JP7841350B2 - 熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂組成物、及び成形体 - Google Patents
熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂組成物、及び成形体Info
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Description
特許文献1に記載のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、145℃程度と比較的高い。しかし、高温環境下での製造や使用が想定される用途(例えば、車載用レンズなど)には適用できない場合がある。
即ち、本発明の趣旨は、以下の[1]~[18]に存する。
R1~R10は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、または芳香族基を含んでもよい置換もしくは無置換の炭素数1~20の炭化水素基を表す。ただし、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R7とR8、R8とR9およびR9とR10の組のうち、1~4組が互いに結合して環を形成していてもよい。i、iiはそれぞれ独立に環Z1、Z2の環構成員数から3を差し引いた数を表す。複数のR1、R2は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
Xは炭素数2~8のアルキレン基、炭素数5~12のシクロアルキレン基または炭素数6~20のアリーレン基を表す。nは0~10の整数を表す。)
1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)=(加熱後の試験片の黄色度-加熱前の試験片の黄色度)/加熱時間
上記式において、加熱後の試験片の黄色度は、該試験片を常圧、135℃の環境下に280時間静置する耐熱試験の実施後にJIS K7373に準拠して測定した黄色度であり、加熱前の試験片の黄色度は、該耐熱試験の実施前にJIS K7373に準拠して測定した黄色度であり、加熱時間は280時間である。
1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)=(加熱後の試験片の黄色度-加熱前の試験片の黄色度)/加熱時間
上記式において、加熱後の試験片の黄色度は、該試験片を常圧、135℃の環境下に280時間静置する耐熱試験の実施後にJIS K7373に準拠して測定した黄色度であり、加熱前の試験片の黄色度は、該耐熱試験の実施前にJIS K7373に準拠して測定した黄色度であり、加熱時間は280時間である。
尚、本明細書において、「~」とは、特に断りのない限り、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、「構造単位」とは、重合体において隣り合う連結基に挟まれた部分構造、及び、重合体の末端部分に存在する重合反応性基と、該重合反応性基に隣り合う連結基とに挟まれた部分構造をいう。また、連結基とはカーボネート結合部分(カーボネート基)、エステル結合部分(エステル基)のことをいう。
本発明の熱可塑性樹脂は、前記式(1)で表される構造単位(A)(以下、単に「カーボネート構造単位(A)」と称す。)及び前記式(2)で表される構造単位(B)(以下、単に「カーボネート構造単位(B)」と称す。)を含む熱可塑性樹脂であり、通常、「ポリカーボネート樹脂」と呼称されるものであるが、何らポリカーボネート樹脂に限定されるものではない。
本発明の熱可塑性樹脂において、カーボネート構造単位(A)とカーボネート構造単位(B)は共重合により同じポリマー鎖中に存在しても良く、また、カーボネート構造単位(A)を含有する樹脂とカーボネート構造単位(B)を含有する樹脂とをブレンドすることで存在しても良い。カーボネート構造単位(A)を含有する樹脂とカーボネート構造単位(B)を含有する樹脂とをブレンドしたものは、「熱可塑性樹脂組成物」とも称されるが、本発明では「熱可塑性樹脂」と称す。
カーボネート構造単位(A)は下記式(1)で表される構造単位である。
R1~R10は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、または芳香族基を含んでもよい置換もしくは無置換の炭素数1~20の炭化水素基を表す。ただし、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R7とR8、R8とR9およびR9とR10の組のうち、1~4組が互いに結合して環を形成していてもよい。i、iiはそれぞれ独立に環Z1、Z2の環構成員数から3を差し引いた数を表す。複数のR1、R2は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
Xは炭素数2~8のアルキレン基、炭素数5~12のシクロアルキレン基または炭素数6~20のアリーレン基を表す。nは0~10の整数を表す。)
なお、式(1)中の2つのnは、同一であってもよく、異なるものであってもよいが、同一であることが、原料入手性の観点から好ましい。また、式(1)中にXが複数存在する場合、複数のXは、同一であってもよく、異なるものであってもよいが、同一であることが、原料入手性の観点から好ましい。
カーボネート構造単位(B)は下記式(2)で表される構造単位である。
本発明の熱可塑性樹脂は、カーボネート構造単位(A)とカーボネート構造単位(B)を後述のmol比で含有するものであるが、好ましくは、本発明の熱可塑性樹脂に含まれる前記カーボネート構造単位(A)及び前記カーボネート構造単位(B)の含有割合の和が、該熱可塑性樹脂の全構造単位中、30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましく、90モル%以上であることが特に好ましく、93~100モル%であることが最も好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂に含まれる前記カーボネート構造単位(A)及び前記カーボネート構造単位(B)の含有割合の和が上記下限以上であれば、発明の効果を十分に発揮することができる。
本発明の熱可塑性樹脂におけるカーボネート構造単位(A)の割合が上記下限値未満で、カーボネート構造単位(B)の割合が上記上限値を超えると、高屈折率及び低複屈折を達成することができず、カーボネート構造単位(A)の割合が上記上限値を超え、カーボネート構造単位(B)の割合が上記下限値未満であると、高い耐熱性及び耐久性を達成することができない。
本発明の熱可塑性樹脂を加水分解して得られる加水分解物は下記式(3)~(5)で表される化合物を含み、該加水分解物における下記式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」と称す場合がある。)と下記式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と称す場合がある。)の含有量の和が、下記式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」と称す場合がある。)の含有量に対して、1.00質量%以上であることが好ましい。この割合(以下、「{(4)+(5)}/(3)割合」と称す場合がある。)が1.00質量%以上であることで、本発明の熱可塑性樹脂の初期色調が良好となる。
即ち、化合物(4),(5)は、化合物(3)の製造時の不純物として化合物(3)に含まれるものであり、本発明の熱可塑性樹脂の原料として用いる化合物(3)について、化合物(4)及び化合物(5)の含有量が適度な量である化合物(3)を用いるか、或いは、化合物(3)を適度に精製して化合物(4)及び化合物(5)の含有量を調整して用いることにより、或いは、これらの化合物の含有量の異なる化合物(3)を適宜ブレンドして用いることにより達成することができる。また、熱可塑性樹脂製造時の圧力、温度や、重合反応終了時の設定条件等を適宜調整することによっても達成できる。
本発明の熱可塑性樹脂は、カーボネート構造単位(A)及びカーボネート構造単位(B)以外の構造単位(以下、「その他の構造単位」と称することがある。)を含んでいてもよい。本発明の熱可塑性樹脂中にその他の構造単位を形成するモノマーとしては、例えば、芳香族成分を含有するジヒドロキシ化合物、ジエステル化合物等が挙げられる。これらのなかでも、反応効率を高める観点から、芳香族成分を含有するジヒドロキシ化合物が好ましい。
芳香族成分を含有するジヒドロキシ化合物としては、例えば、以下のジヒドロキシ化合物を用いることができる。
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジエチルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-(3-フェニル)フェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-(3,5-ジフェニル)フェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-ニトロフェニル)メタン、
3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、
4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジクロロジフェニルエーテル、
6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、
7,7’-ジメチル-6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、
等の芳香族ビスフェノール化合物;
2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、
1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、
4,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、
ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホン、
等の芳香族基に結合したエーテル基を有するジヒドロキシ化合物:
ジエステル化合物としては、例えば、以下に示すジカルボン酸等を用いることができる。
テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;
1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、デカリン-2,6-ジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタ酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸:
尚、これらのジカルボン酸成分はジカルボン酸そのものとしてポリエステルカーボネートの原料とすることができるが、製造法に応じて、メチルエステル体、フェニルエステル体等のジカルボン酸エステルや、ジカルボン酸ハライド等のジカルボン酸誘導体を原料とすることもできる。ジエステル化合物の重合反応性は比較的低いため、反応効率を高める観点からは、カーボネートエステル及びオリゴフルオレン構造単位を有するジエステル化合物を除く、その他のジエステル化合物はより少ないことが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂は、下記式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物(3)に由来するフェノール性水酸基量が100~1500質量ppmであることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂の化合物(3)に由来するフェノール性水酸基量はより好ましくは100~1200質量ppm、さらに好ましくは300~1000質量ppm、特に好ましくは600~900質量ppm、最も好ましくは500~850質量ppmである。
(ガラス転移温度(Tg))
本発明の熱可塑性樹脂は、高いガラス転移温度(Tg)を有しており、耐熱性に優れている。本発明の熱可塑性樹脂のTgは、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上、特に好ましくは150℃以上である。
本発明の熱可塑性樹脂のTgが低過ぎると耐熱試験時に試験片に変形が発生するなど、樹脂の耐熱性が劣る。
本発明の熱可塑性樹脂のTgが高過ぎると耐熱試験時に試験片に割れが発生するなど、樹脂の耐久性が劣る。
本発明の熱可塑性樹脂の分子量は、溶液粘度から換算した粘度平均分子量(Mv)で、好ましくは5,000~50,000である。粘度平均分子量が上記下限値以上であれば、本発明の熱可塑性樹脂からなる成形体の機械物性が良好となる。また、粘度平均分子量が上記上限値以下であれば、本発明の熱可塑性樹脂の流動性、成形性が良好となる傾向がある。このような観点より、本発明の熱可塑性樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、より好ましくは6,000~30,000、さらに好ましくは7,000~20,000である。
本発明の熱可塑性樹脂の波長589nmにおける温度20℃での屈折率(nD)は、例えば1.590以上であり、好ましくは1.601以上1.700以下であり、より好ましくは1.605以上1.680以下であり、さらに好ましくは1.610以上1.660以下である。屈折率が1.601以上であれば本発明の熱可塑性樹脂をレンズ等の光学材料として用いた時の付加価値がより高い。屈折率1.700を超える熱可塑性樹脂とするには、本発明の熱可塑性樹脂に高屈折率な構造単位を形成する必要があり、この場合には、Tgが過度に高くなったり、樹脂の熱安定性が低下したり、金型汚染性が増加する恐れがある。
本発明の熱可塑性樹脂の温度20℃でのアッベ数(νD)は、例えば35.0以下であり、好ましくは15.0以上35.0以下であり、より好ましくは16.0以上32.0以下であり、さらに好ましくは20.0以上30.0以下であり、特に好ましくは21.0以上27.0以下であり、最も好ましくは22.0以上25.9以下である。アッベ数が小さければ、COP(シクロオレフィンポリマー)等の高アッベ数凸レンズと組み合わせて用いられる収差補正用低アッベ数凹レンズの材料として有用である。アッベ数が下限より小さければ、本発明の熱可塑性樹脂に高屈折率な構造単位を形成する必要があり、この場合には、Tgが過度に高くなったり、樹脂の熱安定性が低下したり、金型汚染性が増加する恐れがある。
本発明の熱可塑性樹脂は、本発明の熱可塑性樹脂からなる厚さ3mmの試験片において、下記式により算出される1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)[1/Hr]が0.0500以下であることが好ましい。1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)が0.0500以下であれば、長期耐熱性に優れる。長期耐熱性の観点から、1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)は小さい程好ましく、より好ましくは0.0400以下、特に好ましくは0.0300以下である。
1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)=(加熱後の試験片の黄色度-加熱前の試験片の黄色度)/加熱時間
上記式において、加熱後の試験片の黄色度は、該試験片を常圧、135℃の環境下に280時間静置する耐熱試験の実施後にJIS K7373に準拠して測定した黄色度であり、加熱前の試験片の黄色度は、該耐熱試験の実施前にJIS K7373に準拠して測定した黄色度であり、加熱時間は280時間である。
なお、1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明の熱可塑性樹脂は、従来から知られている重合法により製造することができ、その重合法は、特に限定されるものではない。重合法の例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法等を挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、原料のジヒドロキシ化合物とカーボネート形成性化合物とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによって熱可塑性樹脂を得る。尚、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、原料ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
尚、反応温度は特に限定されないが、通常0~40℃であり、反応時間は、特に限定されないが、通常は数分(例えば、10分)~数時間(例えば、6時間)である。
溶融エステル交換法では、例えば、カーボネートエステルと原料ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
原料ジヒドロキシ化合物は、界面重合法におけるものと同様である。また、その他の構造単位を形成するのに必要なモノマーについても、界面重合法におけるものと同様である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の熱可塑性樹脂と、公知の添加剤及び/又は本発明の熱可塑性樹脂以外の樹脂(以下、「その他の樹脂」と称することがある。)との混合物である。
これらの添加剤のうち、例えば酸化防止剤は、本発明の熱可塑性樹脂に対して100~10000ppm、特に500~5000ppmの割合で用いることが好ましく、これらの添加剤の合計量が本発明の熱可塑性樹脂に対して10000ppm以下であることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。
1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)=(加熱後の試験片の黄色度-加熱前の試験片の黄色度)/加熱時間
上記式において、加熱後の試験片の黄色度は、該試験片を常圧、135℃の環境下に280時間静置する耐熱試験の実施後にJIS K7373に準拠して測定した黄色度であり、加熱前の試験片の黄色度は、該耐熱試験の実施前にJIS K7373に準拠して測定した黄色度であり、加熱時間は280時間である。
本発明の成形体は、本発明の熱可塑性樹脂、もしくは本発明の熱可塑性樹脂を含む本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形することにより製造することができる。
試料を塩化メチレンに溶解し(濃度6.0g/L)、ウベローデ粘度管(森友理化工業社製)を用いて比粘度[ηsp]を測定した。そして、前述の式により20℃における固有粘度(極限粘度)[η](単位dL/g)を求め、Schnellの粘度式(下記式)から粘度平均分子量(Mv)を算出した。
η=1.23×10-4Mv0.83
エスアイアイナノテクロノジー社製示差操作熱量計DSC6220を用いて、試料約10mgを20℃/minの昇温速度で加熱して熱量を測定し、JIS K7121に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求めた。該補外ガラス転移温度をガラス転移温度(Tg)とした。
100℃で2時間、真空乾燥をした試料約4gを、幅8cm、長さ8cm、厚さ0.5mmのスペーサーを用いて、熱プレスにて熱プレス温度200~250℃で、予熱1~3分、圧力20MPaの条件で1分間加圧後、スペーサーごと取り出し室温で冷却し、厚み100~300μmのフィルムを作製した。このフィルムから、長さ40mm、幅8mmの長方形の試験片を切り出して測定試料とした。多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製DRM4/1550)で、波長656nm(C線)、589nm(D線)、486nm(F線)の干渉フィルターを用いて、各波長の屈折率、nC、nD、nFを測定した。測定は、界面液としてモノブロモナフタレンを用い、20℃で行った。
アッベ数νDは次の式で計算した。
νD=(1-nD)/(nC-nF)
全長75mm、平行部長さ30mm、平行部幅5mm、厚さ2mm、つかみ部幅10mmのダンベル状樹脂プレートを、偏光色が最も強く現れる角度でクロスニコル状態となる2枚の偏光子の間に挟み、観察台の上において後方から白色光が照射された条件下において、試験片に現れる偏光色を目視にて観察し、複屈折の程度を下記基準で評価した。
◎:偏光色が見られない、または、幅5mmの平行部のみに偏光色が見られ色が1色
○:幅5mmの平行部のみに偏光色が見られ色が2色
△:幅5mmの平行部のみに偏光色が見られ色が3色以上
×:試験片全体に偏光色が見られる
なお、全長75mm、平行部長さ30mm、平行部幅5mm、厚さ2mm、つかみ部幅10mmのダンベル状樹脂プレートは小型射出成形機により得た。具体例には、105℃で5時間以上乾燥した熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物のペレットを小型射出成形機(株式会社新興セルビック製、C,Mobile)に供給し、最終シリンダー温度260℃、金型温度110~120℃の条件で射出成形した。
熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物の初期色調はASTM D1925に準拠して、ペレットの反射光におけるYI値(イエローインデックス値)を測定して評価した。具体的には、装置はコニカミノルタ社製分光測色計CM-5を用い、測定条件は測定径30mm、SCEを選択する。シャーレ測定用校正ガラスCM-A212を測定部にはめ込み、その上からゼロ校正ボックスCM-A124をかぶせてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った。
白色校正板CM-A210を用いて測定を行い、L*が99.40±0.05、a*が0.03±0.01、b*が-0.43±0.01、YIが-0.58±0.01となることを確認する。ペレットの測定は、内径30mm、高さ50mmの円柱ガラス容器にペレットを40mm程度の深さまで詰めて測定を行った。ガラス容器からペレットを取り出してから再度測定を行う操作を2回繰り返し、計3回の測定値の平均値を用いた。
熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物の初期色調試験片YIは、JIS K7373に準拠して、厚み3mm、縦60mm、横60mmの熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物の試験片について、厚み方向での透過光についてYI値(イエローインデックス値)を測定した。装置はコニカミノルタ社製分光測色計CM3700dを用いた。
なお、厚み3mm、縦60mm、横60mmの試験片は、通常の射出成形機により得た。具体例には、105℃で5時間以上乾燥した熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物のペレットを射出成形機(日本製鋼所製、J75EII型)に供給し、最終シリンダー温度260℃、金型温度110~120℃の条件でプレート型の射出成形片を得た。
熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物の長期耐熱性は、前記厚み3mm、縦60mm、横60mmの熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物の試験片を使い耐熱試験によって評価した。具体的には、幅15mm、長さ25mm、高さ6mmの留め具部分を持つダブルクリップで各試験片上部を挟み、各ダブルクリップのつまみ部穴に針金を通して熱風乾燥機内に吊り下げた。設定温度135℃で熱風乾燥機を運転し、常圧中135℃の環境下に280時間静置した。評価項目は、下記評価項目Aと評価項目Bの2つである。
<評価項目A:1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)>
1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)[1/Hr]は、下記式により算出した。
1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)=(加熱後の試験片の黄色度-加熱前の試験片の黄色度)/加熱時間
上記式において、加熱前の試験片の黄色度は、前記(6)の初期色調試験片YIでの値を使用した。加熱後の試験片の黄色度は、耐熱試験実施後の試験片について、前記(6)の初期色調試験片YIと同様の方法で測定した。加熱時間は280時間である。
<評価項目B:外観変化の有無>
外観変化の有無は、下記基準で目視により評価した。
割れ発生:割れが発生した。
変形有:割れは発生していないが、変形が見れられた。
無し:割れも変形も見られなかった。
以下の実施例及び比較例で用いた化合物の略号等は以下の通りである。
・BPEF:9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)
・BP-TMC:4,4’-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノール(本州化学社製またはSongwon社製)
・DPC:ジフェニルカーボネート(三菱ケミカル(株)製)
・亜リン酸:触媒失活剤、ホスホン酸(富士フイルム和光純薬(株)製)
・PTSB:触媒失活剤、パラトルエンスルホン酸ブチル(東京化成工業(株)製)
・AS2112:酸化防止剤、アデカスタブ2112(ADEKA社製)
・Irg1076:酸化防止剤、イルガノックス1076(BASF社製)
原料のジヒドロキシ化合物の合計を100mol部とした時に、BPEF 70mol部と、BP-TMC(本州化学社製) 30mol部と、DPC 105.0mol部、及び触媒として酢酸カルシウム0.2質量%水溶液を、酢酸カルシウムが0.5×10-4mol部となるように、撹拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、還流冷却器を具備した内容量40Lの第1反応器に添加した。
得られた樹脂ペレットに対し、添加剤成分の亜リン酸、PTSB、AS2112、Irg1076を下記表1に記載の割合(質量ppm)で配合して混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製(TEX30HSS)に供給し、スクリュー回転数160rpm、吐出量15kg/h、バレル温度230℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。この熱可塑性樹脂組成物に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1に示す。
溶融重合の原料、添加剤を表1に記載の通りにした以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。この熱可塑性樹脂組成物に対して、上記の手順で各評価を実施した。結果を表1に示す。
溶融重合の原料、添加剤を表1に記載の通りとし、第2反応器から得られた樹脂ペレットに対して、添加剤成分を添加せずに、そのまま熱可塑性樹脂として、上記の手順で各評価を実施したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
カーボネート構造単位(B)を持たない比較例1の熱可塑性樹脂組成物は、長期耐熱性試験において変形が生じ、耐熱性に劣ることが分かる。
カーボネート構造単位(B)の割合が本発明の範囲外である比較例2の熱可塑性樹脂は、長期耐熱性試験において割れが生じ、耐久性に劣ることが分かる。さらに、nDがやや低く成形体の複屈折が大きいため光学的特性に劣っている。
一方、実施例1~6の熱可塑性樹脂及び熱可塑性樹脂組成物はTgが高く、長期耐熱性試験において外観変化が無く、耐熱性、耐久性、耐熱黄変性に優れていることが分かる。さらに、nDが高く成形体の複屈折が小さいという優れた光学的特性を有している。
また、式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物に由来するフェノール性水酸基量が少ない実施例1~5の熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物は、耐熱試験時の1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)が小さい特徴を有していた。
また、原料BP-TMCとして、Songwon社製のBP-TMCを単独で使用した実施例5の熱可塑性樹脂に対し、本州化学社製のBP-TMCを単独または混合で使用した実施例1~4の熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物は、初期色調試験片YIが小さい特徴を有していた。
そのため、本発明の熱可塑性樹脂及び熱可塑性樹脂組成物は、射出成形等の方法により容易に光学部材に加工することができる。これらの光学部材は、ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂などの従来のポリカーボネート樹脂を用いた光学部材と比較して、高耐熱性を有しながら、高屈折率かつ低複屈折性を有しており優れている。
Claims (26)
- 下記式(1)で表される構造単位(A)及び下記式(2)で表される構造単位(B)を、mol比で(A)/(B)=65/35~92/8の割合で含む熱可塑性樹脂であって、
前記熱可塑性樹脂の全構造単位中の前記構造単位(A)及び前記構造単位(B)の含有割合の和が、93~100モル%である、熱可塑性樹脂。
(式(1)中、環Z1、Z2はそれぞれ独立に芳香族炭化水素環を表す。
R1~R10は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、または芳香族基を含んでもよい置換もしくは無置換の炭素数1~20の炭化水素基を表す。ただし、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R7とR8、R8とR9およびR9とR10の組のうち、1~4組が互いに結合して環を形成していてもよい。i、iiはそれぞれ独立に環Z1、Z2の環構成員数から3を差し引いた数を表す。複数のR1、R2は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
Xは炭素数2~8のアルキレン基、炭素数5~12のシクロアルキレン基または炭素数6~20のアリーレン基を表す。nは0~10の整数を表す。) - 前記熱可塑性樹脂の全構造単位中の前記構造単位(A)及び前記構造単位(B)の含有割合の和が、100モル%である請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- 下記式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物に由来するフェノール性水酸基量が、100~1500ppmである、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- 該熱可塑性樹脂を加水分解して得られる加水分解物が、下記式(3)~(5)で表される化合物を含み、該加水分解物における下記式(4)で表される化合物と下記式(5)で表される化合物の含有量の和が、下記式(3)で表される化合物の含有量に対して、1.00質量%以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- 前記式(1)中のXがエチレン基である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- 前記式(1)中のnが1である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- 前記構造単位(A)が、下記式(6)または(7)で表される、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
(式(6)、(7)中、R11~R14は、それぞれ独立に水素原子、メチル基、またはフェニル基を表す。R3~R10は前記式(1)におけると同義である。ただし、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R7とR8、R8とR9およびR9とR10の組のうち1組が互いに結合して環を形成していてもよい。) - 前記式(1)において、R3~R10が全て水素原子である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- 前記構造単位(A)が、下記式(8)で表される、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- 粘度平均分子量(Mv)が5000以上50000以下である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- 波長589nmでの屈折率(nD)が1.590以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- 波長589nmでの屈折率(nD)が1.601以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- アッベ数(νD)が35.0以下である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- ガラス転移温度(Tg)が110℃以上200℃以下である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- 該熱可塑性樹脂からなる厚さ3mmの試験片において、下記式により算出される1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)[1/Hr]が0.0500以下である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)=(加熱後の試験片の黄色度-加熱前の試験片の黄色度)/加熱時間
上記式において、加熱後の試験片の黄色度は、該試験片を常圧、135℃の環境下に280時間静置する耐熱試験の実施後にJIS K7373に準拠して測定した黄色度であり、加熱前の試験片の黄色度は、該耐熱試験の実施前にJIS K7373に準拠して測定した黄色度であり、加熱時間は280時間である。 - 請求項1~15のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂と、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、輝度向上剤、染料、顔料、離型剤、流動改質剤及び耐衝撃性向上剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤、及び/又は、該熱可塑性樹脂以外のその他の樹脂とを含有する熱可塑性樹脂組成物。
- 該熱可塑性樹脂組成物からなる厚さ3mmの試験片において、下記式により算出される1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)[1/Hr]が0.0500以下である、請求項16に記載の熱可塑性樹脂組成物。
1時間当たりのYI増加量(ΔYI/時間)=(加熱後の試験片の黄色度-加熱前の試験片の黄色度)/加熱時間
上記式において、加熱後の試験片の黄色度は、該試験片を常圧、135℃の環境下に280時間静置する耐熱試験の実施後にJIS K7373に準拠して測定した黄色度であり、加熱前の試験片の黄色度は、該耐熱試験の実施前にJIS K7373に準拠して測定した黄色度であり、加熱時間は280時間である。 - 請求項1~15のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂を成形してなる成形体。
- 請求項16に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
- 請求項17に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
- 前記成形体が光学部材である、請求項18に記載の成形体。
- 前記成形体が光学部材である、請求項19に記載の成形体。
- 前記成形体が光学部材である、請求項20に記載の成形体。
- 前記光学部材が、車載用レンズ、メガネレンズ、ピックアップレンズ、カメラレンズ、マイクロアレーレンズ、プロジェクターレンズ及びフレネルレンズからなる群より選ばれた少なくとも一種の光学レンズである、請求項21に記載の成形体。
- 前記光学部材が、車載用レンズ、メガネレンズ、ピックアップレンズ、カメラレンズ、マイクロアレーレンズ、プロジェクターレンズ及びフレネルレンズからなる群より選ばれた少なくとも一種の光学レンズである、請求項22に記載の成形体。
- 前記光学部材が、車載用レンズ、メガネレンズ、ピックアップレンズ、カメラレンズ、マイクロアレーレンズ、プロジェクターレンズ及びフレネルレンズからなる群より選ばれた少なくとも一種の光学レンズである、請求項23に記載の成形体。
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