JP7799321B2 - 水上モビリティシステム、電池推進船および管理装置 - Google Patents

水上モビリティシステム、電池推進船および管理装置

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Description

本発明は、水上モビリティシステム、電池推進船、管理装置およびポートに関し、より詳しくは、電池推進船を用いた水上モビリティシステム、電池推進船、電池推進船を管理する管理装置、および電池推進船が離着岸するポートに関する。
電池に蓄えた電力を動力として航行する電池推進船が知られている。特許文献1には、互いに無線接続された複数の電池推進船を運行させる水上交通システムに適用される運行支援システムが記載されている。
特開2019-125205号公報
ところで、電気自動車の場合は、電池残量が低下し移動不可能な状態となっても、乗員は車から降りて自分で移動することができるため、乗員の安全が脅かされることはない。これに対し、電池推進船の場合、電池残量が低下しポート(発着場)に帰還できなくなると、水上に孤立してしまい、乗船者の安全を脅かすおそれがある。
そこで、本発明は、普段は乗船者が電池推進船を高い自由度で操作可能としつつも、乗船者の安全を確保可能な水上モビリティシステム、電池推進船、管理装置およびポートを提供することを目的とする。
本発明に係る水上モビリティシステムは、
管理装置と、前記管理装置に無線接続され、所定の管理エリア内を航行する電池推進船と、前記電池推進船が離着岸するポートとを有する水上モビリティシステムであって、
前記電池推進船の位置情報および電池残量を取得する情報取得手段と、
前記位置情報に基づいて前記電池推進船と前記ポートとの間の距離を算出するポート距離算出手段と、
前記電池残量に基づいて航続距離を算出する航続距離算出手段と、
前記距離および前記航続距離に基づいて前記ポートへの到達可能性を判定する到達可能性判定手段と、
前記到達可能性が所定の危険基準を満たす場合、操船モードをユーザ操船モードから強制航行モードに変更する操船モード変更手段と、
を備えることを特徴とする。
また、前記水上モビリティシステムにおいて、
前記到達可能性判定手段は、前記航続距離を前記距離で割って算出されたマージンに基づいて到達可能性を判定してもよい。
また、前記水上モビリティシステムにおいて、
前記到達可能性判定手段は、前記管理エリアにおける風情報を考慮して到達可能性を判定してもよい。
また、前記水上モビリティシステムにおいて、
前記操船モードが前記強制航行モードに変更されると、前記電池推進船は、空いている充電設備または充電済みの電池ユニットを有するポートに向かうように構成されていてもよい。
また、前記水上モビリティシステムにおいて、
前記ポート距離算出手段は、前記電池推進船と、前記管理エリア内のすべてのポートとの間の距離をそれぞれ算出し、
前記到達可能性判定手段は、前記管理エリア内のすべてのポートについて到達可能性をそれぞれ判定するようにしてもよい。
また、前記水上モビリティシステムにおいて、
前記ポート距離算出手段は、前記電池推進船と、当該電池推進船が出発した出発ポートとの間の距離を算出し、
前記到達可能性判定手段は、前記出発ポートへの到達可能性を判定し、
前記電池推進船は前記強制航行モードにおいて前記出発ポートに向けて航行するようにしてもよい。
また、前記水上モビリティシステムにおいて、
前記ポート距離算出手段は、前記電池推進船と、当該電池推進船が向かう目的ポートとの間の距離を算出し、
前記到達可能性判定手段は、前記目的ポートへの到達可能性を判定し、
前記電池推進船は前記強制航行モードにおいて前記目的ポートに向けて航行するようにしてもよい。
また、前記水上モビリティシステムにおいて、
前記電池推進船が前記管理装置からモード変更信号を受信すると、当該電池推進船の推進装置は、前記管理装置から受信した遠隔操船信号、または自律航行に従って制御されるようにしてもよい。
また、前記水上モビリティシステムにおいて、
前記電池推進船は免許不要で操船可能なものであってもよい。
また、前記水上モビリティシステムにおいて、
前記ポートには給電装置が設けられており、前記給電装置から供給される電力を用いて前記電池推進船の二次電池を充電するようにしてもよい。
本発明の第1の様相に係る電池推進船は、
管理装置に無線接続された電池推進船であって、
内部にキャビンが設けられた本体と、
推進用モータ、および前記推進用モータにより回転するプロペラを有する推進装置と、
ユーザの操作を入力する操舵部と、
前記推進装置に電力を供給する二次電池と、を備え、
前記推進装置は、前記電池推進船が前記管理装置からモード変更信号を受信すると、前記操舵部から出力される操船信号ではなく、前記管理装置から受信した遠隔操船信号、または自律航行に従って制御されることを特徴とする。
また、前記電池推進船において、
前記操舵部は、ジョイスティックまたは専用アプリがインストールされたモバイル端末により構成されてもよい。
また、前記電池推進船において、
前記プロペラは、前記推進装置のステアリング用モータにより360°旋回可能に構成されてもよい。
また、前記電池推進船において、
前記推進装置が前記本体の中心に関して対称に複数設けられていてもよい。
本発明に係る管理装置は、
所定の管理エリア内を航行する電池推進船に無線接続された管理装置であって、
前記電池推進船の位置情報および電池残量を取得する情報取得手段と、
前記位置情報に基づいて前記電池推進船とポートとの間の距離を算出するポート距離算出手段と、
前記電池残量に基づいて航続距離を算出する航続距離算出手段と、
前記距離および前記航続距離に基づいて前記ポートへの到達可能性を判定する到達可能性判定手段と、
前記到達可能性が所定の危険基準を満たす場合、操船モードをユーザ操船モードから強制航行モードに変更する操船モード変更手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明の第2の様相に係る電池推進船は、
所定の管理エリア内を航行する電池推進船であって、
前記電池推進船の位置情報および電池残量を取得する情報取得手段と、
前記位置情報に基づいて、前記電池推進船と、前記電池推進船が離着岸するポートとの間の距離を算出するポート距離算出手段と、
前記電池残量に基づいて航続距離を算出する航続距離算出手段と、
前記距離および前記航続距離に基づいて前記ポートへの到達可能性を判定する到達可能性判定手段と、
前記到達可能性が所定の危険基準を満たす場合、操船モードをユーザ操船モードから強制航行モードに変更する操船モード変更手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明の第3の様相に係る電池推進船は、
本体と、
推進用モータ、および前記推進用モータにより回転するプロペラを有し、船首と船尾に少なくとも1つずつ設けられた複数の推進装置と、
ユーザの操作を入力する操舵部と、
前記推進装置に電力を供給する二次電池と、を備え、
前記プロペラは、前記推進装置のステアリング用モータにより360°旋回可能に構成され、
前記ユーザの操作に応じた力またはモーメントが前記本体に作用するように、前記複数の推進装置が推力を発生することを特徴とする電池推進船。
また、前記電池推進船において、
前記操舵部は、タッチパネルを有しており、前記タッチパネルを介したユーザのベクトル入力操作により、前記電池推進船の移動方向および移動速度を同時に入力するようにしてもよい。
また、前記電池推進船において、
前記複数の推進装置の前記プロペラは、一方向にのみ回転するようにしてもよい。
また、前記電池推進船において、
スライドモードにおいて、船首に設けられた前記推進装置および船尾に設けられた前記推進装置は、前記操舵部が入力した移動方向と反対向きで、互いに同じ大きさの推力を発生するようにしてもよい。
また、前記電池推進船において、
旋回モードにおいて、船首に設けられた前記推進装置および船尾に設けられた前記推進装置は、互いに反対向きで同じ大きさの推力を発生するようにしてもよい。
本発明に係るポートは、
電池推進船が離着岸するためのポートであって、
前記電池推進船を収容可能な一つまたは複数の切り欠き状のピット部が形成された係留部を備え、
前記切り欠き状のピット部の側面には、前記電池推進船が嵌まり、前記電池推進船を前記ピット部の奥の方に案内するガイド溝が設けられていることを特徴とする。
また、前記ポートにおいて、
前記切り欠き状のピット部には、前記電池推進船が前記係留部に係留された状態において前記電池推進船の無線充電を行うための非接触充電用パッドが設けられてもよい。
また、前記ポートにおいて、
前記電池推進船の二次電池を充電するための電力を供給する給電装置を有してもよい。
また、前記ポートにおいて、
前記係留部は、前記ピット部の空き状況を監視するように構成されてもよい。
本発明によれば、普段は乗船者が電池推進船を高い自由度で操作可能としつつも、乗船者の安全を確保可能な水上モビリティシステム、電池推進船、管理装置およびポートを提供することができる。
実施形態に係る水上モビリティシステムの全体を示す概略図である。 実施形態に係るポートの概略構成図である。 実施形態に係るポートの係留部の一例を示す図である。 実施形態に係るポートの係留部の凹部の側面図である。 実施形態に係る管理装置の機能ブロック図である。 実施形態に係る管理装置に記憶された船管理データベースの一例を示す図である。 実施形態に係る電池推進船の全体を示す概略図である。 (a)は図6に示す電池推進船を上側から見たときの概略図であり、(b)は変形例に係る電池推進船を上側から見たときの概略図である。 実施形態に係る電池推進船の推進および操舵に係る構成を説明するための図である。 実施形態に係る電池推進船の駆動制御部の機能ブロック図である。 操舵部のタッチパネルに表示された操船画面の一例を示す図である。 操舵部のタッチパネルに表示された操船画面の別の例を示す図である。 通常モードにおける推進装置の制御方法を説明するための図である。 スライドモードにおける推進装置の制御方法を説明するための図である。 旋回モードにおける推進装置の制御方法を説明するための図である。 実施形態に係る水上モビリティシステムの処理フローの一例を示すフローチャートである。 実施形態に係る回避処理の一例を示すフローチャートである。 実施形態に係る救助処理の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。
<水上モビリティシステム1>
図1~図3Bを参照して実施形態に係る水上モビリティシステムについて説明する。なお、図1において、各電池推進船20とポートP1~P4間に引かれている線は実線の場合、ポートへの到達可能性(後述)が高いことを示し、破線の場合、ポートへの到達可能性が低いことを示している。
実施形態に係る水上モビリティシステム1は、図1に示すように、管理装置10と、所定の管理エリア内を移動する複数の電池推進船20と、電池推進船20が離着岸するための複数のポートP1~P4とを有する。図1では、3つの電池推進船20が管理エリア内に存在する。図1中、Boat_1、Boat_2、Boat_3は電池推進船20の識別番号(EV船ID)である。なお、電池推進船およびポートの数は図1に示す数に限られず任意である。
管理装置10は、管理センターに設けられた情報処理装置(サーバ等)であり、複数の電池推進船20の管理を行う。たとえば、管理装置10は、各電池推進船20の位置および電池残量を常時監視する。管理装置10の詳細は図4等を参照して後ほど詳しく説明する。
電池推進船20は、電池から供給される電力でプロペラを回転駆動して推進する船である。本実施形態の電池推進船20は、公園の池、湖、あるいはテーマパークのアトラクション施設における所定のエリア内を回遊する小型EVボートであり、免許不要で操船可能なものである。電池推進船20は管理装置10に無線接続されている。無線による通信は、管理装置10と電池推進船20間で直接行われてもよいし、通信ネットワークを介して行われてもよい。電池推進船20の詳細については、図6~図14を参照して後ほど詳しく説明する。
ポートP1~P4は、電池推進船20が発着する場所であり、電池推進船20に搭載された電池を交換または充電することが可能である。図2はポートの一例を示している。このポートには、電池推進船20が係留される係留部Q1,Q2が設けられている。係留部Q1,Q2は、たとえば、浮き桟橋として構成されている。
係留部Q1の場合、電池推進船20はロープやケーブル等で係留され、電池ユニットを交換することができる。係留部Q2の場合は、電池推進船20は係留部Q2に形成された凹部Qrに嵌まるように係留される。凹部Qrを係留部Q2に設けることで、電池推進船20が着岸可能な位置や数を明確にすることができる。
図3Aに示すように、係留部Q2の凹部Qrには非接触充電用パッド(送電パッド)Rが設けられている。電池推進船20が係留部Q2に係留された状態で、非接触充電用パッドRを介して電池推進船20の無線充電を行うことができる。
より詳しくは、係留部Q2の凹部Qrは、図3Bに示すように、電池推進船20を収容可能な切り欠き状のピット部として構成されている。このピット部の側面には、電池推進船20(本体21の側部)が嵌まり、電池推進船20をピット部の奥の方に案内するガイド溝Qrgが設けられている。これにより、電池推進船20は係留部Q2にスムーズに離着岸できる。また、船体の揺れが抑制されるため、乗船者は安全に乗り降りすることができる。さらに、電池推進船20が凹部Qrの非接触充電用パッドRに対して位置決めされるため、無線充電を効率良く行うことができる。
なお、ガイド溝Qrgは、幅(上下方向の長さ)が凹部Qrの手前側において広く、凹部Qr(ピット部)の奥の方にいくにつれて幅が狭くなるように形成されてもよい。これにより、電池推進船20は係留部Q2に着岸し易くなる(凹部Qrに嵌まり易くなる)とともに、しっかりと係留部Q2に固定されるようになる。
また、係留部Q2は、ピット部の空き状況(複数のピット部が設けられている場合は各ピット部の空き状況)を監視するように構成されている。たとえば、係留部Q2は、非接触充電用パッドR、あるいは凹部Qrに設けられたセンサー(図示せず)により、ピット部に電池推進船20が収容されているかどうかを検知する。係留部Q2は、ピット部の空き状況に関する情報を管理装置10に送信する。空き状況に関する情報は、電池推進船20に送信されてもよい。
本実施形態では、図2に示すように、ポートには、管理室、電池充電室、蓄電室および太陽光パネルが設けられる。太陽光パネルで発電された電力は蓄電室に配置された大容量の二次電池(リチウムイオン蓄電池)に蓄えられる。この二次電池はパワーコンディショナを介して電池充電室の充電装置(図示せず)に接続されている。電池推進船20の電池ユニット(後述の二次電池24)はこの充電装置に接続され、充電される。充電方式として、たとえば、CCCV(Constant Current Constant Voltage)が用いられる。
なお、太陽光パネルは給電装置の一例であり、太陽光パネルに代えて、あるいは太陽光パネルに加えて、他の発電装置(風力発電、ディーゼル発電等)、系統電力との接続装置などが給電装置として設けられてもよい。
無線充電により電池推進船20を充電する場合、蓄電室の二次電池はパワーコンディショナを介して送電装置(図示せず)および非接触充電用パッドRに接続される。
なお、太陽光発電と系統電源を併用するようにしてもよい。たとえば、天気のよい日は太陽光発電により電池推進船20を充電し、太陽光発電の発電量が十分でないときは系統電源により充電を行うようにしてもよい。
<管理装置10>
次に、管理装置10の詳細について説明する。
管理装置10は、図4に示すように、制御部11と、通信部12と、記憶部13とを備えた情報処理装置である。この管理装置10は、サーバとして構成されており、入出力手段(キーボード、マウス、ディスプレイ等)を有する端末(図示せず)に接続されている。
制御部11は、情報取得部111と、ポート距離算出部112と、航続距離算出部113と、到達可能性判定部114と、操船モード変更部115とを備えている。本実施形態では、制御部11の各部は、管理装置10内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現される。なお、制御部11の各部のうち少なくとも一つがハードウェアにより構成されてもよい。
通信部12は、無線通信により電池推進船20との間で情報を送受信するためのインターフェースである。本実施形態では、WiFi通信を用いるが、無線通信の方式・規格は特に限定されない。
記憶部13は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ等から構成される。この記憶部13には、制御部11で実行されるプログラムや、船管理データベース131、管理エリアデータベース132などが記憶される。管理エリアデータベース132には、管理エリアに関する情報が格納されている。たとえば、管理エリアの地形情報、ポートの数、各ポートの位置、各ポートに設けられた充電設備に関する情報(充電設備の数、充電設備の空きの有無)、各ポートが有する交換可能な充電済みの電池ユニットの数などの情報が格納されている。
図5は船管理データベース131の一例を示している。この船管理データベース131では、電池推進船20の識別情報(EV船ID)に関連づけて、電池残量、位置情報、システム異常の有無および稼働状態に関する情報が格納されている。ここで、電池残量は電池推進船20に搭載された電池(後述の二次電池24)の残量を示す。位置情報は、電池推進船20の現在位置を示す情報であり、GPS受信機等(後述の測位部26)により取得される。
次に、制御部11の各部の詳細について説明する。
情報取得部111は、電池推進船20の位置情報、電池残量およびシステム状態を取得する。具体的には、情報取得部111は、通信部12を介して電池推進船20からこれらの情報を取得する。そして、取得された情報を記憶部13の船管理データベース131に書き込む。すでに情報が書き込まれている場合、情報取得部111は、取得した最新の情報により船管理データベース131を更新する。
ポート距離算出部112は、電池推進船20の位置情報に基づいて当該電池推進船20とポートP1~P4との間の距離をそれぞれ算出する。たとえば、ポート距離算出部112は、電池推進船とポートの位置情報から両者の間の距離を算出する。なお、ポート距離算出部112は、電池推進船とポート間の直線距離を算出してもよいし、管理エリアの形状(湖の形状等)を考慮して距離を算出してもよい。後者の場合、ポート距離算出部112は、記憶部13の管理エリアデータベース132から管理エリアの地形データを読み出して計算に用いる。これにより、より正確な距離を算出することができる。
航続距離算出部113は、電池推進船20の電池残量に基づいて航続距離を算出する。たとえば、航続距離算出部113は、電池推進船20の電池残量と、当該電池推進船20の最適船速(経済船速)とに基づいて航続距離を算出する。具体的には、式(1)により航続距離Dが計算される。
D = A/B*C ・・・(1)
ここで、D:航続距離(km)、A:電池残量(kWh)、B:最適船速時の出力(kW)、C:最適船速(km/h)である。なお、最適船速は、最も経済的な船速のことであり、船速と消費電力との間の三乗則および計測値から求められる。
到達可能性判定部114は、ポート距離算出部112により算出された距離と、航続距離算出部113により算出された航続距離とに基づいて、ポートP1~P4への到達可能性を判定する。本実施形態では、到達可能性判定部114は、航続距離を距離で割って100を乗じることにより算出されたマージン(%)に基づいて到達可能性を判定する。たとえば、マージンが150%以上の場合は最も安全性の高い到達可能性Aであると判定し、マージンが120%以上150%未満の場合は到達可能性Bであると判定し、マージンが120%未満の場合は危険性の高い到達可能性Cであると判定する。
到達可能性判定部114は、管理エリアにおける風情報を考慮して到達可能性を判定してもよい。風情報は、管理エリアにおける(特に電池推進船とポート間における)風向き、風速等の情報である。たとえば、ポートと電池推進船との間に向かい風が吹いている場合は風速に応じてマージンの値を減じる。反対に、ポートと電池推進船との間に追い風が吹いている場合は風速に応じてマージンを増やす。このように風情報を考慮することで、電池推進船のポートへの到達可能性をより高精度に判定することができる。
操船モード変更部115は、到達可能性が所定の危険基準を満たす場合、操船モードをユーザ操船モードから強制航行モードに変更する。たとえば、すべてのポートP1~P4について到達可能性Cである場合に強制航行モードに変更する。操船モードの変更により、電池推進船20の操船権は当該電池推進船20のユーザ(乗船者)からそれ以外(管理装置10または電池推進船20)に移転し、電池推進船20は管理装置10により遠隔操船される。なお、電池推進船20が自律航行可能な場合は、強制航行モードにおいて電池推進船20の自律航行を行ってもよい。
なお、管理装置10は、1つの情報処理装置で構成されてもよいし、互いに通信可能に接続された複数の情報処理装置で構成されてもよい。
<電池推進船20>
次に、図6~図9を参照して電池推進船20の詳細について説明する。
本実施形態に係る電池推進船20は、本体21と、一つまたは複数の推進装置22と、操舵部23と、二次電池24と、駆動制御部25と、測位部26とを備えている。
本体21は円形または楕円形の形状を有しており、内部にキャビン(乗船室)21aが設けられている。キャビン21aには操舵部23や座席が配置されている。座席は操舵部23の前に設けられるが、本体形状に沿って環状に設けられてもよい。なお、本体21の形状は円盤状に限られるものでなく、その他の形状(たとえば長円形、正多角形、星形、花形、紡錘形など)であってもよい。また、船型は特に限定されず、単胴船、双胴船、円形船等であってもよい。
他の電池推進船や障害物との衝突時に乗船者と船体がダメージを受けないように本体21の周囲にフェンダー(防舷材)が取り付けられてもよい。
複数の推進装置22は、本体21の中心または電池推進船20の重心を挟むように設けられている。本実施形態では、図7(a)に示すように、推進装置22は本体21の中心に関して対称に複数(ここでは2つ)設けられている。複数の推進装置22は、電池推進船20の中心軸上に設けられている。好ましくは、複数の推進装置22は、電池推進船20の船首と船尾に少なくとも1つずつ設けられている。
電池推進船20の船首は、たとえば、操舵部23が設けられている方向である。これに限らず、操船者が向いている方向を船首としてもよく、この方向は、たとえば、モバイル端末のセンサ(加速度センサ、地磁気センサ等)から得られた信号に基づいて決定される。
本実施形態では、複数の推進装置22は、船首と船尾を結ぶ直線上に配置される。ただし、電池推進船20の船型に応じて、当該直線から外れた位置(オフセット位置)に推進装置22を配置してもよい。
各推進装置22は、後述のようにプロペラが360°旋回可能に構成されている。これにより、各推進装置22(プロペラ224)の方向(以下、「舵角」ともいう。)は任意に設定することが可能であり、電池推進船20は所望の方向への前進、後進のほか、回転、惰行等の多様な動作を行うことができる。プロペラ224が一方向にのみ回転する場合であっても、これらの動作を行うことが可能である。
推進装置22は、図8に示すように、ステアリング用モータ221と、中空のシャフト222と、推進用モータ223と、プロペラ224とを有する。
ステアリング用モータ221は、シャフト222を回転させることでプロペラ224の向きを変えるためのステッピングモータである。ステアリング用モータ221の回転軸に取り付けられたギア221aは、シャフト222の上端に設けられたギア222aと歯合している。ステアリング用モータ221およびシャフト222により推進用モータ223およびプロペラ224は図7(a),(b)に示すように、360°旋回可能である。このように、プロペラ224は、推進装置22のステアリング用モータ221により旋回可能に構成されている。なお、プロペラ224は、シャフト222の周りに無限に回転するように構成されてもよい。
推進用モータ223は、プロペラ224を回転させて電池推進船20を推進させるためのモータ(たとえば水中モータ)である。推進用モータ223は、正転または反転の片方向に、あるいは、正転および反転の両方向に回転可能に構成されている。本実施形態では、ステアリング用モータ221および推進用モータ223は直流モータであり、各モータに適合した直流電圧が駆動制御部25から供給される。詳しくは、中空のシャフト222には接続ケーブルw3が挿通されており、この接続ケーブルw3を通って駆動制御部25(電力変換部254)から出力された電圧が推進用モータ223に供給される。
操舵部23は、ユーザの操作を入力する。この操舵部23は、接続ケーブルw1により駆動制御部25に電気的に接続されており、ユーザの操作に応じた信号(操船信号)が操舵部23から接続ケーブルw1を通って駆動制御部25に伝達される。
本実施形態では、操舵部23は、容易に操船できるようにジョイスティックで構成されている。スティックを傾ける方向により移動方向(進路)が決まり、スティックの角度により移動速度(船速)が決まる。なお、専用アプリをインストールしたスマートフォンまたはタブレット端末等のモバイル端末MDから、タッチパネル操作または音声により操船できるようにしてもよい。この場合、スマートフォンが操舵部23を構成することとなり、ジョイスティックをキャビン21aに設けなくてもよい。従来のハンドルやスロットルレバーをなくすことで、ユーザはキャビン21aで自由な姿勢をとることができる。これによりユーザに自由に寛げる空間を提供することができる。
二次電池24は推進装置22等に電力を供給する。二次電池24は、たとえばリチウムイオン二次電池であり、接続ケーブルw2により駆動制御部25(電力変換部254)に電気的に接続されている。二次電池24から出力された直流電圧は、駆動制御部25の電力変換部254により各モータ(ステアリング用モータ221および推進用モータ223)に適合した直流電圧に変換される。
二次電池24は、交換可能な電池ユニットとして構成されている。このため、帰還先のポートで充電済みの電池ユニットと交換することで充電を待たずに再出発することができる。非接触充電用パッドRを介した無線充電を行う場合、二次電池24は本体21に設けられた受電パッド(図示せず)を介して充電される。
駆動制御部25は、推進装置22のステアリング用モータ221および推進用モータ223に電力を供給するとともに各モータを制御するように構成されている。
駆動制御部25は、図9に示すように、制御部251と、通信部252と、記憶部253と、電力変換部254とを有している。なお、制御部251、通信部252および記憶部253は、電池推進船20の複数の推進装置22のうちいずれか一つの駆動制御部25に設けられてもよい。各推進装置22に制御部251等が設けられる場合は、いずれか1つの制御部が他の制御部に対して推進装置22の制御を指示するようにしてもよい。あるいは、各推進装置22を制御する制御部(図示せず)が別個に設けられてもよい。
制御部251は、ユーザ操作受付部2511と、二次電池制御部2512と、ステアリング用モータ制御部2513と、推進用モータ制御部2514とを有している。制御部251の各部は、駆動制御部25内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現される。なお、制御部251の各部の少なくとも一つがハードウェアにより構成されてもよい。
ユーザ操作受付部2511は、ジョイスティックまたはスマートフォンの操作に応じて操舵部23から出力された操船信号(進行方向および出力等)を受け付ける。二次電池制御部2512は、二次電池24の電池管理ユニット(BMU)から二次電池24の電池残量等のバッテリ情報を取得する。ステアリング用モータ制御部2513は、ユーザ操作受付部2511が受け付けた操船信号に基づいてステアリング用モータ221の角度(すなわち、プロペラ224の方向)を制御する。推進用モータ制御部2514は、ユーザ操作受付部2511が受け付けた操船信号に基づいて電力変換部254が推進用モータ223に出力する電圧を調整することで推進用モータ223の回転数を制御する。
通信部252は、無線通信により管理装置10との間で情報を送受信するためのインターフェースである。本実施形態では、WiFi通信を用いるが、無線通信の方式・規格は特に限定されない。
通信部252は、操舵部23から出力された操船信号を受信し、制御部251に伝える。スマートフォン等のユーザ端末(モバイル端末MD)を操舵部23として用いる場合、通信部252はユーザ端末から送信された操船信号を受信する。モバイル端末MDは、WiFi,Bluetooth等により、電池推進船20と無線接続される。
なお、通信部252を介して電池推進船20同士が位置情報等を送受信するようにしてもよい。これにより、たとえば、電池推進船20間の衝突を回避することができる。また、通信部252は、メンテナンス用の端末(ノートパソコン等)と通信できるようになっていてもよい。
記憶部253は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ等から構成される。この記憶部253には、制御部251の各部を実現するためのプログラムなどが記憶される。また、記憶部253には、管理装置10による遠隔操船、または自律航行を行うためのプログラムが記憶される。
電力変換部254は、たとえばDC-DCコンバータを有しており、二次電池24から供給された直流電圧を各モータ(ステアリング用モータ221、推進用モータ223)に適合した電圧に変換して出力する。
なお、電池推進船20は、上記構成以外にも、管理エリアの地形や現在位置、管理センターからのメッセージ等の各種情報を表示するための表示部(ディスプレイ)や、各種センサー(方位センサー、測距センサー等)、管理センターの管理者と音声通話するための通話手段を備えてもよい。
また、図7(b)に示す電池推進船20Aのように、推進装置22の数は1つであってもよい。
<電池推進船20の操船方法>
次に、図10を参照して、電池推進船20の操船方法の一例を説明する。図10は、操舵部23の操作画面の一例を図示している。この操作画面は、操舵部23が有するタッチパネルに表示される。タッチパネルは、電池推進船20に備え付けられたものであってもよいし、ユーザのモバイル端末のものであってもよい。
図10の操作画面の左側に配置されたアイコン(STOP,NORMAL,SLIDE,TURN)をタップすることで、動作モードが選択される。操作画面の「STOP」アイコンをタップするとストップモードになり、「NORMAL」アイコンをタップすると通常モードになり、「SLIDE」アイコンをタップするとスライドモードになり、「TURN」アイコンをタップすると旋回モードとなる。選択されたアイコンは、色、フォント等により、他のアイコンと識別可能に表示される。
ストップモードは、推進装置22の動作を停止し、新たな動作モードを受け付けるための動作モードである。通常モードは、従来の船と同様の感覚で操船を行うための動作モードである。スライドモードは、船首方向を変えずに船をスライドさせるための動作モードである。旋回モードは、船体位置を変えずに船を旋回させるための動作モードである。
なお、ストップモードにおいて「ORG」アイコンをタップすると、各推進装置22の舵角が0°に戻る。通常モードで使用する「QT」アイコンと「LC」アイコンについては後述する。
操作画面の右側に配置されたベクトル入力部Pは、ユーザが電池推進船20の進行方向と推力(プロペラ出力)を入力するためのものである。ベクトル入力部PのAHは前進(Ahead)を示し、ASは後進(Astern)を示し、Sは右舷(Starboard)を示し、Pは左舷(Port)を示す。
ユーザは、ベクトル入力部Pの中心Cから所望の方向にドラッグすることで進行方向の指令値(角度指令値)を入力する。さらに、ドラッグする長さ(矢印ARの長さに相当する。)により推力の指令値(出力指令値)を入力する。ドラッグ長が長いほど出力指令値が大きくなる。このように、タッチパネルを介したユーザのベクトル入力操作により、電池推進船20の移動方向および移動速度を同時に入力する。タッチパネルを利用した操船画面により電池推進船20を操船可能とすることで、ユーザは容易且つ直感的に電池推進船20を操船できる。
ユーザがベクトル入力部Pから指を離した場合には、たとえば、舵角が保持され、プロペラ出力が徐々に低下または停止するようにしてもよい。本実施形態では、ユーザがベクトル入力部Pから指を離した場合、ストップモード、スライドモードおよび旋回モードでは、舵角が保持され、プロペラ出力が低下または停止し、通常モードでは、舵角が0°に戻り、プロペラ出力が保持される。
なお、ユーザがベクトル入力部Pを長押しした場合(同じタップ位置で所定の時間以上経過した場合)には、そのときの矢印ARに対応する進行方向および推力が維持されるようにしてもよい。
図11は、操船画面の別の例を示している。この例では、2つのベクトル入力部P1,P2が操作画面に配置されている。ベクトル入力部P1,P2はそれぞれ、電池推進船20の船首と船尾に設けられた2つの推進装置22に対応付けられている。たとえば、ベクトル入力部P1は船首側の推進装置22を制御するためのものであり、ベクトル入力部P2は船尾側の推進装置22を制御するためのものである。本操作画面によれば、各推進装置22に直接、推力の方向と大きさの指令値を与えることができる。
なお、図11において、「ORG」アイコンをタップすると、各推進装置22の舵角が0°に戻る。
<電池推進船20の制御方法>
次に、通常モード、スライドモードおよび旋回モードの各動作モードにおける推進装置22の制御方法について、それぞれ詳しく説明する。なお、以下の説明は、電池推進船20の重心Gから船首側の推進装置22までの長さと、重心から船尾側の推進装置22までの長さが等しい場合である。
[通常モード]
まず、図12を参照して、通常モードにおける推進装置22の制御について説明する。通常モードは、従来の船と同様に船尾の推進装置22の舵角により進路変更や旋回を行うための動作モードである。
図12の左側の図は、進行方向に進みながら旋回する場合における、船首および船尾の各推進装置22で発生する推力ベクトルを示している。船首の推進装置は進行方向と逆向きの推力F1を発生し、船尾の推進装置は角度θ2の推力F2を発生する。推力F1およびF2の大きさはいずれも出力指令値(矢印ARの長さ)に等しく、推力F2の角度θ2は角度指令値(矢印ARが縦線となす角度)に等しい。推力F1の角度θ1は0°である。なお、図中、F2xは推力F2のx方向(船首と船尾を結ぶ直線に直交する方向)の成分であり、F2yは推力F2のy方向(船首と船尾を結ぶ直線の方向)の成分である。
図12の中央の図は、船首の推進装置の舵角を用いて旋回する場合における、船首および船尾の各推進装置22で発生する推力ベクトルを示している。推力F1およびF2の大きさはいずれも出力指令値に等しい。なお、図中、F1xは推力F1のx方向成分であり、F1yは推力F1のy方向成分である。
推力F2の角度θ2は、角度指令値に等しい。船首の推進装置が発生する推力F1の角度は、-θ1であり、船尾の推進装置の推力の角度とは逆向きである。このように船首の推進装置の舵角を用いることで、旋回性能が向上し、クイックターンを実現することができる。なお、角度θ1の大きさは角度θ2の大きさの半分以下であることが好ましい(|θ1|≦0.5×|θ2|)。
前述の図10の操作画面において、「QT」アイコンがタップされた場合に、本制御が行われる。「QT」アイコンが再度タップされると、通常の制御(図12の左側に示す制御)に戻る。
図12の右側の図は、電池推進船20の位置情報に基づいて、船首方向を一定に保つように船首側の推進装置の推力の角度を補正しながら進行する場合における、船首および船尾の各推進装置22で発生する推力ベクトルを示している。推力F1およびF2の大きさはいずれも出力指令値に等しい。推力F2の角度θ2は0°である。推力F1の角度θ1は、電池推進船20の位置情報に基づいて算出される角度(補正角度)である。
前述の図10の操作画面において、「LC」アイコンがタップされた場合に、本制御が行われる。「QT」アイコンが再度タップされた場合、またはユーザ操作により舵角が変更された場合、通常の制御(図12の左側に示す制御)に戻る。
[スライドモード]
次に、図13を参照して、スライドモードにおける推進装置22の制御について説明する。スライドモードは、船首方向を変えずに電池推進船20を平行移動ないし斜行移動させるための動作モードである。
図13の最も左側の図は、船を進行方向にスライドさせる場合における、船首および船尾の各推進装置22で発生する推力ベクトルを示している。推力F1およびF2の大きさはいずれも出力指令値(矢印ARの長さ)に等しい。角度θ1およびθ2はいずれも角度指令値(0°)に等しい。この場合は通常モードで前進するのと同じ制御となる。
図13の左から2番目の図は、船を斜め前進方向にスライドさせる場合における、船首および船尾の各推進装置22で発生する推力ベクトルを示している。推力F1およびF2の大きさはいずれも出力指令値に等しい。角度θ1およびθ2はいずれも角度指令値に等しい。
図13の中央の図は、船を横方向にスライドさせる場合における、船首および船尾の各推進装置22で発生する推力ベクトルを示している。推力F1およびF2の大きさはいずれも出力指令値に等しい。角度θ1およびθ2はいずれも角度指令値(90°)に等しい。なお、各推進装置22の推力のy成分を0にする場合に限らず、各推力のy成分の和が打ち消されるようにしてもよい。
図13の右から2番目の図は、船を斜め後進方向にスライドさせる場合における、船首および船尾の各推進装置22で発生する推力ベクトルを示している。推力F1およびF2の大きさはいずれも出力指令値に等しい。角度θ1およびθ2はいずれも角度指令値に等しい。
図13の最も右側の図は、船を後進方向にスライドさせる場合における、船首および船尾の各推進装置22で発生する推力ベクトルを示している。推力F1およびF2の大きさはいずれも出力指令値に等しい。角度θ1およびθ2はいずれも角度指令値(180°)に等しい。この場合は通常モードで後進するのと同じ制御となる。
上記のように、スライドモードでは、船首の推進装置および船尾の推進装置のいずれも、操舵部23(本実施形態ではタッチパネルのベクトル入力部P)が入力した移動方向と反対向きで、互いに同じ大きさの推力を発生する。
[旋回モード]
次に、図14を参照して、旋回モードにおける推進装置22の制御について説明する。旋回モードは、船体位置を変えずに船を旋回(定点旋回)させるための動作モードである。
図14は、左側の図および右側の図のいずれも、船を反時計回りに旋回させる場合における、船首および船尾の各推進装置22で発生する推力ベクトルを示している。推力F1およびF2の大きさはいずれも出力指令値(矢印ARの長さ)に等しく、推力F1と推力F2の方向は互いに逆向きである。角度θ2は角度指令値に等しく、推力F1の角度θ1は推力F2の角度θ2に180°を加えた角度(θ2+180°)に等しい。すなわち、船首の推進装置22は操舵部23に入力された移動方向と反対向きの推力を発生し、船尾の推進装置22は操舵部23に入力された移動方向と同じ向きの推力を発生する。
なお、船を時計回りに旋回させる場合は、推力F1,F2のx成分(F1x、F2x)およびy成分(F1y、F2y)をそれぞれ反対向きとすればよい。
このように旋回モードでは、船首に設けられた推進装置および船尾に設けられた推進装置は、互いに反対向きで同じ大きさの推力を発生する。
上記のようにして、船首と船尾に設けられた推進装置22は、ユーザの操作に応じた力またはモーメントが本体21(電池推進船20)に作用するように推力を発生する。本実施形態によれば、推力F1,F2の大きさと向き(角度θ1,θ2)を制御して合成ベクトルを生成することで、電池推進船20に任意の推力ベクトルを作用させることができる。
なお、各推進装置22のプロペラ224が360°旋回可能に構成されていることから、各プロペラ224が一方向にのみ回転する場合であっても、上記各動作を行うことが可能である。したがって、本実施形態によれば、推進用モータ223の正転/逆転の切り替えを行う必要がなく、動作の連続性を保持することができる。その結果、動作効率の悪化を抑制するとともに、切り替えによる振動や衝撃を抑制し、電池推進船20の乗り心地を向上させることができる。
<管理装置10の処理フロー>
次に、図15~図17のフローチャートを参照しつつ、水上モビリティシステム1の処理フローの一例を説明する。なお、図15のフローチャートによる処理は管理エリア内の各電池推進船20についてそれぞれ実行される。
管理装置10の制御部11(情報取得部111)は、電池推進船20の位置情報および電池残量を取得する(ステップS1)。ここで、位置情報および電池残量は電池推進船20の測位部26および二次電池制御部2512により取得され、通信部252を介して管理装置10に送信される。本ステップにおいて、情報取得部111は、電池推進船20のシステム異常の有無に関する情報を取得してもよい。
次に、管理装置10の制御部11は、電池推進船20のシステムが正常であるかどうかを判定する(ステップS2)。システムが正常である場合(S2:Yes)はステップS3に進み、システムが異常である場合(S2:No)はステップS12の救助処理に進む。
次に、管理装置10の制御部11(ポート距離算出部112)は、電池推進船20の位置情報に基づいて当該電池推進船20とポートとの間の距離を算出する(ステップS3)。本実施形態では、電池推進船20とポートP1~P4間の距離がそれぞれ算出される。
次に、管理装置10の制御部11(航続距離算出部113)は、電池推進船20の電池残量に基づいて航続距離を算出する(ステップS4)。
次に、管理装置10の制御部11(到達可能性判定部114)は、ステップS3で算出された距離およびステップS4で算出された航続距離に基づいてマージンを算出する(ステップS5)。本実施形態では、到達可能性判定部114はポートP1~P4についてマージンを算出する。
次に、管理装置10の制御部11(到達可能性判定部114)は、ポートP1~P4について到達可能性を求める(ステップS6)。たとえば、マージンが150%以上の場合は最も安全性の高い到達可能性Aであると判定し、マージンが120%以上150%未満の場合は到達可能性Bであると判定し、マージンが120%未満の場合は到達可能性Cであると判定する。
到達可能性判定部114は、到達可能性Aのポートがあるか否かを判定する(ステップS7)。到達可能性Aのポートがある場合(S7:Yes)、正常運行されていると判断してステップS1に戻る。一方、到達可能性Aのポートがない場合(S7:No)、到達可能性Bのポートが複数あるか否かを判定する(ステップS8)。到達可能性Bのポートが複数ある場合(S8:Yes)、警告状態とし(ステップS10)、ステップS1に戻る。ステップS10では、制御部11は記憶部13の船管理データベース131を更新し、当該電池推進船の稼働状態を「警告」とする。一方、到達可能性Bのポートが複数ない場合(S8:No)、到達可能性Bのポートが1つであるか否かを判定する(ステップS9)。到達可能性Bのポートが1つである場合(S9:Yes)、回避処理を行う(ステップS11)。回避処理の詳細は後述する。一方、到達可能性Bのポートが1つもない場合(すなわち、到達可能性Cのポートのみの場合)(S9:No)、救助処理を行う(ステップS12)。救助処理の詳細は後述する。
なお、上記の説明では管理装置10が各ステップの処理を行ったが、これらの処理のうち少なくとも一部の処理を電池推進船20が行ってもよい。たとえば、電池推進船20(記憶部253)に管理エリア内のポートの位置情報を記憶させておき、自身の位置情報と合わせてポートまでの距離を算出してもよい。電池推進船20が航続距離を算出するようにしてもよいし、到達可能性を判定するようにしてもよい。
また、上記の処理フローでは各ポートについてマージンを算出したが、電池推進船20から最も近いポートについてのみマージンを算出し、当該ポートへの到達可能性を判定するようにしてもよい。たとえば、判定結果が到達可能性A以外の場合、操船モード変更部115は操船モードをユーザ操船モードから強制航行モードに変更する。
<回避処理>
ステップS11の回避処理の一例について、図16を参照して詳しく説明する。
まず、管理装置10は、電池推進船20の操船モードを管理センターの操船(強制航行モード)に切り替える(ステップS111)。具体的には、管理装置10の制御部11(操船モード変更部115)は、ユーザ操船モードから強制航行モードに変更することを示す信号(モード変更信号)を電池推進船20に送信する。電池推進船20がモード変更信号を受信すると、駆動制御部25は、ユーザ操作受付部2511で受け付けられた操船信号ではなく、管理装置10から受信した遠隔操船信号に従って推進装置22を制御する。すなわち、ステアリング用モータ制御部2513および推進用モータ制御部2514は遠隔操船信号に従ってステアリング用モータ221および推進用モータ223をそれぞれ制御する。
次に、管理センターは、電池推進船20および移動先のポートに、危険回避のため帰還する旨を連絡する(ステップS112)。連絡は音声通話やディスプレイへの表示により行う。たとえば、到達可能性A,Bのポート(好ましくはマージンが最も高いポート)を移動先のポートとする。空いている充電設備または充電済みの電池ユニットを有するポートを移動先としてもよい。好ましくは、到達可能性AまたはBのポートのうち、空いている充電設備もしくは充電済みの電池ユニットを有するポートを移動先とする。
次に、管理センターから電池推進船20を操船する(ステップS113)。本ステップでは、管理センターの管理装置10は電池推進船20に遠隔操船信号を送信し、電池推進船20は管理装置10からの遠隔操船信号に従って移動する。詳しくは、駆動制御部25のステアリング用モータ制御部2513が遠隔操船信号に基づいてステアリング用モータ221を制御してプロペラ224の方向を調整するとともに、推進用モータ制御部2514が遠隔操船信号に基づいて推進用モータ223を制御してプロペラ224の回転数を制御する。
なお、電池推進船20が自律航行可能な場合、管理装置10からモード変更信号を受信した後、電池推進船20はユーザ操作受付部2511で受け付けられた操船信号を無視し、移動先のポートに向かって自律的に移動してもよい。
<救助処理>
ステップS12の救助処理の一例について、図17を参照して詳しく説明する。
まず、管理装置10は、ポートの中で最もマージンが大きいものを移動先のポートとして選ぶ(ステップS121)。
次に、管理装置10は、電池推進船20の操船モードを管理センターの操船に切り替える(ステップS122)。本ステップの詳細は前述のステップS111と同様である。
次に、管理センターは、電池推進船20および移動先のポートに連絡する(ステップS123)。本ステップの詳細は前述のステップS112と同様である。
次に、管理センターから電池推進船20を操船する(ステップS124)。本ステップの詳細は前述のステップS113と同様である。
次に、救助艇に船の位置情報を知らせて向かわせ、合流して救助する(ステップS125)。詳しくは、管理装置10または管理者が救助艇に救助対象の電池推進船20の位置を知らせて向かわせ、電池推進船20と合流させて救助を行う。
以上説明したように、本実施形態では、ポート距離算出部112が電池推進船20とすべてのポートP1~P4との間の距離をそれぞれ算出し、到達可能性判定部114がポートP1~P4について到達可能性をそれぞれ判定する。そして所定の危険基準を満たす場合には、操船モードをユーザ操船モードから強制航行モードに変更し、電池推進船20は遠隔操船または自律航行により到達可能性の高いポートに移動する。
このように、水上モビリティシステム1では、普段はユーザが電池推進船を高い自由度で操作可能としつつ、電池残量が低下してポートへの到達可能性が低下した場合、遠隔操船または自律航行により電池推進船をポートに安全に帰還させる。
上記のように、本実施形態によれば、操船モードを切り替えることで電池推進船が水上で孤立することを防止し、水上モビリティシステムの安全性を向上させることができる。特に、電池推進船が免許不要で操船可能な場合や、稼働時間に比して二次電池の容量にあまり余裕がない場合において乗船者の安全を確保するのに格別の効果を奏する。
上記の実施形態では、電池推進船は管理エリア内のポートのいずれかに戻るものであったが、本発明はこのような形態に限られない。次に実施形態に係る2つの変形例について説明する。いずれの変型例によっても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
<変型例1>
本変型例では、電池推進船20は、あるポートから出発し、当該ポートに戻る運行形態をとる。たとえば、図1のポートP1から出発し、管理エリア内を回遊した後、同じポートP1に帰還する形態である。本変型例は、電池推進船が特定のポートに対応付けられている場合や、管理エリア内にポートが一つしかない場合等が該当する。
本変型例では、ポート距離算出部112は、電池推進船20と、当該電池推進船20が出発したポート(出発ポート)との間の距離を算出する。航続距離算出部113は前述の実施形態の場合と同様にして航続距離を算出する。到達可能性判定部114は、出発ポートへの到達可能性を判定する。そして、判定された到達可能性が所定の危険基準を満たす場合、電池推進船20は出発ポートに向けて遠隔操船または自律航行により移動する。このように、本変型例では電池推進船20は強制航行モードにおいて出発ポートに向けて航行する。
<変型例2>
本変型例では、電池推進船20は、あるポート(出発ポート)から出発し、別のポート(目的ポート)に向けて航行する運行形態をとる。たとえば、図1のポートP1から出発し、管理エリア内を航行した後、ポートP3に到着する形態である。本変型例は、電池推進船が所定の場所に人や物を運ぶ場合等が該当する。
本変型例では、ポート距離算出部112は、電池推進船20と、当該電池推進船20が向かう目的ポートとの間の距離を算出する。航続距離算出部113は前述の実施形態の場合と同様にして航続距離を算出する。到達可能性判定部114は、目的ポートへの到達可能性を判定する。そして、判定された到達可能性が所定の危険基準を満たす場合、電池推進船20は目的ポートに向けて遠隔操船または自律航行により移動する。このように、本変型例では電池推進船20は強制航行モードにおいて所定の目的ポートに向けて航行する。
以上、本発明に係る実施形態および変型例について説明した。本発明は、テーマパークのアトラクションや観光等のレジャー用途だけでなく、水上交通システムに適用してもよい。本発明は水上モビリティ(電池推進船)のシェアリングの促進にも好適である。
なお、上述した実施形態で説明した水上モビリティシステムの制御部11の構成のうち少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、制御部11の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
また、制御部11の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
また、電池推進船20は、管理装置10の管理によらず、自律的に動作するように構成されてもよい。この場合、管理装置10の情報取得部111、ポート距離算出部112,航続距離算出部113、到達可能性判定部114および操船モード変更部115が電池推進船20に設けられる。また、船管理データベース131のうち自船に関する情報(電池残量、位置情報等)、および管理エリアデータベース132が電池推進船20に設けられる。これにより、電池推進船20は、自身の位置情報および電池残量を取得し、取得した位置情報に基づいて電池推進船20とポートとの間の距離を算出し、取得した電池残量に基づいて航続距離を算出し、算出した距離および航続距離に基づいて到達可能性を判定し、到達可能性が所定の危険基準を満たす場合、ユーザ操船モードから強制航行モードに操船モードを変更する。このように電池推進船20は、自身で到達可能性を判定し、所定の危険基準を満たす場合はポートまで自律的に移動してもよい。
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
1 水上モビリティシステム
10 管理装置
11 制御部
111 情報取得部
112 ポート距離算出部
113 航続距離算出部
114 到達可能性判定部
115 操船モード変更部
12 通信部
13 記憶部
20,20A 電池推進船
21 本体
21a キャビン
22 推進装置
221 ステアリング用モータ
221a,222a ギア
222 シャフト
223 推進用モータ
224 プロペラ
23 操舵部
24 二次電池
25 駆動制御部
251 制御部
2511 ユーザ操作受付部
2512 二次電池制御部
2513 ステアリング用モータ制御部
2514 推進用モータ制御部
252 通信部
253 記憶部
254 電力変換部
26 測位部
C 中心
G 重心
MD モバイル端末
P1,P2,P3,P4 ポート
Q1,Q2 係留部
Qr 凹部
Qrg ガイド溝
P,P1,P2 ベクトル入力部
R 非接触充電用パッド
w1,w2,w3 接続ケーブル

Claims (12)

  1. 管理装置と、前記管理装置に無線接続され、所定の管理エリア内を航行する電池推進船と、前記電池推進船が離着岸するポートとを有する水上モビリティシステムであって、
    前記電池推進船の位置情報および電池残量を取得する情報取得手段と、
    前記位置情報に基づいて前記電池推進船と前記ポートとの間の距離を算出するポート距離算出手段と、
    前記電池残量に基づいて航続距離を算出する航続距離算出手段と、
    前記距離および前記航続距離に基づいて前記ポートへの到達可能性を判定する到達可能性判定手段と、
    前記到達可能性が所定の危険基準を満たす場合、操船モードをユーザ操船モードから、前記ポートに向けて前記電池推進船を航行させる強制航行モードに変更する操船モード変更手段と、
    を備えることを特徴とする水上モビリティシステム。
  2. 前記到達可能性判定手段は、前記航続距離を前記距離で割って算出されたマージンに基づいて到達可能性を判定することを特徴とする請求項1に記載の水上モビリティシステム。
  3. 前記到達可能性判定手段は、前記管理エリアにおける風情報を考慮して到達可能性を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の水上モビリティシステム。
  4. 前記操船モードが前記強制航行モードに変更されると、前記電池推進船は、空いている充電設備または充電済みの電池ユニットを有するポートに向かうように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の水上モビリティシステム。
  5. 前記ポート距離算出手段は、前記電池推進船と、前記管理エリア内のすべてのポートとの間の距離をそれぞれ算出し、
    前記到達可能性判定手段は、前記管理エリア内のすべてのポートについて到達可能性をそれぞれ判定することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の水上モビリティシステム。
  6. 前記ポート距離算出手段は、前記電池推進船と、当該電池推進船が出発した出発ポートとの間の距離を算出し、
    前記到達可能性判定手段は、前記出発ポートへの到達可能性を判定し、
    前記電池推進船は前記強制航行モードにおいて前記出発ポートに向けて航行することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の水上モビリティシステム。
  7. 前記ポート距離算出手段は、前記電池推進船と、当該電池推進船が向かう目的ポートとの間の距離を算出し、
    前記到達可能性判定手段は、前記目的ポートへの到達可能性を判定し、
    前記電池推進船は前記強制航行モードにおいて前記目的ポートに向けて航行することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の水上モビリティシステム。
  8. 前記電池推進船が前記管理装置からモード変更信号を受信すると、当該電池推進船の推進装置は、前記管理装置から受信した遠隔操船信号、または自律航行に従って制御されることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の水上モビリティシステム。
  9. 前記電池推進船は免許不要で操船可能であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の水上モビリティシステム。
  10. 前記ポートには給電装置が設けられており、前記給電装置から供給される電力を用いて前記電池推進船の二次電池を充電することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の水上モビリティシステム。
  11. 所定の管理エリア内を航行する電池推進船に無線接続された管理装置であって、
    前記電池推進船の位置情報および電池残量を取得する情報取得手段と、
    前記位置情報に基づいて前記電池推進船とポートとの間の距離を算出するポート距離算出手段と、
    前記電池残量に基づいて航続距離を算出する航続距離算出手段と、
    前記距離および前記航続距離に基づいて前記ポートへの到達可能性を判定する到達可能性判定手段と、
    前記到達可能性が所定の危険基準を満たす場合、操船モードをユーザ操船モードから、前記ポートに向けて前記電池推進船を航行させる強制航行モードに変更する操船モード変更手段と、
    を備えることを特徴とする管理装置。
  12. 所定の管理エリア内を航行する電池推進船であって、
    前記電池推進船の位置情報および電池残量を取得する情報取得手段と、
    前記位置情報に基づいて、前記電池推進船と、前記電池推進船が離着岸するポートとの間の距離を算出するポート距離算出手段と、
    前記電池残量に基づいて航続距離を算出する航続距離算出手段と、
    前記距離および前記航続距離に基づいて前記ポートへの到達可能性を判定する到達可能性判定手段と、
    前記到達可能性が所定の危険基準を満たす場合、操船モードをユーザ操船モードから、前記ポートに向けて前記電池推進船を航行させる強制航行モードに変更する操船モード変更手段と、
    を備えることを特徴とする電池推進船。
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