以下、本発明の好適な実施形態を説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際に提供される製品のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
この明細書において、自発光素子とは、流れる電流値によって発光輝度を制御することが可能な発光素子を意味する。自発光素子は、単一体で構成されていてもよく、集合体で構成されていてもよい。自発光素子の具体例には、発光ダイオード(LED)および有機ELが含まれるが、これらに限定されない。この明細書において発光装置に言及する場合、該発光装置は、このような自発光素子を構成要素として含み得る。上記発光装置の例には、照明として利用される光源モジュール装置(例えば、面状発光体モジュール)や、画素を形成した表示装置が含まれるが、これらに限定されない。
この明細書において、粘着剤の「ベースポリマー」とは、該粘着剤に含まれるゴム状ポリマーの主成分をいい、このこと以外、何ら限定的に解釈されるものではない。上記ゴム状ポリマーとは、室温付近の温度域においてゴム弾性を示すポリマーをいう。また、この明細書において「主成分」とは、特記しない場合、50重量%を超えて含まれる成分を指す。
この明細書において「アクリル系ポリマー」とは、該ポリマーを構成するモノマー単位として、1分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来するモノマー単位を含む重合物をいう。以下、1分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを「アクリル系モノマー」ともいう。したがって、この明細書におけるアクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーに由来するモノマー単位を含むポリマーとして定義される。アクリル系ポリマーの典型例として、該ポリマーの合成に用いられる全モノマーのうちアクリル系モノマーの割合が50重量%超(好ましくは70重量%超、例えば90重量%超)であるポリマーが挙げられる。
また、この明細書において「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよびメタクリロイルを包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよびメタクリレートを、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよびメタクリルを、それぞれ包括的に指す意味である。したがって、ここでいうアクリル系モノマーの概念には、アクリロイル基を有するモノマー(アクリル系モノマー)とメタクリロイル基を有するモノマー(メタクリル系モノマー)との両方が包含され得る。
<粘着剤組成物>
ここに開示される粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(A)を含む粘着剤(好ましくは、アクリル系ポリマー(A)をベースポリマーとして含む粘着剤)を形成し得るものであればよく、その形態は特に限定されない。上記粘着剤組成物は、例えば、有機溶媒中に粘着剤形成成分を含む形態の溶剤型粘着剤組成物、紫外線や放射線等の活性エネルギー線により硬化して粘着剤を形成するように調製された活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、粘着剤形成成分が水に分散した形態の水分散型粘着剤組成物、加熱溶融状態で塗工され、室温付近まで冷えると粘着剤を形成するホットメルト型粘着剤組成物、等の種々の形態であり得る。
(アクリル系ポリマー(A))
ここに開示される粘着剤組成物は、芳香環含有モノマー(m1)をモノマー単位として含むアクリル系ポリマー(A)を含有する。上記アクリル系ポリマー(A)は、該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分として芳香環含有モノマー(m1)を含むポリマーである。ここで、本明細書において「アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分」とは、あらかじめ形成された重合物(オリゴマーであり得る。)の形態で粘着剤組成物に含まれるか、未重合のモノマーの形態で粘着剤組成物に含まれるかを問わず、該粘着剤組成物から形成される粘着剤中においてアクリル系ポリマーの繰返し単位を構成するモノマーを意味する。すなわち、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、重合物、未重合物、部分重合物のいずれの形態で上記粘着剤組成物に含まれていてもよい。粘着剤組成物の調製容易性等の観点から、いくつかの態様において、モノマー成分の実質的に全部(例えば95重量%以上、好ましくは99重量%以上)を重合物の形態で含む粘着剤組成物が好ましい。モノマー成分の実質的に全部を重合物の形態で含む粘着剤組成物は、歪みや反りの少ない粘着シートを形成しやすいという観点からも好ましい。
(モノマー(m1))
モノマー(m1)としては、1分子中に少なくとも1つの芳香環と少なくとも1つのエチレン性不飽和基とを含む化合物が用いられる。モノマー(m1)としては、かかる化合物の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記エチレン性不飽和基の例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、(メタ)アリル基等が挙げられる。重合反応性の観点から(メタ)アクリロイル基が好ましく、柔軟性や粘着性の観点からアクリロイル基がより好ましい。粘着剤の柔軟性低下を抑制する観点から、モノマー(m1)としては、1分子中に含まれるエチレン性不飽和基の数が1である化合物(すなわち、単官能モノマー)が好ましく用いられる。
モノマー(m1)として用いられる化合物1分子に含まれる芳香環の数は、1でもよく、2以上でもよい。モノマー(m1)に含まれる芳香環の数の上限は特に制限されず、例えば16以下であり得る。いくつかの態様において、アクリル系ポリマー(A)の調製容易性や粘着剤の透明性の観点から、上記芳香環の数は、例えば12以下であってよく、8以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、5以下でもよく、4以下でもよく、3以下でもよく、2以下でもよい。
モノマー(m1)として用いられる化合物の有する芳香環は、例えばベンゼン環(ビフェニル構造やフルオレン構造の一部を構成するベンゼン環であり得る。);ナフタレン環、インデン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環の縮合環;等の炭素環であってもよく、例えばピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、チオフェン環;等の複素環であってもよい。上記複素環において環構成原子として含まれるヘテロ原子は、例えば窒素、硫黄および酸素からなる群から選択される1または2以上であり得る。いくつかの態様において、上記複素環を構成するヘテロ原子は、窒素および硫黄の一方または両方であり得る。モノマー(m1)は、例えばジナフトチオフェン構造のように、1または2以上の炭素環と1または2以上の複素環とが縮合した構造を有していてもよい。
上記芳香環(好ましくは炭素環)は、環構成原子上に1または2以上の置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、グリシジルオキシ基等が例示されるが、これらに限定されない。炭素原子を含む置換基において、該置換基に含まれる炭素原子の数は、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3であり、例えば1または2であり得る。いくつかの態様において、上記芳香環は、環構成原子上に置換基を有しないか、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン原子(例えば臭素原子)からなる群から選択される1または2以上の置換基を有する芳香環であり得る。なお、モノマー(m1)の有する芳香環がその環構成原子上に置換基を有するとは、該芳香環が、エチレン性不飽和基を有する置換基以外の置換基を有することをいう。
芳香環とエチレン性不飽和基とは、直接結合していてもよく、リンキング基を介して結合していてもよい。上記リンキング基は、例えば、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリ(オキシアルキレン)基、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、これらの基において1または2以上の水素原子が水酸基で置換された構造の基(例えば、ヒドロキシアルキレン基)、オキシ基(-O-基)、チオオキシ基(-S-基)、等から選択される1または2以上の構造を含む基であり得る。いくつかの態様において、芳香環とエチレン性不飽和基とが、直接結合しているか、またはアルキレン基、オキシアルキレン基およびポリ(オキシアルキレン)基からなる群から選択されるリンキング基を介して結合している構造の芳香環含有モノマーを好ましく採用し得る。上記アルキレン基および上記オキシアルキレン基における炭素原子数は、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3であり、例えば1または2であり得る。上記ポリ(オキシアルキレン)基におけるオキシアルキレン単位の繰り返し数は、例えば2~3であり得る。
モノマー(m1)として好ましく採用し得る化合物の例として、芳香環含有(メタ)アクリレートおよび芳香環含有ビニル化合物が挙げられる。芳香環含有(メタ)アクリレートおよび芳香環含有ビニル化合物は、それぞれ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。1種または2種以上の芳香環含有(メタ)アクリレートと、1種または2種以上の芳香環含有ビニル化合物とを組み合わせて用いてもよい。
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分におけるモノマー(m1)の含有量は、特に制限されず、所望の屈折率と粘着特性(例えば剥離強度、柔軟性等)および/または光学特性(例えば全光線透過性、ヘイズ値等)とを両立する粘着剤層を実現し得るように設定することができる。いくつかの態様において、上記モノマー成分におけるモノマー(m1)の含有量は、例えば30重量%以上であってよく、好ましくは50重量%以上であり、60重量%以上でもよく、70重量%以上でもよい。より高い屈折率を得やすくする観点から、いくつかの好ましい態様において、上記モノマー(m1)の含有量は、例えば70重量%超であってよく、75重量%以上でもよく、80重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。上記モノマー成分におけるモノマー(m1)の含有量の上限は100重量%である。高屈折率と粘着特性および/または光学特性とをバランスよく両立する観点から、上記モノマー(m1)の含有量は、100重量%未満とすることが有利であり、例えば凡そ99重量%以下であることが好ましく、98重量%以下であることがより好ましく、97重量%以下でもよく、96重量%以下でもよい。いくつかの態様において、上記モノマー(m1)の含有量は、93重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、75重量%以下でもよい。より粘着特性および/または光学特性を重視するいくつかの態様において、上記モノマー成分における上記モノマー(m1)の含有量は、70重量%以下でもよく、60重量%以下でもよく、45重量%以下でもよい。
ここに開示される技術のいくつかの態様において、モノマー(m1)としては、高い高屈折率化効果が得られやすいことから、1分子中に2以上の芳香環(好ましくは炭素環)を有するモノマーを好ましく採用し得る。1分子内に2以上の芳香環を有するモノマー(以下、「芳香環複数含有モノマー」ともいう。)の例としては、2以上の非縮合芳香環がリンキング基を介して結合した構造を有するモノマー、2以上の非縮合芳香環が直接(すなわち、他の原子を介さずに)化学結合した構造を有するモノマー、縮合芳香環構造を有するモノマー、フルオレン構造を有するモノマー、ジナフトチオフェン構造を有するモノマー、ジベンゾチオフェン構造を有するモノマー、等が挙げられる。芳香環複数含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記リンキング基は、例えばオキシ基(-O-)、チオオキシ基(-S-)、オキシアルキレン基(例えば-O-(CH2)n-基、ここでnは1~3、好ましくは1)、チオオキシアルキレン基(例えば-S-(CH2)n-基、ここでnは1~3、好ましくは1)、直鎖アルキレン基(すなわち-(CH2)n-基、ここでnは1~6、好ましくは1~3)、上記オキシアルキレン基、上記チオオキシアルキレン基および上記直鎖アルキレン基におけるアルキレン基が部分ハロゲン化または完全ハロゲン化された基、等であり得る。粘着剤の柔軟性等の観点から、上記リンキング基の好適例として、オキシ基、チオオキシ基、オキシアルキレン基および直鎖アルキレン基が挙げられる。2以上の非縮合芳香環がリンキング基を介して結合した構造を有するモノマーの具体例としては、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート(例えば、m-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート)、チオフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルベンジル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
上記2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造を有するモノマーは、例えばビフェニル構造含有(メタ)アクリレート、トリフェニル構造含有(メタ)アクリレート、ビニル基含有ビフェニル等であり得る。具体例としては、o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ビフェニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記縮合芳香環構造を有するモノマーの例としては、ナフタレン環含有(メタ)アクリレート、アントラセン環含有(メタ)アクリレート、ビニル基含有ナフタレン、ビニル基含有アントラセン、等が挙げられる。具体例としては、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート(別名:1-ナフタレンメチル(メタ)アクリレート)、ヒドロキシエチル化β-ナフトールアクリレート、2-ナフトエチル(メタ)アクリレート、2-ナフトキシエチルアクリレート、2-(4-メトキシ-1-ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
上記フルオレン構造を有するモノマーの具体例としては、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、フルオレン構造を有するモノマーは、2つのベンゼン環が直接化学結合した構造部分を含むため、上記2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造を有するモノマーの概念に包含される。
上記ジナフトチオフェン構造を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基含有ジナフトチオフェン、ビニル基含有ジナフトチオフェン、(メタ)アリル基含有ジナフトチオフェン、等が挙げられる。具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン(例えば、ジナフトチオフェン環の5位または6位にCH2CH(R1)C(O)OCH2-が結合した構造の化合物。ここで、R1は水素原子またはメチル基である。)、(メタ)アクリロイルオキシエチルジナフトチオフェン(例えば、ジナフトチオフェン環の5位または6位に、CH2CH(R1)C(O)OCH(CH3)-またはCH2CH(R1)C(O)OCH2CH2-が結合した構造の化合物。ここで、R1は水素原子またはメチル基である。)、ビニルジナフトチオフェン(例えば、ナフトチオフェン環の5位または6位にビニル基が結合した構造の化合物)、(メタ)アリルオキシジナフトチオフェン、等が挙げられる。なお、ジナフトチオフェン構造を有するモノマーは、ナフタレン構造を含むことにより、またチオフェン環と2つのナフタレン構造とが縮合した構造を有することによっても、上記縮合芳香環構造を有するモノマーの概念に包含される。
上記ジベンゾチオフェン構造を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基含有ジベンゾチオフェン、ビニル基含有ジベンゾチオフェン、等が挙げられる。なお、ジベンゾチオフェン構造を有するモノマーは、チオフェン環と2つのベンゼン環とが縮合した構造を有することから、上記縮合芳香環構造を有するモノマーの概念に包含される。
なお、ジナフトチオフェン構造およびジベンゾチオフェン構造は、いずれも、2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造には該当しない。
ここに開示される技術におけるモノマー(m1)として、1分子中に1つの芳香環(好ましくは炭素環)を有するモノマーを使用してもよい。1分子中に1つの芳香環を有するモノマーは、例えば、粘着剤の柔軟性の向上や粘着特性の調整、透明性の向上等に役立ち得る。いくつかの態様において、1分子中に1つの芳香環を有するモノマーは、粘着剤の屈折率向上の観点から、芳香環複数含有モノマーと組み合わせて用いることが好ましい。
1分子中に1つの芳香環を有するモノマーの例としては、べンジル(メタ)アクリレート、メトキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、エトキシ化フェノール(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシブチル(メタ)アクリレート、クレジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート等の、炭素芳香環含有(メタ)アクリレート;2-(4,6-ジブロモ-2-s-ブチルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(4,6-ジブロモ-2-イソプロピルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、6-(4,6-ジブロモ-2-s-ブチルフェノキシ)ヘキシル(メタ)アクリレート、6-(4,6-ジブロモ-2-イソプロピルフェノキシ)ヘキシル(メタ)アクリレート、2,6-ジブロモ-4-ノニルフェニルアクリレート、2,6-ジブロモ-4-ドデシルフェニルアクリレート等の、臭素置換芳香環含有(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブチルスチレン等の、炭素芳香環含有ビニル化合物;N-ビニルピリジン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール等の、複素芳香環上にビニル置換基を有する化合物;等が挙げられる。
モノマー(m1)としては、上述のような各種芳香環含有モノマーにおけるエチレン性不飽和基と芳香環との間にオキシエチレン鎖を介在させた構造のモノマーを使用してもよい。このようにエチレン性不飽和基と芳香環との間にオキシエチレン鎖を介在させたモノマーは、元のモノマーのエトキシ化物として把握され得る。上記オキシエチレン鎖におけるオキシエチレン単位(-CH2CH2O-)の繰返し数は、典型的には1~4、好ましくは1~3、より好ましくは1~2であり、例えば1である。エトキシ化された芳香環含有モノマーの具体例としては、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化クレゾール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(m1)における芳香環複数含有モノマーの含有量は、特に制限されず、例えば5重量%以上であってよく、25重量%以上でもよく、40重量%以上でもよい。いくつかの態様において、より高い屈折率を有する粘着剤を実現しやすくする観点から、モノマー(m1)における芳香環複数含有モノマーの含有量は、例えば50重量%以上であってよく、70重量%以上であることが好ましく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。モノマー(m1)の実質的に100重量%が芳香環複数含有モノマーであってもよい。すなわち、モノマー(m1)として1種または2種以上の芳香環複数含有モノマーのみを使用してもよい。また、いくつかの態様において、例えば高屈折率と粘着特性および/または光学特性とのバランスを考慮して、モノマー(m1)における芳香環複数含有モノマーの含有量は、100重量%未満であってもよく、98重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、65重量%以下でもよい。いくつかの態様において、粘着特性および/または光学特性を考慮して、モノマー(m1)における芳香環複数含有モノマーの含有量は、70重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、10重量%以下でもよい。ここに開示される技術は、モノマー(m1)における芳香環複数含有モノマーの含有量が5重量%未満である態様でも実施し得る。芳香環複数含有モノマーを使用しなくてもよい。
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分における芳香環複数含有モノマーの含有量は、特に制限されず、所望の屈折率と粘着特性(例えば剥離強度、柔軟性等)および/または光学特性(例えば全光線透過性、ヘイズ値等)とを両立する粘着剤層を実現し得るように設定することができる。上記モノマー成分における芳香環複数含有モノマーの含有量は、例えば3重量%以上であってよく、10重量%以上でもよく、25重量%以上でもよい。いくつかの態様において、より高い屈折率を有する粘着剤を実現しやすくする観点から、上記モノマー成分における芳香環複数含有モノマーの含有量は、例えば35重量%超であってよく、50重量%超であることが好ましく、70重量%超でもよく、75重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。上記モノマー成分における芳香環複数含有モノマーの含有量は、100重量%であり得るが、高屈折率と粘着特性および/または光学特性とをバランスよく両立する観点から、100重量%未満とすることが有利であり、凡そ99重量%以下とすることが好ましく、98重量%以下とすることがより好ましく、96重量%以下でもよく、93重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、85重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、75重量%以下でもよい。いくつかの態様において、粘着特性および/または光学特性を考慮して、上記モノマー成分における芳香環複数含有モノマーの含有量は、70重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、15重量%以下でもよく、5重量%以下でもよい。ここに開示される技術は、上記モノマー成分における芳香環複数含有モノマーの含有量が3重量%未満である態様でも実施し得る。
ここに開示される技術のいくつかの態様において、モノマー(m1)の少なくとも一部として、高屈折率モノマーを好ましく採用し得る。ここで「高屈折率モノマー」とは、その屈折率が、例えば凡そ1.510以上、好ましくは凡そ1.530以上、より好ましくは凡そ1.550以上であるモノマーのことを指す。高屈折率モノマーの屈折率の上限は特に制限されないが、粘着剤組成物の調製容易性や、粘着剤として適した柔軟性との両立容易性の観点から、例えば3.000以下であり、2.500以下でもよく、2.000以下でもよく、1.900以下でもよく、1.800以下でもよく、1.700以下でもよい。高屈折率モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、モノマーの屈折率は、アッベ屈折率計を用いて、測定波長589nm、測定温度25℃の条件で測定される。アッベ屈折率計としては、ATAGO社製の型式「DR-M4」またはその相当品を用いることができる。メーカー等から25℃における屈折率の公称値が提供されている場合は、その公称値を採用することができる。
上記高屈折率モノマーとしては、ここに開示される芳香環含有モノマー(m1)の概念に包含される化合物(例えば、上記で例示した化合物および化合物群)のなかから、該当する屈折率を有するものを適宜採用することができる。具体例としては、m-フェノキシベンジルアクリレート(屈折率:1.566、ホモポリマーのTg:-35℃)、1-ナフチルメチルアクリレート(屈折率:1.595、ホモポリマーのTg:31℃)、エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート(オキシエチレン単位の繰返し数:1、屈折率:1.578)、ベンジルアクリレート(屈折率(nD20):1.519、ホモポリマーのTg:6℃)、フェノキシエチルアクリレート(屈折率(nD20):1.517、ホモポリマーのTg:2℃)、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(屈折率:1.510、ホモポリマーのTg:-35℃)、6-アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン(6MDNTA、屈折率:1.75)、6-メタアクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン(6MDNTMA、屈折率:1.726)、5-アクリロイルオキシエチルジナフトチオフェン(5EDNTA、屈折率:1.786)、6-アクリロイルオキシエチルジナフトチオフェン(6EDNTA、屈折率:1.722)、6-ビニルジナフトチオフェン(6VDNT、屈折率:1.802)、5-ビニルジナフトチオフェン(略号:5VDNT、屈折率:1.793)、等が挙げられるが、これらに限定されない。
モノマー(m1)における高屈折率モノマー(すなわち、屈折率が凡そ1.510以上、好ましくは凡そ1.530以上、より好ましくは凡そ1.550以上である芳香環含有モノマー)の含有量は、特に制限されず、例えば5重量%以上であってよく、25重量%以上でもよく、35重量%以上でもよく、40重量%以上でもよい。いくつかの態様において、より高い屈折率を得やすくする観点から、モノマー(m1)における高屈折率モノマーの含有量は、例えば50重量%以上であってよく、70重量%以上であることが好ましく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。モノマー(m1)の実質的に100重量%が高屈折率モノマーであってもよい。また、いくつかの態様において、例えば高屈折率と粘着特性および/または光学特性とをバランスよく両立する観点から、モノマー(m1)における高屈折率モノマーの含有量は、100重量%未満であってもよく、98重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、65重量%以下でもよい。いくつかの態様において、粘着特性および/または光学特性を考慮して、モノマー(m1)における高屈折率モノマーの含有量は、70重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、15重量%以下でもよく、10重量%以下でもよい。ここに開示される技術は、モノマー成分(m1)における高屈折率モノマーの含有量が5重量%未満である態様でも実施し得る。高屈折率モノマーを使用しなくてもよい。
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分における高屈折率モノマーの含有量は、特に制限されず、所望の屈折率と粘着特性(例えば剥離強度、柔軟性等)および/または光学特性(例えば全光線透過性、ヘイズ値等)とを両立する粘着剤層を実現し得るように設定することができる。上記モノマー成分における高屈折率モノマーの含有量は、例えば3重量%以上であってよく、10重量%以上でもよく、25重量%以上でもよい。いくつかの態様において、より高い屈折率を有する粘着剤を実現しやすくする観点から、上記モノマー成分における高屈折率モノマーの含有量は、例えば35重量%超であってよく、50重量%超であることが好ましく、70重量%超でもよく、75重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。上記モノマー成分における高屈折率モノマーの含有量は、100重量%であり得るが、高屈折率と粘着特性および/または光学特性とをバランスよく両立する観点から、100重量%未満とすることが有利であり、99重量%以下とすることが好ましく、98重量%以下とすることがより好ましく、96重量%以下でもよく、93重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、85重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、75重量%以下でもよい。いくつかの態様において、粘着特性および/または光学特性を考慮して、上記モノマー成分における高屈折率モノマーの含有量は、70重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、15重量%以下でもよく、5重量%以下でもよい。ここに開示される技術は、上記モノマー成分における高屈折率モノマーの含有量が3重量%未満である態様でも実施し得る。
ここに開示される技術のいくつかの好ましい態様では、モノマー(m1)の少なくとも一部として、ホモポリマーのTgが10℃以下(好ましくは5℃以下または0℃以下、より好ましくは-10℃以下、さらに好ましくは-20℃以下、例えば-25℃以下)である芳香環含有モノマー(以下、「モノマーL」と表記することがある。)を採用する。モノマー成分における芳香環含有モノマー(m1)(特に、上述した芳香環複数含有モノマーおよび高屈折率モノマーの一方または両方に該当する芳香環含有モノマー(m1))の含有量を多くすると、粘着剤の貯蔵弾性率G’は概して上昇する傾向にあるところ、該モノマー(m1)の一部または全部としてモノマーLを採用することにより、貯蔵弾性率G’の上昇を抑制することができる。これにより、粘着剤として適した柔軟性をよりよく維持しつつ、屈折率を向上させることができる。モノマーLのTgの下限は特に制限されない。屈折率向上効果とのバランスを考慮して、いくつかの態様において、モノマーLのTgは、例えば-70℃以上であってよく、-55℃以上でもよく、-45℃以上でもよい。モノマーLは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノマーLとしては、ここに開示される芳香環含有モノマー(m1)の概念に包含される化合物(例えば、上記で例示した化合物および化合物群)のなかから、該当するTgを有するものを適宜採用することができる。モノマーLとして使用し得る芳香環含有モノマーの一好適例として、m-フェノキシベンジルアクリレート(ホモポリマーのTg:-35℃)が挙げられる。他の一好適例として、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(ホモポリマーのTg:-35℃)が挙げられる。
モノマー(m1)におけるモノマーLの含有量は、特に制限されず、例えば5重量%以上であってよく、25重量%以上でもよく、40重量%以上でもよい。いくつかの態様において、高屈折率と柔軟性とをより高レベルで両立する粘着剤を得やすくする観点から、モノマー(m1)におけるモノマーLの含有量は、例えば50重量%以上であってよく、60重量%以上でもよく、70重量%以上でもよく、75重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。モノマー(A1)の実質的に100重量%がモノマーLであってもよい。また、いくつかの態様において、例えば粘着剤として適した柔軟性と高屈折率とをバランスよく両立する観点から、モノマー(m1)におけるモノマーLの含有量は、100重量%未満であってもよく、98重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、70重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、10重量%以下でもよい。ここに開示される技術は、モノマー(m1)におけるモノマーLの含有量が5重量%未満である態様でも実施し得る。モノマーLを使用しなくてもよい。
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分におけるモノマーLの含有量は、例えば3重量%以上であってよく、10重量%以上でもよく、25重量%以上でもよい。いくつかの態様において、高屈折率と柔軟性とをより高レベルで両立する粘着剤を得やすくする観点から、モノマー成分におけるモノマーLの含有量は、例えば35重量%超であってよく、50重量%超であることが好ましく、70重量%超でもよく、75重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。上記モノマー成分におけるモノマーLの含有量は、100重量%であり得るが、高屈折率と粘着特性および/または光学特性とのバランスを考慮して、100重量%未満とすることが有利であり、凡そ99重量%以下であることが好ましく、98重量%以下であることがより好ましく、96重量%以下でもよく、95重量%以下でもよく、93重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、85重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、75重量%以下でもよい。いくつかの態様において、上記モノマー成分におけるモノマーLの含有量は、70重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、15重量%以下でもよく、5重量%以下でもよい。ここに開示される技術は、上記モノマー成分におけるモノマーLの含有量が3重量%未満である態様でも実施し得る。
いくつかの態様において、モノマー(m1)の組成に基づくガラス転移温度Tgm1は、粘着剤の柔軟性の観点から、凡そ20℃以下であることが有利であり、好ましくは10℃以下(例えば5℃以下)、より好ましくは0℃以下であり、さらに好ましくは-10℃以下であり、-20℃以下でもよく、-25℃以下でもよい。ガラス転移温度Tgm1の下限は特に制限されない。屈折率向上効果とのバランスを考慮して、いくつかの態様において、ガラス転移温度Tgm1は、例えば-70℃以上であってよく、-55℃以上でもよく、-45℃以上でもよい。ここに開示される技術は、ガラス転移温度Tgm1が例えば-40℃以上、-35℃以上、-33℃以上、-30℃以上、または-25℃以上である態様でも好適に実施され得る。
ここで、モノマー(m1)の組成に基づくガラス転移温度Tgm1とは、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分のうちモノマー(m1)のみの組成に基づいて、後述するFoxの式により求められるTgをいう。ガラス転移温度Tgm1は、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分のうちモノマー(m1)のみを対象として後述するFoxの式を適用し、モノマー(m1)として用いられる各芳香環含有モノマーのホモポリマーのガラス転移温度と、モノマー(m1)の合計量に占める各芳香環含有モノマーの重量分率とから算出することができる。モノマー(m1)として1種類のモノマーのみを使用する態様では、該モノマーのホモポリマーのTgとガラス転移温度Tgm1とは一致する。
いくつかの態様において、芳香環含有モノマー(m1)としては、モノマーL(すなわち、ホモポリマーのTgが10℃以下、好ましくは5℃以下または0℃以下、より好ましくは-10℃以下、さらに好ましくは-20℃以下、例えば-25℃以下である芳香環含有モノマー)と、Tgが10℃よりも高いモノマーHとを組み合わせて用いることができる。モノマーHのTgは、例えば10℃超であってよく、15℃超であってもよく、20℃超であってもよい。モノマーLとモノマーHとを組み合わせて用いることにより、例えばモノマー成分における芳香環含有モノマー(m1)の含有量が比較的多い構成において、粘着剤の高屈折率と柔軟性とをより高レベルで両立させることができる。モノマーLとモノマーHとの使用量比は、かかる効果が好適に発現するように設定することができ、特に限定されない。例えば、上述したいずれかのガラス転移温度Tgm1を満たすようにモノマーLとモノマーHとの使用量比を設定することが好ましい。
いくつかの態様において、芳香環含有モノマー(m1)は、2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造(例えばビフェニル構造)を含まない化合物から好ましく選択され得る。例えば、2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造を含む化合物の含有量が5重量%未満(より好ましくは3重量%未満であり、0重量%でもよい。)である組成のモノマー成分により構成されたアクリル系ポリマーが好ましい。このように2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造を含む化合物の使用量を制限することは、柔軟性や粘着性と高屈折率とをバランスよく両立させた粘着剤を実現する観点から有利となり得る。
(モノマー(m2))
ここに開示される技術のいくつかの態様において、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分は、上記モノマー(m1)に加えて、モノマー(m2)をさらに含有し得る。上記モノマー(m2)は、水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)およびカルボキシ基を有するモノマー(カルボキシ基含有モノマー)の少なくとも一方に該当するモノマーである。上記水酸基含有モノマーは、1分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのエチレン性不飽和基とを有する化合物である。上記カルボキシ基含有モノマーは、1分子内に少なくとも1つのカルボキシ基と少なくとも1つのエチレン性不飽和基とを含む化合物である。モノマー(m2)は、アクリル系ポリマー(A)に架橋点を導入したり、粘着剤に適度な凝集性を付与したりするために役立ち得る。モノマー(m2)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。モノマー(m2)は、典型的には芳香環を含有しないモノマーである。
モノマー(m2)の有するエチレン性不飽和基の例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、(メタ)アリル基等が挙げられる。重合反応性の観点から(メタ)アクリロイル基が好ましく、柔軟性や粘着性の観点からアクリロイル基がより好ましい。粘着剤の柔軟性低下を抑制する観点から、モノマー(m2)としては、1分子中に含まれるエチレン性不飽和基の数が1である化合物(すなわち、単官能モノマー)が好ましく用いられる。
水酸基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。好ましく使用し得る水酸基含有モノマーの例として、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(Tg:-40℃)およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル(Tg:-15℃)が挙げられる。室温域における柔軟性向上の観点から、よりTgの低いアクリル酸4-ヒドロキシブチルがより好ましい。好ましい一態様では、モノマー(m2)の50重量%以上(例えば50重量%超、70重量%超または85重量%超)がアクリル酸4-ヒドロキシブチルであり得る。水酸基含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノマー(m2)として水酸基含有モノマーを使用するいくつかの態様において、上記水酸基含有モノマーは、メタクリロイル基を有しない化合物から選択される1種または2種以上であり得る。メタクリロイル基を有しない水酸基含有モノマーの好適例として、上述した各種のアクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられる。例えば、モノマー(m2)として使用する水酸基含有モノマーのうち50重量%超、70重量%超または85重量%超がアクリル酸ヒドロキシアルキルであることが好ましい。アクリル酸ヒドロキシアルキルの使用により、架橋点の提供や適度な凝集性の付与に役立つヒドロキシ基をアクリル系ポリマー(A)に導入することができ、かつ対応するメタクリル酸ヒドロキシアルキルのみを使用する場合に比べて室温域における柔軟性や粘着性の良い粘着剤が得られやすい。
カルボキシ基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチル等のアクリル系モノマーのほか、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましく使用し得るカルボキシ基含有モノマーの例として、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。カルボキシ基含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。水酸基含有モノマーとカルボキシ基含有モノマーとを併用してもよい。
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分におけるモノマー(m2)の含有量は、特に制限されず、目的に応じて設定し得る。いくつかの態様において、上記モノマー(m2)の含有量は、例えば0.01重量%以上、0.1重量%以上または0.5重量%以上であり得る。より高い使用効果を得る観点から、いくつかの態様において、上記モノマー(A2)の含有量は、1重量%以上とすることが好ましく、2重量%以上としてもよく、4重量%以上としてもよい。モノマー成分におけるモノマー(m2)の含有量の上限は、モノマー(m1)の含有量との合計が100重量%を超えないように設定される。いくつかの態様において、上記モノマー(m2)の含有量は、例えば30重量%以下または25重量%以下とすることが適当であり、モノマー(m1)の含有量を相対的に多くして高屈折率化を容易とする観点から、20重量%以下とすることが好ましく、15重量%以下とすることがより好ましく、12重量%未満でもよく、10重量%未満でもよく、7重量%未満でもよい。
モノマー(m2)として水酸基含有モノマーを用いる態様において、モノマー成分における水酸基含有モノマーの含有量は、特に制限されず、例えば0.01重量%以上(好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上)であり得る。いくつかの態様において、上記水酸基含有モノマーの含有量は、上記モノマー成分の1重量%以上とすることが好ましく、2重量%以上としてもよく、4重量%以上としてもよい。モノマー成分における水酸基含有モノマーの含有量の上限は、モノマー(m1)の含有量との合計が100重量%を超えないように設定され、例えば30重量%以下または25重量%以下とすることが適当であり、モノマー(m1)の含有量を相対的に多くして高屈折率化を容易とする観点から20重量%以下とすることが好ましく、15重量%以下とすることがより好ましく、12重量%未満でもよく、10重量%未満でもよく、7重量%未満でもよい。
モノマー(m2)としてカルボキシ基含有モノマーを用いる態様において、モノマー成分におけるカルボキシ基含有モノマーの含有量は、特に制限されず、例えば0.01重量%以上(好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上)であり得る。いくつかの態様において、上記カルボキシ基含有モノマーの含有量は、1重量%以上としてもよく、2重量%以上としてもよく、4重量%以上としてもよい。モノマー成分におけるカルボキシ基含有モノマーの含有量の上限は、モノマー(m1)の使用量との合計が100重量%を超えないように設定され、例えば30重量%以下または25重量%以下とすることが適当であり、モノマー(m1)の含有量を相対的に多くして高屈折率化を容易とする観点から、20重量%以下とすることが好ましく、15重量%以下とすることがより好ましく、12重量%未満でもよく、10重量%未満でもよい。いくつかの態様において、粘着剤の柔軟性向上の観点から、上記カルボキシ基含有モノマーの含有量は、7重量%未満とすることが有利であり、5重量%未満とすることが好ましく、3重量%未満としてもよく、1重量%未満としてもよく、0.5重量%未満としてもよい。ここに開示される技術は、例えば、モノマー(m2)として水酸基含有モノマーのみを用いる態様、すなわちカルボキシ基含有モノマーを使用しない態様で好ましく実施され得る。
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分におけるモノマー(m1)とモノマー(m2)との合計含有量は、例えば31重量%以上であってよく、好ましくは51重量%以上であり、61重量%以上でもよく、71重量%以上でもよい。いくつかの態様において、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分におけるモノマー(m1)とモノマー(m2)との合計含有量は、これらのモノマーの効果を好適に発揮しやすくする観点から、例えば76重量%以上であってよく、81重量%以上であることが好ましく、86重量%以上でもよく、91重量%以上でもよく、96重量%以上でもよく、99重量%以上でもよく、実質的に100重量%でもよい。
(モノマーm3)
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分は、必要に応じて、上記モノマー(m1)および上記モノマー(m2)以外のモノマーを含んでいてもよい。そのような任意成分の一例として、アルキル(メタ)アクリレート(以下、「モノマー(m3)」ともいう。)が挙げられる。モノマー(m3)は、粘着剤の柔軟性の調整や、粘着剤内における相溶性の改善に役立ち得る。
モノマー(m3)としては、炭素原子数1~20の(すなわち、C1-20の)直鎖または分岐鎖状のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ得る。C1-20アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、モノマー(m3)の少なくとも一部として、ホモポリマーのTgが-20℃以下(より好ましくは-40℃以下、例えば-50℃以下)であるアルキル(メタ)アクリレートを好ましく採用し得る。このような低Tgのアルキル(メタ)アクリレートは、粘着剤の柔軟性の向上に役立ち得る。上記アルキル(メタ)アクリレートのTgの下限は特に制限されず、例えば-85℃以上であってよく、-75℃以上でもよく、-65℃以上でもよく、-60℃以上でもよい。上記低Tgアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、アクリル酸n-ブチル(BA)、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)、アクリル酸イソノニル(iNA)等が挙げられる。
モノマー(m3)を使用するいくつかの態様において、柔軟性や粘着性等の観点から、上記モノマー(m3)の少なくとも一部はアルキルアクリレートであることが好ましい。例えば、モノマー(m3)のうち50重量%以上(より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上)がアルキルアクリレートであることが好ましい。モノマー(m3)として1種または2種以上のアルキルアクリレートのみを使用し、アルキルメタクリレートを使用しない態様であってもよい。
モノマー成分がアルキル(メタ)アクリレートを含む態様において、モノマー成分におけるアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、その使用効果が適切に発揮されるように設定することができる。いくつかの態様において、上記アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、例えば1重量%以上であってよく、3重量%以上でもよく、5重量%以上でもよく、8重量%以上でもよい。いくつかの態様において、上記アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、15重量%以上でもよく、30重量%以上でもよく、45重量%以上でもよい。モノマー成分におけるモノマー(m3)の含有量の上限は、他のモノマーの含有量との合計が100重量%を超えないように設定され、例えば50重量%未満であり得る。いくつかの態様において、上記モノマー(m3)の含有量は、例えば35重量%未満であり得る。一般にアルキル(メタ)アクリレートの屈折率は比較的低いため、高屈折率化のためには、モノマー成分におけるモノマー(m3)の含有量を制限し、モノマー(m1)の含有量を相対的に多くすることが有利である。かかる観点から、モノマー(m3)の含有量は、モノマー成分の24重量%以下であることが有利であり、23重量%未満であることが好ましく、20重量%未満であることがより好ましく、17重量%未満でもよく、12重量%未満でもよく、7重量%未満でもよく、3重量%未満でもよく、1重量%未満でもよい。モノマー(m3)を実質的に使用しなくてもよい。
(その他のモノマー)
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分は、必要に応じて、上記モノマー(m1)、(m2)、(m3)以外のモノマー(以下、「その他モノマー」という。)を含んでいてもよい。上記その他モノマーは、例えば、アクリル系ポリマー(A)のTg調整、粘着性能の調整、粘着剤層内における相溶性の改善等の目的で使用することができる。上記その他モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記その他モノマーの例として、水酸基およびカルボキシ基以外の官能基を有するモノマー(官能基含有モノマー)が挙げられる。例えば、粘着剤の凝集力や耐熱性を向上させ得るその他モノマーとして、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー等が挙げられる。また、アクリル系ポリマー(A)に架橋基点となり得る官能基を導入することができ、あるいは剥離強度の向上や粘着剤層内における相溶性の改善に寄与し得るモノマーとして、アミド基含有モノマー(例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等)、アミノ基含有モノマー(例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等)、窒素原子含有環を有するモノマー(例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等)、イミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー等が挙げられる。なお、窒素原子含有環を有するモノマーのなかには、例えばN-ビニル-2-ピロリドンのように、アミド基含有モノマーにも該当するものがある。上記窒素原子含有環を有するモノマーとアミノ基含有モノマーとの関係についても同様である。
上記官能基含有モノマー以外で使用し得るその他モノマーとしては、酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の非芳香族性環含有(メタ)アクリレート;エチレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル等の塩素含有モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;等が挙げられる。粘着剤の柔軟性向上等の目的で使用し得るその他モノマーの一好適例として、エトキシエトキシエチルアクリレート(別名:エチルカルビトールアクリレート、ホモポリマーのTg:-67℃)が挙げられる。
上記その他モノマーを使用する場合、その使用量は特に制限されず、モノマー成分の合計量が100重量%を超えない範囲で適宜設定し得る。いくつかの態様において、モノマー(m1)の使用による屈折率向上効果を発揮しやすくする観点から、モノマー成分における上記その他モノマーの含有量は、例えば凡そ35重量%以下とすることができ、凡そ25重量%以下(例えば0~25重量%)とすることが適当であり、凡そ20重量%以下(例えば0~20重量%)でもよく、凡そ10重量%以下でもよく、凡そ5重量%以下でもよく、凡そ1重量%以下でもよい。ここに開示される技術は、モノマー成分が上記その他のモノマーを実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。
いくつかの態様において、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分は、メタクリロイル基含有モノマーの使用量が所定以下に抑えられた組成であり得る。モノマー成分におけるメタクリロイル基含有モノマーの使用量は、例えば5重量%未満であってよく、3重量%未満でもよく、1重量%未満でもよく、0.5重量%未満でもよい。このようにメタクリロイル基含有モノマーの使用量を制限することは、柔軟性や粘着性と高屈折率とをバランスよく両立させた粘着剤を実現する観点から有利となり得る。アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分は、メタクリロイル基含有モノマーを含まない組成(例えば、アクリロイル基含有モノマーのみからなる組成)であってもよい。
いくつかの態様において、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分は、粘着剤の着色または変色(例えば黄変)を抑制する観点から、カルボキシ基含有モノマーの使用量が制限されていることが好ましい。モノマー成分におけるカルボキシ基含有モノマーの使用量は、例えば1重量%未満であってよく、0.5重量%未満であることが好ましく、0.3重量%未満であることがより好ましく、0.1重量%未満でもよく、0.05重量%未満でもよい。このようにカルボキシ基含有モノマーの使用量が制限されていることは、ここに開示される粘着剤に接触または近接して配置され得る金属材料(例えば、被着体上に存在し得る金属配線や金属膜等)の腐食を抑制する観点からも有利である。ここに開示される技術は、上記モノマー成分がカルボキシ基含有モノマーを含有しない態様で好ましく実施され得る。
同様の理由から、いくつかの態様において、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分は、酸性官能基(カルボキシ基の他、スルホン酸基、リン酸基等を包含する。)を有するモノマーの使用量が制限されていることが好ましい。かかる態様のモノマー成分における酸性官能基含有モノマーの使用量としては、上述したカルボキシ基含有モノマーの好ましい使用量を適用することができる。ここに開示される技術は、上記モノマー成分が酸性基含有モノマーを含有しない態様(すなわち、アクリル系ポリマー(A)が酸フリーである態様)で好ましく実施され得る。
(ガラス転移温度TgT)
いくつかの態様において、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分は、該モノマー成分の組成に基づくガラス転移温度TgTが、凡そ20℃以下であることが適当であり、凡そ10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、-10℃以下でもよく、-20℃以下でもよく、-25℃以下でもよく、-28℃以下でもよく、-30℃以下でもよい。ガラス転移温度TgTが低いことは、粘着剤の柔軟性向上の観点から有利となり得る。また、ガラス転移温度TgTは、例えば-60℃以上であってよく、粘着剤の高屈折率化を容易とする観点から、好ましくは-50℃以上であり、より好ましくは-45℃超であり、-40℃超であってもよく、-35℃超であってもよく、-25℃超であってもよく、-15℃以上であってもよく、-5℃以上であってもよい。
ここで、ガラス転移温度TgTとは、特記しない場合、上記モノマー成分の組成に基づいて、Foxの式により求められるガラス転移温度をいう。Foxの式とは、以下に示すように、共重合体のTgと、該共重合体を構成するモノマーのそれぞれを単独重合したホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
上記Foxの式において、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Wiは該共重合体におけるモノマーiの重量分率(重量基準の共重合割合)、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。
Tgの算出に使用するホモポリマーのガラス転移温度としては、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons, Inc., 1989年)等の公知資料に記載の値を用いるものとする。上記Polymer Handbookに複数種類の値が記載されているモノマーについては、最も高い値を採用する。公知資料にホモポリマーのTgが記載されていない場合は、特開2007-51271号公報に記載の測定方法により得られる値を用いるものとする。
(アクリル系ポリマー(A)の調製方法)
ここに開示される技術において、このようなモノマー成分により構成されたアクリル系ポリマー(A)を得る方法は特に限定されず、溶液重合法、エマルション重合法、バルク重合法、懸濁重合法、光重合法等の、アクリル系ポリマーの合成手法として知られている各種の重合方法を適宜採用することができる。例えば、溶液重合法を好ましく採用し得る。溶液重合を行う際の重合温度は、使用するモノマーおよび溶媒の種類、重合開始剤の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば20℃~170℃程度(典型的には40℃~140℃程度)とすることができる。
溶液重合に用いる溶媒(重合溶媒)は、従来公知の有機溶媒から適宜選択することができる。例えば、トルエン等の芳香族化合物類(典型的には芳香族炭化水素類);酢酸エチル等の酢酸エステル類;ヘキサンやシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素類;1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化アルカン類;イソプロピルアルコール等の低級アルコール類(例えば、炭素原子数1~4の一価アルコール類);tert-ブチルメチルエーテル等のエーテル類;メチルエチルケトン等のケトン類;等から選択されるいずれか1種の溶媒、または2種以上の混合溶媒を用いることができる。
重合に用いる開始剤は、重合方法の種類に応じて、従来公知の重合開始剤から適宜選択することができる。例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ系重合開始剤の1種または2種以上を好ましく使用し得る。重合開始剤の他の例としては、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤;フェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤;芳香族カルボニル化合物;等が挙げられる。重合開始剤のさらに他の例として、過酸化物と還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤が挙げられる。重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、モノマー成分100重量部に対して凡そ0.005~1重量部程度(典型的には凡そ0.01~1重量部程度)の範囲から選択することができる。
上記重合には、必要に応じて、従来公知の各種の連鎖移動剤を使用することができる。例えば、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、α-チオグリセロール等のメルカプタン類を用いることができる。あるいは、硫黄原子を含まない連鎖移動剤(非硫黄系連鎖移動剤)を用いてもよい。非硫黄系連鎖移動剤の例としては、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン等のアニリン類;α-ピネン、ターピノーレン等のテルペノイド類;α-メチルスチレン、α-メチルスチレンダイマー等のスチレン類;等が挙げられる。連鎖移動剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤を使用する場合における使用量は、モノマー原料100重量部に対して、例えば凡そ0.01~1重量部程度とすることができる。
上記アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されず、例えば凡そ10×104~500×104の範囲であり得る。粘着性能の観点から、アクリル系ポリマー(A)のMwは、凡そ20×104~400×104(より好ましくは凡そ30×104~150×104、例えば凡そ50×104~130×104)の範囲にあることが好ましい。
ここで、アクリル系ポリマー(A)のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算して求めることができる。具体的には、GPC測定装置として商品名「HLC-8220GPC」(東ソー社製)を用いて、下記の条件で測定して求めることができる。
[GPCの測定条件]
サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
サンプル注入量:10μL
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流量(流速):0.6mL/分
カラム温度(測定温度):40℃
カラム:
サンプルカラム:商品名「TSKguardcolumn SuperHZ-H」1本+商品名「TSKgel SuperHZM-H」2本」(東ソー社製)
リファレンスカラム:商品名「TSKgel SuperH-RC」1本(東ソー社製)
検出器:示差屈折計(RI)
標準試料:ポリスチレン
(添加剤(HRO))
ここに開示される技術における添加剤(HRO)としては、上述したアクリル系ポリマー(A)との相対関係で、より高屈折率の有機材料が用いられる。ここで、上記「HRO」は、高屈折率(High Refractive index)の有機材料(Organic material)であることを表す。このような添加剤(HRO)とアクリル系ポリマー(A)とを組み合わせて用いることにより、屈折率と粘着特性(剥離強度、柔軟性等)および/または光学特性(全光線透過率、ヘイズ値等)とを好適に両立する粘着剤を実現し得る。添加剤(HRO)として用いられる有機材料は、重合体であってもよく、非重合体であってもよい。また、重合性官能基を有していてもよく、有していなくてもよい。添加剤(HRO)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
添加剤(HRO)の屈折率は、アクリル系ポリマー(A)の屈折率との相対関係で適当な範囲に設定し得るので、特定の範囲に限定されない。添加剤(HRO)の屈折率は、例えば1.55超、1.56超または1.57超であって、かつアクリル系ポリマー(A)の屈折率より高い範囲から選択し得る。粘着剤の高屈折率化の観点から、いくつかの態様において、添加剤(HRO)の屈折率は、1.58以上であることが有利であり、1.60以上であることが好ましく、1.63以上であることがより好ましく、1.65以上でもよく、1.70以上でもよく、1.75以上でもよい。より屈折率の高い添加剤(HRO)によると、より少量の添加剤(HRO)の使用によっても目的の屈折率を達成し得る。このことは粘着特性や光学特性の低下抑制の観点から好ましい。添加剤(HRO)の屈折率の上限は特に制限されないが、粘着剤内における相溶性や、高屈折率化と粘着剤として適した柔軟性との両立容易性等の観点から、例えば3.000以下であり、2.500以下でもよく、2.000以下でもよく、1.950以下でもよく、1.900以下でもよく、1.850以下でもよい。
なお、添加剤(HRO)の屈折率は、モノマーの屈折率と同様に、アッベ屈折率計を用いて、測定波長589nm、測定温度25℃の条件で測定される。メーカー等から25℃における屈折率の公称値が提供されている場合は、その公称値を採用することができる。
添加剤(HRO)の屈折率nbとアクリル系ポリマー(A)の屈折率naとの差、すなわちnb-na(以下、「ΔnA」ともいう。)は、0より大きくなるように設定される。いくつかの態様において、ΔnAは、例えば0.02以上であり、0.05以上でもよく、0.07以上でもよく、0.10以上でもよく、0.15以上でもよく、0.20以上または0.25以上でもよい。ΔnAがより大きくなるようにアクリル系ポリマー(A)および添加剤(HRO)を選択することにより、添加剤(HRO)の使用による屈折率向上効果は高くなる傾向にある。また、粘着剤層内における添加剤(HRO)の相溶性の観点から、いくつかの態様において、ΔnAは、例えば0.70以下であってよく、0.60以下でもよく、0.50以下でもよく、0.40以下または0.35以下でもよい。
いくつかの態様において、添加剤(HRO)の屈折率nbと、該添加剤(HRO)を含む粘着剤層の屈折率nTとの差、すなわちnb-nT(以下、「ΔnB」ともいう。)は、0より大きくなるように設定され得る。いくつかの態様において、ΔnBは、例えば0.02以上であり、0.05以上でもよく、0.07以上でもよく、0.10以上でもよく、0.15以上でもよく、0.20以上または0.25以上でもよい。ΔnBがより大きくなるように粘着剤層の組成および添加剤(HRO)を選択することにより、添加剤(HRO)の使用による屈折率向上効果は高くなる傾向にある。また、粘着剤層内における相溶性や、粘着剤層の透明性等の観点から、いくつかの態様において、ΔnBは、例えば0.70以下であってよく、0.60以下でもよく、0.50以下でもよく、0.40以下または0.35以下でもよい。
添加剤(HRO)として使用する有機材料の分子量は、特に限定されず、目的に応じて選択し得る。高屈折率化の効果と他の特性(例えば、粘着剤に適した柔軟性、ヘイズ等の光学特性)とをバランスよく両立する観点から、いくつかの態様において、添加剤(HRO)の分子量は、凡そ10000未満であることが適当であり、5000未満であることが好ましく、3000未満(例えば1000未満)であることがより好ましく、800未満でもよく、600未満でもよく、500未満でもよく、400未満でもよい。添加剤(HRO)の分子量が大きすぎないことは、粘着剤層内における相溶性向上の観点から有利となり得る。また、添加剤(HRO)の分子量は、例えば130以上であってよく、150以上でもよい。いくつかの態様において、添加剤(HRO)の分子量は、該添加剤(HRO)の高屈折率化の観点から、170以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましく、230以上でもよく、250以上でもよく、270以上でもよく、500以上でもよく、1000以上でもよく、2000以上でもよい。いくつかの態様において、分子量が1000~10000程度(例えば1000以上5000未満)の重合体を、添加剤(HRO)として用いることができる。
添加剤(HRO)の分子量としては、非重合体または低重合度(例えば2~5量体程度)の重合体については、化学構造に基づいて算出される分子量、もしくはマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF-MS)を用いた測定値を用いることができる。添加剤(HRO)がより重合度の高い重合体である場合は、適切な条件で行われるGPCに基づく重量平均分子量(Mw)を用いることができる。メーカー等から分子量の公称値が提供されている場合は、その公称値を採用することができる。
添加剤(HRO)の選択肢となり得る有機材料の例には、芳香環を有する有機化合物、複素環(芳香環でもよく、非芳香族性の複素環でもよい。)を有する有機化合物、等が含まれるが、これらに限定されない。
添加剤(HRO)として用いられる上記芳香環を有する有機化合物(以下、「芳香環含有化合物」ともいう。)の有する芳香環は、モノマー(m1)として用いられる化合物の有する芳香環と同様のものから選択され得る。
上記芳香環は、環構成原子上に1または2以上の置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、グリシジルオキシ基等が例示されるが、これらに限定されない。炭素原子を含む置換基において、該置換基に含まれる炭素原子の数は、例えば1~10であり、有利には1~6であり、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3であり、例えば1または2であり得る。いくつかの態様において、上記芳香環は、環構成原子上に置換基を有しないか、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン原子(例えば臭素原子)からなる群から選択される1または2以上の置換基を有する芳香環であり得る。
添加剤(HRO)として用いられ得る芳香環含有化合物の例としては、例えば:モノマー(m1)として用いられ得る化合物;モノマー(m1)として用いられ得る化合物をモノマー単位として含むオリゴマー;モノマー(m1)として用いられ得る化合物から、エチレン性不飽和基を有する基(環構成原子に結合した置換基であり得る。)または該基のうちエチレン性不飽和基を構成する部分を除き、水素原子またはエチレン性不飽和基を有しない基(例えば、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、グリシジルオキシ基等)に置き換えた構造の化合物;等が挙げられるが、これらに限定されない。添加剤(HRO)として用いられ得る芳香環含有化合物の非限定的な具体例には、ベンジルアクリレート、m-フェノキシベンジルアクリレート、2-(o-フェニルフェノキシ)エチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、上述したフルオレン構造を有するモノマー、ジナフトチオフェン構造を有するモノマー、ジベンゾチオフェン構造を有するモノマー等の芳香環含有モノマー;3-フェノキシベンジルアルコール、ジナフトチオフェンおよびその誘導体(例えば、ジナフトチオフェン環に、ヒドロキシ基、メタノール基、ジエタノール基、グリシジル基等から選択される1種または2種以上の置換基が、1または2以上結合した構造の化合物)等の、エチレン性不飽和基を有しない芳香環含有化合物;等が含まれ得る。また、芳香環含有化合物は、このような芳香環含有モノマーをモノマー単位として含むオリゴマー(好ましくは分子量が凡そ5000以下、より好ましくは凡そ1000以下のオリゴマー。例えば2~5量体程度の低重合物)であり得る。上記オリゴマーは、例えば:芳香環含有モノマーの単独重合体;1種または2種以上の芳香環含有モノマーの共重合体;1種または2種以上の芳香環含有モノマーと他のモノマーとの共重合体;等であり得る。上記他のモノマーとしては、芳香環を有しないモノマーの1種または2種以上が用いられ得る。
いくつかの態様において、添加剤(HRO)としては、高い高屈折率化効果が得られやすいことから、1分子中に2以上の芳香環を有する有機化合物(以下、「芳香環複数含有化合物」ともいう。)を好ましく採用し得る。芳香環複数含有化合物は、エチレン性不飽和基等の重合性官能基を有していてもよく、有していなくてもよい。また、芳香環複数含有化合物は、重合体であってもよく、非重合体であってもよい。また、上記重合体は、芳香環複数含有モノマーをモノマー単位として含むオリゴマー(好ましくは分子量が凡そ5000以下、より好ましくは凡そ1000以下のオリゴマー。例えば2~5量体程度の低重合物)であり得る。上記オリゴマーは、例えば:芳香環複数含有モノマーの単独重合体;1種または2種以上の芳香環複数含有モノマーの共重合体;1種または2種以上の芳香環複数含有モノマーと他のモノマーとの共重合体;等であり得る。上記他のモノマーは、芳香環複数含有モノマーに該当しない芳香環含有モノマーでもよく、芳香環を有しないモノマーでもよく、これらの組合せであってもよい。
芳香環複数含有化合物の非限定的な例としては、2以上の非縮合芳香環がリンキング基を介して結合した構造を有する化合物、2以上の非縮合芳香環が直接(すなわち、他の原子を介さずに)化学結合した構造を有する化合物、縮合芳香環構造を有する化合物、フルオレン構造を有する化合物、ジナフトチオフェン構造を有する化合物、ジベンゾチオフェン構造を有する化合物、等が挙げられる。芳香環複数含有化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
上記フルオレン構造を有する化合物の具体例としては、上述したフルオレン構造を有するモノマーや、かかるモノマーの単独重合体または共重合体であるオリゴマーのほか、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(屈折率:1.68)、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(屈折率:1.73)、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(屈折率:1.68)、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(屈折率:1.65)等の、9,9-ビスフェニルフルオレンおよびその誘導体が挙げられる。
上記ジナフトチオフェン構造を有する化合物の具体例としては、上述したジナフトチオフェン構造を有するモノマーや、かかるモノマーの単独重合体または共重合体であるオリゴマーのほか、ジナフトチオフェン(屈折率:1.808);6-ヒドロキシメチルジナフトチオフェン(屈折率:1.766)等のヒドロキシアルキルジナフトチオフェン;2,12-ジヒドロキシジナフトチオフェン(屈折率:1.750)等のジヒドロキシジナフトチオフェン;2,12-ジヒドロキエチルオキシジナフトチオフェン(屈折率:1.677)等のジヒドロキシアルキルオキシジナフトチオフェン;2,12-ジグリシジルオキシジナフトチオフェン(屈折率1.723)等のジグリシジルオキシジナフトチオフェン;2,12-ジアリルオキシジナフトチオフェン(略号:2,12-DAODNT、屈折率1.729)等の、エチレン性不飽和基を2以上有するジナフトチオフェン;等の、ジナフトチオフェンおよびその誘導体が挙げられる。
上記ジベンゾチオフェン構造を有する化合物の具体例としては、上述したジベンゾチオフェン構造を有するモノマーや、かかるモノマーの単独重合体または共重合体であるオリゴマーのほか、ジベンゾチオフェン(屈折率:1.607)、4-ジメチルジベンゾチオフェン(屈折率:1.617)、4,6-ジメチルジベンゾチオフェン(屈折率:1.617)、等が挙げられる。
添加剤(HRO)の選択肢となり得る、複素環を有する有機化合物(以下、複素環含有有機化合物ともいう。)の例としては、チオエポキシ化合物、トリアジン環を有する化合物、等が挙げられる。チオエポキシ化合物の例としては、特許第3712653号公報に記載のビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィドおよびその重合物(屈折率1.74)が挙げられる。トリアジン環を有する化合物の例としては、1分子内にトリアジン環を少なくとも1つ(例えば3~40個、好ましくは5~20個))有する化合物が挙げられる。なお、トリアジン環は芳香族性を有するため、トリアジン環を有する化合物は上記芳香環含有化合物の概念にも包含され、また、トリアジン環を複数有する化合物は上記芳香環複数含有化合物の概念にも包含される。
いくつかの態様において、添加剤(HRO)としては、エチレン性不飽和基を有しない化合物を好ましく採用し得る。これにより、熱や光による粘着剤組成物の変質(ゲル化の進行や粘度上昇によるレベリング性の低下)を抑制し、保存安定性を高めることができる。エチレン性不飽和基を有しない添加剤(HRO)を採用することは、該添加剤(HRO)を含む粘着剤層を有する粘着シートや、該粘着シートを含む積層体等において、エチレン性不飽和基の反応に起因する寸法変化や変形(反り、波打ち等)、光学歪の発生等を抑制する観点からも好ましい。
添加剤(HRO)としてオリゴマーを使用する態様において、該オリゴマーは、対応するモノマー成分を公知の方法で重合させることにより得ることができる。上記オリゴマーをラジカル重合により製造する場合には、上記モノマー成分に、ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等を適宜添加して 、重合を行うことができる。上記ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は、特に限定されず、適宜選択して使用することができる。なお、オリゴマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜その使用量が調整される。
上記連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2-メルカプトエタノール、α-チオグリセロール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2-エチルヘキシル、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール等が挙げられる。連鎖移動剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。連鎖移動剤の使用量は、オリゴマーの合成に用いられるモノマー成分の組成や連鎖移動剤の種類等に応じて、所望の重量平均分子量のオリゴマーが得られるように設定することができる。いくつかの態様において、オリゴマーの合成に用いられるモノマーの全量100重量部に対する連鎖移動剤の使用量は、凡そ15重量部以下とすることが適当であり、10重量部以下でもよく、5重量部程度以下でもよい。オリゴマーの合成に用いられるモノマーの全量100重量部に対する連鎖移動剤の使用量の下限は特に制限されないが、例えば0.01重量部以上であってよく、0.1重量部以上でもよく、0.5重量部以上でもよく、1重量部以上でもよい。
アクリル系ポリマー(A)100重量部に対する添加剤(HRO)の使用量(複数種の化合物を用いる場合は、それらの合計量)は、0重量部超であれば特に限定されず、目的に応じて設定することができる。いくつかの態様において、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対する添加剤(HRO)の使用量は、例えば80重量部以下とすることができ、粘着剤の高屈折率化と粘着特性や光学特性の低下抑制とをバランスよく両立する観点から、60重量部以下とすることが有利であり、45重量部以下とすることが好ましい。より粘着特性や光学特性を重視するいくつかの態様において、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対する添加剤(HRO)の使用量は、例えば30重量部以下であってよく、20重量部以下でもよく、15重量部以下でもよく、10重量部以下でもよい。また、粘着剤の高屈折率化の観点から、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対する添加剤(HRO)の使用量は、例えば1重量部以上とすることができ、3重量部以上とすることが有利であり、5重量部以上とすることが好ましく、7重量部以上でもよく、10重量部以上でもよく、15重量部以上でもよく、20重量部以上でもよい。
(架橋剤)
ここに開示される粘着剤組成物には、粘着剤の凝集力の調整等の目的で、必要に応じて架橋剤を含有させることができる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系樹脂、金属キレート系架橋剤等の、粘着剤の分野において公知の架橋剤を使用することができる。なかでもイソシアネート系架橋剤を好ましく採用し得る。架橋剤の他の例として、1分子内に2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、すなわち多官能性モノマーが挙げられる。架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
イソシアネート系架橋剤としては、2官能以上のイソシアネート化合物を用いることができ、例えば、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどの脂環族イソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族イソシアネート類;上記イソシアネート化合物をアロファネート結合、ビウレット結合、イソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、ウレア結合、カルボジイミド結合、ウレトンイミン結合、オキサジアジントリオン結合などにより変性したポリイソシネート変性体;などが挙げられる。市販品の例としては、商品名タケネート300S、タケネート500、タケネート600、タケネートD165N、タケネートD178N(以上、武田薬品工業社製)、スミジュールT80、スミジュールL、デスモジュールN3400(以上、住化バイエルウレタン社製)、ミリオネートMR、ミリオネートMT、コロネートL、コロネートHL、コロネートHX(以上、東ソー社製)などが挙げられる。イソシアネート化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。2官能のイソシアネート化合物と3官能以上のイソシアネート化合物を併用してもよい。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミンおよび1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジオール(メタ)アクリレート、ヘキシルジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能性モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤(多官能性モノマーであり得る。)を用いる場合における使用量は、特に限定されず、例えば上記モノマー成分100重量部に対して0.001重量部~5.0重量部程度の範囲とすることができる。粘着剤の柔軟性向上の観点から、いくつかの態様において、モノマー成分100重量部に対する架橋剤の使用量は、好ましくは3.0重量部以下、より好ましくは2.0重量部以下であり、1.0重量部以下でもよく、0.5重量部以下でもよく、0.2重量部以下でもよい。また、架橋剤の使用効果を適切に発揮する観点から、いくつかの態様において、モノマー成分100重量部に対する架橋剤の使用量は、例えば0.005重量部以上であってよく、0.01重量部以上であってもよく、0.05重量部以上でもよく、0.08重量部以上でもよい。
架橋反応をより効果的に進行させるために、架橋触媒を用いてもよい。架橋触媒の例としては、テトラ-n-ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ナーセム第二鉄、ブチルスズオキシド、ジオクチルスズジラウレート等の金属系架橋触媒等が挙げられる。なかでも、ジオクチルスズジラウレート等のスズ系架橋触媒が好ましい。架橋触媒の使用量は特に制限されない。モノマー成分100重量部に対する架橋触媒の使用量は、架橋反応速度の速さと粘着剤組成物のポットライフの長さとのバランスを考慮して、例えば凡そ0.0001重量部以上1重量部以下の範囲とすることができ、0.001重量部以上0.5重量部以下の範囲とすることが好ましい。
粘着剤組成物には、架橋遅延剤として、ケト-エノール互変異性を生じる化合物を含有させることができる。これにより、粘着剤組成物のポットライフを延長する効果が実現され得る。例えば、イソシアネート系架橋剤を含む粘着剤組成物において、ケト-エノール互変異性を生じる化合物を好ましく利用し得る。ケト-エノール互変異性を生じる化合物としては、各種のβ-ジカルボニル化合物を用いることができる。例えば、β-ジケトン類(アセチルアセトン、2,4-ヘキサンジオン等)やアセト酢酸エステル類(アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等)を好ましく採用し得る。ケト-エノール互変異性を生じる化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。ケト-エノール互変異性を生じる化合物の使用量は、モノマー成分100重量部に対して、例えば0.1重量部以上20重量部以下とすることができ、0.5重量部以上10重量部以下としてもよく、1重量部以上5重量部以下としてもよい。
(粘着付与剤)
ここに開示される粘着剤組成物には、粘着付与剤を含有させてもよい。粘着付与剤としては、ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂等の公知の粘着付与樹脂を用いることができる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。粘着付与樹脂の使用量は特に限定されず、目的や用途に応じて適切な粘着性能が発揮されるように設定することができる。いくつかの態様において、屈折率や透明性の観点から、モノマー成分100重量部に対する粘着付与剤の使用量は、30重量部以下とすることが適当であり、10重量部以下とすることが好ましく、5重量部以下とすることがより好ましい。ここに開示される技術は、粘着付与剤を使用しない態様で好ましく実施され得る。
(可塑化材料)
ここに開示される粘着剤組成物のいくつかの態様において、該粘着剤組成物は、所望により用いられる添加剤として、アクリル系ポリマー(A)より低分子量の可塑化材料をさらに含み得る。可塑化材料の使用により、粘着剤層の柔軟性を高め、被着体に対する密着性や、粘着シート全体としての柔軟性や変形に対する追従性を向上させ得る。可塑化材料としては、粘着剤層内における相溶性や透明性の観点から、有機材料を好ましく採用し得る。可塑化材料は、上述した添加剤(HRO)としても用いられ得る材料であってもよい。
可塑化材料の分子量は、アクリル系ポリマー(A)より低ければよく、特に限定されない。いくつかの態様において、可塑化材料の分子量は、可塑化効果を発現しやすくする観点から、30000以下でもよく、25000以下でもよく、10000未満でもよく、5000未満であることが好ましく、3000未満(例えば1000未満)であることがより好ましく、800未満でもよく、600未満でもよく、500未満でもよく、400未満でもよい。可塑化材料の分子量が大きすぎないことは、粘着剤層内における相溶性向上等の観点から有利となり得る。また、いくつかの態様において、可塑化材料の分子量は、十分な可塑化効果を発揮しやすくする観点から、130以上であることが適当であり、150以上であることが好ましく、170以上でもよく、200以上でもよく、250以上でもよく、300以上でもよい。いくつかの態様において、可塑化材料の分子量は、500以上であってもよく、1000以上であってもよく、2000以上であってもよい。可塑化材料の分子量が低すぎないことは、粘着シートの耐熱性能や被着体の汚染抑制の観点からも好ましい。
可塑化材料の選択肢となり得る化合物の非限定的な例には、モノマー(m1)として用いられ得る化合物(例えば、ベンジル基、フェノキシ基、ナフチル基等の芳香環を有する(メタ)アクリレート、フルオレン構造を有するモノマー、ジナフトチオフェン構造を有するモノマー、ジベンゾチオフェン構造を有するモノマー等);モノマー(m1)として用いられ得る化合物をモノマー単位として含むオリゴマー;モノマー(m1)として用いられ得る化合物から、エチレン性不飽和基を有する部分を除き、水素原子またはエチレン性不飽和基を有しない基に置き換えた構造の化合物(例えば、3-フェノキシベンジルアルコール);等が含まれる。モノマー(m1)として用いられ得る化合物をモノマー単位として含むオリゴマーには、柔軟性向上の観点から、例えばn-ブチルアクリレートや2-エチルヘキシルアクリレート等の低Tgモノマーが共重合されていてもよい。可塑化材料として、公知の可塑剤(例えば、フタル酸エステル系、テレフタル酸エステル系、アジピン酸エステル系、アジピン酸系ポリエステル、安息香酸グリコールエステル等)の1種または2種以上を利用してもよい。
いくつかの態様において、可塑化材料としては、屈折率が凡そ1.50以上(より好ましくは1.53以上)の有機材料が好ましく用いられ得る。可塑化材料の選択肢となり得る化合物の具体例には、ジエチレングリコールジベンゾエート(屈折率1.55)、ジプロピレングリコールジベンゾエート(屈折率1.54)、3-フェノキシトルエン(屈折率1.57)、3-エチルビフェニル(屈折率1.59)、3-メトキシビフェニル(屈折率1.61)、4-メトキシビフェニル(屈折率1.57)、ポリエチレングリコールジベンゾエート、3-フェノキシベンジルアルコール(屈折率1.59)、トリフェニルホスフェート(屈折率1.56)、安息香酸ベンジル(屈折率1.57)、4-(tert-ブチル)フェニルジフェニルホスフェート(屈折率1.56)、トリメチルフェニルホスフェート(屈折率1.55)、ブチルベンジルフタレート(屈折率1.54)、ロジンメチルエステル(屈折率1.53)、アルキルベンジルフタレート(屈折率1.53)、ブチル(フェニルスルホニル)アミン(屈折率1.53)、トリメチルトリメリテート(屈折率1.52)、ベンジルフタレート(屈折率1.52)、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート(屈折率1.51)、亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、等が含まれるが、これらに限定されない。屈折率および相溶性の観点から、例えばジエチレングリコールジベンゾエートを好ましく採用し得る。可塑化材料の屈折率の上限は、特に制限されず、例えば3.00以下であり得る。いくつかの態様において、粘着剤組成物の調製容易性や、粘着剤内における相溶性等の観点から、可塑化材料の屈折率は、2.50以下であることが適当であり、2.00以下であることが有利であり、1.90以下でもよく、1.80以下でもよく、1.70以下でもよい。
なお、可塑化材料の屈折率は、モノマーの屈折率と同様に、アッベ屈折率計を用いて、測定波長589nm、測定温度25℃の条件で測定される。メーカー等から25℃における屈折率の公称値が提供されている場合は、その公称値を採用することができる。
可塑化材料を使用する態様において、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対する可塑化材料の使用量は、特に限定されず、目的に応じて設定することができる。可塑化効果を高める観点から、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対する可塑化材料の使用量は、例えば0.1重量部以上であってよく、0.5重量部以上であってもよく、より高い可塑化効果を得る観点から1重量部以上とすることが好ましく、3重量部以上とすることがより好ましく、5重量部以上でもよく、7重量部以上でもよく、10重量部以上でもよく、15重量部以上でもよく、20重量部以上でもよい。また、粘着剤の高屈折率化と透明性および可塑化効果とをバランスよく両立する観点から、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対する可塑化剤の使用量は、凡そ100重量部以下とすることが適当であり、80重量部以下とすることが好ましく、60重量部以下とすることがより好ましく、45重量部以下でもよく、35重量部以下でもよく、25重量部以下でもよい。より粘着特性や光学特性を重視するいくつかの態様において、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対する可塑化材料の使用量は、15重量部以下でもよく、10重量部以下でもよく、5重量部以下でもよい。
(レベリング剤)
ここに開示される粘着剤組成物には、該組成物から形成される粘着剤層の外観向上(例えば、厚みの均一性の向上)や上記粘着剤組成物の塗工性向上等の目的で、必要に応じてレベリング剤を含有させることができる。レベリング剤の非限定的な例としては、アクリル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが挙げられる。レベリング剤は、例えば、市販のレベリング剤から適切なものを選択し、常法により用いることができる。
いくつかの態様において、上記レベリング剤として、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマー(以下、「モノマーS1」ともいう。)とアクリル系モノマーとを含むモノマー原料(以下、「モノマー原料B」ともいう。)の重合物であるポリマー(以下、「ポリマー(B)」ともいう。)を好ましく用いることができる。ポリマー(B)は、モノマーS1とアクリル系モノマーとの共重合体ということができる。ポリマー(B)は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
モノマーS1としては、特に限定されず、ポリオルガノシロキサン骨格を含有する任意のモノマーを用いることができる。モノマーS1としては、片末端に重合性反応基を有する構造のものを好ましく用いることができる。なかでも、片末端に重合性反応基を有し、かつ、他の末端にアクリル系ポリマー(A)と架橋反応を生じる官能基を有しない構造のモノマーS1を好ましく採用し得る。市販品としては、例えば、信越化学工業社製の片末端反応性シリコーンオイル(例えば、X-22-174ASX、X-22-2426、X-22-2475、KF-2012等の品番)が挙げられる。モノマーS1は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
モノマーS1の官能基当量は、例えば100g/mol~30000g/mol程度であり得る。いくつかの好ましい態様では、上記官能基当量は、例えば500g/mol以上であり、800g/mol以上でもよく、1500g/mol以上でもよく、2000g/mol以上でもよい。また、上記官能基当量は、例えば20000g/mol以下であってよく、10000g/mol未満でもよく、7000g/mol以下でもよく、5500g/mol以下でもよい。モノマーS1の官能基当量が上記範囲内であると、良好なレベリング効果が発揮されやすい。
なお、モノマーS1として官能基当量が異なる二種類以上のモノマーを用いる場合、モノマーS1の官能基当量とは、各種類のモノマーの官能基当量と該モノマーの重量分率との積の総和を用いることができる。
ここで、「官能基当量」とは、官能基1個当たりに結合している主骨格(例えばポリジメチルシロキサン)の重量を意味する。標記単位g/molに関しては、官能基1molと換算している。モノマーS1の官能基当量は、例えば、核磁気共鳴(NMR)に基づく1H-NMR(プロトンNMR)のスペクトル強度から算出することができる。1H-NMRのスペクトル強度に基づくモノマーS1の官能基当量(g/mol)の算出は、1H-NMRスペクトル解析に係る一般的な構造解析手法に基づいて、必要であれば特許第5951153号公報の記載を参照して行うことができる。モノマーS1の官能基当量において、上記官能基とは、重合性官能基(例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基)を意味する。
モノマー原料BにおけるモノマーS1の含有量は、該モノマーS1を用いて所望の効果が発揮される範囲で適切な値を採用することができ、特定の範囲に限定されない。いくつかの態様において、モノマー原料BにおけるモノマーS1の含有量は、例えば5~60重量%であってよく、10~50重量%でもよく、15~40重量%でもよい。
モノマー原料Bは、モノマーS1に加えて、モノマーS1と共重合可能なアクリル系モノマーを含む。これにより、粘着剤層内におけるポリマー(B)の相溶性を改善し得る。モノマー原料Bに使用し得るアクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。ここでいう「アルキル」は、鎖状(直鎖状、分岐鎖状を包含する。)のアルキル(基)をいい、後述の脂環式炭化水素基を含まない。いくつかの態様において、モノマー原料Bは、(メタ)アクリル酸C4-12アルキルエステル(好ましくは(メタ)アクリル酸C4-10アルキルエステル、例えば(メタ)アクリル酸C6-10アルキルエステル)の少なくとも一種を含有し得る。他のいくつかの態様において、モノマー原料Bは、メタクリル酸C1-18アルキルエステル(好ましくはメタクリル酸C1-14アルキルエステル、例えばメタクリル酸C1-10アルキルエステル)の少なくとも一種を含有し得る。モノマー原料Bは、アクリル系モノマーとして、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸n-ブチル(BMA)およびメタクリル酸2-エチルヘキシル(2EHMA)から選択される一種または二種以上を含み得る。
上記アクリル系モノマーの他の例として、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート等を用いることができる。脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを使用しなくてもよい。
モノマー原料Bにおける上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび上記脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、例えば10重量%以上95重量%以下であってよく、20重量%以上95重量%以下であってもよく、30重量%以上90重量%以下であってもよく、40重量%以上90重量%以下であってもよく、50重量%以上85重量%以下であってもよい。
モノマーS1とともにモノマー原料Bに含まれ得るモノマーの他の例として、アクリル系ポリマーに用いられ得るモノマーとして上記で例示したカルボキシ基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、水酸基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、(メタ)アクリル酸アミノアルキル類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、オレフィン類、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ハロゲン原子含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリマー(B)のMwは、例えば5,000以上であってよく、10,000以上であることが好ましく、15,000以上でもよい。また、ポリマー(B)のMwは、例えば200,000以下であってよく、100,000以下であることが好ましく、50,000以下でもよく、30,000以下でもよい。ポリマー(B)のMwを適当な範囲に設定することにより、好適な相溶性およびレベリング性が発揮され得る。
ポリマー(B)は、例えば、上述したモノマーを、溶液重合法、エマルション重合法、バルク重合法、懸濁重合法、光重合法等の公知の手法により重合させることで作製することができる。
ポリマー(B)の分子量を調整するために、必要に応じて連鎖移動剤を用いることができる。使用する連鎖移動剤の例としては、t-ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、α-チオグリセロール等のメルカプト基を有する化合物;チオグリコール酸、チオグリコール酸メチル等のチオグリコール酸エステル類;α-メチルスチレンダイマー;等が挙げられる。連鎖移動剤の使用量は特に制限されず、所望の分子量を有するポリマー(B)が得られるように適宜設定し得る。いくつかの態様において、モノマー100重量部に対する連鎖移動剤の使用量は、例えば0.1~5重量部であってよく、0.2~3重量部でもよく、0.5~2重量部でもよい。
アクリル系ポリマー(A)100重量部に対するポリマー(B)の使用量は、例えば0.001重量部以上とすることができ、より高い使用効果を得る観点から0.01重量部以上としてもよく、0.03重量部以上としてもよい。また、上記ポリマー(B)の使用量は、例えば3重量部以下であってよく、屈折率への影響を軽減する観点から1重量部以下とすることが適当であり、0.5重量部以下でもよく、0.1重量部以下でもよい。
(無機粒子)
ここに開示される技術は、屈折率を高めるための無機粒子を実質的に使用しない態様で好ましく実施され得るが、ここに開示される技術の適用効果を大きく損なわない限度において、添加剤(HRO)に加えて高屈折率の無機粒子を補助的に使用することは妨げられない。上記無機粒子の例としては、チタニア(酸化チタン、TiO2)、ジルコニア(酸化ジルコニウム、ZrO2)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化銅、チタン酸バリウム、酸化ニオブ(Nb2O5等)等の無機酸化物(具体的には金属酸化物)により構成された無機粒子が挙げられる。上記無機粒子の平均粒径(レーザ散乱・回折法に基づく50%体積平均粒子径をいう。)は、例えば10nm~100nm程度の範囲から選択し得る。上記無機粒子の使用量は、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して5重量部未満とすることが好ましく、1重量部未満とすることがより好ましい。添加剤(HRO)を使用する態様では、上記無機粒子の使用量は、重量基準で、上記添加剤(HRO)の使用量の2倍以下とすることが好ましく、1倍以下または0.5倍以下とすることがより好ましい。
(その他の添加剤)
ここに開示される粘着剤組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、可塑剤、軟化剤、着色剤、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、防腐剤等の、粘着剤組成物に使用され得る公知の添加剤を、必要に応じて含んでいてもよい。このような各種添加剤については、従来公知のものを常法により使用することができ、特に本発明を特徴づけるものではないので、詳細な説明は省略する。
<粘着剤>
ここに開示される粘着剤は、例えば、上述したいずれかの粘着剤組成物を用いて形成することができる。かかる粘着剤は、溶剤型、活性エネルギー線硬化型、水分散型、ホットメルト型等の形態の粘着剤組成物を、乾燥、架橋、重合、冷却等により硬化させてなる粘着剤、すなわち上記粘着剤組成物の硬化物であり得る。粘着剤組成物の硬化手段(例えば乾燥、架橋、重合、冷却等)は、1種のみを適用してもよく、2種以上を同時に、または多段階にわたって適用してもよい。溶剤型粘着剤組成物では、典型的には該組成物を乾燥(好ましくは、さらに架橋)させて粘着剤を形成することができる。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物では、典型的には活性エネルギー線を照射して重合反応および/または架橋反応を進行させることにより粘着剤が形成される。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物で乾燥させる必要がある場合は、乾燥後に活性エネルギー線を照射するとよい。
(屈折率)
ここに開示される粘着剤は、所定以上の屈折率を示すものであり得る。ここに開示される技術によると、屈折率が例えば1.560以上(好ましくは1.570以上、より好ましくは1.570超)である粘着剤、該粘着剤を形成することのできる粘着剤組成物、および上記粘着剤を含む粘着シートが提供され得る。
なお、本明細書において粘着剤の屈折率とは、該粘着剤の表面(粘着面)の屈折率をいう。粘着剤の屈折率は、市販の屈折率測定装置(アッベ屈折率計)を用いて、測定波長589nm、測定温度25℃の条件で測定することができる。アッベ屈折率計としては、例えばATAGO社製の型式「DR-M4」またはその相当品が用いられる。測定サンプルとしては、評価対象の粘着剤からなる粘着剤層を用いることができる。粘着剤の屈折率は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。粘着剤の屈折率は、例えば、該粘着剤の組成によって調節することができる。
いくつかの態様において、上記粘着剤の屈折率は、好ましくは1.575以上(例えば1.575超)、より好ましくは1.580以上、さらに好ましくは1.585以上、特に好ましくは1.590以上(例えば1.595以上)であり得る。かかる屈折率を有する粘着剤によると、該粘着剤と被着体との屈折率差を利用して、光の挙動を効果的に制御することができる。ここに開示される粘着剤のいくつかの態様において、該粘着剤の屈折率は、例えば1.600以上または1.600超、1.605以上または1.605超、あるいは1.610以上または1.610超であり得る。粘着剤の屈折率の好ましい上限は、被着体の屈折率等に応じて異なり得るので特定の範囲に限定されない。いくつかの態様において、粘着特性や透明性とのバランスを考慮して、粘着剤の屈折率は、例えば1.700以下であってよく、1.670以下でもよく、1.650以下でもよい。
<粘着シート>
この明細書により、粘着剤層を有する粘着シートが提供される。上記粘着剤層を構成する粘着剤は、ここに開示されるいずれかの粘着剤組成物から形成された粘着剤(例えば、該粘着剤組成物の硬化物)であり得る。
上記粘着シートは、非剥離性の基材(支持基材)の片面または両面に粘着剤層を有する形態の基材付き粘着シートであってもよく、上記粘着剤層が剥離ライナーに保持された形態等の基材レスの粘着シート(すなわち、非剥離性の基材を有しない粘着シート。典型的には粘着剤層からなる粘着シート)であってもよい。ここでいう粘着シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。ここに開示される粘着シートは、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。あるいは、さらに種々の形状に加工された形態の粘着シートであってもよい。
ここに開示される粘着シートの一構成例を図1に示す。この粘着シート1は、第1の表面10Aが被着体への貼付面(粘着面)となっている粘着剤層10と、粘着剤層10の第2の表面10Bに積層された支持基材20と、を含む片面接着性の粘着シート(片面粘着シート)として構成されている。粘着剤層10の第2の表面10Bは、支持基材20の第1面(非剥離性の表面)20Aに接合している。支持基材20としては、例えばポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムが用いられ得る。支持基材20は、例えば偏光板等の光学フィルムであってもよい。使用前(被着体への貼付け前)の粘着シート1は、例えば図1に示すように、粘着面10Aが、少なくとも該粘着剤層側が剥離性表面(剥離面)となっている剥離ライナー30で保護された、剥離ライナー付き粘着シート50の形態であり得る。あるいは、支持基材20の第2面20B(第1面20Aとは反対側の表面であり、背面ともいう。)が剥離面となっており、この第2面20Bに粘着面10Aが当接するように巻回または積層されることで粘着面10Aが保護された形態であってもよい。粘着剤層10は、単層構造であってもよく、組成の異なる二以上のサブ粘着剤層が直接接して(すなわち、非粘着性材料により構成された層によって隔てられることなく)積層した積層構造であってもよい。
剥離ライナーとしては、特に限定されず、例えば樹脂フィルムや紙等のライナー基材の表面が剥離処理された剥離ライナーや、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)の低接着性材料からなる剥離ライナー等を用いることができる。上記剥離処理には、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系等の剥離処理剤が用いられ得る。いくつかの態様において、剥離処理された樹脂フィルムを剥離ライナーとして好ましく採用し得る。
ここに開示される粘着シートは、粘着剤層からなる基材レス両面粘着シートの態様であってもよい。図2に示すように、基材レス両面粘着シート2は、使用前においては、粘着剤層10の第1の表面(第1粘着面)10Aおよび第2の表面(第2粘着面)10Bが、少なくとも該粘着剤層側が剥離性表面(剥離面)となっている剥離ライナー31,32で保護された形態であり得る。あるいは、剥離ライナー31の背面(粘着剤側とは反対側の表面)が剥離面となっており、剥離ライナー31の背面に粘着面10Bが当接するように巻回または積層されることで粘着面10A,10Bが保護された形態であってもよい。このような基材レス両面粘着シートは、例えば、第1粘着面および第2粘着面のうち少なくとも一方の粘着面に基材(光学フィルム等の光学部材であり得る。)を接合して使用され得る。基材レス両面粘着シートを構成する粘着剤層は、図1に示す粘着シート1における粘着剤層10と同様に、単層構造であってもよく、組成の異なる二以上のサブ粘着剤層が直接接して積層した積層構造であってもよい。
ここに開示される粘着シートは、粘着剤層の一方の表面に光学部材が接合された粘着シート付き光学部材の構成要素であり得る。例えば、図1に示す粘着シート1は、図3に示すように、粘着剤層10の一方の表面10Aに光学部材70が接合された粘着シート付き光学部材100の構成要素であり得る。上記光学部材は、例えば、ガラス板、樹脂フィルム、金属板等であり得る。また、図1に示す粘着シート1において、支持基材20が光学フィルム等の光学部材である場合、該粘着シート1は、粘着剤層10の第2の表面10Bに光学部材が接合された粘着シート付き光学部材として把握され得る。
また、ここに開示される粘着シートは、特に図示しないが、非剥離性の第1面および第2面を有する支持基材を備え、上記第1面に第1粘着剤層が固定的に積層され、上記第2面に第2粘着剤層が固定的に積層された、基材付きの両面接着性粘着シート(基材付き両面粘着シート)の形態であってもよい。このような基材付き両面粘着シートの構成例として、図1に示す片面粘着シート1において、支持基材20の第2面20Bが非剥離性の表面であって該第2面20B上に第2粘着剤層が設けられ、上記第2粘着剤層の第2の表面が支持基材20の第2面20Bに接合し、上記第2粘着剤層の第1の表面(第2の表面とは反対側の表面)が基材付き両面粘着シートの第2粘着面となっている形態が挙げられる。第2粘着剤層を構成する粘着剤の組成は、第1粘着剤層を構成する粘着剤の組成と同様であってもよく、異なっていてもよい。使用前の基材付き両面粘着シートは、上述した基材レス両面粘着シートと同様に、第1粘着面および第2粘着面が剥離ライナーによって保護された形態であり得る。
ここに開示される粘着シートが、両面が粘着面となっている両面粘着シート(基材レス両面粘着シートおよび基材付き両面粘着シートの両方を包含する。特に断りのない限り以下同じ。)の形態である場合、第1粘着面および第2粘着面の屈折率は特に制限されない。いくつかの態様では、少なくも第1粘着面が上述したいずれかの屈折率を満たすことが好ましい、第1粘着面および第2粘着面がいずれも上述したいずれかの屈折率を満たす両面粘着シートであってもよい。
いくつかの態様において、第2粘着面の屈折率n2は、第1粘着面の屈折率n1と概ね同程度であり得る。より具体的には、両粘着面の屈折率の差の絶対値、すなわち|n1-n2|は、例えば0.05未満、または0.03未満、または0.01未満であり得る。|n1-n2|の下限は、0.00でもよく、0.00より大でもよい。両粘着面の屈折率の相対関係は、n1>n2でもよく、n1<n2でもよく、n1=n2でもよい。
他のいくつかの態様において、粘着シートの第1粘着面の屈折率n1と第2粘着面の屈折率n2との差、すなわちn1-n2は、例えば0.00より大であってよく、0.01以上でもよく、0.03以上でもよく、0.05以上でもよく、0.10以上でもよく、0.15以上でもよく、0.20以上でもよく、0.25以上でもよい。n1とn2との大小関係は逆でもよい。第1粘着面と第2粘着面とで屈折率が異なる両面粘着シートは、例えば、基材付き両面粘着シートにおいて非剥離性の支持基材に互いに屈折率の異なる第1、第2粘着剤層を積層することや、基材レス両面粘着シートを構成する粘着剤層を互いに屈折率の異なる2以上のサブ粘着剤層の積層構造とすることによって実現し得る。
ここに開示される粘着シートの粘着剤層は、粘着剤組成物を適当な表面に付与(例えば塗布)した後、該組成物を硬化させることにより形成され得る。粘着剤組成物の塗布は、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の慣用のコーターを用いて実施することができる。
ここに開示される粘着シートの粘着剤層は、後硬化性を有する粘着剤層であってもよく、後硬化性を有しない粘着剤層であってもよい。ここで、後硬化性を有する粘着剤層とは、熱または活性エネルギー線(例えば紫外線)の照射によってさらに硬化させることが可能な粘着剤層をいう。後硬化性を有する粘着剤層の例として、ベースポリマー(例えば、アクリル系ポリマー(A))の側鎖に未反応のエチレン性不飽和基を有する粘着剤層や、未反応の多官能性モノマーを含む粘着剤層が挙げられる。いくつかの態様において、粘着剤層は後硬化性を有しないことが好ましい。後硬化性を有しない粘着剤層は、後硬化反応に伴う寸法変化を生じない(すなわち、寸法安定性がよい)ので、粘着シートまたは該粘着シートが貼り付けられた被着体の反りを抑制しやすい。後硬化による寸法変化(例えば硬化収縮)が生じないことは、粘着剤層の光学歪を抑制する観点からも有利となり得る。
粘着剤層の厚さは特に限定されず、例えば3μm以上とすることができる。いくつかの態様において、粘着剤層の厚さは、例えば5μm以上であってよく、10μm以上でもよく、20μm以上でもよく、30μm以上でもよく、50μm以上でもよく、70μm以上または85μm以上でもよい。また、いくつかの態様において、粘着剤層の厚さは、例えば300μm以下であってよく、250μm以下でもよく、200μm以下でもよく、150μm以下でもよく、120μm以下でもよい。粘着剤層の厚さが大きすぎないことは、粘着シートの薄型化等の観点から有利となり得る。ここに開示される技術は、例えば、粘着剤層の厚さが3μm~200μm(より好ましくは5μm~100μm)の範囲となる態様で好ましく実施され得る。なお、基材の第1面および第2面に第1粘着剤層および第2粘着剤層を有する粘着シートの場合、上述した粘着剤層の厚さは、少なくとも第1粘着剤層の厚さに適用され得る。第2粘着剤層の厚さも同様の範囲から選択され得る。また、粘着剤層からなる基材レス両面粘着シートでは、該粘着剤層の厚さが粘着シートの厚さとなる。
(全光線透過率)
ここに開示される技術において、粘着剤層の全光線透過率は、例えば50%よりも大きいことが適当であり、70%以上であることが好ましい。いくつかの好ましい態様では、上記被着体の全光線透過率は85%以上であり、86%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上(例えば90.0%超)であることがより好ましく、90.5%以上でもよい。このように透明性の高い粘着剤層を有する粘着シートは、基材を有する構成または有しない構成において、高い光透過性が求められる用途(例えば光学用途)や、該粘着シートを通して被着体を良好に視認し得る性能が求められる用途に好ましく適用され得る。いくつかの態様において、粘着剤層の全光線透過率は、93%以上でもよく、95%以上でもよい。全光線透過率の上限は、理論的には、100%から空気界面で生じる反射による光損失(フレネルロス)を除いた値となり、実用上、凡そ98%以下であってよく、凡そ96%以下でもよく、凡そ95%以下でもよい。いくつかの態様では、屈折率や粘着特性を考慮して、粘着剤層の全光線透過率は、凡そ94%以下でもよく、凡そ93%以下でもよく、凡そ92%以下でもよい。全光線透過率は、JIS K 7136:2000に準拠して、市販の透過率計を使用して測定される。透過率計としては、村上色彩技術研究所製の商品名「HAZEMETER HM-150」またはその相当品が用いられる。より具体的には、例えば後述の実施例に従って粘着剤層の全光線透過率を測定することができる。粘着剤層の全光線透過率は、例えば、該粘着剤層の組成や厚さ等の選択によって調節することができる。
ここに開示される粘着シートが、第1粘着剤層および第2粘着剤層が支持基材に固定的に積層された基材付き両面粘着シートの形態である場合は、少なくとも第1粘着剤層が上述したいずれかの全光線透過率を満たすことが好ましい。粘着シートの厚み方向に光が通り抜ける使用態様では、第1粘着剤層および第2粘着剤層の両方が、上述したいずれかの全光線透過率を満たすことが好ましい。両粘着剤層の全光線透過率の相対関係は、第1粘着剤層>第2粘着剤層でもよく、第1粘着剤層<第2粘着剤層でもよく、第1粘着剤層=第2粘着剤層でもよい。
(ヘイズ値)
いくつかの態様において、粘着シートを構成する粘着剤層のヘイズ値は、例えば5.0%以下であってよく、3.0%以下(例えば2.0%以下)であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.9%以下であることがさらに好ましい。このように透明性の高い粘着剤層を有する粘着シートは、基材を有する構成または有しない構成において、高い光透過性が求められる用途(例えば光学用途)や、該粘着シートを通して被着体を良好に視認し得る性能が求められる用途に好ましく適用され得る。いくつかの態様において、粘着剤層のヘイズ値は、0.8%以下でもよく、0.5%以下でもよく、0.3%以下でもよい。粘着剤層のヘイズ値の下限は特に制限されず、透明性向上の観点からはヘイズ値は小さいほど好ましい。一方、いくつかの態様では、屈折率や粘着特性を考慮して、ヘイズ値は、例えば0.05%以上であってよく、0.1%以上でもよく、0.2%以上でもよく、0.3%以上でもよく、0.4%以上でもよい。粘着剤層に関するこれらのヘイズ値は、ここに開示される技術を基材レス粘着シート(典型的には、粘着剤層からなる粘着シート)の形態で実施する場合における該粘着シートのヘイズ値にも好ましく適用され得る。
ここで「ヘイズ値」とは、測定対象に可視光を照射したときの、全透過光に対する拡散透過光の割合をいう。くもり価ともいう。ヘイズ値は、以下の式で表すことができる。
Th(%)=Td/Tt×100
上記式において、Thはヘイズ値(%)であり、Tdは散乱光透過率、Ttは全光透過率である。ヘイズ値の測定は、後述の実施例に記載の方法に従って行うことができる。粘着剤層のヘイズ値は、例えば、該粘着剤層の組成や厚さ等の選択によって調節することができる。
ここに開示される粘着シートが、第1粘着剤層および第2粘着剤層が支持基材に固定的に積層された基材付き両面粘着シートの形態である場合、少なくとも第1粘着剤層が上述したいずれかのヘイズ値を満たせばよく、第2粘着剤層のヘイズ値は特に制限されない。粘着シートの厚み方向に光が通り抜ける使用態様では、第2粘着剤層のヘイズ値が、上述した第1粘着剤層のヘイズ値のいずれかを満たすことが好ましい。両粘着剤層のヘイズ値の相対関係は、第1粘着剤層>第2粘着剤層でもよく、第1粘着剤層<第2粘着剤層でもよく、第1粘着剤層=第2粘着剤層でもよい。
(粘着面の表面平滑性)
ここに開示される粘着シートのいくつかの態様において、該粘着シートの粘着面は、高い表面平滑性を有することが好ましい。
例えば、上記粘着面は、その算術平均粗さRaが所定値以下に制限されていることが好ましい。算術平均粗さRaが低くなるように設計された粘着面を備える構成は、光学的均質性の観点から好ましい。算術平均粗さRaを制限することにより、例えば上記粘着面を通じて光が取り出される使用態様(発光装置において自発光素子よりも視点側に配置される粘着シート等)において、粘着剤層の表面状態に起因する輝度ムラの発生を抑制する効果を発揮することができる。粘着面の算術平均粗さRaが低いことは、光学歪の抑制にも有利であり、光学歪の抑制もまた光学的均質性の向上に寄与する。ここに開示される粘着シートが第1粘着面および第2粘着面を有する両面粘着シートの形態である場合には、少なくとも第1粘着面の算術平均粗さRaが所定値以下に制限されていることが好ましく、両粘着面の算術平均粗さRaがいずれも所定値以下に制限されていることがより好ましい。両面粘着シートの各粘着面が高い表面平滑性を有することで、光学的均質性に優れた接着を好ましく実現し得る。
いくつかの態様において、粘着面の算術平均粗さRaは、好ましくは凡そ70nm以下であり、より好ましくは凡そ65nm以下であり、さらに好ましくは凡そ55nm以下であり、50nm未満であってもよく、45nm未満でもよく、40nm未満でもよい。生産効率等の観点から、いくつかの態様において、粘着シートの粘着面の算術平均粗さRaは、例えば凡そ10nm以上であってよく、凡そ20nm以上でもよく、凡そ30nm以上(例えば凡そ40nm以上)でもよい。粘着シートが第1粘着面および第2粘着面を有する態様において、第1粘着面の算術平均粗さRaと第2粘着面の算術平均粗さRaとは、同程度であってもよく、異なっていてもよい。
また、例えば、上記粘着面は、最大高さRzが所定値以下に制限されていることが好ましい。最大高さRzが低くなるように設計された粘着面を備える構成は、光学的均質性の観点から好ましい。最大高さRzを制限することにより、例えば上述のように上記粘着面を通じて光が取り出される使用態様において、粘着剤層の表面状態に起因する輝度ムラの発生を抑制する効果を発揮することができる。粘着面の最大高さRzが低いことは、光学歪の抑制にも有利である。ここに開示される粘着シートが第1粘着面および第2粘着面を有する両面粘着シートの形態である場合は、少なくとも第1粘着面の最大高さRzが所定値以下に制限されていることが好ましく、両粘着面の最大高さRzがいずれも所定値以下に制限されていることがより好ましい。両面粘着シートの各粘着面が高い表面平滑性を有することで、光学的均質性に優れた接着を好ましく実現し得る。
いくつかの態様において、粘着面の最大高さRzは、好ましくは凡そ600nm以下であり、より好ましくは凡そ500nm以下であり、さらに好ましくは凡そ450nm以下であり、特に好ましくは凡そ400nm以下であり、350nm未満であってもよく、300nm未満でもよく、250nm未満でもよい。生産効率等の観点から、いくつかの態様において、粘着シートの粘着面の最大高さRzは、例えば凡そ10nm以上であってよく、凡そ50nm以上でもよく、凡そ100nm以上でもよく、凡そ200nm以上でもよい。粘着シートが第1粘着面および第2粘着面を有する態様において、第1粘着面の最大高さRzと第2粘着面の最大高さRzとは、同程度であってもよく、異なっていてもよい。
粘着面の算術平均粗さRaおよび最大高さRzは、非接触式の表面粗さ測定装置を用いて測定される。非接触式の表面粗さ測定装置としては、光干渉方式の表面粗さ測定装置が用いられ、例えば3次元光学プロファイラー(商品名「NewView7300」、ZYGO社製)またはその相当品を使用することができる。具体的には、例えば以下の測定方法により、または該測定方法による場合と同等もしくは対応する結果が得られるように測定操作や測定条件を設定して、算術平均粗さRaおよび最大高さRzを測定することができる。
すなわち、23℃、50%RHの環境下において、3次元光学プロファイラー(商品名「NewView7300」、ZYGO社製)を用いて、測定用サンプルの表面形状を以下の条件で測定する。測定したデータから算術表面粗さRaを、JIS B 0601-2001に準じて算出する。最大高さRzは、上記測定により得られたデータ(粗さ曲線)について、該粗さ曲線の平均線から上側に最も高い山の高さRpと、上記平均線から下側に最も深い谷の深さRvとの和として求める。RaおよびRzの測定は5回行い(すなわちN=5)、それらの平均値を使用する。
上記測定用サンプルは、例えば、測定対象の粘着剤層または該粘着剤層を含む粘着シートを長さ150mm、幅50mm程度のサイズにカットして調製することができる。粘着面が剥離ライナーで保護されている場合は、該剥離ライナーを静かに(例えば、引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で)剥がして粘着面を露出させる。粘着面を露出させてから30分間程度静置した後に測定を行うことが望ましい。
[測定条件]
測定面積:5.62mm×4.22mm
(対物レンズ:2.5倍、内部レンズ:0.5倍)
解析モード:
Remove: Cylinder
Data Fill: ON(Max:25)
Remove Spikes: ON (xRMS:1)
Filter: OFF
粘着面の算術平均粗さRaおよび最大高さRzは、粘着剤層の形成に用いる粘着剤組成物の組成や性状(粘度、レベリング性等)、粘着面を保護する剥離ライナーの表面(剥離面)の性状等によって調節され得る。
(貯蔵弾性率G’)
ここに開示される粘着シートにおいて、粘着剤層を構成する粘着剤の25℃における貯蔵弾性率G’(以下、「貯蔵弾性率G’(25)」ともいう。)は、使用目的や使用態様等に応じて適切に設定され、特定の範囲に限定されない。粘着剤の貯蔵弾性率G’(25)は、例えば凡そ700kPa以下であり得る。いくつかの態様において、被着体への貼付け容易性等の観点から、粘着剤の貯蔵弾性率G’(25)は、凡そ600kPa以下であることが有利であり、500kPa以下であることが好ましく、400kPa以下(例えば350kPa以下)であることがより好ましい。いくつかの態様において、室温域(例えば25℃)における粘着剤の柔軟性を高めて被着体に密着させやすくする観点から、粘着剤の貯蔵弾性率G’(25)は、凡そ330kPa以下であることが有利であり、300kPa以下であることが好ましい。室温域での貼付け性や柔軟性がより重視されるいくつかの態様において、粘着剤の貯蔵弾性率G’(25)は、例えば270kPa未満または250kPa未満であってよく、200kPa未満であることが有利であり、180kPa未満であることが好ましく、160kPa未満(例えば140kPa未満)であることがより好ましい。いくつかの態様において、粘着剤の貯蔵弾性率G’(25)は、100kPa未満であってもよく、90kPa未満であってもよい。粘着剤の貯蔵弾性率G’(25)の下限は特に制限されないが、加工性や取扱い性等の観点から、例えば30kPa以上であってよく、50kPa以上でもよく、70kPa以上でもよい。いくつかの態様において、高屈折率化を考慮して、貯蔵弾性率G’(25)は、100kPa以上でもよく、150kPa以上でもよく、200kPa以上でもよく、250kPa以上でもよく、300kPa以上でもよい。
ここに開示される粘着シートにおいて、粘着剤層を構成する粘着剤の50℃における貯蔵弾性率G’(以下、「貯蔵弾性率G’(50)」ともいう。)は、特に限定されず、例えば100kPa未満であり得る。いくつかの態様において、貯蔵弾性率G’(50)は、60kPa未満であることが適当であり、40kPa未満であることが好ましく、38kPa未満(例えば36kPa未満)であることがより好ましい。このように貯蔵弾性率G’(50)が制限された粘着剤は、必要に応じて適度な加熱を行うことにより被着体への密着性を容易に高めることができ、これにより被着体への接着性を向上させ得る。粘着剤の貯蔵弾性率G’(50)の下限は特に制限されない。いくつかの態様において、粘着剤の耐熱特性の観点から、貯蔵弾性率G’(50)は、例えば10kPa以上であってよく、15kPa以上でもよく、20kPa以上でもよく、23kPa以上でもよい。
ここに開示される粘着剤のいくつかの態様において、該粘着剤は、以下の条件:
(a)25℃における貯蔵弾性率G’(25)が350kPa以下(好ましくは200kPa未満、例えば180kPa以下)である;および
(b)50℃における貯蔵弾性率G’(50)が60kPa未満(好ましくは50kPa未満、より好ましくは40kPa未満、例えば38kPa未満)である;
の少なくとも一方を満たすことが好ましい。少なくとも上記条件(a)を満たす粘着剤は、室温域(例えば25℃)における被着体への密着性の観点から好ましい。少なくとも上記条件(b)を満たす粘着剤は、室温より少し高い程度の温度に加熱することで被着体への密着性(接着性)を容易に向上させ得るので好ましい。上記条件(a)を満たさずかつ上記(b)を満たす粘着剤は、室温域での貼付けの初期にはリワーク性(貼直し性)がよく、室温より少し高い程度への温度への加熱により被着体からの剥離強度を効果的に上昇させることのできる、熱活性化タイプの粘着剤として利用され得る。上記熱活性化は、被着体への貼付けに際して粘着剤を室温より少し高い程度の温度に加熱することにより行ってもよい。上記室温より少し高い程度の温度とは、例えば60℃程度またはそれ以下であり、好ましくは55℃程度またはそれ以下(例えば、50℃程度またはそれ以下)である。
ここに開示される粘着シートのいくつかの態様において、粘着剤層を構成する粘着剤の貯蔵弾性率G’(25)[kPa]に対する貯蔵弾性率G’(50)[kPa]の比、すなわち貯蔵弾性率比G’(50)/G’(25)は、例えば70%以下であり、40%以下でもよく、30%以下でもよく、20%以下でもよい。G’(50)/G’(25)が小さい粘着剤は、上記熱活性化タイプの粘着剤としての使用に適している。G’(50)/G’(25)の下限は特に制限されない。G’(50)/G’(25)は、例えば5%以上であり、粘着剤の耐熱特性の観点から10%以上であることが好ましく、12%以上でもよく、15%以上でもよい。
貯蔵弾性率G’(25)およびG’(50)は、動的粘弾性測定により求めることができ、その結果からG’(50)/G’(25)を算出することができる。動的粘弾性測定は、市販の動的粘弾性測定装置を用いて常法により行うことができ、例えばTA Instruments社製の「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」またはその相当品を使用して、以下の測定条件で行うことができる。測定用のサンプルとしては、評価対象の粘着剤層を必要に応じて積層する等して厚さ約1.5mmに調製したものを用いる。
[測定条件]
変形モード:ねじり
測定周波数:1Hz
昇温速度:5℃/分
形状:パラレルプレート 7.9mmφ
粘着剤層の貯蔵弾性率G’(25)、G’(50)および貯蔵弾性率比は、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の組成の選択(例えば、モノマー(m1)の種類および含有量の選択)、架橋剤の使用有無、種類および使用量の選択、上述した添加剤(HRO)や可塑化材料の使用有無、種類および使用量の選択、等により調節し得る。例えば、モノマー(m1)として、該モノマー(m1)の主成分である第1のモノマーに加えて、該第1のモノマーとは化学構造の異なる第2のモノマーを比較的少量、上記第1のモノマーと組み合わせて使用することにより、モノマー(m1)として第1のモノマーを単独で用いる場合に加えてG’(50)を小さくし、G’(50)/G’(25)を低下させ得る。
ここに開示される粘着シートが第1粘着面および第2粘着面を有する両面粘着シート(例えば、第1粘着剤層および第2粘着剤層を有する基材付き両面粘着シート、第1粘着面を構成するサブ粘着剤層と第2粘着面を構成するサブ粘着剤層とが非粘着剤の基材を介することなく積層した基材レス両面粘着シート等。他の同様の記載においても同様。)の形態である場合、上述した貯蔵弾性率G’(25)、G’(50)および貯蔵弾性率比は、少なくとも第1粘着面を構成する粘着剤層に適用され、好ましくは第1粘着面を構成する粘着剤層および第2粘着面を構成する粘着剤層の両方に適用される。第1粘着面を構成する粘着剤層の貯蔵弾性率G’と第2粘着面を構成する粘着剤層の貯蔵弾性率G’とは、同程度であってもよく、異なっていてもよい。
ここに開示される技術のいくつかの態様において、粘着剤層を構成する粘着剤のtanδのピーク温度は、凡そ-50℃以上であることが好ましく、また、凡そ50℃以下であることが好ましい。ここで、粘着剤のtanδ(損失正接)とは、該粘着剤の貯蔵弾性率G’に対する損失弾性率G”の比をいう。すなわち、tanδ=G”/G’である。粘着剤のtanδは、厚さ約2mm、直径7.9mmの円盤状の粘着剤サンプルをパラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験装置を用いて周波数1Hzのせん断歪みを与えながら、測定温度範囲-60℃~60℃、昇温速度5℃/分の条件で、せん断モードにより該粘着剤の温度分散試験を行い、その際の貯蔵弾性率G’(Pa)および損失弾性率G”(Pa)から次式:tanδ=G”/G’;により求められる。上記温度範囲におけるtanδの推移から、粘着剤のtanδのピーク温度(以下、Tpeakと表記することがある。)が求められる。粘弾性試験装置としては、TA Instruments社製のARESまたはその相当品を用いることができる。
いくつかの態様において、粘着剤のTpeakは、45℃以下または35℃以下であることが有利であり、30℃以下(例えば25℃以下)であることが好ましく、20℃以下でもよく、15℃以下でもよい。よりTpeakの低い粘着剤によると、室温域において良好な初期接着性や密着性が得られやすくなる傾向にある。一方、粘着剤のTpeakが低すぎないことは、粘着剤に適度な凝集性を付与する観点から好ましく、高屈折率化との両立にも適する傾向にある。かかる観点から、いくつかの態様において、粘着剤のTpeakは、例えば-40℃以上であってよく、-30℃以上でもよく、-20℃以上でもよく、-5℃以上でもよく、5℃以上でもよく、15℃以上でもよく、さらには25℃以上でもよい。Tpeakが比較的高い粘着剤は、被着体への貼付けに際し、必要に応じて粘着剤と被着体の一方または両方を室温より少し高い程度の温度に加熱する態様で好ましく用いられ得る。粘着剤のTpeakは、該粘着剤の組成の選択(例えば、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の組成、添加剤(HRO)や可塑化材料の使用有無、種類および使用量の選択)等により調節し得る。
ここに開示される粘着シートが第1粘着面および第2粘着面を有する両面粘着シートの形態である場合、上述した粘着剤のTpeakは、少なくとも第1粘着面を構成する粘着剤層に適用されることが好ましく、より好ましくは第1粘着面を構成する粘着剤層および第2粘着面を構成する粘着剤層の両方に適用される。第1粘着面を構成する粘着剤層のTpeakと第2粘着面を構成する粘着剤層のTpeakとは、同程度であってもよく、異なっていてもよい。
(吸水率)
ここに開示される粘着シートのいくつかの態様において、該粘着シートを構成する粘着剤層は、吸水率が所定値以下に制限されていることが好ましい。粘着剤層の吸水率を制限することにより、該粘着剤層中の水分量の変動(例えば、環境中の湿気等の水分の吸収および放出)による粘着剤層の寸法変化は抑制される傾向にある。これにより、粘着剤層とこれに隣接する層(支持基材、剥離ライナー、被着体等であり得る。)との寸法変化の不一致に起因する粘着シートまたは該粘着シートが貼り付けられた被着体の反りを抑制することができる。粘着剤層中の水分量の変動を抑制し得ることは、粘着剤層の平坦性、透明性、屈折率等を一定に維持する観点からも好ましい。また、吸水率の低い粘着剤層は、水分を吸蔵しにくいため、例えば有機EL素子のように水分を嫌う要素を含む部材または製品に用いられる粘着シートとして好適である。
いくつかの態様において、粘着剤層の吸水率は、凡そ1.0%以下であることが適当であり、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下(例えば0.5%未満)であることがより好ましく、0.4%以下でもよく、0.3%以下でもよく、0.2%以下でもよく、0.1%以下でもよい。粘着剤層の吸水率の下限は特に制限されないが、粘着特性との両立等の実用上の観点から、例えば0.01%以上であってよく、0.05%以上でもよく、0.1%以上でもよく、0.15%以上でもよい。ここに開示される粘着シートが第1粘着面および第2粘着面を有する両面粘着シートの形態である場合は、少なくとも第1粘着面を構成する粘着剤層の吸水率が所定値以下に制限されていることが好ましい。より高い効果を得る観点から、第1粘着面を構成する粘着剤層および第2粘着面を構成する粘着剤層の吸水率がいずれも所定値以下に制限されていることがより好ましい。
なお、粘着剤層の吸水率(水分率ともいう。)は、以下の方法により測定される。
[水分率の測定]
評価対象の粘着剤層を、その一方の面および他方の面上に配置された2枚の剥離ライナーとともに4cm×5cm(面積:20cm2)のサイズに切り出し、一方の面上の剥離ライナーを除去して、あらかじめ秤量しておいたアルミニウム箔に貼り合わせる。次いで、粘着剤層の他方の面上の剥離ライナーを除去し、温度60℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に投入し、72時間後に取り出す。粘着剤層とアルミニウム箔とが積層された試験片を秤量した後、加熱気化装置(三菱化学アナリテック VA-200型)を備える水分計(三菱化学アナリテック CA-200型)を用い、カールフィッシャー電量滴定法により、以下の条件で水分率を測定する。
陽極液:アクアミクロンAKX(三菱化学製)
陰極液:アクアミクロンCXU(三菱化学製)
加熱気化温度:150℃
(ゲル分率)
粘着剤層のゲル分率は、使用目的や使用態様等に応じて適切に設定され、特定の範囲に限定されるものではない。上記ゲル分率は、例えば凡そ99%以下であり、凡そ97%以下が適当である。高屈折率と粘着特性とを好適に両立しやすくする観点から、いくつかの好ましい態様では、上記ゲル分率は凡そ95%以下、より好ましくは凡そ92%以下(例えば凡そ90%以下)であり得る。ゲル分率が高すぎないことは、被着体表面に存在し得る凹凸(例えば、発光装置において光取出し効率の向上等を目的として設けられた凹凸構造)に対して適切に追従し、良好に密着する観点からも好ましい。いくつかの態様において、ゲル分率は、凡そ88%以下であってもよく、凡そ75%以下でもよく、凡そ65%以下でもよい。また、粘着剤層のゲル分率は、粘着剤に適度な凝集性を付与し、粘着特性を適切に発現する観点から、例えば凡そ10%以上であり、凡そ20%以上とすることが適当であり、凡そ30%以上であってもよい。粘着剤層の耐変形性(圧力によるはみ出しや異物のかみ込みによる気泡の防止等)の観点から、上記ゲル分率は、好ましくは凡そ30%以上、より好ましくは凡そ40%以上であり、凡そ45%以上であってもよく、凡そ50%以上でもよく、凡そ65%以上でもよく、凡そ75%以上でもよい。粘着シート(典型的には基材レス粘着シート)のゲル分率も上記で例示した範囲とすることが好ましい。ゲル分率は、アクリル系ポリマー(A)の分子量や分子構造、濃度、架橋度等により調節することができる。ゲル分率は下記の方法で測定される。
[ゲル分率の測定]
所定量の粘着剤サンプル(重量Wg1)を平均孔径0.2μmの多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜(重量Wg2)で巾着状に包み、口をタコ糸(重量Wg3)で縛る。上記多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜としては、日東電工社から入手可能な商品名「ニトフロン(登録商標)NTF1122」(平均孔径0.2μm、気孔率75%、厚さ85μm)またはその相当品を使用する。
この包みを十分量の酢酸エチルに浸し、室温(典型的には23℃)で7日間保持して粘着剤中のゾル分のみを上記膜外に溶出させた後、上記包みを取り出して外表面に付着している酢酸エチルを拭き取り、該包みを130℃で2時間乾燥させ、該包みの重量(Wg4)を測定する。粘着剤層のゲル分率は、各値を以下の式に代入することにより求められる。
ゲル分率(%)=[(Wg4-Wg2-Wg3)/Wg1]×100
ここに開示される粘着シートが第1粘着面および第2粘着面を有する両面粘着シートの形態である場合、上述したゲル分率は、少なくとも第1粘着面を構成する粘着剤層に適用され、好ましくは第1粘着面を構成する粘着剤層および第2粘着面を構成する粘着剤層の両方に適用される。第1粘着面を構成する粘着剤層のゲル分率と第2粘着面を構成する粘着剤層のゲル分率とは、同程度であってもよく、異なっていてもよい。
(剥離強度)
ここに開示される粘着シートのいくつかの態様において、該粘着シートのガラス板に対する剥離強度は、凡そ1.0N/25mm以上(例えば1.5N/25mm以上)であることが適当であり、好ましくは2N/25mm以上、より好ましくは3N/25mm以上であり、4N/25mm以上でもよく、6N/25mm以上でもよく、8N/25mm以上でもよく、10N/25mm以上でもよく、12N/25mm以上でもよい。剥離強度の上限は特に制限されず、例えば30N/25mm以下、25N/25mm以下または20N/25mm以下であり得る。
ここで、上記剥離強度は、被着体としてのアルカリガラス板に圧着して23℃、50%RHの環境で30分間放置し、次いで加圧脱泡装置(オートクレーブ)に投入して温度50℃、圧力0.5MPaの条件で30分間のオートクレーブ処理を行い、さらに23℃、50%RHの雰囲気下で24時間放置した後に、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で180°引きはがし粘着力を測定することにより把握される。測定にあたっては、必要に応じて、測定対象の粘着シートに適切な裏打ち材(例えば、厚さ25μm程度~50μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)を貼り付けて補強することができる。剥離強度は、より具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
ここに開示される粘着シートが第1粘着面および第2粘着面を有する両面粘着シートの形態である場合、いくつかの態様において、上述した剥離強度は、好ましくは少なくとも第1粘着面に適用され、より好ましくは第1粘着面および第2粘着面の両方に適用される。第1粘着面のガラス板に対する剥離強度と、第2粘着面のガラスに対する剥離強度とは、同程度であってもよく、異なっていてもよい。
(支持基材)
いくつかの態様に係る粘着シートは、支持基材の片面または両面に粘着剤層を備える基材付き粘着シートの形態であり得る。支持基材の材質は特に限定されず、粘着シートの使用目的や使用態様等に応じて適宜選択することができる。使用し得る基材の非限定的な例として、ポリプロピレン(PP)やエチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィンを主成分とするポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルを主成分とするポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルを主成分とするポリ塩化ビニルフィルム等のプラスチックフィルム;ポリウレタンフォーム、ポリエチレン(PE)フォーム、ポリクロロプレンフォーム等の発泡体からなる発泡体シート;各種の繊維状物質(麻、綿等の天然繊維、ポリエステル、ビニロン等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、等であり得る。)の単独または混紡等による織布および不織布;和紙、上質紙、クラフト紙、クレープ紙等の紙類;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;等が挙げられる。これらを複合した構成の基材であってもよい。このような複合基材の例として、例えば、金属箔と上記プラスチックフィルムとが積層した構造の基材、ガラスクロス等の無機繊維で強化されたプラスチック基材等が挙げられる。
いくつかの態様において、各種のフィルム基材を好ましく用いることができる。上記フィルム基材は、発泡体フィルムや不織布シート等のように多孔質の基材であってもよく、非多孔質の基材であってもよく、多孔質の層と非多孔質の層とが積層した構造の基材であってもよい。いくつかの態様において、上記フィルム基材としては、独立して形状維持可能な(自立型の、あるいは非依存性の)樹脂フィルムをベースフィルムとして含むものを好ましく用いることができる。ここで「樹脂フィルム」とは、非多孔質の構造であって、典型的には実質的に気泡を含まない(ボイドレスの)樹脂フィルムを意味する。したがって、上記樹脂フィルムは、発泡体フィルムや不織布とは区別される概念である。上記樹脂フィルムとしては、独立して形状維持可能な(自立型の、あるいは非依存性の)ものが好ましく用いられ得る。上記樹脂フィルムは、単層構造であってもよく、2層以上の多層構造(例えば、3層構造)であってもよい。
樹脂フィルムを構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルを主成分とするポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体等のポリオレフィンを主成分とするポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、アセテート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、部分芳香族ポリアミド等のポリアミド(PA)系樹脂、ポリイミド(PI)系樹脂、透明ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ノルボルネン系樹脂等の環状ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂、ポリウレタン(PU)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やフッ素化ポリイミド等のフッ素系樹脂、等が挙げられる。
上記樹脂フィルムは、このような樹脂の1種を単独で含む樹脂材料を用いて形成されたものであってもよく、2種以上がブレンドされた樹脂材料を用いて形成されたものであってもよい。上記樹脂フィルムは、無延伸であってもよく、延伸(例えば一軸延伸または二軸延伸)されたものであってもよい。例えば、PETフィルム、PBTフィルム、PENフィルム、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、PP/PEブレンドフィルム等が好ましく用いられ得る。強度や寸法安定性の観点から好ましい樹脂フィルムの例として、PETフィルム、PENフィルム、PPSフィルムおよびPEEKフィルムが挙げられる。入手容易性等の観点からPETフィルムおよびPPSフィルムが特に好ましく、なかでもPETフィルムが好ましい。
樹脂フィルムには、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤(染料、顔料等)、充填材、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の公知の添加剤を、必要に応じて配合することができる。添加剤の配合量は特に限定されず、粘着シートの用途等に応じて適宜設定することができる。
樹脂フィルムの製造方法は特に限定されない。例えば、押出成形、インフレーション成形、Tダイキャスト成形、カレンダーロール成形等の、従来公知の一般的な樹脂フィルム成形方法を適宜採用することができる。
上記基材は、このようなベースフィルムから実質的に構成されたものであり得る。あるいは、上記基材は、上記ベースフィルムの他に、補助的な層を含むものであってもよい。上記補助的な層の例としては、光学特性調整層(例えば着色層、反射防止層)、基材に所望の外観を付与するための印刷層やラミネート層、帯電防止層、下塗り層、剥離層等の表面処理層が挙げられる。
いくつかの態様において、支持基材としては、光透過性を有する基材(以下、光透過性基材ともいう。)を好ましく採用し得る。これにより、光透過性を有する基材付き粘着シートを構成することが可能となる。光透過性基材の全光線透過率は、例えば50%超であってよく、70%以上であってもよい。いくつかの好ましい態様では、支持基材の全光線透過率は80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、95%以上(例えば95~100%)であってもよい。上記全光線透過率は、JIS K 7136:2000に準拠して、市販の透過率計を使用して測定される。透過率計としては、村上色彩技術研究所製の商品名「HAZEMETER HM-150」またはその相当品が用いられる。上記光透過性基材の好適例として、光透過性を有する樹脂フィルムが挙げられる。上記光透過性基材は、光学フィルムであってもよい。
基材の厚さは、特に限定されず、粘着シートの使用目的や使用態様等に応じて選択し得る。基材の厚さは、例えば500μm以下であってよく、粘着シートの取扱い性や加工性の観点から300μm以下であることが好ましく、150μm以下でもよく、100μm以下でもよく、50μm以下でもよく、25μm以下でもよく、10μm以下でもよい。基材の厚さが小さくなると、被着体の表面形状への追従性が向上する傾向にある。また、取扱い性や加工性等の観点から、基材の厚さは、例えば2μm以上であってよく、10μm以上でもよく、25μm以上でもよい。
基材のうち粘着剤層が積層される側の面には、必要に応じて、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤(プライマー)の塗布による下塗り層の形成等の、従来公知の表面処理が施されていてもよい。このような表面処理は、粘着剤層の基材への投錨性を向上させるための処理であり得る。下塗り層の形成に用いるプライマーの組成は特に限定されず、公知のものから適宜選択することができる。下塗り層の厚さは特に制限されないが、通常、0.01μm~1μm程度が適当であり、0.1μm~1μm程度が好ましい。必要に応じて基材に施され得る他の処理として、帯電防止層形成処理、着色層形成処理、印刷処理等が挙げられる。これらの処理は、単独でまたは組み合わせて適用することができる。
ここに開示される粘着シートが基材付き粘着シートの形態である場合、該粘着シートの厚さは、例えば1000μm以下であってよく、350μm以下でもよく、200μm以下でもよく、120μm以下でもよく、75μm以下でもよく、50μm以下でもよい。また、粘着シートの厚さは、取扱い性等の観点から、例えば10μm以上であってよく、25μm以上でもよく、80μm以上でもよく、130μm以上でもよい。
なお、粘着シートの厚さとは、被着体に貼り付けられる部分の厚さをいう。例えば図1に示す構成の粘着シート1では、粘着剤層の第1の表面(粘着面)10Aから支持基材の第2面20Bまでの厚さを指し、剥離ライナー30の厚さは含まない。
<剥離ライナー付き粘着シート>
ここに開示される粘着シートは、粘着剤層の表面(粘着面)を剥離ライナーの剥離面に当接させた粘着製品の形態をとり得る。したがって、この明細書により、ここに開示されるいずれかの粘着シートと、該粘着シートの粘着面に当接する剥離面を有する剥離ライナーと、を含む剥離ライナー付き粘着シート(粘着製品)が提供される。
剥離ライナーとしては、特に限定されず、例えば、樹脂フィルムや紙(ポリエチレン等の樹脂がラミネートされた紙であり得る。)等のライナー基材の表面に剥離層を有する剥離ライナーや、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)のような低接着性材料により形成された樹脂フィルムからなる剥離ライナー等を用いることができる。表面平滑性に優れることから、ライナー基材としての樹脂フィルムの表面に剥離層を有する剥離ライナーや、低接着性材料により形成された樹脂フィルムからなる剥離ライナーを好ましく採用し得る。樹脂フィルムとしては、粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエステルフィルム(PETフィルム、PBTフィルム等)、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。上記剥離層の形成には、例えば、シリコーン系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、オレフィン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、脂肪酸アミド系剥離処理剤、硫化モリブデン、シリカ粉等の、公知の剥離処理剤を用いることができる。
<用途>
ここに開示される粘着シートは、各種の被着体に貼り合わせて用いられ得る。上記被着体の構成材料(被着体材料)としては、特に限定されるものではないが、例えば、銅、銀、金、鉄、錫、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロム、インジウム、亜鉛等、またはこれらの2種以上を含む合金等の金属材料や、例えばポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテルニトリル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエステル系樹脂(PET系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂等)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂(いわゆるアラミド樹脂等)、ポリアリレート系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、液晶ポリマー、グラフェン等のカーボン材料等の各種樹脂材料(典型的にはプラスチック材)、アルミナ、ジルコニア、チタニア、SiO2、ITO(酸化インジウムスズ)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)等の金属酸化物及びその混合物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ガリウム、窒化インジウム等の窒化物及びその複合物、アルカリガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイアガラス等の無機材料等が挙げられる。ここに開示される粘着シートは、少なくとも表面が上記材料から構成された部材(例えば光学部材)に貼り付けられて用いられ得る。
ここに開示される粘着シートは、被着体に貼り合わせた後、室温程度の温度域(例えば20℃~35℃)よりも高い温度に加熱する処理を必要としない貼付け態様で用いられ得る。また、粘着シートの構成材料(例えば基材の材質)や被着体の種類に応じて許容される場合には、被着体への貼り合わせ後、貼り合わせの時点、および貼り合わせ前の、少なくともいずれかのタイミングで加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、粘着剤の被着体への密着性向上や接着促進等の目的で行うことができる。加熱処理温度は、粘着シートの構成材料や被着体の種類に応じて許容される範囲で、被着体の表面状態等を考慮して、所望の効果が得られるように適宜設定することができ、例えば100℃程度またはそれ以下であってよく、80℃以下でもよく、60℃以下でもよく、50℃以下でもよい。
粘着シートの貼り付け対象である部材や材料(両面粘着シートにおいては、少なくとも一方の被着体)は、光透過性を有するものであり得る。このような被着体では、ここに開示される技術を適用して光学特性(透明性等)の低下を抑制しつつ屈折率を高めることの利点が得られやすい。上記被着体の全光線透過率は、例えば50%超であってよく、70%以上でもよい。いくつかの好ましい態様では、上記被着体の全光線透過率は80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上(例えば95~100%)である。ここに開示される粘着シートは、全光線透過率が所定値以上の被着体(例えば光学部材)に貼り付ける態様で好ましく用いられ得る。上記全光線透過率は、JIS K 7136:2000に準拠して、市販の透過率計を使用して測定される。透過率計としては、村上色彩技術研究所製の商品名「HAZEMETER HM-150」またはその相当品が用いられる。
粘着剤層の屈折率と、被着体の屈折率とは、同程度であってもよく、異なっていてもよい。例えば、被着体の屈折率に対して粘着剤層の屈折率を相対的に高くすることにより、被着体側から粘着剤層に臨界角以下の角度で入射する光を正面側に屈折させ、正面輝度を高めることができる。この場合、被着体の屈折率は、例えば1.55以下、1.50以下、1.48以下、1.45以下であってよく、1.45未満であってもよく、また、例えば1.10以上、1.20以上、1.30以上または1.35以上であり得る。また、粘着剤層に対して相対的に高屈折率の被着体によると、粘着剤層側から被着体に入射する光を正面側に屈折させ、正面輝度を高めることができる。この場合、被着体の屈折率は、例えば1.60以上、1.65以上または1.70以上であってよく、また、例えば3.00以下であり、2.50以下または2.00以下であり得る。一方、粘着剤層と被着体との屈折率差を小さくすることにより、界面での光反射を抑制することができる。この場合、被着体の屈折率は、1.55~1.80程度であってよく、1.55~1.75程度でもよく、1.60~1.70程度でもよい。被着体の屈折率は、粘着剤の屈折率と同様の方法で測定され得る。
いくつかの好ましい態様では、上記被着体は、上述したいずれかの屈折率を有し、かつ上述したいずれかの全光線透過率を有するものであり得る。このような被着体に貼り付ける態様において、ここに開示される技術による効果は特に好ましく発揮される。
好ましい用途の一例として、光学用途が挙げられる。より具体的には、例えば、光学部材を貼り合わせる用途(光学部材貼り合わせ用)や上記光学部材が用いられた製品(光学製品)の製造用途等に用いられる光学用粘着シートとして、ここに開示される粘着シートを好ましく用いることができる。
上記光学部材とは、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性等)を有する部材をいう。上記光学部材としては、光学的特性を有する部材であれば特に限定されないが、例えば、表示装置(画像表示装置)、入力装置等の機器(光学機器)を構成する部材またはこれらの機器に用いられる部材が挙げられ、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、ハードコート(HC)フィルム、衝撃吸収フィルム、防汚フィルム、フォトクロミックフィルム、調光フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルム)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板や、さらにはこれらが積層されている部材(これらを総称して「機能性フィルム」と称する場合がある。)等が挙げられる。なお、上記の「板」および「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状等の形態を含むものとし、例えば、「偏光フィルム」は、「偏光板」や「偏光シート」等を含み、「導光板」は、「導光フィルム」や「導光シート」等を含むものとする。また、上記「偏光板」は、円偏光板を含むものとする。
上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、マイクロLED(μLED)、ミニLED(miniLED)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパーなどが挙げられる。また、上記入力装置としては、タッチパネルなどが挙げられる。
上記光学部材としては、特に限定されないが、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、金属薄膜等からなる部材(例えば、シート状やフィルム状、板状の部材)等が挙げられる。なお、この明細書における「光学部材」には、表示装置や入力装置の視認性を保ちながら加飾や保護の役割を担う部材(意匠フィルム、装飾フィルムや表面保護フィルム等)も含むものとする。
ここに開示される技術は、例えば、光の透過、反射、拡散、導波、集光、回折等の1または2以上の機能を有するフィルムや蛍光フィルム等の光学フィルムを、他の光学部材(他の光学フィルムであり得る。)に接合するために好ましく用いられ得る。なかでも、光の導波、集光、回折の少なくとも1つの機能を有する光学フィルムの接合においては、接合層のバルク全体が高屈折率であることが望ましく、ここに開示される技術の好ましい適用対象となり得る。
ここに開示される粘着剤は、例えば、導光フィルム、拡散フィルム、蛍光フィルム、調色フィルム、プリズムシート、レンチキュラーフィルム、マイクロレンズアレイフィルム等の光学フィルムの接合に好ましく用いられ得る。これらの用途では、光学部材の小型化の傾向や高性能化の観点から、薄型化や光取出し効率の向上が求められている。かかる要請に応え得る粘着剤として、ここに開示される粘着剤は好ましく利用され得る。より詳しくは、例えば導光フィルムや拡散フィルムの接合では、接合層としての粘着剤層の屈折率を調整(例えば高屈折率化)することによって薄型化に寄与し得る。蛍光フィルムの接合では、蛍光発光体と粘着剤との屈折率差を適切に調整することにより、光取出し効率(発光効率としても把握され得る。)を向上させることができる。調色フィルムの接合では、調色用顔料との屈折率差が小さくなるように粘着剤の屈折率を適切に調整することで散乱成分を低減し、光透過性の向上に貢献し得る。プリズムシート、レンチキュラーフィルム、マイクロレンズアレイフィルム等の接合においては、粘着剤の屈折率を適切に調整することにより、光の回折を制御し、輝度および/または視野角の向上に貢献し得る。
ここに開示される粘着シートは、高屈折率の被着体(高屈折率の層や部材等であり得る。)に貼り付けられる態様で好ましく用いられて、上記被着体との界面反射を抑制することができる。かかる態様で用いられる粘着シートは、上述のように被着体との屈折率差が小さく、かつ被着体との界面における密着性が高いことが好ましい。また、外観の均質性を高める観点から、粘着剤層の厚みの均一性が高いことが好ましく、例えば粘着面の表面平滑性が高いことが好ましい。高屈折率の被着体の厚みが比較的小さい場合(例えば5μm以下、4μm以下、または2μm以下である場合)には、反射光の干渉による色付きや色むらを抑制する観点から、界面での反射を抑えることが特に有意義である。このような使用態様の一例として、偏光子と第1位相差層と第2位相差層とをこの順に備える位相差層付き偏光板において上記偏光子と上記第1位相差層との接合および/または上記第1位相差層と上記第2位相差層との接合に用いられる態様が挙げられる。
また、ここに開示される粘着シートは、高屈折率化に適することから、光半導体等の発光層(例えば、主に無機材料により構成された高屈折の発光層)に貼り付けられる態様で好ましく用いられ得る。発光層と粘着剤層との屈折率差を小さくすることにより、それらの界面における反射を抑制し、光取出し効率を向上させ得る。かかる態様で用いられる粘着シートは、高屈折率の粘着剤層を備えることが好ましい。また、水分による自発光素子の劣化を未然に防ぐ観点から、粘着剤層の吸水率は低いことが好ましい。輝度向上の観点から、粘着シートは低着色であることが好ましい。このことは、粘着シートに起因する非意図的な着色を抑制する観点からも有利となり得る。
ここに開示される粘着剤は、カメラや発光装置等の構成部材として用いられるマイクロレンズその他のレンズ部材(例えば、マイクロレンズアレイフィルムを構成するマイクロレンズや、カメラ用マイクロレンズ等のレンズ部材)において、レンズ面を覆うコーティング層、上記レンズ面に対向する部材(例えば、レンズ面に対応する表面形状を有する部材)との接合層、上記レンズ面と上記部材との間に充填される充填層、等として好ましく用いられ得る。ここに開示される粘着剤は、高屈折率化に適することから、高屈折率のレンズ(例えば、高屈折率樹脂により構成されたレンズや、高屈折率樹脂製の表面層を有するレンズ)であっても該レンズとの屈折率差を低減することができる。このことは、上記レンズおよび該レンズを備えた製品の薄型化の観点から有利であり、収差の抑制やアッベ数の向上にも貢献し得る。ここに開示される粘着剤は、例えば適切な透明部材の凹部または空隙に充填された形態で、それ自体をレンズ樹脂として利用することも可能である。
ここに開示される粘着シートを用いて光学部材を貼り合わせる態様としては、特に限定されないが、例えば、(1)ここに開示される粘着シートを介して光学部材同士を貼り合わせる態様や、(2)ここに開示される粘着シートを介して光学部材を光学部材以外の部材に貼り合わせる態様であってもよいし、(3)ここに開示される粘着シートが光学部材を含む形態であって該粘着シートを光学部材または光学部材以外の部材に貼り合わせる態様であってもよい。なお、上記(3)の態様において、光学部材を含む形態の粘着シートは、例えば、支持体が光学部材(例えば、光学フィルム)である粘着シートであり得る。このように支持体として光学部材を含む形態の粘着シートは、粘着型光学部材(例えば、粘着型光学フィルム)としても把握され得る。また、ここに開示される粘着シートが支持体を有するタイプの粘着シートであって、上記支持体として上記機能性フィルムを用いた場合には、ここに開示される粘着シートは、機能性フィルムの少なくとも片面側にここに開示される粘着剤層を有する「粘着型機能性フィルム」としても把握され得る。
上記より、ここに開示される技術によると、ここに開示される粘着シートと、該粘着シートが貼り付けられた部材とを備える積層体が提供される。粘着シートが貼り付けられる部材は、上述した被着体材料の屈折率を有するものであり得る。また、粘着シートの屈折率と部材の屈折率との差(屈折率差)は、上述した被着体と粘着シートとの屈折率差であり得る。積層体を構成する部材については、上述の部材、材料、被着体として説明したとおりであるので、重複する説明は繰り返さない。
以上の説明および以下の実施例から理解されるように、この明細書により開示される事項には以下のものが含まれる。
〔1〕 粘着剤層を含む粘着シートであって、
上記粘着剤層により構成された粘着面を有し、
上記粘着剤層は、屈折率が1.570超であり、全光線透過率が86%以上であり、かつヘイズ値が3.0%以下である、粘着シート。
〔2〕 上記粘着剤層は、厚さが5μm以上である、上記〔1〕に記載の粘着シート。
〔3〕 ガラス板に対する剥離強度(粘着力)が3N/25mm以上である、上記〔1〕また〔2〕に記載の粘着シート。
〔4〕 上記粘着面は、算術平均粗さRaが100nm以下である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔5〕 上記粘着剤層は、吸水率が1.0%以下である、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔6〕 上記粘着剤層と光透過性基材とを含む積層体として構成されている、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔7〕 上記光透過性基材は樹脂フィルムである、上記〔6〕に記載の粘着シート。
〔8〕 上記粘着剤層からなる両面接着性粘着シートである、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔9〕 上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の粘着シートと、
上記粘着シートの粘着面上に配置された剥離ライナーと、
を含む、剥離ライナー付き粘着シート。
〔10〕 上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の粘着シートの粘着剤層を形成するために用いられる、粘着剤組成物。
〔11〕 芳香環含有モノマー(m1)をモノマー単位として含むアクリル系ポリマー(A)と、
上記アクリル系ポリマー(A)よりも高屈折率の有機材料である添加剤(HRO)と、
を含む、粘着剤組成物。
〔12〕 上記添加剤(HRO)の屈折率は1.60以上である、上記〔11〕に記載の粘着剤組成物。
〔13〕 上記アクリル系ポリマー(A)100重量部に対する上記添加剤(HRO)の含有量は、0重量部を超えて60重量部以下である、上記〔11〕または〔12〕に記載の粘着剤組成物。
〔14〕 上記添加剤(HRO)は、芳香環含有化合物および複素環含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、上記〔11〕~〔13〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔15〕 上記添加剤(HRO)は、1分子内に2以上の芳香環を有する化合物を含む、上記〔11〕~〔14〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔16〕 上記添加剤(HRO)は、上記1分子内に2以上の芳香環を有する化合物として、
(i)2つの非縮合芳香環が直接化学結合した構造を含む、および
(ii)2つの芳香環が縮合した構造を含む、
の少なくとも一方を満たす化合物を含む、上記〔15〕に記載の粘着剤組成物。
〔17〕 上記アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分において、上記芳香環含有モノマー(m1)の含有量は50重量%以上である、上記〔11〕~〔16〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔18〕 上記アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分において、上記芳香環含有モノマー(m1)の含有量は70重量%を超えて100重量%未満であり、
上記芳香環含有モノマー(m1)のうち50重量%以上は、ホモポリマーのガラス転移温度が10℃以下のモノマーである、上記〔11〕~〔17〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔19〕 上記アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分は、水酸基およびカルボキシ基の少なくとも一方を有するモノマー(m2)をさらに含有する、上記〔11〕~〔18〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔20〕 上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の粘着シートの粘着剤層を形成するために用いられる、上記〔11〕~〔18〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔21〕 上記〔11〕~〔20〕のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤であって、屈折率が1.570より高い、粘着剤。
〔22〕 上記〔11〕~〔20〕のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤により構成された粘着剤層を含む、粘着シート。
〔23〕 上記粘着剤層のヘイズ値が1.0%以下である、上記〔22〕に記載の粘着シート。
〔24〕 光学用途において積層体の層間に配置して用いられる層間シートであって、
屈折率n1が1.570以上である粘弾性層V1を含み、かつ
全光線透過率が86%以上である;
ヘイズ値が1.0%以下である;および、
25℃における貯蔵弾性率G’が30kPa~700kPaである;
を満たす、層間シート。
〔25〕 厚さが5μm以上である、上記〔24〕に記載の層間シート。
〔26〕 上記粘弾性層V1は、主ポリマーと、上記主ポリマーより分子量の低い可塑化材料とを含む、上記〔24〕または〔25〕に記載の層間シート。
〔27〕 上記可塑化材料の重量平均分子量は30000以下である、上記〔26〕に記載の層間シート。
〔28〕 上記粘弾性層V1に積層された粘弾性層V2をさらに含み、
上記粘弾性層V2の25℃における貯蔵弾性率G’V2は、上記粘弾性層V1の25℃における貯蔵弾性率G’V1より低い、上記〔24〕~〔27〕のいずれかに記載の層間シート。
〔29〕 上記粘弾性層V2の屈折率n2は、上記粘弾性層V1の屈折率n1より低い、上記〔28〕に記載の層間シート。
〔30〕 上記粘弾性層V1は、上記〔11〕~〔18〕のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成された層である、上記〔24〕~〔29〕のいずれかに記載の層間シート。
〔31〕 上記粘弾性層V1は、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の粘着シートにおける粘着剤層である、上記〔24〕~〔29〕のいずれかに記載の層間シート。
〔32〕 上記〔24〕~〔31〕のいずれか一項に記載の層間シートと、
上記層間シートに積層された樹脂フィルムと、
を含む、光学積層体。
〔33〕 上記〔24〕~〔31〕のいずれか一項に記載の層間シートと、
上記層間シートの少なくとも一方の表面を覆う剥離ライナーと、
を含む、剥離ライナー付き層間シート。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において、使用量や含有量を表す「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
<例1>
(アクリル系ポリマー溶液の調製)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管および冷却器を備えた四つ口フラスコに、モノマー成分としてm-フェノキシベンジルアクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名「ライトアクリレートPOB-A」、屈折率:1.566、ホモポリマーのTg:-35℃。以下、「POB-A」と略記する。)95部および4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)5部、重合開始剤として2、2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2部、および重合溶媒としてトルエン100部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃ 付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマーA1の溶液(50%)を調製した。このアクリル系ポリマーA1の重合平均分子量(Mw)は50万であった。上記アクリル系ポリマーA1は、上記モノマー成分の組成に基づくTg(すなわちTgT)が-35℃であり、芳香環含有モノマーの組成に基づくTg(すなわちTgm1)が-35℃である。
(粘着剤組成物の調製)
上記アクリル系ポリマーA1の溶液(50%)を酢酸エチルで30%に希釈し、この溶液334部(不揮発分100部)に、添加剤(HRO)として6-アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン(スガイ化学工業株式会社製のジナフトチオフェン-6-メチルアクリレート体、商品名「6MDNTA」、屈折率1.75)を5部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー社製、商品名「コロネートHX」、3官能イソシアネート化合物)の1%酢酸エチル溶液を10部(不揮発分0.1部)、架橋遅延剤としてアセチルアセトンを2部、架橋触媒としてナーセム第二鉄の1% 酢酸エチル溶液を1部(不揮発分0.01部)加えて攪拌混合し、アクリル系粘着剤組成物C1を調製した。
(粘着シートの作製)
上記で調製したアクリル系粘着剤組成物C1を、片面にシリコーン処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムR1(厚さ50μm)のシリコーン処理面に塗布し、130℃で2分間加熱して、厚さ25μmの粘着剤層を形成した。次いで、上記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理が施されたPETフィルムR2(厚さ25μm) のシリコーン処理面を貼り合わせた。このようにして、上記粘着剤層からなる基材レス両面粘着シートS1を得た。粘着シートS1の両面は、PETフィルム(剥離ライナー)R1,R2により保護されている。
<例2~5>
添加剤(HRO)の種類とアクリル系ポリマー100部に対する使用量(phr;per hundred resin)を表1に示すように変更した他は、例1におけるアクリル系粘着剤組成物C1の調製と同様にして、例2~例5に係るアクリル系粘着剤組成物C2~C5を調製した。ここで、表1中の「BPFL」は、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製、屈折率1.68)を表し、「BAFL」は9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製、屈折率1.73)を表す。
アクリル系粘着剤組成物C1に代えてアクリル系粘着剤組成物C2~C5をそれぞれ使用した他は例1における粘着シートの作製と同様にして、例2~例5に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)S2~S5を作製した。
<例6>
温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに、POB-Aを20部、1-ナフチルメチルアクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名「ライトアクリレートNMT-A」、屈折率:1.595、ホモポリマーのTg:31℃。以下、「NMT-A」と略記する。)を80部、重合開始剤としてAIBNを0.2部、連鎖移動剤としてα-チオグリセロールを3.5部、およびメチルエチルケトン67部を投入した後、窒素ガスを流し、攪拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、フラスコを70℃に加熱し、12時間反応させて、重量平均分子量(Mw)4000、屈折率1.63のアクリル系オリゴマー(以下、オリゴマーBという。)を得た。
添加剤(HRO)の種類を上記オリゴマーBに変更し、その使用量をアクリル系ポリマー100部に対して30部(30phr)とした他は、例1におけるアクリル系粘着剤組成物C1の調製と同様にして、本例に係るアクリル系粘着剤組成物C6を調製した。
アクリル系粘着剤組成物C1に代えてアクリル系粘着剤組成物C6を使用した他は例1における粘着シートの作製と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)S6を作製した。
<例7>
添加剤(HRO)を使用しないことを除いては例1におけるアクリル系粘着剤組成物C1の調製と同様にして、アクリル系粘着剤組成物C7を調製した。
アクリル系粘着剤組成物C1に代えてアクリル系粘着剤組成物C7を使用し、粘着剤層の厚さを20μmとした他は、例1における粘着シートの作製と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)S7を作製した。
<例8>
モノマー成分の組成を、POB-Aを72部、NMT-Aを23部、4HBAを5部に変更した他は、例1におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーA2の溶液を調製した。このアクリル系ポリマーA2の重合平均分子量(Mw)は45万であった。
アクリル系ポリマーA1の溶液に代えてアクリル系ポリマーA2の溶液を使用した他は例1における粘着剤組成物の調製と同様にして、本例に係るアクリル系粘着剤組成物C8を調製した。
アクリル系粘着剤組成物C1に代えてアクリル系粘着剤組成物C8を使用した他は例1における粘着シートの作製と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)S8を作製した。
<例9~13>
添加剤(HRO)の種類および量を表1に示すように変更した他は例8におけるアクリル系粘着剤組成物C8の調製と同様にして、例9~例13に係るアクリル系粘着剤組成物C9~C13を調製した。
アクリル系粘着剤組成物C1に代えてアクリル系粘着剤組成物C9~C13をそれぞれ使用した他は例A1における粘着シートの作製と同様にして、例9~例13に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)S9~S13を作製した。
<例14>
添加剤(HRO)を使用しないことを除いては例8におけるアクリル系粘着剤組成物C8の調製と同様にして、例14に係るアクリル系粘着剤組成物C14を調製した。
アクリル系粘着剤組成物C8に代えてアクリル系粘着剤組成物C14を使用した他は、例8における粘着シートの作製と同様にして、本例に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)S14を作製した。
<例15>
モノマー成分の組成を、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)を90部、4HBAを10部に変更した他は、例1におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーA3の溶液(40%)を調製した。
上記アクリル系ポリマーA3の溶液(40%)を酢酸エチルで20%に希釈し、この溶液500部(不揮発分100部)に、ジルコニア粒子分散液を固形分基準で10部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー社製、商品名「コロネートHX」、3官能イソシアネート化合物)の1%酢酸エチル溶液を10部(不揮発分0.1部)、架橋遅延剤としてアセチルアセトンを2部、架橋触媒としてナーセム第二鉄の1% 酢酸エチル溶液を1部(不揮発分0.01部)加えて攪拌混合し、アクリル系粘着剤組成物C15を調製した。上記ジルコニア粒子分散液としては、表面処理を施したジルコニア粒子(平均粒径20nm、固形分屈折率:1.64、表面処理:カルボン酸系/リン酸系疎水化処理、共栄社化学株式会社製)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)中に分散させた表面処理ジルコニア粒子分散液を用いた。
アクリル系粘着剤組成物C1に代えてアクリル系粘着剤組成物C15を使用し、粘着剤層の厚さを20μmとした他は例1における粘着シートの作製と同様にして、例15に係る粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)S15を作製した。
<例16>
モノマー成分の組成をPOB-A/n-ブチルアクリレート(BA)/4HBA=79/20/1に変更した他は例1におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーA4の溶液を調製した。アクリル系ポリマーA4の重合平均分子量(Mw)は52万であった。
アクリル系ポリマーA1の溶液に代えてアクリル系ポリマーA4の溶液を使用した他は例2と同様にして、本例に係るアクリル系粘着剤組成物C16を調製し、粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)S16を作製した。
<例17>
モノマー成分の組成をPOB-A/エチルカルビトールアクリレート(CBA)/4HBA=79/20/1に変更した他は例1におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーA5の溶液を調製した。アクリル系ポリマーA5の重合平均分子量(Mw)は46万であった。
アクリル系ポリマーA1の溶液に代えてアクリル系ポリマーA4の溶液を使用した他は例2と同様にして、本例に係るアクリル系粘着剤組成物C17を調製し、粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)S17を作製した。
<例18>
モノマー成分の組成をPOB-A/フェノキシジエチレングリコールアクリレート/4HBA=79/20/1に変更した他は例1におけるアクリル系ポリマー溶液の調製と同様にして、アクリル系ポリマーA6の溶液を調製した。フェノキシジエチレングリコールアクリレートとしては、共栄社化学株式会社製の商品名「ライトアクリレートP2H-A」を使用した。アクリル系ポリマーA6の重合平均分子量(Mw)は48万であった。
アクリル系ポリマーA1の溶液に代えてアクリル系ポリマーA6の溶液を使用した他は例2と同様にして、本例に係るアクリル系粘着剤組成物C18を調製し、粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)S18を作製した。
<例19>
添加剤(HRO)を2,12-ジアリルオキシジナフトチオフェン(スガイ化学工業株式会社製、略号:2,12-DAODNT、屈折率1.729)に変更した他は例2と同様にして、本例に係るアクリル系粘着剤組成物C19を調製し、粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)S19を作製した。
<例20~22>
添加剤(HRO)を使用しないことを除いては例16~18とそれぞれ同様にして、アクリル系粘着剤組成物C20~22を調製し、粘着シート(粘着剤層からなる基材レス両面粘着シート)S20~22を作製した。
<測定および評価>
(屈折率)
各例に係る粘着剤層(基材レス両面粘着シート)について、測定波長589nm、測定温度25℃の条件で、アッベ屈折率計(ATAGO社製、型式「DR-M4」)を使用して屈折率を測定した。結果を表1、2に示す。
(全光線透過率およびヘイズ値)
各例に係る粘着剤層を無アルカリガラス(厚さ0.8~1.0mm、全光線透過率92%、ヘイズ0.4%)に貼り合わせた試験片を用い、23℃の測定環境下において、ヘイズメータ(村上色彩技術研究所製、商品名「HAZEMETER HM-150」)を用いて、上記試験片の全光線透過率およびヘイズを測定した。測定値から上記無アルカリガラスの全光線透過率およびヘイズを差し引いた値を、粘着剤層の全光線透過率およびヘイズ値とした。結果を表1、2に示す。
(貯蔵弾性率G’)
各例に係る粘着剤層を積層して厚み約1.5mmとしたものを測定用サンプルとした。TA Instruments社製のARESを用いて、以下の条件により動的粘弾性測定を行った。測定結果から、25℃における貯蔵弾性率G’を読み取った。結果を表1、2に示す。
[測定条件]
変形モード:ねじり
測定周波数:1Hz
昇温速度:5℃/分
形状:パラレルプレート 7.9mmφ
(剥離強度)
各例に係る粘着シートについて、ガラス板に対する剥離強度を測定した。すなわち、23℃、50%RHの測定環境下において、粘着シートの一方の面から剥離ライナーを剥離し、厚み50μmのPETフィルムを貼り合わせて裏打ちした後、幅25mm、長さ100mmのサイズにカットしたものを試験片とした。試験片から他方の面の剥離ライナーを剥離し、被着体としてのアルカリガラス板(松浪硝子工業社製、厚さ1.35mm、青板縁磨品)の表面に、2kgのローラを1往復させて圧着した。これを同環境下に30分間放置し、次いで加圧脱泡装置(オートクレーブ)に投入して温度50℃、圧力0.5MPaの条件で30分間のオートクレーブ処理を行い、さらに23℃、50%RHの雰囲気下で24時間放置した後に、万能引張圧縮試験機を使用して、JIS Z 0237:2000に準じて、引張速度300mm/分、剥離角度180度の条件で、剥離強度(粘着力)[N/25mm]を測定した。万能引張圧縮試験機としては、ミネベア社製の「引張圧縮試験機、TG-1kN」を使用した。結果を表1、2に示す。
表1に示されるように、添加剤(HRO)を含まない例7の粘着剤に添加剤(HRO)を加えた例1~6の粘着剤は、例7に比べて高い屈折率を示した。これらの粘着剤は、透明性が高く、剥離強度も良好であった。例14と例8~13の対比においても同様の傾向がみられた。一方、高屈折率の無機粒子を配合することで屈折率を向上させた例15は、例1~14に比べて明らかに透明性に劣り(特に、ヘイズが著しく高く)、かつ粘着剤としての実用に適した粘着性能(剥離強度)を示さないものであった。
表2に示す例16~19においても同様に、添加剤(HRO)の使用により屈折率を向上させる効果が発揮されることが確認された。例16~19の粘着剤は、透明性が高く、剥離強度も良好であった。
以上より、例1~6、例8~13、例16~19の粘着剤は、光学特性の低下を抑制しつつ高屈折率化されていることから、光学部材(例えば、光の導波、集光、回折の少なくとも1つの機能を有する光学フィルム)の接合等の用途に好適である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。