以下、図面を参照して、本発明の結束機の実施の形態としての鉄筋結束機の一例について説明する。
<本実施の形態の鉄筋結束機の構成例>
図1Aは、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た内部構成図、図1Bは、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す上面から見た内部構成図である。
鉄筋結束機1Aは、ワイヤWを矢印Fで示す正方向に送り、結束物である鉄筋Sの周囲に巻き回し、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWを、矢印Rで示す逆方向に送って鉄筋Sに巻き付けた後、ワイヤWを捩じり、鉄筋SをワイヤWで結束する。
鉄筋結束機1Aは、上述した機能を実現するため、ワイヤWが収容されるマガジン2Aと、ワイヤWを送るワイヤ送り部3Aを備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部5Aと、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを切断する切断部6Aを備える。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる結束部7Aと、結束部7Aを駆動する駆動部8Aを備える。
鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態であり、本体部10Aとハンドル部11Aを備える。鉄筋結束機1Aは、本体部10Aにおいてカール形成部5Aが設けられる側を前側と称し、作業者が手で持つハンドル部11Aが設けられる側を下側と称す。
マガジン2Aは収容部の一例で、本体部10Aにおいてカール形成部5Aが設けられる前側と反対側の後側に設けられる。マガジン2Aは、長尺状のワイヤWが繰り出し可能に巻かれたリール20が回転、着脱可能に収納される。ワイヤWは、塑性変形し得る金属線で構成されたワイヤ、金属線が樹脂で被覆されたワイヤ、あるいは撚り線のワイヤが使用される。リール20は、1本または複数本のワイヤWが図示しないハブ部に巻かれ、リール20から1本または同時に複数本のワイヤWを引き出せるようになっている。
ワイヤ送り部3Aは、ワイヤWを挟持して送る一対の送りギア30a、30bを備える。ワイヤ送り部3Aの詳細は後述するが、送りギア30a、30bの回転方向が切り替えられることで、ワイヤWの送り方向の正逆が切り替えられる。
カール形成部5Aは、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWに巻き癖をつけるカールガイド50と、カールガイド50で巻き癖を付けられたワイヤWを結束部7Aに誘導する誘導ガイド51を、本体部10Aの前側に備える。鉄筋結束機1Aでは、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWの経路がカール形成部5Aで規制されることで、ワイヤWの軌跡が図1Aに示すようなループRuとなり、ワイヤWが鉄筋Sの周囲に巻き回される。
切断部6Aは、図示しない固定刃部との協働でワイヤWを切断する可動刃部と、結束部7Aの動作を可動刃部に伝達する伝達機構62を備える。伝達機構62は、結束部7Aの動作を、移動部材83を介して図示しない可動刃部に伝達し、結束部7Aの動作と連動して可動刃部61を作動させ、ワイヤWを切断する。
結束部7Aは、ワイヤWが係止されるワイヤ係止体70を備える。駆動部8Aは、モータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81を備える。
鉄筋結束機1Aは、ワイヤ係止体70で係止されるワイヤWの送り経路に、ワイヤWの先端が突き当てられる送り規制部90を備える。また、鉄筋結束機1Aは、上述したカール形成部5Aのカールガイド50と誘導ガイド51が、本体部10Aの前側の端部に設けられる。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sが突き当てられる突き当て部91が、本体部10Aの前側の端部で、カールガイド50と誘導ガイド51との間に設けられる。
また、鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11Aが本体部10Aから下方向に延在し、ハンドル部11Aの下部にバッテリ15Aが着脱可能に取り付けられる。鉄筋結束機1Aは、上述したワイヤ送り部3A、切断部6A、結束部7A及び駆動部8Aが本体部10Aに収納される。
鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11Aの前側にトリガ12Aが設けられ、ハンドル部11Aの内部にスイッチ13Aが設けられる。鉄筋結束機1Aは、トリガ12Aの操作で押されるスイッチ13Aの状態に応じて、図示しない制御部がモータ80及び送りモータ36を制御する。
図2Aは、本実施の形態のワイヤ送り部の一例を示す斜視図、図2Bは、本実施の形態のワイヤ送り部の一例を示す側断面図であり、以下に、各図を参照してワイヤ送り部3Aの詳細について説明する。
ワイヤ送り部3Aは、1本または並列された複数本のワイヤWを挟持して送る一対の送りギア30a、30bを備える。以下の例では、1本のワイヤWを送る例で説明する。
送りギア30aは送り部材の一例で、軸31aを支点に回転する円板形状の外周に、平歯車形状のギア部32aを備える。また、送りギア30aは、ギア部32aの厚さ方向に沿った中央付近に、円周方向に沿って連続した溝部33aを備える。溝部33aは、円周方向に沿った方向から見たギア部32aの厚さ方向に沿った断面形状がV状で、対向する2面がワイヤWと接する。
送りギア30bは送り部材の一例で、軸31bを支点に回転する円板形状の外周に、平歯車形状のギア部32bを備える。また、送りギア30bは、ギア部32bの厚さ方向に沿った中央付近に、円周方向に沿って連続した溝部33bを備える。溝部33bは、円周方向に沿った方向から見たギア部32bの厚さ方向に沿った断面形状がV状で、対向する2面がワイヤWと接する。
送りギア30aと送りギア30bは、互いの軸方向を平行な向きとして、ワイヤWの送り経路W1を挟んで対向して設けられ、送りギア30aのギア部32aと送りギア30bのギア部32bが噛み合う。また、送りギア30aの溝部33aと、送りギア30bの図示しない溝部が、互いが平行な向きで対向する。
ワイヤ送り部3Aは、送りギア30bを送りギア30aに対して離接する方向に移動可能に支持する支持部材34と、支持部材34を介して送りギア30bを送りギア30aに対して近づく方向に付勢するバネ35を備える。
支持部材34は、一方の端部が、軸34aに回転可能に支持され、他方の端部が、バネ35で付勢される。また、支持部材34は、軸34aとバネ35の間に、送りギア30bの軸31bが設けられ、送りギア30bが回転可能に支持される。
これにより、ワイヤ送り部3Aは、軸34aを支点とした支持部材34の回転動作で、送りギア30bが送りギア30aに対して離接する方向に移動し、バネ35で送りギア30bが送りギア30aに対して近づく方向へ付勢される。また、ワイヤ送り部3Aは、バネ35で送りギア30bが送りギア30aに対して近づく方向へ付勢されることで、送りギア30aの溝部33aと、送りギア30bの溝部33bとの間に、ワイヤWが挟持される。
ワイヤ送り部3Aは、送りギア30aを駆動する送りモータ36と、送りギア30aに駆動力を伝達する複数の伝達ギア37を備える。ワイヤ送り部3Aは、送りモータ36に駆動されて送りギア30aが回転すると、ギア同士がかみ合い送りギア30bが従動して回転する。
送りギア30aの溝部33aと、送りギア30bの溝部33bの間に挟持されたワイヤWは、送りギア30aの溝部33aの周方向に沿った面の一部及び送りギア30bの溝部33bの周方向に沿った面の一部と接する。
送りギア30aは、矢印C1で示す正方向及び矢印C2で示す逆方向に回転する動作で、溝部33aにおいてワイヤWが接する部位が周方向に変位する。これにより、ワイヤ送り部3Aは、送りギア30a及び送りギア30bが回転すると、送りギア30aの溝部33aと、送りギア30bの溝部33bとの間に挟持されたワイヤWが、送りギア30aの回転方向に応じて、矢印Fで示す一の方向である正方向または矢印Rで示す他の方向である逆方向に送られる。
鉄筋結束機1Aは、図1Aに示すように、本体部10Aの後側に設けられるマガジン2Aから、ワイヤ送り部3AまでのワイヤWの送り経路は、前後方向に延伸する。マガジン2Aからワイヤ送り部3Aの間に、ワイヤWを誘導する例えば筒状のガイド部材39を備える。
また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3Aから、切断部6A、結束部7A及び本体部10Aの前側に設けられるカール形成部5Aのカールガイド50までのワイヤWの送り経路は、上下方向に延伸する。そして、図2A、図2Bに示すように、ワイヤ送り部3Aで、ワイヤWの送り経路W1が曲げられる。
送りギア30aは、ワイヤ送り部3Aで曲げられるワイヤWの送り経路において曲げ中心側である内側に配置され、送りギア30bより直径が大きく構成される。
送りギア30aのギア部32aと、送りギア30bのギア部32bがかみ合うかみ合い部P1は、送りギア30aの軸31aと送りギア30bの軸31bを結ぶ直線L1上にある。送りギア30a及び送りギア30bは、かみ合い部P1における接線が、送りギア30aの軸31aと送りギア30bの軸31bを結ぶ直線L1と直交する。
これにより、ワイヤWの送り経路W1において、ワイヤWは、かみ合い部P1で、送りギア30aの溝部33aと送りギア30bの溝部33bとの間に挟持される。
ワイヤ送り部3Aは、ワイヤWの送り経路W1を送りギア30aに沿って曲げると共に、送りギア30aに対して離接する方向に変位するワイヤWの変位量を制御するワイヤガイド38を備える。ワイヤガイド38は、矢印Fで示す正方向へのワイヤWの送り方向に対して、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1より下流側に設けられる。
ワイヤガイド38は、矢印Fで示す正方向へのワイヤWの送り方向に対し、かみ合い部P1より下流側において送りギア30aと対向する第1のガイド面38aを備える。第1のガイド面38aは、送りギア30aのギア部32aの外周に沿って凹状に湾曲した形状で、ギア部32aの外周に対して所定の間隔を空けた位置に設けられる。
また、ワイヤガイド38は、矢印Fで示す正方向へのワイヤWの送り方向に対し、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1から所定の間隔を空けた下流側であって、第1のガイド面38aの起点部P2より下流側に第2のガイド面38bを備える。第2のガイド面38bは規制部の一例で、第2のガイド面38bの起点部P3が送りギア30aの溝部33aに入った位置に設けられ、第1のガイド面38aと第2のガイド面38bの間に、ワイヤWが通り、かつ、ワイヤWが送りギア30aの径方向に移動可能な隙間を設けて、第1のガイド面38aと対向する。更に、ワイヤガイド38は、第2のガイド面38bに摩耗防止部材38cを備える。摩耗防止部材38cは、第2のガイド面38bを構成する素材より硬い素材で構成され、例えば円柱状の部材が、外周面の一部を第2のガイド面38bに露出させて設けられる。摩耗防止部材38cは、矢印Rで示す逆方向へワイヤWを送る動作で、ワイヤWが第2のガイド面38bに摺動して、第2のガイド面38bが摩耗することを抑制する。
これにより、矢印Fで示す正方向へのワイヤWの送り方向に対して、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1より下流側で、送りギア30aの外形に沿ってワイヤWの送り経路W1が曲げられる。
ワイヤWが矢印Fで示す正方向に送られる場合、送りギア30aに沿ってワイヤWの送り経路W1が曲がる部位が、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1より下流側となる。これにより、ワイヤWが矢印Fで示す正方向に送られる場合、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1より下流側では、送りギア30aから離れる方向の力がワイヤWに掛かる。ワイヤWが矢印Fで示す正方向に送られる場合におけるワイヤWの送り経路W1を、図2Bに破線で示す。ワイヤWが送りギア30aから離れる方向に変位すると、ワイヤWがワイヤガイド38の第1のガイド面38aに接することで、ワイヤWが送りギア30aから離れる方向の変位量が制御される。
一方、ワイヤWが矢印Rで示す逆方向に送られる場合、送りギア30aに沿ってワイヤWの送り経路W1が曲がる部位が、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1より上流側となる。これにより、ワイヤWが矢印Rで示す逆方向に送られる場合、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1より上流側では、送りギア30aに近づく方向の力がワイヤWに掛かる。ワイヤWが矢印Rで示す逆方向に送られる場合におけるワイヤWの送り経路W1を、図2Bに二点鎖線で示す。ワイヤWを矢印Rで示す逆方向に送る動作で、ワイヤWが送りギア30aに近づく方向の力が掛かると、ワイヤWがワイヤガイド38の第2のガイド面38bに接するまで変位する。これにより、ワイヤWが送られる方向に応じて、送りギア30aとワイヤWが接触する量が切り替えられる。
図3Aは、結束部及び駆動部の一例を示す上面図、図3Bは、結束部及び駆動部の一例を示す上面断面図であり、次に、各図を参照して、結束部7Aの詳細、及び、結束部7Aと駆動部8Aの連結構造について説明する。
結束部7Aは、ワイヤWが係止されるワイヤ係止体70と、ワイヤ係止体70を作動させる回転軸72を備える。結束部7Aと駆動部8Aは、回転軸72とモータ80が減速機81を介して連結され、回転軸72が、減速機81を介してモータ80に駆動される。
ワイヤ係止体70は、回転軸72と連結されるセンターフック70Cと、センターフック70Cに対して開閉する第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rと、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rを作動させると共に、ワイヤWを所望の形状に成形するスリーブ71とを備える。
結束部7Aにおいて、センターフック70C及び第1のサイドフック70L、第2のサイドフック70Rが設けられた側を前側、回転軸72が減速機81と連結される側を後側とする。
センターフック70Cは、回転軸72の一方の端部である前端に、回転軸72に対して回転可能、かつ、回転軸72と一体的に軸方向への移動が可能な構成を介して連結される。
第1のサイドフック70Lは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である先端側が、センターフック70Cに対して一方の側部に位置する。また、第1のサイドフック70Lは、回転軸72の軸方向に沿った他方の端部である後端側が、センターフック70Cに軸71bで回転可能に支持される。
第2のサイドフック70Rは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である先端側が、センターフック70Cに対して他方の側部に位置する。また、第2のサイドフック70Rは、回転軸72の軸方向に沿った他方の端部である後端側が、センターフック70Cに軸71bで回転可能に支持される。
これにより、ワイヤ係止体70は、軸71bを支点とした回転動作で、第1のサイドフック70Lの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。また、第2のサイドフック70Rの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。
スリーブ71は、回転軸72が挿入される空間の内周面に突出する図示しない凸部を有し、この凸部が、回転軸72の外周に軸方向に沿って形成された送りネジ72aの溝部に入る。スリーブ71は、回転軸72が回転すると、図示しない凸部と回転軸72の送りネジ72aの作用により、回転軸72の軸方向に沿った方向である前後方向へ、回転軸72の回転方向に応じて移動する。また、スリーブ71は、回転軸72と一体的に回転する。
スリーブ71は、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rを開閉する開閉ピン71aを備える。
開閉ピン71aは、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rに設けられた開閉ガイド孔73に挿入される。開閉ガイド孔73は、スリーブ71の移動方向に沿って延在し、スリーブ71と連動して移動する開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸71bを支点とした第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rの回転による開閉動作に変換する形状を有する。
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印A2で示す後方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cから離れる方向に移動する。
これにより、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、センターフック70Cに対して開き、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に、ワイヤWが通る送り経路が形成される。
第1のサイドフック70L及び第2のサイドフックが、センターフック70Cに対して開いた状態では、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lの間を通る。センターフック70Cと第1のサイドフック70Lとの間を通るワイヤWは、カール形成部5Aに誘導される。そして、カール形成部5Aで巻き癖が付けられ、結束部7Aに誘導されたワイヤWは、センターフック70Cと第2のサイドフック70Rの間を通る。
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印A1で示す前方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cに近づく方向に移動する。これにより、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、センターフック70Cに対して閉じる。
第1のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。また、第2のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
スリーブ71は、図1Aに示すように、ワイヤWの一方の端部である先端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c1と、切断部6Aで切断されたワイヤWの他方の端部である終端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c2を備える。
スリーブ71は、矢印A1で示す前方向に移動することで、センターフック70Cと第2のサイドフック70Rで係止されたワイヤWの先端側を曲げ部71c1で押して、鉄筋S側へ曲げる。また、スリーブ71は、矢印A1で示す前方向に移動することで、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lで係止され、切断部6Aで切断されたワイヤWの終端側を曲げ部71c2で押して、鉄筋S側へ曲げる。
結束部7Aは、回転軸72の回転動作と連動したワイヤ係止体70及びスリーブ71の回転を規制する回転規制部74を備える。回転規制部74は、スリーブ71に回転規制羽根74aが設けられ、本体部10Aに回転規制爪74bが設けられる。
回転規制羽根74aは、スリーブ71の外周から径方向に突出する複数の凸部を、スリーブ71の周方向に所定の間隔で設けて構成される。回転規制羽根74aは、スリーブ71に固定され、スリーブ71と一体的に移動、回転する。
回転規制部74は、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止し、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けた後切断し、更に、スリーブ71の曲げ部71c1、71c2でワイヤWを折り曲げて成形する動作域では、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止される。回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止されると、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制され、回転軸72の回転動作でスリーブ71が前後方向へ移動する。
また、回転規制部74は、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWを捩じる動作域では、回転規制羽根74aの回転規制爪74bとの係止が解除される。回転規制羽根74aの回転規制爪74bとの係止が解除されると、回転軸72の回転に連動してスリーブ71が回転する。ワイヤ係止体70は、スリーブ71の回転と連動して、ワイヤWを係止したセンターフック70C、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが回転する。
結束部7Aは、移動部材83がスリーブ71と連動して移動可能に設けられる。移動部材83は、スリーブ71に対して回転可能に取り付けられ、スリーブ71の回転には非連動で、スリーブ71と連動して前後方向に移動する。
結束部7Aは、移動部材83がスリーブ71と連動して前後方向に移動すると、移動部材83と伝達機構62が係合し、切断部6Aの図示しない可動刃部を作動させる。これにより、スリーブ71が前方向に移動する動作で、切断部6AでワイヤWが切断される。
回転軸72は、減速機81と一体的に回転可能、かつ、減速機81に対して軸方向に移動可能とする構成を有した連結部72bを介して、他方の端部である後端が減速機81に連結される。連結部72bは、回転軸72を減速機81に近づく方向である後方へ付勢するバネ72cを備える。これにより、回転軸72は、バネ72cにより後方へ押される力を受けながら、減速機81から離れる方向である前方へ移動可能に構成される。よって、回転軸72は、軸方向に沿ってワイヤ係止体70を前方に移動させる力が加わると、バネ72cにより後方へ押される力を受けながら前方へ移動可能である。
<本実施の形態の鉄筋結束機の動作例>
図4Aは、本実施の形態の鉄筋結束機の要部側面図、図4Bは、本実施の形態の鉄筋結束機の要部正面図であり、ワイヤ送り時の動作を示す。
図5Aは、本実施の形態の鉄筋結束機の要部側面図、図5Bは、本実施の形態の鉄筋結束機の要部正面図であり、ワイヤ係止時の動作を示す。
図6A~図9Aは、本実施の形態の鉄筋結束機の要部側面図、図6B~図9Bは、本実施の形態の鉄筋結束機の要部正面図であり、ワイヤの逆送り時の動作を示す。
次に、各図を参照して、第1の実施の形態の鉄筋結束機1Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。
鉄筋Sがカール形成部5Aのカールガイド50と誘導ガイド51との間に入れられ、トリガ12Aが操作されると、送りモータ36が正回転方向に駆動され、図4Aに示すように、ワイヤ送り部3AでワイヤWが矢印Fで示す正方向に送られる。
マガジン2Aに収納されたリール20から引き出されたワイヤWは、ガイド部材39により前後方向に沿った向きでワイヤ送り部3Aに誘導され、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1で、送りギア30aと送りギア30bとの間に挟持される。送りギア30aと送りギア30bとの間に挟持されたワイヤWは、矢印Fで示す正方向へのワイヤWの送り方向に対して、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1より下流側で、ワイヤガイド38により送り経路W1が曲げられて、切断部6A、結束部7Aのセンターフック70Cと第1のサイドフック70Lの間、及び、カール形成部5Aのカールガイド50に誘導される。
ここで、ワイヤWが矢印Fで示す正方向に送られる場合、ワイヤ送り部3Aの位置を規定する値として、例えば、送りギア30aの軸31aと送りギア30bの軸31bを結ぶ直線L1と、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1とワイヤ係止体70の回転中心CpとワイヤWの送り経路W1との交点P4を通る直線との間の角度D1が、80°以下である。
正方向に送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lの間を通り、カール形成部5Aのカールガイド50に送られる。ワイヤWは、カールガイド50を通ることで、鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。
カールガイド50で巻き癖が付けられたワイヤWは、誘導ガイド51に誘導され、更にワイヤ送り部3Aで正方向に送られることで、誘導ガイド51によりセンターフック70Cと第2のサイドフック70Rの間に誘導される。そして、ワイヤWは、先端が送り規制部90に突き当てられるまで送られる。ワイヤWの先端が送り規制部90に突き当てられる位置まで送られると、送りモータ36の駆動が停止される。
ワイヤWの正方向への送りを停止した後、モータ80が正回転方向に駆動される。スリーブ71は、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する第1の動作域では、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止されることで、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制される。これにより、図5Aに示すように、スリーブ71は、モータ80の回転が直線移動に変換され、前方向である矢印A1方向に移動する。
スリーブ71が前方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73を通過する。これにより、第1のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第1のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。
また、第2のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第2のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが閉じる動作でワイヤWを係止する位置までスリーブ71を前進させた後、モータ80の回転を一時停止し、送りモータ36を逆回転方向に駆動する。
送りモータ36を逆回転方向に駆動すると、送りギア30aが逆転すると共に、送りギア30bが従動して逆転する。これにより、送りギア30aと送りギア30bとの間に挟持されたワイヤWが、矢印Rで示す逆方向に送られる。鉄筋Sに巻き回されたワイヤWは、先端側が、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止されているので、ワイヤWを逆方向に送る動作で、図6A~図6Bに示すように、誘導ガイド51の側から鉄筋Sに近づく方向に変位する。
誘導ガイド51の側から鉄筋Sに近づく方向に変位するワイヤWが、図7A~図7Bに示すように鉄筋Sに接すると、図8A~図8Bに示すように、カールガイド50の側のワイヤWが、鉄筋Sに近づく方向に変位する。そして、更にワイヤWを逆方向に送る動作で、カールガイド50の側から鉄筋Sに近づく方向に変位するワイヤWが、図9A~図9Bに示すように鉄筋Sに接する。
図10Aは、ワイヤを正方向に送る場合の動作の一例を示すワイヤ送り部の側断面図、図10Bは、ワイヤを逆方向に送る場合の動作の一例を示すワイヤ送り部の側断面図である。
ワイヤWが矢印Fで示す正方向に送られる場合、送りギア30aに沿ってワイヤWの送り経路W1が曲がる部位が、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1より下流側となる。これにより、図10Aに示すように、ワイヤWが矢印Fで示す正方向に送られると、送りギア30aから離れる方向の力がワイヤWに掛かる。ワイヤWがワイヤガイド38の第1のガイド面38aに接する位置まで、ワイヤWが送りギア30aから離れる方向に変位すると、ワイヤWと送りギア30aとが接触する部位は、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1となる。
一方、ワイヤWが矢印Rで示す逆方向に送られる場合、送りギア30aに沿ってワイヤWの送り経路W1が曲がる部位が、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1より上流側となる。これにより、図10Bに示すように、ワイヤWが矢印Rで示す逆方向に送られると、送りギア30aに沿って送り経路W1が曲げられたワイヤWが、送りギア30aに近づく方向の力が掛かる。
ワイヤWを矢印Rで示す逆方向に送る動作で、ワイヤWが送りギア30aに近づく方向の力が掛かると、ワイヤWがワイヤガイド38の第2のガイド面38bに接するまで変位する。
ワイヤWを矢印Rで示す逆方向に送る動作で、ワイヤWがワイヤガイド38の第2のガイド面38bに接するまで変位すると、ワイヤWと送りギア30aとが接触する部位は、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1から、ワイヤガイド38の第2のガイド面38bの起点部P3までの範囲となる。
ワイヤWと送りギア30aとが接触する部位は、ワイヤWを矢印Fで示す正方向に送る動作では、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1である。一方、ワイヤWを矢印Rで示す逆方向に送る動作では、送りギア30aと送りギア30bとのかみ合い部P1から、ワイヤガイド38の第2のガイド面38bの起点部P3までの範囲となり、ワイヤWと矢印Fで示す正方向に送る場合に比べて、ワイヤWと送りギア30aとの接触量が増える。なお、ワイヤWを矢印Rで示す逆方向に送る動作で、ワイヤWと送りギア30aとが接触する部位は、ワイヤWと矢印Fで示す正方向に送る場合に比べてワイヤWと送りギア30aとの接触量が増えていれば、かみ合い部P1から起点部P3までの範囲の全域でなくても良い。
これにより、ワイヤWを矢印Fで示す正方向に送る場合と比較して、ワイヤWを矢印Rで示す逆方向に送る場合の方が、ワイヤWと送りギア30aとの接触量Lf(接触角Dr)が増加する。よって、ワイヤWを矢印Fで示す正方向に送る場合と比較して、ワイヤWを矢印Rで示す逆方向に送る場合の方が、送りギア30aからワイヤWに掛かる荷重が増加し、ワイヤWに掛かる張力が増加する。
従って、誘導ガイド51の側から鉄筋Sに近づく方向に変位するワイヤW、及び、カールガイド50の側から鉄筋Sに近づく方向に変位するワイヤWが、鉄筋Sに密着するように巻き付けられる。
また、送りギア30bを介してワイヤWを送りギア30aに押圧するバネ35による押し付け力を必要以上に強くすることなく、ワイヤWを矢印Rで示す逆方向に送る場合に、送りギア30aからワイヤWに掛かる荷重を増加させることができるので、ワイヤWを矢印Fで示す正方向に送る場合には、送りギア30aからワイヤWに掛かる荷重が必要以上に増加せず、ワイヤWの送り速度の低下を抑制できる。また、ワイヤWを正方向に送る力が強くなることに起因するワイヤWの座屈の発生を抑制できる。
なお、送りギア30aは、ギア部32aに周方向に沿った溝部33aが形成され、溝部33aにワイヤWが入る。これにより、溝部33aにおいてワイヤWが接触する部位は、周方向に連続した面ではなく、ギア部32aの歯部の有無に応じた不連続な面となる。そこで、送りギア30aを送りギア30bより大きな直径とすることで、送りギア30aのギア部32aの歯数を、送りギア30bのギア部32bより多くできる。よって。送りギア30aとワイヤWの接触面を増やし、送りギア30aからワイヤWに掛かる荷重を増加させることができる。
また、ワイヤWを矢印Rで示す逆方向に送る動作で、ワイヤWがワイヤガイド38の第2のガイド面38bに接するまで変位した後、次の結束動作でワイヤWが正方向に送られる。この場合に、第2のガイド面38bは、起点部P3が送りギア30aの溝部33aに入った位置に設けられることで、ワイヤWが溝部33aに嵌り、送りギア30aに巻き付くように送られることが抑制され、所定の送り経路W1に誘導することができる。
更に、2本以上のワイヤWを送る構成では、一対の送りギア30aと送りギア30bを、ワイヤWの本数に合わせて軸方向に沿って複数設ければよい。あるいは、送りギア30aの外周面において軸方向に沿った複数個所に溝部33aを設けると共に、送りギア30bの外周面において軸方向に沿った複数個所に溝部33bを設ける構成としても良い。更に、送りギア30aの外周面に、軸方向に沿って複数本のワイヤWが並ぶ形状の溝部33aを設けると共に、送りギア30bの外周面に、軸方向に沿って複数本のワイヤWが並ぶ形状の溝部33bを設ける構成としても良い。なお、ワイヤ送り部3Aは、外周にギア部が形成された一対の送りギアに限らず、外周が対向して配置される一対の送りローラでも良い。
ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けて、送りモータ36の逆回転方向の駆動を停止した後、モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を矢印A1で示す前方向に移動させる。スリーブ71が前方向に移動する動作が伝達機構62で切断部6Aに伝達されることで図示しない可動刃部が作動し、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cで係止されたワイヤWが切断される。
ワイヤWが切断されると、センターフック70Cと第2のサイドフック70Rで係止されたワイヤWの先端側が、曲げ部71c1で押圧され、鉄筋S側へ曲げられる。また、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lで係止され、切断部6Aで切断されたワイヤWの終端側が、曲げ部71c2で押圧され、鉄筋S側へ曲げられる。
ワイヤWの先端側及び終端側を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、スリーブ71が更に前方向に移動する。スリーブ71が所定の位置まで移動することで、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWを捩じる動作域に到達し、回転規制羽根74aの回転規制爪74bとの係止が解除される。
これにより、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、回転軸72と連動してスリーブ71が回転し、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWが捩じられる。
結束部7Aは、ワイヤ係止体70で係止されたワイヤWが捩じられることで、ワイヤ係止体70が回転軸72の軸方向に沿って前方に引っ張られる力が加わることで、回転軸72がバネ72cにより後方へ押される力を受け、ワイヤ係止体70と共に前方へ移動しながらワイヤWを捩じる。
よって、ワイヤWの捩じられた部位と鉄筋Sとの隙間が小さくなる方向である前方向にワイヤ係止体70及び回転軸72が移動しながら、ワイヤWが更に捩じられる。
従って、ワイヤWが鉄筋Sに沿うような形態で鉄筋Sに密着し、ワイヤWを鉄筋Sに密着させた状態で結束することができる。
ワイヤWを捩じることで、モータ80に掛かる負荷が最大となったことが検知されると、モータ80の正転が停止される。次に、モータ80が逆回転方向に駆動されることで、回転軸72が逆回転し、回転軸72の逆回転に追従してスリーブ71が逆回転すると、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止されることで、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制される。これにより、スリーブ71は、後方向である矢印A2方向に移動する。
スリーブ71が後方向に移動すると、曲げ部71c1、71c2がワイヤWから離れ、曲げ部71c1、71c2によるワイヤWの保持が解消される。また、スリーブ71が後方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73を通過する。これにより、第1のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。また、第2のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。これにより、ワイヤ係止体70からワイヤWが抜ける。