台風や地震、水害等の災害によって建物の屋根面部や外壁部が損傷を受けた場合、この損傷箇所を所謂ブルーシート(防水シート)で覆うことによって簡易的に補修することが一般的に行われている。
かかる簡易的補修を行なった場合でも、すぐに本工事に入れるのであれば特に問題はない。しかしながら、台風等による被害が広い地域で同時的に発生した場合は、補修工事業者の数が限られていることから、簡易的補修を行って後本工事に入るまでの期間が1年以上、ときには2年以上の長期間となることも珍しくない。
そのため、例えばブルーシートを用いて屋根面部の損傷箇所を補修する場合を例にとれば、損傷箇所をブルーシートで覆い該ブルーシートの周囲部分に土嚢を載せて前記損傷箇所を防水することが一般的に行われている。しかしながら、かかる補修にあっては、該ブルーシート上での土嚢の設置面積が小さく、しかも該土嚢が間隔を置いて載置されているだけであった。そのため、載置された土嚢間で、ブルーシートの縁部分と屋根面部との間に隙間が生じ、この隙間に強風が入るとブルーシートが縁部分からめくれ上がって該ブルーシートが吹き飛ばされることがあった。
吹き飛ばされないまでも、ブルーシートが、該隙間に入り込んだ強風によってバタついて裂けたり、又その一部が千切れて風で吹き飛ばされることもあった。このようになるとブルーシートは防水機能を果たさなくなり、その結果、前記隙間からの風雨の進入によって、前記損傷箇所を通して屋内に雨水が侵入し、室内に雨漏りを生じさせる問題があった。又、長期間このような雨漏りが継続すると、建物を構成する木部材にカビを発生させたり、該木部材の腐食を招く等して、建物の強度低下を招来する恐れもあった。
なお、このような被害が少ないとしてもブルーシートは、これが、1年ほどの長期間に亘って屋根面部に放置された状態にあると、風雨に晒されたり紫外線劣化によってその強度が低下して雨水の浸透を招いたり、或いは破れて屋内に雨水を進入させる問題を生じさせた。
又、建物の外壁面部が損傷を受けた場合においてもブルーシートを用いて該損傷箇所を補修することが一般に行われているが、強風によってブルーシートがその縁部分からめくれて吹き飛ばされる現象や、該ブルーシートの縁部分と該外壁面部との間の隙間に入り込んだ強風によってブルーシートがバタついて裂けたり、又その一部が千切れて風で吹き飛ばされる現象が生じ、その結果としての、前記損傷箇所を通しての屋内への雨水の進入が生じ、前記と同様にして建物の強度低下等の問題を招来する恐れがあった。
かかる問題点に鑑み、特に屋根に関して、屋根面部を被覆するシート本体と、該シート本体に設けられ且つ内部に液体を封入可能で該シート本体の重石として機能する一つ又は複数の液体重石部を具える屋根補修シートが、特許文献1で提案されている。又、貯水により錘として使用できる柔軟性を有する嚢袋を備えた嚢袋つき防水シートが特許文献2で提案されている。
特許文献1が開示する屋根補修シートや、特許文献2が開示する嚢袋つき防水シートは、同様に機能するものであり、防水性シートの周囲辺に設けられ且つ内部に液体が封入可能となされた細長い形状の容器を具えていた。そして、該容器に液体が収容されることによって液体重石部を構成するもので、該液体重石部が、屋根面部の傾斜方向に長い状態で、或いは屋根面部の延長方向に長い状態で該屋根面部に載置されるものであった。
然して、屋根面部の損傷箇所を覆った防水性シートの周縁部分で、該液体重石部を該屋根面部に載置して該防水性シートを該屋根面部に固定した場合は、該液体重石部が細長い形状の容器であるために、設置面積が小さい土嚢に比べて重石としての長さを確保できることから、該防水シートをより安定状態で保持できるように見える。
しかしながら屋根面部は、平滑面ばかりではなく、例えば瓦屋根のように凹凸のある屋根面部であることも多く見られる。このような凹凸のある屋根面部に細長い形状の前記液体重石部を載置したとすれば、凹凸のある屋根面部に対する該液体重石部の密着が悪く、該凹凸のある屋根面部と該液体重石部との間に隙間が生じやすい。その結果、長期間の間には、台風や強風の影響により該隙間を通して該屋根面部と前記防水シートとの間に雨水が入り込んで前記損傷箇所に雨水が流入することが考えられる。
又、長期間の内には、台風や強風によって前記液体重石部が煽られて上下振動し、これによって生じた間隙から、横風に乗って雨水が進入し易い。そのため、屋根面部が平滑面であっても、該液体重石部と該屋根面部との間を通して前記損傷箇所に雨水が進入する恐れがあった。特に、該液体重石部が横方向に延長する状態で屋根面部に載置されたときは、雨水は該屋根面部を流下し易いことから、前記損傷箇所に雨水がより進入し易かった。
かかる構成の液体重石部を用いた場合において、前記現象が生ずる別の原因は、液体重石部は、同体積で比較したとき土嚢に比して軽量であるからであり、又、該液体重石部の横断面が、特許文献1や特許文献2に係る図面に図示されているように円形状を呈するときは、前記振動での浮き上がり現象が生じ易いからである。
又、屋根面部や外壁部の損傷箇所にブルーシートや防水シートを被せて補修を行う従来施工にあっては、更に次のような問題点もあった。即ち、このようにシートを被せる際は、複数の作業者がシートの縁部を手で持って拡げてこれを前記損傷箇所に被せるのであるが、この作業の際にシートが大きな風圧を受けることがあるために、作業が困難となる場合があった。特に、足場の悪い屋根面部の損傷箇所にこれらのシートを被せる場合は、該シートが大きな風圧を受けた場合に作業者がバランスを崩して転落する事故も発生していた。
又、前記防水シートがゴム製シート状を呈する場合は、そのサイズが大きいほどその重量が大きいため、足場の悪い屋根面部上でシート被せ作業を行わなければならない作業者にとって、その取り扱い性が非常に悪く、又、転落事故を招きかねない等、作業に危険が伴う問題があった。
図1~4において本発明に係る建物の損傷箇所の補修構造(以下補修構造という)1は、例えば台風によって建物2の屋根面部3としての建物2の屋外面部5が破損された場合、本工事に入るまでの間、損傷箇所6を効果的に保護して該損傷箇所6への雨水の進入を防止するものである。該損傷箇所6の一例としては、台風で屋根瓦7がめくれた箇所や、屋根瓦7がめくれて野地板に亀裂が入ったり穴が開いている箇所、野地板が部分的に或いは全面的に吹き飛ばされている箇所等が挙げられる。図1は、台風で屋根瓦7がめくれて野地板が損傷されている前記損傷箇所6を補修する場合を示している。
該補修構造1は、前記損傷箇所6の全体を屋外側から覆うように、防水性樹脂液を保持し得る補修ネット9(図2)が前記屋外面部5に被せられており、該補修ネット9のネット縁部分11が、該屋外面部5に粘着テープ12で固定されている。そして、該補修ネット9の全面と、該補修ネット9のネット縁13から前記屋外面部5側へ所要幅張り出した範囲の全体に吹き付けられた前記防水性樹脂液が硬化されて防水面部15が形成されており、該ネット縁13が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設されている。
以下、これを具体的に説明する。前記補修ネット9は、柔軟性を有したネット状を呈しており、例えば、合成繊維製のネットである。本実施例においては、ポリエチレン繊維を用いたラッセル編地を以って構成され、厚さが1mm程度で1mm程度角のメッシュ目を有している。該補修ネット9の幅は例えば2mでありロール状に巻回されている。
該補修ネット9は、図2~3に示すように、そのネット目がアンカー部となって前記防水性樹脂液を保持し得るものであり、前記メッシュ目の大きさは、前記防水性樹脂液を、樹脂吹付機によって所要の圧力で該補修ネット9のネット表面部16に吹き付けたときに、該吹き付けの圧力との関係で、該防水性樹脂液が該補修ネット9のネット裏面部17に殆ど抜けてこない程度の大きさである。そのため、吹き付ける防水性樹脂液が無駄にならない。又、該防水性樹脂液が裏側の屋根面部3に接着する恐れが殆どなく、従って、後日の本工事に際し前記防水面部15を撤去したときに前記補修ネット9の撤去に伴い前記損傷箇所6の周辺部分で瓦がめくれてしまう恐れが殆どない。なお図2おいては、説明の便宜上、該補修ネット9の厚さを実際よりも厚く図示している。
そして図1~3に示すように、該補修ネット9のネット縁部分11と、該ネット縁部分11に隣接する屋根面部3(本実施例においては、野地板上に前記屋根瓦7を敷設して形成された屋根瓦面部18)とに亘って前記粘着テープ12を貼着することにより、該ネット縁部分11が該屋根面部3に密着状態に固定されている。本実施例においては、該ネット縁部分11と該ネット縁部分11に隣接する屋根面部3とに亘って、該ネット縁部分11の延長方向全長に亘り連続して柔軟な該粘着テープ12が貼着されることにより、該ネット縁部分11が該屋根面部3に密着状態に固定されている。
ここに密着状態に固定されているとは、完全な密着状態で固定されている場合だけを指すのではなく、凹凸のある前記屋根瓦面部18に前記ネット縁部分11を前記粘着テープ12で固定する場合のように、前記ネット縁部分11が、該凹凸によって部分的に前記屋根面部3から多少浮き上がった状態となるように固定されている場合を含むものである。この密着状態の固定については、以下の各実施例の説明において同様である。
該粘着テープ12は、本実施例においては、その幅寸法が例えば100mmで、その一面19が粘着性を有しており、その他面20は前記防水性樹脂液を支持できる凹凸のある支持面とされている。そして図2~3に示すように、該粘着テープ12のテープ内側縁22側の略1/2幅部分23が前記補修ネット9のネット縁部分11に貼着されると共に、該粘着テープ12のテープ外側縁25側の略1/2幅部分26が前記屋根面部3に貼着されている。そしてこの貼着は、該ネット縁部分11の延長方向全長に亘り連続して行われている。本実施例においては、前記屋根面部3が凹凸のある前記屋根瓦面部18であるため、前記ネット縁部分11が、前記屋根瓦7の凹凸の形状に沿うように適宜屈曲されて該ネット縁部分11が該屋根面部3に密着状態に固定されている。なお図2においては、説明の便宜上、該粘着テープ13の厚さを実際よりも大きく表示している。
そして前記のように、該補修ネット9の全面(前記粘着テープ12が貼着されている前記ネット縁部分11を含めた全面を言い、以下の説明において同様)27と、該補修ネット9のネット縁13から前記屋外面部5側へ所要幅(例えば、20cm程度の幅)張り出した範囲の全体に吹き付けられた前記防水性樹脂液が硬化されて前記防水面部15が形成されており、該ネット縁13が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設されている。
本実施例においては、前記状態にある前記補修ネット9と前記粘着テープ12の全体に、前記屋根面部3側へ所要幅張り出させて前記防水性樹脂液が吹き付けられ、吹き付けられた該防水性樹脂液が硬化されて前記防水面部15が形成されている。具体的には、該補修ネット9のネット表面部(前記粘着テープ12で覆われていない表面部)16aと前記粘着テープ12の表面部29(前記他面20)と該粘着テープ12の前記テープ外側縁25から所要幅(例えば、20cm程度の幅)の屋根面部3とに亘って一連に吹き付けられた前記防水性樹脂液が硬化されることによって前記防水面部15が形成されている。該防水面部15の厚さは2~3mmが好ましい。なお図2においては、説明の便宜上、該防水面部15の厚さを実際よりも厚く表示している。
前記防水性樹脂液としては、例えば、防水性を有するポリウレア樹脂液やポリウレタン樹脂液を用いることができる。特にポリウレア樹脂液は、硬化によって優れた防水性を発揮し、且つ、耐久性に優れると共に短時間での硬化性を有するために特に好ましい。
かかる構成を有する補修構造1にあっては、前記したように、前記ネット縁部分11が、その延長方向全長に亘り、前記粘着テープ12を介して前記屋根面部3に密着状態に固定されている。そして、前記補修ネット9の前記ネット表面部16と前記粘着テープ12の表面部29と該粘着テープ12のテープ外側縁25から所要幅の屋根面部3とに亘って吹き付けられた前記防水性樹脂液の硬化によって、一連の、強靭且つ適度の柔軟性を有する板状の前記防水面部15が形成されており、前記補修ネット9のネット縁13が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設された状態にある。
かかることから、図1において矢印で示すように、該防水面部15の上面及びその上側にある屋根面部3aに降った雨水は該防水面部15の上面を流下して該防水面部15の下端30で排出されることになる。従って、前記補修ネット9の前記ネット縁13からの、前記損傷箇所6に向けての風や雨の進入が確実に阻止され、前記損傷箇所6に雨水が進入する恐れがない。そしてこの状態が、該防水面部15の耐久性によって長期間に亘って維持される。
以上述べた補修構造1によるときは、台風や地震、水害等の災害によって建物の屋根面部3が損傷を受けた場合、本工事に入るまでの期間が長期間、例えば1年以上となる場合であっても、その間、前記損傷箇所6を効果的に保護して該損傷箇所6への雨水の進入を防止できる。
次に、前記構成を有する補修構造1を構成するための、建物2の損傷箇所6の一時的補修方法(以下補修方法という)を、図1~4に基づいて説明する。該補修補方法は、前記損傷箇所6の全体を屋外側から覆うように、防水性樹脂液を保持し得る補修ネット9を該屋外面部5に被せ、該補修ネット9のネット縁部分11を該屋外面部5に粘着テープ12で固定し、その後、該補修ネット9の前記全面27と、該補修ネット9のネット縁13から前記屋外面部5側へ所要幅張り出した範囲の全体に前記防水性樹脂液を吹き付け、該防水性樹脂液の硬化によって前記防水面部15を形成し、該ネット縁13が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設された状態とする。
これを具体的に説明すれば、先ず図4の太い実線の矢印で示すように、建物2の屋外面部(本実施例においては、屋根瓦面部18としての屋根面部3)5の前記損傷箇所6を屋外側(上側)から覆うように、前記防水性樹脂液(ポリウレア樹脂液又はポリウレタン樹脂液)を保持し得る前記補修ネット9を該屋根面部3に被せる。
このようにして前記補修ネット9を前記損傷箇所6に被せる作業を行う際、該補修ネット9は軽量であるために、且つ、風がネット目を通して抜け易く該補修ネット9が風圧を受けにくいために、足場が悪い屋根面部3においても、該被せ作業を安全に行うことができる。又、このように風がネット目を通して抜け易いことから、後述する粘着テープ12を貼着する作業を、風の影響を受けにくい状態で確実且つ能率的に行うことができる。
その後、該補修ネット9のネット縁部分11と該ネット縁部分11に隣接する屋根面部3とに亘って前記粘着テープ12を貼着する。本実施例においては、該ネット縁部分11の延長方向全長に亘り連続して、前記粘着テープ12を貼着することにより、該ネット縁部分11を前記屋根面部3に密着状態に固定する。この貼着は、図2~3に示すように、該粘着テープ12のテープ内側縁22側の略1/2幅部分23が前記補修ネット9のネット縁部分11に貼着されると共に、該粘着テープ12のテープ外側縁25側の略1/2幅部分26が前記屋根面部3に貼着されている。この貼着は、本実施例においては前記屋根面部3が凹凸のある屋根瓦面部18であるため、前記ネット縁部分11を、前記屋根瓦7の凹凸形状に沿うように適宜屈曲させて行う。これにより、該ネット縁部分11を該屋根面部3(前記屋外面部5)に密着状態に固定する。
その後、図1~3に示すように、前記補修ネット9の前記全面27と、該補修ネット9の前記ネット縁13から前記屋根面部3側へ所要幅張り出させて、前記防水性樹脂液を所要の圧力で吹き付ける。具体的には、該補修ネット9のネット表面部(該補修ネット9の、前記粘着テープ12で覆われていないネット表面部)16a と、該粘着テープ12の表面部29と、該粘着テープ12のテープ外側縁25から屋根面部3側に所要幅(例えば、20cm程度幅)張り出した範囲の全体に、前記防水性樹脂液を吹き付ける。この防水樹脂液の吹き付けは、該吹き付けを要する箇所に一連に行えば、該吹き付け作業を、該防水性樹脂液を無駄にすることなく効率的に行うことができる。
この吹き付けの圧力は、吹き付けられた該防水性樹脂液が前記補修ネット9のネット裏面部17に殆ど抜けてこない程度に設定され、例えば2~3mm程度の厚さで吹き付ける。該吹き付けは、前記粘着テープ12の貼着によって前記ネット縁部分11がその延長方向全長に亘り前記屋根面部3に密着状態に固定されているため、該屋根面部3から浮き上がったネット縁部分11が殆ど存在していない状態で確実に行うことができる。
このようにして吹き付けられた該防水性樹脂液の硬化によって、前記防水面部15を形成する。そしてこれにより、前記補修ネット9のネット縁13が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設された状態とする。
なお前記損傷箇所6の面積が大きい場合は、前記吹き付けを安定的に行うことができるようにすると共に、前記損傷箇所6に形成した防水面部15が弛んで該防水面部15の上面における雨水の流下を悪くすることがないように、例えば図1に示すように、該損傷箇所6にネット支持部31を配設する。該ネット支持部31は、例えば、前記損傷箇所6の対向縁部分間に木材(角材等)32を適宜架け渡して構成する。
以上述べた補修方法によるときは、前記補修構造1を安全且つ確実にしかも能率的に構成できる。
図1、図5~6は、本発明に係る補修構造1の他の実施例を示すものである。なお図5においては、説明の便宜上、前記補修ネット9、前記粘着テープ12、前記防水面部15の厚さを実際よりも大きく表示している。該補修構造1は、例えば台風や水害、土砂崩れ等によって建物2の外壁面部33としての建物2の屋外面部5に穴が開く等、該外壁面部33が損傷された場合に、本工事に入るまでの間、該損傷箇所6を効果的に保護して該損傷箇所6への雨水の進入を防止するものである。
該補修構造1は、前記損傷箇所6の全体を屋外側から覆うように、防水性樹脂液を保持し得る補修ネット9が前記屋外面部(外壁面部33)5に被せられており、該補修ネット9のネット縁部分11が、該屋外面部5に粘着テープ12で固定されている。そして、該補修ネット9の全面と、該補修ネット9のネット縁13から前記屋外面部5側へ所要幅張り出した範囲の全体に吹き付けられた前記防水性樹脂液が硬化されて防水面部15が形成されており、該ネット縁13が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設されている。
以下、これを具体的に説明する。
本実施例においては、該ネット縁部分11と該ネット縁部分11に隣接する外壁面部33とに亘って、該ネット縁部分11の延長方向全長に亘り連続して前記粘着テープ12が貼着されることにより、該ネット縁部分11が該外壁面部33に密着状態に固定されている。図5~6に示すように、該粘着テープ12のテープ内側縁22側の略1/2幅部分23が前記補修ネット9のネット縁部分11に貼着されると共に、該粘着テープ12のテープ外側縁25側の略1/2幅部分26が前記外壁面部33に貼着されている。この貼着は、該ネット縁部分11の延長方向全長に亘り連続して行われている。
そして、前記状態にある前記補修ネット9と前記粘着テープ12の全体に、前記外壁面部33側へ所要幅張り出させて前記防水性樹脂液が吹き付けられ、吹き付けられた該防水性樹脂液が硬化されて防水面部15が形成されている。具体的には、該補修ネット9のネット表面部(該補修ネット9の、前記粘着テープ12で覆われていない表面部)16aと、前記粘着テープ12の表面部29と、該粘着テープ12の前記テープ外側縁25から所要幅の前記外壁面部33とに亘って吹き付けられた前記防水性樹脂液が硬化されることによって該防水面部15が形成されている(図1、図5~6)。該防水面部15の厚さは2~3mmが好ましい。そして、前記補修ネット9のネット縁13が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設された状態にある。
かかることから、前記補修ネット9のネット縁13から前記損傷箇所6に向けての風や雨の進入が確実に阻止され、前記損傷箇所6に雨水が進入する恐れがない。そしてこの状態が、該防水面部15の耐久性によって長期間に亘って維持される。
次に、前記構成を有する補修構造1を構成するための補修補方法を、図1、図5~6に基づいて説明する。該補修補方法は、建物2の屋外面部5の損傷箇所6の全体を屋外側から覆うように、防水性樹脂液を保持し得る補修ネット9を該屋外面部5に被せ、該補修ネット9のネット縁部分11を、該屋外面部5に粘着テープ12で固定し、その後、該補修ネット9の前記全面27と、該補修ネット9のネット縁13から前記屋外面部5側へ所要幅(例えば、20cm程度の幅)張り出した範囲の全体に前記防水性樹脂液を吹き付け、該防水性樹脂液の硬化によって前記防水面部15を形成し、該ネット縁13が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設された状態とする。
これを具体的に説明すれば、先ず図1、図5~6に示すように、建物2の屋外面部5(本実施例においては外壁面部33)の前記損傷箇所6を屋外側から覆うように、前記補修ネット9を該外壁面部33に被せる。
このように前記補修ネット9を前記損傷箇所6に被せる作業を行う際、前記補修ネット9は軽量であるために、且つ、風がネット目を通して抜け易く、該補修ネット9が風圧を受けにくいために、該補修ネット9を該損傷箇所6に被せる作業、及び、後述する粘着テープ12を貼着する作業を、風の影響を受けにくい状態で確実且つ能率的に行うことができる。
その後、該補修ネット9のネット縁部分11と該ネット縁部分11に隣接する外壁面部33とに亘って前記粘着テープ12を貼着する。本実施例においては、前記したように、該ネット縁部分11の延長方向全長に亘り連続して前記粘着テープ12を貼着する。この貼着は図5に示すように、該粘着テープ12のテープ内側縁22側の略1/2幅部分23を前記補修ネット9のネット縁部分11に貼着すると共に、該粘着テープ12のテープ外側縁25側の略1/2幅部分26を前記屋根面部3に貼着する。これにより、該ネット縁部分11を該外壁面部33としての前記屋外面部5に密着状態に固定する。
その後、図1、図5~6に示すように、前記補修ネット9の前記全面部27と、該補修ネット9の前記ネット縁13から前記外壁面部33側へ所要幅張り出させて、前記防水性樹脂液を所要の圧力で吹き付ける。具体的には、該補修ネット9のネット表面部(前記粘着テープ12で覆われていないネット表面部)16a と、該粘着テープ12の表面部29と、該粘着テープ12のテープ外側縁25から前記外壁面部33側に所要幅(例えば、20cm程度の幅)張り出した範囲の全体に、前記防水性樹脂液を吹き付ける。この防水樹脂液の吹き付けは、該吹き付けを要する箇所に一連に行えば、該吹き付け作業を、該防水性樹脂液を無駄にすることなく効率的に行うことができる。
この吹き付けの圧力は、吹き付けられた該防水性樹脂液が前記補修ネット9のネット裏面部17に殆ど抜けてこない程度に設定され、例えば2~3mm程度の厚さで吹き付ける。該吹き付けは、前記粘着テープ12の貼着によって前記ネット縁部分11がその延長方向全長に亘り前記外壁面部33に密着状態に固定されているため、該外壁面部33から浮き上がったネット縁部分11が存在していない状態で確実に行うことができる。
このようにして吹き付けられた該防水性樹脂液の硬化によって、前記防水面部15を形成する。そしてこれにより、前記補修ネット9のネット縁13が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設された状態とする。
なお前記損傷箇所6の面積が大きい場合は、前記吹き付けを安定的に行うことができるようにすると共に、前記損傷箇所6に形成した防水面部15の安定性を向上させるために、例えば図1に示すように、該損傷箇所6にネット支持部31を配設する。該ネット支持部31は、例えば、前記損傷箇所6の対向縁部分間に木材(角材等)32を適宜架け渡して構成する。
以上述べた補修方法によるときは、前記補修構造1を安全且つ確実にしかも能率的に構成できる。
図7~8、図2~3は、本発明に係る補修構造1の他の実施例を示すものである。なお図2においては、前記したように、説明の便宜上、前記補修ネット9 、前記粘着テープ13、前記防水面部15の厚さを実際よりも大きく表示している。該補修構造1は、実施例1で説明したと同様の損傷箇所6を効果的に保護して該損傷箇所6への雨水の進入を防止するものである。
該補修構造1は、建物2の屋根面部3の該損傷箇所6の全体を上側から覆うように、防水性樹脂液を保持し得る補修ネット9が該屋根面部3に被せられている。該補修ネット9の上側の部分35は、前記屋根面部3の棟部36を跨いで該屋根面部3に被せられており、該補修ネット9のネット縁部分11が、該屋根面部3に粘着テープ12で固定されている。そして、該補修ネット9の前記全面27と、該補修ネット9のネット縁13から前記屋根面部3側へ所要幅張り出した範囲の全体に吹き付けられた前記防水性樹脂液が硬化されて防水面部15が形成されており、該ネット縁13が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設されている。
以下、これを具体的に説明する。該補修構造1は、切妻屋根の建物2を対象としており、該建物2の一方側の傾斜屋根面部37としての前記屋根面部3の損傷箇所6を上側から覆うように、防水性樹脂液を保持し得る、前記と同様構成の補修ネット9が該屋根面部3に被せられている。そして図7、図2~3に示すように、該補修ネット9のネット縁部分11と、該ネット縁部分11に隣接する屋根面部3とに亘って、該ネット縁部分11の延長方向全長に亘り連続して前記粘着テープ12が貼着されることにより、該ネット縁部分11が該屋根面部3に密着状態に固定されている。
本実施例に係る補修構造1の特徴は、図7~8に示すように、前記補修ネット9が、実施例1におけるような前記一方側の傾斜屋根面部37だけに存するのではなく、該補修ネット9の前記上側の部分35が前記棟部36を跨いで他方側の傾斜屋根面部41に達している点である。この状態で、該ネット縁部分11が該屋根面部3に密着状態に固定されている。本実施例においては、図7~8に示すように、前記一方側の傾斜屋根面部37と、前記棟部36の前後面部43,44及びその上面部45と、前記他方側の傾斜屋根面部41の棟部側の部分47とに亘って、該ネット縁部分11が、該屋根面部3に密着状態に固定されている(図2~3)。
前記粘着テープ12は、本実施例においては図2~3に示すように、そのテープ内側縁22側の略1/2幅部分23が前記補修ネット9のネット縁部分11に貼着されると共に、該粘着テープ12のテープ外側縁側25の略1/2幅部分26が前記屋根面部3に貼着されている。そしてこの貼着は、該ネット縁部分11の延長方向全長に亘り連続して行われている。本実施例においては、前記屋根面部3が凹凸のある屋根瓦面部18であるため、前記ネット縁部分11が、前記屋根瓦7の凹凸の形状に沿うように適宜屈曲されて該ネット縁部分11が該屋根面部3に密着状態に固定されている。
そして、前記状態にある前記補修ネット9の前記全面27と、該補修ネット9のネット縁13から前記屋根面部3側へ所要幅(例えば、20cm程度の幅)張り出した範囲の全体に前記防水性樹脂液が吹き付けられ、吹き付けられた該防水性樹脂液が硬化されて前記防水面部15が形成されている。具体的には図2~3に示すように、該補修ネット9の前記ネット表面部16と前記粘着テープ12の表面部29(前記他面20)と該粘着テープ12の前記テープ外側縁25から所要幅(例えば、20cm程度の幅)の屋根面部3とに亘って吹き付けられた前記防水性樹脂液が硬化されることによって前記防水面部15が形成されている(図7、図2~3)。該防水面部15の厚さは2~3mmが好ましい。そして、前記補修ネット9のネット縁13が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設された状態にある。
かかることから、前記補修ネット9のネット縁13からの風や雨の進入が確実に阻止され、従って前記損傷箇所6に雨水が進入する恐れがない。そしてこの状態が、該防水面部15の耐久性によって長期間に亘って維持される。
特に本実施例においては、前記損傷箇所6を覆うように防水面部15を形成できるだけでなく、その上方側の屋根面部3aにおいても防水面部15を形成できることになる。例えば台風災害によって損傷した屋根面部3の損傷箇所6としては、目視で明確に確認できる損傷箇所の他、目視困難な損傷箇所、例えば、少しの瓦のずれが発生している箇所や瓦にひび割れが発生している箇所もある。そして、このような目視困難な損傷箇所6からも雨水が屋内に進入しやすい。
本実施例においては、前記損傷箇所6の上方側の屋根面部3a においても前記防水面部15を一連に形成するため、該防水面部15の上面に降った雨水は、該防水面部15の上面を流下して該防水面部15の下端30で排出されることとなる。そのため、かかる目視困難な損傷箇所からの屋内への雨水の進入も確実に防止できることとなり、屋根面部3の損傷箇所をより広範囲に亘って確実に防水できることとなる。
次に、前記構成を有する補修構造1を構成するための補修方法を図7~8、図2~3に基づいて説明する。該補修方法は、建物2の屋根面部3の損傷箇所6の全体を上側から覆うように、防水性樹脂液を保持し得る補修ネット9を該屋根面部3に被せ、該補修ネット9の上側の部分35は、前記棟部36を跨いで該屋根面部3に被せ、該補修ネット9のネット縁部分11(図2~3)を該屋根面部3に粘着テープ12で固定する。その後、該補修ネット9の前記全面27と、該補修ネット9のネット縁13から前記屋根面部3側へ所要幅張り出した範囲の全体に前記防水性樹脂液を吹き付け、該防水性樹脂液の硬化によって前記防水面部15を形成し、該ネット縁13が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設された状態とする。
これを具体的に説明すれば、前記補修ネット9の下端側の部分39(図7~8)を、建物2の屋根面部(前記一方側の傾斜屋根部37)3の損傷箇所6を上側から覆うように被せると共に、該補修ネット9の上側の部分35を、前記棟部36を跨いで屋根面部(本実施例においては、前記他方側の傾斜屋根部41の前記棟部36側の部分47)3に達するように被せる。
このようにして前記補修ネット9を前記損傷箇所6に被せる作業を行う際、前記補修ネット9は軽量であるために、且つ、風がネット目を通して抜け易く、該補修ネット9が風圧を受けにくいために、足場が悪い屋根面部3においても、該被せ作業を安全に行うことができる。
又、このように風がネット目を通して抜け易いことから、後述する粘着テープ12を貼着する作業を、風の影響を受けにくい状態で確実且つ能率的に行うことができる。
その後、図7~8、図2~3に示すように、該補修ネット9のネット縁部分(具体的には、前記一方側の傾斜屋根部37と、前記棟部36の前後面部43,44及びその上面部45と、前記他方側の傾斜屋根面部41の該棟部36側の部分47とに亘って被せられた補修ネット9のネット縁部分)11と、該ネット縁部分11に隣接する屋根面部3(前記棟部36の前後面部43,44及びその上面部45を含む)とに亘って粘着テープ12を貼着することにより、本実施例においては、該ネット縁部分11の延長方向全長に亘り連続して粘着テープ12を貼着することにより、該ネット縁部分11を前記屋根面部3に密着状態に固定する。この貼着は、図2~3に示すように、該粘着テープ12のテープ内側縁22側の略1/2幅部分23が前記補修ネット9のネット縁部分11に貼着されると共に、該粘着テープ12のテープ外側縁25側の略1/2幅部分26が前記屋根面部3に貼着されている。本実施例においては、前記屋根面部3が凹凸のある屋根瓦面部18であるため、前記ネット縁部分11が、前記屋根瓦7の凹凸の形状に沿うように適宜屈曲されて該ネット縁部分11が該屋根面部3に密着状態に固定されている。
そして特に本実施例においては、前記のように、該補修ネット9の上側の部分35は、前記棟部36を跨いで該屋根面部5に被せるために、該補修ネット9の上側の部分35を前記棟部36に引っ掛けた状態となし得、従って、該補修ネット9を前記屋根面部3の傾斜上下方向でピンと張った状態にしつつ前記ネット縁部分11を該屋根面部3に安定状態で固定できる。
その後、図7、図2~3に示すように、前記補修ネット9のネット表面部16と前記粘着テープ12の表面部29と該粘着テープ12のテープ外側縁25から所要幅(例えば、20cm程度の幅)の前記屋根面部3とに亘って前記防水性樹脂液を所要の圧力で吹き付ける。この防水樹脂液の吹き付けは、該吹き付けを要する箇所に一連に行えば、該吹き付け作業を、該防水性樹脂液を無駄にすることなく効率的に行うことができる。この吹き付けの圧力は、吹き付けられた該防水性樹脂液が該補修ネット9のネット裏面部17に殆ど抜けてこない程度に設定され、例えば2~3mm程度の厚さで吹き付ける。該吹き付けは、本実施例においては、前記粘着テープ13の貼着によって前記ネット縁部分11がその延長方向全長に亘り前記屋根面部3に密着状態に固定されるので、該屋根面部3から浮き上がったネット縁部分11が殆ど存在しない状態で確実に行うことができる。
このようにして吹き付けられた該防水性樹脂液の硬化によって、前記防水面部15を形成し、前記補修ネット9のネット縁13が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設された状態とする。
なお前記損傷箇所6の面積が大きい場合は、前記吹き付けを安定的に行うことができるようにすると共に、前記損傷箇所6に形成した防水面部15が弛んで該防水面部15における雨水の流下を悪くすることがないように、例えば図7に示すように、該損傷箇所6にネット支持部31を配設する。該ネット支持部31は、例えば、前記損傷箇所6の対向縁部分間に木材(角材等)32を適宜架け渡して構成する。
以上述べた補修方法によるときは、前記補修構造1を安全且つ確実にしかも能率的に構成できる。
図9~12、図2~3は、本発明に係る補修構造1の他の実施例を示すものである。該補修構造1は、切妻屋根の建物2を対象としており、実施例1で説明したと同様の損傷箇所6を効果的に保護して該損傷箇所6への雨水の進入を防止するものである。なお図2においては、前記したように、説明の便宜上、前記補修ネット9、前記粘着テープ13、前記防水面部20の厚さを実際よりも大きく表示している。
該補修構造1は、建物2の屋根面部3の損傷箇所6の全体を上側から覆うように、防水性樹脂液を保持し得る前記補修ネット9が該屋根面部5に被せられている。該補修ネット9の上側の部分35は、図9~10に示すように、前記屋根面部3の棟部36を跨いで該屋根面部3に被せられており、該補修ネット9のネット縁部分11が、図2~3、図12に示すように、該屋根面部3に粘着テープ12で固定されている。そして図9~11に示すように、該補修ネット9の、前記損傷箇所6から上側に所要距離を隔てる上側部位49よりも上側をなす全体50を覆うように防水シート51が被せられており、図12に示すように、該防水シート51のシート縁部分52が、前記屋根面部3と前記補修ネット9に密着状態に粘着テープ12で固定されている。
そして、前記補修ネット9と前記防水シート51との重なり体53に吹き付けられた前記防水性樹脂液が硬化されて防水面部15が形成されている。該防水面部15は、該重なり体53の正面視での外形縁55(図11で太い破線で示されている)の各部を、該外形縁55の内外両側に所要幅で拡がる面状に覆うように形成され、且つ、前記防水シート51で覆われていない前記補修ネット9の前記全面27(図11)を面状に覆うように形成されている。これにより、前記外形縁55が前記防水面部15を形成する樹脂に埋設されている。図11においては、該防水面部15を斜線を付して示している。
以下、これを具体的に説明する。前記補修箇所6は実施例1で例示されているが、本実施例において該補修箇所6は、台風で屋根瓦7がめくれて野地板が損傷されている箇所である。本実施例に係る補修構造1の特徴の一つは、図9~10に示すように、該補修ネット9の上側の部分35が前記棟部36を跨いで前記他方側の傾斜屋根面部41に達している点である。この状態で、該ネット縁部分11が該屋根面部3に密着状態に固定されている。本実施例においては、前記一方側の傾斜屋根面部37と、前記棟部36の前後面部43,44及びその上面部45と、前記他方側の傾斜屋根面部41の棟部側の部分47とに亘って、該ネット縁部分11が、該屋根面部3に密着状態に固定されている。
該粘着テープ12は、本実施例においては、図2~3、図12に示すように、そのテープ内側縁22側の略1/2幅部分23が前記補修ネット9のネット縁部分11に貼着されると共に、該粘着テープ12のテープ外側縁25の略1/2幅部分26が前記屋根面部3に貼着されている。
そして、該補修ネット9のネット縁部分11と該ネット縁部分11に隣接する屋根面部3とに亘って前記粘着テープ12を貼着することにより、該ネット縁部分11が該屋根面部3に密着状態に固定されている。具体的には、該ネット縁部分11と該ネット縁部分11に隣接する屋根面部3とに亘って、該ネット縁部分11の延長方向全長に亘り連続して前記粘着テープ12が貼着されることにより、該ネット縁部分11が該屋根面部3に密着状態に固定されている。本実施例においては、前記屋根面部3が凹凸のある屋根瓦面部18であるため、前記ネット縁部分11が、前記屋根瓦7の凹凸の形状に沿うように適宜屈曲されて該ネット縁部分11が該屋根面部3に密着状態に固定されている。
又、本実施例においては、前記屋根面部3が凹凸のある屋根瓦面部18であるため、前記ネット縁部分11が、前記屋根瓦7の凹凸の形状に沿うように適宜屈曲されて該ネット縁部分11が該屋根面部3に密着状態に固定されている。又図9~10に示すように、該補修ネット9の上側の部分35を、前記棟部36を跨いで該屋根面部5に被せるために、該補修ネット9の上側の部分35を前記棟部36に引っ掛けた状態となし得、従って、該補修ネット9を前記屋根面部3の傾斜上下方向でピンと張った状態にしつつ前記ネット縁部分11を該屋根面部3に安定状態で固定できる。
本実施例に係る補修構造1のもう一つの特徴は、図9~12に示すように、前記補修ネット9の、前記損傷箇所6から所要距離を隔てる上側部位49よりも上側をなす全体50を覆うように柔軟な防水シート51が被せられている点であり、本実施例においては、該防水シート51の上の端部51a は前記補修ネット9の上端9aよりも稍突出している。該防水シート51は、例えばゴム製のものであり、その厚さは例えば1mm程度である。
そして図12に示すように、該防水シート51のシート縁部分52と該シート縁部分52に隣接する前記屋根面部3(前記屋外面部5)とに亘って、及び、該シート縁部分52と該シート縁部分52に隣接する前記補修ネット9とに亘って、前記粘着テープ12を貼着することにより、該シート縁部分52が、該屋根面部3と該補修ネット9の表面部56に密着状態に固定されている。具体的には、該シート縁部分52の延長方向全長に亘り連続して粘着テープ12が貼着されることにより、該シート縁部分52が該屋根面部3と前記補修ネット9の表面部56に密着状態に固定されている。該粘着テープ12は、そのテープ内側縁22側の略1/2幅部分23が前記防水シート51のシート縁部分52に貼着されると共に、該粘着テープ12のテープ外側縁25側の略1/2幅部分26が前記屋根面部3及び前記補修ネット9の表面部56に貼着されている。
前記防水性樹脂液の吹き付けによる前記防水面部15の形成は、前記補修ネット9のネット表面部16に加えて前記したように行われているが、該防水面部15が、前記外形縁55の内外両側に所要幅(例えば、20cm程度の幅)で拡がる面状を呈するように形成されているとは、該内外両側の夫々の側で、例えば20cm程度の幅で拡がる面状を呈するように形成されていることをいう。そして本実施例においては、前記粘着テープ12の前記テープ内側縁22と前記テープ外側縁25が前記防水面部15を形成する樹脂に埋設されている。該防水面部15の厚さは2~3mmに設定されており、前記外縁55が、前記補修ネット9のネット縁13と該防水シート41のシート縁62が、前記防水面部15を形成する樹脂に埋設されている。これによって、前記外形縁55が前記防水面部15を形成する樹脂に埋設されている。
かかることから、前記補修ネット9のネット縁13や前記防水シート51のシート縁62から、前記損傷箇所6に向けての風や雨の進入が確実に阻止され、従って前記損傷箇所6に雨水が進入する恐れがない。そしてこの状態が、該防水面部20の耐久性によって長期間に亘って維持される。
特に本実施例においては、図9に示すように、前記補修ネット9の、前記損傷箇所6から上側に所要距離を隔てる上側部位49よりも上側をなす全体50を覆うように防水シート51を被せ、防水性樹脂液の吹き付けによって前記のように防水面部15を形成している。従って、前記実施例3におけるように前記補修ネット9の全面に該防水性樹脂液を吹き付ける場合に比して高価な該防水性樹脂液の吹き付け量を削減でき、その分だけ施工コストの低減を期し得ることとなる。
そして本実施例においては、前記防水面部15が形成されている補修ネット9と前記防水シート51とが防水性を有しているため、前記屋根面部3に、目視で明確に確認できる損傷箇所6の上方側の屋根面部3a(図9~10)に目視困難な損傷箇所が発生している場合であっても、前記防水シート51の上面及び前記防水面部15の上面に降った雨水は、図9に矢印で示すように、前記防水シートの上面及び前記防水面部15の上面を流下して該防水面部15の下端30で排出されることとなる。そのため、かかる目視困難な箇所からの屋内への雨水の進入も確実に防止できることとなり、屋根面部3の損傷箇所をより広範囲に亘って確実に防水できることとなる。
次に、前記構成を有する補修構造1を構成するための補修方法を、図9~12、図2~3に基づいて説明する。該補修補方法は、建物2の屋根面部3の損傷箇所6の全体を上側から覆うように、防水性樹脂液を保持し得る補修ネット9を該屋根面部3に被せ、該補修ネット9の上側の部分35は、前記屋根面部3の棟部36を跨いで該屋根面部3に被せ、該補修ネット9のネット縁部分11を該屋根面部3に粘着テープ12で固定する。その後、図9~12に示すように、前記補修ネット9の、前記損傷箇所6から上側に所要距離を隔てる上側部位49よりも上側をなす全体50を覆うように前記防水シート51を被せ、該防水シート51のシート縁部分52を、図12に示すように、前記屋根面部3と前記補修ネット9に粘着テープ12で固定する。その後、前記補修ネット9と前記防水シート51との重なり体53に前記防水性樹脂液を吹き付け該防水性樹脂液の硬化によって前記防水面部15を形成するに際し、該重なり体53の正面視での外形縁55の各部を、該外形縁55の内外両側に所要幅で拡がる面状に覆うように且つ、前記防水シート51で覆われていない前記補修ネット9の全面27を面状に覆うように該防水性樹脂液を吹き付ける。これによって、該外形縁55が前記防水面部15を形成する樹脂に埋設されている。
以下、これを具体的に説明する。本実施例に係る補修補方法は、図9~12に示すように、建物2の屋根面部3の損傷箇所6の全体を上側から覆うように、防水性樹脂液を保持し得る補修ネット9を該屋根面部3に被せ、該補修ネット9のネット縁部分11を該屋根面部6に密着状態に粘着テープ12で固定する。その後、前記補修ネット9の、前記損傷箇所6から上側に所要距離を隔てる上側部位49よりも上側をなす全体50を覆うように防水シート51を被せ、該防水シート51の上側の部分35は、前記屋根面部5の棟部36を跨いで該屋根面部3に被せる。その後、図12に示すように、該防水シート51のシート縁部分52を、前記屋根面部3と前記補修ネット9に密着状態に粘着テープ12で固定する。その後、前記補修ネット9と前記防水シート51との重なり体53に前記防水性樹脂液を吹き付け該防水性樹脂液の硬化によって防水面部15を形成するに際し、該重なり体53の正面視での外形縁55の各部を、該外形縁55の内外両側に所要幅(例えば、20cm程度の幅)で拡がる面状に覆うように且つ、前記防水シート51で覆われていない前記補修ネット9の全面を面状に覆うように該防水性樹脂液を吹き付ける。
このようにして前記補修ネット9を前記損傷箇所6に被せる作業を行う際、前記補修ネット9は軽量であるために、且つ、風がネット目を通して抜け易く、該補修ネット9が風圧を受けにくいために、足場が悪い屋根面部3でも該補修ネット9を前記損傷箇所6に被せる作業を安全に行うことができる。
又、このように風がネット目を通して抜け易いことから、該補修ネット9を該損傷箇所6に被せる作業及び、前記粘着テープ13を貼着する作業を、風の影響を受けにくい状態で確実且つ能率的に行うことができる。
その後、該補修ネット9のネット縁部分(具体的には、前記一方側の傾斜屋根部37と、前記棟部36の前後面部43,44及びその上面部45と、前記他方側の傾斜屋根部41の棟部36側の部分47とに亘って被せられた補修ネット9のネット縁部分)11と、該ネット縁部分11に隣接する屋根面部3とに亘って該ネット縁部分11の延長方向全長に亘り連続して粘着テープ13を貼着することにより、該ネット縁部分11を屋根面部3に密着状態に固定する(図11)。この固定作業は、実施例3におけると同様であり、該補修ネット9 の上側の部分35を前記棟部36に引っ掛けた状態となし得るために、前記ネット縁部分11を該屋根面部3に安定状態で固定できる。この点も実施例3における場合と同様である。
その後、前記補修ネット9の、前記損傷箇所6から所要距離を隔てる上側部位49よりも上側をなす全体50を覆うように防水シート51を被せる。この際、本実施例においては、該防水シート51の上の端部57を前記補修ネット9の上端59よりも稍突出させており、該防水シート51の上側の部分60は、前記屋根面部3の前記棟部36を跨いで該屋根面部3に被せる。
その後図12に示すように、該防水シート51のシート縁部分52と該シート縁部分52に隣接する前記屋根面部3とに亘って、及び、該シート縁部分52と該シート縁部分52に隣接する前記補修ネット9とに亘って、前記粘着テープ12を貼着する。本実施例においては、該シート縁部分52の延長方向全長に亘り連続して粘着テープ12を貼着することにより、該シート縁部分52を該屋根面部3に密着状態に固定する。該粘着テープ12は、図12に示すように、そのテープ内側縁22側の略1/2幅部分23を前記防水シート51のシート縁部分52に貼着すると共に、該粘着テープ12のテープ外側縁25側の略1/2幅部分26を前記屋根面部3及び前記補修ネット9のネット表面部16に貼着する。
かかる防水シート51の貼着に際しても、該防水シート51の上側の部分60を前記棟部36に引っ掛けた状態となし得るために、前記シート縁部分52を該屋根面部3や前記補修ネット9のネット表面部16に安定状態で固定できる。
その後、前記補修ネット9と前記防水シート51との重なり体53に前記防水性樹脂液を吹き付け該防水性樹脂液の硬化によって防水面部15を形成するに際し、該重なり体53の正面視での外形縁55の各部を、該外形縁55の内外両側に所要幅で拡がる面状に覆うように且つ、前記防水シート51で覆われていない前記補修ネット9の全面27を面状に覆うように該防水性樹脂液を吹き付ける。
この吹き付けは、前記外形縁55の内外両側の夫々の側で、例えば20cm程度の幅で拡がる面状に覆うように行う。図11~12における符号64は、前記防水シート51側における吹き付け範囲を示している。この防水性樹脂液の吹き付けは、該吹き付けを要する箇所に一連に行えば、該吹き付け作業を、該防水性樹脂液を無駄にすることなく効率的に行うことができる。そして図9、図11~12に示すように、該防水性樹脂液の硬化によって前記防水面部15を形成する。そして、前記補修ネット9のネット縁13及び該防水シート51のシート縁62、前記粘着テープ12のテープ内側縁22とテープ外側縁25が、該防水面部15を形成する樹脂に埋設された状態とする。
なお、実施例3においては、前記屋根面部3に上下方向に一連に補修ネット9を被せ、該補修ネット9の前記ネット表面部16の全体に亘って前記防水性脂液を吹き付けることとしている。これに対して本実施例においては、実施例3におけると同様にして前記屋根面部3に被せられた補修ネット9の、前記損傷箇所6から上側に所要距離を隔てる上側部位49よりも上側をなす全体50を覆うように防水シート51を被せ、該補修ネット9については、その露出状態にあるネット表面部16に防水性樹脂液を吹き付けることとしている。
なお本実施例において、前記防水シート51のシート表面部61の周縁部分に対しても防水性樹脂液を吹き付けることとしているが(図11~12)、全体としての吹き付け量は、実施例3におけるように広い面積を有する補修ネット9のネット表面部16の全体に吹き付ける場合に比して減少させることができる。その結果、実施例3におけると同様の屋根面部3の防水を確保できながら、高価な防水性樹脂液の使用量を削減できることとなるので、施工コストの低減を期し得ることとなる。
なお本実施例においては、屋根面部3に防水シート51を被せる施工を要するが、該防水シート51のみを用いて前記損傷箇所6の防水を図らんとするものではなく、前記補修ネット9との協働によって該損傷箇所6の防水を図らんとするものである。従って、該防水シート51は小サイズのものでよいため、比較的軽量であり、又、これを屋根面部3に被せる作業中に該防水シート59が風圧を受けることがあっても、その風圧はそれほど大きなものではない。従って、風が吹いている中で該防水シート51を取り扱う場合も、作業者の安全を害することにはならない。
又前記防水シート51についても、その上側の部分60を、前記屋根面部5の棟部36を跨いで該屋根面部3に被せるため、前記シート縁部分52を前記屋根面部3や前記補修ネット9の表面部に安定状態で固定できる。
図13~14、図11~12、図2~3は本発明に係る補修構造1の他の実施例を示すものであり、実施例4において、前記補修ネット9が、前記一方側の傾斜屋根面部37において、その上端縁63が前記棟部36の下側に位置するように前記屋根面部3に被せられている態様のものである。
該補修構造1は、建物2の屋根面部3の損傷箇所6の全体を上側から覆うように、防水性樹脂液を保持し得る補修ネット9が該屋根面部3に被せられており、図2~3、図11~12に示すように、該補修ネット9のネット縁部分11が、該屋根面部3に密着状態に粘着テープ12で固定されている。そして、該補修ネット9の、前記損傷箇所6から上側に所要距離を隔てる上側部位49よりも上側をなす全体50を覆うように防水シート51が被せられている。該防水シート51の上側の部分60は、前記屋根面部3の棟部36を跨いで該屋根面部3に被せられており、該防水シート51のシート縁部分52が、前記屋根面部3と前記補修ネット9に密着状態に前記粘着テープ12で固定されている(図11~12)。そして、前記補修ネット9と前記防水シート51との重なり体53に吹き付けられた前記防水性樹脂液が硬化されて防水面部15が形成されている(図13、図11~12)。該防水面部15は、該重なり体53の正面視での外形縁55( 図11) の各部を、該外形縁55の内外両側に所要幅(例えば、20cm程度の幅)で拡がる面状に覆うように形成され、且つ、前記防水シート51で覆われていない前記補修ネット9の全面27を面状に覆うように形成されている。
次に、前記構成を有する補修構造1を構成する補修補方法を説明する。本実施例に係る補修補方法は、図13~14、図11~12、図2~3に示すように、建物2の屋根面部3の損傷箇所6の全体を上側から覆うように、防水性樹脂液を保持し得る補修ネット9を該屋根面部3に被せ、該補修ネット9のネット縁部分11を該屋根面部3に密着状態に粘着テープ12で固定する(図2~3、図11~12)。その後、前記補修ネット9の、前記損傷箇所6から上側に所要距離を隔てる上側部位49よりも上側をなす全体50を覆うように防水シート51を被せる(図13)。該防水シート51の上側の部分60は、前記屋根面部3の前記棟部36を跨いで該屋根面部3に被せる(図13)。該防水シート51のシート縁部分52を、前記屋根面部3と前記補修ネット9に密着状態に粘着テープ12で固定する。その後、前記補修ネット9と前記防水シート51との重なり体53に前記防水性樹脂液を吹き付け該防水性樹脂液の硬化によって防水面部15を形成するに際し、該重なり体53の正面視での外形縁55の各部を、該外形縁55(図11)の両側に所要幅(例えば、20cm程度の幅)で拡がる面状に覆うように且つ、前記防水シート51で覆われていない前記補修ネット9の前記全面27を面状に覆うように該防水性樹脂液を吹き付ける。この防水性樹脂液の吹き付けは、該吹き付けを要する箇所に一連に行えば、該吹き付け作業を、該防水性樹脂液を無駄にすることなく効率的に行うことができる。
図15~16、図11~12、図2~3は本発明に係る補修構造1のその他の実施例を示すものであり、実施例5において、前記防水シート51が、前記一方側の傾斜屋根面部37において、その上端縁65が前記棟部36の下側に位置するように前記屋根面部3に被せられている態様のものである。
該補修構造1は、建物2の屋根面部3の損傷箇所6の全体を上側から覆うように、防水性樹脂液を保持し得る補修ネット9が該屋根面部3に被せられており、該補修ネット9のネット縁部分11が該屋根面部3に密着状態に粘着テープ12で固定されている(図11~12、図2~3)。該補修ネット9の、前記損傷箇所6から上側に所要距離を隔てる上側部位49よりも上側をなす全体50を覆うように防水シート51が被せられており、該防水シート51のシート縁部分52が、前記屋根面部3と前記補修ネット9に密着状態に粘着テープ12で固定されている(図11~12)。そして、前記補修ネット9と前記防水シート51との重なり体53に吹き付けられた前記防水性樹脂液が硬化されて防水面部15が形成されており、該防水面部15は、該重なり体53の正面視での外形縁55(図12)の各部を、該外形縁55の内外両側に所要幅(例えば、20cm程度の幅)で拡がる面状に覆うように形成され、且つ、前記防水シート51で覆われていない前記補修ネット9の前記全面27を面状に覆うように形成されている。これによって、該外形縁55が前記防水面部15を形成する樹脂に埋設されている。
前記構成を有する補修構造1を構成する補修補方法を図15~16、図11~12、図2~3に基づいて説明する。本実施例に係る補修補方法は、図10~11、図2~3に示すように、建物2の屋根面部3の損傷箇所6の全体を上側から覆ように、防水性樹脂液を保持し得る補修ネット9を該屋根面部3に被せ、該補修ネット9のネット縁部分11を該屋根面部3に密着状態に粘着テープ12で固定する(図11~12、図2~3)。その後、前記補修ネッ9の、前記損傷箇所6から上側に所要距離を隔てる上側部位49よりも上側をなす全体50を覆うように防水シート51を被せ、該防水シート51のシート縁部分52を、前記屋根面部3と前記補修ネット9に密着状態に粘着テープ12で固定する(図11~12)。その後、前記補修ネット9と前記防水シート51との重なり体53に前記防水性樹脂液を吹き付け該防水性樹脂液の硬化によって防水面部15を形成するに際し、該重なり体53の正面視での外形縁55(図11)の各部を、該外形縁55(図12)の内外両側に所要幅(例えば、20cm程度の幅)で拡がる面状に覆うように且つ、前記防水シート51で覆われていない前記補修ネット9の前記全面27を面状に覆うように該防水性樹脂液を吹き付ける。
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
(1)図17は、前記損傷箇所6が前記屋根面部3に存する場合において、該損傷箇所6がより広い範囲に亘る場合を示している。又該図17は、前記損傷箇所6が前記外壁面部33に存する場合において、該損傷箇所6が広い範囲に亘る場合を示している。該外壁面部33における補修構造1にあっては、該損傷箇所6を覆う補修ネット9の下端側のネット縁部分66を、該外壁面部33の一部分をなす布基礎67の外面69に粘着テープ12で固定している。
(2)本発明において、前記補修ネット9のネット縁部分11と該ネット縁部分11に隣接する屋外面部5(前記屋根面部3や前記外壁面部33)とに亘って前記粘着テープ12を貼着するとは、該貼着によって該ネット縁部分11を該屋外面部5に前記した密着状態に固定できるものであれば、前記実施例で示したように、該ネット縁部分11の延長方向全長に亘り連続して前記粘着テープ12を貼着するものには特定されない。該密着状態が得られる限り、該粘着テープ13を、間隔を置いて、該ネット縁部分11と前記屋外面部5とに亘って貼着するものであってもよい。又、該ネット縁部分11を前記した密着状態となるように固定できるのであれば、粘着テープ12 の粘着の仕方は問わず、両面粘着テープを用いて固定するものであってもよい。
又、前記防水シート51のシート縁部分52と該シート縁部分52に隣接する前記屋根面部3とに亘って、或いは、該シート縁部分52と該シート縁部分52に隣接する前記補修ネット9とに亘って粘着テープ12を貼着する場合も、該シート縁部分52を該屋根面部3や該シート縁部分52に前記した密着状態に固定できるものであれば、該粘着テープ12を所要間隔を置いて貼着してもよく、該シート縁部分52の延長方向全長に亘り連続して該粘着テープ12を貼着するものには特定されない。
又、前記ネット縁13や前記シート縁62を前記防水面部15を形成する樹脂に埋設された状態となし得る限り、該粘着テープ12の全体が前記防水面部15を形成する樹脂に埋設された状態とすることは必須ではない。
(3)前記補修ネット9の幅寸法は、前記実施例においては2mに設定されているが、必要な幅寸法が、それよりも大きい場合や小さい場合もある。前記損傷箇所6の大きさとの関係で前記補修ネット9の幅寸法が小さい場合は、ネット縁部分11,11相互を前記粘着テープ12で連結することにより、これを、前記損傷箇所6の大きさに応じた所要幅のものとなし得る。このことは、前記防水シート51にあっても同様である。
(4)前記補修ネット9は、ネット目を有して前記防水性樹脂液を保持し得るものであれば、前記したラッセル編地には限らず織物製でもよい。或いは、不織布等のシート基材に、前記防水性樹脂液を保持し得る多数の孔部(ネット目)が分散形成されたものであってもよい。
(5)本発明において建物2とは、住宅に限らず、工場や倉庫、或いは公園等に設置されている休憩所、駅舎、車庫、カーポート等を含むものである。