しかしながら、上記特許文献1に示されたレーザ焼入れ装置においては、被加工物に対するレーザ光が照射された後の温度が不明であるため、焼入れ処理のための急冷処理が適切に行われているか否かが判然とせず、焼入れ処理不良を一早く把握することが困難であるという問題がある。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、被加工物の表面にレーザ光による光スポットを形成して同表面の加工を行うレーザ加工装置において、レーザ光を出射するレーザ光源と、被加工物を着脱自在に保持するテーブルと、被加工物に対して光スポットを相対変位させる光スポット走査手段と、被加工物における光スポットが通過した部分の温度を表す温度検出信号を出力する温度検出器と、温度検出信号を用いて被加工物の表面の温度を監視して被加工物における光スポットが通過した部分の温度が所定の温度になったことを検出する制御装置と、被加工物に対する温度検出器による温度の測定位置を変更する測定位置調整機構とを備え、光スポット走査手段は、テーブルとレーザ光源とを互いに相対変位させるXY送り装置であり、測定位置調整機構は、制御装置による作動制御によって被加工物に対する温度検出器による温度の測定位置を変更するものであり、制御装置は、被加工物における光スポットの加工中の送り速度の変化に応じて被加工物に対する温度検出器による温度の測定位置を変更することにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、レーザ加工装置は、被加工物における光スポットが通過した部分の温度を検出する温度検出器を備えているため、光スポットによって熱せられた後のレーザ光の照射部分の温度を確認することで被加工物に対する加工不良を迅速に把握することができる。特に、レーザ加工装置は、光スポットが通過した直後の加熱以外の処理がなされてないレーザ光の照射部分の温度を把握することで被加工物に対する熱処理不良を迅速に把握することができる。また、レーザ加工装置は、制御装置が被加工物における光スポットが通過した部分の温度が所定の温度になったことを検出しているため、被加工物に対する熱処理不良を容易かつ正確に把握することができる。また、レーザ加工装置は、被加工物に対する温度検出器による温度の測定位置を変更する測定位置調整機構を備えているため、被加工物の仕様またはレーザ加工の仕様に応じて所望する測定位置で温度を検出することができる。また、レーザ加工装置は、制御装置が被加工物における光スポットの送り速度に応じて測定位置調整機構の作動を制御して被加工物に対する温度の測定位置を変更するため、被加工物に対する加工中の送り速度の変化に応じて測定位置を変化させることで被加工物に対する熱処理不良を精度良く把握することができる。
なお、レーザ加工装置が行なうレーザ光を用いた加工には、レーザによる焼入れ、焼き戻し、焼きなましまたは焼きならしなどの被加工物上の表面改質処理、被加工物上に異種または同種の材料を密着させるレーザ肉盛、2つの被加工物を互いに接続するレーザ溶接などがある。
また、上記目的を達成するため、本発明の特徴は、被加工物の表面にレーザ光による光スポットを形成して同表面の加工を行うレーザ加工装置において、レーザ光を出射するレーザ光源と、被加工物を着脱自在に保持するテーブルと、被加工物に対して光スポットを相対変位させる光スポット走査手段と、被加工物における光スポットが通過した部分の温度を表す温度検出信号を出力する温度検出器と、レーザ光源の作動を制御するとともに、温度検出信号を用いて被加工物の表面の温度を監視する制御装置を備え、光スポット走査手段は、テーブルとレーザ光源とを互いに相対変位させるXY送り装置であり、制御装置は、レーザ光を被加工物に対して照射してから所定時間経過後に被加工物の表面の温度の監視を開始することにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、レーザ加工装置は、被加工物における光スポットが通過した部分の温度を検出する温度検出器を備えているため、光スポットによって熱せられた後のレーザ光の照射部分の温度を確認することで被加工物に対する加工不良を迅速に把握することができる。特に、レーザ加工装置は、光スポットが通過した直後の加熱以外の処理がなされてないレーザ光の照射部分の温度を把握することで被加工物に対する熱処理不良を迅速に把握することができる。
また、上記目的を達成するため、本発明の特徴は、被加工物の表面にレーザ光による光スポットを形成して同表面の加工を行うレーザ加工装置において、レーザ光を出射するレーザ光源と、被加工物を着脱自在に保持するテーブルと、被加工物に対して光スポットを相対変位させる光スポット走査手段と、被加工物における光スポットが通過した部分の温度を表す温度検出信号を出力する温度検出器と、テーブルに対してレーザ光源と温度検出器とが一体的に変位するようにレーザ光源と温度検出器とを一体的に支持する支持具とを備え、光スポット走査手段は、テーブルとレーザ光源とを互いに相対変位させるXY送り装置であることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、レーザ加工装置は、被加工物における光スポットが通過した部分の温度を検出する温度検出器を備えているため、光スポットによって熱せられた後のレーザ光の照射部分の温度を確認することで被加工物に対する加工不良を迅速に把握することができる。特に、レーザ加工装置は、光スポットが通過した直後の加熱以外の処理がなされてないレーザ光の照射部分の温度を把握することで被加工物に対する熱処理不良を迅速に把握することができる。
また、上記目的を達成するため、本発明の特徴は、被加工物の表面にレーザ光による光スポットを形成して同表面の加工を行うレーザ加工装置において、レーザ光を出射するレーザ光源と、被加工物を着脱自在に保持するテーブルと、被加工物に対して光スポットを相対変位させる光スポット走査手段と、被加工物における光スポットが通過した部分の温度を表す温度検出信号を出力する温度検出器と、テーブルと温度検出器とを光スポット走査手段による相対変位の方向に直交するZ軸方向に互いに相対変位させるZ送り装置とを備え、光スポット走査手段は、テーブルとレーザ光源とを互いに相対変位させるXY送り装置であることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、レーザ加工装置は、被加工物における光スポットが通過した部分の温度を検出する温度検出器を備えているため、光スポットによって熱せられた後のレーザ光の照射部分の温度を確認することで被加工物に対する加工不良を迅速に把握することができる。特に、レーザ加工装置は、光スポットが通過した直後の加熱以外の処理がなされてないレーザ光の照射部分の温度を把握することで被加工物に対する熱処理不良を迅速に把握することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記レーザ加工装置において、さらに、レーザ光源の作動を制御するとともに、温度検出信号を用いて被加工物の表面の温度を監視する制御装置を備えることにある。
また、本発明の他の特徴は、前記レーザ加工装置において、さらに、被加工物に対する温度検出器による温度の測定位置を変更する測定位置調整機構とを備え、測定位置調整機構は、レーザ光源に対して接近または離隔する方向に延びてこれらの接近または離隔する位置で温度検出器を支持する長孔状の支持孔を備えていることにある。
また、これらの場合、前記レーザ加工装置において、温度検出器は、レーザ光源に対して同レーザ光源の進行方向の後ろ側に配置されて同レーザ光源とともに変位することにある。これによれば、レーザ加工装置は、温度検出器がレーザ光源に対して同レーザ光源の進行方向の後ろ側に配置されて同レーザ光源とともに変位するため、レーザ光源の変位に正確に追従して被加工物の温度を測定することができる。
また、これらの場合、レーザ加工装置において、被加工物における光スポットが通過した部分の温度の履歴を記憶する温度履歴記憶部を備えることにある。これによれば、レーザ加工装置は、被加工物における光スポットが通過した部分の温度の履歴を記憶する温度履歴記憶部を備えているため、被加工物の加工内容を記録として残して後日の追跡を可能とするトレーサビリティ性を向上させることができる。
(レーザ加工装置100の構成)
以下、本発明に係るレーザ加工装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るレーザ加工装置100の構成を模式的に示したブロック図である。なお、本明細書において参照する図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。このレーザ加工装置100は、コンピュータ制御(NC制御)によって炭素鋼などの金属材からなる被加工物WK上にレーザ光Lを照射して表層に焼入れ処理を行うレーザを用いた熱処理装置である。
レーザ加工装置100は、テーブル101を備えている。テーブル101は、被加工物WKを着脱自在に保持する板状の載置台であり、XY送り装置102によって支持されている。XY送り装置102は、後述する総合制御装置120による作動制御によってテーブル101を同一平面内にて互いに直交する図示X軸方向および図示Y軸方向の2軸方向にそれぞれ変位させるための機械装置であり、送りねじ機構を備えて構成されている。
この場合、送りねじ機構は、雄ねじが形成されて図示X軸方向および図示Y軸方向にそれぞれ延びる送りねじ軸(図示せず)と、これらの各雄ねじに噛み合う雌ねじがそれぞれ形成されてテーブル101に直接的または間接的に連結されるナット部(図示せず)とをそれぞれ備えて構成されている。なお、図1においてX軸方向は左右方向であり、Y軸方向は紙面の奥行方向である。
この送り機構における図示X軸方向および図示Y軸方向にそれぞれ延びる送りねじ軸には、図示しない送りモータがそれぞれ接続されている。これらの各送りモータは、各送りねじ軸を正回転方向および逆回転方向にそれぞれ回転駆動する電動モータ(本実施形態においてはサーボモータ)であり、総合制御装置120によって作動がそれぞれ制御される。
テーブル101の上方には、レーザ光源110が設けられている。レーザ光源110は、テーブル101上に保持された被加工物WKに対してレーザ光Lを出射して加熱するための光学装置であり支持具111によって支持されている。本実施形態においては、波長が940nm、出力が2kWの半導体レーザで構成されている。このレーザ光源110は、レーザ駆動部116を介して総合制御装置120によって作動制御されて、被加工物WKの表面に一辺が5mm四方の方形の光スポットSPを形成する。なお、光スポットSPの形状および大きさは焼入れ処理の仕様に応じて適宜設定されるものであり、本実施形態に限定されるものではない。
支持具111は、テーブル101の上方でレーザ光源110および温度検出器115をそれぞれ支持するための金属製の部品であり、レーザ光源110および温度検出器115がそれぞれ貫通する貫通孔の支持孔111a,111bをそれぞれ有した板状体で構成されている。この場合、支持具111は、テーブル101に対するレーザ光源110および温度検出器115のテーブル101の表面に対する角度を変更可能な状態でレーザ光源110および温度検出器115をそれぞれ支持する。また、支持具111は、測定位置調整機構112および目盛り113をそれぞれ備えている。
測定位置調整機構112は、温度検出器115による温度の測定位置MPを変更するための部分であり、主として、支持孔111b、ロック孔112aおよび止めネジ112bをそれぞれ備えている。支持孔111bは、温度検出器115をレーザ光源110に対して接近または離隔した位置で支持するための部分であり、図示Y軸方向の延びる長孔状に形成されている。この支持孔111bは、レーザ光源110の進行方向に対して後ろ側に形成されている。
ロック孔112aは、支持孔111bの長手方向における任意の位置で温度検出器115の位置を固定するための部分であり、止めネジ112bが貫通する貫通孔が支持孔111bに沿って延びる長孔状に形成されている。止めネジ112bは、支持孔111bの長手方向における任意の位置で温度検出器115の位置を固定するための部品であり、ロック孔112aを介して温度検出器115にネジ嵌合する雄ネジで構成されている。
目盛り113は、温度検出器115の変位量を把握するための部分であり、支持具111の外表面に支持孔111bに沿って付されている。この目盛り113は、温度検出器115に設けられた片状の指し針113aによって指し示される。この支持具111は、Z送り装置114によって支持されている。
Z送り装置114は、総合制御装置120による作動制御によってレーザ光源110を図示X軸方向および図示Y軸方向にそれぞれ直交する図示Z軸方向(図示上下方向)に変位させるための機械装置であり、送りねじ機構を備えて構成されている。なお、本実施形態においては、レーザ光源110に対してテーブル101が図示X軸方向および図示Y軸方向に変位し、テーブル101に対してレーザ光源110が図示Z軸方向に変位するように構成した。しかし、テーブル101とレーザ光源110とは、互いに相対変位するように構成されていればよいため、少なくともどちらか一方が他方に対して変位するように構成されていればよい。
温度検出器115は、被加工物WKの表面における前記光スポットSPが照射されて通過した部分の温度に対応する電気信号である温度検出信号をレーザ駆動部116に出力する温度検出装置である。本実施形態においては、温度検出器115は、放射温度計で構成されている。この温度検出器115は、レーザ光源110の側方に支持具111によって支持されている。この場合、温度検出器115は、図2に示すように、温度の測定位置MPが被加工物WKの表面における前記光スポットSPが形成された部分に対してこの光スポットSPの進行方向の後方部分に位置するように支持具111によって支持される。
レーザ駆動部116は、図示しない外部電源から供給される電力を総合制御装置120の作動制御に応じてレーザ光源110に供給することによってレーザ光源110の作動を制御するためのドライバとして機能する定電流電源である。このレーザ駆動部116は、総合制御装置120からの指示に従って前記定電流電源の作動を制御するCPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されたレーザ制御部116aを備えている。
レーザ制御部116aは、レーザ光Lの出射の可否およびレーザ光Lの出力強度をそれぞれ独立して制御してレーザ光源110からレーザ光Lを連続発振させる。また、レーザ制御部116aは、加熱後必要温度を記憶している。ここで、加熱後必要温度は、レーザ光Lによって加熱された部分について適切に焼入れ処理が行われるためにレーザ光Lの照射が終了してから所定時間経過後に変化しているべき理想の温度である。この場合、加熱後必要温度は、焼入れ処理が適正に行われる特定された1つの温度または温度範囲である。そして、加熱後必要温度は、焼入れ処理の実行前に作業者によって予め設定される。
このレーザ制御部116aには、操作パネル116cが接続されている。操作パネル116cは、作業者からの指示を受け付けてレーザ制御部116aに入力するスイッチ群からなる入力装置(図示せず)およびレーザ制御部116aの作動状況を表示する液晶表示装置(図示せず)を備えたレーザ制御部116a専用の入出力インターフェースである。
総合制御装置120は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、レーザ加工装置100の全体の作動を総合的に制御するとともに、作業者によって用意される図示しない焼入れ処理プログラム(所謂NC(Numerical Control)プログラム)に従ってレーザ光源110からレーザ光Lを出射させながらテーブル101とレーザ光源110とを相対変位させることにより被加工物WKの熱処理加工を制御する。
この総合制御装置120は、総合制御装置120に対して作業者からの操作を受付けるための操作スイッチ群からなる操作盤121、作業者に対して総合制御装置120の作動状況を表示するための液晶ディスプレイからなる表示装置122をそれぞれ備えている。
(レーザ加工装置100の作動)
次に、上記のように構成したレーザ加工装置100の作動について説明する。まず、被加工物WKに対して焼入れ処理を行う作業者は、被加工物WKを用意してテーブル101上にセットした後、温度検出器115による被加工物WK上での温度の測定位置MPを設定する。
具体的には、作業者は、測定位置調整機構112における止めネジ112bを緩めて温度検出器115を支持孔111bの長手方向(図示Y軸方向)に変位させて温度検出器115による被加工物WK上での温度の測定位置MPを位置決めする。この場合、被加工物WK上における温度の測定位置MPは、被加工物WKの表面におけるレーザ光Lを照射し終えた後、所定の時間が経過した部分である。
ここで、レーザ光Lを照射した後温度を測定するまでの所定の時間は、被加工物WKにおけるレーザ光Lが照射されて加熱された部分について、レーザ光Lの照射完了後に温度測定を開始するまでの時間である(以後、「遅れ測定時間」ということがある)。この遅れ測定時間は、被加工物WKの種類に応じて適宜設定される。本実施形態においては、温度の測定位置MPは、レーザ光Lが照射された部分が照射完了後1秒経過後に位置する位置(約10mm変位した部分)に設定される。
作業者は、温度検出器115における照準機能(光学照準、LED照準またはレーザ照準)を用いて被加工物WK上での温度の測定位置MPを特定した後、止めネジ112bを締め付けて温度検出器115の位置および姿勢を固定する。これにより、作業者は、温度検出器115による被加工物WK上での温度の測定位置MPを設定することができる。
次に、作業者は、総合制御装置120に対して焼入れ処理の条件の設定を行う。具体的には、作業者は、操作盤121を操作して被加工物WKに対する焼入れ処理の位置、レーザ光Lの出力および送り速度などの情報をそれぞれ入力する。また、作業者は、操作パネル116cを操作してレーザ制御部116aに遅れ測定時間および加熱後必要温度をそれぞれ設定する。本実施形態においては、作業者は、遅れ測定時間として1秒を設定するとともに、加熱後必要温度として500℃を設定する。
なお、作業者は、加熱後必要温度について下限温度および上限温度からなる温度範囲、または、ある特定の温度とその特定の温度に対して許容される範囲(例えば、±10℃)とを総合制御装置120に対して入力することもできる。
次に、作業者は、総合制御装置120に対して焼入れ処理の実行を指示する。この指示に応答して総合制御装置120は、焼入れ処理プログラムの実行を開始して被加工物WKに対して焼入れ処理を行う。
具体的には、総合制御装置120は、レーザ駆動部116におけるレーザ制御部116aに対して図3に示す加熱後温度監視プログラムの実行を指示した後、XY送り装置102およびZ送り装置114の各作動をそれぞれ制御して被加工物WKをレーザ光源110に対して位置決めさせてレーザ駆動部116に対してレーザ光Lの出射を指示する。そして、総合制御装置120は、テーブル101上にセットした被加工物WKに対してレーザ光源110からレーザ光Lを出射させて光スポットSPを形成した状態でテーブル101の位置を図示X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向にそれぞれ変位させることで被加工物WKにおける作業者が指示した部分に焼入れ処理を行う。
この焼入れ処理の実行過程において、レーザ制御部116aは、加熱後温度監視プログラムを実行する。加熱後温度監視プログラムは、被加工物WKにおけるレーザ光Lが照射されて加熱された部分について、照射が完了した後から所定の時間が経過した加熱部分の温度を測定することでレーザ光Lの照射(すなわち、加熱処理)が適切に行われた否かを判定するものである。
具体的には、レーザ制御部116aは、加熱後温度監視プログラムの実行をステップS100にて開始して、ステップS102にて、温度検出器115の作動を開始させる。これにより、レーザ制御部116aには、温度検出器115が出力する温度検出信号が入力される。
次に、レーザ制御部116aは、ステップS104にて、レーザ光Lの照射の開始があったか否かの判定処理を実行する。この場合、レーザ制御部116aは、レーザ光源110に対してレーザ光Lの出射の開始を指示するまでの間、この判定処理に「No」と判定し続けてレーザ光Lの出射を待つ。そして、レーザ制御部116aは、レーザ光源110に対してレーザ光Lの出射の開始を指示した際にはこの判定処理にて「Yes」と判定してステップS106に進む。
次に、レーザ制御部116aは、ステップS106にて、照射開始経過時間の計測処理を開始する。ここで照射開始経過時間は、レーザ光源110がレーザ光Lの出射を開始してからの経過時間である。したがって、レーザ制御部116aは、自身が内蔵するタイマー機能を使って時間の計測を開始する。なお、このステップS106による照射開始経過時間の計測処理は、既に計測処理が実行されて2回目以降の実行の場合においては、既に実行している計測処理をリセットした後、改めて計測処理を開始する。
次に、レーザ制御部116aは、ステップS108にて、レーザ光Lの照射の停止があったか否かの判定処理を実行する。この場合、レーザ制御部116aは、レーザ光源110に対してレーザ光Lの出射の停止を指示していない場合にはこの判定処理にて「No」と判定してステップS110に進む。一方、レーザ制御部116aは、レーザ光源110に対してレーザ光Lの出射の停止を指示した場合にはこの判定処理にて「Yes」と判定してステップS114に進む。つまり、このステップS108による判定処理は、被加工物WKに対して照射しているレーザ光Lの一時的な中断またはレーザ光Lの照射の終了(つまり、焼入れ処理の終了)を検出する処理である。
次に、レーザ制御部116aは、ステップS110にて、照射開始経過時間が所定の時間経過したか否かの判定処理を実行する。具体的には、レーザ制御部116aは、前記ステップS106にて計測を開始した照射開始経過時間が予め設定した前記遅れ測定時間に達するまでの間、この判定処理に「No」と判定し続けてステップS108に戻る。そして、レーザ制御部116aは、照射開始経過時間が前記遅れ測定時間に達した場合にはこの判定処理にて「Yes」と判定してステップS112に進む。
次に、レーザ制御部116aは、ステップS112にて、レーザ光Lの照射が完了した部分の温度監視処理を実行する。このステップS112における温度監視処理は、図4に示す温度監視サブプログラムを実行することで行われる。
具体的には、レーザ制御部116aは、温度監視サブプログラムの実行をステップS200にて開始して、ステップS202にて、温度エラー回数カウンタ値を「0」にリセットする。この場合、温度エラー回数カウンタ値は、温度検出器115による測定温度が加熱後必要温度外であった温度エラーの回数を計数するための整数値である。
次に、レーザ制御部116aは、ステップS204にて、被加工物WKの測定温度が加熱後必要温度に達したか否かを判定する。具体的には、レーザ制御部116aは、温度検出器115から出力される温度検出信号を用いて被加工物WKの温度を特定するとともに、この測定温度が前記加熱後必要温度まで低下したか否かを判定する。
この場合、レーザ制御部116aは、測定温度が加熱後必要温度と同一(加熱後必要温度に対して所定の範囲内である場合も含む)の場合にはこの判定処理にて「Yes」と判定してステップS212に進む。そして、レーザ制御部116aは、ステップS212にて、この温度監視サブプログラムの実行を終了して、加熱後温度監視プログラムにおけるステップS108に戻る。これにより、レーザ制御部116aは、レーザ光Lの照射の停止が検出されるまでの間、温度監視サブプログラムを繰り返し実行して被加工物WKにおけるレーザ光Lが通過した部分の温度を監視する。
一方、レーザ制御部116aは、測定温度が加熱後必要温度ではない場合にはこの判定処理にて「No」と判定してステップS206に進む。このステップS204における判定処理において、測定温度が加熱後必要温度になかったと判定された場合が加熱温度エラーである。加熱温度エラーは、被加工物WKに対してレーザ光Lの照射が完了してから所定時間経過した後の温度が加熱後必要温度で規定する温度まで低下せず、加熱後必要温度よりも高温または低温の場合であり、焼入れ処理が適切に行われない可能性が高いことを意味している。
次に、レーザ制御部116aは、ステップS206にて、加熱温度エラーの回数が所定の回数に達したか否かを判定する。ここで、所定の回数は、作業者によって総合制御装置120を介してレーザ制御部116aに予め設定される。本実施形態においては、所定回数は、3回に設定されている。レーザ制御部116aは、温度エラー回数カウンタ値が所定の数値以下である場合にはこの判定処理にて「No」と判定してステップS208に進んで温度エラー回数カウンタ値をインクリメント処理(「1」を加算する処理)した後、ステップS204に戻る。
一方、レーザ制御部116aは、温度エラー回数カウンタ値が所定の数値を超えた場合にはこの判定処理にて「Yes」と判定してステップS210に進む。すなわち、このステップS206による処理は、加熱温度エラーが突発的または偶然など一時的に生じたエラーなのか、加熱温度エラーが継続的に生じている確実なエラーなのかを判定するための処理である。
次に、レーザ制御部116aは、ステップS210にて、エラー処理を実行する。具体的には、レーザ制御部116aは、加熱温度エラーが発生したことを総合制御装置120を介して表示装置122に表示および警報音を発生させる。そして、レーザ制御部116aは、ステップS212にて、この温度監視サブプログラムの実行を終了して、加熱後温度監視プログラムにおけるステップS108に戻る。このステップS210によるエラー処理によって作業者は、被加工物WKに対する焼入れ処理が適切に行われていないことを把握して被加工物WKの状態を確認したり、焼入れ処理を中断したりすることができる。
次に、レーザ制御部116aは、加熱後温度監視プログラムにおけるステップS108にてレーザ光Lの照射の停止を検出したときには、ステップS114にて、照射停止経過時間の計測処理を開始する。ここで照射停止経過時間は、レーザ光源110がレーザ光Lの出射を停止してからの経過時間である。したがって、レーザ制御部116aは、自身が内蔵するタイマー機能を使って時間の計測を開始する。なお、このステップS114による照射停止経過時間の計測処理は、既に計測処理が実行されて2回目以降の実行の場合においては、既に実行している計測処理をリセットした後、改めて計測処理を開始する。
次に、レーザ制御部116aは、ステップS116にて、レーザ光Lの照射の停止があったか否かの判定処理を実行する。この場合、レーザ制御部116aは、レーザ光源110に対してレーザ光Lの出射の開始を指示した場合にはこの判定処理にて「Yes」と判定してステップS106に戻る。一方、レーザ制御部116aは、レーザ光源110に対してレーザ光Lの出射の開始の指示がなかった場合にはこの判定処理にて「No」と判定してステップS118に進む。つまり、このステップS116による判定処理は、被加工物WKに対してレーザ光Lの再照射を検出する処理である。
次に、レーザ制御部116aは、ステップS118にて、照射停止経過時間が所定の時間経過したか否かの判定処理を実行する。具体的には、レーザ制御部116aは、前記ステップS114にて計測を開始した照射開始経過時間が予め設定した前記遅れ測定時間に達するまでの間、この判定処理に「No」と判定し続けてステップS120に進む。そして、レーザ制御部116aは、照射停止経過時間が前記遅れ測定時間に達した場合にはこの判定処理にて「Yes」と判定してステップS122に進む。
次に、レーザ制御部116aは、ステップS120にて、レーザ光Lの照射が完了した部分の温度監視処理を実行する。このステップS120における温度監視処理は、前記ステップS112における温度監視サブプログラムを実行することで行われるため、その説明は省略する。これにより、レーザ制御部116aは、被加工物WKにおけるレーザ光Lが照射された部分における最後の部分までレーザ光Lの照射後の温度監視を行うことができる。そして、レーザ制御部116aは、このステップS120による温度監視処理を実行した後はステップS116に戻る。
次に、レーザ制御部116aは、ステップS122にて、被加工物WKに対する焼入れ処理が終了か否かの判定処理を実行する。具体的には、レーザ制御部116aは、焼入れ処理プログラム中に被加工物WKにおける他の部分についての焼き処理が残っている場合にはこの判定処理にて「No」と判定してステップS104に戻る。一方、レーザ制御部116aは、焼入れ処理プログラム中に被加工物WKにおける他の部分についての焼き処理が残っていない場合にはこの判定処理にて「Yes」と判定してステップS124に進む。
そして、レーザ制御部116aは、ステップS124にて、加熱後温度監視プログラムの実行を終了する。この場合、総合制御装置120は、焼入れ処理プログラムの実行を終了して被加工物WKに対する焼入れ処理を終了する。したがって、作業者は、テーブル101上から被加工物WKを撤去して焼入れ作業を終了する。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、レーザ加工装置100は、被加工物WKにおける光スポットSPが通過した部分の温度を検出する温度検出器115を備えているため、光スポットSPによって熱せられた後のレーザ光Lの照射部分の温度を確認することで被加工物WKに対する加工不良を迅速に把握することができる。特に、レーザ加工装置100は、光スポットSPが通過した直後の加熱以外の処理がなされてないレーザ光Lの照射部分の温度を把握することで被加工物WKに対する熱処理不良を迅速に把握することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記各変形例の説明および参照する図においては、上記実施形態と同様の構成部分について同じ符号を付して、その説明を省略する。
例えば、上記実施形態においては、レーザ加工装置100は、レーザ制御部116aが温度監視サブプログラムにおけるステップS204にて被加工物WKに対する加熱温度エラーを検出するように構成した。しかし、レーザ加工装置100は、温度検出器115による温度の検出結果を表示装置122に表示させて加熱温度エラーの有無の判断は作業者が行うようにすることもできる。
また、上記実施形態においては、レーザ加工装置100は、温度監視サブプログラムにおけるステップS210にて被加工物WKに対する加熱温度エラーを検出したとき、その旨を表示装置122に表示させて警報音を発生させるように構成した(ステップS210)。しかし、レーザ加工装置100は、温度監視サブプログラムにおけるステップS210にて被加工物WKに対する加熱温度エラーを検出したとき、焼入れ処理の実行を直ちに中断させるように構成してもよい。
また、上記実施形態においては、レーザ加工装置100は、測定位置調整機構112を用いて温度検出器115による被加工物WK上での温度の測定位置MPを調整できるように構成した。しかし、レーザ加工装置100は、支持具111が温度検出器115を固定的に支持して被加工物WK上での温度の測定位置MPの調整不能に構成することもできる。
また、上記実施形態においては、レーザ加工装置100は、測定位置調整機構112を用いて温度検出器115による被加工物WK上での温度の測定位置MPを作業者による手動操作によって調整できるように構成した。しかし、レーザ加工装置100は、測定位置調整機構112による温度検出器115の測定位置MPの調整を電動モータで駆動される送りネジ機構などを介してレーザ制御部116aによって制御されるように構成することができる。この場合、レーザ制御部116aは、被加工物WKにおける光スポットSPの送り速度に応じて測定位置調整機構112の作動を制御して温度検出器115による温度の測定位置MPを変更することができる。
また、上記実施形態においては,温度検出器115は、レーザ光源110を支持する支持具111に支持されてテーブル101に対してレーザ光源110と一体的に変位するように構成されている。この場合、温度検出器115は、レーザ光源110に対して同レーザ光源110の進行方向の後ろ側に配置されている。また、テーブル101を変位させるXY送り装置102が、本発明に係る光スポット走査手段に相当する。
しかし、温度検出器115は、レーザ光源110に対して同レーザ光源110の進行方向の後ろ側以外の位置に配置することもできる。例えば、温度検出器115は、レーザ光源110に対して同じ位置(図示Y軸方向に並んだ位置)に配置することもできる。また、温度検出器115は、必ずしもレーザ光源110を支持する支持具111に支持される必要はなく、レーザ光源110を支持する支持具111とは別の支持具で支持されていてもよい。この場合、温度検出器115は、測定位置MPがレーザ光源110の変位に追従するように温度検出器115の位置または温度検出器115の角度が変更可能に支持されるとよい。
また、上記実施形態においては、温度監視サブプログラムは、複数回(3回)に亘って測定した被加工物WKの温度が加熱後必要温度から外れている場合に加熱温度エラーと判定するように構成した(ステップS202、S206、S208)。しかし、温度監視サブプログラムは、1回の測定による測定温度が加熱後必要温度から外れている場合に加熱温度エラーであると判定するように構成することもできる。すなわち、温度監視サブプログラムは、ステップS202、S206、S208の各処理を省略して構成することもできる。
また、上記実施形態においては、レーザ加工装置100は、レーザ制御部116aが加熱後温度監視プログラムおよび温度監視サブプログラムをそれぞれ実行するように構成した。すなわち、レーザ制御部116aが、本発明に係る制御装置に相当する。これにより、レーザ加工装置100は、被加工物WKの温度監視をレーザ駆動部116内で行うことで被加工物WKの温度監視を迅速に行うことができる。しかし、レーザ加工装置100は、総合制御装置120が加熱後温度監視プログラムおよび温度監視サブプログラムをそれぞれ実行するように構成することもできる。すなわち、総合制御装置120が、本発明に係る制御装置に相当する。この場合、温度検出器115は、総合制御装置120に対して温度検出信号を出力するように構成する。
また、上記実施形態においては、レーザ加工装置100は、加熱後温度監視プログラムおよび温度監視サブプログラムにおいて被加工物WKの温度測定の履歴を記憶しないように構成した。しかし、レーザ加工装置100は、加熱後温度監視プログラムおよび/または温度監視サブプログラムにおいて被加工物WKの温度測定の履歴を記憶する温度履歴記憶ステップを実行することで被加工物WKの加工内容を記録として残して後日の追跡を可能とするトレーサビリティ性を向上させることができる。この場合、レーザ駆動部116は、図1に示すように、被加工物WKの温度測定の履歴を記憶する温度履歴記憶部116bを備えるとよい。
また、上記実施形態においては、レーザ加工装置100は、被加工物WKの表層に焼入れ処理や焼き戻し処理を行うレーザ熱処理装置で構成した。しかし、本発明に係るレーザ加工装置100は、被加工物WKに対して熱処理などの表面改質処理以外の加工、例えば、被加工物WK上に異種または同種の材料を密着させるレーザ肉盛、2つの被加工物WKを互いに接続するレーザ溶接などを行う各種機械装置に適用できるものである。