JP7841995B2 - 木現し戸境壁 - Google Patents
木現し戸境壁Info
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Description
図1は、木製建築部材を使用した従来の壁の縦断面図である。図1(A)は従来の耐火仕様の壁100であり、図1(B)は耐火・遮音性能を満足する従来の戸境壁110である。
一般的には、図1(A)のように強化石膏ボード等の耐火材101で木質系厚板面材102を被覆することで耐火性能を確保する。このような木製建築部材は、例えば特許文献1に開示されている。
四周が前記柱梁フレームに囲まれ2つの前記住戸を仕切る壁材と、を備え、
前記壁材は、その厚み方向における一番外側に位置し2つの前記住戸のそれぞれに露出する一対の木質系厚板面材と、
一対の前記木質系厚板面材の間において前記厚み方向に互いに間隔を空けて設けられた一対の耐火材と、
一対の前記耐火材の間に設けられた吸音材又は遮音用の空気層と、を有する、木現し戸境壁が提供される。
つまり本発明の木現し戸境壁は、木質系厚板面材を耐火材で被覆しなくても、主要構造部として必要とされる基準の耐火性能を満たすことができる。したがって、木現し戸境壁は、耐火性能を満たしながら、木質系厚板面材を現しで使用することができる。
これにより木現し戸境壁は、戸境壁として必要とされる基準を満たす耐火性能と遮音性能を充分に有するだけでなく、木質系厚板面材を現しで使用して、木材の柔らかで温かみのある感触が感じられる快適な居住空間を提供することができる。すなわち、本発明の木現し戸境壁は、戸境壁として必要な基準の耐火性能と遮音性能を有するという効果と、木質系厚板面材を木現しで使用できるという効果とを、同時に有することができる。
図2は、第1実施形態の木現し戸境壁10の縦断面矢視図である。この図において、1は木質系厚板面材、2は柱梁フレーム、2Aは柱、2Bは梁、10は木現し戸境壁、22は孔部、23は孔部の内腔、30は連結具、31はガセットプレート、34はハイテンションボルトを表している。また図2において、U1は木現し戸境壁10の左側の住戸を表し、U2は木現し戸境壁10の右側の住戸を表している。
柱梁フレーム2は、鉄筋コンクリート造(以下、RC造)又は鉄骨鉄筋コンクリート造(以下、SRC造)の柱2Aと梁2Bから構成される架構である。本実施形態の柱梁フレーム2は、集合住宅における隣り合った2つの住戸U1,U2の境界に沿って設けられている。
壁材5は、その四周が柱梁フレーム2に囲まれており、柱梁フレーム2の内側で2つの住戸U1,U2を仕切る。壁材5は、一対の木質系厚板面材1、一対の耐火材3、及び吸音材4を有する。
耐火材3は、一対設けられており、2枚の木質系厚板面材1の間で、壁材5の厚み方向に互いに間隔を空けて設置されている。耐火材3は、例えば、石膏ボードであってもよい。
また下地材は、この図の断面には表れていないが、例えば一対の耐火材3の間であって吸音材4より紙面の奥側に配置されていてもよい。
この構成により、壁材5の断面構造は、木質系厚板面材1、耐火材3、吸音材4(又は空気層)、耐火材3、木質系厚板面材1の順に並ぶ積層構造となっている。
したがって木現し戸境壁10は、2枚の木質系厚板面材1の間に耐火材3と吸音材4を備えるため、木質系厚板面材1を木現しで使用していても、耐火性能と遮音性能を確保することができる。
例えば仮に図3の右側の住戸U2で火災が発生した場合、図の右側の木質系厚板面材1が焼失しても、それ以外の部分の壁材5は焼失しない。つまり、図の右側の耐火材3と柱梁フレーム2がそれらより左側への延焼を防ぐので、一対の耐火材3とその間にある吸音材4及び下地材と左側の木質系厚板面材1は燃えずに残る。
また、図の右側の住戸U2の木質系厚板面材1が焼失しても、左側の住戸U1に面した木質系厚板面材1は燃えずに残るため、木現し戸境壁10が耐力壁としての耐震性能を耐力的に維持することができる。したがって、復旧工事で右側の木質系厚板面材1を更新するまでの間も、木現し戸境壁10は、燃えなかった左側の住戸U1の木質系厚板面材1によって耐力壁として機能する。また、吸音材4は一対の耐火材3の間に収められて燃えないので、木現し戸境壁10の遮音性能も維持できる。
本実施形態の木現し戸境壁10は、一対の木質系厚板面材1を含む壁材5の四周を、RC造又はSRC造の柱2Aと梁2Bで取り囲む構成となっていることを特徴とする。柱梁フレーム2は、集合住宅の架構を構成するRC造又はSRC造の柱2Aと梁2Bである。
木現し戸境壁10は、耐火性能の高いRC造又はSRC造の柱梁フレーム2で木質系厚板面材1の四周を囲むことにより、火災時に木質系厚板面材1が焼失してもRC造又はSRC造の柱2Aと梁2Bで建物の構造を保ち、倒壊を防ぐことができる。それにより木現し戸境壁10は、木質系厚板面材1が耐火材3で被覆されていなくても主要構造部として必要とされる基準を満たす耐火性能を十分に保有するので、木質系厚板面材1を木現しで使用することができる。
なお、これに限らず本実施形態の木現し戸境壁10の木質系厚板面材1は、1枚の大版のCLT又はLVLであり、その大版の木質系厚板面材1の四周が接続金物で柱梁フレーム2に連結されたものであってもよい。
これにより、万が一火事などで木質系厚板面材1が焼失したり、傷んだりしたときに、大型の揚重機を使用せずに、人力で容易に木質系厚板面材1を取り換えることができる。
木質パネル20は、柱梁フレーム2と柱梁フレーム2に隣接する四周(この図においては上面20bと側面20c)との間に隙間6を隔てて固定されている。この隙間6は、地震発生時に木質パネル20が柱梁フレーム2に干渉しない距離に設定されている。
なお、木質パネル20に設ける埋込ボルト32を挿入する穴は、孔部22に限らず、溝部22でもよい。例えば木質パネル20の裏面と斜面20aに開口する溝部22を木質パネル20の裏側から設け、溝部22の内部に埋込ボルト32を入れた後に裏面に開いた開口を木の板等で塞いでもよい。
各フレーム側フランジ部31bは、複数の頭付きスタッド36で柱梁フレーム2の柱2A及び梁2B又は梁2Bのみに固定される。
なお、ガセットプレート31の形状は、図3に記載したものに限らない。例えば、図4に記載したように、2枚の木質パネル20の間に位置するガセットプレート31は、2枚の木質パネル20の斜面20aに沿うように、パネル側フランジ部31cを2つ有している。
これにより、充填樹脂33は、テープから露出した埋込ボルト32の軸の周辺と、巻かれたテープの周辺の内腔23に充填され、硬化する。埋込ボルト32の一端部32aから所定範囲に位置する埋込ボルト32の軸は、孔部22に充填した充填樹脂33を介して孔部22の内腔23に固定される。以下、充填樹脂33によって内腔23に固定された範囲の埋込ボルト32の軸を、固定部41と呼ぶ。内腔23の充填樹脂33が、埋込ボルト32の固定部41の図示しないねじ溝に入り込んだまま硬化しているので、地震などの揺れによって埋込ボルト32が辺縁側へ向けて引っ張られても、埋込ボルト32を孔部22の内腔23に留めることができる。充填樹脂33は、例えばエポキシ樹脂が好ましいが、その他の樹脂や接着剤であってもよい。
長ナット35は、図のように孔部22の内腔23であって、長ナット35の辺縁側端部が木質パネル20の斜面20aに揃うか斜面20aより僅かに辺縁側へ突出する場所に位置することが好ましい。これにより、地震発生時に柱梁フレーム2に図の左から右へ向けてかかる水平力を、長ナット35の辺縁側端部で受けることができる。したがって木質パネル20の斜面20aがパネル側フランジ部31cからかかる力によって破壊されるのを防ぐことができる。
ハイテンションボルト34は、例えば引張強度が490N/mm2以上、1,000N/mm2未満の高張力鋼や1,000N/mm2以上の超高張力鋼によって製造されたボルトである。ハイテンションボルト34の軸34aは、パネル側フランジ部31cの貫通孔31dを貫通して、長ナット35の辺縁側端部に螺合する。これにより本実施形態の連結具30は、ハイテンションボルト34の頭部34bと長ナット35でガセットプレート31のパネル側フランジ部31cを挟む構造になっている。
図の右から左へ向かう水平力が柱梁フレーム2にかかったときは、この図ではパネル側フランジ部31cがハイテンションボルト34の頭部34bを押し上げ、軸34aを介して長ナット35を辺縁側へ引っ張る。孔部22の内腔23は、長ナット35の太さよりも太いため、埋込ボルト32の長手方向に長ナット35にかかる力は、アンボンド部40へそのまま伝わる。アンボンド部40は、埋込ボルト32の軸が充填樹脂33から絶縁された部分であるため、長ナット35にかかる引張力によって埋込ボルト32のアンボンド部40が伸びる。これにより、ガセットプレート31にはハイテンションボルト34を介して埋込ボルト32を縮める方向への抵抗力がかかるので、本実施形態の木現し戸境壁10は、図の右から左へ向けて柱梁フレーム2にかかる水平力に抵抗することができる。
以下に、木現し戸境壁10の抵抗機構について、図の一番左の木質パネル20を例にして詳しく説明する。
同時に、左上と右下の連結具30には、柱梁フレーム2にかかる水平力によって、中心側へ向けて圧縮する力が長ナット35にかかる。その結果、左上と右下の連結具30には、ガセットプレート31のパネル側フランジ部31cを長ナット35で辺縁側へ向けて押し返す抵抗力R2が生じる。
つまりハイテンションボルト34を外せば木質パネル20を柱梁フレーム2から外すことができる。その上、複数の木質パネル20を合わせて1つの木質系厚板面材1を構成するので、1枚あたりの木質パネル20の重量が人力で取り付けることができる重さと大きさ(横幅)になるように任意の大きさに設けることができる。そのため、台車などに載せて玄関から木質パネル20を運び入れることができ、また古い木質パネル20を運び出すことができる。したがって、本実施形態の木現し戸境壁10は、木質パネル20を持ち上げるのに大型の揚重機が必要ないので、竣工後であっても、木現し戸境壁10を更新することができる。これにより、例えば火事などによって木質パネル20を取り換える必要が生じた場合に、傷んだ木質パネル20を新しい木質パネル20に取り換えることができる。また、耐震改修工事を行うときに、普通の壁があった柱梁フレーム2にガセットプレート31と木質パネル20を接続することで、新たな耐力壁として木現し戸境壁10を設置することができる。
その上、一対の木質系厚板面材1の間にある耐火材3が隣戸への延焼を防ぐので、一対の木質系厚板面材1の一方が焼失したとしても、他方の木質系厚板面材1を無事に残すことができる。これにより一方の木質系厚板面材1が無い状態であっても、耐力的には、木現し戸境壁10が耐力壁としての耐震性能を維持することができる。したがって、復旧工事で右側の木質系厚板面材1を更新するまでの間も、隣戸側の無事な木質系厚板面材1によって木現し戸境壁10を耐力壁として機能させることができる。
つまり本発明の木現し戸境壁10は、木質系厚板面材1を耐火材3で被覆しなくても、主要構造部として必要とされる基準の耐火性能を満たすことができる。したがって、木現し戸境壁10は、耐火性能を満たしながら、木質系厚板面材1を現しで使用することができる。
これにより木現し戸境壁10は、戸境壁として必要とされる基準を満たす耐火性能と遮音性能を充分に有するだけでなく、木質系厚板面材1を現しで使用して、木材の柔らかで温かみのある感触が感じられる快適な居住空間を提供することができる。すなわち、本発明の木現し戸境壁10は、戸境壁として必要な基準の耐火性能と遮音性能を有するという効果と、木質系厚板面材1を木現しで使用できるという効果とを、同時に有することができる。また、当然、木現し戸境壁10は、炭素貯蔵にも貢献できる。
2 柱梁フレーム、2A 柱、2B 梁、
3 耐火材、4 吸音材、5 壁材、
6 柱梁フレームと木質パネルの間の隙間、
10 木現し戸境壁、
20 木質パネル、20a 斜面、20b 上面、
20c 側面、21 切欠部、
22 孔部,溝部、23 孔部又は溝部の内腔、
30 連結具、
31 ガセットプレート、31a ウェブ部、
31b フレーム側フランジ部、
31c パネル側フランジ部、31d 貫通孔、
32 埋込ボルト、32a 一端部、
32b 他端部、33 充填樹脂、
34 ハイテンションボルト、34a 軸、
34b 頭部、
35 長ナット、36 頭付きスタッド、
37 ガセットプレートと木質パネルとの間の隙間、
40 アンボンド部、41 固定部、
100 従来の耐火仕様の壁、101 耐火材、
102 木質系厚板面材、103 吸音材、
110 従来の耐火性能と遮音性能を満足する戸境壁、
R1,R2 水平力に対して木現し戸境壁に生じる抵抗力、
C 木質パネルの正面視における中心
D 木質パネルの正面視における対角線、
U1,U2 住戸
Claims (5)
- 集合住宅における隣り合った2つの住戸の境界に設けられた鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の柱梁フレームと、
四周が前記柱梁フレームに囲まれ2つの前記住戸を仕切る壁材と、を備え、
前記壁材は、その厚み方向における一番外側に位置し2つの前記住戸のそれぞれに露出する一対の木質系厚板面材と、
一対の前記木質系厚板面材の間において前記厚み方向に互いに間隔を空けて設けられた一対の耐火材と、
一対の前記耐火材の間に設けられた吸音材又は遮音用の空気層と、を有する、木現し戸境壁。 - 前記木質系厚板面材は、CLT又はLVLから構成される、請求項1に記載の木現し戸境壁。
- 各木質系厚板面材は、面一に横方向に並ぶ複数の木質パネルから構成され、
前記木現し戸境壁は、各木質パネルの四隅から正面視における該木質パネルの中心側へ向けて斜めに配置され前記柱梁フレームと各木質パネルとを接続する連結具と、を備え、
前記連結具は、前記木質パネルの前記四隅から中心側へ向けて斜めに延びる孔部又は溝部の内腔に一端部を該内腔の前記中心側へ向けて挿入される埋込ボルトと、
前記埋込ボルトの他端部に螺合する長ナットと、
前記柱梁フレームと前記長ナットを接続するハイテンションボルトと、を有し、
前記埋込ボルトは、前記内腔の前記中心側に位置し該内腔に充填された充填樹脂によって該内腔に固定される固定部と、
前記長ナットと前記固定部との間に位置し前記充填樹脂から絶縁されたアンボンド部と、を有する、請求項1又は2に記載の木現し戸境壁。 - 前記木質パネルは、その上面又は下面と側面とに交差する斜面を有する切欠部を前記四隅に有し、
前記孔部又は溝部は、前記斜面に開口する、請求項3に記載の木現し戸境壁。 - 前記柱梁フレームに固定されるガセットプレートを備え、
前記ガセットプレートは、前記ハイテンションボルトの軸を貫通させるパネル側フランジ部を有し、
前記ハイテンションボルトの頭部と前記長ナットとは、前記パネル側フランジ部を挟む、請求項3に記載の木現し戸境壁。
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