸エステル系重合体の原料モノマーにおけるメタクリル酸エステルの含有量が、50質量%以上であることを意味する。メタクリル酸エステル系重合体の原料モノマーにおけるメタクリル酸エステルの含有率は、メタクリル酸エステル系重合体の耐熱性および透明性を高める観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であることが好ましい。
メタクリル酸エステルを主成分とする重合体の代表例としては、メタクリル酸エステル単独重合体、および、メタクリル酸エステルと他の単量体とを含有し、メタクリル酸エステルを主成分とする原料モノマーを重合させることによって得られるメタクリル酸エステル系共重合体が挙げられる。
メタクリル酸エステルを主成分とする重合体を構成するのに好適なメタクリル酸エステルモノマーとしては、加熱溶融時における流動性および耐熱分解性を高める観点から、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリルなどのエステル部分におけるアルキル基の炭素数が1~18であるメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニルなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらのメタクリル酸エステルは、加熱溶融時における流動性、耐熱分解性に優れている。
前記メタクリル酸エステルのなかでは、入手が容易なことから、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸トリデシルおよびメタクリル酸ステアリルが好ましい。また、耐熱性の観点から、エステル部分におけるアルキル
基の炭素数が1~4であるメタクリル酸アルキルエステルがより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。
なお、メタクリル酸エステル単独重合体において、その原料モノマーとして、前記メタクリル酸エステルのうちの1種類が用いられる。原料モノマーとして、2種類以上のメタクリル酸エステルが用いられている場合には、メタクリル酸エステル系重合体はメタクリル酸エステル共重合体となる。
メタクリル酸エステルと他のモノマーとを含有し、メタクリル酸エステルを主成分とする原料モノマーを重合させることによって得られるメタクリル酸エステル系共重合体としては、前記メタクリル酸エステルのうちの1種類以上と他のモノマーとを含有し、メタクリル酸エステルを主成分とする原料モノマーを重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。メタクリル酸エステル系共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、あるいはブロック共重合体であってもよい。メタクリル酸エステルを主成分とする原料モノマーを重合させることによって得られるメタクリル酸エステル系共重合体は、通常、ランダム共重合体であり、このランダム共重合体は、商業的に容易に入手できる。
前記他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの水酸基含有アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2-メトキシエチル、アクリル酸3-メトキシブチル、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸ペンタフルオロエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トールイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸3-ジメチルアミノエチルなどの他のアクリル酸エステル;メタクリル酸、アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステルなどの不飽和ジカルボン酸化合物またはその誘導体;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロプレンなどのハロゲン含有不飽和化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのケイ素含有不飽和化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの他のモノマーは、1種または2種類以上を混合して用いることができる。
前記他のモノマーの中では、耐熱性の観点から、アクリル酸アルキルエステルおよびシアン化ビニル化合物が好ましく、エステル部分のアルキル基の炭素数が1~4であるアクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルがより好ましい。
メタクリル酸エステル系重合体の原料モノマーにおける前記他のモノマーの含有率は、メタクリル酸エステル系共重合体の耐熱性および透明性を高める観点から、50質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10
質量%以下である。
本開示にかかる光学フィルム用樹脂フィルムにおいては、耐熱性および透明性の観点から、原料モノマーとしてメタクリル酸メチルを主成分とするメタクリル酸エステル系重合体を用いることが好ましい。
樹脂フィルムの基体となる樹脂がアクリル酸エステル系重合体、すなわちアクリル酸エステル系樹脂である場合、好適なアクリル酸エステル系樹脂としては、アクリル酸エステルを主成分とする重合体が挙げられる。アクリル酸エステルを主成分とする重合体としては、例えば、アクリル酸イソブチルエステル重合体、アクリル酸-2-エチルヘキシルエステル重合体、アクリル酸イソデシルエステル重合体、アクリル酸ノニルエステル重合体、アクリル酸ドデシルエステル重合体等が挙げられる。
本開示にかかる樹脂フィルムの基体となる(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、アクリル酸エステル系モノマーとメタクリル酸エステル系モノマーとの共重合体であってもよい。このような共重合体としては例えば、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体等が挙げられる。これらの重合体には、変性によって、グルタルイミド構造単位やラクトン環構造単位が導入されていてもよい。
本開示にかかる光学フィルム用樹脂フィルムに用いられる(メタ)アクリル酸エステル系重合体のメルトフローレート(230℃、37.3N)は、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸エステル系重合体の加熱溶融時における流動性を高める観点から、好ましくは0.5g/10min以上、より好ましくは1.5g/10min以上である。メタクリル酸エステル系重合体の機械的強度を高める観点から、好ましくは30g/10min以下、より好ましくは25g/10min以下である。
本開示にかかる光学フィルム用樹脂フィルムに用いられる(メタ)アクリル酸エステル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは40000~200000、より好ましくは50000~180000、さらに好ましくは55000~160000である。Mwが40000以上であると、樹脂フィルムの強度および靭性等が向上する。Mwが200000以下であると、(メタ)アクリル酸エステル系重合体の流動性が向上し、成形加工性が向上する。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるクロマトグラムを標準ポリスチレンの分子量に換算して算出される値である。
本開示にかかる樹脂フィルムに用いられる(メタ)アクリル系エステル系重合体の酸価は、好ましくは0.01~0.30mmol/g、より好ましくは0.05~0.28mmol/gである。酸価は、(メタ)アクリル系エステル系重合体中のカルボン酸単位、カルボン酸無水物単位の含有量に比例する値である。酸価は、例えば、測定対象の樹脂をキシレンと2-プロパノールの混合溶剤に溶かした後、電位差滴定法により0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定し、滴定曲線上の変曲点を終点とすることによって測定できる。酸価が上記範囲内にあると、流動性とフィルムの成形性のバランスに優れる。
樹脂フィルムの基体となる樹脂がポリエステル樹脂である場合、ポリエステル樹脂は、光学用樹脂として用いられ、負の複屈折を有する公知の樹脂が特に制限なく使用されうる。ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを重合することにより得られ、ジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の70%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、かつジオール構成単位(ジオールに由来する構成単位)の70%以上が脂肪族ジオールに由来するものであることが好ましい。
樹脂フィルムの基体となる樹脂がポリイミド樹脂である場合、ポリイミド樹脂は、光学用樹脂として用いられる公知の樹脂が特に制限なくされうる。ポリイミド樹脂は、市場より入手できる光学樹脂を用いることができ、例えば、三菱ガス化学株式会社製、「サープリム」シリーズ、三井ケミカル株式会社製、「オーラム」シリーズ等を挙げることができる。
(光学調整剤)
本開示にかかる光学フィルム用樹脂フィルムは、式(1)で表されるジアセタール化合物を含有することを特徴とする。このジアセタール化合物は、フィルムの光学特性を調整する光学調整剤として機能する。本開示によれば、特定構造のジアセタール化合物を含有することによって、負の複屈折を示す結晶または会合状態が繊維状に析出し、負の複屈折を示す樹脂フィルムが得られる。
(式中、R、R、R、R、RおよびRは、同一または異なり、それぞれ、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基、炭素数1~4のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルケニル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基または炭素数1~4のハロゲン化アルキル基を示す。)
光学フィルム用樹脂フィルムにおいて析出し、樹脂フィルムの複屈折を調整する機能を得る観点から、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ互いに同一でも異なってもよく、水素原子であるかまたは炭素数1~4のアルキル基であることが好ましい。R、RおよびRのうちの1つが水素原子、2つが炭素数1~4のアルキル基であってよい。また、R、RおよびRのうちの2つが水素原子、1つが炭素数1~4のアルキル基であってよい。R、RおよびRのうちの1つが水素原子、2つが炭素数1~4のアルキル基であってよい。また、R、RおよびRのうちの2つが水素原子、1つが炭素数1~4のアルキル基であってよい。R、R、R、R、RおよびRがいずれも水素原子であってよい。
は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルケニル基であることが好ましく、水素原子であるかまたは炭素数1~4のアルキル基であることがより好ましい。
式(1)で示され、Rが水素原子である化合物として、具体的には、
1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-エチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-エチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-エチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-イソプロピルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-イソプロピルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-イソプロピルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-n-プロピルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-n-プロピルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロピルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-n-ブチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-n-ブチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-n-ブチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-tert-ブチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-tert-ブチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-tert-ブチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,3’-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,4’-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,5’-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,5’-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,3’-ジエチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,4’-ジエチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,5’-ジエチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’-ジエチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,5’-ジエチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,4’,5’-トリメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’,5’-トリメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,4’,5’-トリエチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’,5’-トリエチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-メトキシベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-メトキシベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-メトキシベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-エトキシベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-エトキシベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-エトキシベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-イソプロポキシベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-イソプロポキシベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-イソプロポキシベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-n-プロポキシベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-n-プロポキシベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロポキシベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-メトキシカルボニルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-メトキシカルボニルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-メトキシカルボニルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-エトキシカルボニルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-エトキシカルボニルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-エトキシカルボニルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-イソプロポキシカルボニルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-イソプロポキシカルボニルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-イソプロポキシカルボニルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-n-プロポキシカルボニルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-n-プロポキシカルボニルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロポキシカルボニルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-フルオロベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-フルオロベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-フルオロベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-クロロベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-クロロベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-クロロベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(o-ブロモベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(m-ブロモベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-ブロモベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3-O-ベンジリデン-2,4-O-(p-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3-O-(p-メチルベンジリデン)-2,4-O-ベンジリデン-D-ソルビトール、
1,3-O-ベンジリデン-2,4-O-(p-エチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3-O-(p-エチルベンジリデン)-2,4-O-ベンジリデン-D-ソルビトール、
1,3-O-ベンジリデン-2,4-O-(p-クロロベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3-O-(p-クロロベンジリデン)-2,4-O-ベンジリデン-D-ソルビトール、
1,3-O-ベンジリデン-2,4-O-(2’,4’-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3-O-(2’,4’-ジメチルベンジリデン)-2,4-O-ベンジリデン-D-ソルビトール、
1,3-O-ベンジリデン-2,4-O-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3-O-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)-2,4-O-ベンジリデン-D-ソルビトール、
1,3-O-(p-メチルベンジリデン)-2,4-O-(p-エチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3-O-(p-エチルベンジリデン)-2,4-O-(p-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3-(p-メチルベンジリデン)-2,4-O-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3-O-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)-2,4-O-(p-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3-(p-エチルベンジリデン)-2,4-O-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3-O-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)-2,4-O-(p-エチルベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3-O-(p-メチルベンジリデン)-2,4-O-(p-クロロベンジリデン)-D-ソルビトール、
1,3-O-(p-クロロベンジリデン)-2,4-O-(p-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール等が挙げられる。
式(1)で示され、Rがメチル基である化合物として、具体的には、
1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-1-メチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-メチルベンジリデン)-1-メチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-エチルベンジリデン)-1-メチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロピルベンジリデン)-1-メチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,3’-ジメチルベンジリデン)-1-メチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,4’-ジメチルベンジリデン)-1-メチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,5’-ジメチルベンジリデン)-1-メチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)-1-メチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,5’-ジメチルベンジリデン)-1-メチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’-メチル-4’-メトキシベンジリデン)-1-メチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’-ジクロロベンジリデン)-1-メチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-メトキシカルボニルベンジリデン)-1-メチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’-メチル-4’-フルオロベンジリデン)-1-メチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’-ブロモ-4’-エチルベンジリデン)-1-メチルソルビトール等が挙げられる。
式(1)で示され、Rがエチル基である化合物として、具体的には、
1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-1-エチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-メチルベンジリデン)-1-エチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-エチルベンジリデン)-1-エチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロピルベンジリデン)-1-エチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,3’-ジメチルベンジリデン)-1-エチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,4’-ジメチルベンジリデン)-1-エチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,5’-ジメチルベンジリデン)-1-エチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)-1-エチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,5’-ジメチルベンジリデン)-1-エチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’-メチル-4’-メトキシベンジリデン)-1-エチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’-ジクロロベンジリデン)-1-エチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-メトキシカルボニルベンジリデン)-1-エチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’-メチル-4’-フルオロベンジリデン)-1-エチルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’-ブロモ-4’-エチルベンジリデン)-1-エチルソルビトール等が挙げられる。
式(1)で示され、Rがn-プロピル基である化合物として、具体的には、
1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-1-n-プロピルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-メチルベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-エチルベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロピルベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,3’-ジメチルベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,4’-ジメチルベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,5’-ジメチルベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,5’-ジメチルベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’-メチル-4’-メトキシベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’-ジクロロベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-メトキシカルボニルベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’-メチル-4’-フルオロベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’-ブロモ-4’-エチルベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール等が挙げられる。
式(1)で示され、Rがアリル基である化合物として、具体的には、
1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-1-アリルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-メチルベンジリデン)-1-アリルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-エチルベンジリデン)-1-アリルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロピルベンジリデン)-1-アリルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,3’-ジメチルベンジリデン)-1-アリルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,4’-ジメチルベンジリデン)-1-アリルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(2’,5’-ジメチルベンジリデン)-1-アリルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)-1-アリルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,5’-ジメチルベンジリデン)-1-アリルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’-メチル-4’-メトキシベンジリデン)-1-アリルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’-ジクロロベンジリデン)-1-アリルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(p-メトキシカルボニルベンジリデン)-1-アリルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’-メチル-4’-フルオロベンジリデン)-1-アリルソルビトール、
1,3:2,4-ビス-O-(3’-ブロモ-4’-エチルベンジリデン)-1-アリルソルビトール等が挙げられる。
式(1)で示され、Rが水素原子である化合物のさらなる例として、具体的には、
ビス-1,3:2,4-(4’-エチル-2’-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ビス-1,3:2,4-(4’-ノルマルプロピル-2’-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ビス-1,3:2,4-(4’-イソプロピル-2’-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ビス-1,3:2,4-(4’-ノルマルブチル-2’-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ビス-1,3:2,4-(4’-イソブチル-2’-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ビス-1,3:2,4-(4’-ターシャリーブチル-2’-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ビス-1,3:2,4-(4’-セックブチル-2’-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ビス-1,3:2,4-(4’-ノルマルペンチル-2’-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ビス-1,3:2,4-(4’-イソペンチル-2’-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ビス-1,3:2,4-(4’-ネオペンチル-2’-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ビス-1,3:2,4-(4’-ターシャリーペンチル-2’-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ビス-1,3:2,4-(4’-セックペンチル-2’-メチルベンジリデン)ソルビトール等が挙げられる。
は、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基のいずれかであってよい。例えば、Rがメチル基である場合、式(1)で示される化合物として、上記に列挙したベンジリデン構造を有する1-メチルソルビトールが同様に列挙できる。1-メチルソルビトールに代えて、1-エチルソルビトール(Rがエチル基である場合)、1-n-プロピルソルビトール(Rがn-プロピル基である場合)、1-アリルソルビトール(Rが2-プロペニル基である場合)である化合物も同様に列挙できる。本開示にかかる樹脂フィルムは、これらの化合物の1種または2種以上を含むことができる。
式(1)で示される化合物として、より好ましくは、1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-ソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-(p-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-(p-エチルベンジリデン)-D-ソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロピルベンジリデン)-1-メチルソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロピルベンジリデン)-1-エチルソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロピルベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロピルベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトールおよび1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロピルベンジリデン)-1-アリルソルビトールがより好ましく、1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-ソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-(p-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-(p-エチルベンジリデン)-D-ソルビトールおよび1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロピルベンジリデン)-1-n-プロピルソルビトールがさらに好ましい。
ジアセタール化合物は、例えば、新日本理化株式会社;商品名ゲルオールD、ゲルオールMD、ゲルオールDXR、リカアイジャスト-100、リカアイジャスト-200、リカアイジャスト-300、Milliken社;Millad NX8000Jなどとして商業的に入手することができるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
(樹脂フィルム)
本開示にかかる樹脂フィルムにおいて、非晶質樹脂に対するジアセタール化合物である光学調整剤の質量割合は、光学調整剤を結晶または会合状態として存在させ、また、結晶または会合状態のジアセタール化合物の分散性を高める観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、分散性を維持し、フィルムを形成する観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。本開示にかかる樹脂フィルムに含有される光学調整剤の少なくとも一部は、フィルム中に結晶または会合状態として存在する。ジアセタール化合物は、典型的には繊維状の結晶または会合状態であり、例えば針状結晶、柱状結晶、板状結晶等のアスペクト比が高い結晶を含んでもよい。このジアセタール化合物によって、負の方向に複屈折が調整される。
樹脂フィルム中でジアセタール化合物が析出していることは、例えば、以下の方法で確認できる。すなわち、前処理装置として凍結切片作成システムLeica EM UC7/FC7(ライカマイクロシステムズ社製)にてクライオミクロトーム(ダイヤモンドナイフ使用)を用いて樹脂フィルムを凍結切削(-125℃)し、厚さ約100nmの超薄切片を作製する。得られた切片をRuO蒸気雰囲気下(常温)で20分間曝し、染色を実施する。この染色切片を透過電子顕微鏡(TEM)で撮影した画像において、ジアセタール化合物の存在を確認できる。TEMとしては例えば、電界放出型透過電子顕微鏡(FE-TEM)JEM-F200(日本電子社製)を用いることができ、加速電圧200kVの条件で撮像できる。なお、使用装置および条件は一例であり、これに限定されるものではない。本開示にかかる樹脂フィルムは、TEM画像において、細長い繊維状の形態であるジアセタール化合物の結晶または会合状態が複数存在し、それらが不定方向に位置して交差することでネットワーク状(網状)になっていてもよい。また、ジアセタール化合物の結晶または会合状態が流動方向に配向している形態となっていてもよい。フィルム中で結晶または会合状態が存在していることは、レオメータを用いてフィルムの粘弾性を測定することによっても確認できる。
本開示にかかる樹脂フィルムの透明性は、ヘイズメーターによって測定される。本開示にかかる樹脂フィルムは、厚さが80μmの樹脂フィルムのヘイズ値が0.5以下であることが好ましく、より好ましくは、厚さが40μmの樹脂フィルムのヘイズ値が0.2以下である。ヘイズ値がこの範囲であるとき、樹脂フィルムが透明であると評価することができ、透明性が求められる用途に本開示にかかる樹脂フィルムを適用できる。
本開示にかかる樹脂フィルムの厚さは、用途に応じて適宜選択可能であり特に制限されないが、一例としては、5~500μm程度であってよく、好ましくは10~200μm程度であってよい。本開示にかかる樹脂フィルムは、100μm(0.1mm)程度の比較的厚みのあるフィルムにおいても、高い透明性を有する。
本開示にかかる樹脂フィルムは、波長分散性が制御されていてもよい。例えば、本開示にかかる樹脂フィルムは、光学調整剤を含まない同種の樹脂フィルムと比較して、波長分散性が低減されていてもよい。この場合、本開示にかかる樹脂フィルムは、波長分散性が求められない用途に好適に使用されうる。
また、本開示にかかる樹脂フィルムは、光学調整剤を含まない同種の樹脂フィルムと同等の波長分散性を有してもよい。すなわち、光学調整剤が添加されている場合も基材樹脂の波長分散が変化しないことも好ましい。基体となる樹脂フィルムの波長分散性を維持しつつ、複屈折が負の方向に調整されたフィルムを利用したい場合に有用である。このようなフィルムは、例えば、ディスプレイ用フィルム(より具体的には例えば、VR/AR向けディスプレイ用フィルム、フォルダブルディスプレイ用フィルム、ローラブルディスプレイ用フィルム)等として使用されうる。
また、本開示にかかる樹脂フィルムは、光学調整剤を含まない同種の樹脂フィルムと比較して、逆の波長分散性を有してもよい。つまり、光学調整剤を含まない樹脂フィルムが波長分散性(短波長側から高波長側に複屈折が減少する性質)を有し、この樹脂フィルムに光学調整剤が添加されたフィルムが逆波長分散性(短波長側から高波長側に複屈折が増大する性質)を有してもよい。この場合、本開示にかかる樹脂フィルムは、例えば位相差フィルムの用途に好適に使用されうる。
本開示にかかる樹脂フィルムには、本開示にかかる効果を発揮する限りにおいて、非晶質樹脂および光学調整剤(ジアセタール化合物)に加えて、必要に応じて、例えば安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、発泡剤、滑剤、充填剤、着色剤、可塑剤などの添加剤が含まれていてもよい。
本発明の樹脂フィルムは、負の複屈折を示すとともに透明性を有することから、例えば、液晶ディスプレイに用いられる偏光板保護フィルムや位相差フィルムなどの光学フィルムとして好適に使用することができる。このフィルムは、有機ELや3Dディスプレイ等の先端ディスプレイ、ピックアップレンズ等に適用できる。
(樹脂フィルムの製造方法)
本開示にかかる樹脂フィルムは、非晶質樹脂および光学調整剤を混合し、非晶質樹脂の軟化温度以上の温度、かつ非晶質樹脂の分解温度以下の温度である第1の温度に加熱し、混合して得られる混合物を特定の方法で成形することによって得られる。製造方法は、負の複屈折を有する非晶質樹脂と、式(1)で表されるジアセタール化合物とを前記非晶質樹脂の軟化点以上の温度で加熱混合し、ジアセタール化合物を非晶質樹脂に溶解させることによって、樹脂組成物を得る工程と、前記樹脂組成物をフィルム状に成形する工程と、前記非晶質樹脂のガラス転移点以上の温度で、前記樹脂組成物にせん断力を与えながら成形する工程と、せん断力を与えながら冷却する工程と、を含む。
樹脂組成物を得る工程では、非晶質樹脂および光学調整剤を混合した後に、非晶質樹脂の軟化温度以上の温度、非晶質樹脂の分解温度以下の温度に加熱してもよい。また、非晶質樹脂を前述の温度域に加熱した後、これに光学調整剤を添加して混合することもできる。樹脂フィルムにおいて結晶または会合状態を存在させるとともに均一なフィルムを得る観点から、後者が好ましい。
非晶質樹脂と光学調整剤との混合物は、溶融している非晶質樹脂に光学調整剤を溶解させるために、非晶質樹脂の軟化温度以上の温度に加熱される。軟化した非晶質樹脂は、光学調整剤に対して溶媒として機能する。すなわち、溶融状態において、光学調整剤は非晶質樹脂に溶融していると考えられている。この溶融混合物は、攪拌、混練などの公知の手段によって、非晶質樹脂中に光学調整剤を均一に分散させることが好ましい。また、非晶質樹脂と光学調整剤との混合は溶媒混合(溶液キャスト法)により行われてもよい。
本開示にかかる製造方法は、前記非晶質樹脂のガラス転移点以上の温度で、前記樹脂組成物にせん断力を与えながら成形する工程を含む。この工程の前後に、樹脂組成物をフィルム状にするためにプレスや押出成形、射出成形等によって一旦、樹脂組成物の成形を行ってもよい。
樹脂組成物をフィルム状にする成形は、得られた樹脂組成物を例えば押出によって成形し、冷却することにより行うことができる。成形は、一般的な熱可塑性樹脂からなる複合材料の製造方法によって製造することでき、特に限定されない。製造装置としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール混練機などを用いることができる。
次いで、得られた樹脂組成物(成形されていてもよい)を非晶質樹脂のガラス転移点以上の温度に加温し、溶融状態として、樹脂組成物にせん断力を与えながら成形する。せん断力は、本開示にかかる効果を得られる限り制限されないが、例えば成形前の樹脂組成物の厚みが500μmであるとき、150~230℃程度でせん断力を与えることができる。せん断速度も、本開示にかかる効果を得られる限り制限されないが、例えば0.01~1000s-1程度であってよい。本開示にかかる製造方法では、樹脂組成物をガラス転移点以上の温度に加熱下状態でせん断力を掛けて成形することで、ジアセタール化合物が負の複屈折を有する形態で配向し、基体樹脂から析出する。
次いで、せん断力を与えた状態で冷却を行う。せん断力を与えた状態で冷却することによって、ジアセタール化合物が繊維状に配向し、フィルムにおいてジアセタール化合物が析出する。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
ポリスチレン樹脂(PS、CR-2500、DIC社製、ガラス転移温度 約98℃)と1,3:2,4-ビス-O-(4-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール(BMDS、新日本理化株式会社製)との重量比が95:5となるように調整し、インターナルミキサー(ラボプラストミル、型式10S100、株式会社東洋精機製作所製)にて混練を行った。まず、230℃、5rpmにて5分間、原料の投入を行い、その後、同温度で、30rpm、5分間混練し、樹脂組成物を得た。尚、混練前に60℃で4時間、ポリスチレン樹脂の真空乾燥を行った。ポリスチレン樹脂のガラス転移温度は、動的粘弾性測定によりE’’(損失弾性率)を求め、そのピークトップをガラス転移温度とした。
得られた樹脂組成物を手動油圧加熱プレス機(型式IMS-481E型、株式会社井元製作所製)にて260℃、1MPaで3分間プレスした後、20MPaで3分間プレスした。次いで、25℃で2分間冷却し、厚み約500μmのフィルムを得た。得られたフィルムについて、以下の評価を行った。
<偏光顕微鏡による複屈折の測定および算出>
得られたフィルムを偏光顕微鏡に付属したせん断機能付きホットステージに設置し、240℃に昇温した。続いて1から30s-1のせん断を与えながら10℃/minで200℃まで降温し、その間に直交偏光子系で光線透過率(DLI)を測定した。光検出器にはカラーフィルターを設置した。平行円板のギャップは500μmとした。測定にて得られたDLIを用い、下記の式に従って複屈折Δnを算出した。
(DLI:光線透過率[%]、I:直交偏光子系における光線透過率[-]、I//:平行偏光子系における光線透過率[-]、π:円周率、Γ:位相差[nm]、λ:波長;633nm、光源:白色光、d:測定時のギャップ[nm]、Δn:複屈折[-])
Δnの符号は、偏光顕微鏡による複屈折の測定後、偏光顕微鏡へ1/4波長板を差込むことで決定した。n>nの場合は複屈折を「正」、n<nの場合は複屈折を「負」とした。
<せん断応力の測定>
[表1]、[表3]に示すせん断応力の測定は、レオメータ(アントンパール社製、型式302e)を用い、せん断応力を測定した。パラレルプレートを用い、プレート間のギャップは1mmとした。定常流測定においてせん断応力を200℃、せん断速度1から30s-1にて測定した。[表2]に示すせん断応力の測定は、キャピラリーレオメータ(ネッチ社製、型式RH-7)を用い、L/D=16/1(mm)の円筒ダイにて測定した。
<応力光学係数の算出>
偏光顕微鏡により算出した複屈折Δn、レオメータにより算出したせん断応力(σ)により、下記の式を用いて応力光学係数(C)を計算した。
[×10-9Pa-1]=Δn[×10]/σ[Pa]
<析出の確認>
ジアセタール化合物が結晶または会合状態で存在しているフィルムと、ジアセタール化合物が結晶または会合状態とならずに存在しているフィルムとでは粘弾性特性が異なることから、レオメータ(アントンパール社製、型式302e)を用いて、析出の確認をした。パラレルプレートを用い、プレート間のギャップは1mmとし、周波数依存性測定において200℃で測定した。得られた結果を横軸に角周波数(logω)、縦軸に貯蔵弾性率(logG’)とし、logωの範囲が0から-1の時のlogG’の値から傾きを算出した(logG’/logω)。ジアセタール化合物を含むフィルムのlogG’/logωの、基体樹脂のみからなるフィルムのlogG’/logωに対する比(表中、「logG’/logω比」と示す)が0.8以下となった場合、析出を〇とした。
[実施例2]
ポリスチレン樹脂(CR-2500、DIC社製)と1,3:2,4-ビス-O-(p-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール(BMDS、新日本理化株式会社製)との割合を90:10とした以外は実施例1と同様に、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、手動油圧加熱プレス機(型式IMS-481E型、株式会社井元製作所製)にて280℃、1MPaで3分間プレスした後に20MPaで3分間プレスした。次いで、25℃で2分間冷却し、厚み約500μmのフィルムを得た。
得られたフィルムについて、実施例1と同様に評価した。
[実施例3]
ジアセタール化合物として、1,3:2,4-ビス-O-(3,4-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール(BDMDS、新日本理化株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様に、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、手動油圧加熱プレス機(型式IMS-481E型、株式会社井元製作所製)にて260℃、1MPaで3分間プレスした後に20MPaで3分間プレス、25℃で2分間冷却し、厚み約500μmのフィルムを得た。
得られたフィルムについて、実施例1と同様に評価した。
[実施例4]
ジアセタール化合物として、1,3:2,4-ビス-O-(3,4-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール(BDMDS、新日本理化株式会社製)を用いた以外は実施例2と同様に、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、手動油圧加熱プレス機(型式IMS-481E型、株式会社井元製作所製)にて280℃、1MPaで3分間プレスした後に20MPaで3分間プレス、25℃で2分間冷却し、厚み約500μmのフィルムを得た。得られたフィルムについて上述の方法で凍結切片を作製し、TEM観察を行った。TEM画像を[図1]に示す。
得られたフィルムについて、実施例1と同様に評価した。
[比較例1]
ジアセタール化合物を混合せず、ポリスチレン樹脂を実施例1と同様に加熱混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、手動油圧加熱プレス機(型式IMS-481E型、株式会社井元製作所製)にて260℃、1MPaで3分間プレスした後に20MPaで3分間プレス、25℃で2分間冷却し、厚み約500μmのフィルムを得た。
実施例1~実施例4および比較例1の構成および評価結果について、[表1]にまとめて示す。〇(良好)および◎(極めて良好)の評価基準は次のとおりとした。
〇(良好):Δn値が-0.6未満で応力光学係数が-5.0以上
◎(極めて良好):Δn値が-5.0以下でかつ、応力光学係数が-10以下。
表1に示されるとおり、実施例1~4は、比較例1に比べてΔnが負側へ増加した。また、応力光学係数についても、実施例1~4は、比較例1に比べて負側へ増加した。実施例1~4のフィルムはいずれもジアセタール化合物が析出していることが確認された。フィルムはいずれも負の複屈折を示し、ジアセタール化合物が負の方向に複屈折を調整していることが確認された。実施例1、2、実施例3,4をそれぞれ比較すると、ジアセタール化合物の濃度を5%から10%に増加させると、Δnが負の方向へ確実に増加した。また応力光学係数も負の方向へ確実に増加した。
[実施例5]
ポリスチレン樹脂(CR-2500、DIC社製)と、1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-ソルビトール(BDS、新日本理化株式会社製)との重量比が90:10となるように重量を調整し、実施例1と同様に樹脂組成物を作製した。
得られた樹脂組成物を手動油圧加熱プレス機(型式IMS-481E型、株式会社井元製作所製)にて240℃、1MPaで3分間プレスした後に20MPaで3分間プレスした。次いで、25℃で2分間冷却し、厚み約500μmのフィルムを得た。
得られたフィルムについて、析出の確認、偏光顕微鏡による複屈折の測定、せん断応力の測定を行った。ただし、複屈折および応力の測定は、160℃で行った。得られた値に基づいて応力光学係数を算出した。析出の確認は、偏光顕微鏡による複屈折の測定後のフィルムについて、上述の方法で樹脂フィルムの凍結切片を作製し、TEM観察を行った。TEM画像を[図2]に示す。[図2]に示されるとおり、フィルム中にジアセタール化合物が析出し、流動方向に配向していることが確認された。
[比較例2]
比較例1と同様にフィルムを作製し、実施例5と同様に評価を行った。
実施例5および比較例2の構成および評価結果について、[表2]にまとめて示す。〇(良好)および◎(極めて良好)の評価基準は次のとおりとした。
〇(良好):Δn値が-0.6未満で応力光学係数が-5.0以上
◎(極めて良好):Δn値が-5.0以下でかつ、応力光学係数が-10以下。
表2に示されるとおり、ジアセタール化合物として1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-ソルビトールを含有し、ジアセタール化合物が繊維状に析出したフィルムが得られた。また、このフィルムは負の複屈折を示し、比較例2と比較して、トnが負側へ増加した。フィルム中のジアセタール化合物が負の方向に複屈折を調整していることが確認された。また、応力光学係数についても、比較例2に比べて負側へ増加した。
<波長分散の測定および算出>
実施例5および比較例2のフィルムのそれぞれを10×20mmの短冊状に切り出すことにより、試験片を得た。動的粘弾性測定によるlogE’(Pa)の値が8.5(Pa)となる温度に設定し、測定用試験片を、引張機(型式DVE-3 S1000; UBM株式会社製)に設置し、クランプ間の初期距離は10mmとして、0.05s-1のひずみ速度で引き伸ばした。1.5倍に引き伸ばしたフィルムを冷気の吹き付けによって直ちに急冷し、波長分散測定用の試験片を得た。波長分散の測定は、位相差測定装置(型式KOBRA-WPR、王子計測機器株式会社製)を用いた。各測定波長(449.9nm、498.0nm、548.0nm、588.8nm、628.8nm、751.0nm)における位相差(R449.9nm、R498.0nm、R548.0nm、R588.8nm、R628.8nm、R751.0nm)を測定した。各波長で測定した位相差を、引き伸ばしたフィルムの厚みで割ることによって各波長における複屈折(Δn)を計算した。各波長における複屈折(Δn)と、波長588.8nmの複屈折(Δn588.8nm)との比(Δn/Δn588.8nm)を算出した。
実施例5および比較例2の波長分散性の測定結果を[表3]にまとめて示す。
表3に示されるとおり、実施例5のフィルムは波長分散性を示さなかったのに対して、比較例2のフィルムは波長分散性を示した。つまり、ポリスチレン樹脂のみで構成される比較例2に光学調整剤を添加することによって、波長分散性を低減する(消失させる)ことができた。
[実施例6]
ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA、アクリペットVH、三菱ケミカル社製、ガラス転移温度約117℃)と、1,3:2,4-ビス-O-(3,4-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール(BDMDS、新日本理化株式会社製)と重量比が90:10になるように重量を調整し、インターナルミキサー(ラボプラストミル 型式10S100、株式会社東洋精機製作所製)にて混練を行った。まず、200℃、3rpmにて5分間、原料の投入を行い、その後、同温度で、30rpm、3分間混練し、樹脂組成物を得た。なお、混練前に60℃で3時間、真空乾燥を行った。ポリメタクリル酸メチル樹脂のガラス転移温度は、動的粘弾性測定によりE’’(損失弾性率)を求め、そのピークトップをガラス転移温度とした。
得られた樹脂組成物を、手動油圧加熱プレス機(型式IMS-481E型、株式会社井元製作所製)にて260℃、1MPaで3分間プレスした後に、20MPaで3分間プレスした。次いで25℃で2分間冷却し、厚み約500μmのフィルムを得た。
[比較例3]
ジアセタール化合物を混合せず、ポリメタクリル酸メチル樹脂を実施例6と同様に加熱混練し、樹脂組成物を得た。実施例6と同様に、厚み500μmのフィルムを作製した。
[比較例4]
ポリメタクリル酸メチル樹脂と、1,3:2,4-ビス-O-(3,4-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトールと重量比が95:5になるようにした以外は実施例6と同様に、厚み500μmのフィルムを作製した。
得られたフィルムについて、析出の確認、偏光顕微鏡による複屈折の測定、せん断応力の測定を行った。ただし、複屈折および応力の測定は、180℃で行った。得られた値に基づいて応力光学係数を算出した。
実施例6および比較例3~4の構成および評価結果について[表4]にまとめて示す。〇(良好)および×(不良)の評価基準は次のとおりとした。
〇(良好):Δn値が-0.2以下でかつ、応力光学係数が-0.2以下。
×(不良):ジアセタールを添加しない例と差がない。
表4に示されるとおり、実施例6ではジアセタール化合物として1,3:2,4-ビス-O-(3,4-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトールを含有し、ジアセタール化合物が析出したフィルムが得られた。これに対して、比較例4は同じジアセタール化合物を含むが、結晶または会合状態が存在していないフィルムであった。比較例4は、ジアセタール化合物を含まない比較例3と同等の光学特性であった。これに対して、実施例6のフィルムは、負の複屈折を示し、比較例3と比較して、Δnが負側へ増加した。また、応力光学係数についても、比較例3に比べて負側へ増加した。これらの結果から、フィルム中で析出したジアセタール化合物が、負の方向に複屈折を調整する機能を有していると考えられた。
実施例6および比較例3のフィルムについて、上述の方法によって波長分散性を測定した。波長分散性の測定結果を[表5]にまとめて示す。
表5に示されるとおり、実施例6のフィルムは波長分散性を示し、実施例6のフィルムの波長分散性はポリメタクリル酸メチル樹脂のみで構成される比較例3と、同等であった。つまり、光学調整剤の添加の有無によって波長分散性は変化しなかった。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (5)

  1. 負の複屈折を有する非晶質樹脂と、
    式(1)で表されるジアセタール化合物と、
    を含有するフィルムであって、
    前記フィルム中で前記ジアセタール化合物は負の複屈折を示す結晶または会合状態として析出しており、
    負の複屈折を示す、
    光学フィルム用樹脂フィルム。
    (式中、R、R、R、R、RおよびRは、同一または異なり、それぞれ、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基、炭素数1~4のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルケニル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基または炭素数1~4のハロゲン化アルキル基を示す。)
  2. 前記ジアセタール化合物は、前記非晶質樹脂に対して1質量%以上20質量%以下含有される、
    請求項1に記載の光学フィルム用樹脂フィルム。
  3. 前記非晶質樹脂が、ポリスチレン樹脂およびポリメチルメタクリレート樹脂からなる群から選択される1種または2種以上である、
    請求項1に記載の光学フィルム用樹脂フィルム。
  4. 負の複屈折を有する非晶質樹脂と、式(1)で表されるジアセタール化合物とを前記非晶質樹脂の軟化点以上の温度で加熱混合し、ジアセタール化合物を非晶質樹脂に溶解させることによって、樹脂組成物を得る工程と、
    前記樹脂組成物加熱し、溶融状態としてせん断力を与えながら成形する工程と、
    前記成形する工程から継続してせん断力を与えながら冷却する工程と、
    を含み、
    前記ジアセタール化合物が結晶または会合状態として析出し、前記ジアセタール化合物が負の方向に複屈折を調整している、光学フィルム用樹脂フィルムの製造方法。
    (式中、R、R、R、R、RおよびRは、同一または異なり、それぞれ、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基、炭素数1~4のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルケニル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基または炭素数1~4のハロゲン化アルキル基を示す。)
  5. 前記光学フィルム用樹脂フィルム中で前記ジアセタール化合物が結晶または会合状態として析出し、かつ、流動方向に配向し、
    前記ジアセタール化合物が負の方向に複屈折を調整している、
    請求項4に記載の光学フィルム用樹脂フィルムの製造方法。
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