JP7606405B2 - 歯科用陶材 - Google Patents

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Description

本発明は歯科用陶材に関する。
金属焼付用陶材には下地の金属色を遮蔽する必要があるため、従来よりオペーク陶材が製品にラインナップされていて、歯冠表面は金属色が見られない審美性の高い補綴物を製作することが可能であった。一方で、従来から使われている不透明なジルコニア製の補綴物は、オペーク陶材のような遮蔽性の強い製品がなくても、インプラント又はアバットメントを使用したケースにおいては下地の金属色を遮蔽することができ、審美性の高い補綴物を製作することが可能であった。
近年のジルコニア素材の高強度及び高透明化製品の普及により、インプラント又はアバットメントを使用した場合において、下地の金属色を十分に遮蔽できないという問題が見られていて、ジルコニア焼付用陶材においても遮蔽性の高いオペーク陶材が必要とされている。
さらに、従来の着色された陶材粉末は白色陶材に比べて遮蔽性が得られる傾向にあるが、ブリーチ色を好むユーザーには着色された補綴物は好まれない傾向にある。ジルコニア製の補綴物に要求される白色度の高いブリーチ色においては、強い遮蔽性が得られないことが多く、インプラントやアバットメントを使用したケースにおいては、下地の金属色が歯冠表面に現れやすいため、審美性の高い補綴物を製作することが困難であった。
特許文献1には金属への焼付後に変色が起こりにくく、金属色の遮蔽力が高く、25~450℃の温度範囲において熱膨張係数が10.0~13.0×10-6/℃である歯科用オペーク陶材が記載されている。特許文献1では、歯科用オペーク陶材は遮蔽材料としてCeO2を15~50重量%、アルミノケイ酸塩ガラス(SiO2成分:50~60重量%)を40~50重量%含有することが開示されている。
特許文献2には歯科用合金上のオペーク体としての使用のための陶材組成物が記載されている。特許文献2には、該陶材組成物として、25~500℃の温度範囲において、合金の熱膨張係数とほぼ等しい約15.5~約17×10-6/℃の範囲にある熱膨張係数を有するもの、アルミノケイ酸塩ガラス約80~90重量%(Na2O成分:約4~約6重量%)と不透明化剤約10~約20重量%を含有するものも開示されている。さらに、特許文献2には、該不透明化剤として、Al23、ZnO、TiO2、ZrO2、ZrSiO4、CeO2、Ta25、SnO2及びそれらの混合物が開示されている。
特許文献3には歯科用ガラスセラミックコーティング材料に使用されるアルカリシリケートガラス(B23成分0.2~10.0重量%)が記載されている。該アルカリシリケートガラスは、低い熱膨張係数を有するセラミック又は、ガラスセラミックに使用可能な5.5~12.5×10-6/℃の熱膨張係数を有し、600~1000℃までの温度範囲の加熱処理で結晶化しない高い半透明性を有することが開示されている。好ましいアルカリシリケートガラスの成分として、CaO、F、P25、Li2O、BaO、ZnO、CeO2の添加の他に、TiO2+ZrO2複合成分(0.2~5.0重量%)が挙げられている。
特開平10-94550号公報 特開2003-503431号公報 特開平11-21145号公報
しかしながら、特許文献1の歯科用オペーク陶材は遮蔽性が高く、金属への焼付後に変色が起こりにくいものの、TiO2を遮蔽材とした場合、特許文献1の比較例2に示されるように、900℃~1000℃の温度で焼付を行うと、陶材を黄色に変色させてしまい、色調に影響を与えるという問題があった。また、特許文献2のオペーク陶材は、ジルコニア用としては熱膨張係数が高すぎて、焼付時に陶材中にクラックが発生するという問題があった。さらに、特許文献3のガラスは、ジルコニアに適する熱膨張係数を有するものの、高い半透明性を有するため、ジルコニア冠から透ける下地の金属色を遮蔽できないという問題があった。そのため、金属色を遮蔽し、陶材の変色を抑制し、ジルコニア冠に適した熱膨張係数を有する歯科用陶材は得られていなかった。
本発明が解決すべき課題は、遮蔽性が高く、陶材の変色を抑制し、ジルコニア冠に適した歯科用陶材を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、結晶質のTiO2の量をコントロールすることにより、上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1]ガラス成分及び結晶質のTiO2を含み、前記結晶質のTiO2の含有量が15質量%以上25質量%以下である、歯科用陶材。
[2]前記ガラス成分が非晶質のTiO2を含有し、前記結晶質のTiO2及び前記非晶質のTiO2の合計質量が18質量%以上35質量%以下である、[1]に記載の歯科用陶材。
[3]質量基準で、前記非晶質のTiO2の含有量が前記結晶質のTiO2の含有量よりも少ない、[2]に記載の歯科用陶材。
[4]前記ガラス成分がアルミノケイ酸塩ガラスを含み、非晶質のTiO2を除く前記アルミノケイ酸塩ガラスの総量を100質量%としたとき、前記アルミノケイ酸塩ガラスが、60.0質量%~70.0質量%のSiO2を含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の歯科用陶材。
[5]前記アルミノケイ酸塩ガラスが、非晶質のTiO2を除く総量を100質量%としたとき、質量%で表示して、
Al23 8.0%~12.0%
CaO 0.5%~4.0%
2O 7.0%~10.0%
Na2O 6.0%~9.0%
をさらに含有する、[4]に記載の歯科用陶材。
[6]前記ガラス成分がアルミノケイ酸塩ガラスを含み、非晶質のTiO2を除く前記アルミノケイ酸塩ガラスの総量を100質量%としたとき、前記アルミノケイ酸塩ガラスに含まれるNa2OとK2Oとの含有量の合計が、12.0質量%~20.0質量%である、[1]~[4]のいずれかに記載の歯科用陶材。
[7]前記結晶質のTiO2の含有量と前記アルミノケイ酸塩ガラスの含有量との質量比が、25:65~15:80である、[4]~[6]のいずれかに記載の歯科用陶材。
[8]30℃~450℃における熱膨張係数が8.0×10-6/℃以上10.0×10-6/℃未満である、[1]~[7]のいずれかに記載の歯科用陶材。
[9]880℃~980℃で焼成後の透過率が8%以下である、[1]~[8]のいずれかに記載の歯科用陶材。
[10]880℃~980℃で焼成後のL*a*b*表色系による測色データにおいて、L*が90.0以上である、[1]~[9]のいずれかに記載の歯科用陶材。
[11]結晶質成分の主成分が前記結晶質のTiO2である、[1]~[10]のいずれかに記載の歯科用陶材。
[12]ガラス成分及び結晶質のTiO2を750℃~880℃で熱処理する工程を含む、[1]~[11]のいずれかに記載の歯科用陶材の製造方法。
[13][1]~[11]のいずれかに記載の歯科用陶材をジルコニア基材上に塗布する工程と、前記歯科用陶材を880℃~980℃で焼成する工程とを含む、歯科用補綴物の製造方法。
本発明によれば、遮蔽性が高く、陶材の変色を抑制し、ジルコニア冠に適した歯科用陶材を提供できる。本発明によれば、インプラント又はチタンアバットメントなどの金属の上に歯科用陶材を用いた高透光性ジルコニア冠を被せる場合に、該ジルコニア冠から透ける金属色を遮蔽し、変色を抑制し、ジルコニア製の補綴物に要求される高い白色度を維持することができるため、審美性に優れる補綴物を製作することが可能になる。
[歯科用陶材中の結晶質TiO2の含有量]
本発明の歯科用陶材はガラス成分及び結晶質のTiO2を含み、前記結晶質のTiO2の含有量が15質量%以上25質量%以下である。結晶質TiO2の含有量は17質量%以上23質量%以下が好ましく、19質量%以上21質量%以下がより好ましい。これにより、ジルコニア冠から透ける金属色を遮蔽することが可能となる。また、結晶質のTiO2を前記量で含有するため、インプラント又はチタンアバットメントなどの金属の上に歯科用陶材を用いた高透光性ジルコニア冠を被せるケースにおいて、該ジルコニア冠が変色することなく、高い白色度が保たれるため、ジルコニア冠の審美性を維持することが可能となる。結晶質TiO2の含有量が15質量%未満であると遮蔽性が低下し、25質量%以上であると適正焼成温度で焼けなくなるため、遮蔽性が低下する。結晶質TiO2の含有量は、原料として添加するTiO2の量、及び後記する所定の熱処理の条件によって、所望の範囲とすることができる。
また、本発明の歯科用陶材は、結晶質のTiO2に加えて、非晶質のTiO2を含有していてもよい。本発明の歯科用陶材が非晶質のTiO2を含有する場合、TiO2の結晶質及び非晶質の合計質量は、より遮蔽性に優れ、高い白色度を保ちやすい点から、18質量%以上35質量%以下であることが好ましく、19質量%以上32質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
また、本発明の歯科用陶材が非晶質のTiO2を含有する場合、非晶質のTiO2の含有量は、歯科用陶材の総量において、10質量%以下であることが好ましく、9質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることがさらに好ましい。また、本発明の歯科用陶材が非晶質のTiO2を含有する場合、非晶質のTiO2の含有量は、質量基準で結晶質のTiO2より少ないことが好ましい。本発明の歯科用陶材が非晶質のTiO2を含有する場合、より遮蔽性に優れ、高い白色度を保ちやすく、ジルコニアにより適した熱膨張係数が得られやすい点から、非晶質のTiO2の含有量と、結晶質のTiO2の含有量との質量比は、非晶質TiO2:結晶質のTiO2=1:2~1:8であることが好ましく、1:2.5~1:7であることがより好ましく、1:3~1:6であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、単に「TiO2」と記載する場合は、結晶質として存在するTiO2とガラス中に非晶質として存在するTiO2の両方を意味する。
本発明の歯科用陶材では、結晶質成分の主成分が結晶質のTiO2であってもよい。本明細書において、「主成分」は、含有量が最も多い成分を意味する。結晶質成分における結晶質のTiO2の含有量は50質量%以上が好ましい。
[ガラス成分]
歯科用陶材は、ガラス成分及び結晶質のTiO2を含み、前記ガラス成分がSiO2を必須成分とするアルミノケイ酸塩ガラスを含有することが好ましい。また、前記ガラス成分は、SiO2、Al23、CaO、K2O、及びNa2Oを必須成分とするアルミノケイ酸塩ガラスを含有することがより好ましい。前記ガラス成分におけるアルミノケイ酸塩ガラスの含有量は60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。前記ガラス成分が前記各成分を含有することにより、歯科用陶材として化学的安定性及び諸物性を兼ね備えることができる。本明細書において、ガラスの各成分の含有量の%表示は、質量%を意味する。また、以降において、各成分の含有量は、非晶質のTiO2を除く前記アルミノケイ酸塩ガラスの総量を100質量%として記述する。
[SiO2含有量]
前記アルミノケイ酸塩ガラスにおいて、SiO2の含有量は60.0%~70.0%であることが好ましく、60.5%~69.5%であることがより好ましく、61.5%~68.5%であることがさらに好ましく、63.0%~67.0%であることが特に好ましい。SiO2が前記範囲内であると、他成分とのバランスに優れ、TiO2の非晶質化を抑制し、結晶質のTiO2を歯科用陶材中で所定量維持しやすい。
[Al23含有量]
前記アルミノケイ酸塩ガラスにおいて、Al23の含有量は8.0%~12.0%であることが好ましく、8.5%~10.0%であることがより好ましく、8.7%~9.8%であることがさらに好ましく、8.9%~9.6%であることが特に好ましい。Al23の含有量が前記範囲内であると、他成分とのバランスに優れ、TiO2の非晶質化を抑制し、結晶質のTiO2を歯科用陶材中で所定量維持しやすい。
[CaO含有量]
前記アルミノケイ酸塩ガラスにおいて、CaOの含有量は0.5%~4.0%であることが好ましく、1.5%~2.5%であることがより好ましく、2.0%~2.4%であることがさらに好ましく、2.1%~2.4%であることが特に好ましい。CaOの含有量が前記範囲内であると、他成分とのバランスに優れ、TiO2の非晶質化を抑制し、結晶質のTiO2を歯科用陶材中で所定量維持しやすい。
[K2O含有量]
前記アルミノケイ酸塩ガラスにおいて、K2Oの含有量は7.0%~10.0%であることが好ましく、8.5%~9.9%であることがより好ましく、8.7%~9.7%であることがさらに好ましく、8.9%~9.5%であることが特に好ましい。K2Oの含有量が前記範囲内であると、他成分とのバランスに優れ、TiO2の非晶質化を抑制し、結晶質のTiO2を歯科用陶材中で所定量維持しやすい。
[Na2O含有量]
前記アルミノケイ酸塩ガラスにおいて、Na2Oの含有量は6.0%~9.0%であることが好ましく、7.5%~8.6%であることがより好ましく、7.7%~8.4%であることがさらに好ましく、7.9%~8.2%であることが特に好ましい。Na2Oの含有量が前記範囲内であると、他成分とのバランスに優れ、TiO2の非晶質化を抑制し、結晶質のTiO2を歯科用陶材中で所定量維持しやすい。
前記ガラス成分がアルミノケイ酸塩ガラスを含み、非晶質のTiO2を除く前記アルミノケイ酸塩ガラスの総量を100質量%としたとき、前記アルミノケイ酸塩ガラスに含まれるNa2OとK2Oとの含有量の合計は、12.0質量%~20.0質量%が好ましく、12.5質量%~19.5質量%がより好ましく、13.0質量%~19.0質量%がさらに好ましく、13.5質量%~18.5質量%が特に好ましい。Na2OとK2Oとの含有量の合計が前記範囲内であると、他成分とのバランスに優れ、TiO2の非晶質化を抑制し、結晶質のTiO2を歯科用陶材中で所定量維持しやすい。
[他のガラス成分(任意成分)]
前記アルミノケイ酸塩ガラスはさらにLi2O、MgO、ZrO2等の任意成分を含むことができる。Li2Oの含有量は、例えば0%~2.0%であり、0.05%~1.4%であってもよい。MgOの含有量は、例えば0%~3.0%であり、0.05%~2.0%、さらに0.1%~1.0%であってもよい。ZrO2の含有量は、例えば0%~12.0%であり、0%~10%、0%~5%、さらに0.1%~4%であってもよい。前記アルミノケイ酸塩ガラスは、ガラスの溶融、均質化、清澄等を促進する微量成分を含んでいてもよい。この微量成分は、例えば、Sb23、CeO2、SnO2、Fe23、P25、Cl及びFからなる群より選択される少なくとも1種である。上記に例示した各微量成分の含有率(例えばSb23の含有率)は、0%~2%、さらに0%~1.2%、特に0.05%~1.0%であってもよい。なお、微量成分中、複数の価数をとりうる酸化物の含有量は、上記に例示した微量成分の価数に換算して含有量を算出する。したがって、例えばFeOは、1/2Fe23に換算して算出される。Sb23からFまでに列記した微量成分の含有量の合計は、0%~3.0%、さらに0.1%~2.0%、特に0.3%~1.5%であってもよい。前記アルミノケイ酸塩ガラスが含みうる上記以外の任意成分としては、B23、SrO、BaO、及びZnOを例示できる。ただし、前記アルミノケイ酸塩ガラスは、B23以降に列記した各成分を、2.0%、さらに1.0%を限度として含有していてもよい。前記アルミノケイ酸塩ガラスは、B23を実質的に含まない組成を有していてもよい。本明細書において、「実質的に含まない」とは、含有量が、0.5質量%未満、さらに0.1質量%未満、特に0.01質量%未満であることを意味する。
なお、Sb23やCeO2等の上述の成分は、非晶質として含まれている限り、本明細書では、当該成分がTiO2であるときを除き、当該成分の全量をアルミノケイ酸塩ガラスの成分に含めて算出する。
本発明の歯科用陶材は、結晶質のTiO2の含有量とアルミノケイ酸塩ガラスの含有量との質量比が、25:65~15:80であることが好ましく、より遮蔽性に優れ、高い白色度を保ちやすく、ジルコニアにより適した熱膨張係数が得られやすい点から、21:75~16:80であることがより好ましく、19:73~18:75であることがさらに好ましい。
[歯科用陶材中のガラス成分以外の添加剤]
歯科用陶材は、さらに、前記ガラス成分以外として、顔料、蛍光剤及び遮蔽材(乳濁材)などを含むことができる。顔料又は蛍光剤としては、例えば、P、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Zr、Sn、Sb、Bi、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb及びErの群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を利用することができる。遮蔽材としては、例えば、ZrO2、ZrSiO4、SnO2及びCeO2の群から選択される少なくとも1つの結晶質の化合物を利用することができる。顔料、蛍光剤及び遮蔽材は、1つの化合物であってもよいし、複数の化合物であってもよい。ある実施形態としては、結晶質のCeO2を実質的に含まない歯科用陶材が挙げられる。
[歯科用陶材中のガラス成分の組成分析]
歯科用陶材において、SiO2成分、Al23成分、CaO成分、K2O成分、及びNa2O成分の含有率は、例えば、蛍光X線分析によって測定することができる。Li2O成分の含有率は、例えば、原子吸光分光分析によって測定することができる。B23成分及びZnO成分の含有率は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)発光分光分析によって測定することができる。あるいは、歯科用陶材の粉末であるガラスセラミック組成物及び該歯科用陶材を焼成したガラスセラミック焼結体を構成する各成分の原料中の配合割合から算出した組成を歯科用陶材の組成とみなすことができる。
次に、歯科用陶材の製造方法の一例について説明する。
[ガラス原料の作製]
まずは、陶材の原料ガラスを作製する。例えば、上述の各酸化物組成に相当する原料(酸化物、炭酸塩等)を準備し、混合する。次に、混合した原料をるつぼ内で1300℃~1600℃で、2~8時間溶融した後、熔融物を水中で急冷してカレットを作製し、ガラスカレットをボールミルやポットミルで粉砕し、所定の粒径範囲となるように篩に掛ける。
[歯科用陶材の作製]
次に、準備した一次ガラス粉末(ガラス成分)とTiO2とを混合し、混合した粉末を750℃~880℃で0.5~2時間熱処理する。熱処理温度は770℃~850℃が好ましく、790℃~820℃がより好ましい。熱処理温度が高すぎると、TiO2が必要以上にガラスに熔融し、結晶質TiO2の含有量が少なくなり、歯科用陶材に変色が生じる。熱処理温度が低すぎると、TiO2がガラスと融着せず、結晶質TiO2がガラスと分離しやすくなるため、製品として専用リキッドと練和して使用する際に操作性不良を引き起こしてしまう。次に、ガラスとTiO2が融着した焼成物を粗砕し、粗砕物をさらにポットミルを用いて所定の粒径範囲になるまで粉砕する。その後、篩に掛けて粉砕品から粗粒を取り除き、陶材粉末を得る。
[歯科用陶材の焼成温度]
また、ある好適な実施形態としては、前記歯科用陶材をジルコニア基材上に塗布する工程と、前記歯科用陶材を880℃~980℃で焼成する工程とを含む、歯科用補綴物の製造方法が挙げられる。歯科用陶材の焼成温度は880℃~980℃であることが好ましく、900℃~960℃であることがより好ましく、920℃~940℃であることがさらに好ましい。これにより、例えば、陶材をジルコニア冠の上で焼結させた場合に、ジルコニア冠の損傷を抑制することができる。また、過熱による変形を抑制することができる。
[歯科用陶材の熱膨張係数]
30℃~450℃における歯科用陶材の熱膨張係数は、8.0×10-6/℃以上10.0×10-6/℃未満が好ましく、8.5×10-6/℃以上9.5×10-6/℃以下がより好ましい。これにより、ジルコニア冠を基材として加熱した場合でも、クラック等の欠陥の発生を抑制することができる。歯科用陶材の熱膨張係数の測定方法は、後記する実施例に記載のとおりである。
[歯科用陶材の遮蔽性(透過率)]
880℃~980℃で焼成後の歯科用陶材の透過率は、8%以下が好ましく、7%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。これにより、金属色を遮蔽することが可能となる。歯科用陶材の透過率の測定方法は、後記する実施例に記載のとおりである。
[歯科用陶材の変色度(白色度)]
歯科用陶材の変色度は、焼成した後に分光測色計を用いて測定できる。歯科用陶材を880℃~980℃で焼成後のL*a*b*表色系による測色データにおいて、L*の値は、90.0以上が好ましく、92.0以上がより好ましく、94.0以上がさらに好ましい。これにより、ジルコニア冠の審美性を維持した状態で、補綴物を作製することが可能となる。歯科用陶材の変色度(白色度)の測定方法は、後記する実施例に記載のとおりである。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が当分野において通常の知識を有する者により可能である。
[原料ガラスの作製]
一次ガラス粉末を作製した際に表1の組成となるように、各原料(シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸リチウムなど)を混合した。混合した原料をるつぼの中で1450℃で4時間溶融した。溶融物を水中で急冷してガラスカレットを作製し、前記ガラスカレットをボールミルで粉砕し、ステンレス製の#100メッシュの篩に掛けて、一次ガラス粉末を得た。
Figure 0007606405000001
[陶材粉末の作製]
準備した一次ガラス粉末とTiO2を表2に記載の比率で混合した。混合した粉末を800℃で2時間熱処理した。次に、ガラスとTiO2が融着した焼成物をジョークラッシャーを用いて粗砕し、粗砕物をさらにボールミルを用いて平均粒子径が15μmになるまで粉砕した。その後、ステンレス製の#100メッシュの篩に掛けて粉砕品から粗粒を取り除き、陶材粉末を得た。なお、前記平均粒子径は、レーザー回折散乱法により求めることができる。レーザー回折散乱法は、具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD-2300:株式会社島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて体積基準で測定することができる。
[結晶質TiO2の含有量の測定]
陶材粉末中に含有される結晶質TiO2の定量については、X線回折装置を用いてTiO2の結晶のピーク強度を測定することによって実施した。
X線回折装置はSmart Lab(株式会社リガク製)を使用した。X線はCuKαを用いて、2θ=23°~28°の範囲を測定し、TiO2の第1ピーク強度を含んだ面積強度を読み取った。予め、測定対象の陶材と同じガラス成分を有し、結晶質TiO2の含有量(5,10,15,20,25,30質量%)が分かっている標準サンプルを準備し、その標準サンプルのX線の面積強度を測定し、結晶質TiO2の含有量と面積強度の相関式(近似式)を作成しておくことによって、結晶質TiO2の検量線が得られる。ガラス1の場合、結晶質TiO2の含有量をX、面積強度をYとすると、Y=1.28X+5.23の検量線が得られた。陶材粉末中に含まれるTiO2の面積強度から、結晶質TiO2が定量可能となる。
[非晶質TiO2の含有量の測定]
TiO2は蛍光X線分析(リガク製ZSX PrimusII)を使用した元素分析により、結晶質と非晶質を合わせた総量を定量した。非晶質TiO2の含有量は、元素分析で結晶質と非晶質のTiO2の総量を求めて、総量から結晶質TiO2の含有量を引いて算出した。
[歯科用陶材の透過率測定]
陶材粉末をペレット形状に成形し、930℃、1分間の条件で焼成した試験片を両面#1000の耐水研磨紙(株式会社ノリタケコーテッドアブレーシブ製C947H)で研磨して、直径11mm、厚み0.30mmの測定用サンプルを作製した。測定は、透過濃度計X-Rite 361T(V)(サカタインクスエンジニアリング株式会社製)を用い、波長555nmの光を当てて透過濃度を測定し、測定した透過濃度値を下記式(1)に入れて透過率を計算した。
透過率[%]=10-透過濃度×100 (1)
[歯科用陶材の熱膨張係数測定]
熱膨張係数は、JIS T 6526(2012)に準拠して測定した。測定に使用する試験片は、陶材粉末を棒状(直径:約5mm)に成形し、930℃、1分間の条件で焼成したものを20mmの長さになるように、両面#1000の耐水研磨紙(株式会社ノリタケコーテッドアブレーシブ製C947H)で上下面を研磨し、作製した。熱機械分析装置TMA8310(株式会社リガク製)を用いて、昇温速度5℃/分で30℃~450℃の温度範囲での熱膨張係数を測定した。
[歯科用陶材の変色度(白色度)評価]
陶材粉末をペレット形状に成形し、930℃、1分間の条件で焼成した試験片を両面#1000の耐水研磨紙(株式会社ノリタケコーテッドアブレーシブ製C947H)で研磨して、直径14mm、厚み1.20mmに仕上げて作製した。作製した試験片は分光測色計CM-3610A(コニカミノルタ株式会社製)を用いてD65光源、測定モードSCI、測定径/照明径=φ8mm/φ11mm、白背景にて測定を行い、L*a*b*表色系(JIS Z 8781-4:2013 測色-第4部:CIE 1976 L*a*b*色空間)における明度(色空間)のL*値を読み取った。焼成時の変色を抑制できる点から、L*は90.0以上であることが好ましい。
Figure 0007606405000002
実施例1~5では、遮蔽性が高く、焼成時に変色しないジルコニア冠に適した熱膨張係数を有する歯科用陶材を得ることができた。一方、比較例1~4では、結晶相として残存するTiO2の量が少なすぎる、或いは多すぎることにより、良好な遮蔽性が得られなかったり、ガラス成分の組成が異なることにより、焼成時にガラスが変色してしまった。
本明細書に記載した数値範囲については別段の記載のない場合であっても、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし範囲が本書に具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
本発明の歯科用陶材は、歯科用補綴物等に利用することができる。

Claims (10)

  1. ガラス成分及び結晶質のTiO2を含み、前記結晶質のTiO2の含有量が15質量%以上25質量%以下であ
    前記ガラス成分がアルミノケイ酸塩ガラスを含み、非晶質のTiO 2 を除く前記アルミノケイ酸塩ガラスの総量を100質量%としたとき、前記アルミノケイ酸塩ガラスが、質量%で表示して、
    SiO 2 60.0~70.0%
    Al 2 3 8.0%~12.0%
    CaO 0.5%~4.0%
    2 O 7.0%~10.0%
    Na 2 O 6.0%~9.0%
    を含有し、
    前記アルミノケイ酸塩ガラスに含まれるNa 2 OとK 2 Oとの含有量の合計が、12.0質量%~20.0質量%である、歯科用陶材。
  2. 前記ガラス成分が非晶質のTiO2を含有し、前記結晶質のTiO2及び前記非晶質のTiO2の合計質量が18質量%以上35質量%以下である、請求項1に記載の歯科用陶材。
  3. 質量基準で、前記非晶質のTiO2の含有量が前記結晶質のTiO2の含有量よりも少ない、請求項2に記載の歯科用陶材。
  4. 前記結晶質のTiO2の含有量と前記アルミノケイ酸塩ガラスの含有量との質量比が、25:65~15:80である、請求項のいずれかに記載の歯科用陶材。
  5. 30℃~450℃における熱膨張係数が8.0×10-6/℃以上10.0×10-6/℃未満である、請求項1~のいずれかに記載の歯科用陶材。
  6. 880℃~980℃で焼成後の透過率が8%以下である、請求項1~のいずれかに記載の歯科用陶材。
  7. 880℃~980℃で焼成後のL*a*b*表色系による測色データにおいて、L*が90.0以上である、請求項1~のいずれかに記載の歯科用陶材。
  8. 結晶質成分の主成分が前記結晶質のTiO2である、請求項1~のいずれかに記載の歯科用陶材。
  9. ガラス成分及び結晶質のTiO2を750℃~880℃で熱処理する工程を含む、請求項1~のいずれかに記載の歯科用陶材の製造方法。
  10. 請求項1~のいずれかに記載の歯科用陶材をジルコニア基材上に塗布する工程と、前記歯科用陶材を880℃~980℃で焼成する工程とを含む、歯科用補綴物の製造方法。
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