JP7554107B2 - モータのコイルエンド構造、及びモータ - Google Patents

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本発明は、モータのコイルエンド構造、及びモータに関する。
従来、モータのコイルエンド構造、及びモータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、固定子巻線の形成に用いられる略U字形状のセグメント導体の成形方法(モータのコイルエンド構造)が開示されている。上記特許文献1には、略U字形状のセグメントがスロット挿入部とコイルエンド(渡り部)とから構成され、スロット挿入部は、所定長さ銅材等から構成される平角線がU字状に曲げられてステータコアのスロットに挿入される部分であり、コイルエンド(渡り部)が、スロット挿入部同士を接続するとともにステータコアの端面部で所定のスロットから他の所定のスロットに渡る部分である、と記載されている。
上記特許文献1には、コイルエンドに捻り部を形成しないことにより、コイルエンドのかさばりが抑制され、モータの軸方向や径方向の突出量が縮小される、と記載されている。また、上記特許文献1には、セグメント(コイル)をステータコアに円環配列した場合に、コイルエンドの軸方向への高さが低減されることにより、モータの軸方向及び径方向の寸法が縮小される、と記載されている。
特開2003-264964号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のセグメント導体の成形方法(モータのコイルエンド構造)においては、コイルエンドにおけるステータコアの軸方向端面からの高さが略均一であるため、コイルエンドにおける重なり部の表面積が小さくなるという不具合がある。このため、コイルエンド(コイル)に対して冷却オイルの当たる面積が小さくなるため、冷却性能が低いという問題点がある。
また、コイルをステータコアに円環配列した状態で、ステータコアに対して上方(ステータコアの軸方向)からワニス等の絶縁性材料を含侵させた場合には、隣接するコイル同士の隙間が狭いため、コイルとコイルとの間にワニス等が含侵しにくく、絶縁性が低いという問題点がある。
本発明は、上記問題点を解消すべくなされたものであって、冷却性能及び絶縁性を向上することが可能なモータのコイルエンド構造及びモータを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、次のように構成されている。
(1)本発明によるモータのコイルエンド構造は、モータを構成し、周方向に沿って複数のスロットを有する円環状に形成されたステータコアと、前記複数のスロットにおいて前記ステータコアの径方向に沿って隣接するように配置された複数のコイルとを備え、前記複数のコイルの各々は、前記ステータコアの軸方向端面から軸方向外方に向けて突出するようにコイルエンドが形成され、前記複数のコイルの各々の前記コイルエンドの高さは、前記ステータコアの径方向に隣接する前記コイルの前記コイルエンドの高さと異なっていること、を特徴とする。
上記構成によれば、複数のコイルの各々のコイルエンドにおけるステータコアの軸方向端面からの高さが不均一になるため、コイルエンドにおける重なり部の表面積が大きくなる。これにより、冷却オイルが当たる面積が大きくなるため、冷却性能を向上することができる。また、上記構成によれば、隣接するコイルの間隔が広くなるため、コイルとコイルとの間におけるワニスの含侵性が向上する。これにより、コイルの固定強度が向上するとともに、絶縁性を向上することができる。
(2)本発明によるモータのコイルエンド構造において、前記複数のコイルの各々の前記コイルエンドの高さは、前記ステータコアの径方向における任意の部分から外周側に向けて低くなっているとよい。このように構成すれば、ステータコアの径方向の外周側に配置されるコイルにおけるコイルエンドの高さが低くなる分、ステータコアが収容されるハウジングの外周部の高さを低くすることができる。これにより、ハウジングを小型化することができる。
(3)この場合、好ましくは、前記複数のコイルの各々の前記コイルエンドの高さは、前記ステータコアの径方向における任意の部分から内周側及び外周側に向けて低くなっているとよい。このように構成すれば、ステータコアの径方向における各コイルエンドの形状が凸形状になるため、ステータコアの径方向の両端(ステータコアの内周側及び外周側)にワニスが届きやすくなる。これにより、コイルの固定強度がより向上するとともに、絶縁性をより向上することができる。
(4)上記コイルエンドの高さがステータコアの径方向における任意の部分から外周側に向けて低くなっている構成において、好ましくは、前記ステータコアの径方向における任意の部分は、前記ステータコアの径方向における内周側と外周側との間に位置する中間部であるとよい。このように構成すれば、複数のコイルのコイルエンドをステータコアの周方向から見た場合に、コイルエンドの外形を中間部に対して内周側と外周側とで線対称形状にすることができる。これにより、ステータコアの軸方向からコイルに対してワニスを含侵させる場合に、ステータコアの径方向の内周側と外周側とに均一に流れ込み易くなる。
(5)上記コイルエンドの高さがステータコアの径方向における任意の部分から内周側及び外周側に向けて低くなっている構成において、好ましくは、前記複数のコイルの前記コイルエンドは、前記ステータコアの周方向から見て、山形形状を有しているとよい。このように構成すれば、複数のコイルのコイルエンドにおける山形形状の頂上に相当する部分(最も高い位置)からワニスを含侵させることにより、ステータコアの径方向の内周側と外周側とにワニスが流れ易くすることができる。
(6)本発明によるモータは、周方向に沿って複数のスロットを有する円環状に形成されたステータコアを備えるステータと、前記ステータコアの内周側に回転可能に配置され、S極及びN極の磁石が周方向に沿って交互に配列されたロータと、前記ステータコアの前記複数のスロットにおいて前記ステータコアの径方向に沿って隣接するように配置された複数のコイルとを備え、前記複数のコイルの各々は、前記ステータコアの軸方向端面から軸方向外方に向けて突出するようにコイルエンドが形成され、前記複数のコイルの各々の前記コイルエンドの高さは、前記ステータコアの径方向に隣接する前記コイルの前記コイルエンドの高さと異なっていること、を特徴とする。
上記構成によれば、冷却性能及び絶縁性を向上することが可能なモータを得ることができる。すなわち、上記構成によれば、複数のコイルの各々のコイルエンドにおけるステータコアの軸方向端面からの高さが不均一になるため、コイルエンドにおける重なり部の表面積が大きくなる。このため、冷却オイルが当たる面積が大きくなるため、冷却性能を向上することができる。また、上記構成によれば、隣接するコイルの間隔が広くなるため、コイルとコイルとの間におけるワニスの含侵性が向上する。これにより、コイルの固定強度が向上するとともに、絶縁性を向上することができる。
本発明に係る態様によれば、冷却性能及び絶縁性を向上することが可能なモータのコイルエンド構造及びモータを提供することができる。
本実施形態に係るモータの全体構成を説明するための断面図である。 本実施形態に係るコイルエンド構造を軸方向斜めから見た図である。 本実施形態に係るコイルエンド構造をステータコアの軸方向から見た図である。 図3のA-A線に沿ったコイルエンド構造の断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係るモータのコイルエンド構造及びモータを説明する。これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。また、図中、同様の構成部品は、同様の符号を付して示す。
(モータ)
図1を参照して、モータ1の構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態によるモータ1は、ハウジング2と、ステータ3と、ロータ4と、出力軸5とを備えている。モータ1は、ハイブリッド自動車や電気自動車のような車両に搭載される走行用モータである。なお、モータ1の構成は、上記の例に限られず、車両に搭載される発電用モータ等のその他の用途のモータにも適用可能である。
ハウジング2は、ステータ3及びロータ4を収容可能なように筒状に形成されている。ステータ3は、環状に形成されている。ステータ3は、ハウジング2の内周面に取り付けられている。ステータ3は、ステータコア31と、コイル30とを備えている。コイル30は、ステータコア31に取り付けられている。ステータ3は、ロータ4に対して回転磁界を作用させる。
ロータ4は、ステータコア31の内周側に回転可能に配置されている。ロータ4は、ロータコア41と、ロータコア41に取り付けられたS極及びN極の磁石(図示せず)とを備えている。S極及びN極の磁石は、ロータコア41の周方向に沿って交互に配列されている。ロータ4には、出力軸5が接続されている。出力軸5は、ロータ4の回転を駆動力として出力する。
(ステータ)
次に、図1~図4を参照して、ステータの構成について詳細に説明する。
図1に示すように、ステータコア31は、ロータ4をステータコア31の径方向の外側から取り囲む環状(筒状)に形成されている。ステータコア31は、電磁鋼板に対して打ち抜き加工等を施して形成されている。図2に示すように、ステータコア31は、複数枚(本実施形態では3枚)の環状のプレート32がステータコア31の軸方向に沿って積層されて構成されている。なお、以下の記載では、ステータコア31の径方向を単に「径方向」と記載し、ステータコア31の軸方向を単に「軸方向」と記載し、ステータコア31の周方向を単に「周方向」と記載する場合がある。
図2及び図3に示すように、ステータコア31は、円環状に形成されている。具体的には、ステータコア31は、環状のヨーク部33と、複数のティース部34と、複数のスロット35とを有する。複数のティース部34は、ヨーク部33から径方向の内周側に向けて突出している。複数のスロット35は、ステータコア31の周方向に沿って、互いに隣り合う2つのティース部34の間に形成されている。各スロット35は、径方向の内周側に向けて開口するように形成されている。各スロット35は、軸方向に沿って、ステータコア31を貫通して形成されている。
図2及び図4に示すように、複数のコイル30は、U相、V相及びW相からなる三相コイルである。複数のコイル30は、コイル301~コイル308により構成されている。コイル301~コイル308は、ステータコア31の軸方向に沿って外部からスロット35に向けて挿入されている。コイル301~308は、スロット35においてステータコア31の径方向に沿って隣接するように配置されている。コイル301~308は、この順にステータコア31の外周側から内周側に沿って配置されており、スロット35においてステータコア31の径方向に沿って8列(8層)に並んで配置されている。
コイル301~308のうちスロット35の外部に露出している部分は、周方向の一方側又は他方側に向けて折り曲げられている。コイル301~308は、それぞれ、ステータコア31の軸方向端面31aにおいて、所定のスロット35から他の所定のスロット35に挿入されるように配置されている。
図4に示すように、本実施形態では、コイル301~コイル308の各々には、ステータコア31の軸方向端面31aから軸方向外方に向けて突出するようにコイルエンド301a~308aが形成されている。コイルエンド301a~308aは、それぞれ、ステータコア31の軸方向端面31aから最も高い位置までの高さH1~H8を有している。コイルエンド301a~308aの高さH1~H8は、径方向において均一ではなく、不均一となっている。すなわち、コイルエンド301a~308aの高さH1~H8は、径方向において異なっている。
具体的には、本実施形態では、コイルエンド301aの高さH1は、コイルエンド302aの高さH2よりも低い。コイルエンド302aの高さH2は、コイルエンド303aの高さH3よりも低い。コイルエンド303aの高さH3、コイルエンド304aの高さH4、コイルエンド305aの高さH5、及びコイルエンド306aの高さH6は、略等しい。コイルエンド306aの高さH6は、コイルエンド307aの高さH7よりも高い。コイルエンド307aの高さH7は、コイルエンド308aの高さH8よりも高い。なお、本実施形態では、コイルエンド303a~306aの高さH3~H6を略等しくしているが、全てのコイルエンドの高さを異ならせてもよい(不均一であってもよい)。
コイルエンド301a~308aの高さH1~H8は、ステータコア31の径方向における中間部(コイルエンド304a及びコイルエンド305a)から内周側(コイルエンド308a側)及び外周側(コイルエンド301a側)に向けて低くなっている。
コイルエンド301a~308aは、ステータコア31の周方向から見て、山形形状を有している(図4に示すB形状)。これに伴い、コイルエンド301a~308aの外方に配置されるハウジング2の外周部は、軸方向に対して高さが低くなっている。また、コイルエンド301a~308aをステータコア31の径方向の内周側又は外周側から見た場合に、コイルエンド301a~308aがずれて配置されている。これにより、径方向に隣接するコイルエンド301a~308aの重なり部が大きくなっている。
上記説明した実施形態によれば、以下の効果(1)~(3)を得ることができる。
(1)本実施形態によるモータのコイルエンド構造では、複数のコイル30(コイル301~308)の各々のコイルエンド301a~308aの高さH1~H8を、ステータコア31の径方向に隣接するコイル301~308のコイルエンド301a~308aの高さH1~H8と異ならせた。これにより、コイルエンド301a~308aの高さH1~H8が不均一になるため、コイルエンド301a~308aの重なり部の表面積が大きくなる。このため、冷却オイルが当たる面積が大きくなるため、冷却性能を向上することができる。また、上記実施形態によれば、隣接するコイル301~308の間隔が広くなるため、各コイル301~308の間に対するワニスの含侵性が上がる。これにより、コイル301~308の固定強度が向上するとともに、絶縁性を向上することができる。
(2)本実施形態によるモータのコイルエンド構造では、複数のコイル30(コイル301~308)の各々のコイルエンド301a~308aの高さH1~H8を、ステータコア31の径方向における中間部(コイルエンド304a及び305a)から内周側及び外周側に向けて低くした。上記実施形態によれば、ステータコア31の径方向の外周側に配置されるコイル301及び302におけるコイルエンド301a及び302aの高さH1及びH2が低くなる分、ステータコア31が収容されるハウジング2の外周部の高さを低くすることができる。これにより、ハウジング2を小型化することができる。また、上記実施形態によれば、コイルエンド301a~308aの高さH1~H8が中間部に対して線対称の凸形状になるため、ステータコア31の径方向の両端(ステータコア31の内周側及び外周側)にワニスが届きやすくなる。これにより、コイル301~308の固定強度がより向上するとともに、絶縁性をより向上することができる。
(3)本実施形態によるモータのコイルエンド構造では、複数のコイル30(コイル301~308)のコイルエンド301a~308aの形状をステータコア31の周方向から見て山形形状となるようにした。これにより、コイルエンド301a~308aにおける山形形状の頂上に相当する部分(最も高い位置)として、コイル304及び305のコイルエンド304a及び305aからワニスを含侵させることにより、ステータコア31の径方向の内周側と外周側とにワニスが流れ易くすることができる。
(変形例)
上記実施形態は、以下のように変更した構成とすることもできる。
上記実施形態では、各コイルエンドの高さをステータコアの径方向における中間部から内周側及び外周側の両方に向けて低くする例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、各コイルエンドの高さがステータコアの径方向に隣接する各コイルエンドの高さと異なっていれば、モータの冷却性能及び絶縁性を向上することが可能である。
上記実施形態では、各コイルエンドの高さをステータコアの径方向における中間部から内周側及び外周側の両方に向けて低くする例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、各コイルエンドの高さがステータコアの径方向における中間部から内周側に向けて低くする一方で、ステータコアの径方向における中間部から外周側に向けて高くするかあるいは同じ高さにしてもよい。言い換えると、必ずしもコイルエンドの形状を山形形状にしなくてもよい。これによっても、ハウジングにおける径方向の外周部の高さを低くすることができるため、ハウジングを小型化することが可能である。
上記実施形態では、ステータコアの径方向における任意の部分の一例として、ステータコアの径方向における内周側と外周側との間に位置する中間部を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ステータコアの径方向における内周側と外周側との間であれば、いずれの位置を任意の部分としてもよい。
上記実施形態は、いずれも本発明の適応の例示であり、特許請求の範囲に記載の範囲内におけるその他いかなる実施形態も、発明の技術的範囲に含まれることは当然のことである。
1 :モータ
3 :ステータ
4 :ロータ
30 :コイル
31 :ステータコア
31a :端面
34 :スロット
301~308 :コイル
301a~308a :コイルエンド
H1~H8 :高さ

Claims (2)

  1. モータを構成し、周方向に沿って複数のスロットを有する円環状に形成されたステータコアと、
    前記複数のスロットにおいて前記ステータコアの径方向に沿って隣接するように配置された複数のコイルとを備え、
    前記複数のコイルの各々は、前記ステータコアの軸方向端面から軸方向外方に向けて突出するように前記周方向の一方側又は他方側に向けて折り曲げられている略U字形状のコイルエンドが形成され、
    前記複数のコイルの各々の前記コイルエンドの高さは、前記ステータコアの径方向における任意の部分から内周側及び外周側に向けて低くなっており、
    前記任意の部分は、前記ステータコアの径方向における内周側と外周側との間に位置する中間部であること、を特徴とするモータのコイルエンド構造。
  2. 前記複数のコイルの前記コイルエンドは、前記ステータコアの周方向から見て、山形形状を有していること、を特徴とする請求項1に記載のモータのコイルエンド構造。
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