JP7527298B2 - 低温焼結性接合用ペースト及び接合構造体 - Google Patents

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Description

本開示は、半導体素子や放熱基板を接合する際に使用する低温焼結性接合用ペースト、該低温焼結性接合用ペースト製造用材料とその製造方法、及び接合構造体(接合体)に関する。本願は、2019年8月31日に日本に出願した特願2019-159166号及び、2019年9月10日に日本に出願した特願2019-164388号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
銅基板などの金属基板上に半導体素子などの電子部品を搭載した半導体装置では、電子部品が半田により固定されている。近年では、人体や環境への負荷を考慮して、従来の鉛を含む半田から鉛フリー半田への移行が進んでいる。また、最近では、半導体チップとして、広く使用されていたSiチップよりも低損失で優れた特性を有するSiCチップを使用することが検討されている。しかし、SiCチップを基板上に搭載した半導体装置では、動作温度が200℃を超える場合もある。そのため、SiCチップを基板上に固定する半田として、融点が高い半田を使用する必要があるが、融点が高い半田では鉛フリー化が難しい。
近年、SiCチップなどの高温で動作する半導体素子をダイボンド(ダイアタッチ)する際、銀や銅のナノサイズの粒子やマイクロサイズの粒子を含む金属ペーストを接合材として用い、被接合物間に前記接合材を介在させて所定時間加熱し、接合材中の銀等の金属を焼結させて、金属接合層により被接合物同士を接合する焼結接合が検討されている(例えば、特許文献1参照)。この金属接合技術は、パワー半導体素子、LED素子などの電子素子への様々な応用が期待されている。
しかし、銀等の金属はダイアタッチ材料としては硬すぎ、またSiやSiCなどの半導体素子と銀等の金属層との間の熱膨張率差が非常に大きいため、200℃を超える熱疲労試験において、焼結部にクラックが進展したり、前記半導体素子やDBC(Direct Bonded Copper)などの絶縁基板が割れるなど信頼性において十分ではない。また、接合材料を金属単体とすると、接合強度や耐熱性の改善は焼結の緻密さを制御する以外に方法はなく、接合体の機械的特性を本質的に変えることはできない。
特開2011-80147号公報
従って、本開示の目的は、焼結接合に用いた場合、低温で焼結が可能であり、焼結部にクラックが進展したり、被接合物であるSiやSiCなどの半導体素子やDBCなどの基板が割れるなどの不具合が生じにくく、信頼性の高い接合構造体を得ることのできる低温焼結性接合用ペーストを提供することにある。
また、本開示の他の目的は、上記のような優れた低温焼結性接合用ペーストをするための低温焼結性接合用ペースト製造用材料と、その製造方法を提供することにある。
さらに、本開示の別の目的は、焼結部にクラックが進展したり、被接合物であるSiやSiCなどの半導体素子やDBCなどの基板が割れるなどの不具合が生じない接合構造体を提供することにある。
本開示の発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、銀粉末と、銀で被覆された銀以外の元素粒子含む低温焼結性接合用ペースト含む低温焼結性接合用ペーストを焼結接合に用いると、焼結部にクラックが進展したり、被接合物であるSiやSiCなどの半導体素子やDBCなどの基板が割れるなどの不具合が生じにくいことを見出した。本開示はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本開示は、銀粉末(A)と、銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)を含む低温焼結性接合用ペーストを提供する。
銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)における銀以外の元素としては、例えば、ケイ素、ゲルマニウムなどの、銀と金属間化合物を形成しない元素であることが好ましい。
銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)において、(B)粒子表面に占める銀被覆層の割合は、例えば50~100%である。
銀粉末(A)と銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)との割合(前者/後者;重量比)は、例えば5/95~95/5である。
低温焼結性接合用ペースト全量に対する銀粉末(A)及び銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の合計量の割合は、例えば30~95重量%である。
銀粉末(A)の平均粒径(メジアン径)は、例えば0.1μm~20μmである。
銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の平均粒径(メジアン径)は、例えば10μm~100μmである。
本開示は、また、銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)を含む低温焼結性接合用ペースト製造用材料を提供する。
前記低温焼結性接合用ペースト製造用材料において、銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)における銀以外の元素としては、例えば、ケイ素、ゲルマニウムなどの、銀と金属間化合物を形成しない元素であることが好ましい。
前記低温焼結性接合用ペースト製造用材料の銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)において、(B)粒子表面に占める銀被覆層の割合は、例えば50~100%である。
前記低温焼結性接合用ペースト製造用材料において、銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の平均粒径(メジアン径)は、例えば、10μm~100μmである。
前記低温焼結性接合用ペースト製造用材料において、低温焼結性接合用ペースト製造用材料全量に対する銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の量の割合は、例えば50~95重量%である。
本開示は、さらに、前記の低温焼結性接合用ペースト製造用材料の製造方法であって、銀粉末と銀以外の元素粒子を三次元ボールミルの三次元運動に付して混合、粉砕し、銀以外の元素粒子の表面に銀被複層を形成する工程を含む低温焼結性接合用ペースト製造用材料の製造方法を提供する。
本開示は、さらにまた、被接合物が、前記の低温焼結性接合用ペーストの焼結体を含む銀接合層を介して、基板に接合されている接合構造体を提供する。
前記接合構造体において、前記被接合物の銀接合層との接合面は銀メッキされていることが好ましい。
前記接合構造体において、前記被接合物はSiCチップであることが好ましい。
前記接合構造体において、前記基板は銅基板であることが好ましい。
本開示の接合性導体ペーストは、銀粉末(A)と、銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)を含むので、焼結接合に用いた場合、焼結部にクラックが進展したり、被接合物であるSiやSiCなどの半導体素子やDBCなどの基板が割れるなどの不具合が生じにくく、信頼性の高い接合構造体を得ることができる。
また、従来の銀や銅の単体をもちいて焼結する技術では、接合部の機械的特性を本質的に変えることができず、そのため、半導体素子の厚みや大きさを変えたり、耐久性の高いセラミックス基板を使用するなど、他の部材の仕様を変更せざるを得なかったが、本開示によれば、Ag-Si合金やAg-Ge合金等のAg含有合金の焼結接合部が形成されるため、接合部の機械的特性自体(強度や熱膨張率)を変化させることができる。したがって、接合部の耐熱疲労性を本質的に改善でき、他の部材の仕様を変更することなく、熱応力の緩和やクラックの進展を抑制できる。
実施例で用いた銀フレーク粉のSEM画像である。 実施例で用いたSi粒子のSEM画像である。 銅基板上にSi-Agペーストを印刷し(右側の四角形状のもの)、Siダイをそのペーストの上に搭載した(左側の四角形状のもの)テストピースの写真である。 三次元ボールミルによって製造されたSi-60体積%Ag粒子のSEM画像である。 三次元ボールミルによって製造されたSi-40体積%Ag粒子のSEM画像である。 三次元ボールミルによって製造されたSi-20体積%Ag粒子のSEM画像である。 Si-60体積%Ag粒子と銀フレーク粉からなるペーストの焼結接合部の断面SEM画像である。 Si-60体積%Ag粒子と銀フレーク粉からなるペーストを焼結した際のSi粒子と銀フレーク粉との界面の断面SEM画像である。 本開示の接合構造体の実施形態の一例を概略的に示す断面図である。
[低温焼結性接合用ペースト]
本開示の一実施態様における低温焼結性接合用ペーストは、銀粉末(A)と、銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)を含むものである。
(銀粉末(A))
銀粉末(A)の平均粒径(メジアン径;D50)は、本開示の好ましい一態様では、0.1μm~20μmであり、別の好ましい一態様では、0.2μm~9μmであり、さらに別の一態様では、0.3μm~8μmである。尚、銀粉末(A)の平均粒径(メジアン径)は、レーザー回折・散乱法により測定することができる。
また、銀粉末(A)の比表面積は、本開示の好ましい一態様では、0.5~4.0m/gであり、別の好ましい一態様では、0.6~3.0m/g、さらに別の一態様では、0.7~2.5m/g、さらに別の一態様では、0.8~2.0m/gである。なお、銀粉末(A)の比表面積は、BET法により測定することができる。
銀粉末(A)の形状としては、例えば、球状、フレーク状(扁平な形状)、多面体状等が挙げられ、形状の異なる銀粉末を組み合わせて使用してもよく、同じ形状の銀粉末のみを使用してもよい。銀粉末(A)の形状としては、フレーク状が好ましい。フレーク状の銀粉末を用いると、粉末内にフレーク形成時の結晶粒界が多く含まれており、加熱時に結晶の粗大化が促進され、焼結が促進されるという効果を奏する。
銀粉末(A)の形状としてフレーク状のものを使用する場合、その平均直径は、本開示の好ましい一態様では、0.5μm~10μmであり、別の好ましい一態様では、2μm~8μmであり、さらに別の好ましい一態様では、3μm~7μmである。また、フレーク状のものを用いる場合、その平均厚みは、本開示の好ましい一態様では、30nm~2μmであり、別の好ましい一態様では、80nm~1μmであり、さらに別の好ましい一態様では、100nm~700nmである。
銀粉末(A)としては、市販品を使用してもよく、例えば、商品名「AgC-239」(福田金属箔粉工業(株)製)などを使用することができる。
(銀で被覆された銀以外の元素粒子(B))
銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)における銀以外の元素としては、例えば、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、銅(Cu)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)などが挙げられる。これらの中でも、銀(Ag)と金属間化合物を形成せず、線膨張率が10ppm/℃未満と小さい点で、ケイ素(Si)またはゲルマニウム(Ge)が好ましい。
銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の平均粒径(メジアン径;D50)は、本開示の好ましい一態様では、5μm~100μmであり、別の好ましい一態様では、10μm~80μmである。
銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)は、銀以外の元素粒子の表面を銀で被覆することにより製造できる。銀以外の元素粒子の形状としては、例えば、球状、フレーク状(扁平な形状)、多面体状等が挙げられ、形状の異なるものを組み合わせて使用してもよく、同じ形状のもののみを使用してもよい。銀以外の元素粒子の形状としては、接合部形成時のペースト塗布プロセスで本粒子の均一分散性を維持するという点で、球状や多面体状が好ましい。
銀以外の元素粒子の表面を銀で被覆する方法としては、特に限定されないが、例えば、銀粉末と銀以外の元素粒子を三次元ボールミルの三次元運動(特に、高速三次元運動)に付して混合、粉砕し、銀以外の元素粒子の表面に銀被複層を形成する方法が好ましい。この方法によれば、室温で、表面処理などせずに、銀以外の元素粒子に銀被覆層を形成することができる。
銀以外の元素粒子とともに三次元ボールミルの三次元運動に付す際に用いる銀粉末(以下、「銀粉末(C)」と称する場合がある)としては、前記銀粉末(A)の項で例示した銀粉末を使用することができる。銀粉末(C)としては、銀粉末(A)として用いる銀粉末と同一のものを用いてもよく異なるものを用いてもよい。なお、銀粉末(C)の一部に前記銀以外の元素粒子よりも小さい粉末が含まれていると、効率的に被覆することができる。
銀以外の元素粒子の表面を銀で被覆する方法としては、上記の三次元ボールミルを用いる方法のほか、例えば、銀電解メッキや銀無電解メッキなどの湿式方法、銀と銀以外の元素粒子(好ましくは、銀と金属間化合物を形成しない元素粒子)を溶融法で合金化後、機械的に粉砕したり、溶融状態から噴霧する方法などが挙げられる。
銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)において、(B)粒子表面に占める銀被覆層の割合は、本開示の好ましい一態様では、50~100%であり、別の好ましい一態様では、70~100%であり、さらに別の好ましい一態様では、90~100%であり、さらに別の好ましい一態様では、95~100%である。(B)粒子表面に占める銀被覆層の割合R(%)は、SEM観察で3000倍で撮影した粒子画像により銀以外の元素粒子の表面が被覆されていない面積S1を算出し、下記式により求めることができる。なお、銀以外の元素粒子の表面積をSとする。
R(%)={(S-S1)/S}×100
低温焼結性接合用ペーストにおいて、銀粉末(A)と、銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)との割合(前者/後者;重量比)は、本開示の好ましい一態様では、5/95~95/5であり、別の好ましい一態様では、10/90~90/10であり、さらに別の一態様では、20/80~70/30であり、さらに別の一態様では、25/75~60/40である。
前記低温焼結性接合用ペーストにおいて、低温焼結性接合用ペースト全量に対する銀粉末(A)及び銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の合計量の割合は、本開示の好ましい一態様では、30~95重量%であり、別の好ましい一態様では、50~90重量%であり、さらに別の一態様では、60~80重量%である。
前記低温焼結性接合用ペーストにおいては、銀粉末(A)及び銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)以外の導電性粒子(以後、「他の導電性粒子」と称する場合がある)を含有していてもよい。他の導電性粒子の含有量は前記低温焼結性接合用ペーストに含まれる導電性粒子全量の例えば25重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下である。銀粉末を上記範囲で含有すると、電気特性に特に優れた接合構造体を形成することができる点で好ましい。
(溶剤)
前記低温焼結性接合用ペーストは、通常、溶剤を含む。溶剤としては、一般に導電性ペーストに使用される溶剤を使用できる。そのような溶剤として、例えば、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノペンチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソペンチルエーテル等のジプロピレングリコールモノC1-6アルキルエーテル;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルペンチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルイソペンチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールエチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルペンチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルイソペンチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルペンチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルイソペンチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルペンチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルイソペンチルエーテル、ジプロピレングリコールイソブチルペンチルエーテル、ジプロピレングリコールイソブチルイソペンチルエーテル、ジプロピレングリコールジペンチルエーテル、ジプロピレングリコールペンチルイソペンチルエーテル等のジプロピレングリコールジC1-6アルキルエーテルを挙げることができる(異性体を含む)。
また、前記溶剤として、例えば、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノペンチルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソペンチルエーテル等のトリプロピレングリコールモノC1-6アルキルエーテル;トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルペンチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルイソペンチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールエチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルペンチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルイソペンチルエーテル、トリプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルブチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルペンチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルイソペンチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルペンチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルイソペンチルエーテル、トリプロピレングリコールイソブチルペンチルエーテル、トリプロピレングリコールイソブチルイソペンチルエーテル、トリプロピレングリコールジペンチルエーテル、トリプロピレングリコールペンチルイソペンチルエーテル等のトリプロピレングリコールジC1-6アルキルエーテルを挙げることができる(異性体を含む)。
さらに、前記溶剤として、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル等のエチレングリコールモノC1-6アルキルエーテル;エチレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、エチレングリコールメチル-n-ブチルエーテル、エチレングリコールメチルイソアミルエーテル等のエチレングリコールジC1-6アルキルエーテル;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールモノC1-6アルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル-n-ブチルエーテル等のジエチレングリコールジC1-6アルキルエーテル;トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のトリエチレングリコールモノC1-6アルキルエーテル;トリエチレングリコールメチル-n-ブチルエーテル等のトリエチレングリコールジC1-10アルキルエーテル等が挙げられる(異性体を含む)。
さらに、前記溶剤として、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のC2-3アルキレングリコールC1-6アルキルエーテルC1-10アルキルエステル;ジエチレングリコール-n-ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のジC2-3アルキレングリコールC1-6アルキルエーテルC1-10アルキルエステル;トリエチレングリコール-n-ブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のトリC2-3アルキレングリコールC1-6アルキルエーテルC1-10アルキルエステル;プロピレングリコールジアセテート等のC2-3アルキレングリコールジC1-10アルキルエステル等が挙げられる(異性体を含む)。
また、前記溶剤として、上記以外にも、例えば、乳酸エチルアセテート、テトラヒドロフルフリルアセテート、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールなどを使用することもできる。
前記溶剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
低温焼結性接合用ペーストにおいて、溶剤の含有量は、銀粉末(A)と銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の合計量100重量部に対して、本開示の好ましい一態様では、1~50重量部、別の好ましい一態様では、2~40重量部、さらに別の好ましい一態様では、3~35重量部である。
前記低温焼結性接合用ペーストは、有機質の添加剤、例えば、接着剤、増粘剤、バインダーなどを含んでいてもよい。
[接合構造体]
本開示の一実施態様である接合構造体は、被接合物が、前記低温焼結性接合用ペーストの焼結体を含む銀接合層を介して、基板に接合されている。図9は、この接合構造体の実施形態の一例を概略的に示す断面図である。1は接合構造体、10は基板、20は銀接合層、30は被接合物である。
基板1としては、例えば、銅基板等の金属基板、セラミック基板、SiC基板、窒化ガリウム基板、ガラスエポキシ基板、BTレジン基板、ガラス基板、樹脂基板等が挙げられる。本開示の一実施態様である低温焼結性接合用ペーストは低温で焼結可能であるため、熱に弱い基板も用いることができる。基板1としては、銅基板が特に好ましい。基板1の銀接合層2との接合面は銀メッキされていることが好ましい。
被接合物3としては、例えば、電子部品、放熱基板などが挙げられる。電子部品としては、パワー半導体素子、LED素子などの電子素子(チップ、ダイ)などが挙げられる。被接合物3の銀接合層2との接合面は銀メッキされていることが好ましい。被接合物3の材質としては、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)等のいずれであってもよいが、特にSiC(シリコンカーバイド)である場合に優れた効果が得られる。
前記低温焼結性接合用ペーストを印刷法(具体的には、ディスペンサ印刷法、マスク印刷、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等)などにより基板1に塗布し、その塗布層上に、被接合物3を搭載し、その後、焼結することにより製造できる。
前記焼結温度は、例えば150℃以上、300℃未満であり、好ましい一態様では、160~280℃、別の好ましい一態様では、200~270℃、さらに別の好ましい一態様では、230~260℃である。また、焼結時間は、例えば0、1~2時間であり、好ましい一態様では、0.5~1.5時間である。
前記焼結は、空気雰囲気下で行ってもよく、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
前記低温焼結性接合用ペーストを基板1上に塗布する厚さとしては、上記方法で形成される接合構造体の厚みが、例えば15~400μm、好ましい一態様では、20~250μm、別の好ましい一態様では、40~180μmとなる範囲である。
本開示によれば、焼結により、Ag-Si合金やAg-Ge合金等のAg含有合金からなる焼結接合部が形成されるため、接合部の機械的特性自体(強度や熱膨張率)を変化させることができる。したがって、接合部の耐熱疲労性等の特性を本質的に改善することが可能となる。
本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は、一例であって、本開示の趣旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本開示に係る各発明は、実施形態や以下の実施例によって限定されることはなく、請求の範囲によってのみ限定される。
以下に、実施例に基づいて本開示をより詳細に説明するが、本開示はこれらの実施例により限定されるものではない。
以下において、粒子の平均粒径(メジアン径)はレーザー回折・散乱法により測定した値である。
使用した原料は、以下のとおりである。
[銀フレーク粉(フレーク銀粉末)]
・商品名「AgC-239」:平均直径5.0μm、平均厚み260nm、比表面積1.2m/g、福田金属箔粉工業株式会社製
[ケイ素(Si)粒子]
・商品名「金属シリコン粉末」:Si純度>98.9%、粒度D50=32.8μm
[溶剤]
・商品名「DPNP」:ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル:沸点212℃、(株)ダイセル製
実施例1
銀フレーク粉(商品名「AgC-239」)5.3重量部とケイ素(Si)粒子(商品名「金属シリコン粉末」)94.7重量部を、株式会社ナガオシステム製の3次元ボールミル(商品名「3Dボールミル」)の高速三次元運動(強摩擦力運動)を利用して、混合、粉砕して、表面が銀で被覆されたケイ素(Si)粒子を得た。この表面が銀で被覆されたケイ素(Si)粒子において、粒子表面に占める銀被覆層の割合をSEMにより3000倍で撮影した画像から算出したところ、72%であった。以下、この表面が銀で被覆されたケイ素(Si)粒子を、「Si-20体積%Ag粒子」と称する場合がある。Si-20体積%Ag粒子のSEM画像を図6に示す。
前記「Si-20体積%Ag粒子」100重量部に、溶剤(商品名「DPNP」)21重量部を加えて混合し、「Si-Agペースト-1」を得た。このペーストは接合用ペーストとして用いるのに適した粘度を有していた。
「Si-Agペースト-1」を、銀メッキされた銅基板(10mm×100mm×厚み2mm)上に、メタルマスクを用いて印刷し、厚み約100μmの塗膜を形成し、このペースト塗膜の上に、裏面を銀で被覆したSiダイ(3mm×3mm×厚み0.45mm)を搭載した。Si-Agペーストが印刷され、Siダイがそのペースト上に搭載したテストピースの写真を図3に示す。
得られたSiダイ/Si-Agペースト/銅基板の層構成を有する試験サンプルを、リフロー炉を使用して、空気雰囲気下、2.0MPaの圧力(ゲージ圧)、250℃の温度で60分加熱し、Si-Agペーストを焼結させた(ダイボンディング)。焼結後の試験サンプルにおけるSiダイと銅基板間の接合の強さを調べるため、ダイ剪断試験機(DAGE製、商品名「XD-7500」)を用いてSiダイと銅基板間の剪断強度(シェアヘッド速度:50μm/s)を測定した。その結果、剪断強度は2.9Nであった。
実施例2
銀フレーク粉(商品名「AgC-239」)12.8重量部とケイ素(Si)粒子(商品名「金属シリコン粉末」)87.2重量部を、株式会社ナガオシステム製の3次元ボールミル(商品名「3Dボールミル」)の高速三次元運動(強摩擦力運動)を利用して、混合、粉砕して、表面が銀で被覆されたケイ素(Si)粒子を得た。この表面が銀で被覆されたケイ素(Si)粒子において、粒子表面に占める銀被覆層の割合を実施例1と同様の方法で求めたところ、92%であった。以下、この表面が銀で被覆されたケイ素(Si)粒子を、「Si-40体積%Ag粒子」と称する場合がある。Si-40体積%Ag粒子のSEM画像を図5に示す。
上記の「Si-40体積%Ag粒子」100重量部に、溶剤(商品名「DPNP」)25重量部を加えて混合し、「Si-Agペースト-2」を得た。このペーストは接合用ペーストとして用いるのに適した粘度を有していた。
上記の「Si-Agペースト-2」を用い、実施例1と同様にして、Siダイ/Si-Agペースト/銅基板の層構成を有する試験サンプルを製造した。この試験サンプルを、リフロー炉を使用して、空気雰囲気下、2.0MPaの圧力(ゲージ圧)、250℃の温度で60分加熱し、Si-Agペーストを焼結させた(ダイボンディング)。焼結後の試験サンプルにおけるSiダイと銅基板間の接合の強さを調べるため、実施例1と同様にして、Siダイと銅基板間の剪断強度(シェアヘッド速度:50μm/s)を測定したところ、13Nであった。
実施例3
銀フレーク粉(商品名「AgC-239」)25重量部とケイ素(Si)粒子(商品名「金属シリコン粉末」)75重量部を、株式会社ナガオシステム製の3次元ボールミル(商品名「3Dボールミル」)の高速三次元運動(強摩擦力運動)を利用して、混合、粉砕して、表面が銀で被覆されたケイ素(Si)粒子を得た。この表面が銀で被覆されたケイ素(Si)粒子において、粒子表面に占める銀被覆層の割合を実施例1と同様の方法で求めたところ、98%であった。以下、この表面が銀で被覆されたケイ素(Si)粒子を、「Si-60体積%Ag粒子」と称する場合がある。Si-60体積%Ag粒子のSEM画像を図4に示す。
上記の「Si-60体積%Ag粒子」100重量部に、溶剤(商品名「DPNP」)30重量部を加えて混合し、「Si-Agペースト-3」を得た。このペーストは接合用ペーストとして用いるのに適した粘度を有していた。
上記の「Si-Agペースト-3」を用い、実施例1と同様にして、Siダイ/Si-Agペースト/銅基板の層構成を有する試験サンプルを製造した。この試験サンプルを、リフロー炉を使用して、空気雰囲気下、2.0MPaの圧力(ゲージ圧)、250℃の温度で60分加熱し、Si-Agペーストを焼結させた(ダイボンディング)。焼結後の試験サンプルにおけるSiダイと銅基板間の接合の強さを調べるため、実施例1と同様にして、Siダイと銅基板間の剪断強度(シェアヘッド速度:50μm/s)を測定したところ、23Nであった。
実施例4
実施例3で得られた「Si-60体積%Ag粒子」20重量部と、銀フレーク粉(商品名「AgC-239」)80重量部と、溶剤(商品名「DPNP」)20重量部を加えて混合し、「Si-Agペースト-4」を得た。このペーストは接合用ペーストとして用いるのに適した粘度を有していた。
上記の「Si-Agペースト-4を用い、実施例1と同様にして、Siダイ/Si-Agペースト/銅基板の層構成を有する試験サンプルを製造した。この試験サンプルを、リフロー炉を使用して、空気雰囲気下、2.0MPaの圧力(ゲージ圧)、250℃の温度で60分加熱し、Si-Agペーストを焼結させた(ダイボンディング)。焼結後の試験サンプルにおけるSiダイと銅基板間の接合の強さを調べるため、実施例1と同様にして、Siダイと銅基板間の剪断強度(シェアヘッド速度:50μm/s)を測定したところ、43Nであった。
実施例5
実施例3で得られた「Si-60体積%Ag粒子」40重量部と、銀フレーク粉(商品名「AgC-239」)60重量部と、溶剤(商品名「DPNP」)20重量部を加えて混合し、「Si-Agペースト-5」を得た。このペーストは接合用ペーストとして用いるのに適した粘度を有していた。
上記の「Si-Agペースト-5を用い、実施例1と同様にして、Siダイ/Si-Agペースト/銅基板の層構成を有する試験サンプルを製造した。この試験サンプルを、リフロー炉を使用して、空気雰囲気下、2.0MPaの圧力(ゲージ圧)、250℃の温度で60分加熱し、Si-Agペーストを焼結させた(ダイボンディング)。焼結後の試験サンプルにおけるSiダイと銅基板間の接合の強さを調べるため、実施例1と同様にして、Siダイと銅基板間の剪断強度(シェアヘッド速度:50μm/s)を測定したところ、84Nであった。
実施例6
実施例3で得られた「Si-60体積%Ag粒子」60重量部と、銀フレーク粉(商品名「AgC-239」)40重量部と、溶剤(商品名「DPNP」)20重量部を加えて混合し、「Si-Agペースト-6」を得た。このペーストは接合用ペーストとして用いるのに適した粘度を有していた。
上記の「Si-Agペースト-6を用い、実施例1と同様にして、Siダイ/Si-Agペースト/銅基板の層構成を有する試験サンプルを製造した。この試験サンプルを、リフロー炉を使用して、空気雰囲気下、2.0MPaの圧力(ゲージ圧)、250℃の温度で60分加熱し、Si-Agペーストを焼結させた(ダイボンディング)。焼結後の試験サンプルにおけるSiダイと銅基板間の接合の強さを調べるため、実施例1と同様にして、Siダイと銅基板間の剪断強度(シェアヘッド速度:50μm/s)を測定したところ、146Nであった。
焼結後の試験サンプルの接合部における断面SEM画像を図7に示す。この画像から、Siダイ(表面が銀で被覆されている)と焼結したSi-Agペーストとの界面(境界部)、及び焼結したSi-Agペーストと銅基板(表面が銀メッキされている)との界面(境界部)の微細構造が分かる。図7に示されるように、接合層においては、焼結したAg粒子とSi粒子が均一に分散している。また、図8に、焼結後の試験サンプルのSi粒子と銀フレーク粉との界面における断面SEM画像を示す。
実施例7
実施例3で得られた「Si-60体積%Ag粒子」80重量部と、銀フレーク粉(商品名「AgC-239」)20重量部と、溶剤(商品名「DPNP」)20重量部を加えて混合し、「Si-Agペースト-7」を得た。このペーストは接合用ペーストとして用いるのに適した粘度を有していた。
上記の「Si-Agペースト-7を用い、実施例1と同様にして、Siダイ/Si-Agペースト/銅基板の層構成を有する試験サンプルを製造した。この試験サンプルを、リフロー炉を使用して、空気雰囲気下、2.0MPaの圧力(ゲージ圧)、250℃の温度で60分加熱し、Si-Agペーストを焼結させた(ダイボンディング)。焼結後の試験サンプルにおけるSiダイと銅基板間の接合の強さを調べるため、実施例1と同様にして、Siダイと銅基板間の剪断強度(シェアヘッド速度:50μm/s)を測定したところ、149Nであった。
1 接合構造体
10 基板
20 銀接合層
30 被接合物
以下、本開示に係る発明のバリエーションを記載する。
[付記1]銀粉末(A)と、銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)を含む低温焼結性接合用ペースト。
[付記2]前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)における銀以外の元素は、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、銅(Cu)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)などが好ましく、ケイ素(Si)またはゲルマニウム(Ge)がより好ましい付記1に記載の低温焼結性接合用ペースト。
[付記3]前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)における銀以外の元素は、銀と金属間化合物を形成しない元素である付記1又は2に記載の低温焼結性接合用ペースト。
[付記4]前記銀粉末(A)の比表面積は、0.5~4.0m/gが好ましく、0.6~3.0m/gがより好ましく、0.7~2.5m/gがさらに好ましく、0.8~2.0m/gが最も好ましい付記1~3のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト。
[付記5]前記銀粉末(A)の形状は、球状、フレーク状(扁平な形状)、多面体状等が好ましく、かつ形状の異なる銀粉末を組み合わせて使用してもよく、同じ形状の銀粉末のみを使用してもよく、フレーク状がより好ましい付記1~4のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト。
[付記6]前記銀粉末(A)の形状としてフレーク状のものを使用する場合、該銀粉末(A)の平均直径は、0.5μm~10μmが好ましく、2μm~8μmがより好ましく、3μm~7μmがさらに好ましい付記1~5のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト。
[付記7]前記銀粉末(A)の形状としてフレーク状のものを使用する場合、該銀粉末(A)の平均厚みは、30nm~2μmが好ましく、80nm~1μmがより好ましく、100nm~700nmがさらに好ましい付記1~6のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト。
[付記8]前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の形状は、球状、フレーク状(扁平な形状)、多面体状等が好ましく、かつ、形状の異なるものを組み合わせて使用してもよく、同じ形状のもののみを使用してもよく、球状または多面体状がより好ましい付記1~7のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト。
[付記9]前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)において、(B)粒子表面に占める銀被覆層の割合は、50~100%が好ましく、70~100%がより好ましく、90~100%がさらに好ましく、95~100%が最も好ましい付記1~8のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト。
[付記10]前記銀粉末(A)と、前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)との割合(前者/後者;重量比)は、5/95~95/5が好ましく、10/90~90/10がより好ましく、20/80~70/30がさらに好ましく、25/75~60/40が最も好ましい付記1~9のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト。
[付記11]前記低温焼結性接合用ペースト全量に対する前記銀粉末(A)及び前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の合計量の割合は、30~95重量%が好ましく、50~90重量%がより好ましく、60~80重量%がさらに好ましい付記1~10のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト。
[付記12]前記銀粉末(A)及び前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)以外の他の導電性粒子を含有していてもよく、該他の導電性粒子の含有量は、前記低温焼結性接合用ペーストに含まれる導電性粒子全量の25重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、5重量%以下がさらに好ましく、10重量%以下が特に好ましく、5重量%以下が最も好ましい付記1~11のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト。
[付記13]前記銀粉末(A)の平均粒径(メジアン径;D50)は、0.1μm~20μmが好ましく、0.2μm~9μmがより好ましく、0.3μm~8μmがさらに好ましい付記1~12のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト。
[付記14]前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の平均粒径(メジアン径;D50)は、5μm~100μmが好ましく、10μm~80μmより好ましい付記1~13のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト。
[付記15]銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)を含む低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記16]前記前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)における銀以外の元素は、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、銅(Cu)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)などが好ましく、ケイ素(Si)またはゲルマニウム(Ge)がより好ましい付記15に記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記17]前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)における銀以外の元素は、銀と金属間化合物を形成しない元素である付記15又は16に記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記18]前記銀粉末(A)の比表面積は、0.5~4.0m/gが好ましく、0.6~3.0m/gがより好ましく、0.7~2.5m/gがさらに好ましく、0.8~2.0m/gが最も好ましい付記15~17のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記19]前記銀粉末(A)の形状は、球状、フレーク状(扁平な形状)、多面体状等が好ましく、かつ形状の異なる銀粉末を組み合わせて使用してもよく、同じ形状の銀粉末のみを使用してもよく、フレーク状がより好ましい付記15~18のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記20]前記銀粉末(A)の形状としてフレーク状のものを使用する場合、該銀粉末(A)の平均直径は、0.5μm~10μmが好ましく、2μm~8μmがより好ましく、3μm~7μmがさらに好ましい付記15~19のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記21]前記銀粉末(A)の形状としてフレーク状のものを使用する場合、該銀粉末(A)の平均厚みは、30nm~2μmが好ましく、80nm~1μmがより好ましく、100nm~700nmがさらに好ましい付記15~20のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記22]前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の形状は、球状、フレーク状(扁平な形状)、多面体状等が好ましく、かつ、形状の異なるものを組み合わせて使用してもよく、同じ形状のもののみを使用してもよく、球状または多面体状がより好ましい付記15~21のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記23]前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)において、(B)粒子表面に占める銀被覆層の割合は、50~100%が好ましく、70~100%がより好ましく、90~100%がさらに好ましく、95~100%が最も好ましい付記15~22のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記24]前記銀粉末(A)と、前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)との割合(前者/後者;重量比)は、5/95~95/5が好ましく、10/90~90/10がより好ましく、20/80~70/30がさらに好ましく、25/75~60/40が最も好ましい付記15~23のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記25]前記低温焼結性接合用ペースト全量に対する前記銀粉末(A)及び前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の合計量の割合は、30~95重量%が好ましく、50~90重量%がより好ましく、60~80重量%がさらに好ましい付記15~24のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記26]低温焼結性接合用ペースト製造用材料全量に対する銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の量の割合が50~95重量%であることが好ましい付記15~24のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記27]前記銀粉末(A)及び前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)以外の他の導電性粒子を含有していてもよく、該他の導電性粒子の含有量は、前記低温焼結性接合用ペーストに含まれる導電性粒子全量の25重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、5重量%以下がさらに好ましく、10重量%以下が特に好ましく、5重量%以下が最も好ましい付記15~26のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記28]前記銀粉末(A)の平均粒径(メジアン径;D50)は、0.1μm~20μmが好ましく、0.2μm~9μmがより好ましく、0.3μm~8μmがさらに好ましい付記15~27のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記29]前記銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の平均粒径(メジアン径;D50)は、5μm~100μmが好ましく、10μm~80μmより好ましい付記15~28のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
[付記30]付記15~29のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料の製造方法であって、銀粉末と銀以外の元素粒子を三次元ボールミルの三次元運動に付して混合、粉砕し、銀以外の元素粒子の表面に銀被複層を形成する工程を含む低温焼結性接合用ペースト製造用材料の製造方法。
[付記31]前記三次元ボールミルの三次元運動は高速三次元運動であることが好ましい付記30に記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料の製造方法。
[付記32]前記銀以外の元素粒子とともに三次元ボールミルの三次元運動に付す際に用いる銀粉末(C)は、前記銀粉末(A)として用いる銀粉末と同一のものを用いてもよく異なるものを用いてもよく、該銀粉末(C)の一部に前記銀以外の元素粒子よりも小さい粉末が含まれていることが好ましい付記30又は31に記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料の製造方法。
[付記33]付記15~29のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料の製造方法であって、銀電解メッキや銀無電解メッキなどの湿式方法、又は銀と銀以外の元素粒子(好ましくは、銀と金属間化合物を形成しない元素粒子)を溶融法で合金化後、機械的に粉砕したり、溶融状態から噴霧する方法によって、銀以外の元素粒子の表面に銀被複層を形成する工程を含む低温焼結性接合用ペースト製造用材料の製造方法。
[付記34]被接合物が、付記1~14のいずれか1つに記載の低温焼結性接合用ペーストの焼結体を含む銀接合層を介して、基板に接合されている接合構造体。
[付記35]前記被接合物の銀接合層との接合面が銀メッキされている付記34に記載の接合構造体。
[付記36]前記被接合物が、電子部品、又は放熱基板である付記34又は35に記載の接合構造体。
[付記37]前記電子部品が、パワー半導体素子、LED素子などの電子素子(チップ、ダイ)であることが好ましい、付記34~36のいずれか1つに記載の接合構造体。
[付記38]前記被接合物の材質は、Si(シリコン)又はSiC(シリコンカーバイド)が好ましく、特にSiCが好ましい、付記34~37のいずれか1つに記載の接合構造体。
[付記39]前記被接合物がSiCチップである、付記34又は35に記載の接合構造体。
[付記40]前記基板は、金属基板、セラミック基板、SiC基板、窒化ガリウム基板、ガラスエポキシ基板、BTレジン基板、ガラス基板、又は樹脂基板が好ましく、銅基板が特に好ましい付記34~39のいずれか1つに記載の接合構造体。

Claims (18)

  1. 銀粉末(A)と、銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)を含み、
    銀粉末(A)は、平均粒径(メジアン径)3μm~10μmのフレーク状であり、
    銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)における銀以外の元素の線膨張率は10ppm/℃未満であり、
    銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)は、球状及び/又は多面体状である、
    低温焼結性接合用ペースト。
  2. 銀粉末(A)と、銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)を含み、
    銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)における銀以外の元素が、銀と金属間化合物を形成しない元素を含む、
    低温焼結性接合用ペースト。
  3. 銀粉末(A)と、銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)を含み、
    銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)における銀以外の元素が、ケイ素ゲルマニウム、又はアルミニウムを含む、
    低温焼結性接合用ペースト。
  4. 銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)において、(B)粒子表面に占める銀被覆層の割合が50~100%である請求項1~3のいずれか1項に記載の低温焼結性接合用ペースト。
  5. 銀粉末(A)と銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)との割合(前者/後者;重量比)が5/95~95/5である請求項1~4のいずれか1項に記載の低温焼結性接合用ペースト。
  6. 低温焼結性接合用ペースト全量に対する銀粉末(A)及び銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の合計量の割合が30~95重量%である請求項1~5のいずれか1項に記載の低温焼結性接合用ペースト。
  7. 銀粉末(A)の平均粒径(メジアン径)が0.1μm~20μmである請求項2又は3に記載の低温焼結性接合用ペースト。
  8. 銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の平均粒径(メジアン径)が10μm~100μmである請求項1~7のいずれか1項に記載の低温焼結性接合用ペースト。
  9. 銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)を含み、
    銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)における銀以外の元素が、銀と金属間化合物を形成しない元素を含む、
    低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
  10. 銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)を含み、
    銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)における銀以外の元素が、ケイ素ゲルマニウム、又はアルミニウムを含む、
    低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
  11. 銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)において、(B)粒子表面に占める銀被覆層の割合が50~100%である請求項9又は10に記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
  12. 銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の平均粒径(メジアン径)が10μm~100μmである請求項9~11のいずれか1項に記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
  13. 低温焼結性接合用ペースト製造用材料全量に対する銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)の量の割合が50~95重量%である請求項9~12のいずれか1項に記載の低温焼結性接合用ペースト製造用材料。
  14. 銀で被覆された銀以外の元素粒子(B)を含む低温焼結性接合用ペースト製造用材料の製造方法であって、銀粉末と銀以外の元素粒子を三次元ボールミルの三次元運動に付して混合、粉砕し、銀以外の元素粒子の表面に銀被複層を形成する工程を含む低温焼結性接合用ペースト製造用材料の製造方法。
  15. 被接合物が、請求項1~8のいずれか1項に記載の低温焼結性接合用ペーストの焼結体を含む銀接合層を介して、基板に接合されている接合構造体。
  16. 前記被接合物の銀接合層との接合面が銀メッキされている請求項15記載の接合構造体。
  17. 前記被接合物がSiCチップである請求項15又は16記載の接合構造体。
  18. 前記基板が銅基板である請求項1517のいずれか1項に記載の接合構造体。
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