JP7842313B2 - エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物並びにフェノール樹脂 - Google Patents

エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物並びにフェノール樹脂

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Description

本発明は、特定構造を有するエポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物並びにフェノール樹脂に関するものであり、半導体封止材、プリント配線基板、ビルドアップ積層板、光導波路デバイスなどの電気・電子部品、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチックなどの軽量高強度材料、3Dプリンティング用途に好適に使用される。
エポキシ樹脂は、電気的性質(誘電率・誘電正接、絶縁性)、機械的性質、接着性、熱的性質(耐熱性など)などに優れているため、注型品、積層板、IC封止材料等の電気・電子分野、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
近年、電気・電子分野においては、樹脂組成物の難燃性、耐湿性、密着性、誘電特性等の性能向上、高純度化、フィラー(無機または有機充填剤)を高充填させるための低粘度化、成型サイクルを短くするための反応性向上等の諸特性の一層の向上が求められている(特許文献1)。また、構造用材料としては航空宇宙材料、レジャー・スポーツ器具用途などにおいて軽量で機械物性の優れた材料が求められている。特に半導体封止分野、基板(基板自体、もしくはその周辺材料)においては、その半導体の変遷に従い、薄層化、スタック化、システム化、三次元化と複雑になっていき、非常に高いレベルの耐熱性や高流動性といった要求特性が求められる。なお、特にプラスチックパッケージの車載用途への拡大に伴い、耐熱性の向上要求がいっそう厳しくなっている。具体的には、半導体の駆動温度の上昇により、非常に高い耐熱性が求められるようになってきている。特に近年の高ワイドギャップ半導体への移行の動きもあり、175℃さらには200℃以上の駆動温度への対応も必要となってきている(非特許文献1、2)。
半導体封止材分野において、樹脂組成物の高純度化をはじめ耐湿性、密着性、誘電特性、フィラー(無機または有機充填剤)を高充填させるための低粘度化、成型サイクルを短くするための反応性向上等の諸特性の一層の向上が求められている。また、半導体パッケージの形状はその変遷に従い、薄層化、スタック化、システム化、三次元化と複雑になっており、そのワイヤ配線の狭ピッチ化、細線化がますます進んできているため、樹脂組成物の流動性が悪いとワイヤスィープを誘発してしまう。さらに、ワイヤの接続部に負担がかかり悪影響を及ぼすようになってきた。
さらに、フリップチップタイプのパッケージにおいて、安価製造方法という側面からアンダーフィルを使用せず、一気に封止してしまうというモールドアンダーフィルという手法が注目されている。当該方法においては、チップとパッケージ基板の非常に狭い隙間を樹脂が通り抜ける必要があるため、フィラーの微細化が重要となる。また、ウエハーレベルパッケージなど再配線層に使用する封止樹脂や、ビルドアップ層に使用される層間絶縁膜等においては層の厚みが薄いことが必要であり、また線膨張率を下げるため、微細フィラーの充填が必要である。一方、フィラーの微細化により、表面積が大きくなることから、系の粘度が上昇し、ボイド(空隙)発生の原因となるため、樹脂組成物の低粘度化が求められている。
2008年STRJ報告 半導体ロードマップ専門委員会 平成20年度報告、第8章、p1-1、[online]、平成21年3月、JEITA(社)電子情報技術産業協会 半導体技術ロードマップ専門委員会、[平成24年5月30日検索]、<http://strj-jeita.elisasp.net/strj/nenjihоukоku-2008.cfm> 高倉信之他、松下電工技報 車関連デバイス技術 車載用高温動作C、74号、日本、2001年5月31日、35-40頁
特開2015-147854号公報 特開2008-195751号公報 特開2010-018669号公報
エポキシ樹脂組成物の低粘度化の手法としては、例えば低粘度なエポキシ樹脂を添加する方法が挙げられ、特許文献2では低分子量ビスフェノールF型エポキシ樹脂を添加したエポキシ樹脂組成物が検討されている。しかしながら、低粘度なエポキシ樹脂は耐熱性が劣ることが多く高耐熱化のニーズを満足させるのは容易ではない。
また、エポキシ樹脂自体を低粘度化させる手法も用いられる。具体的にはエポキシ樹脂を低分子量化させる方法が挙げられ、特許文献3では低分子量クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が検討されている。しかしながら、エポキシ樹脂が低分子量化して分子量分布が狭分散になることで流動性は向上するが、耐熱性が低下する傾向にあり特許文献3も例外ではない。
このような背景から、耐熱性を著しく損なうことなく高流動性を担保できる材料の開発が望まれている。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、高流動性と耐熱性に優れるエポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、およびエポキシ樹脂の前駆体であるフェノール樹脂を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、下記[1]~[8]に関する。なお、本願において「(数値1)~(数値2)」は上下限値を含むことを示す。
[1]
下記式(a)で表される化合物と下記式(b)で表される化合物とを反応させて得られるフェノール樹脂。
(式(a)中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、炭素数1~5の炭化水素基を表す。複数存在するRの炭素数の合計は2~8である。kは1~3の整数である。)
[2]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでの示差屈折率計検出によって求められる、下記式(c)で表される化合物の含有量が75~95面積%である前項[1]に記載のフェノール樹脂。
(式(c)中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、炭素数1~5の炭化水素基を表す。Rで置換された各ベンゼン環において、複数存在するRの炭素数の合計は2~8である。kは1~3の整数である。)
[3]
前項[1]または[2]に記載のフェノール樹脂とエピハロヒドリンとを反応して得られるエポキシ樹脂。
[4]
前項[3]に記載のエポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物。
[5]
さらに、硬化剤及び/又は硬化促進剤を含有する前項[4]に記載の硬化性樹脂組成物。
[6]
さらに、硬化促進剤、重合開始剤、エポキシ樹脂、活性エステル化合物、フェノール樹脂、ポリフェニレンエーテル化合物、アミン樹脂、エチレン性不飽和結合を有する化合物、イソシアネート樹脂、ポリアミド樹脂、マレイミド化合物、シアネートエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリブタジエンおよびこの変性物、ポリスチレンおよびこの変性物、ポリエチレンおよびこの変性物、ベンゾオキサジン化合物から選ばれる少なくとも1種以上を含有する前項[4]に記載の硬化性樹脂組成物。
[7]
前項[4]から[6]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
[8]
下記式(d-1)で表されるエポキシ樹脂。
(式(d-1)中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、炭素数1~5の炭化水素基を表す。Rで置換された各ベンゼン環において、複数存在するRの炭素数の合計は2~8である。kは1~3の整数である。nは繰り返し数の平均値であり、1~20である。)
本発明によれば、高流動性と耐熱性に優れたエポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供することができる。
合成例1のGPCチャートを示す。 合成例2のGPCチャートを示す。
以下、本発明に係る実施形態(以下、「本実施形態」とも記す)について、さらに詳細に説明する。
本実施形態のフェノール樹脂は、下記式(a)で表される化合物と下記式(b)で表される化合物とを反応させて得られる。
上記式(a)中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、炭素数1~5の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1~4の炭化水素基を表す。炭素数が6以上の場合、耐熱性が損なわれるほか、硬化物の弾性率低下を引き起こすおそれがあり、基板材料に適用した際に基板の反りが生じる観点から好ましくない。炭化水素基を導入しない場合、硬化物が吸水しやすくなり、はんだリフロー時に膨れが生じる原因となるおそれがある。それぞれ独立して存在するRの炭素数の合計は2~8であり、好ましくは2~6、より好ましくは2~5である。Rの炭素数の合計が1の場合、低吸水化の効果を十分に得られないおそれがあり、合計が9以上の場合、分子量増加による粘度の増加が生じるとともに、耐熱性が低下するおそれがある。高流動性と耐熱性を両立する観点から、Rの炭素数の合計は2~8であることが好ましい。kは1~3の整数を表し、好ましくは2~3である。例えば、k=2、Rはいずれもメチル基であった場合、Rの炭素数の合計は2となる。
上記式(a)で表される化合物として好ましい化合物としては、フェノール性水酸基に対し、2位および5位(もしくは3位および6位)にアルキル基を有することが好ましい。これらの置換位置に炭化水素基を導入することで分子量分布の狭いフェノール樹脂および、そこから誘導されるエポキシ樹脂等を得ることが可能である。フェノール性水酸基に対し、2位および5位(もしくは3位および6位)にアルキル基を有する化合物であれば特に制限されないが、好ましい化合物としては例えば3-メチル-6-t-ブチルフェノール、チモール、カルバクロール、2,5-ジメチルフェノール等を挙げることができる。
上記式(b)で表される化合物は、アルデヒド基のオルソ位に水酸基を有することで、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂に誘導した後、立体障害が生じることに起因し、硬化物の高弾性率化と低吸水化を発現することが可能である。
上記式(a)で表される化合物と上記式(b)で表される化合物の反応は公知のいかなる手法を用いて合成しても良いが、例えば溶剤中酸触媒存在下反応する方法が挙げられる。
上記式(a)の化合物は上記式(b)の化合物に対し1.1~8倍モル仕込んで反応させることが好ましく、1.25~6倍モルであることがより好ましく、1.5~4倍モルであることがさらに好ましい。1.1倍モルを下回った場合、高分子量化により水洗が困難になるほか、樹脂の流動性が著しく低下するおそれがあり、8倍モルを越えた場合、1バッチで製造する収量が著しく低下するほか、廃棄物が増える観点でも好ましくない。反応の際は、酸触媒として塩酸、燐酸、硫酸、蟻酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸のほか、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸、活性白土、酸性白土、ホワイトカーボン、ゼオライト、シリカアルミナ等の固体酸、酸性イオン交換樹脂等を用いることができる。これらは単独でも二種以上を併用しても良い。触媒の使用量は、反応基質であるフェノール類(上記式(a)の化合物)およびサリチルアルデヒド(上記式(b)の化合物)の質量の総和に対して、0.01~25質量%、好ましくは0.1~15質量%である。触媒の使用量が多すぎると合成反応時の攪拌が困難となるおそれがあり、不要な廃棄物が増加する点からも好ましくない。使用する溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族溶剤、シクロヘキサン、n-ヘキサンなどの脂肪族溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンなどのケトン系溶剤などの非水溶性溶剤のほかメタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール系溶剤が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を併用しても良い。また、前記非水溶性溶剤に加えて非プロトン性極性溶剤を併用することもできる。例えば、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルピロリドンなどが挙げられ、2種以上を併用しても良い。反応温度は20~180℃が好ましく、40~160℃がより好ましく、50℃~130℃がさらに好ましい。反応温度が高すぎるとトリスフェノールメタン構造のメチン構造が分解するおそれがあり、反応温度が低すぎると反応が十分に進行しない恐れがある。反応終了後、アルカリ水溶液等で酸性触媒を中和後、溶剤回収を行い、中和塩とともに目的のフェノール樹脂を得ても良い。あるいは油層に非水溶性有機溶剤を加えて廃水が中性になるまで水洗を繰り返したのち、溶剤を加熱減圧下において除去し、目的のフェノール樹脂を得ても良い。活性白土やイオン交換樹脂を用いた場合は、反応終了後に反応液を濾過して触媒を除去後、溶剤を回収し目的のフェノール樹脂を得る。上記式(a)で表される化合物のモノマー残存量としては0.01~10質量%であることが好ましく、0.05~7.5質量%であることがより好ましく、0.1~5質量%であることがさらに好ましい。本モノマー量はエポキシ樹脂の低分子量の残留量に影響し、この量が耐熱性などに影響する。
上記式(a)で表される化合物と上記式(b)で表される化合物とを反応させて得られるフェノール樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析における示差屈折率計検出において下記式(c)で表される化合物を75~95面積%含有する。下記式(c)で表される化合物の含有量が75面積%未満の場合、本実施形態のフェノール樹脂、これを原料としたエポキシ樹脂、およびこれらを含有する硬化性樹脂組成物は十分な流動性が得られないおそれがあり、95面積%を超えた場合、本実施形態のフェノール樹脂、これを原料としたエポキシ樹脂、およびこれらを含有する硬化性樹脂組成物として十分な耐熱性が得られないおそれがあるほか、結晶性が高く溶剤溶解性が低下するおそれがある。
上記式(c)中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、炭素数1~5の炭化水素基を表す。Rで置換された各ベンゼン環において、複数存在するRの炭素数の合計は2~8である。kは1~3の整数である。Rおよびkの好ましい値は上記式(a)と同じである。
上記式(a)で表される化合物と上記式(b)で表される化合物とを反応させて得られるフェノール樹脂の数平均分子量(Mn)としては300~1500であることが好ましく、より好ましくは325~1000であり、さらに好ましくは350~800である。数平均分子量が300を下回る場合、原料残存等により耐熱性が低下するおそれがある。数平均分子量が1500を上回る場合、高分子量化により流動性が低下するおそれがある。
上記式(a)で表される化合物と上記式(b)で表される化合物とを反応させて得られるフェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)としては300~1500であることが好ましく、より好ましくは325~1000であり、さらに好ましくは350~800である。重量平均分子量が300を下回る場合、原料残存等により耐熱性が低下するおそれがある。重量平均分子量が1500を上回る場合、高分子量化により流動性が低下するおそれがある。
上記式(a)で表される化合物と上記式(b)で表される化合物とを反応させて得られるフェノール樹脂の水酸基当量としては100~200g/eq.であることが好ましく、より好ましくは110~180g/eq.であり、さらに好ましくは120~160g/eq.である。上記水酸基当量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析の面積%から計算しても良く、滴定により測定しても良い。滴定で測定する場合は例えば、サンプルをピリジン溶液中、無水酢酸を用いてアセチル化を行い、アセチル化完了後に水で残存する酸無水物を分解し、これを0.5NのKOHエタノール溶液を用いて電位差滴定機で滴定することで遊離の酢酸量の測定を行い、その結果から水酸基当量を求めることができる。
上記式(c)で表される化合物より高分子の成分の含有量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析(示差屈折率計検出)において1~25面積%であることが好ましく3~15面積%であることがさらに好ましい。25面積%を超えると流動性が低下するおそれがあり、3面積%を下回ると溶剤溶解性や耐熱性が低下するおそれがある。
上記式(a)で表される化合物と上記式(b)で表される化合物とを反応させて得られるフェノール樹脂の代表構造は下記式(c-1)のように表すことができる。
上記式(c-1)中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、炭素数1~5の炭化水素基を表す。Rで置換された各ベンゼン環において、複数存在するRの炭素数の合計は2~8である。kは1~3の整数である。Rおよびkの好ましい値は上記式(a)と同じである。nは繰り返し数の平均値であり、1~20であり、好ましくは1~10であり、さらに好ましくは1~5である。nが1未満の場合、モノマー残存が多く耐熱性が低下するおそれがある。nが20を超える場合、十分な流動性が確保できないおそれがある。nはGPC分析により求めることができ、各ピークの面積%から算出しても良いし、数平均分子量(Mn)から算出しても良い。
以下、本実施形態のエポキシ樹脂について説明する。
本実施形態のエポキシ樹脂は、上記式(a)で表される化合物と上記式(b)で表される化合物とを反応させて得られるフェノール樹脂とエピハロヒドリンを反応させることで得ることができる。たとえば本実施形態のフェノール樹脂とエピハロヒドリンを溶剤、触媒の存在下に付加もしくは閉環反応させることで得ることができる。エピハロヒドリンの使用量はフェノール樹脂のフェノール性水酸基1モルに対し通常1.0~20.0モル、好ましくは1.5~10.0モルである。
エポキシ化反応において使用できるアルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ金属水酸化物は固形物であっても、その水溶液を使用してもよい。水溶液を使用する場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液して水を除去し、エピハロヒドリンを反応系内に連続的に戻す方法でもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量はフェノール樹脂のフェノール性水酸基1モルに対して通常0.9~2.5モルであり、好ましくは0.95~1.5モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量が少ないと反応が十分に進行しない。一方で、フェノール樹脂のフェノール性水酸基1モルに対して2.5モルを超えるアルカリ金属水酸化物の過剰使用は不必要な廃棄物の副生を招く。
上記反応を促進するためにテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加しても良い。4級アンモニウム塩の使用量としてはフェノール樹脂のフェノール性水酸基1モルに対し通常0.1~15gであり、好ましくは0.2~10gである。使用量が少なすぎると十分な反応促進効果が得られず、使用量が多すぎるとエポキシ樹脂中に残存する4級アンモニウム塩量が増えてしまうため、電気信頼性を悪化させる原因ともなり得る。
エポキシ化反応の際、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが反応進行上好ましい。アルコール類を使用する場合、その使用量はエピハロヒドリンの使用量に対し通常2~50質量%、好ましくは4~20質量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの使用量に対し通常5~100質量%、好ましくは10~80質量%である。反応温度は通常30~90℃であり、好ましくは35~80℃である。反応時間は通常0.5~100時間であり、好ましくは1~30時間である。
反応終了後、反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることもできる。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はグリシジル化に使用したフェノール樹脂のフェノール性水酸基1モルに対して通常0.01~0.3モル、好ましくは0.05~0.2モルである。反応温度は通常50~120℃、反応時間は通常0.5~24時間である。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本実施形態のエポキシ樹脂が得られる。
本実施形態のエポキシ樹脂の軟化点は40~150℃であることが好ましく、より好ましくは45~125℃であり、さらに好ましくは50~100℃である。軟化点が150℃より高い場合、樹脂取り出しの際に溶剤が残りやすく、硬化時にボイドになりやすい。また溶剤留去時に発泡しやすくなるなど、生産上の課題も大きい。一方で、軟化点が40℃以下の場合、耐熱性や耐熱分解特性に悪影響がある。また、そのエポキシ当量は150~300g/eq.であることが好ましく、より好ましくは160~275g/eq.であり、さらに好ましくは170~250g/eq.である。エポキシ当量が150g/eq.を切る場合、エピクロロヒドリンの残留や、不純物のエポキシ化物が多く残留しており、特性悪化の可能性がある。また300g/eq.を超える場合、耐熱性の低下が課題となる。本実施形態のエポキシ樹脂の150℃におけるICI粘度としては、0.01~0.5Pa・sであることが好ましく、より好ましくは0.01~0.4Pa・sであり、さらに好ましくは0.01~0.3Pa・sである。150℃におけるICI粘度が0.5Pa・sを超える場合、十分な流動性を得ることが難しい。本実施形態においては式(a)の化合物に由来するアルキル基の立体障害と式(b)の化合物に由来する水酸基の配向性(アルデヒドのオルソ位に水酸基を有すること)を利用し、硬化時のゲルタイムを制御することで流動性向上を図っている。硬化時のゲルタイムが早すぎると樹脂が成形時に上手く流動しない。
本実施形態のエポキシ樹脂は下記式(d)で表される化合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析における示差屈折率計検出において75~95面積%含有する。下記式(d)で表される化合物の含有量が75面積%未満の場合、本実施形態のエポキシ樹脂、およびこれらを含有する硬化性樹脂組成物は十分な流動性が得られないおそれがあり、95面積%を超えた場合、本実施形態のエポキシ樹脂、およびこれらを含有する硬化性樹脂組成物として十分な耐熱性が得られないおそれがあるほか、結晶性が高く溶剤溶解性が低下するおそれがある。
上記式(d)中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、炭素数1~5の炭化水素基を表す。Rで置換された各ベンゼン環において、複数存在するRの炭素数の合計は2~8である。kは1~3の整数である。Rおよびkの好ましい値は上記式(a)と同じである。
本実施形態のエポキシ樹脂の代表構造は下記式(d-1)のように表すことができる。
上記式(d-1)中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、炭素数1~5の炭化水素基を表す。Rで置換された各ベンゼン環において、複数存在するRの炭素数の合計は2~8である。kは1~3の整数である。nは繰り返し数の平均値であり、1~20である。R、k、およびnの好ましい値は上記式(c-1)と同じである。
以下、本実施形態の硬化性樹脂組成物について説明する。
本実施形態の硬化性樹脂組成物において用いるエポキシ樹脂は、上記の本実施形態のエポキシ樹脂を単独で使用してもよいが、他のエポキシ樹脂と併用して使用することもできる。併用する場合、本実施形態のエポキシ樹脂が全エポキシ樹脂中に占める割合は10~98質量%であることが好ましく、より好ましくは30~95質量%、さらに好ましくは60~95質量%である。本実施形態のエポキシ樹脂の添加量を10%以上とすることで高流動性、高耐熱性を発現することができる。
本実施形態のエポキシ樹脂と併用されうる他のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)もしくはフェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物;前記フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物;前記フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物;前記フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール等)との重縮合物;前記フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物;前記フェノール類と芳香族ビスアルコキシメチル類(ビスメトキシメチルベンゼン、ビスメトキシメチルビフェニル、ビスフェノキシメチルビフェニル等)との重縮合物;前記ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物またはアルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ樹脂であればこれらに限定されるものではない。具体例としては、「RE310S」、「RE410S」(以上、日本化薬社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「RE303S」、「RE304S」、「RE403S」、「RE404S」(以上、日本化薬社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(以上、DIC社製、ナフタレン型エポキシ樹脂)、「jER(登録商標)828US」、「jER828EL」、「825」、「828EL」(以上、三菱ケミカル社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」、「jER1750」(以上、三菱ケミカル社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(三菱ケミカル社製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「jER630」、「jER630LSD」(以上、三菱ケミカル社製、グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、「ZX1059」(新日鉄住金化学社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、「EX-721」(ナガセケムテックス社製、グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、「セロキサイド(登録商標)2021P」(ダイセル社製、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、「PB-3600」(ダイセル社製、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、「ZX1658」、「ZX1658GS」(以上、新日鉄住金化学社製、液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)、「HP4032H」(DIC社製、ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP-4700」、「HP-4710」(以上、DIC社製、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N-690」(DIC社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N-695」(DIC社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」(以上、DIC社製、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP-6000」(以上、DIC社製、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、「EPPN-502H」(日本化薬社製、トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC-7000L」、「NC-7300」(以上、日本化薬社製、ナフトール-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC-3000H」、「NC-3000」、「NC-3000L」、「NC-3100」(以上、日本化薬社製、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂)、「XD-1000-2L」、「XD-1000-L」、「XD-1000-H」(以上、日本化薬社製、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「ESN475V」(新日鉄住金化学社製、ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN485」(新日鉄住金化学社製、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「YX-4000H」、「YX-4000」、「YL6121」(以上、三菱ケミカル社製、ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX-4000HK」(三菱ケミカル社製、ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX-8800」(三菱ケミカル社製、アントラセン型エポキシ樹脂)、「PG-100」、「CG-500」(大阪ガスケミカル社製、フルオレン系エポキシ樹脂)、「YL-7760」(三菱ケミカル社製、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YL-7800」(三菱ケミカル社製、フルオレン型エポキシ樹脂)「jER1010」(三菱ケミカル社製、固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(三菱ケミカル社製、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本実施形態の硬化性樹脂組成物において使用しうる硬化剤としては、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、フェノール系硬化剤および後述する活性エステル化合物などが挙げられる。使用できる硬化剤の具体例としては、例えばo-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、2,2’-ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’,5,5’-テトラメチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’,5,5’-テトラエチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’,5,5’-テトライソプロピルジフェニルメタン、3,3’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジイソプロピル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジイソプロピル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラ-t-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-メチレンビス(N-メチルアニリン)、ビス(アミノフェニル)フルオレン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、ナフタレンジアミン、ベンジジン、ジメチルベンジジン、国際公開第2017/170551号合成例1および合成例2に記載の芳香族アミン化合物等の芳香族アミン化合物、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、ノルボルナンジアミン、エチレンジアミン、プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ダイマージアミン、メタキシリレンジアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン等が挙げられるが、これに限定されず、組成物に付与したい特性に応じ好適に用いることができる。ポットライフを確保するためには芳香族アミンを使用することが好ましく、即硬化性を付与したい場合には脂肪族アミンを使用することが好ましい。2官能成分を主成分として含有するアミン系化合物を硬化剤として用いることで、硬化反応時、直線性の高いネットワークを構築することができ、特に優れた強靭性を発現することができる。また、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等のアミド系化合物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系化合物;ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)もしくはフェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、フルフラール等)との重縮合物、または前記フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、または前記フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、フルオレノン等)との重縮合物、または前記フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、または前記フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、または前記フェノール類と芳香族ビスアルコキシメチル類(ビスメトキシメチルベンゼン、ビスメトキシメチルビフェニル、ビスフェノキシメチルビフェニル等)との重縮合物、または前記ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、及びこれらの変性物等のフェノール系化合物;イミダゾール、トリフルオロボラン-アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
[活性エステル化合物]
上記活性エステル化合物とは、構造体中にエステル結合を少なくとも1つ含み、かつ、エステル結合の両側に脂肪族鎖、脂肪族環又は芳香族環が結合している化合物をいう。活性エステル化合物としては、例えば、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物を挙げることができ、カルボン酸化合物、酸塩化物、またはチオカルボン酸化合物の少なくともいずれかの化合物と、ヒドロキシ化合物またはチオール化合物の少なくともいずれかの化合物との縮合反応によって得られる。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物または酸塩化物とヒドロキシ化合物から得られるときが好ましく、ヒドロキシ化合物としてはフェノール化合物またはナフトール化合物が好ましい。活性エステル化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
上記酸塩化物としては、例えば、アセチルクロリド、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド、マロニルクロリド、こはく酸ジクロリド、ジグリコリルクロリド、グルタル酸ジクロリド、スベリン酸ジクロリド、セバシン酸ジクロリド、アジピン酸ジクロリド、ドデカンジオイルジクロリド、アゼラオイルクロリド、2,5-フランジカルボニルジクロリド、フタロイルクロリド、イソフタロイルクロリド、テレフタロイルクロリド、トリメシン酸クロリド、ビス(4-クロロカルボニルフェニル)エーテル、4,4’-ジフェニルジカルボニルクロリド、4,4’-アゾジベンゾイルジクロリド等が挙げられる。
上記フェノール化合物及び上記ナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック、後述するフェノール樹脂等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル化合物の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物、国際公開第2020/095829号実施例2に記載の化合物、国際公開第2020/059625号にて開示されている化合物等が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル化合物の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「EXB-8000L-65TM」、「EXB-8150-65T」(DIC社製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416-70BK」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製)、リン原子含有活性エステル系硬化剤としてDIC社製の「EXB-9050L-62M」、ビスフェノールA構造を含む活性エステル化合物として「ユニファイナー W-575」等が挙げられる。
本実施形態の硬化性樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5~1.5当量であることが好ましく、0.6~1.2当量であることが特に好ましい。0.5~1.5当量とすることで良好な硬化物性を得ることができる。
上記硬化剤を用いて硬化反応を行う際には硬化促進剤を併用しても差し支えない。使用できる硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフトエ酸、サリチル酸等のカルボン酸系化合物などが挙げられる。アミン系化合物とエポキシ樹脂の硬化反応を促進する観点からサリチル酸等のカルボン酸系化合物が好ましい。硬化促進剤は、エポキシ樹脂100質量部に対して0.01~15質量部が必要に応じて用いられる。
更に、本実施形態の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、中空シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、クレー、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、カーボンブラック等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤は、用途によりその使用量は異なるが、例えば半導体の封止剤用途に使用する場合は硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐湿性、力学的性質、難燃性などの面から硬化性樹脂組成物中で20質量%以上占める割合で使用するのが好ましく、より好ましくは30質量%以上であり、特にリードフレームとの線膨張率を向上させるために70~95質量%を占める割合で使用することがさらに好ましい。
本実施形態の硬化性樹脂組成物には成形時の金型との離型を良くするために離型剤を配合することができる。離型剤としては従来公知のものいずれも使用できるが、例えばカルナバワックス、モンタンワックスなどのエステル系ワックス、ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸およびこれらの金属塩、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレンなどのポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を併用しても良い。これら離型剤の配合量は全有機成分に対して0.5~3質量%が好ましい。これより少なすぎると金型からの離型が悪く、多すぎるとリードフレームなどとの接着が悪くなる。
本実施形態の硬化性樹脂組成物には無機充填剤と樹脂成分との接着性を高めるためにカップリング剤を配合することができる。カップリング剤としては従来公知のものをいずれも使用できるが、例えばビニルアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、スチリルアルコキシシラン、メタクリロキシアルコキシシラン、アクリロキシアルコキシシラン、アミノアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、イソシアナートアルコキシシランなどの各種アルコキシシラン化合物、アルコキシチタン化合物、アルミニウムキレート類などが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を併用しても良い。カップリング剤の添加方法は、カップリング剤であらかじめ無機充填剤表面を処理した後、樹脂と混練しても良いし、樹脂にカップリング剤を混合してから無機充填剤を混練しても良い。
更に本実施形態の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することができる。用いうる添加剤の具体例としては、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、マレイミド系化合物、シアネートエステル系化合物、シリコーンゲル、シリコーンオイル、並びにカーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤などが挙げられる。
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、前述の各成分の他、以下に例示する各成分を含有してもよい。例えば、カルボン酸化合物、マレイミド化合物、シアネート化合物、イソシアネート化合物、ポリフェニレンエーテル化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、ポリアミド化合物、ポリイミド化合物、アリル化合物、ポリブタジエンおよびこの変性物、ポリスチレンおよびこの変性物、ポリエチレンおよびこの変性物、ベンゾオキサジン化合物、難燃剤、重合開始剤等が挙げられ、これらは1種類で用いても、複数を併用してもよい。これらの化合物のうち、耐熱性、密着性、誘電特性のバランスから、ポリフェニレンエーテル化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、シアネートエステル樹脂、ポリブタジエンおよびこの変性物、ポリスチレンおよびこの変性物、ベンゾオキサジン化合物、難燃剤、重合開始剤等を含有することが好ましい。これらの化合物を含有することによって、硬化物の脆さの改善および金属への密着性を向上でき、はんだリフロー時や冷熱サイクルなどの信頼性試験におけるパッケージのクラックを抑制できる。上記化合物の総使用量は、特に断りがない場合、本実施形態の化合物に対して、好ましくは10質量倍以下、さらに好ましくは5質量倍以下、特に好ましくは3質量倍以下の質量範囲である。また、好ましい下限値は0.1質量倍以上、より好ましくは0.25質量倍以上、更に好ましくは0.5質量倍以上である。上記範囲内であることにより、本実施形態の化合物の耐熱性の効果を活かしつつ、添加する各化合物の効果を付加することができる。これらの成分については、以下に例示するものを使用することができる。
[カルボン酸化合物]
上記カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、シュウ酸、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、5-ヒドロキシイソフタル酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、フランジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’-ジカルボキシジフェニルスルフィド等が挙げられる。市販品としては、G4-142MHR(日本化薬社製)が挙げられる。
[マレイミド化合物]
上記マレイミド化合物としては、例えば、フェニルマレイミド、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、2,2’-ビス〔4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ザイロック型マレイミド化合物(アニリックス マレイミド、三井化学ファイン社製)、ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物(日本国特開2009-001783号公報の実施例4に記載のマレイミド化合物(M2)を含む樹脂溶液を減圧下溶剤留去することにより固形化したもの)、ビスアミノクミルベンゼン型マレイミド(国際公開第2020/054601号記載のマレイミド化合物)、日本国特許6629692号または国際公開第2020/217679号記載のインダン構造を有するマレイミド化合物、日本国特開2023-007239号記載の芳香族ビニル化合物およびアニリン類に由来するポリマレイミド、MATERIAL STAGE Vоl.18,Nо.12 2019 『~続・エポキシ樹脂CAS番号物語~硬化剤CAS番号備忘録 第31回 ビスマレイミド(1)』やMATERIAL STAGE Vоl.19,Nо.2 2019 『~続・エポキシ樹脂CAS番号物語~硬化剤CAS番号備忘録 第32回 ビスマレイミド(2)』に記載されているマレイミド化合物、等が挙げられる。市販品としては、MIR-3000-70MT(ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物、日本化薬社製)、MIZ-001(日本化薬社製)等が挙げられる。
[シアネート化合物]
シアネート化合物は、フェノール化合物をハロゲン化シアンと反応させることにより得られるシアネート化合物であり、具体例としては、ジシアナートベンゼン、トリシアナートベンゼン、ジシアナートナフタレン、ジシアナートビフェニル、2,2’-ビス(4-シアナートフェニル)プロパン、ビス(4-シアナートフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-シアナートフェニル)メタン、2,2’-ビス(3,5-ジメチル-4-シアナートフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-シアナートフェニル)エタン、2,2’-ビス(4-シアナートフェニル)ヘキサフロロプロパン、ビス(4-シアナートフェニル)スルホン、ビス(4-シアナートフェニル)チオエーテル、フェノールノボラックシアナート、フェノール・ジシクロペンタジエン共縮合物の水酸基をシアネート基に変換したもの等が挙げられる。市販品としてはCYTESTER TA(三菱瓦斯化学社製、ビスフェノールA型シアネート樹脂)が挙げられる。これらは1種類で用いても、複数併用してもよい。
また、日本国特開2005-264154号公報に合成方法が記載されているシアネート化合物は、低吸湿性、難燃性、誘電特性に優れているためシアネート化合物として特に好ましい。
シアネート化合物は、必要に応じてシアネート基を三量化させてsym-トリアジン環を形成するために、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸鉛、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、鉛アセチルアセトナート、ジブチル錫マレエート等の触媒を含有させることもできる。
触媒は、シアネート化合物および硬化性樹脂組成物100質量部に対して0.0001~0.10質量部、好ましくは0.00015~0.0015質量部使用することが好ましい。
[イソシアネート化合物]
イソシアネート化合物とは、分子内に2つ以上イソシアネート基を有する化合物である。イソシアネート化合物としては、例えば、p-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環構造のジイソシアネート類、イソシアネートモノマーの一種類以上のビウレット体、又は上記ジイソシアネート化合物を3量化したイソシアネート体等のポリイソシアネート、上記イソシアネート化合物とポリオール化合物とのウレタン化反応によって得られるポリイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種類で用いても、複数併用してもよい。
[ポリフェニレンエーテル化合物]
ポリフェニレンエーテル化合物としては、耐熱性と電気特性の観点から、エチレン性不飽和結合を有するポリフェニレンエーテル化合物であることが好ましく、アクリル基、メタクリル基、又はスチレン構造を有するポリフェニレンエーテル化合物であることがさらに好ましい。市販品としては、SA-9000(SABIC社製、メタクリル基を有するポリフェニレンエーテル化合物)やOPE-2St 1200、OPE-2st 2200(以上、三菱瓦斯化学社製、スチレン構造を有するポリフェニレンエーテル化合物)などが挙げられる。
ポリフェニレンエーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、500~5000であることが好ましく、2000~5000であることがより好ましく、2000~4000であることがより好ましい。数平均分子量が500未満であると、硬化物の耐熱性としては充分なものが得られない傾向がある。また、数平均分子量が5000より大きいと、溶融粘度が高くなり、充分な流動性が得られないため、成形不良となりやすくなる傾向がある。また、反応性も低下して、硬化反応に長い時間を要し、硬化系に取り込まれずに未反応のものが増加して、硬化物のガラス転移温度が低下し、硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。
ポリフェニレンエーテル化合物の数平均分子量が500~5000であれば、優れた誘電特性を維持したまま、優れた耐熱性及び成形性等を発現させることができる。なお、ここでの数平均分子量は、具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等を用いて測定することができる。
ポリフェニレンエーテル化合物は、重合反応により得られたものであっても、数平均分子量10000~30000程度の高分子量のポリフェニレンエーテル化合物を再分配反応させて得られたものであってもよい。また、これらを原料として、メタクリル酸クロリド、アクリル酸クロリド、クロロメチルスチレン等、エチレン性不飽和結合を有する化合物と反応させることでラジカル重合性を付与してもよい。再分配反応によって得られたポリフェニレンエーテル化合物は、例えば、高分子量のポリフェニレンエーテル化合物をトルエン等の溶媒中で、フェノール化合物とラジカル開始剤との存在下で加熱し再分配反応させて得られる。このように再分配反応により得られるポリフェニレンエーテル化合物は、分子鎖の両末端に硬化に寄与するフェノール系化合物に由来する水酸基を有するために、さらに高い耐熱性を維持することができることに加え、エチレン性不飽和結合を有する化合物で変性した後も分子鎖の両末端に官能基を導入できる点から好ましい。また、重合反応により得られたポリフェニレンエーテル化合物は、優れた流動性を示す点から好ましい。
ポリフェニレンエーテル化合物の分子量の調整は、重合反応により得られたポリフェニレンエーテル化合物の場合、重合条件等を調整することにより行うことができる。また、再分配反応によって得られたポリフェニレンエーテル化合物の場合は、再分配反応の条件等を調整することにより、得られるポリフェニレンエーテル化合物の分子量を調整することができる。より具体的には、再分配反応において用いるフェノール系化合物の配合量を調整すること等が考えられる。すなわち、フェノール系化合物の配合量が多いほど、得られるポリフェニレンエーテル化合物の分子量が低くなる。この際、再分配反応を受ける高分子量のポリフェニレンエーテル化合物としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)等を用いることができる。また、前記再分配反応に用いられるフェノール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のように、フェノール性水酸基を分子中に2個以上有する多官能のフェノール系化合物が好ましく用いられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリフェニレンエーテル化合物の含有量は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物100質量部に対し、5~1000質量部であることが好ましく、10~750質量部であることがより好ましい。ポリフェニレンエーテル化合物の含有量が上記範囲であると、耐熱性等に優れるだけではなく、ポリフェニレンエーテル化合物の有する優れた誘電特性を充分に発揮された硬化物が得られる点で好ましい。
[エチレン性不飽和結合を有する化合物]
エチレン性不飽和結合を含有する化合物とは、重合開始剤の使用・不使用を問わず、熱もしくは光により重合可能なエチレン性不飽和結合を分子内に1つ以上有する化合物である。エチレン性不飽和結合を含有する化合物としては、例えば、アセナフチレン、インデン、スチレン、ジビニルベンゼン、前記のフェノール樹脂とエチレン性不飽和結合含有のハロゲン系化合物(クロロメチルスチレン、アリルクロライド、メタリルクロライド、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド等)の反応物、エチレン性不飽和結合含有フェノール類(2-アリルフェノール、2-プロペニルフェノール、4-アリルフェノール、4-プロペニルフェノール、オイゲノール、イソオイゲノール等)とハロゲン系化合物(1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン、4,4’-ビス(クロロメチル)ビフェニル、4,4’-ジフルオロベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ジブロモベンゾフェノン、塩化シアヌル等)の反応物、エポキシ樹脂若しくはアルコール類と(メタ)アクリル酸類(アクリル酸、メタクリル酸等)の反応物及びこれらの酸変性化物等が挙げられる。具体例としては、BVPE(ビスビニルフェニルエタン)、WО2021/100658に記載のビニルベンゼン構造を有する化合物、KAYARAD R-684などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種類で用いても、複数併用してもよい。
[ポリアミド樹脂]
ポリアミド樹脂としては、例えば、ジアミン、ジイソシアネート、オキサゾリンのいずれか1種以上とジカルボン酸の反応物、ジアミンと酸塩化物の反応物、ラクタム化合物の開環重合物が挙げられる。また、これらは1種類で用いても、複数併用してもよい。
上記各原料の具体例を以下に例示するが、これらに限定されるものではない。
<ジアミン>
エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、2-メチル-1,8-ジアミノオクタン、ダイマージアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、キシリレンジアミン、ノルボルナンジアミン、イソホロンジアミン、ビスアミノメチルトリシクロデカン、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ナフタレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジエチルフェニル)メタン、4,4’-メチレンビス-о-トルイジン、4,4’-メチレンビス-о-エチルアニリン、4,4’-メチレンビス-2-エチル-6-メチルアニリン、4,4’-メチレンビス-2,6-ジイソプロピルアニリン、4,4-エチレンジアニリン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、2,7-ジアミノフルオレン、アミノベンジルアミン、ジアミノベンゾフェノン等。
<ジイソシアネート>
ベンゼンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(4-イソシアナトフェニル)メタン、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(2-イソシアナト-2-プロピル)ベンゼン、2,2-ビス(4-イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアナート等。
<ジカルボン酸>
シュウ酸、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、5-ヒドロキシイソフタル酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、フランジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’-ジカルボキシジフェニルスルフィド等。
<酸塩化物>
アセチルクロリド、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド、マロニルクロリド、こはく酸ジクロリド、ジグリコリルクロリド、グルタル酸ジクロリド、スベリン酸ジクロリド、セバシン酸ジクロリド、アジピン酸ジクロリド、ドデカンジオイルジクロリド、アゼラオイルクロリド、2,5-フランジカルボニルジクロリド、フタロイルクロリド、イソフタロイルクロリド、テレフタロイルクロリド、トリメシン酸クロリド、ビス(4-クロロカルボニルフェニル)エーテル、4,4’-ジフェニルジカルボニルクロリド、4,4’-アゾジベンゾイルジクロリド等。
<ラクタム>
ε-カプロラクタム、ω-ウンデカンラクタム、ω-ラウロラクタム等。
[ポリイミド樹脂]
ポリイミド樹脂としては、例えば、前記ジアミンと以下に例示するテトラカルボン酸二無水物の反応物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種類で用いても、複数併用してもよい。具体例としては、WO2023013224A1に記載の方法で得られたポリイミド化合物が挙げられる。
<テトラカルボン酸二無水物>
4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、2,2’-プロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-トリメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,4-テトラメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,5-ペンタメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、チオ-4,4’-ジフタル酸二無水物、スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、1,4-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2-ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、メチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、オキシ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、チオ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、スルホニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、rel-[1S,5R,6R]-3-オキサビシクロ[3,2,1]オクタン-2,4-ジオン-6-スピロ-3’-(テトラヒドロフラン-2’,5’-ジオン)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、エチレングリコール-ビス-(3,4-ジカルボン酸無水物フェニル)エーテル、4,4’-ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、9,9’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物等。
[アリル化合物]
上記アリル化合物としては、例えば、モノアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。具体例としては、「TAIC」(三菱ケミカル社製)、「MA-DGIC」、「DA-MGIC」(以上、四国化成工業社製)等が挙げられる。
[ポリブタジエンおよびこの変性物]
ポリブタジエンおよびこの変性物とは、ポリブタジエン、もしくはポリブタジエンに由来する構造を分子内に有する化合物である。ポリブタジエンに由来する構造は水素添加により、不飽和結合を一部、もしくは全て単結合に変換されていても良い。
ポリブタジエンおよびこの変性物としては、例えば、ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、末端(メタ)アクリレート化ポリブタジエン、カルボン酸末端ポリブタジエン、アミン末端ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種類で用いても、複数併用してもよい。これらのうち、誘電特性の観点からポリブタジエンもしくはスチレンブタジエンゴムが好ましい。スチレンブタジエンゴム(SBR)としては例えば、RICON-100、RICON-181、RICON-184(いずれもクレイバレー社製)、1,2-SBS(日本曹達社製)などが挙げられ、ポリブタジエンとしては、B-1000、B-2000、B-3000(いずれも日本曹達社製)等が挙げられる。ポリブタジエンおよびスチレンブタジエンゴムの分子量としては重量平均分子量500~10000が好ましく、より好ましくは750~7500、さらに好ましくは1000~5000である。上記範囲の下限以下では揮発量が多く、プリプレグ作成時の固形分調整が困難となり、上記範囲の上限以上では、他の硬化性樹脂との相溶性が悪化する。一般に、ビスマレイミドやポリマレイミドのような酸素や窒素などのヘテロ原子を含む化合物の場合、その極性に起因し、主に炭化水素から構成される化合物もしくは炭化水素のみからなる化合物のような低極性化合物との相溶性の担保が困難である。一方、本実施形態の化合物は、それ自体が酸素や窒素などのヘテロ原子を積極的に導入した骨格設計ではないことに起因し、低極性かつ低誘電特性を有する材料や、炭化水素のみで構成される化合物との相溶性にも優れる。
[ポリスチレンおよびこの変性物]
ポリスチレンおよびこの変性物とは、ポリスチレン、もしくはポリスチレンに由来する構造を分子内に有する化合物である。
ポリスチレンおよびこの変性物としては、例えば、ポリスチレン、スチレン・2-イソプロペニル-2-オキサゾリン共重合体(エポクロス RPS-1005、RP-61 いずれも日本触媒社製)、SEP(スチレン-エチレン・プロピレン共重合体:セプトン(登録商標)1020 クラレ社製)、SEPS(スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体:セプトン2002、セプトン2004F、セプトン2005、セプトン2006、セプトン2063、セプトン2104 いずれもクラレ社製)、SEEPS(スチレン-エチレン/エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体:セプトン4003、セプトン4044、セプトン4055、セプトン4077、セプトン4099 いずれもクラレ社製)、SEBS(スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体:セプトン8004、セプトン8006、セプトン8007L いずれもクラレ社製)、SEEPS-ОH(スチレン-エチレン/エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体の末端に水酸基を有する化合物:セプトンHG252 クラレ社製)、SIS(スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体:セプトン5125、セプトン5127 いずれもクラレ社製)、水添SIS(水添スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体:ハイブラー(登録商標)7125F、ハイブラー7311F いずれもクラレ社製)、SIBS(スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体:SIBSTAR(登録商標)073T、SIBSTAR102T、SIBSTAR103T(いずれもカネカ社製)、セプトンV9827(クラレ社製))等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種類で用いても、複数併用してもよい。ポリスチレンおよびこの変性物は、より高い耐熱性を有し、かつ酸化劣化しにくいため、不飽和結合を有さないものが好ましい。また、ポリスチレンおよびこの変性物の重量平均分子量は10000以上であれば特に制限はないが、大きすぎるとポリフェニレンエーテル化合物のほか、重量平均分子量50~1000程度の低分子量成分および、重量平均分子量1000~5000程度のオリゴマー成分との相溶性が悪化し、混合および溶剤安定性の担保が困難になることから、10000~300000程度であることが好ましい。
[ポリエチレンおよびこの変性物]
ポリエチレンおよびこの変性物とは、ポリエチレン、もしくはポリエチレンに由来する構造を分子内に有する化合物である。ポリエチレンおよびこの変性物としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-スチレン共重合体、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体(三井化学社製EBT:K-8370EM、K-9330M等)、エチレン-プロピレン-ビニルノルボルネン共重合体(三井化学社製VNB-EPT:PX-006M、PX-008M、PX-009M等)、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。耐熱性向上の観点から、架橋可能な構造を含有するエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン-プロピレン-ビニルノルボルネン共重合体を用いることが好ましい。また、これらは1種類で用いても、複数併用してもよい。ポリエチレンおよびこの変性物の重量平均分子量は10000以上であれば特に制限はないが、大きすぎるとポリフェニレンエーテル化合物のほか、重量平均分子量50~1000程度の低分子量成分および、重量平均分子量1000~5000程度のオリゴマー成分との相溶性が悪化し、混合および溶剤安定性の担保が困難になることから、10000~300000程度であることが好ましい。
[ベンゾオキサジン化合物]
ベンゾオキサジン化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物、アミノ基を有する化合物、アルデヒド基を有する化合物を反応させた化合物でれば任意のものを用いても良い。フェノール性水酸基を有する化合物としては特に限定されないが、例えば、前述のフェノール樹脂、フェノール類(アルケニル基、アルキル基等の置換基を有しても良い)、ビスフェノール類を用いることができる。アミノ基を有する化合物としては特に限定されないが、前述のアミン樹脂、ジアミン、アニリン類(アルケニル基、アルキル基等の置換基を有しても良い)を用いることができる。アルデヒド化合物としては例えば前述のアルデヒド類を用いることができるが、ホルムアルデヒドを用いることが好ましい。ベンゾオキサジン化合物は市販品を用いても良く、ベンゾオキサジンP-d、F-a、ALP-d(いずれも四国化成社製)、JBZ-BA100N、JBZ-FA100N、JBZ-DP100N、JBZ-OP100N、JBZ-OP100D、JBZ-OP100I(いずれもJFEケミカル社製)、BTBz(日本材料技研社製)などが挙げられる。
[難燃剤]
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、難燃剤を用いてもよい。難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(アンチモン化合物、金属水酸化物、窒素化合物、ホウ素化合物等)、リン系難燃剤等が挙げられるが、ハロゲンフリー難燃性を達成する観点からリン系難燃剤が好ましい。
上記リン系難燃剤としては反応型のものでも添加型のものでもよい。具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル-2,6-ジキシリレニルホスフェート、1,3-フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4-フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4’-ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)等のリン酸エステル類、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド等のホスファン類のほか、エポキシ樹脂と前記ホスファン類の活性水素とを反応させて得られるリン含有エポキシ化合物、赤リン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種類で用いても、複数併用してもよい。上記例示物質のうち、リン酸エステル類、ホスファン類またはリン含有エポキシ化合物が好ましく、1,3-フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4-フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4’-ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)またはリン含有エポキシ化合物が特に好ましい。
難燃剤の含有量は硬化性樹脂組成物100質量部に対し、0.1~0.6質量部の範囲であることが好ましい。0.1質量部未満では難燃性が不十分となるおそれがあり、0.6質量部より多いと硬化物の吸湿性、誘電特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
[重合開始剤]
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、重合開始剤を添加することにより硬化性を向上させることもできる。重合開始剤とは、エチレン性不飽和結合等のオレフィン官能基を重合させることが可能な化合物であり、オレフィンメタセシス重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤等が挙げられる。このなかでも硬化性および適度な安定性を有するラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。ラジカル重合開始剤とは紫外線や可視光の照射または加熱によりラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物をいう。用い得るラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、アゾ系化合物、ベンゾピナコール類等が挙げられ、硬化温度制御やアウトガス抑制、分解物の電気特性への影響が少ないことから有機過酸化物を使用することが好ましい。
上記有機過酸化物としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、過酸化ベンゾイル等のジアシルパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド(DCP)、1,3-ビス-(t-ブチルパーオキシイソプロピル)-ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、α-クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン等のパーオキシカーボネート類、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシオクトエート、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。具体例としては、Irgacure OXE-04、Irgacure 290(以上、BASF社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種類で用いても、複数併用してもよい。上記有機過酸化物の中でも、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーオキシカーボネート類等が好ましく、ジアルキルパーオキサイド類がより好ましい。
上記アゾ系化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種類で用いても、複数併用してもよい。
重合開始剤の添加量としては、硬化性樹脂組成物100質量部に対して0.01~5質量部が好ましく、0.01~3質量部が特に好ましい。用いる重合開始剤の量が0.01質量部未満であると重合反応時に分子量が十分に伸長しないおそれがあり、5質量部より多いと誘電率、誘電正接等の誘電特性を損なうおそれがある。
[重合禁止剤]
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、重合禁止剤を含有しても良い。重合禁止剤を含有することで保管安定性が向上するとともに、反応開始温度を制御することができる。反応開始温度を制御することで、流動性の確保が容易となり、ガラスクロスなどへの含浸性が損なわれない上に、プリプレグ化などBステージ化が容易となる。プリプレグ化時に重合反応が進行しすぎると積層工程で積層が困難となるなどの不具合が発生しやすい。
重合禁止剤は、本実施形態の化合物を合成するときに添加しても、合成後に添加してもよい。重合禁止剤の使用量は、本実施形態の化合物100重量部に対して、0.008~1重量部、好ましくは0.01~0.5重量部である。
重合禁止剤としては、例えば、フェノール系、イオウ系、リン系、ヒンダードアミン系、ニトロソ系、ニトロキシルラジカル系等が挙げられる。また、重合禁止剤は1種類で用いても、複数併用してもよい。これらのうち本実施形態では、フェノール系、ヒンダードアミン系、ニトロソ系、ニトロキシルラジカル系が好ましい。
上記フェノール系重合禁止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-p-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール等のモノフェノール類、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-{β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルスルホン酸エチル)カルシウム等のビスフェノール類、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-s-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール等の高分子型フェノール類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記イオウ系重合禁止剤としては、例えば、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記リン系重合禁止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2-t-ブチル-6-メチル-4-{2-(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記ヒンダードアミン系重合禁止剤としては、例えば、アデカスタブ(登録商標)LA-40MP、アデカスタブLA-40Si、アデカスタブLA-402AF、アデカスタブLA-87、アデカスタブLA-82、アデカスタブLA-81、アデカスタブLA-77Y、アデカスタブLA-77G、アデカスタブLA-72、アデカスタブLA-68、アデカスタブLA-63P、アデカスタブLA-57、アデカスタブLA-52(以上、株式会社ADEKA製)、Chimassorb(登録商標)2020FDL、Chimassorb944FDL、Chimassorb944LD、Tinuvin(登録商標)622SF、TinuvinPA144、Tinuvin765、Tinuvin770DF、TinuvinXT55FB、Tinuvin111FDL、Tinuvin783FDL、Tinuvin791FB(以上、BASF社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記ニトロソ系重合禁止剤としては、例えば、p-ニトロソフェノール、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンのアンモニウム塩(クペロン)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、好ましくは、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンのアンモニウム塩(クペロン)である。
上記ニトロキシルラジカル系重合禁止剤としては、例えば、ジ-tert-ブチルニトロキサイド、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-アセトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[光安定剤]
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、光安定剤を用いてもよい。光安定剤としては、ヒンダードアミン系の光安定剤(Hindered Amine Light Stabilizers、HALS)等が好適である。HALSとしては、例えば、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの反応物、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ〔{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)〔〔3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクチロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種類で用いても、複数併用してもよい。
光安定剤の含有量は硬化性樹脂組成物100質量部に対し、0.001~0.1質量部の範囲であることが好ましい。0.001質量部未満では光安定効果を発現するのに不十分となるおそれがあり、0.1質量部より多いと硬化物の吸湿性、誘電特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。本実施形態の硬化性樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば、エポキシ樹脂と硬化剤、並びに必要により硬化促進剤、無機充填剤、離型剤、シランカップリング剤及び添加剤とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合することにより本実施形態の硬化性樹脂組成物を得て、これを溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80~200℃で2~10時間加熱することにより硬化物を得ることができる。
また本実施形態の硬化性樹脂組成物は必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。溶剤を含む硬化性樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)はガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの繊維状物質(基材)に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本実施形態の硬化性樹脂組成物の硬化物とすることができる。この硬化性樹脂組成物の溶剤含量は、内割りで通常10~70質量%、好ましくは15~70質量%程度である。溶剤としては例えばγ-ブチロラクトン類;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤;テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、好ましくは低級(炭素数1~3)アルキレングリコールのモノ又はジ低級(炭素数1~3)アルキルエーテル;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、好ましくは2つのアルキル基が同一でも異なってもよいジ低級(炭素数1~3)アルキルケトン;トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤等が挙げられる。これらは単独であっても、また2以上の混合溶媒であってもよい。
また、剥離フィルム上に前記エポキシ樹脂ワニスを塗布し加熱下で溶剤を除去、Bステージ化を行うことによりシート状の接着剤を得ることができる。このシート状接着剤は多層基板などにおける層間絶縁層として使用することができる。
本実施形態で得られる硬化物は各種用途に使用できる。詳しくはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSI用などのポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップ用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)などを挙げることができる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明する。以下、特に断わりのない限り、部は質量部である。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に実施例で用いた各種分析方法について記載する。
・GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析
装置:DGU-20A、LC-20AD、SIL-20A、RID-20A、SPD-M40、CTО-20A、CBM-20A
カラム:SHODEX GPC KF-601(2本)、KF-602、KF-602.5、KF-603
流速:1.5ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
・ICI粘度(150℃):JIS K-7117-2 に準拠した方法で測定した。
・軟化点:METTER TOLEDO社 軟化点測定器 FP90を用い測定した。
・エポキシ当量:JIS K-7236に準拠した方法で測定した。
[実施例1]
温度計、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、3-メチル-6-t-ブチルフェノール311.6部、4-メチル-2-t-ブチルフェノール0.4部、サリチルアルデヒド122部、メタノール217部、メタンスルホン酸5部を加え、60℃に昇温し13時間反応させた。室温まで放冷し、48%水酸化ナトリウム水溶液4.4部を加え中和し、減圧下60℃で溶剤回収して、下記式(c-2)で表されるフェノール樹脂(P1)を黄色粉末として得た。GPCチャートを図1に示す(数平均分子量Mnは581、重量平均分子量Mwは601であった)。GPCの面積%から計算される水酸基当量は144g/eq.であった(収量は417部であり、内7g分の塩を含有している)。原料の3-メチル-6-t-ブチルフェノールと4-メチル-2-t-ブチルフェノールに由来するピーク面積の合計値は0.5面積%、下記式(c-2)で表される化合物のn=1である成分に由来するピーク面積は91.6面積%、下記式(c-2)で表される化合物のn=1より高分子の化合物に由来するピーク面積は7.9面積%であった。
[実施例2]
温度計、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら実施例1で得られたフェノール樹脂(P1)407部に、エピクロルヒドリン1305部、ジメチルスルホキシド386部、水23部を加え内温を45℃に昇温した。水酸化ナトリウム114部を3時間かけて分割添加し、45℃で1.5時間、70℃で0.5時間反応させた。減圧下、溶剤および過剰のエピクロルヒドリンを留去し、メチルイソブチルケトン1280部を加えた。水670部で有機層を洗浄後、30wt%水酸化ナトリウム水溶液25.3部、メタノール26.9部、水25部を加え、75℃で1時間反応させた。排水が中性になるまで有機層を水洗し、得られた溶液を減圧下、溶剤留去し、下記式(d-2)で表されるエポキシ樹脂(E1)を黄色固体として525部得た。エポキシ当量は216g/eq.、150℃でのICI粘度は0.04Pa・s、軟化点は72.4℃であった。得られたエポキシ樹脂(E1)のGPCチャートを図2に示す(数平均分子量Mnは593、重量平均分子量Mwは644であった)。原料の3-メチル-6-t-ブチルフェノールとエピハロヒドリンの反応物、4-メチル-2-t-ブチルフェノールとエピハロヒドリンの反応物に由来するピーク面積の合計値は0.3面積%、下記式(d-2)で表される化合物のn=1である成分に由来するピーク面積は86.0面積%、下記式(d-2)で表される化合物より高分子の化合物に由来するピーク面積は13.7面積%であった。
[実施例3および比較例1]
実施例2で得られたエポキシ樹脂(E1)および下記式(e)で表されるエポキシ樹脂(FAE-2500、日本化薬社製、エポキシ当量216g/eq.、軟化点86℃、150℃におけるICI粘度0.29Pa・s)、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社製 PN(H-1) 軟化点85℃、水酸基当量104g/eq.)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(以下、TPPとも表記する)を使用し、表1の割合(重量部)で配合し、ミキシングロールを用いて均一に混合・混練し、更に脱型後、160℃で2時間、180℃で6時間の条件で硬化し、評価用試験片を得た。
[ゲルタイム]
175℃に熱したホットプレート上でゲル化までの時間を測定した。
[耐熱性・ガラス転移温度(Tg)]
動的粘弾性試験機により測定し、tanδが最大値のときの温度
動的粘弾性測定器:TA-instruments製DMA-2980
昇温速度:2℃/分
[5%重量減少温度]
TG/DTA6200(日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、窒素ガス流量200mL/min、昇温速度10℃/minで30℃から300℃まで測定した。
[曲げ弾性率]
JIS K-6911に準拠して測定し、30℃で測定した。
[吸水率]
直径5cm×厚み4mmの円盤状の試験片の初期質量を測定した後、試験片を100℃の水に浸し、24時間保持した後の質量を測定し、以下の式より吸水率を算出した。
吸水率(%)=(24時間後の質量-初期質量)/24時間後の質量
本発明のフェノール樹脂P1とエポキシ樹脂E1は、ICI粘度が低く高流動性を有することが確認された。また、本発明の硬化性樹脂組成物である実施例3はゲルタイムが長く、溶融後に低粘度を維持できる時間が長いという観点において流動性に優れることが確認された。また、その硬化物は200℃以上のガラス転移温度を有することから耐熱性は良好であり、さらに弾性率、低吸水性にも優れることが確認された。
本発明のエポキシ樹脂は、半導体封止材、プリント配線基板、ビルドアップ積層板、光導波路デバイスなどの電気・電子部品に好適に使用される。

Claims (6)

  1. フェノール樹脂とエピハロヒドリンとを反応して得られるエポキシ樹脂であって、
    前記フェノール樹脂は、下記式(a)で表される化合物と下記式(b)で表される化合物とを反応させて得られ、
    前記フェノール樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでの示差屈折率計検出によって求められる、下記式(c)で表される化合物の含有量が75~95面積%である、
    エポキシ樹脂。
    (式(a)中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、炭素数1~5の炭化水素基を表す。複数存在するRの炭素数の合計は2~8である。kは1~4の整数である。)
    (式(c)中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、炭素数1~5の炭化水素基を表す。Rで置換された各ベンゼン環において、複数存在するRの炭素数の合計は2~8である。kは1~3の整数である。)
  2. 請求項1に記載のエポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物。
  3. さらに、硬化剤及び/又は硬化促進剤を含有する請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. さらに、硬化促進剤、重合開始剤、エポキシ樹脂、活性エステル化合物、フェノール樹脂、ポリフェニレンエーテル化合物、アミン樹脂、エチレン性不飽和結合を有する化合物、イソシアネート樹脂、ポリアミド樹脂、マレイミド化合物、シアネートエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリブタジエンおよびこの変性物、ポリスチレンおよびこの変性物、ポリエチレンおよびこの変性物、ベンゾオキサジン化合物から選ばれる少なくとも1種以上を含有する請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項2に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
  6. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでの示差屈折率計検出によって求められる、下記式(d-1)で表される化合物の含有量が75~95面積%であるエポキシ樹脂。
    (式(d-1)中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、炭素数1~5の炭化水素基を表す。Rで置換された各ベンゼン環において、複数存在するRの炭素数の合計は2~8である。kは1~3の整数である。nは繰り返し数の平均値であり、1~20である。)
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