JP7842290B1 - 負極活物質及びその製造方法 - Google Patents

負極活物質及びその製造方法

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広太 高橋
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Abstract

【課題】 電池特性を維持しつつ、容量を増加可能な負極活物質を提供する。
【解決手段】 負極活物質粒子を有する負極活物質であって、前記負極活物質粒子は、母材である多孔質炭素の構造体を含み、前記多孔質炭素の構造体は、内部に形成された細孔の一部が、他の細孔に連通する構造を有しており、前記多孔質炭素の構造体の内部に、アモルファス状の低価数ナノシリコン化合物が分散されており、前記低価数ナノシリコン化合物の少なくとも一部にSi-C結合が存在し、前記多孔質炭素の構造体と前記低価数ナノシリコン化合物が剥離可能に接合している負極活物質。
【選択図】 図1

Description

本発明は、負極活物質及びその製造方法に関する。
近年、モバイル端末などに代表される小型の電子機器が広く普及しており、さらなる小型化、軽量化及び長寿命化が強く求められている。このような市場要求に対し、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。この二次電池は、小型の電子機器に限らず、自動車などに代表される大型の電子機器、家屋などに代表される電力貯蔵システムへの適用も検討されている。
その中でも、リチウムイオン二次電池は小型かつ高容量化が行いやすく、また、鉛電池、ニッケルカドミウム電池よりも高いエネルギー密度が得られるため、大いに期待されている。
上記のリチウムイオン二次電池は、正極、負極、及び、セパレータと共に電解液を備えており、負極は充放電反応に関わる負極活物質を含んでいる。
この負極活物質としては、炭素系活物質が広く使用されている一方で、最近の市場要求から電池容量のさらなる向上が求められている。電池容量向上のために、負極活物質材としてケイ素を用いることが検討されている。なぜならば、ケイ素の理論容量(4199mAh/g)は黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも10倍以上大きいため、電池容量の大幅な向上を期待できるからである。負極活物質材としてのケイ素材の開発はケイ素単体だけではなく、合金、酸化物に代表される化合物などについても検討されている。また、活物質形状は、炭素系活物質では標準的な塗布型から、集電体に直接堆積する一体型まで検討されている。
しかしながら、負極活物質としてケイ素を主原料として用いると、充放電時に負極活物質が膨張及び収縮するため、主に負極活物質表層近傍で割れやすくなる。また、活物質内部にイオン性物質が生成し、負極活物質が割れやすい物質となる。負極活物質表層が割れると、それによって新表面が生じ、活物質の反応面積が増加する。この時、新表面において電解液の分解反応が生じるとともに、新表面に電解液の分解物である被膜が形成されるため電解液が消費される。このためサイクル特性が低下しやすくなる。
これまでに、電池初期効率やサイクル特性を向上させるために、ケイ素材を主材としたリチウムイオン二次電池用負極活物質材料、電極構成についてさまざまな検討がなされている。
具体的には、良好なサイクル特性や高い安全性を得る目的で、気相法を用いケイ素及びアモルファス二酸化ケイ素を同時に堆積させている(例えば特許文献1参照)。また、高い電池容量や安全性を得るために、ケイ素酸化物粒子の表層に炭素材(電子伝導材)を設けている(例えば特許文献2参照)。さらに、サイクル特性を改善するとともに高入出力特性を得るために、ケイ素及び酸素を含有する活物質を作製し、かつ、集電体近傍での酸素比率が高い活物質層を形成している(例えば特許文献3参照)。また、サイクル特性を向上させるために、ケイ素活物質中に酸素を含有させ、平均酸素含有量が40at%以下であり、かつ集電体に近い場所で酸素含有量が多くなるように形成している(例えば特許文献4参照)。
また、初回充放電効率を改善するためにSi相、SiO、MO金属酸化物を含有するナノ複合体を用いている(例えば特許文献5参照)。また、サイクル特性改善のため、SiO(0.8≦x≦1.5、粒径範囲=1μm~50μm)と炭素材を混合して高温焼成している(例えば特許文献6参照)。また、サイクル特性改善のために、負極活物質中におけるケイ素に対する酸素のモル比を0.1~1.2とし、活物質、集電体界面近傍におけるモル比の最大値、最小値との差が0.4以下となる範囲で活物質の制御を行っている(例えば特許文献7参照)。また、電池負荷特性を向上させるため、リチウムを含有した金属酸化物を用いている(例えば特許文献8参照)。また、サイクル特性を改善させるために、ケイ素材表層にシラン化合物などの疎水層を形成している(例えば特許文献9参照)。
また、サイクル特性改善のため、酸化ケイ素を用い、その表層に黒鉛被膜を形成することで導電性を付与している(例えば特許文献10参照)。特許文献10において、黒鉛被膜に関するRAMANスペクトルから得られるシフト値に関して、1330cm-1及び1580cm-1にブロードなピークが現れるとともに、それらの強度比I1330/I1580が1.5<I1330/I1580<3となっている。また、高い電池容量、サイクル特性の改善のため、二酸化ケイ素中に分散されたケイ素微結晶相を有する粒子を用いている(例えば、特許文献11参照)。また、過充電、過放電特性を向上させるために、ケイ素と酸素の原子数比を1:y(0<y<2)に制御したケイ素酸化物を用いている(例えば特許文献12参照)。
また、ケイ素酸化物を用いたリチウムイオン二次電池は、日立マクセルが2010年6月にナノシリコン複合体を採用したスマートフォン用の角形の二次電池の出荷を開始した(例えば非特許文献1参照)。Hohlより提案されたケイ素酸化物はSi0+~Si4+の複合材であり様々な酸化状態を有する(非特許文献2)。またKapaklisはケイ素酸化物に熱負荷を与えることでSiとSiOにわかれる、不均化構造を提案している(非特許文献3)。
Miyachiらは不均化構造を有するケイ素酸化物のうち充放電に寄与するSiとSiOに注目しており(非特許文献4)、Yamadaらはケイ素酸化物とLiの反応式を次のように提案している(非特許文献5)。
2SiO(Si+SiO) + 6.85Li + 6.85e
→ 1.4Li3.75Si + 0.4LiSiO + 0.2SiO
反応式ではケイ素酸化物を構成するSiとSiOがLiと反応し、LiシリサイドとLiシリケート、一部未反応であるSiOにわかれる。
ここで生成したLiシリケートは不可逆で、一度形成した後はLiを放出せず安定した物質であると一般に言われている。この反応式から計算される質量当たりの容量は、実験値とも近い値を有しており、ケイ素酸化物の反応メカニズムとして認知されている。Kimらはケイ素酸化物の充放電に伴う不可逆成分、LiシリケートをLiSiOとして、Li-MAS-NMRや29Si-MAS-NMRを用いて同定している(非特許文献6)。
この不可逆容量はケイ素酸化物の最も不得意とするところであり、改善が求められている。そこでKimらは予めLiシリケートを形成させるLiプレドープ法を用いて,電池として初回効率を大幅に改善し,実使用に耐えうる負極電極を作製している(非特許文献7)。また電極にLiドープを行う手法ではなく、粉末に処理を行う方法も提案し、不可逆容量の改善を実現している(特許文献13)。
一方、Liドープに使用するLiメタルは、市場状況に応じて、価格の上下限が激しく、工業化としてとらえた場合、課題が多い。そこで、多孔質炭素にシランガスを用い、内部にナノシリコンを生成されるCVD-Si-Cで、LiドープSiOよりも高いエネルギー密度を実現できている(特許文献14、15)。
また、多孔質炭素材料の細孔径が小さいために表面に過剰量のシリコンが析出して電気抵抗率が高くなるという問題に着目し、電気抵抗率を低減するために、SiC(炭化ケイ素)が含まれていない、あるいはSiCの含有量が極めて低い複合体粒子が提案されている(特許文献16)。
特開2001-185127号公報 特開2002-042806号公報 特開2006-164954号公報 特開2006-114454号公報 特開2009-070825号公報 特開2008-282819号公報 特開2008-251369号公報 特開2008-177346号公報 特開2007-234255号公報 特開2009-212074号公報 特開2009-205950号公報 特開平06-325765号公報 特開2015-156355号公報 米国特許第10,608,254号明細書 米国特許第11,165,054号明細書 国際公開第WO2024/142699号
社団法人電池工業会機関紙「でんち」平成22年5月1日号、第10頁 A. Hohl, T. Wieder, P. A. van Aken, T. E. Weirich, G. Denninger, M. Vidal, S. Oswald, C. Deneke, J. Mayer, and H. Fuess : J. Non-Cryst. Solids, 320, (2003), 255. V. Kapaklis, J. Non-Crystalline Solids, 354 (2008) 612 Mariko Miyachi, Hironori Yamamoto, and Hidemasa Kawai, J. Electrochem. Soc. 2007 volume 154, issue 4, A376-A380 M. Yamada, A. Inaba, A. Ueda, K. Matsumoto, T. Iwasaki, T. Ohzuku, J. Electrochem. Soc., 159, A1630 (2012) Taeahn Kim, Sangjin Park, and Seung M. Oh, J. Electrochem. Soc. volume 154,(2007), A1112-A1117. Hye Jin Kim, Sunghun Choi, Seung Jong Lee, Myung Won Seo, Jae Goo Lee, Erhan Deniz, Yong Ju Lee, Eun Kyung Kim, and Jang Wook Choi,. Nano Lett. 2016, 16, 282-288. 車載用リチウムイオン電池の開発最前線、P96-111、シーエムシー出版、2020年11月27日発行
上述したように、近年、モバイル端末などに代表される小型の電子機器は高性能化、多機能化がすすめられており、その主電源であるリチウムイオン二次電池は電池容量の増加が求められている。この問題を解決する1つの手法として、ケイ素材を主材として用いた負極からなるリチウムイオン二次電池の開発が望まれている。
また、ケイ素材を用いたリチウムイオン二次電池は、炭素系活物質を用いたリチウムイオン二次電池と同等に近い初期充放電特性及びサイクル特性が望まれている。そこで、Liの挿入、一部脱離により改質されたケイ素酸化物を負極活物質として使用することで、サイクル特性、及び初期充放電特性を改善してきた。昨今では、ケイ素酸化物を主とし、予めLiを含有させ、Liシリケートを生成することで、ケイ素酸化物のデメリットである不可逆容量を低減、実際に、上市しはじめている。このケイ素酸化物にLiを用いた、Li-SiO-C(非特許文献8)を炭素負極材に100%置き換え電池を試作しても炭素負極材に比べ、20%台後半の容量向上に留まる。これは小型電子機器の高性能化(5G等)、電気自動車の走行距離向上を考慮した際、さらなる電池容量の向上が求められることを意味している。
そこで、不可逆容量が少ない、CVD-Si-Cが開発されたが、Siと電解液の反応によって、高速充電性や電池サイクル特性が不十分であることがわかっている。
また、一般的にLi-Si化合物は、充放電を繰り返すと新生面が生じる毎に電解液が分解する問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、電池特性を維持しつつ、容量を増加可能な負極活物質を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、負極活物質粒子を有する負極活物質であって、前記負極活物質粒子は、母材である多孔質炭素の構造体を含み、前記多孔質炭素の構造体は、内部に形成された細孔の一部が、他の細孔に連通する構造を有しており、前記多孔質炭素の構造体の内部に、アモルファス状の低価数ナノシリコン化合物が分散されており、前記多孔質炭素の構造体と前記低価数ナノシリコン化合物の界面の少なくとも一部にSi-C結合が存在し、前記多孔質炭素の構造体と前記低価数ナノシリコン化合物が剥離可能に接合していることを特徴とする負極活物質を提供する。
本発明の負極活物質は、多孔質炭素の構造体の内部にアモルファス状の低価数ナノシリコン酸化物が分散されているものであるため、多孔質炭素の構造体の存在により、内部の低価数ナノシリコン酸化物の膨張による悪影響を軽減することができる。また、負極活物質粒子の少なくとも一部にSi-C結合が存在することにより、構造を安定化し、耐水性を改善することができる。また、内部に形成された細孔の一部が、他の細孔に連通する構造を有し、多孔質炭素の構造体と前記低価数ナノシリコン化合物が剥離可能に接合していることにより、Liの拡散性を大幅に改善することができる。その結果、これらの特性を有する負極活物質を使用した電池の電池特性を良好なものとすることができる。
この場合、前記負極活物質粒子の表面から50nmの範囲における前記低価数ナノシリコン酸化物は、前記負極活物質粒子の表面から50nmよりも深いバルク部におけるSiの相構造と異なる構造を有することが好ましい。
このような構造により、さらに効果的に耐水性を改善することができる。
また、前記低価数ナノシリコン酸化物は、実質的に0価、1価、2価、3価の複合状態であることが好ましい。
このようなシリコン酸化物を用いることにより、一般的なSiOよりも低い不可逆容量が維持できる。
また、前記多孔質炭素の構造体における細孔の細孔径は、非連続的な変化を有するとともに、窒素ガスを使用したBJH法による細孔径分布測定で、直径1.8以上2nm以下のマイクロ孔がもつ細孔容積Aと、直径10.0以上22.0nm以下のメソ孔がもつ細孔容積Bと、直径25.0nm以上42.0nm以下のメソ孔がもつ細孔容積Cと、直径50.0nm以上102nm以下のマクロ孔がもつ細孔容積Dとの関係が、比B/Aが0.03以上であり、比C/Aが0.01以上であり、比D/Aが0.01以上であることが好ましい。
このような細孔径分布であれば、シランの分解確率を上げる事が可能となり、シリコンの充填量を増やす事につながる。その結果、電池容量の向上につながる。
また、前記負極活物質粒子は、表面の一部または全部が、前記母材である多孔質炭素とは別の炭素層を有し、その界面は、C=OまたはC-O結合が形成されていることが好ましい。
このような、C=OまたはC-O結合を有することにより、炭素層の密着性を強める事が出来る。そのため、例えばスラリー作製時に高速シェアをかけても健全性が保たれるなど、強靱な構造を実現できる。
また、前記負極活物質粒子をX線回折測定により測定したピークからシェラーの式を用いて算出した、前記低価数ナノシリコン酸化物を構成する0価のSiのグレインサイズは、0.8nm~5nmの範囲であることが好ましい。また、前記負極活物質粒子の前記低価数ナノシリコン酸化物は実質的に非晶質であることが好ましい。
また、前記負極活物質粒子全体に含まれる酸素量は、0.3wt%以上、8wt%以下の範囲であることが好ましい。
このような酸素量であることにより、電池容量を高いものとすることができる。
また、本発明は、負極活物質粒子を有する負極活物質を製造する方法であって、母材である多孔質炭素の構造体を準備するステップと、前記多孔質炭素の構造体に含まれる活性点に、OH基を含ませるステップと、前記多孔質炭素の構造体を加熱容器内に載置するステップと、前記多孔質炭素の構造体を前記加熱容器内で加熱してガス流下に置き、該加熱下で、前記活性点に含まれる酸素原子由来の一酸化炭素ガス又は二酸化炭素ガスが、排気工程で検出されることを確認するステップと、前記酸素原子由来の一酸化炭素ガス又は二酸化炭素ガスが排気工程で検出される状態で、前記加熱容器内にモノシランガスを流して、25kPa以上80kPa以下の陽圧雰囲気でモノシランガスを分解させることにより、ケイ素酸化物をダングリングボンドを含んだ状態で堆積させ、前記多孔質炭素の構造体内部に、前記多孔質炭素が有する前記酸素原子と一部結合したケイ素酸化物を堆積させるステップと、前記堆積させたケイ素酸化物のうち、前記多孔質炭素の表層に存在する前記ケイ素酸化物に含まれるSiの少なくとも一部を減圧雰囲気で酸化する工程と、前記酸化の後に、炭化水素ガスを用い、600℃以下で炭素層を堆積するステップとを含む負極活物質を製造することを特徴とする負極活物質の製造方法を提供する。
このような負極活物質の製造方法であれば、上記のように、多孔質炭素の構造体の内部に、アモルファス状の低価数ナノシリコン酸化物が分散され、Si-C結合が存在し、相構造を制御した低価数ナノシリコン酸化物を含む負極活物質であり、かつ多孔質炭素の構造体と低価数ナノシリコン化合物が剥離可能に接合しているものを簡便で効率よく製造することができる。
この場合、前記モノシランガスの分解により前記低価数ナノシリコン化合物を形成する際、前記モノシランガスが気相中で単分子熱分解反応によって、シリレンを経由した反応をする方法とすることができる。
このような原理により、上記負極活物質を製造することができる。
本発明の負極活物質は、多孔質炭素の構造体の内部にアモルファス状の低価数ナノシリコン酸化物が分散されているものであるため、多孔質炭素の構造体の存在により、内部の低価数ナノシリコン酸化物の膨張による悪影響を軽減することができる。また、負極活物質粒子の少なくとも一部にSi-C結合が存在することにより、構造を安定化し、耐水性を改善することができる。また、内部に形成された細孔の一部が、他の細孔に連通する構造を有し、多孔質炭素の構造体と前記低価数ナノシリコン化合物が剥離可能に接合していることにより、足場構造を有さない、柔らかいケイ素を形成する事ができ、またその様にして堆積したケイ素化合物の内部は、Li拡散性が高いため、Liの拡散性を大幅に改善することができる。その結果、これらの特性を有する負極活物質を使用した電池の電池特性を良好なものとすることができる。
また、本発明の負極活物質の製造方法は、多孔質炭素の構造体の内部に、アモルファス状の低価数ナノシリコン酸化物が分散され、Si-C結合が存在し、相構造を制御した低価数ナノシリコン酸化物を含む負極活物質であり、かつ多孔質炭素の構造体と低価数ナノシリコン化合物が剥離可能に接合しているものを簡便で効率よく製造することができる。
本発明の負極活物質を含む負極の構成を示す断面図である。 本発明の負極活物質を含むリチウムイオン二次電池の構成例(ラミネートフィルム型)を表す分解図である。 本発明の負極活物質の製造方法の一例を示すフロー図である。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
前述のように、リチウムイオン二次電池の電池容量を増加させる1つの手法として、炭素構造体に低価数ナノシリコン酸化物を主材として用いた負極をリチウムイオン二次電池の負極として用いることを検討している。この活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、炭素系活物質を用いたリチウムイオン二次電池と同等に近い電池特性を示しつつ高い電池容量が望まれる。
そこで、本発明者らは、二次電池の負極として用いた際に、高いサイクル特性を得つつ、初期充放電特性を向上させ、電池容量を増加させることが可能な負極活物質を得るために鋭意検討を重ね、本発明に至った。
本発明の負極活物質は、負極活物質粒子を有する負極活物質であって、前記負極活物質粒子は、母材である多孔質炭素の構造体を含み、前記多孔質炭素の構造体は、内部に形成された細孔の一部が、他の細孔に連通する構造を有しており、前記多孔質炭素の構造体の内部に、アモルファス状の低価数ナノシリコン化合物が分散されており、前記多孔質炭素の構造体と前記低価数ナノシリコン化合物の界面の少なくとも一部にSi-C結合が存在し、前記多孔質炭素の構造体と前記低価数ナノシリコン化合物が剥離可能に接合していることを特徴とする負極活物質である。
このような負極活物質を製造することができる製造方法は後述する。
[本発明の負極活物質]
まず、本発明の負極活物質について説明する。上記負極活物質は、多孔質炭素の構造体の内部にアモルファス状の低価数ナノシリコン酸化物が分散されているものであるため、多孔質炭素の構造体の存在により、内部の低価数ナノシリコン酸化物の膨張による悪影響を軽減することができる。
また、負極活物質粒子の少なくとも一部にSi-C結合が存在することにより、構造を安定化し、耐水性を改善することができる。その結果、これらの特性を有する負極活物質を使用した電池の電池特性を良好なものとすることができる。また、内部に形成された細孔の一部が、他の細孔に連通する構造を有し、多孔質炭素の構造体と前記低価数ナノシリコン化合物が剥離可能に接合していることにより、足場構造を有さない、柔らかいケイ素を形成する事ができ、またその様にして堆積したケイ素化合物の内部は、Li拡散性が高いため、Liの拡散性を大幅に改善することができる。その結果、これらの特性を有する負極活物質を使用した電池の電池特性を良好なものとすることができる。なお、剥離可能とは化学結合等により多孔質炭素と低価数シリコン酸化物とが強固に結合しておらず、剥離可能(分離可能)な状態である。すなわち、これは、足場構造をとらずに低価数シリコン酸化物が多孔質炭素の構造体の細孔内に堆積していることを示す。
また、一般的なSiOはSi4+が不可逆成分となるが、本発明の負極活物質では、アモルファス状の低価数ナノシリコン酸化物を含むことから、SiOよりも低い不可逆容量が維持できる。また、Si-O結合は、電解液の分解を抑制することができるため、表層部で堆積するSEI(Solid Electrolyte Interphase)を低減することが可能となる。なお、本発明では、アモルファス状の低価数ナノシリコン酸化物が多孔質炭素の構造体の内部に分散されているものであればよく、一部のナノシリコン酸化物が結晶性を有していてもよい。
後述のように、本発明の負極活物質は、一般的なシランガスから生成するCVD-Si-Cに不十分な、電解液の分解反応を抑制するために、Si相において、シロキサン結合を有するSi-Ox化したものとして製造できる。Si-O結合を意図的に作る目的は、Si-Si結合は電解液の分解を促進する一方で、Si-O結合はSi-Siに比べて緩やかな電解液との反応になるためである。また、Si-O結合は、電解液の分解を抑制することができるため、CVD-Si-Cの表層部で堆積するSEIを低減することが可能となる。その結果、電池サイクル特性が改善する。また、Si-Si結合を有するグレインが持つ粒界は、Li拡散性を低下させる一方で、Si-O結合はLiの拡散性が良く、高速充電性を改善する。本発明の材料は、主たる充放電に寄与する部位が、低価数ナノシリコン酸化物であることから、CVD-Si-Cに対して、CVD-SiOx-Cと定義できる。このように、作製された活物質は、電池のサイクル特性を維持しつつ、高いエネルギー密度、高速充電性を有することが可能となる。
また、本発明の負極活物質においては、以下のような測定方法により、低価数ナノシリコン酸化物の存在やSi-C結合の存在を測定できる。
まず、負極活物質粒子の29Si-MAS-NMRから得られるスペクトルにおいて、0~-30ppmの範囲にSi-C結合由来のピークと、-40~80ppm近傍にSiまたは低価数Si酸化物由来のピークが得られるものであることが好ましい。これらのピークの存在により、Si-C結合の存在及び低価数ナノシリコン酸化物の存在をより確実に示すことができる。
また、本発明の負極活物質においては、負極活物質粒子の表面から50nmの範囲における低価数ナノシリコン酸化物は、負極活物質粒子の表面から50nmよりも深いバルク部におけるSiの相構造と異なる構造を有することが好ましい。このような低価数ナノシリコン酸化物の異なる相は、XANES測定により特定することができる。具体的には、XANES Si-k edgeスペクトルから得られる、全電子収量法(TEY)が50nmまでの表層部を示し、蛍光エックス線(PFY)法が、約5μm程度のバルク内部の情報を検出することができる。
なお、XANES(X-ray Absorption Near-Edge Structure:X線吸収端微細構造)の測定は、例えば、以下の条件により行うことができる。
・あいちシンクロトロン光センター、BL6N1ラインを使用
・サンプルは、Ar雰囲気で非大気で仕上げ、トランスファーベッセルに格納し、BL6N1ラインに接続して下記条件で測定
・加速エネルギー: 1.2GeV
・蓄積電流値: 300mA
・単色化条件: ベンディングマグネットからの白色X線を二結晶分光器により単色化し、測定に利用
・集光条件: Niコートしたベンドシリンドリカルミラーによる縦横方向の集光
・上流スリット開口: 水平方向10.0mm×垂直3.0mm
・ビームサイズ: 水平方向2.0mm×垂直1.0mm
・試料への入射角: 45度入射(入射角45度)、蛍光収量も同時測定するため
・エネルギー校正: KSOのS-K端でのピーク位置を2481.70eVに校正
・測定方法: 試料電流を計測することによる全電子収量法、蛍光X線
・I0測定方法: XANES測定時 Au-mesh
EXAFS測定時 Cu-mesh
また、本発明の負極活物質において、低価数ナノシリコン酸化物は、実質的に0価、1価、2価、3価の複合状態であることが好ましい。SiOを構成する4価のSiは不可逆成分となるため、本発明の負極活物質では、低価数ナノシリコン酸化物は、上記のように、実質的に0価、1価、2価、3価の複合状態とすることが好ましい。特に、この低価数ナノシリコン酸化物は、実質的に1~2価が支配的であることが好ましい。2価以下のSiOxを支配的にすることで、シリコン単独に比べ不可逆容量が大きいが、一般的なSiOよりも低い不可逆容量が維持できる。
また、本発明の負極活物質においては、負極活物質粒子は、表面の一部または全部が、母材である多孔質炭素とは別の炭素層を有し、母材である多孔質炭素とは別の炭素層と低価数ナノシリコン酸化物の界面は、C=OまたはC-O結合を有することが好ましい。このような、C=OまたはC-O結合を有することにより、炭素層の密着性を強める事が出来る。
本発明の負極活物質においては、負極活物質粒子をX線回折測定により測定したピークからシェラーの式を用いて算出した、低価数ナノシリコン酸化物を構成する0価のSiのグレインサイズは、0.8nm~5nmの範囲であることが好ましい。このような、実質的にアモルファス構造とされる0価のSiのグレインサイズを有するものが好ましい。
XRDによる結晶子サイズの算出は、例えば、以下の条件により行うことができる。ブロードピークに対しては、解析ソフトTOPASを用いて、例えば、以下の条件により行うことができる。
XRD測定
・装置 :ブルカー社製D2 PHASER
・X線源 :Cu
・発散スリット:0.5°
・入射側ソラー:4°
・受光側ソラー:4°
結晶子サイズの算出
・解析ソフト :DIFFRAC.TOPAS
・解析方法 :ピークフィッテイング法
・Emission Profile:CuKa5.lam
・関数 :FP(First Principle)関数
・Refinement Option:”Caluculate Error”, “Use Extrapolation”を選択
低価数ナノシリコン酸化物の価数は、NMR(核磁気共鳴)とXPS(X線光電子分光)で定量可能である。
低価数ナノシリコン酸化物の価数を測定する際のNMRの測定は、例えば、以下の条件により行うことができる。
29Si MAS NMR(マジック角回転核磁気共鳴)
・装置: Bruker社製700NMR分光器、
・プローブ: 4mmHR-MASローター 50μL、
・試料回転速度: 10kHz、
・測定環境温度: 25℃
XPSの測定は、例えば、以下の条件により行うことができる。
XPS
・装置: X線光電子分光装置、
・X線源: 単色化Al Kα線、
・X線スポット径: 100μm、
・Arイオン銃スパッタ条件: 0.5kV 2mm×2mm。
また、本発明の負極活物質においては、負極活物質粒子全体に含まれる酸素量は、0.3wt%以上、8wt%以下の範囲であることが好ましい。このような酸素量の範囲であれば、酸素量が少な過ぎてアセチレン等の炭化水素のCVD時にSi-C結合が過剰に生成されて電池容量が低減するのを防ぐとともに、酸素量が多過ぎて不可逆容量が低下するのを防ぐことができる。
また、本発明の負極活物質において、多孔質炭素の構造体における細孔の細孔径は以下のような特性を有することが好ましい。まず、細孔径分布が非連続的な変化を有する。また、窒素ガスを使用したBJH法による細孔径分布測定で、直径1.8以上2nm以下のマイクロ孔がもつ細孔容積Aと、直径10.0以上22.0nm以下のメソ孔がもつ細孔容積Bと、直径25.0nm以上42.0nm以下のメソ孔がもつ細孔容積Cと、直径50.0nm以上102nm以下のマクロ孔がもつ細孔容積Dとの関係が、比B/Aが0.03以上であり、比C/Aが0.01以上であり、比D/Aが0.01以上であることが好ましい。
このような細孔径分布であれば、シランの分解確率を上げる事が可能となり、シリコンの充填量を増やす事につながる。その結果、電池容量の向上につながる。
<非水電解質二次電池用負極>
次に、本発明の負極活物質を含む非水電解質二次電池用負極(以下、「負極」とも呼称する)の構成について説明する。
[負極の構成]
図1は、本発明の負極活物質を含む負極の断面図を表している。図1に示すように、負極10は、負極集電体11の上に負極活物質層12を有する構成になっている。この負極活物質層12は負極集電体11の両面、又は、片面だけに設けられていても良い。さらに、本発明の非水電解質二次電池の負極においては、負極集電体11はなくてもよい。
[負極集電体]
負極集電体11は、優れた導電性材料であり、かつ、機械的な強度に長けた物で構成される。負極集電体11に用いることができる導電性材料として、例えば銅(Cu)やニッケル(Ni)が挙げられる。この導電性材料は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない材料であることが好ましい。
負極集電体11は、主元素以外に炭素(C)や硫黄(S)を含んでいることが好ましい。負極集電体の物理的強度が向上するためである。特に、充電時に膨張する活物質層を有する場合、集電体が上記の元素を含んでいれば、集電体を含む電極変形を抑制する効果があるからである。上記の含有元素の含有量は、特に限定されないが、中でも、それぞれ100質量ppm以下であることが好ましい。これは、より高い変形抑制効果が得られるからである。このような変形抑制効果によりサイクル特性をより向上できる。
また、負極集電体11の表面は粗化されていることが好ましく、望ましくは、表面の十点平均粗さRzは、1.5μm以上5μm以下であるとよい。粗化されている負極集電体は、例えば、電解処理、エンボス処理、又は、化学エッチング処理された金属箔などである。
[負極活物質層]
負極活物質層12は、本発明のケイ素系活物質粒子の他に炭素系活物質などの複数の種類の負極活物質を含んでいて良い。さらに、電池設計上、増粘剤(「結着剤」、「バインダー」とも呼称する)や導電助剤等の他の材料を含んでいてもよい。
[負極活物質及び負極の製造方法]
続いて、本発明の非水電解質二次電池の負極活物質及びこれを用いた負極の製造方法の一例を説明する。
最初に負極に含まれる負極活物質の製造方法を説明する。本発明の負極活物質の製造方法は、負極活物質粒子を有する負極活物質を製造する方法であって、母材である多孔質炭素の構造体を準備するステップと、前記多孔質炭素の構造体に含まれる活性点に、OH基を含ませるステップと、前記多孔質炭素の構造体を加熱容器内に載置するステップと、前記多孔質炭素の構造体を前記加熱容器内で加熱してガス流下に置き、該加熱下で、前記活性点に含まれる酸素原子由来の一酸化炭素ガス又は二酸化炭素ガスが、排気工程で検出されることを確認するステップと、前記酸素原子由来の一酸化炭素ガス又は二酸化炭素ガスが排気工程で検出される状態で、前記加熱容器内にモノシランガスを流して、25kPa以上80kPa以下の陽圧雰囲気でモノシランガスを分解させることにより、ケイ素酸化物をダングリングボンドを含んだ状態で堆積させ、前記多孔質炭素の構造体内部に、前記多孔質炭素が有する前記酸素原子と一部結合したケイ素酸化物を堆積させるステップと、前記堆積させたケイ素酸化物のうち、前記多孔質炭素の表層に存在する前記ケイ素酸化物に含まれるSiの少なくとも一部を減圧雰囲気で酸化する工程と、前記酸化の後に、炭化水素ガスを用い、600℃以下で炭素層を堆積するステップとを含む負極活物質を製造することを特徴とする負極活物質の製造方法である。
従来、通常、一般的に言われる、多孔質炭素の内部にケイ素を堆積した粒子(Si-C)は流動槽を使用し、加熱雰囲気で、下部からシランガスとキャリアガスを噴き出し、多孔質炭素の内部にケイ素を堆積し、酸化工程を経て、炭化水素ガス、またはコールタールピッチなどを使用し、炭素被覆を行うことで作製する。
この場合、このような従来の手法だと、シランガスが反応して生成するSiは少なくともその一部がSi-H結合を有すると共に、Si-Si状態で堆積する。さらに酸化工程で得られる物質はSiOとなる事から、Si0+とSi4+の複合物は、多孔質炭素の中に生成する。最表層に近い部位にSiOが存在し、その上部に炭化水素ガスで炭素被覆CVDを行い一般的なSiCが製造できる。また、安定化(Si-H低減)の目的で熱処理すると、Si0+とSi4+に分離する不均化反応を伴う。さらに、炭化水素ガスで500度以上の高温で処理するとSi-C結晶が生じるため、低い温度で、Si-Hを低減するのが一般的である。
これに対して、本発明は、多孔質炭素の活性点を利用し、多孔質炭素の構造体にOH基を含ませる。その状態で熱処理を行うと、排気ガスにCOが検出される。通常、完全に乾燥すると、COガスは出てこないが、排気ガスにCOを多く含む状態で、加圧雰囲気でシランガスと反応させる事で、シラン分解物が低価数酸化物として、多孔質炭素に堆積する。この時、多孔質細孔内部からはCOガスが出続けているため、加圧雰囲気で水素キャリアを用い、シランガスを内部まで行き渡らせることが重要である。
一般的な流動槽は、圧損が10kPa程度にはなるが、本発明の反応は25kPa程度から徐々に反応する事がわかっている。低価数シリコン酸化物は、Liの拡散性が高い。一般的にSiとLiの化合物はLi15Siを生成するが、これはイオン性を示し、拡散性が低下するのに対し、低価数酸化物はイオン性を示す物質の生成を低減できる。
特に、一般的なシラン分解反応は、半導体(ポリシリコン)などで用いられる、吸着熱分解を主としており、約400℃の熱エネルギーが必要になる。
しかし、槽内を陽圧に制御する事で、細孔内部にシランが導入されると共に、シリレンを含むラジカルの生成が多くなり、分子構造が歪み、活性化エネルギーが低くなることで、反応速度が速くなり、低温分解を実現できると共に、分解時に多孔質炭素に付着している酸素成分を取り込み、Si-O結合を作る事ができる。
ラジカルの生成量はシラン濃度の約2乗に比例する事から、加圧雰囲気では、細孔内部でより顕著にSiが形成される。この時、COガスが共存していると、低価数Si部が形成される。さらに、吸着熱分解と比べ、多孔質炭素に強く密着しているわけではなく、少なくとも1度以上充放電した状態では、細孔表面からシリコンの抽出が可能なくらい、流動性を有した状態となる。これはLiの拡散性を向上するのに役立つ。
さらに、ケイ素酸化物堆積時、反応時の圧力を上げる事で、ダングリングボンドを多く存在させる事が可能になる。このダングリングボンドは非常に活性が高く、炭化水素ガス(ここではアセチレンガス)の一般的な分解温度よりも低い温度で、炭素化させる事が可能となる。またこの時、一部のSiはSi-C結合を有し、構造を安定化させるだけでなく、耐水性を大幅に改善する事ができる。ただし、Si-C結合は、Siを不活性化する事から、多く形成させることができないため、炭化水素ガス導入前に、最表層のSi-H部を、1価~3価のSi酸化化合物に変換し、その後に炭化水素ガスで反応させる事で、Si-C結晶の生成を抑制できる。この時、SiOが形成される程度の酸化を行うと、同時にSiも生成し、このSi部がSi-C結晶を作る事になる。ちなみにバルク内部のSiは、Si0+が支配的だが、COガス由来の低価数酸化物も同時に存在している。
本発明では、25kPaから80kPaの加圧範囲環境下でシランガスを多孔質炭素の細孔内部へ送る事で、細孔奥部までケイ素酸化物を堆積させることが可能となる。その際、従来法に比べると反応速度が遅くなる傾向にあるが、加圧範囲が80kPa以下であれば必要以上に生産性が悪化することはない。これにより十分に活性炭に比べて真密度の小さいケイ素酸化物を堆積させることができるため、負極活物質粒子として、十分な容量を発揮する負極活物質が得られる。
圧力の増加方法として、投入シラン流量と排気側の弁開口度を調整して、内圧を調整する。流動槽は一般的に10kPa程度だが、25kPa以上になると、圧力制御が難しいため、上記開口弁の調整以外に、ベント弁も同時に用意して、例えば50kPaで反応させたい場合、50+5kPaの領域でベント弁が稼働する事で、内圧を調整する。生産性の視点から見ると、かなり悪化する方向ではあるが、この様な方法を用いる事で、細部までガスを行き渡らせることが可能となる。
さらにこの時、多孔質炭素の細孔部にOH基を含んだ状態でシランガスと反応させる事で、C-O-Si部が生成される。このO-Si結合は、Liの拡散性に優れており、高速充電性を向上させる事ができる。さらに、その後、炭化水素ガスでCVDする際、熱をかけるが、Si結晶化し辛く、非晶質状態を維持できる。
さらに、ケイ素酸化物堆積時、反応時の圧力を上げる事で、ダングリングボンドを多く存在させる事が可能になる。このダングリングボンドは非常に活性が高く、炭化水素ガス(例えば、アセチレンガス)の一般的な分解温度よりも低い温度(例えば530℃以下)で、炭素化させる事が可能となる。
すなわち、ケイ素酸化物を、ダングリングボンドを含んだ状態で堆積させ、さらに、ケイ素酸化物を堆積した後に、炭化水素ガスを用い、炭素層を堆積するステップを有する。
また、OH基は熱処理をすることで、COガスが排気ガス側で検出できる。多孔質炭素が含む水分を除去した後にシランガスを導入するが、その時もCOガスは出続けており、その状態でシランガスを入れ反応させる事が重要になる。ガス検出しない状態でシランガスを導入すると、O-Siが生成し辛い。また、シラン分解反応後は非常に活性な状態であり、その状態で酸素を導入すると、SiO化(4価)になるため、低価数状態を維持できない。そのため、本発明では、上記のように、酸素原子由来の一酸化炭素ガス又は二酸化炭素ガスが排気工程で検出される状態で加熱容器内にモノシランガスを流しはじめ、25kPa以上80kPa以下の陽圧雰囲気でシランガスを分解させることにより、ケイ素酸化物を堆積させることが必要である。
表層付近のケイ素化合物に堆積する炭素CVD被膜は、ケイ素が有する酸素成分の一部を使い、C=OまたはC-O化合物を生成する。この時、Si-O-Cに近い化合物が生成されていると考えており、炭素層の密着性を強める事が出来るため、スラリー作製時に高速シェアをかけても健全性が保たれる。
このような負極活物質の製造方法であれば、上記のように、多孔質炭素の構造体の内部に、アモルファス状の低価数ナノシリコン酸化物が分散され、Si-C結合が存在し、相構造を制御した低価数ナノシリコン酸化物を含む負極活物質であり、かつ多孔質炭素の構造体と低価数ナノシリコン化合物が剥離可能に接合しているものを簡便で効率よく製造することができる。
図3のステップS1~ステップS7を参照して、負極活物質の製造方法の各ステップを説明する。
まず、母材である多孔質炭素の構造体を準備する(ステップS1)。ここで準備する多孔質炭素の構造体は、IUPAC分類においてI型が支配的なものであり、その表面積は1400m/g以上、細孔容積は1cm/g以上であることが好ましい。このようなIUPAC分類による分類、表面積、細孔容積とすることにより、シリコンの堆積をより多量に効率よく行うことができる。また、IUPAC分類、表面積、細孔容積に関しては、以下のような測定方法を用いることができる。
・島津製作所トライスターII Plusを使用しガス吸着法に基づく定容法により比表面積/細孔分布を測定する。条件は以下の通りである。
・使用ガス:窒素
・環境:液体窒素下
・圧力動作範囲:P/P0
・吸着 0~0.998
・脱着 0.998~0.10
・前処理 真空 200℃ 1時間
本発明で使用可能な多孔質炭素は生物由来、樹脂由来、石油由来があり、その中でも生物由来または樹脂由来が好ましい。
次に、ステップS1で準備した多孔質炭素の構造体に含まれる活性点に、OH基を含ませる(ステップS2)。この工程では、多孔質炭素の構造体に対して空気(水分を含んだ気体)に晒すことにより、多孔質炭素の構造体に含まれる活性点に、OH基を含ませることができる。
多孔質炭素の構造体の内部に存在する活性点は賦活処理で生成されるものである。この活性点の存在は、後述のように、OH基処理の後、熱処理で、二酸化炭素、一酸化炭素として排ガスに出てくるため、その結果をもって活性点の存在を確認することができる。
次に、多孔質炭素の構造体を加熱容器内に載置する(ステップS3)。なお、ステップS2は、ステップS3の後に行ってもよい。すなわち、多孔質炭素の構造体を加熱容器内に載置した後、多孔質炭素の構造体に含まれる活性点に、OH基を含ませることを行ってもよい。
次に、多孔質炭素の構造体を加熱容器内で加熱してガス流下に置き、該加熱下で、活性点に含まれる酸素原子由来の一酸化炭素ガス又は二酸化炭素ガスが、排気工程で検出されることを確認する(ステップS4)。
このステップS4は、より具体的には以下のようにして行うことができるが、これに限定されない。まず、多孔質炭素の構造体を反応容器に入れ、窒素ガスをフローしながら150℃程度に加熱する。その時、排気ガス部にトラップを設け、水分が完全に排出されないのを確認する。また、同時にガス検知器を用いて、CO又はCOガス濃度を確認する。水分が出ない状態におけるガス濃度は凡そ8000ppm程度となることが典型的である。
次に、ステップS5を酸素原子由来の一酸化炭素ガス又は二酸化炭素ガスが排気工程で検出される状態で行う。この状態で加熱容器内にモノシランガスを流しはじめて25kPa以上80kPa以下の陽圧雰囲気でシランガスを分解させる。これにより、多孔質炭素の構造体内部に、ケイ素酸化物を堆積させる。このとき、多孔質炭素が有する酸素原子と一部結合したケイ素酸化物を堆積させる。
このステップS5は、より具体的には以下のようにして行うことができるが、これに限定されない。まず、加熱容器を450~500℃に加熱する。内温が350℃になったタイミングでシランガスを下部から導入し、多孔質炭素の内部にシリコンを堆積させる。このとき、予め多孔質炭素の細孔容積を細孔分布測定から見積もり、細孔容積分/0.9のシラン量を流す⇒反応率は9割で制御することが好ましい。また、この時、容器内圧力は変動的ではあるが、平均化して25kPa~80kPaの範囲とする。80kPaを超える圧力で堆積すると、より緻密な膜になる可能性があるが、装置の耐久性を考え、80kPaで止める。このシリコン堆積は、例えば400℃~500℃程度でモノシランガスを流すことにより行うことができる。堆積時間は例えば30分~10時間とすることができる。
次に、堆積させたケイ素酸化物のうち、多孔質炭素の表層に存在する前記ケイ素酸化物に含まれるSiの少なくとも一部を酸化する(ステップS6)。
このステップS6は、より具体的には以下のようにして行うことができるが、これに限定されない。ステップS5の反応後、いったん材料の温度を室温まで下げ、窒素で希釈した酸素を導入し、0.5wt%程度の酸素分の重量増加を行う。その際、粉は撹拌子、徐熱を行う事が重要である。急激な酸化はSiO化するため、特性が悪化する。
この酸化工程により、負極活物質粒子の表面から50nmよりも深い範囲であるバルク部に含まれる低価数ナノシリコン酸化物(バルク部の低価数ナノシリコン酸化物)と、負極活物質粒子の表面から50nmの深さまでの範囲である表層部に含まれる低価数ナノシリコン酸化物(表層部の低価数ナノシリコン酸化物)が、異なるSiの相構造を有する負極活物質の構造を形成することができる。
次に、酸化の後に、炭化水素ガスを用い、600℃以下で炭素層を堆積する(ステップS7)。上記ステップS6の反応後、窒素雰囲気で内温が低温(例えば530~600℃)になったらアセチレンガスを導入し、表面炭素膜を形成させる。このときの圧力は10000Paで8時間の処理を行うことができる。
得られた材料をXRDで解析し、シェラーの式でSiの結晶子サイズを算出した結果、典型的には0.8nmとなるが、これは計算の結果であり、実質非晶質と考えられる。この時、減圧雰囲気で反応を行う事で、細孔内部に充填されたSiに対してアセチレンガスを行き渡らせる。ここで低価数酸化状態にならなかったSi-H結合と反応させ、Si-C結合を得る事で、安定した材料になる。
なお、上記ステップS6の酸化工程は、減圧雰囲気で行うことが好ましい。この酸化工程は、表層に近い部位の酸化を促すものである。バルク内部は、多孔質炭素が有する酸素成分を用いている一方で、表層に近い部位は酸素量が少ないため、外から追加する必要がある。
また、上記ステップS6の酸化工程で形成したSi-O化合物の一部は、ステップS7で行うC-CVD時にその一部で化合物が形成する(XPSで確認)、これによって炭素被膜部とSi部の密着性を高めている。
<リチウムイオン二次電池>
次に、上記した本発明の負極活物質を用いた非水電解質二次電池の具体例として、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池について説明する。
[ラミネートフィルム型二次電池の構成]
図2に示すラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池30は、主にシート状の外装部材35の内部に巻回電極体31が収納されたものである。この巻回電極体31は正極、負極間にセパレータを有し、巻回されたものである。また正極、負極間にセパレータを有し積層体を収納した場合も存在する。どちらの電極体においても、正極に正極リード32が取り付けられ、負極に負極リード33が取り付けられている。電極体の最外周部は保護テープにより保護されている。
正負極リード32、33は、例えば、外装部材35の内部から外部に向かって一方向で導出されている。正極リード32は、例えば、アルミニウムなどの導電性材料により形成され、負極リード33は、例えば、ニッケル、銅などの導電性材料により形成される。
外装部材35は、例えば、融着層、金属層、表面保護層がこの順に積層されたラミネートフィルムであり、このラミネートフィルムは融着層が電極体31と対向するように、2枚のフィルムの融着層における外周縁部同士が融着、又は、接着剤などで張り合わされている。融着部は、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどのフィルムであり、金属部はアルミ箔などである。保護層は例えば、ナイロンなどである。
外装部材35と正負極リードとの間には、外気侵入防止のため密着フィルム34が挿入されている。この材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン樹脂である。
正極は、例えば、図1の負極10と同様に、正極集電体の両面又は片面に正極活物質層を有している。
正極集電体は、例えば、アルミニウムなどの導電性材により形成されている。
正極活物質層は、リチウムイオンの吸蔵放出可能な正極材のいずれか1種又は2種以上を含んでおり、設計に応じて正極結着剤、正極導電助剤、分散剤などの他の材料を含んでいてもよい。この場合、正極結着剤、正極導電助剤に関する詳細は、例えば既に記述した負極結着剤、負極導電助剤と同様である。
正極材料としては、リチウム含有化合物が望ましい。このリチウム含有化合物は、例えばリチウムと遷移金属元素からなる複合酸化物、又はリチウムと遷移金属元素を有するリン酸化合物があげられる。これらの正極材の中でもニッケル、鉄、マンガン、コバルトの少なくとも1種以上を有する化合物が好ましい。これらの化学式として、例えば、LiあるいはLiPOで表される。式中、M、Mは少なくとも1種以上の遷移金属元素を示す。x、yの値は電池充放電状態によって異なる値を示すが、一般的に0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10で示される。
リチウムと遷移金属元素とを有する複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物などが挙げられる。リチウムニッケルコバルト複合酸化物としては、例えばリチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物(NCA)やリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(NCM)などが挙げられる。
リチウムと遷移金属元素とを有するリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO)あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-uMnPO(0<u<1))などが挙げられる。これらの正極材を用いれば、高い電池容量を得ることができるとともに、優れたサイクル特性も得ることができる。
[負極]
負極は、上記した図1のリチウムイオン二次電池用負極10と同様の構成を有し、例えば、集電体の両面に負極活物質層を有している。この負極は、正極活物質剤から得られる電気容量(電池としての充電容量)に対して、負極充電容量が大きくなることが好ましい。これにより、負極上でのリチウム金属の析出を抑制することができる。
正極活物質層は、正極集電体の両面の一部に設けられており、同様に負極活物質層も負極集電体の両面の一部に設けられている。この場合、例えば、負極集電体上に設けられた負極活物質層は対向する正極活物質層が存在しない領域が設けられている。これは、安定した電池設計を行うためである。
上記の負極活物質層と正極活物質層とが対向しない領域では、充放電の影響をほとんど受けることが無い。そのため、負極活物質層の状態が形成直後のまま維持され、これによって負極活物質の組成などを、充放電の有無に依存せずに再現性良く正確に調べることができる。
[セパレータ]
セパレータは正極と負極を隔離し、両極接触に伴う電流短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータは、例えば合成樹脂、あるいはセラミックからなる多孔質膜により形成されており、2種以上の多孔質膜が積層された積層構造を有してもよい。合成樹脂として例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
[電解液]
活物質層の少なくとも一部、又は、セパレータには、液状の電解質(電解液)が含浸されている。この電解液は、溶媒中に電解質塩が溶解されており、添加剤など他の材料を含んでいてもよい。
溶媒は、例えば、非水溶媒を用いることができる。非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、1,2-ジメトキシエタン又はテトラヒドロフランなどが挙げられる。この中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルのうちの少なくとも1種以上を用いることが望ましい。より良い特性が得られるからである。またこの場合、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどの高粘度溶媒と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒を組み合わせることにより、より優位な特性を得ることができる。これは、電解質塩の解離性やイオン移動度が向上するためである。
合金系負極を用いる場合、特に溶媒として、ハロゲン化鎖状炭酸エステル、又は、ハロゲン化環状炭酸エステルのうち少なくとも1種を含んでいることが望ましい。これにより、充放電時、特に充電時において、負極活物質表面に安定な被膜が形成される。ここで、ハロゲン化鎖状炭酸エステルとは、ハロゲンを構成元素として有する(少なくとも1つの水素がハロゲンにより置換された)鎖状炭酸エステルである。また、ハロゲン化環状炭酸エステルとは、ハロゲンを構成元素として有する(すなわち、少なくとも1つの水素がハロゲンにより置換された)環状炭酸エステルである。
ハロゲンの種類は特に限定されないが、フッ素が好ましい。これは、他のハロゲンよりも良質な被膜を形成するからである。また、ハロゲン数は多いほど望ましい。これは、得られる被膜がより安定的であり、電解液の分解反応が低減されるからである。
ハロゲン化鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ジフルオロメチルメチルなどが挙げられる。ハロゲン化環状炭酸エステルとしては、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オンなどが挙げられる。
溶媒添加物として、不飽和炭素結合環状炭酸エステルを含んでいることが好ましい。充放電時に負極表面に安定な被膜が形成され、電解液の分解反応が抑制できるからである。不飽和炭素結合環状炭酸エステルとして、例えば炭酸ビニレン又は炭酸ビニルエチレンなどが挙げられる。
また溶媒添加物として、スルトン(環状スルホン酸エステル)を含んでいることが好ましい。電池の化学的安定性が向上するからである。スルトンとしては、例えばプロパンスルトン、プロペンスルトンが挙げられる。
さらに、溶媒は、酸無水物を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性が向上するからである。酸無水物としては、例えば、プロパンジスルホン酸無水物が挙げられる。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩のいずれか1種類以上含むことができる。リチウム塩として、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)などが挙げられる。
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.5mol/kg以上2.5mol/kg以下であることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるからである。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例、比較例では、以下の手順により、負極活物質を作製し、さらに図2に示したラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池30を作製した。
(比較例1)
以下のようにして負極活物質を製造した。まず、多孔質炭素において、賦活処理を行った、表面積(BET比表面積)1940m/g、細孔容積1.00cm/g、粒径(D50)=7.5μmの多孔質炭素材(多孔質の炭素構造体)を準備した。次に、この多孔質炭素材を空気中に置き、OH基を含ませた。この多孔質炭素材を真空容器に格納し、窒素置換して、窒素をフローした状態で外部ヒーターを使用し、400℃まで加熱した。このとき、COガス及びCOガスが検出されない(検出限界以下)状態であった。このように一酸化炭素ガス及び二酸化炭素ガスが排気工程で検出されない状態で、加熱容器内にモノシランガスを流しはじめた。さらに、多孔質炭素の細孔部にOH基を含んだ状態で容器内の圧力を10kPaに制御しながらシランガスを流し、シリコンを堆積させた。シラン反応前の乾燥時、COガスが検出されない(検出限界以下)状態で、シランの分解反応(シランの吸着熱分解反応)を行う(400℃)事で、バルク内部に非晶質のケイ素を形成した。
細孔容積に対して、98%の充填率で反応を終え、その後冷却し室温に戻した。その後、窒素で希釈した酸素(1%濃度)を48時間フローし、緩やかに酸化処理を行った。この時、酸素濃度が高いと活性が高い粉と発熱反応し、SiOが形成されるだけでなく、高BET材へと変化する。この後、窒素雰囲気で内温を500℃まで加熱し、10000Paで8時間アセチレンガスを導入して、表面炭素膜を形成させた。これにより、Si-C形成を抑制する。
[結晶子サイズの算出]
負極活物質粒子のXRDによる結晶子サイズの算出を、上記ブルカー社製D2 PHASERを用いたXRD測定により行った。
[低価数ナノシリコン酸化物の異なる相の測定]
負極活物質粒子のバルク部の低価数ナノシリコン酸化物と、表層部の低価数ナノシリコン酸化物が、異なるSiの相構造を有することを、XANES測定により特定した。具体的には、XANES Si-k edgeスペクトルから得られる、全電子収量法(TEY)が50nmまでの表層部を示し、蛍光エックス線(PFY)法が、約5μm程度のバルク内部の情報を検出する。
[シリコンのダングリングボンド数の測定]
シリコンのダングリングボンド数の測定は、ESRを用いて行った。
[負極の作製]
上記のようにして作製した負極活物質(CVD-SiOx-Cを含む活物質)、グラファイト、導電助剤1(カーボンナノチューブ、CNT)、導電助剤2(メジアン径が約50nmの炭素微粒子)、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCと称する)を、9.3:83.7:1:1:4:1の乾燥質量比で混合した後、純水で希釈し負極合剤スラリーとした。
また、負極集電体としては、厚さ15μmの電解銅箔を用いた。この電解銅箔には、炭素及び硫黄がそれぞれ70質量ppmの濃度で含まれていた。最後に、負極合剤スラリーを負極集電体に塗布し真空雰囲気中で100℃での1時間にわたる乾燥を行った。乾燥後の、負極の片面における単位面積あたりの負極活物質層の堆積量(面積密度とも称する)は7.0mg/cmであった。
[試験用のコイン電池の組み立て]
次に、溶媒エチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC)を混合した後、電解質塩(六フッ化リン酸リチウム:LiPF)を溶解させて電解液を調製した。この場合には、溶媒の組成を体積比でEC:DMC=30:70とし、電解質塩の含有量を溶媒に対して1mol/kgとした。添加剤として、ビニレンカーボネート(VC)とフルオロエチレンカーボネート(FEC)をそれぞれ、1.0質量%、2.0質量%の量で添加した。
次に、以下のようにしてコイン電池を組み立てた。最初に厚さ1mmのLi箔を直径16mmに打ち抜き、アルミクラッドに張り付けた。
次に、先に得られた負極を直径15mmに打ち抜き、これを、セパレータを介して、アルミクラッドに貼り付けたLi箔と向い合せ、電解液注液後、2032コイン電池を作製した。
[初回効率の測定]
初回効率は以下の条件で測定した。まず、作製した初回効率試験用のコイン電池に対し、充電レートを0.03C相当とし、CCCVモードで充電(初回充電)を行った。CVは0Vで終止電流は0.04mAとした。次に、放電レートを同様に0.03Cとし、放電終止電圧を1.2Vとして、CC放電(初回放電)を行った。
初期充放電特性を調べる場合には、初回効率(以下では初期効率と呼ぶ場合もある)を算出した。初回効率は、初回効率(%)=(初回放電容量/初回充電容量)×100で表される式から算出した。
[リチウムイオン二次電池の製造及び電池評価]
得られた初期データから、負極の利用率が95%となるように対正極を設計した。利用率は、対極Liで得られた正負極の容量から、下記式に基づいて算出した。
利用率=(正極容量-負極ロス)/(負極容量-負極ロス)×100
この設計に基づいて実施例及び比較例の各々のリチウムイオン二次電池(図2に示したようなリチウムイオン二次電池)を製造した。実施例及び比較例の各々のリチウムイオン二次電池について、電池評価を行った。
サイクル特性については、以下のようにして調べた。最初に、電池安定化のため25℃の雰囲気下、0.2Cで2サイクル充放電を行い、2サイクル目の放電容量を測定した。電池サイクル特性は3サイクル目の放電容量から計算し、1000サイクルで電池試験を止めた。充電0.7C、放電0.5Cで充放電を行った。充電電圧は4.3V、放電終止電圧は2.5V、充電終止レートは0.07Cとした。
各測定の結果を表1~2に示した。表1~2中には、後述の実施例及び比較例についても合わせて示した。
(比較例2)
比較例2は、比較例1に対して、シリコンの堆積を、シラン単分子熱分解反応を使用して行った。この時の分解温度は375℃で行った。酸化工程は、比較例1と同じだが、吸着熱分解に対して、形成されたケイ素グレインが低密度であり、酸化工程で、一部低価数Siの生成が可能となる。
(実施例1)
比較例2と同様としたが、ただし、反応圧力を50kPaに変更し、また、シラン反応前の乾燥時、COガスが約7500ppm検出されている状態で、シラン分解反応を行った。この時、分解反応は350~375℃度の範囲と、シランの分解反応以下で行うことができる。これは、槽内を陽圧に制御する事で、細孔内部にシランが導入されると共に、シリレンの生成が多くなり、分子構造が歪み、活性化エネルギーが低くなることで、反応速度が速くなり、低温分解を実現できると共に、分解時に多孔質炭素に付着している酸素成分を取り込み、Si-O結合を作る事ができる。反応後は室温に戻し、窒素中1%濃度の酸素ガスを使用し、-95kPa雰囲気に減圧し、その後、-10kPaになるまで希釈した酸素ガスを導入する。投入したガス量から消費量を見積もり、粗予定の重量増になるまで、繰り返した。
また、実施例1では、最表層のSiをやや酸素リッチ状態にした。その後、アセチレンガスを用いて、580℃(実施例1)CVDを行うと、酸素リッチ層と炭素層の界面で一部酸素の授受が行われ、C=OまたはC-O結合が生成する事で、密着性を担保する事ができる。また、アセチレンCVDは10000Paの減圧状態で行われており、多孔質炭素内部に含侵し反応が可能となる。反応は、生成したSi-H部の結合を切り、Si-C結合が生成する。これによってスラリー化時に、水素ガスの発生を抑制する事ができる。CVD温度が高い方がSi-C結合が多く作られる。低価数酸化状態を表面に形成している事から、過剰なSi-C結合が生じる事は無い。
また、表層のケイ素部は、低価数の酸化状態で、Si0+がほぼいない状態であり、バルク構造と大きく異なる。表層部に水(正確にはOH)と反応する物質を存在させない事で、スラリーの安定性を改善する事にもつながる。バルク内は、Si0+が支配的だが、低価数状態が多く存在する。
SiO化せず酸化する事で、アセチレンCVD時の過剰なSi-C化を抑制できる。また、Si-Cは、電気化学的に安定であり、充電と共に露出したSiが電解液と触れる際、電解液の過剰分解を抑制する効果があり、結果としてサイクル維持率に貢献する。
単分子熱分解は、細孔内部でシリレン同士が結合し、肥大化しつつ、多孔質炭素内壁の活性点を基として、ケイ素グレインが生成するため、吸着熱分解法と異なり、多孔質炭素/ケイ素間の密着性が低い密着性が低く不安定な状況は、Liの拡散性を大幅に増加させる事ができる。また、吸着熱分解法では、多孔質炭素の表層にSiが析出するが、単分子熱分解では、内部のみ分解する。これは、充放電カーブからdQdVを取得すると明白である。密着性が低いため、充放電後のTEM解析において、電子線を当てていると、表層に近いSiが、バインダに引っ張られて、粒子表層から抜け出る様子も確認できる。すなわち、実施例1では、多孔質炭素の構造体と低価数ナノシリコン化合物が剥離可能に接合していることがわかる。
実施例1では、多孔質炭素において、メソ孔に2か所、マクロ孔に1か所、同一孔径を増やす賦活処理を行う。賦活処理は、水蒸気の密度や、温度、圧力をふる事で調整できる。同一孔径は、いわゆるバッファータンクの役割をすることに加えて、細孔の連通構造(連結構造)を形成するのに役立つ。一般的な多孔質炭素は、枝状に奥へ伸びる構造を有するが、枝分かれした細孔が、連通(再結合とも言う)する事で、ケイ素のパス、すなわちLiの拡散パスを多岐に渡らせることができ、Liの受け入れ性を大幅に改善する事ができる。また、パスが繋がっている事から、シランの分解確率を上げる事が可能となり、シリコンの充填量を増やす事に繋がる。細孔の連通(再結合)の様子はアトムプローブ法で解析し、Siの等面濃度で視覚化する事ができる。また、同一孔径は、窒素吸着法からBJH解析法で算出できる。
また、アセチレンCVDは10000Paの減圧状態で行われており、多孔質炭素内部に含侵し反応が可能となる。反応は、生成したSi-H部の結合を切り、Si-C結合が生成する。これによってスラリー化時に、水素ガスの発生を抑制する事ができる。CVD温度が高い方がSi-C結合が多く作られる。
また、表層のケイ素部は、低価数の酸化状態で、Si0+がほぼいない状態であり、バルク構造と大きく異なる。表層部に水(正確にはOH)と反応する物質を存在させない事で、スラリーの安定性を改善する事にもつながる。
(実施例2~6)
実施例2~6では、実施例1と同様の製造方法とし、ただし酸化処理後に熱処理を行い、一部のSiを結晶化させた。これによる狙いとして、Si-H結合の低減を試みたが、大きな減少が見られなかった。Si-H結合は、CP/MAS-NMRで確認している。結晶性が高くなると、Liの受け入れ性が悪化し、電池特性がやや悪化する。ただし、一度温度を上げるとその後の粉の取り扱いが良くなることを考慮すると、5nm以下の結晶子が望ましい。電池特性は最も良くなるのは、実質的に非晶質(0.8nmはシェラーの式で算出しており、実質的に非晶質と考える)である。
(実施例7~11)
実施例7~11では、実施例1と同様の製造方法とし、ただし酸化量を変化させた。酸素量が少ないと、アセチレンCVD時に、Si-C結合が多く生成する傾向にあり、電池容量が少し低減する。大きく落ちない酸化量が0.3wt%以上であった。また酸素量が多すぎると、SiOが生成し始めるため、酸素量の最適範囲が存在する。
(実施例12~14)
実施例12~14では、実施例1と同様の製造方法とし、ただし、シランガス導入時の圧力を変化させた。シランガス導入時に圧力が低いと、細孔奥までシランガスが届かず、空隙が生じる。その分だけ、シリコンを充填できないため、電池容量が低下する。さらに、加圧雰囲気で分解堆積したシリコンは、シリレンを含むラジカルの生成が圧力の2乗に比例して増加する事から、より緻密にシリコンを形成する事ができる。
なお、圧力の増加方法として、投入シラン流量と排気側の弁開口度を調整して、内圧を調整する。流動槽は一般的に10kPa程度だが、30kPa以上になると、圧力制御が難しいため、上記開口弁の調整以外に、ベント弁も同時に用意して、例えば50kPaで反応させたい場合、50+5kPaの領域でベント弁が稼働する事で、内圧を調整する。生産性の視点から見ると、かなり悪化する方向ではあるが、この様な方法を用いる事で、細部までガスを行き渡らせることが可能となる。
(実施例15)
アセチレンCVDを行う時、500度の低温で1時間、その後580度に熱を上げる事で、拡散層を意図的に作らないと、電池のサイクル特性がやや低下する。
(実施例16、17、比較例3)
実施例1と同様の製造方法とし、ただし、準備する多孔質炭素の賦活処理の程度を少なくした。賦活処理の程度の大きさは、実施例1、実施例16、実施例17、比較例3の順序で小さくなる。比較例3では、多孔質炭素の構造体は枝分かれ構造であり、連通構造を有していなかった。実施例1、実施例16、実施例17、比較例3の順に、バッファータンク部が少なくなると、細孔の再結合も低下していく。最終的には枝分かれ構造(比較例3)となり、電池特性を低下させる結果となる。水蒸気賦活時の圧力を低減させると枝状の賦活処理になる。
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]: 負極活物質粒子を有する負極活物質であって、前記負極活物質粒子は、母材である多孔質炭素の構造体を含み、前記多孔質炭素の構造体は、内部に形成された細孔の一部が、他の細孔に連通する構造を有しており、前記多孔質炭素の構造体の内部に、アモルファス状の低価数ナノシリコン化合物が分散されており、前記低価数ナノシリコン化合物の少なくとも一部にSi-C結合が存在し、前記多孔質炭素の構造体と前記低価数ナノシリコン化合物が剥離可能に接合していることを特徴とする負極活物質。
[2]: 前記負極活物質粒子の表面から50nmの範囲における前記低価数ナノシリコン酸化物は、前記負極活物質粒子の表面から50nmよりも深いバルク部におけるSiの相構造と異なる構造を有する上記[1]の負極活物質。
[3]: 前記低価数ナノシリコン酸化物は、実質的に0価、1価、2価、3価の複合状態である上記[1]又は上記[2]の負極活物質。
[4]: 前記多孔質炭素の構造体における細孔の細孔径は、非連続的な変化を有するとともに、窒素ガスを使用したBJH法による細孔径分布測定で、直径1.8以上2nm以下のマイクロ孔がもつ細孔容積Aと、直径10.0以上22.0nm以下のメソ孔がもつ細孔容積Bと、直径25.0nm以上42.0nm以下のメソ孔がもつ細孔容積Cと、直径50.0nm以上102nm以下のマクロ孔がもつ細孔容積Dと関係が、比B/Aが0.03以上であり、比C/Aが0.01以上であり、比D/Aが0.01以上である上記[1]から上記[3]のいずれかの負極活物質。
[5]: 前記負極活物質粒子は、表面の一部または全部が、前記母材である多孔質炭素とは別の炭素層を有し、その界面は、C=OまたはC-O結合が形成されている上記[1]から上記[4]のいずれかの負極活物質。
[6]: 前記負極活物質粒子をX線回折測定により測定したピークからシェラーの式を用いて算出した、前記低価数ナノシリコン酸化物を構成する0価のSiのグレインサイズは、0.8nm~5nmの範囲である上記[1]から上記[5]のいずれかの負極活物質。
[7]: 前記負極活物質粒子の前記低価数ナノシリコン酸化物は実質的に非晶質である上記[6]の負極活物質。
[8]: 前記負極活物質粒子全体に含まれる酸素量は、0.3wt%以上、8wt%以下の範囲である上記[1]から上記[7]のいずれかの負極活物質。
[9]: 負極活物質粒子を有する負極活物質を製造する方法であって、母材である多孔質炭素の構造体を準備するステップと、前記多孔質炭素の構造体に含まれる活性点に、OH基を含ませるステップと、前記多孔質炭素の構造体を加熱容器内に載置するステップと、前記多孔質炭素の構造体を前記加熱容器内で加熱してガス流下に置き、該加熱下で、前記活性点に含まれる酸素原子由来の一酸化炭素ガス又は二酸化炭素ガスが、排気工程で検出されることを確認するステップと、前記酸素原子由来の一酸化炭素ガス又は二酸化炭素ガスが排気工程で検出される状態で、前記加熱容器内にモノシランガスを流して、25kPa以上80kPa以下の陽圧雰囲気でモノシランガスを分解させることにより、ケイ素酸化物をダングリングボンドを含んだ状態で堆積させ、前記多孔質炭素の構造体内部に、前記多孔質炭素が有する前記酸素原子と一部結合したケイ素酸化物を堆積させるステップと、前記堆積させたケイ素酸化物のうち、前記多孔質炭素の表層に存在する前記ケイ素酸化物に含まれるSiの少なくとも一部を減圧雰囲気で酸化する工程と、前記酸化の後に、炭化水素ガスを用い、600℃以下で炭素層を堆積するステップとを含む負極活物質を製造することを特徴とする負極活物質の製造方法。
[10]: 前記モノシランガスの分解により前記低価数ナノシリコン化合物を形成する際、前記モノシランガスが気相中で単分子熱分解反応によって、シリレンを経由した反応をする上記[9]の負極活物質の製造方法。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
10…負極、 11…負極集電体、 12…負極活物質層、
30…リチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)、 31…電極体、
32…正極リード(正極アルミリード)、
33…負極リード(負極ニッケルリード)、
34…密着フィルム、 35…外装部材。

Claims (10)

  1. 負極活物質粒子を有する負極活物質であって、
    前記負極活物質粒子は、母材である多孔質炭素の構造体を含み、
    前記多孔質炭素の構造体は、内部に形成された細孔の一部が、他の細孔に連通する構造を有しており、
    前記多孔質炭素の構造体の内部に、アモルファス状の低価数ナノシリコン化合物が分散されており、
    前記低価数ナノシリコン化合物の少なくとも一部にSi-C結合が存在し、
    前記多孔質炭素の構造体と前記低価数ナノシリコン化合物が剥離可能に接合していることを特徴とする負極活物質。
  2. 前記負極活物質粒子の表面から50nmの範囲における前記低価数ナノシリコン化合物は、前記負極活物質粒子の表面から50nmよりも深いバルク部におけるSiの相構造と異なる構造を有することを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
  3. 前記低価数ナノシリコン化合物は、実質的に0価、1価、2価、3価の複合状態であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
  4. 前記多孔質炭素の構造体における細孔の細孔径は、非連続的な変化を有するとともに、窒素ガスを使用したBJH法による細孔径分布測定で、
    直径1.8以上2nm以下のマイクロ孔がもつ細孔容積Aと、
    直径10.0以上22.0nm以下のメソ孔がもつ細孔容積Bと、
    直径25.0nm以上42.0nm以下のメソ孔がもつ細孔容積Cと、
    直径50.0nm以上102nm以下のマクロ孔がもつ細孔容積Dと
    の関係が、
    比B/Aが0.03以上であり、
    比C/Aが0.01以上であり、
    比D/Aが0.01以上であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
  5. 前記負極活物質粒子は、表面の一部または全部が、前記母材である多孔質炭素とは別の炭素層を有し、その界面は、C=OまたはC-O結合が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
  6. 前記負極活物質粒子をX線回折測定により測定したピークからシェラーの式を用いて算出した、前記低価数ナノシリコン化合物を構成する0価のSiのグレインサイズは、0.8nm~5nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
  7. 前記負極活物質粒子の前記低価数ナノシリコン化合物は実質的に非晶質であることを特徴とする請求項6に記載の負極活物質。
  8. 前記負極活物質粒子全体に含まれる酸素量は、0.3wt%以上、8wt%以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
  9. 負極活物質粒子を有する負極活物質を製造する方法であって、
    母材である多孔質炭素の構造体を準備するステップと、
    前記多孔質炭素の構造体に含まれる活性点に、OH基を含ませるステップと、
    前記多孔質炭素の構造体を加熱容器内に載置するステップと、
    前記多孔質炭素の構造体を前記加熱容器内で加熱してガス流下に置き、該加熱下で、前記活性点に含まれる酸素原子由来の一酸化炭素ガス又は二酸化炭素ガスが、排気工程で検出されることを確認するステップと、
    前記酸素原子由来の一酸化炭素ガス又は二酸化炭素ガスが排気工程で検出される状態で、前記加熱容器内にモノシランガスを流して、25kPa以上80kPa以下の陽圧雰囲気でモノシランガスを分解させることにより、低価数ナノシリコン化合物をダングリングボンドを含んだ状態で堆積させ、前記多孔質炭素の構造体内部に、前記多孔質炭素が有する前記酸素原子と一部結合した低価数ナノシリコン化合物を堆積させるステップと、
    前記堆積させた低価数ナノシリコン化合物のうち、前記多孔質炭素の表層に存在する前記低価数ナノシリコン化合物に含まれるSiの少なくとも一部を減圧雰囲気で酸化する工程と、
    前記酸化の後に、炭化水素ガスを用い、600℃以下で炭素層を堆積するステップと
    を含む負極活物質を製造することを特徴とする負極活物質の製造方法。
  10. 前記モノシランガスの分解により前記低価数ナノシリコン化合物を形成する際、前記モノシランガスが気相中で単分子熱分解反応によって、シリレンを経由した反応をすることを特徴とする請求項9に記載の負極活物質の製造方法。
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