JP7553916B2 - 医療用針 - Google Patents

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Description

本発明は、医療用針に関する。
穿刺針は、容易に生体を貫通可能であると共に、貫通の際、極力、痛みの度合いが小さいことが好ましい。そのような穿刺針として、例えば、略円錐形状の頂点部分をある角度で切断して、先端に、自身の軸方向に対して鋭角な切断面が形成されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004-194731号公報
しかしながら、上記穿刺針では、切断面が1つであるため、先端は、切断面と、周方向において切断面に連続する円錐面で構成される。また、刃先が、上記穿刺針の先端に形成され、先端側に凸となる曲面状となる。このため、先端の刃先の鋭利性に問題があり、特に、特許文献1の中でも、上記穿刺針により超音波振動をしない状態では組織、特に腹膜などを切開することは困難であるとされている(特許文献1の段落(0012)参照)。
本発明は、斯かる実情に鑑み、生体を貫通する際の血管の損傷を最小限にして出血量を大幅に抑えられる医療用針を提供しようとするものである。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の医療用針は、棒状の本体部と、前記本体部の一端側に連続し、前記本体部の長手方向に沿って前記本体部の前記一端から離れるに従って断面積が小さくなる区間を有するテーパー部と、前記テーパー部に重畳する針先部と、を備え、前記針先部は、互いに交差して峰部を形成する第一刃面及び第二刃面を有し、前記峰部の稜線によって刃先が形成され、且つ、前記刃先は、前記長手方向に進むに従って前記本体部の径方向に変位するように傾斜しつつ、前記長手方向における前記針先部の先端まで延在し、前記テーパー部は、前記長手方向に沿って、前記針先部を構成する第一区間と、前記第一区間に連続する第二区間と、前記第二区間に連続して前記本体部につながる第三区間とを備えており、前記第一区間では、前記第一刃面、第一周面、前記第二刃面が前記テーパー部の周方向にこの順で連続しており、前記第二区間では、前記第一刃面、第二周面、前記第二刃面、第三周面が周方向にこの順で連続しており、前記第三区間は、円錐台形状の周面となっており、前記第三区間の前記円錐台形状の周面を前記第一区間まで延長した際の円錐面を仮想円錐面と定義する場合、前記第一周面、前記第二周面及び前記第三周面は、該仮想円錐面上に位置しており、前記長手方向に直交する前記第二区間の断面において、前記第二周面に相当する辺の長さが、前記第三周面に相当する辺の長さよりも短いことを特徴とする。
本発明の医療用針において、前記刃先は、前記長手方向に進むに従って前記本体部の径方向に変位するように傾斜することを特徴とする。
本発明の医療用針において、前記針先部は、前記長手方向に直交する断面形状が扇形となる部分を有することを特徴とする。
本発明の医療用針において、前記刃先は、前記長手方向における前記針先部の先端まで延在することを特徴とする。
本発明の医療用針において、前記径方向における前記刃先の最大長さは、前記径方向における前記テーパー部の最大長さの1/3以下であることを特徴とする。
本発明の医療用針において、前記長手方向における前記刃先の長さは、前記長手方向における前記テーパー部及び前記針先部の長さの1/4以下であることを特徴とする。
前記長手方向に対する前記刃先の傾斜角θ1は、15度~55度の範囲内にあることを特徴とする。
本発明の医療用針において、前記仮想円錐面により形成される円錐を仮想円錐、該仮想円錐の中心軸を仮想中心軸と定義する場合、前記第一刃面及び前記第二刃面の前記仮想中心軸を基準とした傾斜角θ3は、前記仮想中心軸を基準とした前記仮想円錐の母線の傾斜角θ6よりも大きいことを特徴とする。
本発明の医療用針において、前記仮想円錐面により形成される円錐を仮想円錐、該仮想円錐の中心軸を仮想中心軸と定義する場合、前記仮想中心軸を基準とした前記仮想円錐の母線の傾斜角θ6は、7.5度~15度の範囲内にあることを特徴とする。
本発明の医療用針において、少なくとも一部が円錐台形状に形成される前記テーパー部の周面を前記針先部まで延長した際の円錐面を仮想円錐面、該仮想円錐面により形成される円錐を仮想円錐、該仮想円錐の中心軸を仮想中心軸と定義する場合、前記第一刃面及び前記第二刃面の前記仮想中心軸を基準とした傾斜角θ3は、前記仮想中心軸を基準とした前記仮想円錐の母線の傾斜角θ6よりも大きいことを特徴とする。
本発明の医療用針において、前記テーパー部の表面の摩擦係数が、0.3以下であることを特徴とする。
本発明の医療用針において、前記刃先は、前記長手方向に直交する方向に平行に延在することを特徴とする。
本発明の医療用針において、前記針先部は、前記第一刃面及び前記第二刃面と交差して、さらに、それぞれの稜線が刃先となる2つの峰部を形成する第三刃面を有することを特徴とする。
本発明の医療用針において、前記第一刃面及び前記第二刃面の少なくとも一方は、凹状の曲面又は平面であることを特徴とする。
本発明の医療用針によれば、生体を貫通する際の血管の損傷を最小限にして、出血量を大幅に抑えることができるという優れた効果を奏し得る。
(A)は、本発明の第一実施形態における医療用針の斜視図である。(B)は、本発明の第一実施形態における医療用針の先端側の拡大図である。 (A)は、本発明の第一実施形態における医療用針の平面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における医療用針の底面図である。(C)は、本発明の第一実施形態における医療用針の側面図である。 (A)は、本発明の第一実施形態における医療用針のテーパー部の断面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における医療用針の針先部の第一区間における断面図である。(C)は、本発明の第一実施形態における医療用針の針先部の第二区間における断面図である。 上段図は、本発明の第一実施形態における医療用針の正面図である。下段図は、上段図のB矢視図である。 (A)は、本発明の第一実施形態における医療用針の刃先の態様を変えたものの正面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における医療用針の刃先の態様を変えたものの平面図である。 (A)は、本発明の第一実施形態における医療用針の刃先の態様を変えたものの正面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における医療用針の刃先の態様を変えたものの平面図である。 (A)は、本発明の第一実施形態における医療用針の第一刃面及び第二刃面の態様を変えたものの平面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における医療用針の第一刃面及び第二刃面の態様を変えたものの側面図である。 本発明の第一実施形態における9種類の医療用針のθ1~θ6、α1、F1、F2、R1、R2の各値を示す表である。 (A)~(J)は、それぞれ図8の表に対応する本発明の第一実施形態における9種類の医療用針の側面図である (A)は、本発明の第二実施形態における医療用針の斜視図である。(B)は、本発明の第二実施形態における医療用針の平面(底面)図である。(C)は、本発明の第二実施形態における医療用針の側面図である。 (A)は、本発明の第二実施形態における医療用針の正面図である。(B)は、本発明の第二実施形態における医療用針の針先部の断面図である。 (A)は、本発明の第三実施形態における医療用針の斜視図である。(B)は、本発明の第三実施形態における医療用針の平面図である。(C)は、本発明の第三実施形態における医療用針の底面図である。 (A)は、本発明の第三実施形態における医療用針の正面図である。(B)は、本発明の第三実施形態における医療用針の変形例の正面図である。 (A)は、本発明の第三実施形態における医療用針の針先部の第一区間における断面図である。(B)は、本発明の第三実施形態における医療用針の針先部の第二区間における断面図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の医療用針は、例えば、穿刺針等が該当するが、それ以外の医療用針にも適用可能である。
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態における医療用針1について説明する。本実施形態における医療用針1の材料として、例えば、SUS304等のステンレス鋼、又は、その他の金属、合金が挙げられる。本実施形態における医療用針1は、図1(A)に示すように、本体部2と、テーパー部3と、針先部4と、を有する。
<本体部>
本体部2は、棒状に形成される。本実施形態において本体部2は、直線状に延在する。そして、本体部2は、第一大径部20と、小径部21と、第二大径部22と、連結部23とを有する。そして、本体部2は、第一大径部20、小径部21、第二大径部22、連結部23の順に、本体部2の長手方向Aに連続して形成される。なお、本実施形態における本体部2の長手方向Aは、医療用針1の長手方向と一致し、以下においてそれらを単に長手方向Aと呼ぶこととする。そして、医療用針1において、長手方向Aの針先部4側を先端側、それとは反対側を基端側と呼ぶこととする。
第一大径部20及び第二大径部22は、それぞれ、同軸となり、同径の円柱状に形成される。小径部21は、第一大径部20と第二大径部22の間において第一大径部20及び第二大径部22に連続するように設けられ、第一大径部20及び第二大径部22よりも径が小さい。具体的に、小径部21は、第一大径部20及び第二大径部22のそれぞれに連続する両端の両端側区間では、テーパー状に形成され、各両端側区間の間の中央区間では、径が一定の円柱状に形成される。そして、小径部21も第一大径部20及び第二大径部22と同軸となる。本実施形態における本体部2の径方向Rは、医療用針1の径方向と一致し、以下においてそれらを単に径方向Rと呼ぶこととする。
なお、例えば、第二大径部22の長手方向Aの基端側において第二大径部22に連続する別の(図示しない)小径部、及び、当該小径部の長手方向Aの基端側において当該小径部に連続する(図示しない)第三大径部が設けられてもよい。さらに、同様に、別の小径部及び大径部が複数設けられてもよい。本体部2を曲げる際、本体部2は、小径部で曲げられるため、小径部が複数あると、医療用針1を様々な形状に形作りやすい。
また、図1(A)に示すように、第一大径部20及び第二大径部22の少なくとも一方の表面に、長手方向Aに延びる線状、又は、帯状の溝24が少なくとも1つ形成されていても良い。上記溝24が設けられると、生体に医療用針1が挿入される際、本体部2と生体との接触面積を低減することができるからである。その意味で、上記溝24は、複数設けられることが好ましい。
連結部23は、小径部21から遠位な第二大径部22の基端22Aから長手方向Aに延在すると共に、周面に、長手方向Aに延在する3つの環状の段差23Aを有する。環状の段差23Aは、それぞれ連結部23の周方向を一周する。管60の孔61に連結部23を差し込むことにより、管60と本体部2が連結される。
<テーパー部>
テーパー部3は、図1(B)、及び図2(A)~(C)に示すように、本体部2の一端2A側に連続し、長手方向Aに沿って本体部2の一端2Aから離れる方向(長手方向Aの先端側方向A1)に進むに従って断面積が小さくなる区間(以下、断面積減少区間と呼ぶ。)を有する。本実施形態においてテーパー部3の全区間が断面積減少区間となるが、これに限定されるものではなく、テーパー部3の一部区間が断面積減少区間となる態様であってもよい。断面積減少区間以外のその他の区間は、例えば、断面積が一定の区間や断面積が増大する区間等が挙げられる。
本実施形態においてテーパー部3は、テーパー部3を長手方向Aに区間分けした時、区間によって形状が異なる。つまり、図2(A)~(C)に示すように、本実施形態におけるテーパー部3は、先端側から順に、テーパー部3と針先部4が重畳する第一区間S1、後述する第一刃面40、第二刃面41及び他の曲面により外周面が構成される第二区間S2、円錐台形状を成す残りの第三区間S3を有する。なお、本実施形態において長手方向Aに直交するテーパー部3の断面形状は、第一区間S1(断面4S1)では、図3(C)に示すように、扇形(底辺に相当する辺が針先部4の外部側に凸の曲線となる三角形)となり、第二区間S2(断面3S2)では、図3(B)に示すように、上底及び下底に相当する辺が外側に凸の曲線となる台形(四角形)となり、第三区間S3(断面3S3)では、図3(A)に示すように、円形となる。
また、テーパー部3の表面の摩擦係数は小さい方が好ましい。テーパー部3を生体に対して滑りやすくするためである。テーパー部3がSUS304で構成される場合、通常、摩擦係数は、0.6程度になる。本実施形態では、テーパー部3の表面に対して鏡面仕上げ処理、又は、テフロン(登録商標)コート、又は、PLLコート等を施し、摩擦係数を0.3以下にしている。
<針先部>
針先部4は、図1(B)、及び図2(A)~(C)に示すように、医療用針1の針先を成すものであり、テーパー部3の第一区間S1においてテーパー部3に重畳して設けられる。具体的に針先部4は、テーパー部3の第二区間S2に連続し、長手方向Aに沿ってテーパー部3の先端4A(長手方向Aの先端側方向A1)に進むに従って断面積が小さくなる。本実施形態において針先部4(第一区間S1)の全区間が断面積減少区間となるが、これに限定されるものではなく、針先部4(第一区間S1)の一部区間が断面積減少区間となる態様であってもよい。断面積減少区間以外のその他の区間は、例えば、断面積が一定の区間や断面積が増大する区間等が挙げられる。以上のことは、他の実施形態でも同様である。そして、針先部4の先端4Aは、尖っている。なお、図2(A)~(C)に示すテーパー部3の第二区間S2と第三区間S3の境界K2は、第一刃面40及び第二刃面41の奥側の端縁(例えば、第一刃面40の最奥点40B、第二刃面41の最奥点41B)を結んだものであり、仮想中心軸DAに直交する。ここで、円錐台形状を成すテーパー部3の第三区間S3の周面を針先部4に向かって延長した時に形成される円錐面を仮想円錐面C、該仮想円錐面Cにより形成される円錐を仮想円錐Dと定義した場合、仮想中心軸DAとは、仮想円錐Dの中心軸を指す。また、本実施形態において仮想円錐Dの母線は、直線であるが、これに限定されるものではなく、内側に凹む凹曲線、外側に凸となる凸曲線、それらが混在する曲線、及びその他の全ての曲線、又は曲線と直線が混在する線のいずれであってもよい。
また、針先部4は、図1(B)、及び図2(A)~(C)に示すように、針先部4の周面に、第一刃面40と、第二刃面41と、を有する。第一刃面40と、第二刃面41とは、互いに交差して峰部42を形成する。また、峰部42は、針先部4の先端4Aまで延在する。
そして、峰部42の稜線43が刃先44を構成する。従って、刃先44も針先部4の先端4Aまで延在する。また、刃先44は、図2(C)に示すように、長手方向Aに進むに従って径方向Rに変位するように、長手方向Aに対して傾斜する。そして、刃先44は、仮想中心軸DAに対して傾斜角θ1(0度<θ1<90度)を有する。傾斜角θ1は、例えば、15度~55度の範囲(本実施形態では、28.19度)にあることが好ましく、15度~30度の範囲がより好ましく、20度~30度の範囲がさらに好ましい。そして、刃先44は、図2(C)に示すように、仮想中心軸DAに交差すると共に、通過するか、又は、跨るように延在する。
刃先44の径方向Rの最大長さR1(図2(C)参照)は、テーパー部3の径方向Rにおける最大長さR2の1/3以下であることが好ましく、上記最大長さR2の1/4以下であることがより好ましく、上記最大長さR2の1/5以下であることがさらに好ましい。なお、本実施形態においてテーパー部3の径方向における最大長さR2とは、本体部2とテーパー部3との境界K1におけるテーパー部3の径方向の長さ(図2(C)参照)を指す。また、刃先44の長手方向Aの長さF1(図2(C)参照)は、テーパー部3の長手方向Aの長さF2(図2(C)参照)の1/3以下であることが好ましく、上記長さF2の1/4以下であることがより好ましく、上記長さF2の1/5以下であることがさらに好ましい。以上のように、刃先44のサイズが構成されれば、テーパー部3に対して刃先44のサイズを小さくすることができるため、刃先44が患者の皮膚を切り裂く際に、刃先44が皮膚に接触する長さを小さくすることができる。結果、血管の損傷を最小限にして、出血量を大幅に抑えることができる。
また、本実施形態において刃先44(峰部42)が設けられる区間が第一区間S1(針先部4)に相当する。そして、図2(A)~(C)に示すように、第一区間S1では、針先部4の周面は、第一刃面40と、第二刃面41と、第一周面45と、により構成される。なお、本実施形態において第一刃面40及び第二刃面41は、平面であるがこれに限定されるものではなく、針先部4(テーパー部3)の外部側(径方向外側)に凸となる曲面、又は、針先部4(テーパー部3)の内部側(径方向内側)に凹となる曲面、又は、以上の平面及び曲面の双方が含まれる面であってもよい。特に、第一刃面40及び第二刃面41のいずれかが、針先部4(テーパー部3)の内部側(径方向内側)に凹となる曲面で構成されれば、峰部42を急勾配にすることができ、刃先44の頂角を小さくすることができる。結果、刃先44は、平面で構成される場合より鋭利に形成される。また、本実施形態において第一周面45は、針先部4(テーパー部3)の外部側(径方向外側)に凸となる曲面(例えば、仮想円錐面Cの一部)であるが、これに限定されるものではなく、平面、又は、針先部4(テーパー部3)の内部側(径方向内側)に凹となる曲面、又は、以上の平面及び曲面の双方が含まれる面であってもよい。
第一刃面40と、第二刃面41と、第一周面45とは、針先部4の周方向において連続して繋がって、第一区間S1において錐面を構成する。つまり、本実施形態において第一区間S1では、図3(C)に示すように、長手方向Aに直交する針先部4の断面4S1の形状は、扇形(底辺に相当する辺が針先部4の外部側に凸の曲線となる三角形)となる。なお、針先部4の周方向とは、仮想中心軸DAに一致する針先部4の中心軸4C周りの方向を指す。
また、図3(C)に示す針先部4の断面4S1の頂角α1は、峰部42を長手方向Aに投影した際の投影平面上における峰部42の頂角に相当する。つまり、図3(C)に示す頂角α1は、峰部42を長手方向Aから平面視した時の峰部42の頂角に相当する。針先部4の断面4S1の頂角α1は、例えば、30度~90度の範囲(本実施形態では、60度)にあることが好ましく、40度~80度の範囲にあることがより好ましい。なお、峰部42の頂角は、後述する角度θ2,θ3に対応する角度により決まる。
また、第二区間S2は、刃先44の奥側の端縁441から境界K2までの区間である。つまり、第二区間S2は、第一刃面40及び第二刃面41を含むテーパー部3の区間のうち、刃先44が含まれない区間を指す。本実施形態において第二区間S2では、図2(A)~(C)に示すように、テーパー部3の周面は、第一刃面40と、第二刃面41と、第二周面46と、第三周面47と、により構成される。第一刃面40と、第二周面46と、第二刃面41と、第三周面47とは、順に、テーパー部3の周方向において連続繋がって、第二区間S2において部分錐面を構成する。なお、部分錐面とは、錐面の頂点を含む区間を除く錐面の一部区間の面を指す。つまり、第二周面46及び第三周面47は、それぞれ第一刃面40及び第二刃面41の間で第一刃面40及び第二刃面41に繋がる。そして、本実施形態において第二区間S2では、図3(B)に示すように、長手方向Aに直交するテーパー部3の断面3S2は、上底及び下底に相当する辺が外側に凸の曲線となる台形(四角形)となる。なお、上底及び下底に相当する辺は、第二周面46及び第三周面47に相当する。また、本実施形態において第二周面46及び/又は第三周面47は、テーパー部3の外部側(径方向外側)に凸となる曲面(例えば、仮想円錐面Cの一部)であるが、これに限定されるものではなく、平面、又は、テーパー部3の内部側(径方向内側)に凹となる曲面、又は、以上の平面及び曲面の双方が含まれる面であってもよい。
次に、第一刃面40及び第二刃面41の説明のため、図2(A)に示すように、長手方向Aに直交すると共に、仮想中心軸DAと稜線43が完全に重なるように見える方向から針先部4を平面視した時、長手方向Aに直交する方向を幅方向Wと定義し、幅方向Wに直交する方向を高さ方向H(図2(C)参照)と定義する。図4の上段図は、本実施形態における医療用針1を長手方向Aに先端4A側から平面視した図である。図4の上段図に示すように、医療用針1を長手方向Aに先端4A側から平面視した際、針先部4の中心軸4Cに交差する第一刃面40及び第二刃面41それぞれの垂線P(40),P(41)を平面上に投影した方向と、幅方向Wに延在すると共に、針先部4の中心軸4Cと交差する幅線WAとの成す角は、角度θ2となる。つまり、垂線P(40)を平面上に投影した方向と、垂線P(41)を平面上に投影した方向が成す角は、角度θ5となる(θ5=180―2θ2)。角度θ2は、例えば、20度~40度の範囲(本実施形態では、30度)にあることが好ましい。つまり、角度θ5は、例えば、100度~140度の範囲(本実施形態では、120度)にあることが好ましい。
また、同様に、医療用針1を平面視した際に、針先部4の中心軸4Cに向かうと共に、垂線P(41)に対して反時計回り(刃先44の奥側の端縁441に接近する側の回転方向)に角度θ4(本実施形態では、90度)を成す方向Bから医療用針1を見た矢視平面図を図4の下段図に示す。この時、図4の下段図に示すように、第二刃面41は、紙面に垂直な方向に延在するように見えるため、線Lとして描かれる。線L(第二刃面41)は、長手方向Aに沿って針先部4の先端4A(長手方向Aの先端側方向A1)に進むに従って仮想中心軸DAに接近するように延在する。このとき、仮想中心軸DA(針先部4の中心軸4C)に対する第二刃面41に相当する線Lの傾斜角度は、角度θ3となる。角度θ3は、例えば、12度~25度の範囲(本実施形態では、15度)にあることが好ましく、12度~15度の範囲にあることがさらに好ましい。以上のことは、第一刃面40についても同様である。
仮想円錐Dを切削して第一刃面40及び第二刃面41を設ける場合、以上の条件を満たすように、仮想円錐Dを切削する。つまり、仮想中心軸DAを基準として線L(第二刃面41)が角度θ3だけ傾斜するように仮想円錐Dを切削すれば、第一刃面40及び第二刃面41が形成される。この時、当然ながら、図4の下段図に示すように、角度θ3は、仮想円錐D(辺CA)の仮想中心軸DAを基準とした仮想円錐Dの母線の傾斜角θ6よりも大きくなる。なお、傾斜角θ6は、例えば、7度~15度の範囲(本実施形態では、10度)にあることが好ましく、7.5度~13度の範囲にあることがより好ましく、8度~12度の範囲にあることがさらに好ましい。
本実施形態における医療用針1で生体の皮膚を貫く際、まず、針先部4の刃先44の先端440が皮膚に接触して皮膚を貫く。そして、続けて、第一区間S1における傾斜する刃先44が貫通方向に移動して、皮膚を通過する際、貫通方向に直交する方向に生体の切り口を切り広げていく。さらに、続けて、第二区間S2及び第三区間S3におけるテーパー部3が皮膚を通過する際に、生体の切り口を周囲に押し広げる。本実施形態では、テーパー部3に対して刃先44のサイズを小さくすることができるため、血管の損傷を最小限にして、出血量を大幅に抑えることができる。
以上において、図2(A)に示すように、長手方向Aに直交すると共に、仮想中心軸DAと稜線43が重なるように見える方向(稜線43(刃先44)の真上)から針先部4の稜線43(刃先44)を平面視した時、稜線43(刃先44)は、仮想中心軸DAに一致している。ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、図5及び図6に示すように、第一刃面40及び第二刃面41は、峰部42の稜線43(刃先44)が仮想中心軸DAからずれるように形成されてもよい。
例えば、図5(A)に示すように、針先部4の先端4Aの正面側から長手方向Aに針先部4を平面視した場合、稜線43(刃先44)は、幅方向W及び高さ方向Hに対しても傾斜してもよい。この場合、上記と同様に稜線43(刃先44)の真上から針先部4の稜線43(刃先44)を平面視した時、図5(B)に示すように、稜線43(刃先44)は、仮想中心軸DAに交差するように傾斜して延在する。また、図6(A)に示すように、稜線43(刃先44)は、仮想中心軸DAから幅方向Wにずれた位置で高さ方向Hに対して平行な姿勢となるように形成されてもよい。この場合、上記と同様に稜線43(刃先44)の真上から針先部4を平面視した時、図6(B)に示すように、稜線43(刃先44)は、仮想中心軸DAに対して幅方向Wに平行移動した位置に位置する。このようなものも本発明の範囲に含まれる。
また、図7(A),(B)に示すように、本実施形態における医療用針1では、テーパー部3において第一刃面40と第二刃面41が本体部2まで延在してもよい。この場合、テーパー部3には、第三区間S3は無くなり、第一区間S1と第二区間S2のみが形成される。そして、針先部4は、第一区間S1に形成される。このようなものも本発明の範囲に含まれる。
<実施例>
本願発明者は、以上において説明したθ1~θ6、α1、F1、F2、R1、R2を変えて9種類の医療用針1を作成した。図8に示す表には、No1~9の医療用針1に対応するθ1~θ6、α1、F1、F2、R1、R2の各値が記載されている。これらに基づいて作成されたNo1~9の医療用針1が順に図9(A)~(I)に描かれている。
図9(A)~(I)に示すNo1~9の医療用針1を見ると、全てテーパー部3に対して刃先44のサイズが小さくなっており、全て医療用針1として好ましい。更に、テーパー部3に対して刃先44のサイズを小さくするという観点から図8に示す(F1/F2)の各値を比較すると、No8の医療用針1の値よりもNo1~7,9の医療用針1の値の方が好ましく、そのうち、特に、No1~7の医療用針1の値がより好ましい。また、同様の観点から図8に示す(R1/R2)の各値を比較すると、No9の医療用針1の値よりもNo1~8の医療用針1の値が好ましく、そのうち、特に、No1~7の医療用針1の値がより好ましい。また、仮想中心軸DAに対する刃先44の傾斜角θ1が小さい方が、刃先44がより鋭くなり、生体に掛ける負担を抑えることができる。この観点から見ると、No5,7の医療用針1より、No1~4,6,8,9の医療用針1の方が好ましい。以上を考慮すると、No1~9の医療用針1は全て好ましい態様であると言え、そのうち、特に、No1~4,6の医療用針1が他の医療用針1よりもより好ましいと言える。
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態における医療用針1について説明する。本実施形態における医療用針1は、図10(A)に示すように、本体部2と、テーパー部3と、針先部4と、を有する。本実施形態における本体部2及びテーパー部3は、第一実施形態におけるものと同様なので、説明を省略する。
<針先部>
本実施形態における針先部4は、図10(A)~(C)に示すように、医療用針1の針先を成すものであり、テーパー部3に重畳して設けられる。具体的に針先部4は、医療用針1の先端でテーパー部3に重畳する。また、本実施形態における第一刃面40と、第二刃面41とは、第一実施形態におけるものと同様に、互いに交差して峰部42を形成する。この点は、第一実施形態におけるものと同様である。
ただし、本実施形態における第一刃面40及び第二刃面41は、図10(A)~(C)、及び図11(A)に示すように、針先部4の先端4Aにおいて交差して、稜線43が径方向Rに平行に延在する峰部42、又は、稜線43が仮想中心軸DAに直交する峰部42が形成される点が、第一実施形態におけるものと相違する。また、峰部42及びその稜線43(刃先44)は、医療用針1の先端4Aにおいて径方向Rに平行に延在する。従って、本実施形態において第一実施形態で説明した第一区間S1は、先端に相当する。仮想円錐Dを切削して第一刃面40及び第二刃面41を設ける場合、以上の条件を満たすように、仮想円錐Dを切削する。
また、本実施形態における峰部42の頂角α2は、第一実施形態における頂角α1と同様に、例えば、40度~80度の範囲にあることが好ましい。
また、本実施形態における刃先44の径方向Rの最大長さR3(図10(C)参照)は、テーパー部3の径方向Rにおける最大長さR4の1/3以下であることが好ましく、最大長さR4の1/4以下であることがより好ましく、最大長さR4の1/5以下であることがさらに好ましい。なお、本実施形態においてテーパー部3の径方向における最大長さR4とは、本体部2とテーパー部3との境界K1におけるテーパー部3の径方向の長さ(図10(C)参照)を指す。以上のように、刃先44のサイズが構成されれば、テーパー部3に対して刃先44のサイズを小さくすることができるため、刃先44が患者の皮膚を切り裂く際に、刃先44が皮膚に接触する長さを小さくすることができる。結果、血管の損傷を最小限にして、出血量を大幅に抑えることができる。
また、本実施形態において第二区間S2は、医療用針1の先端4Aの直後から境界K2までの区間となる。第二区間S2では、テーパー部3の周面は、第一刃面40と、第二刃面41と、第一周面48Aと、第二周面48Bとにより構成される。なお、本実施形態において第一刃面40及び第二刃面41は、平面であるがこれに限定されるものではなく、テーパー部3の外部側(径方向外側)に凸となる曲面、又は、テーパー部3の内部側(径方向内側)に凹となる曲面、又は、以上の平面及び曲面が含まれる面であってもよい。特に、第一刃面40及び第二刃面41のいずれかが、テーパー部3の内部側(径方向内側)に凹となる曲面で構成されれば、峰部42を急勾配にすることができ、刃先44の頂角を小さくすることができる。結果、刃先44は、平面で構成される場合より鋭利に形成される。また、本実施形態において第一周面48A及び/又は第二周面48Bは、テーパー部3の外部側(径方向外側)に凸となる曲面であるがこれに限定されるものではなく、平面、又は、テーパー部3の内部側(径方向内側)に凹となる曲面、又は、以上の平面及び曲面の双方が含まれる面であってもよい。
第一刃面40と、第二刃面41と、第一周面48Aと、第二周面48Bとは、テーパー部3の周方向において連続して繋がって、錐面を構成する。つまり、第一周面48A及び第二周面48Bは、それぞれ第一刃面40及び第二刃面41の間で第一刃面40及び第二刃面41に繋がる。そして、図11(B)に示すように、長手方向Aに直交するテーパー部3の第二区間S2における断面3S2は、一対の対辺がテーパー部3の外部側に凸の曲線となり、残りの対辺が直線となる四角形となる。なお、曲線は、第一周面48A及び第二周面48Bに相当し、直線は、第一刃面40及び第二刃面41に相当する。
本実施形態における医療用針1で生体の皮膚を貫く際、まず、針先部4の刃先44が皮膚に接触して皮膚を貫く。そして、続けて、テーパー部3が皮膚を通過する際に、生体の切り口を周囲に押し広げる。本実施形態では、テーパー部3に対して刃先44のサイズを小さくすることができるため、皮膚を切り裂く際に、血管の損傷を最小限にして、出血量を大幅に抑えることができる。
<第三実施形態>
本発明の第三実施形態における医療用針1について説明する。本実施形態における医療用針1は、図12(A)に示すように、本体部2と、テーパー部3と、針先部4と、を有する。本実施形態における本体部2及びテーパー部3は、第一実施形態におけるものと同様なので、説明を省略する。
本実施形態における針先部4は、図12(A)~(C)に示すように、医療用針1の針先を成すものであり、テーパー部3に重畳して設けられる。具体的に針先部4は、テーパー部3の第一区間S1においてテーパー部3に重畳する。。この点は、第一実施形態におけるものと同様である。
本実施形態における針先部4は、図12(A)~(C)及び図13(A)に示すように、第一刃面40及び第二刃面41のみならず、第三刃面49を有する。この点が他の実施形態とは異なる。第一刃面40と、第二刃面41とは、互いに交差して峰部42Aを形成する。第一刃面40と、第三刃面49とは、互いに交差して峰部42Bを形成する。第二刃面41と、第三刃面49とは、互いに交差して峰部42Cを形成する。峰部42A~42Cは、図12(A)~(C)に示すように、長手方向Aの先端側方向A1に向かうと共に、径方向Rの外側に向かう方向に凸となる。また、峰部42A~42Cは、針先部4の先端4Aまで延在する。
峰部42A~42Cの稜線43A~43Cが刃先44A~44Cを構成する。従って、刃先44A~44Cは、針先部4の先端4Aまで延在して、針先部4の先端4Aで交差する。本実施形態では、刃先44A~44Cは、図13(A)に示すように、それぞれ針先部4の先端4Aで仮想中心軸DAに交差するが、これに限定されるものではなく、図13(B)に示すように、それぞれ針先部4の先端4Aで仮想中心軸DAに交差せず、仮想中心軸DAからずれた位置で交差してもよい。
また、刃先44A~44Cは、図12(B),(C)に示すように、長手方向Aに進むに従って径方向Rに変位するように、長手方向Aに対して傾斜する。そして、刃先44A~44Cは、それぞれ仮想中心軸DA(長さ方向A)に対して傾斜角を有する。図12(C)に、刃先44B,44Cに対応する傾斜角θ1B,θ1C(0度<θ1B<90度、0度<θ1C<90度)を示す。刃先44A~44Cに対応する各傾斜角は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。刃先44A~44Cに対応する各傾斜角は、例えば、第一実施形態におけるものと同様の範囲にあることが好ましい。
刃先44A~44Cの径方向Rの各最大長さは、同じであっても異なっていてもよい。そして、刃先44A~44Cの径方向Rの各最大長さは、テーパー部3の径方向Rにおける最大長さの1/3以下であることが好ましく、上記最大長さの1/4以下であることがより好ましく、上記最大長さの1/5以下であることがさらに好ましい。また、刃先44A~44Cの長手方向Aの各長さは、同じであっても異なっていてもよい。そして、刃先44A~44Cの長手方向Aの各長さは、テーパー部3及び針先部4の長手方向の長さの1/3以下であることが好ましく、上記長さの1/4以下であることがより好ましく、上記長さの1/5以下であることがさらに好ましい。以上のように、刃先44A~44Cのサイズが構成されれば、テーパー部3に対して刃先44A~44Cのサイズを小さくすることができるため、刃先44A~44Cが患者の皮膚を切り裂く際に、刃先44A~44Cが皮膚に接触する長さを小さくすることができる。結果、血管の損傷を最小限にして、出血量を大幅に抑えることができる。
本実施形態においても、第一実施形態の場合と同様に、テーパー部3を第一区間S1~第三区間S3に分けることができる。図12(B)に示すように、本実施形態において第一区間S1では、針先部4の周面は、第一刃面40と、第二刃面41と、第三刃面49とにより構成される。なお、本実施形態において第一刃面40、第二刃面41及び第三刃面49は、平面であるがこれに限定されるものではなく、針先部4の外部側(径方向外側)に凸となる曲面、又は、針先部4の内部側(径方向内側)に凹となる曲面、又は、以上の平面及び曲面が含まれる面であってもよい。特に、第一刃面40、第二刃面41及び第三刃面49のいずれかが、針先部4の内部側(径方向内側)に凹となる曲面で構成されれば、峰部42A~42Cのいずれかを急勾配にすることができ、刃先44A~44Cのいずれかの頂角を小さくすることができる。結果、刃先44A~44Cのいずれかは、平面で構成される場合より鋭利に形成される。
第一刃面40と、第二刃面41と、第三刃面49とは、順に、針先部4の周方向において連続して繋がって、第一区間S1において錐面を構成する。そして、本実施形態において第一区間S1では、図14(A)に示すように、長手方向Aに直交する針先部4の断面4S1は、三角形となる。
また、針先部4の断面4S1の頂角α3~α5は、峰部42A~42Cを長手方向Aに投影した際の峰部42の頂角に相当する。針先部4の断面4S1の頂角α3~α5は、例えば、それぞれ60度となることが想定されるが、これに限定されるものではなく、頂角α3~α5それぞれが異なっていてもよいし、頂角α3~α5のうち、2つが同じ角度で残りの一つが異なる角度であってもよい。
図12(B)に示すように、本実施形態において第二区間S2では、テーパー部3の周面は、第一刃面40と、第二刃面41と、第三刃面49と、第一周面50Aと、第二周面50Bと、第三周面50Cにより構成される。第一刃面40と、第一周面50Aと、第二刃面41と、第二周面50Bと、第三刃面49と、第三周面50Cとは、順に、テーパー部3の周方向において連続繋がって、第二区間S2において部分錐面を構成する。つまり、第一周面50Aは、第一刃面40と第二刃面41の間で、第一刃面40及び第二刃面41に繋がる。また、第二周面50Bは、第一刃面40と第三刃面49の間で、第一刃面40及び第三刃面49に繋がる。第三周面50Cは、第二刃面41と第三刃面49の間で、第二刃面41及び第三刃面49に繋がる。そして、本実施形態において第二区間S2では、図14(B)に示すように、長手方向Aに直交するテーパー部3の断面3S2は、テーパー部3の外部側に凸の曲線と、直線とが交互に繋がった六角形となる。凸の曲線は、第一周面50A、第二周面50B及び第三周面50Cに相当し、直線は、第一刃面40、第二刃面41及び第三刃面49に相当する。また、本実施形態において第一周面50A、第二周面50B及び第三周面50Cは、テーパー部3の外部側(径方向外側)に凸となる曲面であるがこれに限定されるものではなく、平面、又は、テーパー部3の内部側(径方向外側)に凹となる曲面、又は、以上の平面及び曲面の双方が含まれる面であってもよい。
本実施形態における医療用針1で生体の皮膚を貫く際、まず、針先部4の刃先44の先端440が皮膚に接触して皮膚を貫く。そして、続けて、第一区間S1における傾斜する刃先44A~44Cが貫通方向に移動して、皮膚を通過する際、貫通方向に直交する方向に生体の切り口を切り広げていく。さらに、続けて、第二区間S2及び第三区間S3におけるテーパー部3が皮膚を通過する際に、生体の切り口を周囲に押し広げる。本実施形態では、テーパー部3に対して刃先44A~44Cのサイズを小さくすることができるため、皮膚を切り裂く際に、血管の損傷を最小限にして、出血量を大幅に抑えることができる。
なお、医療用針1における刃面の数がさらに増えたものも本発明の範囲に含まれる。この場合、各刃面は、針先部4の周方向を一周して、針先部4の周面を構成するように形成される。このとき、各刃面は、連続して繋がって錐面を構成したり、周方向において別の周面と交互に連続して繋がって部分錐面を構成したりする。また、隣り合う各刃面は、峰部42を形成するように交差する。そして、峰部42の稜線43は、刃先44を構成する。刃先44は、針先部4の先端4Aに向かって延在する。この時、各刃先44は、仮想中心軸DA又は径方向Rに対して傾斜する。このようなものを満たす医療用針1は本発明の範囲に含まれる。
尚、本発明の医療用針1は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 医療用針
2 本体部
2A 本体部の一端
3 テーパー部
3A テーパー部の一端
3S2,3S3 テーパー部の断面
4 針先部
4A 針先部の先端
4C 針先部の中心軸
4S1 針先部の断面
20 第一大径部
21 小径部
22 第二大径部
23 連結部
40 第一刃面
40B 第一刃面の最奥点
41 第二刃面
41B 第二刃面の最奥点
42,42A,42B,42C 峰部
43,43A,43B,43C 稜線
44,44A,44B,44C 刃先
45,48A,50A 第一周面
46,48B,50B 第二周面
47,50C 第三周面
49 第三刃面
70 直線
A 長手方向
C 仮想円錐面
D 仮想円錐
DA 仮想中心軸
R 径方向

Claims (10)

  1. 棒状の本体部と、
    前記本体部の一端側に連続し、前記本体部の長手方向に沿って前記本体部の前記一端から離れるに従って断面積が小さくなる区間を有するテーパー部と、
    前記テーパー部に重畳する針先部と、
    を備え、
    前記針先部は、互いに交差して峰部を形成する第一刃面及び第二刃面を有し、前記峰部の稜線によって刃先が形成され、且つ、前記刃先は、前記長手方向に進むに従って前記本体部の径方向に変位するように傾斜しつつ、前記長手方向における前記針先部の先端まで延在し、
    前記テーパー部は、前記長手方向に沿って、前記針先部を構成する第一区間と、前記第一区間に連続する第二区間と、前記第二区間に連続して前記本体部につながる第三区間とを備えており、
    前記第一区間では、前記第一刃面、第一周面、前記第二刃面が前記テーパー部の周方向にこの順で連続しており、
    前記第二区間では、前記第一刃面、第二周面、前記第二刃面、第三周面が周方向にこの順で連続しており、
    前記第三区間は、円錐台形状の周面となっており、
    前記第三区間の前記円錐台形状の周面を前記第一区間まで延長した際の円錐面を仮想円錐面と定義する場合、前記第一周面、前記第二周面及び前記第三周面は、該仮想円錐面上に位置しており、
    前記長手方向に直交する前記第二区間の断面において、前記第二周面に相当する辺の長さが、前記第三周面に相当する辺の長さよりも短いことを特徴とする、
    医療用針。
  2. 前記針先部は、前記長手方向に直交する断面形状が扇形となる部分を有することを特徴とする、
    請求項1に記載の医療用針。
  3. 前記径方向における前記刃先の最大長さは、前記径方向における前記テーパー部の最大長さの1/3以下であることを特徴とする、
    請求項1に記載の医療用針。
  4. 前記長手方向における前記刃先の長さは、前記長手方向における前記テーパー部の長さの1/4以下であることを特徴とする、
    請求項1に記載の医療用針。
  5. 前記長手方向に対する前記刃先の傾斜角θ1は、15度~55度の範囲内にあることを特徴とする、
    請求項1に記載の医療用針。
  6. 前記針先部の先端の正面側から前記長手方向に前記針先部を平面視した際、前記第一刃面及び前記第二刃面それぞれの垂線同士が成す角度θ5は、90度~150度の範囲内にあることを特徴とする、
    請求項1に記載の医療用針。
  7. 前記仮想円錐面により形成される円錐を仮想円錐、該仮想円錐の中心軸を仮想中心軸と定義する場合、
    前記仮想中心軸を基準とした前記仮想円錐の母線の傾斜角θ6は、7.5度~15度の範囲内にあることを特徴とする、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の医療用針。
  8. 前記仮想円錐面により形成される円錐を仮想円錐、該仮想円錐の中心軸を仮想中心軸と定義する場合、
    前記第一刃面及び前記第二刃面の前記仮想中心軸を基準とした傾斜角θ3は、前記仮想中心軸を基準とした前記仮想円錐の母線の傾斜角θ6よりも大きいことを特徴とする、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の医療用針。
  9. 前記テーパー部の表面の摩擦係数が、0.3以下であることを特徴とする、
    請求項1~8のいずれか一項に記載の医療用針。
  10. 前記第一刃面及び前記第二刃面の少なくとも一方は、凹状の曲面又は平面であることを特徴とする、
    請求項1~のいずれか一項に記載の医療用針。
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