JP7812946B2 - 連結車両の制御装置、連結車両の制御方法、および連結車両の制御プログラム - Google Patents

連結車両の制御装置、連結車両の制御方法、および連結車両の制御プログラム

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Description

本開示は、連結車両の制御装置、連結車両の制御方法、および連結車両の制御プログラムに関する。
たとえば下記特許文献1には、ヒッチ角センサを用いて連結車両の走行を制御する装置が記載されている。
米国特許第10421490号明細書
ところで、連結車両の操舵に関する角度を検出するセンサの検出値には、ノイズが重畳する。そして、ノイズの影響が制御に反映されると、転舵輪の制御に振動が重畳する。そのため、運転者が操舵のために操作する操作部と転舵輪とが機械的に連結されている場合、操作部にユーザが感知しうる振動が生じる。
本開示の一態様は、トラクタとトレーラとが連結された連結車両の制御装置を提供する。トレーラは、転舵輪と機械的に連結された操作部と、前記転舵輪を転舵させるアクチュエータと、を備える。連結車両の制御装置は、取得処理および転舵制御処理を実行するように構成されている。取得処理は、車速および角度検出値を取得する処理である。角度検出値は、連結車両の操舵に関する角度変数の値のセンサによる検出値である。転舵制御処理は、入力変数としての角度検出値に基づきアクチュエータを操作する処理であって且つ、車速依存処理を含む。車速依存処理は、角度検出値の変化に対するアクチュエータの操作量の応答性を、車速が小さい場合に車速が大きい場合よりも低下させる処理である。
本開示の別の態様は、トラクタとトレーラとが連結された連結車両の制御方法を提供する。トレーラは、転舵輪と機械的に連結された操作部と、前記転舵輪を転舵させるアクチュエータと、を備える。連結車両の制御方法は、取得処理を実行することと転舵制御処理を実行することとを有する。取得処理は、車速および角度検出値を取得する処理である。角度検出値は、連結車両の操舵に関する角度変数の値のセンサによる検出値である。転舵制御処理は、入力変数としての角度検出値に基づきアクチュエータを操作する処理であって且つ、車速依存処理を含む。車速依存処理は、角度検出値の変化に対するアクチュエータの操作量の応答性を、車速が小さい場合に車速が大きい場合よりも低下させる処理である。
本開示の別の態様は、トラクタとトレーラとが連結された連結車両の制御プログラムを提供する。トレーラは、転舵輪と機械的に連結された操作部と、前記転舵輪を転舵させるアクチュエータと、を備える。連結車両の制御プログラムは、取得処理および転舵制御処理をコンピュータに実行させる指令を有する。取得処理は、車速および角度検出値を取得する処理である。角度検出値は、連結車両の操舵に関する角度変数の値のセンサによる検出値である。転舵制御処理は、入力変数としての角度検出値に基づきアクチュエータを操作する処理であって且つ、車速依存処理を含む。車速依存処理は、角度検出値の変化に対するアクチュエータの操作量の応答性を、車速が小さい場合に車速が大きい場合よりも低下させる処理である。
第1の実施形態にかかる連結車両を例示する図である。 同実施形態にかかる制御システムの構成を示すブロック図である。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。 同実施形態にかかる連結車両のモデルを示す図である。 同実施形態にかかるセンサの検出値の時系列データを例示するタイムチャートである。 同実施形態にかかる車速と制御に必要な操舵速度との関係を示す図である。 第2の実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。 同実施形態の効果を示すタイムチャートである。 第5の実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。「連結車両の構成」
図1に示すように、連結車両10は、トラクタ20およびトレーラ30を備える。トラクタ20は、前輪22および後輪24を備える。前輪22は右前輪および左前輪の2輪を含み、後輪24は右後輪および左後輪の2輪を含む。また、図1には、トレーラ30として、箱型のトレーラを例示する。トレーラ30は、車輪32を有している。車輪32は、右車輪および左車輪の2輪を含む。
トレーラ30は、ボールジョイント40を介してトラクタ20の後部に連結されている。ボールジョイント40は、トレーラ30を、トラクタ20に対して軸42を中心として回転可能に連結する部材である。軸42は、トラクタ20の高さ方向に沿って延びる。
図2に、トラクタ20が備える部材の一部を示す。
図2に示すように、トラクタ20が備える操舵系50におけるステアリングホイール52は、ステアリングシャフト54と一体的に回転する。ステアリングホイール52は、転舵輪と機械的に連結された操作部に対応する。ステアリングホイール52の回転動力は、ステアリングシャフト54およびラック軸56を介して前輪22の転舵力に変換される。ステアリングシャフト54には、操舵アクチュエータ60が機械的に連結されている。操舵アクチュエータ60は、モータ62の動力をステアリングシャフト54の回転動力に変換する。モータ62の端子には、インバータ64の出力電圧が印加される。
コントローラ66は、制御対象としての前輪22の制御量を制御すべく、モータ62のトルクを制御する。ここで、制御量は、転舵角である。転舵角は、前輪22のタイヤの切れ角である。コントローラ66は、制御量の制御のために、回転角センサ68によって検出されるモータ62の回転角度θmを参照する。
トラクタ20は、駆動系70を備えている。駆動系70は、車両の推力生成装置としての、内燃機関および回転電機の2つのうちの少なくとも1つを含む。トラクタ20は、制動系72を備えている。制動系72は、摩擦力によって車輪の回転を減速させる装置と、車輪の動力を電気エネルギに変換することによって車輪の回転を減速させる装置との2つのうちの少なくとも1つを含む。なお、電気エネルギに変換することによって車輪の回転を減速させる装置は、駆動系の回転電機と共有されていてもよい。
トラクタ20は、ADASECU80を備えている。ADASECU80は、制御対象としての連結車両10の制御量を制御すべく、操舵系50、駆動系70、および制動系72を操作する。制御量は、車速、走行方向、およびヒッチ角等である。ヒッチ角は、トラクタ20の前後方向とトレーラ30の前後方向とのなす角度である。なお、駆動系70に、内燃機関および回転電機を制御対象とする駆動制御装置を含めてもよい。その場合、「ADASECU80が駆動系70を操作する」とは、ADASECU80が駆動制御装置に指令信号を出力することを意味する。また、制動系72に、車輪の回転を減速させる装置を制御対象とする制動制御装置を含めてもよい。その場合、「ADASECU90が制動系82を操作する」とは、ADASECU80が制動制御装置に指令信号を出力することを意味する。また、「ADASECU80が操舵系50を操作する」とは、ADASECU80がコントローラ66に指令信号を出力することを意味する。
ADASECU80は、制御量を制御すべく、ヒッチ角センサ90によって検出されるヒッチ角βを参照する。ヒッチ角βは、トラクタ20の後方から前方に進む方向とトレーラ30の後方から前方に進む方向とのなす角度に応じて正、負の双方の符号を取り得る。たとえば、トラクタ20の後方から前方に進む方向に対してトレーラ30の後方から前方に進む方向が反時計回りに180°未満ずれる場合のヒッチ角βの符号が、正であってもよい。また、ADASECU80は、車輪速センサ92によって検出される車輪速度ωw1~ωw4を参照する。車輪速度ωw1,ωw2は、それぞれ、右側の前輪22の回転速度、および左側の前輪22の回転速度である。車輪速度ωw3,ωw4は、それぞれ、右側の後輪24の回転速度、および左側の後輪24の回転速度である。
ADASECU80は、制御量の制御を、ユーザインターフェース94の操作状態に応じて設定する。ユーザインターフェース94は、自動運転および手動運転の2つのうちのいずれか1つを選択する等、ユーザの意思をADASECU80に伝達するためのものである。
ADASECU80は、PU82および記憶装置84を備えている。PU82は、CPU、GPU、およびTPU等の少なくとも1つを備えるソフトウェア処理装置である。記憶装置84には、後退アシストプログラム84aが記憶されている。後退アシストプログラム84aは、PU82に、後退アシスト処理を実行させる指令を規定するプログラムである。後退アシスト処理は、連結車両10の後退走行において転舵輪の転舵処理を自動で行う処理である。後退アシストプログラム84aは、運転者による後退運転の負荷を軽減するためのプログラムである。
すなわち、連結車両10の後退走行においては、トラクタ20の転舵角が同一であっても、トレーラ30の挙動は、ヒッチ角βに応じて変化する。そのため、後退制御には、高い運転技能が要求される。後退アシストプログラム84aによる後退アシスト処理は、トラクタ20の転舵角を制御することによって運転者をアシストする処理である。ただし、後退アシスト処理は、トレーラ30の操舵に対する指示を運転者に委ねる。
「後退アシスト処理における操舵」
図3に、後退アシスト処理の手順を示す。図3に示す処理は、後退アシストプログラム84aをPU82がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって各処理のステップ番号を表現する。
図3に示す一連の処理において、PU82は、まず、後退アシストモードであるか否かを判定する(S10)。PU82は、後退アシストモードであると判定する場合(S10:YES)、ヒッチ角センサ90によって検出されたヒッチ角βを取得する(S12)。また、PU82は、操舵系50によって検出された転舵角α1を取得する(S14)。詳しくは、転舵角α1は、コントローラ66により回転角度θmを用いて算出された値である。
そして、PU82は、転舵角α1およびヒッチ角βを入力として、仮想操舵角α2を算出する(S16)。仮想操舵角α2は、トレーラ30とトラクタ20との連結箇所の進行方向を示す変数である。換言すれば、図1に示す軸42の進行方向を示す変数である。本実施形態では、一例として、トレーラ30の前後方向に対するボールジョイント40の進行方向のなす角度によって、仮想操舵角α2を定義する。
ここで、図4に基づき、仮想操舵角α2を転舵角α1およびヒッチ角βから算出する理由を説明する。
図4は、本実施形態で用いる連結車両10のモデルを示す。図4に示すモデルは、トラクタ20の一対の前輪22を1つの前輪C0とみなして且つ、トラクタ20の一対の後輪24を1つの後輪B1とみなす。すなわち、トラクタ20について2輪モデルを採用している。また、トレーラ30の一対の車輪32を1つの車輪B2とみなす。前輪C0およびヒッチ点C1によって定まる線と、ヒッチ点C1および車輪B2によって定まる線とのなす角が、ヒッチ角βである。ヒッチ点C1は、図1の軸42部分に相当する。また、前輪C0の速度である前輪速度VC0は、転舵角α1の方向に進むベクトルである。転舵角α1は、前輪C0の進む方向と、前輪C0およびヒッチ点C1によって定まる線とのなす角度として定量化されている。車速Vの方向は、前輪C0およびヒッチ点C1によって定まる線に平行である。また、車速Vの方向と、図4のx方向とのなす角は、角度θ1である。また、車輪B2とヒッチ点C1とを結ぶ線とx方向とのなす角は、角度θ2である。また、距離l1は、前輪C0および後輪B1間の長さである。また、距離h1は、後輪B1およびヒッチ点C1間の長さである。距離l2は、ヒッチ点C1および車輪B2間の長さである。
上述した定義によれば、車輪B2からヒッチ点C1に進む方向に対するヒッチ点C1の速度VC1の方向が仮想操舵角α2である。ヒッチ点C1から前輪C0に進む方向に対するヒッチ点C1の速度VC1の方向のなす角度γ1を用いると、仮想操舵角α2は、「-(β-γ1)」にて表現される。
図4に示すモデルにおいて、前輪C0の座標(xc0,yc0)、後輪B1の座標(xb1,yb1)およびヒッチ点C1の座標(xc1,yc1)を用いると、以下の式(c1)~(c3)が成立する。
VC0・cosα1=V …(c1)
xc0=xb1+l1・cosθ1 …(c2)
xc1=xb1-h1・cosθ1 …(c3)
上記の式(c2),(c3)の両辺を微分した式および式(c1)を用いると、以下の式(c4)が得られる。
h1・tanα1+l1・tanγ1=0 …(c4)
上記の式(c4)によれば、角度γ1が転舵角α1によって表現できる。したがって、仮想操舵角α2は、以下の式(c5)にて表現される。
α2=-β-arctan{(h1/l1)・tan(α1)} …(c5)
すなわち、仮想操舵角α2は、ヒッチ角βおよび転舵角α1から求めることができる。
図3に示したS16の処理は、上記の式(c5)を用いる処理であってもよい。また、記憶装置84にマップデータを記憶しておくことにより、S16の処理は、PU82が、仮想操舵角α2をマップ演算する処理であってもよい。マップデータは、ヒッチ角βおよび転舵角α1が入力変数であって且つ、仮想操舵角α2が出力変数であるデータである。
ここで、マップデータは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。また、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値が演算結果である処理であればよい。また、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれにも一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値が演算結果である処理であってもよい。また、これに代えて、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれにも一致しない場合、マップデータに含まれる複数の入力変数の値のうちの最も近い値に対応するマップデータの出力変数の値が演算結果である処理であってもよい。
図3に戻り、PU82は、ユーザインターフェース94に入力された目標仮想操舵角α2*を取得する(S18)。目標仮想操舵角α2*は、仮想操舵角α2の目標値である。目標仮想操舵角α2*は、トレーラ30の操舵に対する運転者の指示を示す変数である。
次にPU82は、仮想操舵角α2が制御量であって且つ目標仮想操舵角α2*が制御量の目標値であるフィードバック制御の操作量としての目標転舵角α1*を算出する(S20)。ここで、フィードバック制御は、たとえば、目標仮想操舵角α2*と仮想操舵角α2との差が入力である比例要素の出力値が目標転舵角α1*である処理であってもよい。またたとえば、フィードバック制御は、目標仮想操舵角α2*と仮想操舵角α2との差に応じた値が入力である比例要素の出力値および積分要素の出力値の和が目標転舵角α1*とする処理であってもよい。またたとえば、フィードバック制御は、目標仮想操舵角α2*と仮想操舵角α2との差に応じた値が入力である比例要素の出力値および微分要素の出力値の和が目標転舵角α1*である処理であってもよい。またたとえば、フィードバック制御は、目標仮想操舵角α2*と仮想操舵角α2との差に応じた値が入力である比例要素の出力値、微分要素の出力値および積分要素の出力値の和が目標転舵角α1*である処理であってもよい。
次にPU82は、車速Vを取得する(S22)。車速Vは、PU82によって、車輪速度ωw1~ωw4の4つのうちの少なくとも1つを用いて算出される。なお、S12,S14,S22の処理は、取得処理に対応する。また、角度検出値は、ヒッチ角βおよび転舵角α1に対応する。そして、PU82は、目標転舵角α1*の変化速度の大きさのガード値Δα1thを車速Vに応じて算出する(S24)。詳しくは、PU82は、車速Vが高いときのガード値Δα1thが、車速Vが低いときのガード値Δα1th以上である条件で、車速Vに応じてガード値Δα1thを可変設定する。これは、たとえば記憶装置84にマップデータが記憶された状態でPU82によってガード値Δα1thをマップ演算する処理としてもよい。ここで、マップデータは、車速Vを入力変数として且つガード値Δα1thを出力変数とするデータである。このマップデータには、ガード値Δα1thについての互いに異なる値が含まれる。
なお、「Aが大きい場合のBをAが小さい場合のB以上である条件でAに応じてBを変更する」との記載において、Aが大きい場合とAが小さい場合とは、両者を比較した場合の相対的な大小関係を意味する。たとえば、「Aが大きい場合」は、「Aが第1の値」である場合に対応し、「Aが小さい場合」は、「Aが第1の値よりも小さい第2の値である場合」に対応する。そして、上記記載によれば、第1の値と第2の値との設定によっては、Aが第1の値である場合のBが、Aが第2の値である場合のBよりも大きくなることがあることを意味する。また、上記記載は、Bが大きい場合のAが、Bが小さい場合のAよりも大きくなるように、Aに応じてBを変更することを意味する。
次にPU82は、目標転舵角α1*の今回値「α1*(n)」と前回値「α1*(n-1)」との差の絶対値がガード値Δα1thよりも大きいか否かを判定する(S26)。PU82は、上記絶対値がガード値Δα1thよりも大きいと判定する場合(S26:YES)、目標転舵角α1*を、前回値からの変化量がガード値Δα1thとなって且つS20の処理によって算出された値に最も近い値とする(S28)。そして、PU82は、目標転舵角α1*をコントローラ66に出力する(S30)。すなわち、PU82は、転舵角α1が目標転舵角α1*に近付くように操舵系50を操作する。
なお、PU82は、S30の処理を完了する場合と、S10の処理において否定判定する場合と、には、図3に示す一連の処理を一旦終了する。なお、S16~S30の処理は、転舵制御処理に対応する。また、S24~S28の処理は、車速依存処理に対応する。
「本実施形態の作用および効果」
連結車両10の操舵に関する角度変数のセンサの検出値に応じた値である、ヒッチ角βおよび転舵角α1には、ノイズが重畳する。
図5に、ヒッチ角βの時間推移を示す。図5に示すように、ヒッチ角βにはノイズが重畳していることから、上下に値が変動する。
図6に、制御に必要な操舵の速度である操舵速度と、車速Vとの関係を示す。図6に示すように、制御に必要な操舵速度Vdは、車速Vが大きいほど大きくなる。これは、以下の理由によるものである。
すなわち、ヒッチ角βの時間微分は、図4のモデル式によれば、以下の式(c6)にて表現される。dβ/dt=
(V/l2)・sinβ
+{V/(l1・l2)}・{l2+h1・cosβ}・tanα1
…(c6)
式(c6)によれば、ヒッチ角βの時間微分は、車速Vに比例する。
また、上記の式(c5)の両辺を時間で微分すると、仮想操舵角α2の時間微分が、ヒッチ角βの時間微分と、転舵角α1の時間微分を含む項との和となる。したがって、転舵角α1の時間微分は、仮想操舵角α2の時間微分に比例する項とヒッチ角の時間微分に比例する項との和とみなせる。ここで、比例係数は、転舵角α1に依存する。したがって、上記の式(c6)によれば、転舵角α1の時間微分も車速Vに比例する。さらに、仮想操舵角α2の時間微分に比例する項は、転舵角α1の時間微分に比例する項とヒッチ角の時間微分に比例する項との和とみなせる。したがって、上記の式(c6)によれば、仮想操舵角α2の時間微分も車速Vに比例する。
操舵の速度は、転舵角α1の時間微分、ヒッチ角βの時間微分、または仮想操舵角α2の時間微分に応じたものとなる。そのため、制御に必要な操舵速度Vdは、車速Vが大きいほど大きくなる。
図6には、センサの検出値に起因したノイズNWを併せて記載している。
図6に示すように、制御に必要な操舵速度Vdは、車速Vが閾値Vthに達するまでは、ノイズNW成分よりも小さい。なお、図6には、便宜上、縦軸を速度としているが、より正確には、縦軸の上に行くほど高周波であることを意味する。
図6に示すように、車速Vが小さい場合、ヒッチ角βおよび転舵角α1へのノイズの影響によって、S20の処理によって算出される目標転舵角α1*が必要以上に急激に変化するおそれがある。制御に用いる目標転舵角α1*がノイズの影響で頻繁に変動する場合、転舵角α1を目標転舵角α1*に制御するためのモータ62のトルクが頻繁に変動する。モータ62のトルクが高周波で変動するとステアリングホイール52に振動が生じる。
そこでPU52は、制御に用いる目標転舵角α1*の変化速度の大きさをガード値Δα1th以下に制限する。これにより、ヒッチ角βおよび回転角度θmの検出値のノイズに起因して、目標転舵角α1*が急激に、また頻繁に変動することを抑制できる。したがって、連結車両10の極低速運転時において、ステアリングホイール52に振動が生じることを抑制できる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図7に、本実施形態にかかる後退アシスト処理の手順を示す。図7に示す処理は、後退アシストプログラム84aをPU82がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、図7において、図3に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
図7に示す一連の処理において、PU82は、後退アシストモードであると判定する場合(S10:YES)、車速Vを取得する(S22)。そしてPU82は、後述するローパスフィルタのカットオフ周波数fcを設定する(S40)。PU82は、車速Vが小さい場合のカットオフ周波数fcが車速Vが大きい場合のカットオフ周波数fc以下である条件で、車速Vに応じてカットオフ周波数fcを設定する。これは、たとえば記憶装置84にマップデータを記憶した状態で、PU82によってカットオフ周波数fcをマップ演算することによって実現すればよい。マップデータは、車速Vが入力変数であって且つカットオフ周波数fcが出力変数であるデータである。マップデータは、出力変数の値として互いに異なる値を含む。
そして、PU82は、S12の処理によって取得したヒッチ角βにカットオフ周波数fcのローパスフィルタによるフィルタ処理を施す(S42)。また、PU82は、S14の処理によって取得した転舵角α1に、カットオフ周波数fcのローパスフィルタによるフィルタ処理を施す(S44)。
そしてPU82は、S16~S20,S30の処理を実行する。なお、S16の処理におけるヒッチ角βおよび転舵角α1は、S42,S44の処理によるローパスフィルタ処理が施された後の値である。
PU82は、S30の処理を完了する場合と、S10の処理において否定判定する場合と、には、図7に示す一連の処理を一旦終了する。なお、S40,S42,S44,S16~S20,S30の処理は、転舵制御処理に対応する。また、S40,S42,S44の処理は、車速依存処理に対応する。
「本実施形態の作用および効果」
PU82は、ローパスフィルタ処理したヒッチ角βおよび転舵角α1を用いて仮想操舵角α2を算出する。そして、仮想操舵角α2が制御量であって且つ目標仮想操舵角α2*が制御量の目標値であるフィードバック制御の操作量として、目標転舵角α1*を算出する。ここで、ヒッチ角βおよび転舵角α1にはローパスフィルタ処理が施されていることから、ノイズの影響が抑制されている。そのため、仮想操舵角α2がノイズに起因して大きく変動することは抑制されている。そのため、目標転舵角α1*がノイズの影響によって変動することを抑制できる。
特に、PU82は、カットオフ周波数fcを、車速Vが高いほど大きくした。車速Vが高い場合には制御に必要な転舵角α1の変化速度も大きくなる。そのため、本実施形態によれば、ノイズの影響を抑制することと、仮想操舵角α2の制御の応答性を高めることとの好適な折衷を図ることができる。
特に、ローパスフィルタ処理を施す場合には、連結車両10の停止状態を高精度に判定できない場合に、仮想操舵角α2の制御性を高めることも可能である。すなわち、停止状態の判定精度が低い場合、連結車両10が極低速で走行している場合に停止状態と誤判定するおそれがある。そして停止状態において制御を停止する場合には、仮想操舵角α2の制御を実行できない。
図8の左側に、連結車両10が停止していると誤判定する場合にヒッチ角βおよび転舵角α1を停止直前の値に固定する場合における、仮想操舵角α2、ヒッチ角β、転舵角α1および車速Vの推移を示す。この場合、PU82は、仮想操舵角α2、ヒッチ角βおよび転舵角α1が停止判定直前の値で維持されると認識することから、仮想操舵角α2を制御できない。
一方、図8の右側に本実施形態の場合を示す。この場合、ローパスフィルタ処理が施されたヒッチ角βおよび転舵角α1が変化することから、仮想操舵角α2も変化する。そのため、仮想操舵角α2を目標仮想操舵角α2*に近づける制御を実現できる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図9に、本実施形態にかかる後退アシスト処理の手順を示す。図9に示す処理は、後退アシストプログラム84aをPU82がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、図9において、図3に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
図9に示す一連の処理において、PU82は、S10,S22の処理を完了する場合、車速Vがゼロであるか否かを判定する(S50)。PU82は、車速Vがゼロであると判定する場合(S50:YES)、今回用いるヒッチ角βに前回値「β(n-1)」を代入する(S12a)。また、PU82は、今回用いる転舵角α1に前回値「α1(n-1)」を代入する(S14a)。そして、PU82は、S16~S20,S30の処理を実行する。なお、S50の処理は、判定処理に対応する。また、S12a,S14aの処理は、ホールド処理に対応する。
PU82は、S30の処理を完了する場合と、S10の処理において否定判定する場合と、には、図9に示す一連の処理を一旦終了する。ちなみに、PU82は、S50の処理において否定判定する場合、図3または図7に示した処理を実行すればよい。なお、S50,S12a,S14a,S16~S20,S30の処理は、転舵制御処理に対応する。また、S40,S42,S44の処理は、車速依存処理に対応する。
「本実施形態の作用および効果」
PU82は、車速Vがゼロであると判定すると、ヒッチ角βおよび転舵角α1を車速Vがゼロとなる直前の値にホールドする。そのため、S20の処理において用いられる仮想操舵角α2も車速Vがゼロとなる直前の値にホールドされる。これにより、目標転舵角α1*が、都度検出されるヒッチ角βおよび転舵角α1に重畳するノイズの影響で変動することが抑制される。そのため、連結車両10の停止状態において、モータ62のトルクが変動することを抑制できる。連結車両10の停止状態においてステアリングホイール52に加わるトルクが変動すると、ユーザが特に違和感を抱きやすい。これに対し本実施形態によれば、こうした問題が生じることを抑制できる。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
「転舵制御処理について」
・転舵制御処理は、仮想操舵角α2が制御量であって且つ目標仮想操舵角α2*が制御量の目標値であるフィードバック制御の操作量を、目標転舵角α1*とする処理に限らない。たとえば、転舵制御処理は、仮想操舵角α2が制御量であるフィードバック制御の操作量と、仮想操舵角α2が制御量である開ループ制御の操作量との和が、目標転舵角α1*である処理であってもよい。
・転舵制御処理は、仮想操舵角α2が制御量である制御の操作量が、目標転舵角α1*である処理に限らない。転舵制御処理は、たとえば、ヒッチ角βが制御量である制御の操作量が、目標転舵角α1*である処理であってもよい。ここで、PU82は、ヒッチ角βの目標値を、目標仮想操舵角α2*と転舵角α1とから上記の式(c5)に基づき設定すればよい。
・たとえば、ADASECU80が、モータ62のトルクの指令値を出力するようにしてもよい。その場合、PU82は、転舵角α1が制御量であって且つ目標転舵角α1*が制御量の目標値であるフィードバック制御の操作量を、モータ62のトルクの指令値に設定してもよい。またたとえば、PU82は、転舵角α1が制御量であるフィードバック制御の操作量と、転舵角α1が制御量である開ループ制御の操作量との和をモータ62のトルクの指令値に設定してもよい。
「車速依存処理について」
・たとえば「転舵制御処理について」の欄に記載したように、ADASECU80がモータ62のトルクの指令値を出力する場合、車速依存処理は、指令値の変化速度の大きさを、車速Vが小さい場合に大きい場合よりも小さくする処理であってもよい。
・たとえば「転舵制御処理について」の欄に記載したように、転舵角α1が制御量であるフィードバック制御の操作量をトルク指令値に設定する場合、フィードバック制御量としての転舵角α1には、S44の処理の出力値を用いることが望ましい。
・図7には、ヒッチ角βおよび転舵角α1の双方にフィルタ処理を施す例を示したが、これに限らない。たとえば、ヒッチ角βおよび転舵角α1の2つのうちのいずれか1つに限ってフィルタ処理を施してもよい。
「角度変数の値を検出するセンサについて」
・転舵角を検出するためのセンサとしては、回転角センサ68に限らない。転舵角を検出するためのセンサは、たとえば、ステアリングシャフト54の回転角を検出するステアリングセンサであってもよい。またたとえば、転舵角を検出するためのセンサは、ラック軸56の軸方向の変位量を検出するリニアポジションセンサであってもよい。
「アクチュエータについて」
・アクチュエータが、操舵アクチュエータ60であることは必須ではない。アクチュエータは、たとえば、ラック軸56に平行にモータ62の回転軸を配置する同軸タイプのアクチュエータであってもよい。
「制御装置について」
・制御装置としては、PU82と記憶装置84とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態において実行された処理の少なくとも一部を実行するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成を備えた処理回路であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶する記憶装置等のプログラム格納装置とを備える処理回路。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える処理回路。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える処理回路。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
「コンピュータについて」
・コンピュータとしては、車両に搭載されたPU82に限らない。たとえば、図3に示したS10~S22,S30の処理をPU82が実行して且つ、S24~S28の処理をユーザの携帯端末が実行することとしてもよい。
「操作部について」
・操作部としては、ステアリングホイール52に限らない。たとえばジョイスティックであってもよい。
「車両について」
・連結車両としては、図1に例示した車両に限らない。

Claims (8)

  1. トラクタとトレーラとが連結された連結車両の制御装置であって、
    前記トレーラは、転舵輪と機械的に連結された操作部と、前記転舵輪を転舵させるアクチュエータと、を備え、
    取得処理および転舵制御処理を実行するように構成され、
    前記取得処理は、車速および角度検出値を取得する処理であり、
    前記角度検出値は、前記連結車両の操舵に関する角度変数の値のセンサによる検出値であり、
    前記転舵制御処理は、入力変数としての前記角度検出値に基づき前記アクチュエータを操作する処理であって且つ、車速依存処理を含み、
    前記車速依存処理は、前記角度検出値の変化に対する前記アクチュエータの操作量の応答性を、前記車速が小さい場合に前記車速が大きい場合よりも低下させる処理である連結車両の制御装置。
  2. 前記転舵制御処理は、前記連結車両の操舵に関する所定の制御量をその目標値に制御するための操作量に応じて前記アクチュエータを操作する処理であり、
    前記車速依存処理は、前記アクチュエータの操作量の変化速度の大きさの上限値を、前記車速が小さい場合に大きい場合よりも小さい値に制限する処理である請求項1記載の連結車両の制御装置。
  3. 前記所定の制御量は、仮想操舵角であり、
    前記仮想操舵角は、前記トレーラと前記トラクタとの連結箇所の進行方向を示す変数であり、
    前記転舵制御処理は、前記仮想操舵角が制御量であるフィードバック制御の操作量に応じて前記アクチュエータを操作する処理であり、
    仮想操舵角算出処理を実行するように構成され、
    前記仮想操舵角算出処理は、入力変数としての前記角度検出値に基づき前記仮想操舵角を算出する処理である請求項2記載の連結車両の制御装置。
  4. 前記操作量は、前記転舵輪の転舵角の目標値である請求項2記載の連結車両の制御装置。
  5. 前記転舵制御処理は、フィルタ処理を含んで且つ、前記フィルタ処理の出力に応じて前記アクチュエータを操作する処理であり、
    前記フィルタ処理は、前記角度検出値の高周波成分を除去する処理であり、
    前記車速依存処理は、前記車速が小さい場合に大きい場合よりも前記フィルタ処理による除去対象となる周波数成分の下限値をより小さくする処理である請求項1記載の連結車両の制御装置。
  6. 前記車速依存処理は、判定処理と、ホールド処理とを含み、
    前記判定処理は、前記連結車両が停止状態であるか否かを判定する処理であり、
    前記ホールド処理は、前記停止状態と判定される場合、前記アクチュエータの操作量を定めるための前記角度検出値をホールド状態に設定する処理である請求項1記載の連結車両の制御装置。
  7. トラクタとトレーラとが連結された連結車両の制御方法であって、
    前記トレーラは、転舵輪と機械的に連結された操作部と、前記転舵輪を転舵させるアクチュエータと、を備え、
    取得処理を実行することと、転舵制御処理を実行することとを有し、
    前記取得処理は、車速および角度検出値を取得する処理であり、
    前記角度検出値は、前記連結車両の操舵に関する角度変数の値のセンサによる検出値であり、
    前記転舵制御処理は、入力変数としての前記角度検出値に基づき前記アクチュエータを操作する処理であって且つ、車速依存処理を含み、
    前記車速依存処理は、前記角度検出値の変化に対する前記アクチュエータの操作量の応答性を、前記車速が小さい場合に前記車速が大きい場合よりも低下させる処理である連結車両の制御方法。
  8. トラクタとトレーラとが連結された連結車両の制御プログラムにおいて、
    前記トレーラは、転舵輪と機械的に連結された操作部と、前記転舵輪を転舵させるアクチュエータと、を備え、
    取得処理および転舵制御処理をコンピュータに実行させる指令を有し、
    前記取得処理は、車速および角度検出値を取得する処理であり、
    前記角度検出値は、前記連結車両の操舵に関する角度変数の値のセンサによる検出値であり、
    前記転舵制御処理は、入力変数としての前記角度検出値に基づき前記アクチュエータを操作する処理であって且つ、車速依存処理を含み、
    前記車速依存処理は、前記角度検出値の変化に対する前記アクチュエータの操作量の応答性を、前記車速が小さい場合に前記車速が大きい場合よりも低下させる処理である連結車両の制御プログラム。
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