JP7533450B2 - 粉末状植物性蛋白素材の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は粉末状植物性蛋白素材の製造法に関する。特に本発明は粉末飲料などの用途に適する粉末状植物性蛋白素材の製造法に関する。
粉末飲料はDBB(dry blended bevereges)とも呼ばれており、蛋白質を手軽に多く摂取できるように、粉末状植物性蛋白素材がしばしば配合されている。
粉末状植物性蛋白素材の典型例である分離大豆蛋白は、通常、脱脂大豆を原料として水系下で不溶性繊維と糖質を除去することにより蛋白質濃度を高めた大豆蛋白溶液を、加熱殺菌後、スプレードライヤー等により噴霧乾燥することにより粉末化され、製造されている。この大豆蛋白溶液は、一般に蛋白質の保水力が高く水溶液の粘度が高くなるため、固形分濃度が高い条件では乾燥させ難い。そのため、噴霧乾燥して得られる分離大豆蛋白は、微粉末であり、嵩比重が軽い製品であるのが一般的である。したがって、このようにして調製される分離大豆蛋白は、水や牛乳等の液体への分散性が悪く、所謂「ママコ」と呼ばれるダマが水溶液の表面に浮き、液体に素早く溶解させることが困難となる問題点がある。この点は他の粉末状植物性蛋白素材も同様であり、粉末状植物性蛋白素材を粉末飲料等の原料に使用した場合に要求される必須の改善点となっている。
このような課題を解決するため、1つの方法として粉末状植物性蛋白素材を流動層造粒機で造粒加工を施すことで、液体への分散性を高めてママコの発生を防止する方法が行われている。例えば、乳化剤や油脂を含む賦形液を分離大豆蛋白に噴霧し、造粒する技術が示されている(特許文献1)。また、デキストリンなどの多糖類を含む賦形液を用いて分離大豆蛋白を造粒する技術も示されている(特許文献2)。
また、液体への分散性改善のための別の方法として、酸性溶液やイオン化した金属水溶液を分離大豆蛋白に噴霧して乾燥する方法(特許文献3,4)や、大豆蛋白含有溶液にカルシウム塩を作用させて分離大豆蛋白を得る方法(特許文献5)などが提供されている。
特開平6-113749号公報 国際公開WO2003/22069号 国際公開WO2007/4624号 国際公開WO2007/40048号 特開平6-141783号公報 特公昭54-23971号公報
粉末状植物性蛋白素材の水や牛乳等の液体への分散性を高める方法として、上記特許文献1~5などの方法が提供されている。しかしながら、引用文献1,2のような流動層造粒機を用いた造粒による方法では、乳化剤や多糖類などの賦形剤の添加量も多く必要となり、粉末状植物性蛋白素材の製品中の蛋白質含量が低下してしまう。
また、引用文献3~5による方法では、製造条件によっては得られる粉末状植物性蛋白素材の溶解性が低くなってしまい、口内でのザラつきが発生したり、製品の保存中における経時的な風味劣化が大きくなったりし、製造工程上のコントロールに熟練を要する。
さらに、従来の粉末状植物性蛋白素材を粉末飲料に用いると、該素材特有の製造過程で生ずる臭気が感じられ、乳蛋白素材を用いた粉末飲料よりも嗜好性が低くなる傾向にある。
そこで本発明の目的は、粉末飲料を消費者が家庭で液体に分散させるときのような緩やかな攪拌条件であっても、ママコが生じにくく、液体への分散性に優れ、容易に素早く溶解させることができ、さらには風味も向上した粉末状植物性蛋白素材を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、新たなアプローチにより前記課題を解決しうることを見出し、本発明の技術思想を完成するに到った。
すなわち本発明は、以下の発明を包含するものである。
(1)NSIが60以上であって、蛋白質含量が固形分中75重量%以上の粉末状植物性蛋白素材を、粉末状態で垂直方向に落下させつつ水蒸気による直接加熱方式で加圧加熱処理し、NSI(窒素溶解性指数)を加圧加熱処理前よりも低下させることを特徴とする、粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(2)粉末状植物由来蛋白質素材は、蛋白質含量が固形分中90重量%以上である、前記(1)記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(3)加熱圧力が0.03~0.7MPaである、前記(1)又は(2)記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(4)加熱圧力が0.1~0.7MPaである、前記(1)又は(2)記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(5)加熱時間が0.00001~0.5秒である、前記(1)~(4)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(6)加熱時間が0.001~0.3秒である、前記(1)~(4)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(7)NSIが80以上の粉末状植物性蛋白素材を加圧加熱処理する、前記(1)~(6)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(8)NSIが94以上の粉末状植物性蛋白素材を加圧加熱処理する、前記(1)~(6)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
(9)加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが20以上55未満である、前記(1)~(8)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(10)加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが20~30である、前記(1)~(8)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(11)加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが55以上80未満である、前記(1)~(8)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(12)加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが60~70である、前記(1)~(8)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(13)粉末飲料用である、前記(1)~(13)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
(14)前記(1)~(13)の何れか1項記載の製造法で得られる粉末状植物性蛋白素材を配合することを特徴とする、粉末飲料の製造法。
ところで、特許文献6には、少なくとも乾燥重量で30重量%の蛋白質含量を有する大豆濃縮物や大豆単離物を原料とし、粉体のまま水蒸気による直接加熱装置を用いる粉末状蛋白素材の組織化方法が記載されている。この方法は、特殊な構造を有する回転弁の中に導入した粉体に水蒸気を接触させて、回転弁から水平方向に連結された加圧状態の中空管の中を粉体を移動させながら組織化していく方法である。しかし、この方法は本発明のように粉体を垂直方向に落下させつつ加圧加熱処理を行う方法ではない。
本発明により得られる粉末状植物性蛋白素材は、緩やかな撹拌条件であっても水への分散性に優れた物性を有するためママコを生じにくく、粉末飲料の原料として使用しても消費者が家庭で容易に素早く溶解させることができる。
また本発明によれば、粉末状植物性蛋白素材に特有の製造過程で生ずる臭気を低減し、該素材の風味を向上させることができるので、植物性蛋白質を含む嗜好性の高い粉末飲料や、各種加工食品や飲料に用いることができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
(粉末状植物性蛋白素材)
本発明において「粉末状植物性蛋白素材」は、原料である植物性原料から、蛋白質以外の成分、すなわち脂質、可溶性糖質、澱粉、不溶性繊維(オカラ)などをできるだけ除去し、蛋白質が濃縮されたものを粉末化した蛋白素材をいう。その蛋白質含量は一般には固形分中75重量%以上、80重量%以上又は90重量%以上などである。
また、粉末状植物性蛋白素材は、種々の植物性原料から得ることができ、例えば大豆、エンドウ、緑豆、ヒヨコ豆、落花生、ルピナス、キマメ、ナタ豆、ツル豆、インゲン豆、小豆、ササゲ、レンズ豆、ソラ豆、イナゴ豆などの豆類や、ナタネ種子(特にキャノーラ品種)、ヒマワリ種子、綿実種子等の種子類や、小麦、大麦、ライ麦、米、トウモロコシ等の穀類などの全粒物やその粉砕物が挙げられ、これらから油脂や澱粉を工業的に抽出した粕を用いることもできる。これらの植物性原料に通常含まれる主要な蛋白質は等電点がpH4.5付近に存在する。特に分離植物性蛋白として商業的に生産されている大豆、エンドウ、緑豆、ナタネ種子(キャノーラ種子)やこれらの油脂もしくは澱粉の抽出粕を用いることが好ましい。典型的な例として、大豆から得られる粉末状植物性蛋白素材としては、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、カードパウダー、脱脂豆乳粉末等が挙げられ、さらにこれらの加水分解物も挙げられる。
ここでは大豆を例として分離大豆蛋白の典型的かつ非限定的な製造例を以下に挙げる。他の植物性原料を用いても下記の製造例に準じて植物性分離蛋白を製造することができる。
I)抽出工程
大豆原料として脱脂大豆を使用し、これに加水し攪拌等して懸濁液(スラリー)とし、蛋白質を水で抽出する。水は中性~アルカリ性のpHとすることができ、塩化カルシウム等の塩を含むこともできる。これを遠心分離等の固液分離手段でオカラを分離し、蛋白質抽出液(いわゆる豆乳)を得る。この段階で加熱殺菌し、噴霧乾燥したものが、いわゆる脱脂豆乳粉末である。
II)酸沈殿工程
次に蛋白質抽出液に塩酸やクエン酸等の酸を添加し、該抽出液のpHを大豆蛋白質の等電点であるpH4~5に調整し、蛋白質を不溶化させて酸沈殿させる。次に遠心分離等の固液分離手段により酸可溶性成分である糖質や灰分を含む上清(いわゆるホエー)を除去して、酸不溶性成分を含む「酸沈殿カード」を回収する。この段階で加熱殺菌し、噴霧乾燥したものが、いわゆるカードパウダーである。
III)中和工程
次に酸沈殿カードに再度加水し、必要により該カードを水で洗浄後、「カードスラリー」を得る。そして該スラリーに水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリを加えて中和し、「中和スラリー」を得る。
IV)殺菌・粉末化工程
次に中和スラリーを加熱殺菌し、スプレードライヤー等により噴霧乾燥し、必要により流動層造粒を経て分離大豆蛋白を得る。
ただし、本発明における分離大豆蛋白は上記製造例にて製造されるものには限定されるものではない。大豆原料としては脱脂大豆の代わりに全脂大豆や部分脱脂大豆などの種々の大豆原料を用いることができる。抽出手段も種々の抽出条件や装置を適用できる。たん白質抽出液からホエーを除去する方法として酸沈殿を行う代わりに限外ろ過膜等による膜濃縮を行うこともでき、その場合は中和工程は必ずしも必要ではない。さらに、大豆原料から予め酸性水やアルコールにより洗浄してホエーを除去した後に、中性乃至アルカリ性の水で蛋白質を抽出する方法を適用して製造することもできる。また、上記のいずれかの段階にて蛋白質の溶液にプロテアーゼを作用させ、蛋白質を部分加水分解することもできる。
以上のようにして得られる粉末状植物性蛋白素材は、一般に水への溶解性自体は高いものであり、NSI(Nitrogen Solubility Index:窒素溶解指数)は60以上であり、65以上、70以上、75以上、80以上、82以上、85以上、90以上、92以上、94以上又は96以上の場合もある。これらの比較的高いNSIを有する粉末状植物性蛋白素材は、水への分散性が良好ではなく、所謂「ママコ」と呼ばれるダマが水溶液の表面に浮いてしまい、水に素早く溶解させることが困難である。
しかし、NSIが60以上の粉末状植物性蛋白素材を用いて本製造法を実施することにより、より高い水への分散性向上効果を得ることができる。
(加圧加熱処理)
本発明の粉末状植物性蛋白素材では、上記の粉末状植物性蛋白素材を、水系下ではなく、粉末状態で水蒸気による直接加熱方式で加圧加熱処理し、NSIを加圧加熱処理前よりも低下させることが特徴である。かかる工程により、大豆臭等の原料由来の臭気や、油の劣化臭等の不快な風味による品質への影響を抑制しつつ、所望のNSIに低下させることができる。これによって水への分散性が良好で、風味が向上した粉末状植物性蛋白素材を製造することができる。
加圧加熱処理の加熱圧力は、0MPaを超える圧力であり、粉末状植物性蛋白素材が所望のNSIに低下するように適宜設定することができるが、好ましくは0.03MPa以上、0.05MPa以上、0.1MPa以上、0.2MPa以上、0.3MPa以上又は0.4MPa以上とすることができ、また該加熱圧力は0.7MPa以下、0.6MPa以下、0.5MPa以下又は0.4MPa以下とすることができる。さらに一つの好ましい態様として、0.05MPa~0.5MPaの範囲を選択できる。
加圧加熱処理における温度は、圧力に応じて変化するものであり、加圧状態であるため100℃を超える温度、態様によっては120℃以上、130℃以上、140℃以上、150℃以上、160℃以上又は170℃以上となり得る。温度の上限は設定されないが、通常は250℃以下である。
加圧加熱処理の加熱時間は、粉末状植物性蛋白素材が所望のNSIに低下するように、加熱温度との組合せを考慮して適宜設定することができるが、短時間の方が好ましく、1分以下、30秒以下、20秒以下、10秒以下、5秒以下、2秒以下、1秒以下、0.5秒以下又は0.3秒以下とすることができる。また該加熱時間は0.00001秒以上、0001秒以上又は0.001秒以上とすることができる。さらに一つの好ましい態様として、0.00001~2秒や0.0001~1秒、0.001~0.5秒の範囲を選択できる。
加圧加熱処理の加熱方式には、大きな分類として直接加熱方式と間接加熱方式があるが、本発明は水蒸気による直接加熱方式を採用することが特徴である。かかる加圧加熱処理を行うことができる粉体加熱処理装置としては、気流式粉体殺菌装置である、「KPU」((株)大川原製作所)、「SKS-50」((株)セイシン企業)や「Sonic Stera」((株)フジワラテクノアート製)やこれらの改良タイプ等がある。
そして本発明では、直接加熱方式の加圧加熱処理の中で、粉末状植物性蛋白素材を粉末状態で垂直方向に落下させつつ、水蒸気による直接加熱方式で加圧加熱処理することが重要である。このような加熱方式を実施するための加熱加圧装置は、装置内に導入された粉体が垂直方向に落下できる閉鎖系の加熱空間が備えられており、その空間内を粉体が落下する極短時間に加圧状態で水蒸気を接触させる機構を有する装置が好ましい。本発明においては、このような加圧加熱装置を「縦型タイプ」と称する。縦型タイプの態様として、国際公開WO2009/145198号に開示されるような粉粒体の殺菌装置を加圧加熱装置に応用することができ、具体的には市販の「Sonic Stera」((株)フジワラテクノアート製)を用いることができる。
これにより、粉末状植物性蛋白素材のNSIを効率的に所望の範囲に低下させ、かつ風味の向上効果を高めることができる。
一方、水蒸気により加圧加熱される閉鎖系の加熱空間が水平方向に配置されている、いわゆる「横型タイプ」の加圧加熱装置を用いて、水溶性の高い植物性蛋白素材を原料として粉体加熱をすると、装置内部に粉体が張り付いてしまい、製造効率が非効率となり、長時間の連続的な製造が困難となる。
(NSI)
本発明の粉末状植物性蛋白素材の製造法は、上記の加圧加熱処理によってNSIを加圧加熱処理前のNSIよりも低下させることが特徴である。特に溶解性が高く水への分散性が良くない粉末状植物性蛋白素材を、より低いNSIに低下させ、水への分散性を向上させることが特徴である。
NSIが高い粉末状植物性蛋白素材の場合、水への溶解性が高すぎるため消費者が家庭で手作業で撹拌するような低速撹拌の条件で溶解する際に、非常にダマになりやすく、分散性が悪い傾向となる。また、NSIが低くなりすぎると、水への分散性は問題ないが口内で感じるザラツキが強くなる傾向となる。
本発明の粉末状植物性蛋白素材のNSIは、粉末状態での加圧加熱処理の条件の選定により、比較的溶解性が低い態様として、20以上55未満にすることができ、さらに20~50、20~40、20~30又は20~25にすることができ、また30~50にもすることができる。
また比較的溶解性が高い別の態様として、55以上80未満にすることができ、さらに55~75、60~75、60~70又は62~66にすることができる。本発明の粉末状植物性蛋白素材のNSIを何れのレベルにまで低下させるかは、当業者が風味や水への分散性の状態の観点から適宜ニーズに合致するものを選択することができる。
なお、NSIは所定の方法に基づき、全窒素量に占める水溶性窒素(粗蛋白)の比率(重量%)で表すことができ、本発明においては以下の方法に準じて測定された値とする。
すなわち、試料3gに60mlの水を加え、37℃で1時間プロペラ攪拌した後、1400×gにて10分間遠心分離し、上澄み液(I)を採取する。次に、残った沈殿に再度水100mlを加え、再度37℃で1時間プロペラ撹拌した後、遠心分離し、上澄み液(II)を採取する。(I)液および(II)液を合わせ、その混合液に水を加えて250mlとする。これを濾紙(NO.5)にて濾過した後、濾液中の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素量をケルダール法にて測定し、濾液として回収された窒素量(水溶性窒素)の試料中の全窒素量に対する割合を重量%として表したものをNSIとする。
以上により加圧加熱処理された粉末状植物性蛋白素材は、そのまま製品としても良いし、必要により適当な粒度に粉砕したり、流動層造粒機により造粒を行うことができる。
(粉末状植物性蛋白素材の用途)
本発明により得られる粉末状植物性蛋白素材は、水への分散性に優れるため、そのような品質が要求される用途に広く用いられる。特に緩やかな撹拌条件において良好な分散性が要求される用途に適しており、特に粉末飲料に適している。粉末飲料は海外では乾式混合飲料(dry blended beverages)とも呼ばれている。
本発明の粉末状植物性蛋白素材を粉末飲料に使用することにより、水への良好な分散性を保持しつつ、高蛋白質で高栄養の粉末飲料を得ることができる。
本発明の粉末状植物性蛋白素材は、粉末飲料中に広範囲な配合率で配合することができ、例えば1~99重量%を配合することができる。特に限定はされないが、他の栄養素とのバランスをより考慮する場合には、5~50重量%、さらには10~40重量%を配合することができる。
該粉末飲料の原料には、粉末状植物性蛋白素材の他、製造者の所望の品質に応じて糖類、食物繊維、油脂、乳化剤、香料、甘味料、各種機能性成分等を適宜混合することができる。
本発明により得られる粉末状植物性蛋白質素材は、大豆臭が少なく風味が良いため、粉末飲料以外にも、種々の加工食品や飲料に用いることができる。例えば液体飲料、濃厚流動食、ゼリー飲料、焼き菓子、パン、麺類等などが挙げられる。
以下、実施例により本発明の実施態様をより具体的に説明する。なお、実施例中の「%」と「部」は特記しない限り「重量%」と「重量部」を示す。
(比較例1) 分離大豆蛋白の調製
脱脂大豆粕10部を水100部に分散させ、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)で攪拌しながら50℃で30分間蛋白質を抽出した後、遠心分離機を用いて不溶性食物繊維(オカラ)を除去し、蛋白質抽出液を得た。
次に該抽出液のpHが4.5になるまで撹拌しつつ塩酸を添加し、遠心分離機により上清を除去し、酸沈殿カードを回収した。
この酸沈殿カード(固形分4部)を水40部に分散してカードスラリーを得、さらに該スラリーに水酸化ナトリウムを加えてpHを7.2に中和し、大豆蛋白質の中和スラリーを得た。
次に、該中和スラリーをスチームインジェクション方式の直接加熱装置にて120℃で30秒間加熱処理を行い、高温加熱処理液を得た。
次に、該高温加熱処理液をスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、分離大豆蛋白の粉末を得た。得られた分離大豆蛋白のNSIを測定したところ、97.8であった。
(比較例2) カルシウム添加タイプの分離大豆蛋白
特開平6-141783号公報の実施例2に記載の方法に従い、比較例1の製造工程中に塩化カルシウムを添加し、カルシウム添加タイプの分離大豆蛋白を得た。
(試験例)
比較製造例1で得られた分離大豆蛋白を用いて、水蒸気による直接加熱方式で、縦型タイプの加圧加熱装置「Sonic Stera」((株)フジワラテクノアート製)により、表1の4つの条件により粉末状態で加圧加熱処理を行い、本発明の分離大豆蛋白を製造した。得られた分離大豆蛋白の水分、NSI、嵩比重を測定し、表1に示した。
(表1)
Figure 0007533450000001
比較例1の分離大豆蛋白を粉末状態で加圧加熱処理することにより、加熱圧力を上げる程NSIを大きく低下できることが示された。
次に、各例で得られた分離大豆蛋白の水への分散性の評価と、口内でのザラつき及び風味についての官能評価を行った。なお、評価方法は以下の通りとした。
○水への分散性評価
60℃の水100gを入れた200mL容量カップに分離大豆蛋白20gを入れ、撹拌棒を用いて1分間手で撹拌した後、茶漉し(20メッシュ、JIS規格)で濾して水分を切った後、ウエス紙で茶漉しの下部の水分を拭き取り、残ったママコの量(g、含水)を測定し、水への分散性について評価した。分散性が向上しているか否かは、比較例1のママコ量を対照として比較を行い、ママコ量が対照よりも1g以上減少すれば、分散性は向上したと判断した。
○官能評価
粉末状植物性蛋白素材の官能検査に熟練した嗜好パネラー10名に、分離大豆蛋白を10%溶液になるよう溶解した粉末飲料を試飲してもらい、口内でのザラつきと、大豆臭の程度を評価対象として、10点満点の評点法で評価をしてもらい、その平均点を算出して考察した。なお、大豆臭は、分離大豆蛋白の製造工程中に付与される特有の臭気である。
なお「ザラつき」の評点基準は、ザラツキの程度が最も少ないとパネラーが考えるものを10点とし、ザラツキの程度が最も多いとパネラーが考えるものを1点とし、その程度差に応じて1~10点を付けてもらった。
また、「大豆臭」評点基準は、大豆臭の程度が最も少ないとパネラーが考えるものを10点とし、大豆臭の程度が最も多いとパネラーが考えるものを1点とし、その程度差に応じて1~10点を付けてもらった。
そして、ザラつきと大豆臭の平均点がどちらも5点以上であった試験区を合格とした。
(表2)評価結果
Figure 0007533450000002
表2の通り、分離大豆蛋白を粉末状態で加圧加熱処理をすることにより、NSIが低下し、水への分散性が向上することが示された。
また加圧加熱処理をした実施例の分離大豆蛋白は、比較例1と同程度にザラつきが感じられないことが示され、かつ比較例1に比べて顕著に大豆臭が低減されていることが示された。さらに、実施例の分離大豆蛋白の食感は、比較例1に比べて口溶けが良く特有の食感を有していた。
以上の試験結果より、分離大豆蛋白を粉末状態で特定の加圧加熱処理することにより、NSIを低下させた分離大豆蛋白は、水への分散性が向上し、ザラつきも少なく、大豆臭も低減するため、粉末飲料などの緩やかな撹拌条件で用いられる蛋白質素材として非常に適していることが明らかとなった。この知見は、分離大豆蛋白と同様に蛋白質を高濃度に含む他の粉末状植物性蛋白素材においても適用することができる。

Claims (13)

  1. NSI(窒素溶解性指数)85以上であって、蛋白質含量が固形分中75重量%以上の粉末状植物性蛋白素材を、粉末状態で垂直方向に落下させつつ水蒸気による直接加熱方式で加圧加熱処理し、NSIを20以上55未満、又は55以上80未満に低下させることを特徴とする、粉末状植物性蛋白素材の製造法。
  2. 粉末状植物由来蛋白質素材は、蛋白質含量が固形分中90重量%以上である、請求項1記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
  3. 加熱圧力が0.03~0.7MPaである、請求項1又は2記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
  4. 加熱圧力が0.1~0.7MPaである、請求項1又は2記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
  5. 加熱時間が0.00001~0.5秒である、請求項1~4の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
  6. 加熱時間が0.001~0.3秒である、請求項1~4の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
  7. NSIが94以上の粉末状植物性蛋白素材を加圧加熱処理する、請求項1~6の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
  8. 加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが20以上55未満である、請求項1~7の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
  9. 加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが20~30である、請求項1~7の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
  10. 加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが55以上80未満である、請求項1~7の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
  11. 加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが60~70である、請求項1~7の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
  12. 粉末飲料用である、請求項1~11の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
  13. 請求項1~11記載の製造法で得られる粉末状植物性蛋白素材を配合することを特徴とする、粉末飲料の製造法。
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