以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本発明に係る光学機器として、デジタルカメラのレンズ鏡筒を取り上げることとする。
図1(a)は、実施形態に係るデジタルカメラ1を正面側から見て示す外観斜視図である。図1(b)は、デジタルカメラ1の背面側から見て示す外観斜視図である。デジタルカメラ1は、カメラ本体100と、カメラ本体100に対して着脱可能なレンズ鏡筒101(交換レンズ)を有する。
説明の便宜上、図1(a)に示すように、デジタルカメラ1に対して、互いに直交するXYZ方向を定義する。レンズ鏡筒101に収容されている撮像光学系の光軸(以下では単に「光軸」という)が延びる方向(光軸方向)をZ方向とする。Z軸が水平方向と平行であるときに、水平面内でZ軸と直交する軸をX軸とし、水平面と直交する軸をY軸とする。なお、X方向はカメラ本体100の幅方向であり、Y方向はカメラ本体100の高さ方向であり、Z方向はカメラ本体100の前後方向となる。また、以下の説明では、X軸まわりの(X軸を回転中心とした)回転方向をピッチ(Pitch)方向とし、Y軸まわりの回転方向をヨー(Yaw)方向とする。
カメラ本体100には、ユーザがカメラ本体100を手で把持するためのグリップ部2が、正面側から見て左側(背面から見て右側)の部分に設けられている。カメラ本体100の上面には、電源操作部3が配置されている。カメラ本体100が電源オフ状態にあるときにユーザが電源操作部3をオン操作すると、デジタルカメラ1の内部で通電が開始されて、カメラ本体100が電源オン状態となる。カメラ本体100が電源オン状態になると、カメラ制御部12(図2参照)が、所定のプログラムを実行して、デジタルカメラ1は撮影待機状態となる。逆に、カメラ本体100が電源オン状態にあるときにユーザが電源操作部3をオフ操作すると、カメラ本体100は電源オフ状態となる。
カメラ本体100の上面には、モードダイアル4、レリーズボタン5及びアクセサリシュー6が設けられている。ユーザがモードダイアル4を回転操作することで、撮影モードを切り替えることができる。撮影モードには、シャッタ速度や絞り値等の撮影条件をユーザが任意に設定可能なマニュアル静止画撮影モード、自動で適正な露光量が得られるオート静止画撮影モード、動画の撮影を行うための動画撮影モード等がある。カメラ制御部12は、レリーズボタン5の半押し操作に応じてオートフォーカスや自動露出制御等の撮影準備動作を行い、全押し操作に応じて撮影を行う。アクセサリシュー6には、外部ストロボ装置等のアクセサリを装着することができる。
レンズ鏡筒101は、カメラマウント102を介して、カメラ本体100に設けられたレンズマウント7に機械的に且つ電気的に接続される。レンズ鏡筒101の内部には、被写体からの光を撮像素子16(図2参照)に結像させて被写体像を形成する撮像光学系が収容されている。レンズ鏡筒101の外周には、ユーザ操作により光軸を中心として回転可能なズーム操作環103(第1の回転操作環)とコントロール操作環118(第2の回転操作環)が設けられている。ズーム操作環103が回転操作されると、撮像光学系を構成するレンズ群(図2参照)がズーム操作環103の角度に対応した所定の位置へと移動する。これにより、ユーザは所望の画角で撮影を行うことができる。コントロール操作環118には、フォーカス、絞り、シャッタースピード、ISO感度、露出補正等から選択した1つのパラメータを割り当てることができ、コントロール操作環118を回転操作することにより、割り当てられたパラメータの値を変更することができる。ユーザは、自身の撮影スタイルに合わせてコントロール操作環118に所望のパラメータを設定することで、ユーザビリティを向上させることができる。
カメラ本体100の背面には、背面操作部8と表示部9が設けられている。背面操作部8は、様々な機能が割り当てられた複数のボタンやダイアルを含む。カメラ本体100の電源がオン状態であり、静止画又は動画撮影モードが設定されている場合に、表示部9には撮像素子16により撮像されている被写体のスルー画像が表示される。また、表示部9には、シャッタ速度や絞り値等の撮影条件を示す撮影パラメータが表示され、ユーザはその表示を見ながら背面操作部8を操作することによって、撮影パラメータを所望の設定値に変更することができる。背面操作部8は、記録された撮影画像の再生を指示するための再生ボタンを含む。再生ボタンが操作されると、記憶部13(図2参照)に記録されている撮影画像等が表示部9に再生表示される。
図2は、デジタルカメラ1の電気的及び光学的な構成を示すブロック図である。カメラ本体100は、カメラ本体100とレンズ鏡筒101に電力を供給する電源部10を備える。また、カメラ本体100は、電源操作部3、モードダイアル4、レリーズボタン5、背面操作部8及び表示部9のタッチパネル機能を含む操作部11を有する。デジタルカメラ1の全体的なシステム制御は、カメラ本体100に設けられたカメラ制御部12とレンズ鏡筒101に設けられたレンズ制御部104が連携することによって行われる。
カメラ制御部12は、記憶部13に格納されているコンピュータプログラムを読み出して実行する。その際、カメラ制御部12は、カメラマウント102に設けられた電気接点105の通信端子を介してレンズ制御部104との間で、各種の制御信号やデータ等の通信を行う。電気接点105は、電源部10からの電力をレンズ鏡筒101に供給する電源端子を含む。
レンズ鏡筒101が有する撮像光学系は、複数の光学素子により構成される。具体的には、撮像光学系は、ズーム操作環103と連結し、光軸方向に移動して画角を変更するズーム群と、防振素子としてのシフトレンズ112を含む像振れ補正装置250を有する。像振れ補正装置250は、シフトレンズ112を光軸と直交するXY平面内の任意の方向にシフト(移動(変位))させることで像振れを低減させる。また、撮像光学系は、光量調整動作を行う絞り群301と、光軸方向に移動して焦点調節を行うフォーカスレンズを含むフォーカス群114を有する。更に、レンズ鏡筒101は、像振れ補正装置250を駆動する防振駆動部201と、絞り群301を駆動する絞り駆動部302と、フォーカス群114を移動させるフォーカス駆動部401を有する。
カメラ本体100は、シャタユニット14、シャッタ駆動部15、撮像素子16、画像処理部17及びカメラ制御部12を有する。シャタユニット14は、レンズ鏡筒101内の撮像光学系を通過して撮像素子16に結像する被写体光量を制御する。撮像素子16は、撮像面に結像した被写体の光学像(被写体像)を光電変換して撮像信号を出力する。画像処理部17は、撮像信号に対して各種画像処理を行って、画像信号を生成する。表示部9については、図1を参照して既に説明しているため、説明を省略する。
カメラ制御部12は、操作部11に対する撮影準備操作(レリーズボタン5の半押し操作等)に応じて、フォーカス駆動部401を制御する。例えば、オートフォーカスの動作が指示された場合、焦点検出部18は、画像処理部17で生成された画像信号を用いて撮像素子16に結像する被写体像の焦点状態を判定し、焦点信号を生成してカメラ制御部12に送信する。これと並行して、フォーカス駆動部401は、フォーカス群114の現在位置に関する情報をカメラ制御部12に送信する。そして、カメラ制御部12は、被写体像の焦点状態とフォーカス群114の現在位置を比較してずれ量を求め、求めたずれ量からフォーカス駆動量を算出してレンズ制御部104に送信する。レンズ制御部104は、取得したフォーカス駆動量でフォーカス駆動部401を介してフォーカス群114を光軸方向の目標位置まで移動させる。これにより、被写体像の焦点ずれが補正され、被写体に合焦した(ピントが合った)状態となる。
フォーカス駆動部401は、不図示のフォーカスモータと、フォーカス群114の原点位置を検出する不図示のフォトインタラプタを備える。フォーカスモータとしては、ステッピングモータ等を用いることができるが、これに限られず、エンコーダを備えるDCモータや超音波モータ(振動型アクチュエータ)を用いてもよい。また、フォトインタラプタに代えて、フォトリフレクタや、導電パターンに接触して電気的に信号を検出するブラシを用いてもよい。
カメラ制御部12は、操作部11を通じて受けた絞り値やシャッタ速度の設定値に応じて、絞り駆動部302及びシャッタ駆動部15を介して、絞り群301及びシャタユニット14の駆動を制御する。例えば、自動露出制御の動作が指示された場合、カメラ制御部12は、画像処理部17で生成された輝度信号を受信して測光演算を行う。得られた測光演算結果に基づいてカメラ制御部12は、操作部11における撮影指示操作(レリーズボタン5の全押し操作等)に応じて、絞り駆動部302を制御する。これと並行して、カメラ制御部12は、シャッタ駆動部15を介してシャタユニット14の駆動を制御し、撮像素子16に対する露光処理を行う。
カメラ本体100は、ユーザの手振れ等による像振れを検出可能な振れ検出手段として、ピッチ振れ検出部19とヨー振れ検出部20を有する。ピッチ振れ検出部19とヨー振れ検出部20はそれぞれ、角速度センサ(振動ジャイロ)や角加速度センサを用いて、ピッチ方向及びヨー方向の像振れを検出して振れ信号を出力する。カメラ制御部12は、ピッチ振れ検出部19から取得した振れ信号を用いてシフトレンズ112のY方向でのシフト位置を算出し、ヨー振れ検出部20から取得した信号を用いてシフトレンズ112のX方向でのシフト位置を算出する。カメラ制御部12は、算出したピッチ方向及びヨー方向のシフト位置に応じて、防振駆動部201を介して像振れ補正装置250を駆動し、シフトレンズ112をX方向及びY方向の目標位置まで移動させる。これにより、露光中やスルー画像表示中の像振れが低減される。
レンズ鏡筒101は、ズーム操作環103の回転角度を検出するズーム検出部106を有する。ズーム検出部106は、例えば、抵抗式リニアポテンショメータ等の直動型変位センサを用いて構成され、ユーザが操作するズーム操作環103の角度を絶対値として検出する。ズーム検出部106によって検出された画角情報はレンズ制御部104に送信された後、カメラ制御部12による各種の制御に反映される。なお、上述した情報の一部は、撮影画像(画像データ)と共に、記憶部13や不図示の記録媒体に記録される。
次に、図3乃至図5を参照して、レンズ鏡筒101の主要な構成部品の位置関係について説明する。図3乃至図5は、デジタルカメラ1の側面断面図(YZ断面図(X軸と直交する断面図))であり、光軸を含む断面で示されている。図3はレンズ鏡筒101が広角端にセットされた状態を示しており、図4はレンズ鏡筒101が望遠端にセットされた状態を示しており、図5はレンズ鏡筒101が沈胴端にセットされた状態を示している。
レンズ鏡筒101の撮像光学系には6群構成が採用されており、所定のレンズ群が広角端と望遠端とで光軸方向において異なる所定の位置へ移動して、入射光を撮像素子16に結像させる。撮像光学系は、第1のズーム群111、シフトレンズ112(第2のズーム群)、絞り群301、第3のズーム群113、フォーカス群114(第4のズーム群)、第5のズーム群115及び第6のズーム群116により構成される。なお、撮像光学系の構成は6群構成に限定されるものではない。また、例えば、シフトレンズ112やフォーカス群114は他のズーム群として機能するものであってもよい。更に、一部のレンズ群は、移動可能ではなく、固定されていてもよい。
レンズ鏡筒101は、直進案内筒107とカム筒108を有する。直進案内筒107は、カム筒108の内周側に配置されており、固定筒109を介してカメラマウント102に保持されている。直進案内筒107の外周面には、等分位置にカム溝107a(図10参照)が形成されている。また、直進案内筒107には、第1のズーム群111を保持した直進筒117の回転方向への移動を規制すると共に光軸方向への直進を案内する直進案内ガイドが、等分位置に形成されている。
カム筒108は、不図示のキーを介してズーム操作環103と連結されている。カム筒108の内周側にはカムフォロワ108a(図10参照)が設けられており、ズーム操作環103が回転操作されると、カム筒108はカム溝107aとカムフォロワ108aとの摺動可能な嵌合によって、光軸を中心として回転しつつ光軸方向へ進退する。
また、カム筒108には、回転方向にそれぞれ異なる角度の軌跡を持つカム溝が等分位置に形成されている。一方、第1のズーム群111を保持した直進筒117には、直進案内筒107の直進案内ガイドに摺動可能に嵌合する複数の直進案内溝とカム筒108のカム溝と摺動可能に嵌合する複数のカムフォロワが設けられている。ズーム操作環103が回転操作されるとカム筒108が回転する。これに伴って第1のズーム群111(直進筒117)は、直進筒117のカムフォロワがカム筒108のカム溝とが嵌合しているため、光軸を中心とした回転が規制された状態で光軸方向へ進退する。
図6は、像振れ補正装置250及びその近傍の構成部品の分解斜視図である。第3のズーム群113は、カムフォロワとしての直進ガイド123を有する。カム筒108の内周側に配置される直進案内筒107の内側には、直進案内溝127が設けられている。直進案内溝127は、直進ガイド123と係合して第3のズーム群113の光軸を中心とした回転を規制する。
第3のズーム群113の前面には絞り群301が設けられており、絞り群301の前面に像振れ補正装置250が配置されている。像振れ補正装置250は、ベース部材501、コイル502、シールドケース503、ボール504(転動部材)、シフト部材506、マグネット507、ヨーク508、バネ509及び浮き止め部材510を有する。
ベース部材501は、略円筒形状を有し、第3のズーム群113に連結される。よって、ベース部材501は、光軸を中心とした回転は規制されている。コイル502は、ベース部材501に取り付けられており、レンズ制御部104と結線されている。シールドケース503は、ベース部材501に取り付けられて、コイル502の背面側を覆っている。なお、コイル502の不図示の対物側(被写体側(レンズ鏡筒101の先端側))は開放されて、光軸方向(Z方向)においてマグネット507と対峙している。ボール504は、ベース部材501に収容されている。
シフト部材506は、シフトレンズ112を保持する保持部材であり、ボール504と接している。マグネット507は、シフト部材506に取り付けられており、光軸方向においてコイル502と対峙している。ヨーク508は、マグネット507と接合されている。
ベース部材501の対物側の外周部には、周方向において略等間隔に、且つ、径方向を外側へ向けて延設された延設部であるバネ掛け部511(適宜図7参照)が3カ所に設けられている。同様に、シフト部材506の対物側の外周部には、周方向において略等間隔に、バネ掛け部516(適宜図7参照)が3カ所に設けられている。3個のバネ509は、端部に第1のフックと第2のフックを有する弾性の引っ張りバネである。バネ509の第1のフックはベース部材501のバネ掛け部511に係止され、バネ509の第2のフックはシフト部材506のバネ掛け部516に係止される。なお、3個のバネ509はそれぞれ、バネ509の長手方向が光軸と75°の角度を成すように配置されている(適宜図7参照)。これによりシフト部材506は、ベース部材501に付勢され、且つ、バネ509の引張力の釣り合い位置に配置される。
また、レンズ制御部104がコイル502に電流を流すことでボイスコイル方式アクチュエータとしてシフト部材506をベース部材501に対して光軸と直交するXY平面内で移動させることができる。つまり、シフト部材506に保持されたシフトレンズ112を光軸と直交する平面内で移動させることにより、像振れを低減させることができる。
浮き止め部材510は、シフト部材506の光軸方向への浮き上がりを規制する。これにより、落下衝撃等によるシフト部材506の不用意な移動は低減される。
図7(a)は、像振れ補正装置250及びその近傍の部品の正面図(対物側から見た図)である。図7(b)は、図7(a)に示す矢視A-Aでの断面図である。なお、図7(a),(b)では浮き止め部材510は不図示となっている。
図7(a)に示されるように、ベース部材501のバネ掛け部511は、径方向において直進ガイド123と重なるように配置されている。なお、径方向において重なるとは、光軸方向から見た場合に重なるこという。また、図7(b)に示すように、ベース部材501のバネ掛け部511は、直進案内溝127の中に配置されている。こうして、直進案内筒107の内径をベース部材501のバネ掛け部511よりも内側に設定することにより、光軸を中心としたレンズ鏡筒101の短径化が実現されている。
また、ベース部材501のバネ掛け部511は、レンズ鏡筒101の径方向において、シフト部材506のバネ掛け部516よりも外周側に設けられている。シフト部材506のバネ掛け部516はシフト部材506から延設されており、シフト部材506は光軸と直交するXY平面内で移動可能であるため、バネ掛け部516もシフト部材506のXY平面内での移動に伴ってXY平面内で移動する。そのため、仮に、シフト部材506のバネ掛け部516を直進案内溝127の中に配置した場合、直進案内溝127の幅をバネ掛け部516の移動スペースが確保される幅に設定する必要がある。
これに対して、ベース部材501は光軸と直交する方向に移動することはないため、ベース部材501から径方向外側へ向けて延設されているバネ掛け部511も、光軸と直交する方向に移動することはない。そのため、ベース部材501のバネ掛け部511を直進案内溝127の中に配置した場合、バネ掛け部511の光軸と直交する平面内での移動を考慮したスペースを確保する必要がない。よって、ベース部材501のバネ掛け部511を直進案内溝127の中に配置した場合には、シフト部材506のバネ掛け部516を直進案内溝127の中に配置する場合と比較して、直進案内溝127の幅を狭くすることが可能となる。これにより、直進案内筒107の短径化を実現しつつ、機械的強度の低下を抑制することができるという効果も得られる。
図8(a)は、像振れ補正装置250及びその近傍の部品の正面図である。図8(b)は、図8(a)に示す矢視B-Bでの断面図である。図7(a),(b)では浮き止め部材510を不図示としたが、図8(a),(b)は浮き止め部材510を示した図となっている。
図8(a)に示されるように、浮き止め部材510には、浮き止め部材510から直進案内溝127を覆うように延設された延設部520が設けられている。そして、延設部520は、径方向においてバネ509及びベース部材501のバネ掛け部511と重なる位置に設けられている。また、図8(b)に示されるように、延設部520は、直進案内溝127の中に配置されており、バネ509とベース部材501のバネ掛け部511を直進ガイド123とで光軸方向において挟み込むように配置されている。このように構成することにより、直進案内溝127を通って撮像素子16へ至る迷光やバネ509で反射して撮像素子16へ至る迷光を低減させることができる。
次に、ズーム操作環103に設けられたクリック機構について説明する。図9(a)は、ズーム操作環103と固定筒109の境界近傍の側面断面図である。図9(b)は、光軸中心から見た場合の下面断面図(ZX断面図)である。図9(a),(b)は共にレンズ鏡筒101が広角端の近傍にある状態でのクリック機構600の構造を示しており、各図の右側が撮像素子16側であり、左側が対物側である。
固定筒109は、ピン部材601を光軸方向に直進移動可能に保持している。ピン部材601の先端(被写体側)の側面はテーパー状に形成されている。また、ピン部材601はスリーブ形状を有しており、その内側に付勢部材としての圧縮コイルバネ602が挿入されている。圧縮コイルバネ602の一端は固定筒109に当接しており、固定筒109からの反力を受けてピン部材601をズーム操作環103に向けて付勢している。一方、ズーム操作環103の内周面には、光軸からの半径が光軸からピン部材601までの半径と同一となる位置に、テーパー状の突起部103aが設けられている。
よって、ズーム操作環103が回転操作されると、テーパー状の突起部103aとピン部材601のテーパー状の先端とが当接し、その際に回転を止める力が生じる。この力に抗してズーム操作環103が更に回転操作されると、突起部103aに沿ってピン部材601が光軸方向に移動し、ピン部材601の先端が突起部103aを乗り越える。その際に圧縮コイルバネ602の付勢力が回転操作への負荷となってクリック感が生じる。
なお、クリック機構600では、テーパー状の突起部103aと、ピン部材601のテーパー状の先端の角度と、圧縮コイルバネ602の付勢力と、を変えることにより、ズーム操作環103の回転操作に好適なクリック感を設定することができる。こうしてズーム操作環103にクリック感を付与することにより、ユーザはズーム操作環103の位相境界を容易に認識することができる。
次に、ズーム操作環103の回転操作による位相と回転操作トルクの関係について説明する。図10は、直進案内筒107及びズーム操作環103の展開図と、ズーム操作環103の位相に対する回転操作トルクの変化を示す図である。図10では、横軸にズーム操作環103の位相が取られており、位相に対するズーム操作環103及びカム筒108の動きが模式的に示されている。図10では、ピン部材601がズーム操作環103の回転と共に動くように示されているが、実際には、ピン部材601と直進案内筒107の位相は固定筒109により固定されている。
ズーム操作環103の回転操作による位相は、望遠端から広角端までの撮影領域と、広角端から沈胴端までの非撮影領域に分かれている。直進案内筒107のカム溝107aは、撮影領域の全域において、光軸と直交する方向と平行に延びている。また、直進案内筒107のカム溝107aは、非撮影領域において、光軸と直交する方向と平行に延びる第1の区間Iと、光軸と直交する方向に対して所定の傾きを有する第2の区間IIを有する。第2の区間IIは、非撮影領域において広角端の近傍に設けられており、カムフォロワ108aが第2の区間IIを通過する際に、カム筒108は光軸方向に進退する。その際のカム筒108の光軸方向への移動量は、第2の区間IIの傾きと位相によって決まる。
なお、前述したように、カム筒108はズーム操作環103と連結されている。そのため、カム筒108は、ズーム操作環103の回転操作に伴って、カム溝107aとカムフォロワ108aとの摺動可能な嵌合に従って、光軸を中心として回転しつつ光軸方向へ進退する。よって、カムフォロワ108aの位置は、ズーム操作環103の位相に同期して変化する。
ズーム操作環103の突起部103aは、広角端と沈胴端の位相に設けられている。広角端の突起部103aは、広角端から沈胴端に向けて隆起しており、望遠端の位相に設けられた回転係止部(不図示)と共に撮影領域を区切っている。沈胴端の突起部103aは互いに向き合うように2つ設けられており、1つは沈胴端側から広角端側へ向かう方向へ隆起しており、もう1つはその逆方向に隆起している。
ピン部材601は、撮影領域では固定筒109によって光軸方向での移動が規制されており、ピン部材601の先端部とズーム操作環103の平面部との間には隙間が生じた状態で維持される。一方、非撮影領域では、ピン部材601の先端部はズーム操作環103の平面部と常に接触する。
続いて、ズーム操作環103が望遠端から沈胴端に向けて回転操作された場合の回転操作トルクの変化について説明する。前述の通り、撮影領域ではズーム操作環103とピン部材601は接触しておらず、ズーム操作環103連動して回転するカム筒108もカム溝107aは撮影領域の全域で光軸と直交する方向と平行に延びているため、負荷は殆ど発生しない。そのため、撮影領域で発生する回転操作トルクは非常に小さなものとなる。
広角端ではピン部材601が突起部103aに当接して突起部103aを乗り越えるための負荷(圧縮コイルバネ602を縮ませる力)が発生するため、大きな回転操作トルクが発生する。
非撮影領域の広角端近傍では、ピン部材601の先端部とズーム操作環103の平面部との接触による負荷が発生すると共に、カムフォロワ108aが第2の区間IIを通過する際に負荷が発生するため、比較的大きな回転操作トルクが発生する。その後の非撮影領域(第1の区間I)では、ピン部材601の先端部とズーム操作環103の平面部との接触による負荷が発生するが、カムフォロワ108aが第1の区間Iを通過する際の負荷は殆ど発生しない。そのため、第1の区間Iでの回転操作トルクは、第2の区間IIの回転操作トルクよりも小さくなるが、撮影領域での回転操作トルクよりは大きくなる。
沈胴端では、ピン部材601の先端部が互いに向き合うように設けられた2つの突起部103aの間に嵌まり込み、ズーム操作環103の回転を止める。これにより、ズーム操作環103は沈胴端で位相が固定され、非撮影時の収納状態(沈胴状態)でロックすることができる。
レンズ鏡筒101の沈胴端(収納状態)での全長を短尺化するためにカム筒108を光軸方向へ大きく移動させつつ第2の区間IIの範囲を可能な限り小さくしてカム溝107a及びその周辺のレイアウト効率を高めると、第2の区間IIの傾きがより大きくなる。その結果、非撮影領域の広角端近傍で大きな回転操作トルクが発生する。そこで、広角端で発生する回転操作トルクが、非撮影領域の広角端近傍での回転操作トルクよりも大きくなるように、クリック機構600のクリック感を設定する。これにより、ユーザは、ズーム操作環103を操作した際に、撮影領域と非撮影領域との境界を正確に認識することができる。
ズーム操作環103が沈胴端から望遠端に向けて回転操作された際に、ピン部材601が突起部103aを乗り越える際の負荷が発生することで大きな回転操作トルクが発生する位相は沈胴端のみであり、それ以外の位相では大きな回転操作トルクは発生しない。また、非撮影領域の広角端近傍で回転操作トルクが大きくなり、撮影領域で回転操作トルクが小さくなることで、ユーザは非撮影領域と撮影領域の境界を認識することできる。こうして、ユーザは、非撮影領域から撮影領域へスムーズにズーム操作環103を操作することができる。
次に、直進筒117とズーム検出部106の位置関係について説明する。図11(a)は、レンズ鏡筒101が望遠端にある状態でのレンズ鏡筒101の部分的な側面断面図である。図11(b)は、レンズ鏡筒101が沈胴端にある状態でのレンズ鏡筒101の部分的な側面断面図である。
第1のズーム群111は直進筒117に保持されており、直進筒117は直進案内筒107によって光軸方向に移動可能に保持されている。ズーム操作環103は、回転摺動部103bにより、光軸を中心として回転可能に固定筒109に保持されている。ズーム操作環103が回転操作されると、ズーム操作環103に連結されたカム筒108が回転する。このとき、カム筒108の外周に設けられたカム溝(不図示)と直進筒117のカムフォロワが嵌合しているため、カム筒108の回転に伴って直進筒117が光軸方向に直進移動する。
ズーム検出部106には、本実施形態では、リニアポテンショメータが用いられているものとする。そのため、以下の説明では、ズーム検出部106をリニアポテンショメータ106と言い替える。
リニアポテンショメータ106は、位置検出方向が光軸方向と略平行になるように不図示のネジ等で固定筒109に固定されている。リニアポテンショメータ106は光軸と平行な方向に移動可能な検出突起部106cを有しており、検出突起部106cの位置に応じてレンズ制御部104に出力される信号が変化する。検出突起部106cは、ズーム操作環103の内周に設けられたカム溝103cと摺動可能に嵌合しており、よって、ズーム操作環103の回転角度が検出突起部106cの直進移動量に変換される。
レンズ鏡筒101の径方向においてリニアポテンショメータ106は直進筒117よりも外側に配置されており、リニアポテンショメータ106と直進筒117は径方向で重ならない位置関係にある。そして、図11(a)に示されるように望遠端では、直進筒117に保持された第1のズーム群111は光軸方向において最も対物側に移動している。つまり、望遠端では直進筒117は最も前方(対物側)へ移動しており、この状態で直進筒117の後端117a(光軸方向における撮像素子16側の端部)はリニアポテンショメータ106の前端106aよりも前方に位置している。また、図11(b)に示されるように沈胴端では、光軸方向において第1のズーム群111が最も撮像素子16側へ移動している。つまり、沈胴端では直進筒117は最も後方(撮像素子16側)へ移動しており、この状態で直進筒117の後端117aはリニアポテンショメータ106の後端106bよりも後方に位置している。
よって、直進筒117の移動量をリニアポテンショメータ106の全長を超えて検出することができるため、リニアポテンショメータ106に制約されずに沈胴時の全長をレンズ間隔の限界まで短くすることができる。また、リニアポテンショメータ106と直進筒117は径方向では重ならないため、直進筒117を切り欠く必要がない。そのため、固定筒109とコントロール操作環118の前端は、直進筒117が最も被写体側へ移動した状態での後端117aより僅かに前方へ位置していればよい。その結果、固定筒109の全長を伸ばす必要がないので、直進筒117の沈胴時の後方への移動量を更に増やすことができる。
続いて、コントロール操作環118と、コントロール操作環118の回転量と回転方向を検出する回転検出部701の位置関係について説明する。図12は、レンズ鏡筒101が沈胴端にある状態でのレンズ鏡筒101の部分的な側面断面図である。
コントロール操作環118は、固定筒109に回転可能に保持されている。コントロール操作環118の内径側には、回転量と回転方向を検出する回転検出部701が設けられている。回転検出部701は、被検出部として、コントロール操作環118の内周を一周するように敷設された櫛歯状の遮光凹凸部118aを有する。また、回転検出部701は、検出センサとして、固定筒109に保持されて、光軸方向において遮光凹凸部118aを挟むように配置された2つの透過式のフォトインタラプタ701aを有する。フォトインタラプタ701aは、発光部と受光部の間を遮光凹凸部118aが横切ることで受光部が受光する光の変化を信号として出力し、この出力信号からコントロール操作環118の回転量を検知する。その際、遮光凹凸部118aのピッチと2つのフォトインタラプタ701aのピッチに位相差を設けることによって、コントロール操作環118の回転方向を検出することができる。
図13は、レンズ鏡筒101が沈胴端にある状態での部分的な側面図である。回転検出部701の2つのフォトインタラプタ701aとリニアポテンショメータ106は、光軸中心から、光軸を含むZX面を基準として、異なる角度となる位置に設けられている。また、光軸方向において2つのフォトインタラプタ701aの後端は、リニアポテンショメータ106の光軸方向前端部よりも光軸方向後方に位置している。つまり、フォトインタラプタ701aとリニアポテンショメータ106はそれぞれ、一部が光軸方向において重なる位置に配置されている。
ここで、図11に示されるように、リニアポテンショメータ106は、光軸方向においてズーム操作環103及びコントロール操作環118と重なる位置に設けられている。また、コントロール操作環118と遮光凹凸部118aは、リニアポテンショメータ106の前端106aの前方を回転方向に横切るように配置されており、光軸方向から見た場合に遮光凹凸部118aとリニアポテンショメータ106は一部が重なっている。
このように、リニアポテンショメータ106とコントロール操作環118の回転検出部701を光軸方向において少なくとも一部が重なるように配置することにより、固定筒109の全長を短尺化することが可能となる。これにより、固定筒109に保持されるコントロール操作環118の位置を撮像素子16側へ近付けることができことで、直進筒117の沈胴時の被写体像側への移動量を増やすことができる。また、リニアポテンショメータ106と遮光凹凸部118aとは、光軸方向では重なっていない(径方向から見て重なっていない)ため、レンズ鏡筒101の外径を広げる必要もない。
上記説明の通りに、本発明によれば、操作性を低下させることなく小型化(短径化と短尺化)されたレンズ鏡筒101の提供が可能となる。なお、レンズ鏡筒101の構成及び各部材等は、上記の機能が得られる限りにおいて、限定されない。例えば、バネ509に代えて、ゴム等の弾性部材を用いてもよいし、コイル502をシフト部材506に取り付けて、マグネット507をベース部材501に取り付けた構成としてもよい。また、圧縮コイルバネ602に代えて板バネを用いてもよいし、ピン部材601は固定筒109によって光軸中心から外方へ向けて直進移動可能に保持してもよい。更に、第2の区間IIを非撮影領域の沈胴端の近傍に設けてもよい。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。