以下、本発明のブレーキ装置を実現する形態を、図面に基づき説明する。
[参考例]
本参考例のブレーキ装置が適用される車両は、例えば、車輪を駆動する原動機としてエンジン(内燃機関)のほか電動式のモータ(ジェネレータ)を備えたハイブリッド車や、モータ(ジェネレータ)のみを備えた電気自動車等の、電動機により回生制動力を発生可能な電動車両である。本参考例の制動系(ブレーキシステム)は、車両の各車輪にブレーキ液圧を付与して制動力を発生させる液圧式ブレーキシステムである。車両の各車輪に設けられたホイルシリンダ(キャリパ)は、制動操作液圧や制御液圧の供給を受けてブレーキ作動液圧(ホイルシリンダ液圧)を発生する。ブレーキシステムは、運転者のブレーキ操作が入力される入力装置としてのブレーキ装置1と、運転者のブレーキ操作に応じた電気信号に基づいてブレーキ液圧を発生可能な電動ブレーキアクチュエータ(以下、アクチュエータ8という。)とを備えている。ブレーキ装置1は、運転者のブレーキ操作に応じて作動し、制動操作液圧としてのマスタシリンダ液圧を発生する。アクチュエータ8は、ブレーキ装置1とは別体に設けられ、ブレーキ操作状態又は車両の状態に応じてホイルシリンダ液圧(ブレーキ液圧)を制御する。
図1~図9は、本参考例のブレーキ装置1の全体を各方向から示す。以下、説明の便宜上、直交座標系を設ける。ブレーキ装置1を車両に設置した状態で、車両の前後方向(マスタシリンダ4が作動する軸方向)にx軸を設ける。ブレーキ装置1が車両に設置される際、マスタシリンダ4の軸方向は車両の前後方向と略平行になるため、x軸方向は、車両の前後方向となる。車両前方(ブレーキペダルの踏込み操作に応じてマスタシリンダ4のピストン41がストロークする方向)をx軸正方向とする。車両の幅方向(左右方向ないし横方向)にy軸を設け、車両後方(x軸負方向側)から見て左側をy軸正方向とする。車両の上下方向(鉛直方向)にz軸を設け、車両上方(マスタシリンダ4に対してリザーバタンク3が設置される側)をz軸正方向とする。図1はブレーキ装置1をx軸負方向側かつy軸正方向側かつz軸正方向側から見た斜視図である。図2はブレーキ装置1をx軸正方向側かつy軸負方向側かつz軸正方向側から見た斜視図である。図3はブレーキ装置1をz軸正方向側から見た上面図である。図4はブレーキ装置1をz軸負方向側から見た下面図である。図5はブレーキ装置1をy軸正方向側から見た側面図である。図6はブレーキ装置1をy軸負方向側から見た側面図である。図7はブレーキ装置1をx軸正方向側から見た正面図である。図8はブレーキ装置1をx軸負方向側から見た背面図である。図9はブレーキ装置1をマスタシリンダ4の軸心を通る平面で切った断面図であり、図7のA-A視断面を示す。
ブレーキ装置1は、プッシュロッド2とリザーバタンク3とマスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とストロークシミュレータバルブ6を備えている。すなわち、ブレーキ装置1は、マスタシリンダ4を内蔵したマスタシリンダユニットである。ブレーキシステムは、2系統(プライマリP系統及びセカンダリS系統)のブレーキ配管を有している。以下、各系統に対応して設けられた部材や構造にはその符号の末尾に添字P,Sを付して区別する。プッシュロッド2は、クレビス20を介してブレーキペダルに連結されている。ブレーキペダルは、運転者のブレーキ操作の入力を受ける入力部材(ブレーキ操作部材)である。プッシュロッド2は、ブレーキペダルに連動してx軸方向に作動する。例えばブレーキペダルの踏込み操作に応じてx軸正方向にストロークする。プッシュロッド2のx軸正方向端はマスタシリンダ4のピストン41Pに当接している(図9参照)。プッシュロッド2は、ブレーキペダルに入力された運転者の操作力を受け、これをx軸方向の推力としてマスタシリンダ4に伝達する。プッシュロッド2のx軸正方向側の外周にはフランジ部21が設けられている。プッシュロッド2のx軸正方向端には、x軸正方向側の先端が凸球面状に形成された当接部材22が固定されている。本参考例のブレーキ装置1は、運転者のブレーキ操作力を低減するための倍力装置(ブレーキブースタ)として、ブレーキペダルとマスタシリンダとの間に介装され、車両のエンジンが発生する吸気圧(負圧)を用いて作動する形式のもの(マスターバック)を備えない。
リザーバタンク3は、ブレーキ液を貯留するブレーキ液源であり、マスタシリンダ4やアクチュエータ8へブレーキ液を供給する。リザーバタンク3は、供給口30と補給口31P,31Sと補給口32a,32bとを有している。供給口30は、リザーバタンク3のx軸正方向側でz軸正方向側に突出して開口し、蓋3aにより開閉自在に設けられている。補給口31P,31Sは、x軸方向に並ぶように設けられており、リザーバタンク3のz軸負方向側に突出して開口する。補給口31Pは補給口31Sよりもx軸負方向側に設けられている。補給口32a,32bは、補給口31Pよりもx軸負方向側に設けられており、リザーバタンク3のy軸方向両側面に開口する。リザーバタンク3のz軸負方向側であって補給口31P,31S間には、締結部35が設けられている。締結部35には、リザーバタンク3を止めるためのピンが挿入される孔がy軸方向に延びるように形成されている。リザーバタンク3内はz軸負方向側の底面からz軸正方向へ延びるように設置された2枚の仕切板33a,33bにより3つの領域に仕切られている。x軸正方向側の領域には補給口31Sが、x軸負方向側の領域には補給口32a,32bが、これら2つの領域に挟まれた領域には補給口31Pが、それぞれ開口する。仕切板33は、例えば車両が傾いたり加減速したりしても各領域にブレーキ液を貯留し、これにより各補給口からのブレーキ液の補給を可能とする。補給口32aには、配管取付け部320aが接続されている(図1参照)。配管取付け部320aには、ブレーキ配管71の一端が取付けられる。配管取付け部320aは、リザーバタンク3のx軸負方向側かつy軸正方向側かつz軸負方向側の外面からy軸正方向側に突出し、途中でx軸正方向側に折れ曲がるように設けられている。ブレーキ配管71が取付けられる配管取付け部320aの先端は、x軸正方向側に開口する。補給口32bには、配管取付け部320bが接続されている(図2参照)。配管取付け部320bには、他のブレーキ配管の一端が取付けられる。配管取付け部320bは、リザーバタンク3のx軸負方向側かつy軸負方向側かつz軸負方向側の外面からy軸負方向側に突出し、途中でx軸正方向側に折れ曲がるように設けられている。ブレーキ配管が取付けられる配管取付け部320bの先端は、x軸正方向側に開口する。
マスタシリンダ4は、運転者によるブレーキペダルの操作(ブレーキ操作)に応じて液圧(マスタシリンダ液圧)を発生する第1のブレーキ液圧発生源である。マスタシリンダ4は、図外の油路(ブレーキ配管)を介して、ホイルシリンダに接続している。マスタシリンダ液圧は上記油路を介してホイルシリンダへ供給され、ホイルシリンダ液圧(ブレーキ液圧)を発生させる。マスタシリンダ4は、マスタシリンダハウジング(シリンダ)40とピストン41とコイルスプリング42を有している。マスタシリンダハウジング40は、本体部40aとフランジ部40bと嵌合部40cとを有している。本体部40aは、一端側(x軸正方向側)が閉塞してx軸方向に延びる有底円筒状に形成されている。フランジ部40bは、本体部40aのx軸負方向側の外周に設けられている。フランジ部40bのy軸方向両側には、x軸方向に延びるボルト孔が形成された締結部40d,40eが設けられている。締結部40d,40eは、本体部40aの軸心を挟んで略対称位置に設けられている。嵌合部40cは、フランジ部40bのx軸負方向側に隣接して、x軸方向に延びる略円柱状に設けられている。嵌合部40cの外周を取り囲むように設けられたシール溝401内にはシール部材402が設置される。
マスタシリンダハウジング40の内部にはx軸方向に延びる軸方向孔400が形成されている。孔400はマスタシリンダハウジング40のx軸負方向側に開口する。マスタシリンダ4は、所謂タンデム型であり、孔400内には2つのピストン41P,41Sがx軸方向に作動(往復移動)可能に設けられている。P系統のピストン41Pのx軸負方向側には凹球面状の受け部410が形成されている。受け部410には、プッシュロッド2(当接部材22)の凸球面状に形成されたx軸正方向端が当接し、回動可能に嵌合設置されている。S系統のピストン41Sは、フリーピストンであり、ピストン41Pのx軸正方向側に設置される。各ピストン41には、x軸方向に延びてx軸正方向側に開口する凹部411が設けられている。各ピストン41には、凹部411の内周面と各ピストン41の外周面とを連通する連通孔412が径方向に延びるように設けられている。
マスタシリンダハウジング40には、吐出ポート44と補給ポート45が形成されており、これらのポート44,45は孔400の内周面に開口する。吐出ポート44は、y軸方向に延びてマスタシリンダハウジング40のy軸負方向側の側面に開口し、ブレーキ配管を介してアクチュエータ8に接続しており、ホイルシリンダと連通可能に設けられている。P系統の吐出ポート44Pは2つ設けられており、上記以外の他の吐出ポート44Pは、y軸方向に延びてマスタシリンダハウジング40のy軸正方向側の側面に開口する。このy軸正方向側に開口する吐出ポート44Pは、ブレーキ配管70を介してストロークシミュレータ5に接続しており、ストロークシミュレータ5(主室54)と連通可能に設けられている。補給ポート45は、z軸方向に延びてマスタシリンダハウジング40のz軸正方向側の上面に開口し、リザーバタンク3に接続してこれと連通する。リザーバタンク3の補給口31P,31Sは、マスタシリンダハウジング40の上面の(補給ポート45が開口する)凹部48にシール部材34を介して嵌合し、それぞれ補給ポート45P,45Sに連通している。すなわち、リザーバタンク3はマスタシリンダ4と一体的に設けられている。マスタシリンダ4はリザーバタンク3から補給口31P,31S及び補給ポート45P,45Sを介してブレーキ液を補給される。y軸方向から見て、マスタシリンダハウジング40のz軸正方向端であって凹部48P,48S間には、締結部49が設けられている。締結部49には、リザーバタンク3を止めるためのピンが挿入される孔がy軸方向に延びるように形成されている。締結部49とリザーバタンク3の締結部35にピンが挿通されることで、リザーバタンク3がマスタシリンダハウジング40に固定される。
孔400の内周面には、断面がカップ状のシール部材46,47が固定設置されている。シール部材46,47は、補給ポート45の開口をx軸方向で挟むように配置されている。シール部材46,47の内周側(リップ部)は各ピストン41の外周面に当接する。シール部材46,47は、孔400の内周とピストン41の外周との間の隙間を通るブレーキ液の流れを一方向に規制する。P系統のシール部材46Pは、補給ポート45Pからx軸負方向側(マスタシリンダハウジング40の外部)へ向かうブレーキ液の流れを規制する。S系統のシール部材46Sは、補給ポート45Sからx軸負方向側へ向かうブレーキ液の流れのみを許容する。シール部材47は、補給ポート45からx軸正方向側へ向かうブレーキ液の流れのみを許容する。
マスタシリンダハウジング40の内部(孔400)には液圧室43が画成されている。両ピストン41P,41Sの間(シール部材47P,46Sによりシールされる領域)にP系統の液圧室43Pが画成されている。ピストン41Sとマスタシリンダハウジング40の底部との間(シール部材47Sによりシールされる領域)にS系統の液圧室43Sが画成されている。各液圧室43内には、ピストン41の戻しばねとしてのコイルスプリング42が押し縮められた状態で設置されている。各液圧室43には吐出ポート44が開口する。図9に示すように、ブレーキペダルが踏み込まれていない状態(プッシュロッド2のフランジ部21がストロークシミュレータハウジング50のストッパ部507に当接した状態)で、各ピストン41は最もx軸負方向側に位置し、各ピストン41の連通孔412はシール部材47よりもx軸負方向側に位置する。よって、補給ポート45は連通孔412を介して各ピストン41の凹部411の内周側すなわち液圧室43に連通する。孔400内をx軸方向にピストン41が作動することでブレーキ液圧が発生する。具体的には、運転者のブレーキ操作によって、プッシュロッド2のx軸正方向の推力がピストン41Pに伝達される。各ピストン41がx軸正方向側にストロークすると、各液圧室43の容積が縮小する。連通孔412がシール部材47よりもx軸正方向側に位置するようになると、各液圧室43と補給ポート45(リザーバタンク3)との連通が遮断され、各液圧室43内にブレーキ操作に応じた液圧(マスタシリンダ液圧)が発生する。なお、両液圧室43には略同じ液圧が発生する。各液圧室43から吐出ポート44を介してアクチュエータ8(ホイルシリンダ)に向けてブレーキ液(マスタシリンダ液圧)が供給される。
ストロークシミュレータ5は、マスタシリンダ4から流出したブレーキ液が流入可能に設けられ、ブレーキペダルの擬似操作反力を生成する操作反力発生源である。ストロークシミュレータ5は、油路(ブレーキ配管70)を介してマスタシリンダ4に接続すると共に、油路(ブレーキ配管71)を介してリザーバタンク3に接続している。ストロークシミュレータ5は、ストロークシミュレータハウジング50と反力ピストン51とコイルスプリング52を有している。ストロークシミュレータハウジング50は、本体部50aと接続部50bとフランジ部50cとを一体に有している。
本体部50aは、段付きの有底円筒状であり、大径の円筒部50dと小径の円筒部50eとフランジ部50fとを一体に有している。小径の円筒部50eは、大径の円筒部50dのx軸正方向側に、この円筒部50dと略同軸に設けられている。フランジ部50fは、小径の円筒部50eのx軸正方向側に、この円筒部50eと略同軸に設けられている。円筒部50eには、ストロークシミュレータ5内のエアを抜くためのエア抜き用ブリーダ57が設けられている。エア抜き用ブリーダ57は、円筒部50eのx軸正方向側かつz軸正方向側の外周面からy軸負方向側に突出するように設けられている。フランジ部50f(下記締結部50g,50hを除く本体)の外径は、円筒部50eの外径よりも大きく、円筒部50dの外径よりも小さい。フランジ部50fのy軸正方向側かつz軸負方向側には、x軸方向に延びるボルト孔が形成された締結部50gが設けられている。フランジ部50fのy軸負方向側かつz軸正方向側には、x軸方向に延びるボルト孔が形成された締結部50hが設けられている。締結部50g,50hは、本体部50aの軸心を挟んで略対称位置に設けられている。本体部50aの内部には、第1の軸方向孔501と第2の軸方向孔502とバルブ装着孔503と油路55等が形成されている。第1の軸方向孔501は、大径の円筒部50dの内周側にx軸方向に延びるように形成されている。第2の軸方向孔502は、第1の軸方向孔501よりも小径であって、小径の円筒部50eの内周側に、第1の軸方向孔501に連続してx軸方向に延びるように形成されており、円筒部50dのx軸正方向側の底部に開口する。第2の軸方向孔502のx軸正方向端かつz軸正方向端には、エア抜き用ブリーダ57の油路が開口する。本体部50aの一端(第2の軸方向孔502のx軸正方向端)側は閉塞し、他端(第1の軸方向孔501のx軸負方向端)側は開口している。
バルブ装着孔503は、フランジ部50f及び円筒部50eの内周側にx軸方向に延びるように形成されており、フランジ部50fのx軸正方向側に開口する。バルブ装着孔503は、x軸正方向側からx軸負方向側へ向かうにつれて小径となる段付き形状である。バルブ装着孔503のx軸負方向端と第2の軸方向孔502のx軸正方向端とは、x軸方向に延びる油路55を介して接続している。軸方向孔501,502とバルブ装着孔503と油路55は略同軸に形成されている。円筒部50dのz軸正方向側であってy軸正方向側には、第1の軸方向孔501に連通する接続ポート58が設けられている。接続ポート58には、配管取付け部580が接続されている。配管取付け部580には、ブレーキ配管71の他端が取付けられる。配管取付け部580は、円筒部50dのややx軸正方向側かつy軸正方向側かつz軸正方向側の外面からy軸正方向側に突出し、途中でx軸正方向側に折れ曲がるように設けられている。ブレーキ配管71が取付けられる配管取付け部580の先端は、x軸正方向側に開口する。
ブレーキ配管71は、鋼管ではなく、ゴム等の材料によりフレキシブルな配管として構成されている。図5に示すように、ブレーキ配管71はy軸正方向側から見てU字状に設置されている。ブレーキ配管71は、リザーバタンク3の配管取付け部320aからx軸正方向側に延び、(y軸正方向側に突出して開口する)吐出ポート44Pを内周側に包むようにz軸負方向側へ曲がった後、x軸負方向側に折り返して、配管取付け部580に取り付けられる。第1の軸方向孔501は、ブレーキ配管71を介して、リザーバタンク3の補給口32aに接続され、リザーバタンク3に連通する。円筒部50eとフランジ部50fとの境界部位のy軸正方向側には、接続ポート59が設けられている。接続ポート59は、バルブ装着孔503に連通すると共に、ブレーキ配管70を介して、マスタシリンダ4のy軸正方向側に開口する吐出ポート44Pに接続され、マスタシリンダ4(液圧室43P)に連通する。ブレーキ配管70は、ブレーキ配管71よりも小径かつ高剛性の配管(例えば鋼管)として構成されている。図7に示すように、ブレーキ配管70はx軸方向から見てU字状に設置されている。ブレーキ配管70は、マスタシリンダ4のy軸正方向側に開口する吐出ポート44Pからy軸正方向側かつz軸負方向側に曲がって延び、ブレーキ配管71を内周側に包むようにy軸負方向側に折り返して、接続ポート59に接続される。
接続部50bは、本体部50a(円筒部50d)のz軸正方向側に設けられている。接続部50bはx軸方向に延びる有底円筒状である。接続部50bのy軸方向両側には、x軸方向に延びるボルト孔が形成された締結部50i,50jが設けられている。(締結部50i,50jを含む)接続部50bの外周面は、x軸方向から見て、マスタシリンダハウジング40の(締結部40d,40eを含む)フランジ部40bの外周面と形状及び寸法が略同じに設けられている。リザーバタンク3の配管取付け部320aは、接続部50b(締結部50i)のy軸正方向端縁よりもy軸負方向側に位置する(締結部50iよりもy軸正方向側へ突出しない)。リザーバタンク3の配管取付け部320bは、接続部50b(締結部50j)のy軸負方向端縁よりもy軸正方向側に位置する(締結部50jよりもy軸負方向側へ突出しない)。エア抜き用ブリーダ57のy軸負方向側の先端は、接続部50b(締結部50j)のy軸負方向端縁よりもy軸正方向側に位置する(締結部50jよりもy軸負方向側へ突出しない)。
図9に示すように、接続部50bの内部には第1の軸方向孔504と第2の軸方向孔505と第3の軸方向孔506が形成されている。第1の軸方向孔504は、x軸方向に延びる略円筒状に形成されており、接続部50bのx軸正方向側に開口する。第1の軸方向孔504の径はマスタシリンダハウジング40の嵌合部40cの径よりも僅かに大きく設けられている。第2の軸方向孔505は、第1の軸方向孔504よりも小径であって、第1の軸方向孔504に連続してx軸方向に延びるように形成されている。第3の軸方向孔506は、第2の軸方向孔505よりも小径であって、第2の軸方向孔505に連続してx軸方向に延びるように形成されており、ストロークシミュレータハウジング50のx軸負方向側(車両取り付け面508の側)に開口する。軸方向孔504~506は略同軸に形成されている。締結部50i,50jは、孔504~506の軸心を挟んで略対称位置に設けられている。接続部50bのx軸負方向側の底部には、第3の軸方向孔506を取り囲むようにストッパ部507が形成されている。ストッパ部507のx軸正方向側の面は、プッシュロッド2のフランジ部21のx軸負方向側の面と略平行なテーパ状に形成されており、フランジ部21のx軸負方向側の面と当接可能に設けられている。
フランジ部50cは、ストロークシミュレータハウジング50のx軸負方向側に、yz平面に対して略平行に広がる板状に設けられている。フランジ部50cは、ストロークシミュレータハウジング50を車両に固定するための固定フランジである。フランジ部50cは、x軸方向から見て、y軸方向に延びる辺とz軸方向に延びる辺とを有する略長方形であり、その4隅にそれぞれスタッド軸(固定具としてのスタッドボルト)509がx軸負方向側に突出するように固定されている。フランジ部50cのy軸方向における略中央に、本体部50a(軸方向孔501等)の軸心及び接続部50b(軸方向孔504等)の軸心が位置する。フランジ部50cのz軸方向における略中央に、接続部50bの軸心が位置する。フランジ部50cのz軸負方向側の辺の若干下側(z軸負方向側)に本体部50aの軸心が位置する。フランジ部50cの幅(y軸方向寸法)は、本体部50aの幅(y軸方向寸法)よりも大きく、マスタシリンダハウジング40の本体部40aの幅(y軸方向寸法)よりも大きく、かつリザーバタンク3の幅(y軸方向寸法)よりも大きく設けられている。また、フランジ部50cの幅(y軸方向寸法)は、接続部50bないしマスタシリンダハウジング40のフランジ部40bの幅(y軸方向寸法)と略同じに設けられている。具体的には、図3及び図7に示すように、接続部50bないしフランジ部40bのy軸方向両端縁を構成する締結部50i,50jないし締結部40d,40eの外周縁は、フランジ部50cのy軸方向両端縁と略一致している(略同じy軸方向位置にある)。フランジ部50cの高さ(z軸方向寸法)は、接続部50bないしマスタシリンダハウジング40(フランジ部40b)の高さ(z軸方向寸法)よりも大きく設けられている。
図9に示すように、ストロークシミュレータハウジング50の本体部50aの第2の軸方向孔502内には、反力ピストン51がx軸方向に作動可能に設置されている。反力ピストン51は第2の軸方向孔502のx軸負方向端から第1の軸方向孔501内に突出するように設置されている。第1の軸方向孔501内に突出する反力ピストン51のx軸負方向端には、スプリングリテーナ512が設けられている。スプリングリテーナ512は、第1の軸方向孔501内を反力ピストン51と一体的に移動可能に設けられている。反力ピストン51の外周にはシール溝510が設けられており、シール溝510にはシール部材511が設置されている。シール部材511は第2の軸方向孔502の内周面に当接している。第1の軸方向孔501のx軸負方向側の開口には、この開口を閉塞する板状のスプリングリテーナ53が固定設置されている。スプリングリテーナ53の外周にはシール部材532が設置されている。シール部材532が第1の軸方向孔501の内周面に当接することで、第1の軸方向孔501の上記開口が液密に封止される。ストロークシミュレータハウジング50の内部には、反力ピストン51により主室54と副室56が画成されている。第2の軸方向孔502内であって反力ピストン51よりもx軸正方向側に主室54が画成されている。第1の軸方向孔501内であって反力ピストン51よりもx軸負方向側に副室56が画成されている。主室54と副室56との連通は、シール部材511によって抑制される。主室54には、油路55とエア抜き用ブリーダ57の油路が常時開口する。
副室56内には、反力ピストン51の戻しばねとしてのコイルスプリング52が押し縮められた状態で設置されている。コイルスプリング52は、反力ピストン51を主室54の側(主室54の容積を縮小し、副室56の容積を拡大する方向)に常時付勢する弾性部材である。コイルスプリング52のx軸正方向端はスプリングリテーナ512の外周側に当接して保持され、コイルスプリング52のx軸負方向端はスプリングリテーナ53の外周側に当接して保持される。スプリングリテーナ53のコイルスプリング52よりも内周側の部位には、x軸正方向側に開口する凹部530が形成されている。凹部530には弾性部材531が設置されている。弾性部材531はスプリングリテーナ53よりもx軸正方向側に突出している。弾性部材531は、スプリングリテーナ512のコイルスプリング52よりも内周側の部位にx軸方向で対向している。反力ピストン51(スプリングリテーナ512)のx軸負方向側への移動量が所定以上になると、弾性部材531はスプリングリテーナ512の上記内周側の部位に当接し、弾性変形する。これにより、反力ピストン51のx軸負方向側への移動を規制すると共に、規制する際の衝撃を吸収するダンパとして機能する。
マスタシリンダユニットとしてのブレーキ装置1は、ストロークシミュレータバルブ6を内蔵したバルブユニットでもある。ストロークシミュレータバルブ6は、ストロークシミュレータ5へのブレーキ液の流入を制限可能に設けられた、常閉の(非通電状態で閉弁する)シミュレータ遮断弁である。ストロークシミュレータバルブ6は、ストロークシミュレータハウジング50(本体部50a)に形成されたバルブ装着孔503に装着される。バルブ装着孔503が開口する本体部50a(フランジ部50f)のx軸正方向側の面は、バルブ取付け面を構成する。ストロークシミュレータ5の主室54は、油路55を介してストロークシミュレータバルブ6に接続している。ストロークシミュレータバルブ6は、油路(ブレーキ配管70)を介してマスタシリンダ4の液圧室43Pに接続している。
図9に示すように、ストロークシミュレータバルブ6は、ソレノイド61と、バルブボディ62と、アーマチュア63と、プランジャ64と、コイルスプリング65と、弁座部材66と、複数の油路構成部材とを有している。ソレノイド61は、ストロークシミュレータハウジング50の本体部50aのx軸正方向端におけるフランジ部50f(締結部50g,50h)にボルトで締結される。アーマチュア63は、ソレノイド61の内周側に固定設置されており、ソレノイド61に通電されることにより電磁力(磁気吸引力)を発生する。ソレノイド61のx軸正方向端には、x軸正方向側へ開口するコネクタ部610が設けられている。コネクタ部610にはソレノイド61に駆動電流を供給する配線(ハーネス)が接続される。バルブボディ62は、非磁性体の中空のシリンダであり、アーマチュア63の外周に嵌合するように固定設置され、アーマチュア63のx軸負方向側に延びる。プランジャ64は、バルブボディ62内をx軸方向に往復移動可能に収容されている。プランジャ64のx軸負方向側の先端には球状の弁体640が設けられている。弁体640はx軸方向に作動する。コイルスプリング65は、アーマチュア63とプランジャ64との間に圧縮状態で設置され、プランジャ64をx軸負方向側に常時付勢する。弁座部材66は本体部50aのバルブ装着孔503の内周側に設置されている。弁座部材66は有底筒状であり、そのx軸正方向側の底部には弁座が設けられている。上記底部にはx軸方向に延びるオリフィス660が貫通して設けられており、弁座の中央部位に開口する。プランジャ64がアーマチュア63の電磁力(x軸正方向側への吸引力)により駆動され、弁体640がオリフィス660を開閉することで、オリフィス660を含む油路(下記シミュレータ油路)の連通状態が制御される。
油路構成部材は、ボディとしての第1部材67と、フィルタとしての第2、第3部材68,69と、シール部材60とを有している。第1部材67は、バルブ装着孔503のx軸正方向側の開口部にフランジにより固定される中空部材である。第1部材67の内周側には弁座部材66が固定設置され、第1部材67の内周と弁座部材66の外周との間には油路が形成される。第2部材68は、第1部材67のx軸負方向側に固定されるリング状のフィルタ部材である。第2部材68の内周側には弁座部材66が設置され、第2部材68の内周と弁座部材66の外周との間には油路が形成される。第3部材69は、バルブ装着孔503のx軸負方向側の底部に設置されるディスク状のフィルタ部材(シール部材60のリテーナ)であり、その内周側には弁座部材66が設置される。シール部材60は、シール部材46等と同様の断面カップ状のシール部材であり、第2部材68と第3部材69との間に設置される。シール部材60の内周側には弁座部材66が固定設置される。シール部材60の内周と弁座部材66の外周との間には油路が形成されていない。シール部材60の外周側のリップ部は、x軸正方向側に開くようにバルブ装着孔503の内周面に接する。シール部材60(リップ部)とバルブ装着孔503の内周面との間のブレーキ液の流通は、x軸負方向側からx軸正方向側への流れのみ許容され、逆方向の流れが抑制される。
バルブ装着孔503の内周における第2部材68とシール部材60との間には、接続ポート59が開口している。バルブ装着孔503のx軸負方向側の底部には、ストロークシミュレータ5の主室54に連通する油路55が開口している。接続ポート59は、弁座部材66の外周と第1、第2部材67,68の内周との間の油路、及び、第1部材67のx軸正方向端に設けられた凹部を介して、オリフィス660に連通している。オリフィス660は、弁座部材66の内周側に設けられた油路661を介して油路55に連通している。以上の経路により、液圧室43Pと主室54とを接続しつつ、ストロークシミュレータバルブ6により連通・遮断が切り替えられるシミュレータ油路が構成される。
すなわち、ストロークシミュレータ5の主室54は、油路55、ストロークシミュレータバルブ6及びブレーキ配管70を介して液圧室43Pと連通する。ストロークシミュレータ5の副室56は、ブレーキ配管71を介してリザーバタンク3に接続している。副室56はリザーバタンク3と常時連通し、低圧(大気圧)に解放されており、ストロークシミュレータ5の背圧室を構成する。なお、副室56をリザーバタンク3に接続せず、低圧(大気圧)に直接に解放することとしてもよい。ストロークシミュレータバルブ6の開弁時、運転者のブレーキ操作によってマスタシリンダ4(液圧室43P)から流出したブレーキ液がシミュレータ油路を介してストロークシミュレータハウジング50の内部(主室54)に流入する。このブレーキ液により、孔502内を軸方向に反力ピストン51が作動する。これによりブレーキペダルの操作反力を擬似的に生成し、これをブレーキペダルに付与する。具体的には、ストロークシミュレータバルブ6は通電されることにより開弁してシミュレータ油路を連通させる。マスタシリンダ液圧がシミュレータ油路を介してストロークシミュレータ5の主室54に作用する。主室54における反力ピストン51の受圧面に所定以上の油圧(マスタシリンダ液圧)が作用すると、この圧力により反力ピストン51がコイルスプリング52を押し縮めつつ副室56の側に軸方向に移動する。主室54の容積が拡大し、マスタシリンダ5(液圧室43P)からシミュレータ油路を介して主室54にブレーキ液が流入する。また、副室56からブレーキ配管71を介してリザーバタンク3へブレーキ液が排出される。
このように、ストロークシミュレータ5は、運転者がブレーキ操作を行う(ブレーキペダルを踏込む)と、マスタシリンダ5からブレーキ液を吸入することでペダルストロークを創生し、ホイルシリンダの液剛性を模擬して、ブレーキペダルの踏込み感を再現する。ここで、ブレーキペダルの踏込み前期にコイルスプリング52のみが押し縮められている間は、ばね定数が低く、ペダル反力の増加勾配が低い。ブレーキペダルの踏込み後期にコイルスプリング52に加えて弾性部材531が押し縮められている間は、ばね定数が高く、ペダル反力の増加勾配が高い。これらばね定数を調整することにより、ペダル踏込み感が例えば既存のマスタシリンダと同様となるように設定する。なお、運転者がブレーキ操作を終了し(ブレーキペダルを踏戻し)、主室54内の圧力が所定未満に減少すると、コイルスプリング52の付勢力(弾性力)により反力ピストン51が初期位置に復帰する。
なお、第3部材69に、その内周とx軸正方向端面とを連通する油路を形成し、この油路を介して、油路55が、シール部材60のx軸負方向側に連通するようにしてもよい。この場合、上記シミュレータ油路に並列に設けられ、シール部材60により流れの方向が規制されるバイパス油路が構成される。シール部材60は、上記バイパス油路において、ストロークシミュレータ5の主室54からマスタシリンダ4の液圧室43Pへ向かうブレーキ液の流れのみを許容する。上記バイパス油路は、主室54内にブレーキ液が流入した状態でストロークシミュレータバルブ6が閉故障(閉じた状態で固着)した場合であっても、主室54から上記バイパス油路を介してマスタシリンダ4側へブレーキ液を戻すことを可能にする。
以下、ブレーキ装置1の取付け構造について説明する。マスタシリンダハウジング40はストロークシミュレータハウジング50に固定される。各ハウジング40,50は互いに一体的に固定される。各ハウジング40,50は互いに一体的に固定するための接合面を備えている。マスタシリンダハウジング40の嵌合部40cの外周面及びフランジ部40bのx軸負方向端面、並びにストロークシミュレータハウジング50の接続部50bの第1の軸方向孔504の内周面及び(第1の軸方向孔504が開口する)接続部50bのx軸正方向端面が、上記接合面を構成する。この接合面は、印籠継手として機能する印籠部(嵌合部40cの外周面及び第1の軸方向孔504の内周面)を備える。すなわち、ストロークシミュレータハウジング50(接続部50b)の一部分を凹ませ、これにマスタシリンダハウジング40の突出部を嵌合させることで、両ハウジング40,50を接合する。具体的には、ストロークシミュレータハウジング50の第1の軸方向孔504に、マスタシリンダハウジング40の嵌合部40cを挿入し、両者を嵌合させる。両者をx軸方向に互いにスライドさせることで、マスタシリンダハウジング40のフランジ部40bのx軸負方向端面は、接続部50bのx軸正方向端面に当接する。マスタシリンダハウジング40(フランジ部40b)の締結部40d,40eとストロークシミュレータハウジング50(接続部50b)の締結部50i,50jにボルト10が挿通され締結されることで、マスタシリンダハウジング40とストロークシミュレータハウジング50とが一体的に締結固定される。なお、嵌合部40cに設置されたシール部材402が第1の軸方向孔504の内周面に当接することで、第1の軸方向孔504の上記開口が液密に封止される。マスタシリンダハウジング40の嵌合部40cの内周側で嵌合部40cよりもx軸負方向側に突出する部分は第1の軸方向孔504内に収容される。マスタシリンダハウジング40の孔400からx軸負方向側に突出するピストン41Pは第2の軸方向孔505内に収容される。
一方、フランジ部50cのx軸負方向側の面を含むストロークシミュレータハウジング50のx軸負方向側の面は、ストロークシミュレータハウジング50(ブレーキ装置1)を車両に取付けるための車両取り付け面508を構成する。ストロークシミュレータハウジング50は、スタッド軸509によって、車体のダッシュパネル(フロアパネル)の下部のx軸正方向側に締結固定される。ダッシュパネルは、エンジンルーム(ないし走行用モータ等のパワーユニットが設置されるモータルーム。以下、単にエンジンルームという)と車室とを仕切る車体側の隔壁部材である。ストロークシミュレータハウジング50は、スタッド軸509のスペーサによりフランジ部50cとダッシュパネルとの間に若干のx軸方向隙間が形成されつつ、4つの留め点でダッシュパネルに固定される。フランジ部50cの大きさ(x軸方向の厚み、y軸方向の幅、z軸方向の高さ)は、ブレーキ装置1の車両への取り付け強度を十分に確保でき、かつ不必要に大きくならない程度に設定する。
上記のようにマスタシリンダハウジング40はストロークシミュレータハウジング50に固定されることから、マスタシリンダハウジング40は、ストロークシミュレータハウジング50を介して車両に固定されることになる。ブレーキ装置1がダッシュパネルに固定された状態で、プッシュロッド2のx軸負方向側がダッシュパネルを貫通して車室内(x軸負方向側)に突出する。マスタシリンダ4やリザーバタンク3、ストロークシミュレータ5等がエンジンルーム内(x軸正方向側)に設置される。なお、ストロークシミュレータハウジング50のストッパ部507の一部は、車両取り付け面508よりもx軸負方向側に突出して係止部を形成している。この係止部にブーツ2aが取付けられてプッシュロッド2を覆っている。上記のようにストロークシミュレータハウジング50はスタッド軸509によりダッシュパネルにリジッドに(弾性体を介さずに)固定されている。このため、ブレーキペダル(プッシュロッド2)に入力される運転者のブレーキ操作力(踏力)に対して良好な反力が発生すると共に、マスタシリンダ4のピストン41にブレーキ操作力が適切に伝達され、ブレーキ操作力に応じたマスタシリンダ液圧が発生する。
次に、ブレーキ装置1の配置について説明する。z軸方向で見ると、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5は、車両搭載時に上下の位置になるよう配置されている。すなわち、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5は、車両搭載時に鉛直方向から見て互いに重なり合うよう一体的に配置されている。車両搭載時に上からリザーバタンク3、マスタシリンダ4、ストロークシミュレータ5の順になるよう配置されている。すなわち、リザーバタンク3はマスタシリンダ4の上側に配置され、ストロークシミュレータ5はマスタシリンダ4の下側に配置されている。また、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5は互いに並列に配置されている。言い換えると、マスタシリンダ4の軸方向とストロークシミュレータ5の軸方向とが互いに略同方向になるよう配置されている。これにより、車両搭載時にマスタシリンダ4とストロークシミュレータ5が軸方向を合わせた状態で上下の位置になる。
図7に示すように、車両搭載時に、x軸方向から見て、リザーバタンク3のy軸方向中心と、マスタシリンダ4の軸と、ストロークシミュレータ5の軸とが、z軸に平行な略同一の直線上に並ぶように配置される。よって、車両搭載時に、リザーバタンク3とマスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とが鉛直方向から見て互いに重なり合う範囲が最大となる。これにより、リザーバタンク3とマスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とを鉛直方向で投影した面積が最小となる。図3及び図4に示すように、マスタシリンダ4(マスタシリンダハウジング40の本体部40a)及びストロークシミュレータ5(ストロークシミュレータハウジング50の本体部50a)は、リザーバタンク3の幅(y軸方向寸法)内に収まるように設けられている。また、ブレーキ配管70,71は、図5に示すように、リザーバタンク3、マスタシリンダハウジング40、及びストロークシミュレータハウジング50の全体の高さ(z軸方向寸法)内に収まるよう設けられている。例えば、ブレーキ配管71はリザーバタンク3よりもz軸正方向側へ突出しない。ブレーキ配管70はストロークシミュレータハウジング50よりもz軸負方向側へ突出しない。
y軸方向で見ると、ブレーキ装置1の各部材や構造体は、ストロークシミュレータハウジング50のフランジ部50cの幅内に収まるように設けられている。例えば、図3及び図4に示すように、マスタシリンダ4(マスタシリンダハウジング40の締結部40d,40eを含むフランジ部40b等)及びストロークシミュレータ5(ストロークシミュレータハウジング50の締結部50i,50jを含む接続部50b等)は、フランジ部50cの幅(y軸方向寸法)内に収まるよう構成されている。また、ブレーキ配管71は、図3及び図7に示すように、フランジ部50cの幅(y軸方向寸法)内に収まるよう設けられている。すなわち、ブレーキ配管71はxz平面と略平行に配置されており、ブレーキ配管71(のy軸正方向端)はフランジ部50cのy軸正方向端縁よりもy軸負方向側に位置する(フランジ部50cよりもy軸正方向側へ突出しない)。
ストロークシミュレータバルブ6はストロークシミュレータ5の軸方向位置に配置されている。すなわち、図7に示すように、ストロークシミュレータバルブ6は、ストロークシミュレータ5の軸方向一方側(x軸正方向側)に、ストロークシミュレータ5の軸方向(x軸方向)から見て互いに重なり合うように配置されている。また、ストロークシミュレータバルブ6の弁体640(プランジャ64)の作動方向とストロークシミュレータ5の反力ピストン51の作動方向とが略同一方向になるよう配置されている。より具体的には、ストロークシミュレータバルブ6はストロークシミュレータ5と略同軸に配置されている。ストロークシミュレータバルブ6(バルブ装着孔503)の中心軸は、ストロークシミュレータ5(軸方向孔501,502)の中心軸と略同一直線上に設けられている。よって、ストロークシミュレータ5とストロークシミュレータバルブ6とが互いに軸方向で重なり合う範囲が最大となる。これにより、ストロークシミュレータ5とストロークシミュレータバルブ6とをx軸方向で投影した面積が最小となる。図7に示すように、ストロークシミュレータバルブ6(ストロークシミュレータハウジング50の締結部50g,50hを含むフランジ部50fやソレノイド61等)は、ストロークシミュレータ5(ストロークシミュレータハウジング50の本体部50a)の幅(y軸方向寸法)及び高さ(z軸方向寸法)内に収まるように設けられている。
ストロークシミュレータバルブ6は、車両搭載時に、鉛直方向から見てマスタシリンダ4と重なり合うよう、マスタシリンダ4の下側に配置されている。また、マスタシリンダ4とストロークシミュレータバルブ6は互いに並列に(軸方向が互いに略同方向になるよう)配置されている。これにより、マスタシリンダ4とストロークシミュレータバルブ6とが軸方向を合わせた状態で上下の位置になる。車両搭載時に、x軸方向から見て、マスタシリンダ4の軸とストロークシミュレータバルブ6の軸とが、z軸に平行な略同一の直線上に並ぶように配置される。よって、マスタシリンダ4とストロークシミュレータバルブ6とが鉛直方向から見て互いに重なり合う範囲が最大となる。図4及び図7に示すように、ストロークシミュレータバルブ6(ストロークシミュレータハウジング50の締結部50g,50hを含むフランジ部50fやソレノイド61等)は、マスタシリンダ4(マスタシリンダハウジング40の本体部40a)の幅(y軸方向寸法)内に収まるように設けられている。
x軸方向で見ると、図3及び図4に示すように、ストロークシミュレータ5のx軸負方向端、具体的にはストロークシミュレータハウジング50の本体部50aのx軸負方向端は、フランジ部50cまで設けられている。ストロークシミュレータバルブ6のx軸正方向端、具体的にはコネクタ部610を除くソレノイド61のx軸正方向端は、マスタシリンダハウジング40のx軸正方向端面よりもx軸負方向側に位置する(マスタシリンダハウジング40よりもx軸正方向側へ突出しない)。図3~図6に示すように、リザーバタンク3のx軸正方向端とマスタシリンダ4のx軸正方向端とストロークシミュレータバルブ6(コネクタ部610)のx軸正方向端とは、互いに略同じx軸方向位置にある。ブレーキ配管71は、図4及び図5に示すように、マスタシリンダハウジング40及びストロークシミュレータハウジング50の長さ(x軸方向寸法)内に収まるよう設けられている。例えば、ブレーキ配管71(のx軸正方向端)はマスタシリンダハウジング40のx軸正方向端面よりもx軸負方向側に位置する(マスタシリンダハウジング40よりもx軸正方向側へ突出しない)。
図8に示すように、ブレーキ装置1をx軸負方向側から見たとき、マスタシリンダ4、ストロークシミュレータ5、及びブレーキ配管71(のz軸負方向側の大部分)は、フランジ部50cの陰になって見えない。図3に示すように、ブレーキ装置1をz軸正方向側から見たとき、(マスタシリンダハウジング40のフランジ部40bの一部を除く)マスタシリンダ4、及び(ストロークシミュレータハウジング50の接続部50bの一部とフランジ部50c等を除く)ストロークシミュレータ5は、リザーバタンク3の陰になって見えない。また、図6に示すように、ブレーキ装置1をy軸負方向側から見たとき、(ブレーキ配管71のz軸負方向側の一部及びブレーキ配管70の一部がマスタシリンダハウジング40とストロークシミュレータハウジング50との間の隙間から見えることを除けば、)ブレーキ配管70、71はリザーバタンク3、マスタシリンダ4及びストロークシミュレータ5の陰になって見えない。
次に、アクチュエータ8について説明する。図10は、アクチュエータ8をx軸負方向側かつy軸負方向側かつz軸正方向側から見た斜視図である。アクチュエータ8は、マスタシリンダ4及びリザーバタンク3からブレーキ液の供給を受け、運転者によるブレーキ操作とは独立にブレーキ液圧を発生可能な第2のブレーキ液圧発生源である。アクチュエータ8は、各車輪のホイルシリンダとマスタシリンダ4との間に設けられており、各ホイルシリンダにマスタシリンダ液圧又は自ら発生させた制御液圧を個別に供給可能な液圧制御ユニットである。アクチュエータ8は、液圧ユニット8aと、液圧ユニット8aの作動を制御するコントローラ(電子制御ユニットECU)8bとを備えている。液圧ユニット8aとコントローラ8bは一体のユニットとして構成されている。
液圧ユニット8aは、制御液圧を発生するための液圧機器として、液圧発生源であるポンプや、ハウジング80内に形成された油路の連通状態を切り換える複数の制御弁(電磁弁)を有している。液圧ユニット8a(ハウジング80)には、ポンプを駆動するモータ8cが一体に取付けられている。液圧ユニット8aの具体的な液圧回路構成については、公知の液圧ユニットと同様であるため、説明を省略する。液圧ユニット8aには、油路の所定部位の液圧(マスタシリンダ液圧等)を検出する液圧センサが設けられており、その検出値はコントローラ8bに入力される。コントローラ8bは、入力される各種情報に基づき、液圧ユニット8aの各機器の作動を制御することで、運転者のブレーキ操作から独立して各ホイルシリンダの液圧を制御可能に設けられている。
液圧ユニット8aは、ブレーキ配管を介してブレーキ装置1に接続される。液圧ユニット8aは、例えば、ブレーキ装置1の下側に、図10のx軸等の方向が図1のx軸等の方向とそれぞれ一致するように配置される。これにより、ブレーキシステム全体の鉛直方向(車両上下方向)での投影面積を少なくして、車両搭載性を向上することが可能である。液圧ユニット8aのハウジング80はダンパ8d及びブラケット8eを介して車体側(エンジンルームの床)へ固定設置される。ハウジング80の上側には、ハウジング80内に形成された油路の開口部として、P系統及びS系統のマスタシリンダポート81や、4つのホイルシリンダポート82が設けられている。P系統のマスタシリンダポート81Pは、ブレーキ配管を介して、マスタシリンダ4のP系統の(y軸負方向側の)吐出ポート44Pに接続され、液圧室43Pに連通する。S系統のマスタシリンダポート81Sは、他のブレーキ配管を介して、マスタシリンダ4のS系統の吐出ポート44Sに接続され、液圧室43Sに連通する。各ホイルシリンダポート82は、それぞれブレーキ配管を介して、各ホイルシリンダに接続されている。また、ハウジング80の他のポートは、ブレーキ配管を介して、リザーバタンク3の補給口32bに接続され、リザーバタンク3に連通する。
コントローラ8bは、マスタシリンダ4とは別体に、言い換えるとブレーキ装置1(ストロークシミュレータバルブ6を含むマスタシリンダユニット)とは別体に、構成されている。コントローラ8bには、ハーネスが接続されるコネクタ83が設けられている。ストロークシミュレータバルブ6とコントローラ8bは、ハーネスを介して接続される。コントローラ8bは、ブレーキペダルの操作量を検出するペダルストロークセンサ、及びポンプの吐出圧やマスタシリンダ液圧を検出する液圧センサから送られる検出値、並びに車両から送られる走行状態に関する情報が入力される。コントローラ8bは、これらの検出値や情報に基づき、内蔵されるプログラムに従い、液圧ユニット8aの各電磁弁の開閉やモータの回転数(ポンプの吐出量)を制御する。これによりホイルシリンダ液圧を制御することで、ブレーキ操作力を低減するための倍力制御や、制動による車輪のスリップを抑制(ロック傾向を緩和)するためのアンチロックブレーキ制御(ABS)や、車両の横滑り等を抑制して車両挙動を安定化するためのブレーキ制御(VDCやESCといった車両挙動制御)や、先行車追従制御等の自動ブレーキ制御や、回生ブレーキと協調して目標減速度(目標制動力)を達成するための回生協調ブレーキ制御等を実現する。例えば倍力制御では、ブレーキ操作に応じて発生するマスタシリンダ液圧に対し、液圧ユニット8aを駆動して(ポンプの吐出圧を用いて)形成するアシスト液圧を加圧することで、マスタシリンダ液圧よりも高いホイルシリンダ液圧を創生する。
液圧ユニット8aが非作動である状態では、マスタシリンダ4の液圧室43と各車輪のホイルシリンダとが連通した状態となる。このとき、運転者によるブレーキペダルの操作力(踏力)を用いて発生させたマスタシリンダ液圧によってホイルシリンダ液圧を発生する(踏力ブレーキ)。ブレーキペダルの踏込み操作に応じて、マスタシリンダ4の各系統の液圧室43から(液圧ユニット8a内の油路を経由して)各ホイルシリンダに向けてブレーキ液が供給される(増圧時)。すなわち、ブレーキペダルの踏込み操作に応じて発生するマスタシリンダ液圧がそのままホイルシリンダに供給される。また、ブレーキペダルが踏み戻されると、各ホイルシリンダから(液圧ユニット8a内の油路を経由して)マスタシリンダ4に向けてブレーキ液が戻される(減圧時)。このとき、シミュレータ油路上に設けられたストロークシミュレータバルブ6は非通電状態とされて閉弁する。よって、マスタシリンダ4(液圧室43P)とストロークシミュレータ5(主室54)との連通が遮断される。
一方、液圧ユニット8aが作動した状態では、マスタシリンダ4の液圧室43と各ホイルシリンダとの連通を遮断しつつ、ポンプを用いて発生させた液圧によりホイルシリンダ液圧を創生することが可能である。これにより所謂ブレーキバイワイヤシステムを構成し、倍力制御や回生協調ブレーキ制御等を実現することができる。このとき、ストロークシミュレータバルブ6は通電状態とされて開弁する。よって、マスタシリンダ4(液圧室43P)とストロークシミュレータ5(主室54)とが連通する。運転者がブレーキ操作を行う(ブレーキペダルを踏込み又は踏み戻す)と、ストロークシミュレータ5がマスタシリンダ4からのブレーキ液を吸排して、ペダルストロークを創生する。コントローラ8bは、ストロークシミュレータバルブ6の作動(通電状態)を制御する。すなわち、コントローラ8bは、ホイルシリンダ液圧を制御するための液圧コントローラと、ストロークシミュレータバルブ6を制御するコントローラとを統合したものである。言い換えると、前者の液圧コントローラに後者のコントローラが含まれている。
[参考例の作用]
次に、作用を説明する。本参考例のブレーキシステムでは、ブレーキ装置1とアクチュエータ8は別体に(分離して)設けられている。よって、各装置(ブレーキ装置1、アクチュエータ8)の汎用性が高く、ブレーキシステムを異なる車種にも適用しやすい。また、ブレーキ装置1とアクチュエータ8を一体に設けた場合に比べて、ブレーキ装置1を小型化することができる。一般にブレーキ操作が入力される入力装置としてのブレーキ装置の車両における設置スペースは限られているところ、ブレーキ装置1を小型化することで、ブレーキ装置1のレイアウト自由度を向上することができる。
本参考例のブレーキシステムでは、アクチュエータ8がマスタシリンダ液圧よりも高いホイルシリンダ液圧を発生してブレーキ操作力を低減する倍力制御を実行可能に設けられている。言い換えると、ブレーキ装置1とは別体に設けられたホイルシリンダ液圧制御手段としてのアクチュエータ8を倍力装置としても機能させることが可能である。よって、従来の倍力装置、例えば車両のエンジンが発生する吸気圧(負圧)を用いてブレーキ操作力を倍力するマスターバックを省略可能である。また、入力装置としてのブレーキ装置1に、蓄圧手段(アキュムレータ)や電動モータ等を用いてブレーキ操作力を倍力するブースタを備えなくてもよい。よって、ブレーキシステム全体を簡素化することができ、車両への適用性が高い。また、ブレーキ装置1を小型化しつつ、車両の省スペース化を図ることができる。例えば、マスターバックの設置に必要であったスペースにブレーキ装置1を設置することができる。なお、アクチュエータ8を倍力装置としても機能させる代わりに、上記負圧式や、リンク機構を用いたリンク式や、電動モータ等を用いた電動式(液圧式)の倍力装置を備えてもよい。また、本参考例のブレーキ装置1(ブレーキシステム)は、回生制動力を発生可能な車両に好適であるが、それ以外の車両(エンジンのみを駆動源とする非電動車両)にも適用可能である。
ブレーキ装置1では、リザーバタンク3とマスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とが一体的に(1つのマスタシリンダユニットを構成するものとして)設けられている。よって、リザーバタンク3とマスタシリンダ4とストロークシミュレータ5との間を接続する油路を短縮化することができる。また、リザーバタンク3とマスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とから構成される入力装置としてのブレーキ装置1を小型化することができる。ブレーキ装置1を小型化することで、これを異なる車種に搭載しやすく、汎用性が高い。よって、製造コストを削減することができる。
ここで、一般にマスタシリンダは、搭載される車両の車格に応じてバリエーションがある。仮にマスタシリンダとストロークシミュレータとを共通のハウジングを用いて形成した場合、マスタシリンダのバリエーション毎に上記共通のハウジングを設定する必要がある。よって、この場合、ブレーキ装置を異なる車種(車格)に適用しにくく、流用が困難であり、汎用性に欠けるおそれがあった。
これに対し、ブレーキ装置1では、マスタシリンダハウジング40をストロークシミュレータハウジング50に固定した。すなわち、ブレーキ装置1の組立て前は、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とは別体であり(それぞれに固有のハウジング40,50を有しており)互いに分離した状態となっている。組立て時に互いのハウジング40,50を一体的に固定することで、ブレーキ装置1を完成させる。よって、マスタシリンダ4のバリエーション毎にブレーキ装置1全体のハウジングを新たに設ける必要がない。したがって、既存のマスタシリンダ4を利用できることから、異なる車種(車格)に対する汎用性が高い。いわば、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5をモジュール化して、搭載する車種(車格)に応じて各モジュール4,5を適宜組み合わせることを可能とした。よって、既存製品の流用が容易である。具体的には、所定のストロークシミュレータ5(ストロークシミュレータハウジング50)に対し、搭載される車両の車格に応じた既存のマスタシリンダ4(マスタシリンダハウジング40)を適宜組み合わせることで、車両に適合したブレーキ装置1を得ることができる。
マスタシリンダハウジング40とストロークシミュレータハウジング50は、印籠部を備えた接合面(嵌合部40cの外周面等)により接合(印籠接合)し、互いに一体的に固定される。よって、既存の(汎用)マスタシリンダの流用がより容易になる。例えば、既存のマスタシリンダのハウジングに元々備えられた何らかの突出部(本参考例ではx軸負方向側の嵌合部40c)が嵌合するような凹形状(本参考例では第1の軸方向孔504)をストロークシミュレータハウジング50に設け、両者を印籠接合させれば、既存のマスタシリンダ4をそのまま利用することができる。
ストロークシミュレータハウジング50は車両取り付け面508を備え、車両取り付け面508により車両に取り付けられる。よって、ストロークシミュレータハウジング50を介して容易にマスタシリンダ4及びストロークシミュレータ5を車両に取り付けることができる。すなわち、ストロークシミュレータハウジング50ではなくマスタシリンダハウジング40の方を車両に取り付けることとしてもよい。しかし、この場合、(汎用性向上のため)既存のマスタシリンダハウジング40の形状をなるべく変更せずに、車両に取り付けられたマスタシリンダハウジング40にストロークシミュレータハウジング50を固定しようとすると、マスタシリンダハウジング40においてストロークシミュレータハウジング50を接合できる適当な部位が限られる。すなわち、マスタシリンダ4の汎用性を向上しつつ、(車両に取り付けられた)マスタシリンダハウジング40を介してストロークシミュレータ5を車両に取り付けることは、比較的容易でない。これに対し、形状を変更することに対する制約は、マスタシリンダハウジング40よりもストロークシミュレータハウジング50の方が少ない。よって、本参考例のようにストロークシミュレータハウジング50の方を車両に取り付け、ストロークシミュレータハウジング50を介してマスタシリンダ4を車両に取り付けるようにすれば、ストロークシミュレータハウジング50の形状を比較的自由に設定できるため、マスタシリンダハウジング40を接合できる部位を比較的容易に確保できる。すなわち、マスタシリンダ4の汎用性を向上しつつ、マスタシリンダ4及びストロークシミュレータ5を容易に車両に取り付けることができる。また、本参考例ではストロークシミュレータハウジング50の方を車両に取り付けるようにしたため、マスタシリンダハウジング40の方を車両に取り付けた場合に比べ、ストロークシミュレータハウジング50の汎用性を向上することもできる。すなわち、ストロークシミュレータハウジング50の方を車両に取り付けると、ストロークシミュレータハウジング50に接合するマスタシリンダハウジング40の部位として、既存のマスタシリンダハウジングに元々備えられた車両取り付け部(本参考例では嵌合部40c)を選択することができる。この車両取り付け部(嵌合部40c)はある程度規格化されている。この規格化された車両取り付け部(嵌合部40c)に応じた凹形状をストロークシミュレータハウジング50に設ければ、これを汎用のストロークシミュレータハウジング50として利用することができる。すなわち、任意のマスタシリンダハウジング40に対して上記汎用のストロークシミュレータハウジング50を組み合わせることが可能となるため、ストロークシミュレータ5の流用が容易になる。
なお、組立て前にマスタシリンダ4(マスタシリンダハウジング40)とストロークシミュレータ5(ストロークシミュレータハウジング50)とを別体としたことに伴い、両者を接続する油路を構成するブレーキ配管70,71を設けることが好ましい。本参考例では、リザーバタンク3の配管取付け部320aとストロークシミュレータ5の接続ポート58を、ブレーキ装置1の同じ側面(y軸正方向側)に設けたことで、ブレーキ配管71を短縮しつつ、ブレーキ配管71の接続作業性や取り回し性を向上することができる。ブレーキ配管70についても同様である。また、各ブレーキ配管のうち、少なくとも高圧が作用しないブレーキ配管71を、フレキシブルな材質(ゴム等の材料)により形成した。よって、ブレーキ配管71を鋼管として構成した場合に比べ、ブレーキ配管71のレイアウト性や取り回し性を向上することができる。
車両搭載時に、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5は鉛直方向から見て互いに重なり合う(上下の位置になる)ように配置されている。よって、上方からのブレーキ装置1の投影面積を低減することができる。これにより、上方から見たときにエンジンルーム内でブレーキ装置1が占める領域(占有面積)を低減し、ブレーキ装置1の車両搭載性(エンジンルーム内でのレイアウト性)を向上することができる。また、エンジンルーム内の省スペース化を図ることができると共に、エンジンルーム内へブレーキ装置1を設置する際の作業性を向上することができる。なお、上下方向に投影したときマスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とが部分的に重なる範囲があればよいが、ストロークシミュレータ5の半分以上がマスタシリンダ4と重なるようにすることが好ましい。本参考例では、ストロークシミュレータ5をマスタシリンダ4の真下に配置することで、上下方向で両者が重なる面積を大きくしたため、上記効果を高めることができる。
具体的には、マスタシリンダ4の軸方向(x軸方向)においてマスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とが互いに重なる(マスタシリンダ4の軸に対し直交する方向から見て両者4,5が重なる)ように配置されている。このように軸方向(長手方向)で重なるように両者4,5を配置することで、マスタシリンダ4の軸方向におけるブレーキ装置1の寸法の増大を抑制することができる。また、マスタシリンダ4の軸を車両の前後方向に延びるように設置した場合、上方から見たときにマスタシリンダ4とストロークシミュレータ5が重なるようにすることが可能になる。よって、ブレーキ装置1の上記占有面積を低減することができる。
また、マスタシリンダ4の軸方向とストロークシミュレータ5の軸方向とが互いに同じ方向(互いに略平行)になるよう配置されている。言い換えると、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5の軸方向(長手方向)を合わせている(揃えている)。よって、両軸方向が互いにずれている(両軸間に角度がある)場合に比べ、マスタシリンダ4及びストロークシミュレータ5の全体をマスタシリンダ4の軸方向から投影した面積を小さくすることが可能である。言い換えると、マスタシリンダ4の軸に対し直交して広がる平面内でのブレーキ装置1の寸法(マスタシリンダ4の軸直方向における装置全体の寸法)の増大を抑制することができる。また、マスタシリンダ4及びストロークシミュレータ5の全体をマスタシリンダ4の軸直方向から見た場合であって両者4,5の軸が同一直線上に位置するような方向から見たときに、マスタシリンダ4の軸直方向における装置全体の寸法を最小とすることが可能である。
マスタシリンダ4の軸方向(x軸方向)において互いに重なるようにマスタシリンダ4とストロークシミュレータ5を並列に(互いに略平行に)配置することで、マスタシリンダ4の軸直方向から見て両者4,5が重なる面積を大きくすることが可能になる(図4参照)。本参考例では、上方から見たときにマスタシリンダ4の軸とストロークシミュレータ5の軸とが略同一の直線上に位置するようにしたことで、両者4,5が重なる面積を大きくすることができる。よって、ブレーキ装置1の上記占有面積を更に低減することができる。
本参考例では、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とが上下方向で重なる面積が最大となるようにしたため、これら全体の上下方向での投影面積を最小にして、上記効果を高めることができる。図4に示すように、z軸方向から見たとき、(ストロークシミュレータハウジング50の接続部50bの一部とフランジ部50c等を除く)ストロークシミュレータ5はマスタシリンダ4(マスタシリンダハウジング40)の輪郭内に収まる。(フランジ部40bの一部を除く)マスタシリンダ4はリザーバタンク3の輪郭内に収まる。よって、図3に示すように、ブレーキ装置1の上下方向での投影面積は、(マスタシリンダハウジング40のフランジ部40b、ストロークシミュレータハウジング50の接続部50b、配管取付け部320、及びブレーキ配管70,71を除き、)リザーバタンク3の上下方向での投影面積と略等しい。よって、ブレーキ装置1の上下方向での投影面積を可及的に小さくすることができる。
また、ストロークシミュレータバルブ6の弁体640(プランジャ64)の作動方向とストロークシミュレータ5の反力ピストン51の作動方向とが略同一方向になるように配置されている。言い換えると、ストロークシミュレータバルブ6とストロークシミュレータ5の軸方向を合わせている。よって、両軸方向が互いにずれている(両軸間に角度がある)場合に比べ、ストロークシミュレータバルブ6及びストロークシミュレータ5の全体のストロークシミュレータ5の軸方向からの投影面積を小さくすることが可能である。言い換えると、ストロークシミュレータ5の軸に対し直交して広がる平面内でのブレーキ装置1の寸法(ストロークシミュレータ5の軸直方向における装置全体の寸法)の増大を抑制することができる。よって、ストロークシミュレータ5の軸を車両の前後方向に延びるように設置した場合、前後方向から見たときにエンジンルーム内でブレーキ装置1が占める領域(占有面積)を低減し、ブレーキ装置1の車両搭載性を向上することができる。また、ストロークシミュレータバルブ6とストロークシミュレータ5の軸方向を合わせることで、結果的に、マスタシリンダ4とストロークシミュレータバルブ6の軸方向を合わせる(互いに略平行とする)ことになるため、上記のように、ブレーキ装置1の上方から見たときの占有面積を更に低減することができる。
ストロークシミュレータバルブ6はストロークシミュレータ5の軸方向位置に配置されている。すなわち、ストロークシミュレータバルブ6は、軸方向(x軸方向)から見てストロークシミュレータ5と重なり合うように配置されている。これにより、ストロークシミュレータバルブ6及びストロークシミュレータ5の全体のストロークシミュレータ5の軸方向からの投影面積を小さくすることができる。本参考例では、ストロークシミュレータバルブ6はストロークシミュレータ5と略同軸に配置されている。よって、軸方向(x軸方向)から見たときに両者5,6が重なる面積を最大し、上記投影面積を最小とすることができる。さらに、マスタシリンダ4とストロークシミュレータバルブ6とがx軸方向で互いに重なるように配置されている。このように軸方向(長手方向)で重なるように両者4,6を配置することで、マスタシリンダ4の軸方向におけるブレーキ装置1の寸法の増大を抑制することができる。また、マスタシリンダ4の軸を車両の前後方向に延びるように設置した場合、鉛直方向から見てマスタシリンダ4とストロークシミュレータバルブ6が重なるようにすることが可能になる。よって、ブレーキ装置1の上方から見たときの占有面積を低減することができる。なお、上下方向に投影したときマスタシリンダ4とストロークシミュレータバルブ6とが部分的に重なる範囲があればよいが、ストロークシミュレータバルブ6の半分以上がマスタシリンダ4と重なるようにすることが好ましい。本参考例では、両者4,6が上下方向で重なる面積が最大となるようにし、上下方向での投影面積を最小にしたことで、上記効果を高めることができる。図4に示すように、z軸方向から見たとき、ストロークシミュレータバルブ6はマスタシリンダ4(マスタシリンダハウジング40)の輪郭内に収まる。ストロークシミュレータバルブ6(コネクタ部610)のx軸正方向端は、リザーバタンク3及びマスタシリンダ4のx軸正方向端と互いに略同じx軸方向位置にある。よって、ブレーキ装置1の上下方向での投影面積を可及的に小さくすることができる。
ストロークシミュレータハウジング50においてストロークシミュレータバルブ6のハウジングとストロークシミュレータ5のハウジングを一体化したことで、ブレーキ装置1の全体をより小型化して車両搭載性を向上することができる。また、両者5,6を接続するための構造やブレーキ配管が不要となるため、構成を簡素化して取付け作業性を向上しつつフェールセーフ性を向上できる。なお、ストロークシミュレータバルブ6を制御するコントローラ8bはブレーキ装置1とは別体で構成され、ハーネスを介してストロークシミュレータバルブ6と接続されている。よって、ブレーキ装置1とコントローラ8bを一体に設けた場合に比べて、ブレーキ装置1を小型化し、ブレーキ装置1のレイアウト自由度を向上することができる。言い換えると、ホイルシリンダ液圧を制御するための液圧コントローラと、ストロークシミュレータバルブ6を制御するコントローラとを、コントローラ8bとして統合することで、ブレーキ装置1のレイアウト性を向上することができる。
マスタシリンダ4及びストロークシミュレータ5(及びストロークシミュレータバルブ6)は、ブレーキ装置1(ストロークシミュレータハウジング50)を車両に取り付けるためのフランジ部50cの幅(y軸方向寸法)内に収まるよう構成されている。よって、車両の横方向(言い換えると上方から見たときのマスタシリンダ4やストロークシミュレータバルブ6の軸に対し直交する方向)におけるブレーキ装置1の小型化も図ることができる。これにより、ブレーキ装置1の車両搭載性を更に向上することができる。
また、リザーバタンク3とストロークシミュレータ5とを接続するブレーキ配管71は、フランジ部50cの幅(y軸方向寸法)内に収まるよう設けられている。よって、車両の横方向におけるブレーキ装置1の小型化を図り、ブレーキ装置1の車両搭載性をより向上することができる。具体的には、マスタシリンダハウジング40の締結部40d及びストロークシミュレータハウジング50の締結部50iは、y軸正方向側に突出しつつフランジ部50cの幅(y軸方向寸法)内に収まる。締結部40d,50iの上下のスペースにそれぞれ配管取付け部320a,580が配置されている。配管取付け部320a,580は共に(y軸正方向側ではなく)x軸正方向側に開口するように折れ曲がると共に、フランジ部50cの幅(y軸方向寸法)内に収まるように設けられている。配管取付け部320a,580に取り付けられるブレーキ配管71は、締結部40d,50i及び吐出ポート44Pを迂回するU字状に設置される。これにより、これら締結部40d等との干渉を排しつつ、ブレーキ配管71がフランジ部50cの幅(y軸方向寸法)内に収まる。ブレーキ配管71がフランジ部50cよりも幅方向外側に突出しないように設けることで、エンジンルーム内でのブレーキ配管71と他の部材との干渉を回避することができる。よって、ブレーキ配管71の損傷を抑制しつつ、ブレーキ装置1の車両搭載性を向上することができる。特に、ブレーキ配管71をフレキシブルな材質(ゴム等の材料)により形成した場合に、その損傷を効果的に抑制することができる。
ストロークシミュレータ5はマスタシリンダ4の下側に配置され、リザーバタンク3はマスタシリンダ4の上側に配置されている(車両搭載時に上からリザーバタンク3、マスタシリンダ4、ストロークシミュレータ5の順になる)。このため、ブレーキ装置1のエア抜き性を向上することができる。すなわち、ブレーキ装置1の車両への取り付け時やメンテナンス(ブレーキ液交換)時に、ブレーキ装置1内のエア(空気)を抜く作業を行う。シミュレータ油路のうち、ストロークシミュレータバルブ6よりもストロークシミュレータ5側(主室54を含む)については、エアを、エア抜き用ブリーダ57により容易に抜くことができる。ここで、ブリーダ57は、ストロークシミュレータ5の主室54(円筒部50e)のz軸正方向側、すなわちエアが溜りやすい上方の部位に開口するよう設けられている。よって、エア抜き性を向上することができる。一方、シミュレータ油路のうち、ストロークシミュレータバルブ6よりもマスタシリンダ4側については、エアは、ブレーキ配管70を経由してマスタシリンダ4(液圧室43P)及びリザーバタンク3(供給口30)を介して抜くことができる。ここで、ストロークシミュレータ5はマスタシリンダ4の下側に配置され、リザーバタンク3はマスタシリンダ4の上側に配置されている。よって、エア(泡)が浮力により上昇してブレーキ配管70等を介しリザーバタンク3から抜かれることが容易となるため、エア抜き性を向上することができる。
[参考例の効果]
以下、参考例から把握される発明とその効果を列挙する。
(1)マスタシリンダハウジング40の内部にピストン41が軸方向に作動可能に設けられたマスタシリンダ4と、
ストロークシミュレータハウジング50の内部に流入したブレーキ液により軸方向に作動する反力ピストン51が設けられたストロークシミュレータ5とを備え、
マスタシリンダハウジング40はストロークシミュレータハウジング50に固定されている。
このように、マスタシリンダハウジング40をストロークシミュレータハウジング50とは別体とすることで、マスタシリンダ4のバリエーションごとにブレーキ装置1全体のハウジングを設定する必要がなくなる。よって、汎用性を向上することができる。
(2)ストロークシミュレータハウジング50は車両に取り付けるための車両取り付け面508を備えた。
よって、ストロークシミュレータハウジングを介して比較的容易にマスタシリンダ4及びストロークシミュレータ5を車両に取り付けることが出来る。
(3)マスタシリンダハウジング40とストロークシミュレータハウジング50は互いに一体的に固定するための接合面(嵌合部40cの外周面等)を備え、接合面は印籠部を備えた。
よって、印籠接合により汎用マスタシリンダを使うことができる。
(4)マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5は車両搭載時に鉛直方向から見て互いに重なり合うよう一体的に配置されている。
よって、上方から見たブレーキ装置1の占有面積を小さくし、これにより車両搭載性を向上することができる。
(19)ブレーキ操作状態または車両の状態に応じてホイルシリンダ液圧を制御するアクチュエータ8と、
アクチュエータ8とは別体に設けられ、運転者のブレーキ操作に応じて作動するブレーキ装置1とを備えたブレーキシステムであって、
ブレーキ装置1は、運転者のブレーキ操作によってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ4と、
マスタシリンダ4から流出したブレーキ液が流入しブレーキ操作部材の擬似操作反力を生成するストロークシミュレータ5とを備え、
マスタシリンダ4は内部にピストン41が軸方向に作動可能に設けられたマスタシリンダハウジング40を有し、
ストロークシミュレータ5は内部に流入したブレーキ液により軸方向に作動する反力ピストン51が設けられたストロークシミュレータハウジング50を有し、
マスタシリンダハウジング40はストロークシミュレータハウジング50に固定されていることを特徴とするブレーキシステム。
よって、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
[実施例1]
実施例1のブレーキ装置1は、車両搭載時にストロークシミュレータ5がマスタシリンダ4の横側となるように配置したものである。まず、構成を説明する。以下、参考例と共通する構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。図11~図18は、実施例1のブレーキ装置1の全体を、図1~図8と同様の各方向から示す。
リザーバタンク3の補給口32a(配管取付け部320a)はx軸正方向側かつy軸負方向側に設けられ、補給口32b(配管取付け部320b)はx軸正方向側かつy軸正方向側に設けられている。マスタシリンダハウジング40の吐出ポート44P,44Sはy軸正方向側の側面に開口し、上記以外の他の吐出ポート44Pはz軸負方向側の側面に開口する。図17に示すように、マスタシリンダハウジング40のフランジ部40bの締結部40dはy軸正方向側かつz軸負方向側に設けられ、締結部40eはy軸負方向側かつz軸正方向側に設けられている。ストロークシミュレータハウジング50のエア抜き用ブリーダ57は、円筒部50eの外周面からy軸負方向側かつz軸正方向側に突出する。
接続ポート58(配管取付け部580)は円筒部50dのz軸正方向側に設けられている。配管取付け部580は、円筒部50dのややx軸負方向側かつz軸正方向側の外面からz軸正方向側に突出し、途中でx軸正方向側に折れ曲がり、x軸正方向側に開口するように設けられている。ブレーキ配管71は、図13及び図16に示すように、x軸方向に延びると共に、z軸正方向側から見てS字状に設置されている。ブレーキ配管71は、リザーバタンク3の配管取付け部320aからx軸正方向側に延びてから、y軸負方向側へオフセットする(リザーバタンク3から離れる)ように斜行した後、再びx軸正方向側に延びて、配管取付け部580に取り付けられる。接続ポート59は、z軸負方向側に開口するように設けられている。図17に示すように、ブレーキ配管70は、マスタシリンダ4のz軸負方向側の吐出ポート44Pからz軸負方向側に延び、y軸負方向側に曲がってy軸と略平行に延びてから、再びz軸正方向側に折り返して、接続ポート59に接続される。
ストロークシミュレータハウジング50の接続部50bは、本体部50aのy軸正方向側に設けられている。締結部50iは接続部50bのy軸正方向側かつz軸負方向側に設けられ、締結部50jは接続部50bのy軸負方向側かつz軸正方向側に設けられている。フランジ部50cのz軸方向における略中央に本体部50aの軸心及び接続部50bの軸心が位置し、フランジ部50cのy軸方向における略中央に接続部50bの軸心が位置し、フランジ部50cのy軸負方向側の辺近傍に本体部50aの軸心が位置するように設けられている。フランジ部50cの高さ(z軸方向寸法)は、本体部50a及びマスタシリンダハウジング40の本体部40aの高さ(z軸方向寸法)よりも大きく、かつ接続部50bないしマスタシリンダハウジング40のフランジ部40bの高さ(z軸方向寸法)と略同じに設けられている。また、フランジ部50cの幅(y軸方向寸法)は、リザーバタンク3の幅(y軸方向寸法)よりも大きく、かつ接続部50bないしマスタシリンダハウジング40のフランジ部40bの幅(y軸方向寸法)と略同じに設けられている。具体的には、図17に示すように、接続部50bの締結部50i,50jないしフランジ部40bの締結部40d,40eの外周縁は、フランジ部50cの外周縁と略一致している(y軸方向及びz軸方向でそれぞれ略同じ位置にある)。
マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5は、車両搭載時に横の位置になるよう配置されている。すなわち、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5は、車両搭載時に横方向から見て互いに重なり合うよう一体的に配置されている。車両搭載時に、リザーバタンク3はマスタシリンダ4の上側に配置される。マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5(ストロークシミュレータバルブ6を含む。以下、同様)とが軸方向を合わせた状態で、ストロークシミュレータ5はマスタシリンダ4の横側(y軸負方向側)に配置される。図17に示すように、車両搭載時に、x軸方向から見て、マスタシリンダ4の軸と、ストロークシミュレータ5の軸とが、y軸に平行な略同一の直線上に並ぶように配置される。よって、車両搭載時に、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とが横方向から見て互いに重なり合う範囲が最大となる。これにより、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とを横方向で投影した面積が最小となる。
ブレーキ装置1のy軸負方向側で、ストロークシミュレータハウジング50の接続ポート58はz軸正方向側に突出するように設けられており、接続ポート58のy軸負方向端は、円筒部50dのy軸負方向端縁の近傍に位置する(円筒部50dよりもy軸負方向側へ突出しない)。配管取付け部580に取り付けられるブレーキ配管71のy軸負方向端も、円筒部50dよりもy軸負方向側へ突出しない。ブレーキ装置1のy軸正方向側で、配管取付け部320bのy軸正方向端は、フランジ部50cのy軸正方向端縁の近傍に位置する。フランジ部50cのy軸正方向側の辺からの配管取付け部320bの(y軸正方向側への)突出量は僅かである。
図16及び図17に示すように、マスタシリンダ4(マスタシリンダハウジング40の本体部40a及びフランジ部40b)及びストロークシミュレータ5(ストロークシミュレータハウジング50の本体部50a及び接続部50b)は、フランジ部50cの高さ(z軸方向寸法)内に収まるよう構成されている。ブレーキ配管70,71は、リザーバタンク3、マスタシリンダハウジング40、及びストロークシミュレータハウジング50の高さ(z軸方向寸法)内に収まるよう設けられている。例えば、ブレーキ配管71はリザーバタンク3よりもz軸正方向側へ突出しない。また、ブレーキ配管70は、フランジ部50cの高さ(z軸方向寸法)内に収まるよう設けられている。すなわち、ブレーキ配管70はy軸と略平行(フランジ部50cのz軸負方向側の辺と略平行)に延びるように配置されており、ブレーキ配管70(のz軸負方向端)はフランジ部50cのz軸負方向端縁の近傍に位置する(フランジ部50cよりもz軸負方向側へ突出しない)。
図15に示すように、ブレーキ装置1をy軸正方向側から見たとき、(ストロークシミュレータハウジング50の接続部50bとフランジ部50cを除く)ストロークシミュレータ5は、マスタシリンダ4の陰になって見えない。ブレーキ配管71はリザーバタンク3の陰になって見えない。図18に示すように、ブレーキ装置1をx軸負方向側から見たとき、マスタシリンダ4、ストロークシミュレータ5(ストロークシミュレータハウジング50の本体部50a)の略半分、及びブレーキ配管70の大部分は、フランジ部50cの陰になって見えない。
次に、作用を説明する。車両搭載時に、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5は横方向から見て互いに重なり合う(左右の位置になる)ように配置されている。よって、横方向からのブレーキ装置1の投影面積を低減することができる。これにより、横方向から見たときにエンジンルーム内でブレーキ装置1が占める領域(占有面積)を低減し、ブレーキ装置1の車両搭載性を向上することができる。また、エンジンルーム内の省スペース化を図ることができる。言い換えると、ブレーキ装置1の上下方向寸法を低く抑えることができる。このため、例えば小型車への適用が容易である。なお、横方向に投影したときマスタシリンダ4とストロークシミュレータ5とが部分的に重なる範囲があればよいが、ストロークシミュレータ5の半分以上がマスタシリンダ4と重なるようにすることが好ましい。本実施例では、ストロークシミュレータ5をマスタシリンダ4の真横に配置することで、横方向で両者が重なる面積が最大となるようにしたため、上記効果を高めることができる。図15及び図16に示すように、y軸方向から見たとき、(ストロークシミュレータハウジング50の接続部50bとフランジ部50cを除く)ストロークシミュレータ5及びストロークシミュレータバルブ6は、マスタシリンダ4の輪郭内に収まる。よって、ブレーキ装置1の横方向での投影面積は、(ストロークシミュレータハウジング50の接続部50b、及びブレーキ配管70を除き、)マスタシリンダ4及びリザーバタンク3の横方向での投影面積と略等しい。
マスタシリンダ4及びストロークシミュレータ5(及びストロークシミュレータバルブ6)は、フランジ部50cの高さ(z軸方向寸法)内に収まるよう構成されている。よって、車両の上下方向におけるブレーキ装置1の小型化も図ることができる。これにより、ブレーキ装置1の車両搭載性を更に向上することができる。また、ブレーキ配管70,71は、リザーバタンク3、マスタシリンダハウジング40、及びストロークシミュレータハウジング50の高さ(z軸方向寸法)内に収まるよう設けられている。例えば、マスタシリンダ4とストロークシミュレータ5を接続するブレーキ配管70は、フランジ部50cの高さ(z軸方向寸法)内に収まるよう設けられている。よって、車両の上下方向におけるブレーキ装置1の小型化を図り、ブレーキ装置1の車両搭載性をより向上することができる。また、図17に示すように、リザーバタンク3とストロークシミュレータ5を接続するブレーキ配管71は、リザーバタンク3のy軸負方向側かつストロークシミュレータ5のz軸正方向側に形成された凹部(デッドスペース)内に収まるように配置されている。よって、エンジンルーム内でのブレーキ配管71と他の部材との干渉を回避しつつ、ブレーキ装置1の車両搭載性を向上することができる。
その他、参考例と同様の構成により、参考例と同様の作用効果を得ることができる。
[他の実施例]
以上、本発明を実現するための形態を、実施例に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。例えば、車両搭載時にストロークシミュレータ5(本体部50a)が車両前後方向でマスタシリンダ4と重なるように配置することとしてもよい。例えばマスタシリンダ4の水平方向位置のうちマスタシリンダ4のx軸正方向側にストロークシミュレータ5(本体部50a)を配置することとしてもよい。この場合も、マスタシリンダハウジング40をストロークシミュレータハウジング50とは別体とすることで汎用性を向上できる。また、図9に示すように、マスタシリンダハウジング40(嵌合部40c)のx軸負方向端とプッシュロッド2のフランジ部21との間(ピストン41Pの外周)に、ダンパとしてのばね(皿ばね等)23を設置することとしてもよい。ブレーキペダルの操作量が所定量以上になると、ばね23のx軸負方向端にフランジ部21が当接するようになり、ばね23は、フランジ部21によりx軸負方向側から押し縮められる。圧縮変形するばね23は、プッシュロッド2を介してブレーキペダルに反力を付与することで、ブレーキペダルの操作力を調整する。よって、ブレーキペダル操作量の全領域で好ましい特性を発揮することが可能となる。例えば、アクチュエータ8を倍力装置として機能させる代わりに、リンク機構を用いたリンク式倍力装置をブレーキペダルとクレビス20との間に設置した場合を想定する。リンク機構の特性を、車両搭載時の制約条件下で所定の倍力性能を得ることができるものにしようとすると、ブレーキ操作後期のペダルストローク領域でレバー比が過度に上昇する等、好ましいブレーキ特性(踏力とストロークと減速度の関係)を得ることができないおそれがある。これに対し、ばね23を設置すれば、ばね23がブレーキ操作後期に押し縮められることでペダル反力を増加させ、踏力を減衰させることで、ブレーキペダル操作量の全領域で好ましいブレーキ特性を得ることが可能となる。