JP7526111B2 - 車両の制動力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液圧供給源から各車輪にブレーキ液圧を供給するための油圧ラインを、車両の対角方向に配置された前後の車輪毎に2系統に分けて配管した車両の制動力制御装置に関する。
一般に、自動車等の車両においては、ブレーキパイプ等が破損した場合に備えて、液圧供給源から各輪のホイールシリンダにブレーキ液圧を供給するための液圧系統を2系統に分割したブレーキ液圧回路が広く採用されている。
このように液圧系統を2系統に分割したブレーキ液圧回路の方式の一つとして、液圧供給源から各車輪にブレーキ液圧を供給するための液圧ラインを、車両の対角方向に配置された前後の車輪毎に接続した所謂クロス配管(X配管)方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、ブレーキ液圧回路では、車両の荷重移動等を考慮した効率のよい制動を実現するため、一般に、前輪側の制動力が後輪側の制動力に対して相対的に大きくなるように偏重させた液圧制御が行われる。さらに、X配管方式のブレーキ液圧回路では、一般に、各液圧ラインの液圧ポンプにおいてそれぞれ発生するブレーキ液圧の脈動が互いに逆位相となるように設定されている。
特開2018-39348号公報
しかしながら、上述のように前後輪の制動力を偏重させ、且つ、対角方向の前後輪に付与するブレーキ液圧の脈動を逆位相とした場合、車体に微少なヨー振動が発生する。このようなヨー振動は、液圧ポンプが高速で回転する高速走行中に制動力を発生させる場合には、特段問題とならない。一方、液圧ポンプが低速で回転する極低速での走行中に制動力を発生させる場合、ブレーキ液圧の脈動周波数が、車両のヨー慣性とタイヤの横ばね力に起因するヨー共振周波数に対して所定に一致する(例えば、脈動周波数がヨー共振周波数の整数倍となる)場合がある。このような場合、車体に共振による大きなヨー振動が発生する虞がある。
このようなヨー振動を抑制するため、車体の諸元を変更することも考えられるが、車体の諸元変更は大幅な設計変更を伴うため現実的ではない。また、ヨー振動を抑制するため、極低速走行時に液圧ポンプの回転数を高く制御することも考えられるが、低速走行時に液圧ポンプの回転数を高めると車両の静粛性を損なう原因となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車体の大幅な設計変更を伴うことなく、適正な液圧ポンプの回転数にて、極低速での走行中に制動を行った際のヨー共振を抑制することができる車両の制動力制御装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様による車両の制動力制御装置は、車両の対角方向に配置された前後の車輪毎にブレーキ液圧を供給可能な2系統の液圧ラインを有し、且つ、前記各車輪に対してそれぞれ独立したブレーキ液圧を供給して制動力を発生可能なブレーキ液圧回路と、設定車速以下での走行中に前記車両を制動するとき、前記各車輪に発生させる前記制動力の前後配分比が、前記対角方向に配置された前記前後の車輪が前記制動力によって前記車両にそれぞれ発生させるヨーモーメントを差し引きさせる配分比となるように前記ブレーキ液圧の配分制御を行う制動制御手段と、を備えたものである。
本発明の車両の制動力制御装置によれば、車体の大幅な設計変更を伴うことなく、適正な液圧ポンプの回転数にて、極低速での走行中に制動を行った際のヨー共振を抑制することができる。
運転支援装置を搭載する車両の概略構成図 運転支援装置の全体構成図 ブレーキアクチュエータの概略構成図 タイヤを横ばねで擬似的に示した車両のヨー振動モデルを示す説明図 車両の対角方向の車輪毎作用するブレーキ液圧の脈動とヨーモーメントの関係を示す説明図 車両の対角方向の車輪に作用する制動力とヨーモーメントの関係を示す説明図 ブレーキ液圧の前後配分制御ルーチンを示すフローチャート (a)は液圧制御を行った場合のヨー振動を示す説明図であり(b)は液圧制御を行わなかった場合のヨー振動を示す説明図
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図1に示すように、車両(自車両)Mには、運転支援装置1が搭載されている。図1,2に示すように、運転支援装置1は、走行制御ユニット(走行_ECU)11、パワーステアリング制御ユニット(PS_ECU)12、ブレーキ制御ユニット(BK_ECU)13、及びエンジン制御ユニット(E/G_ECU)14等の各制御ユニットと、走行環境情報取得部としてのカメラユニット21と、を有して構成されている。
各制御ユニット11~14は、車内通信回線(例えば、CAN:Controller Area Network)を通じて双方向通信自在に接続されている。また、カメラユニット21は、走行制御ユニット11の入力側に接続されている。尚、各制御ユニット11~14、及び、カメラユニット21に搭載されている後述の走行環境認識部21dは、CPU,RAM,ROM、不揮発性記憶部等を備える周知のマイクロコンピュータ、及びその周辺機器で構成されており、ROMにはCPUで実行するプログラムやテーブル、マップ等の固定データ等が予め記憶されている。
カメラユニット21は、自車両Mの車室内前部の上部中央に固定されており、車幅方向の中央(車幅中央)を挟んで左右対称な位置に配設されているメインカメラ21a及びサブカメラ21bからなる車載カメラ(ステレオカメラ)と、画像処理ユニット(IPU)21c、及び走行環境認識部21dとを有している。このカメラユニット21は、メインカメラ21aで基準画像データを撮像し、サブカメラ21bで比較画像データを撮像する。
そして、この両画像データをIPU21cにて所定に画像処理する。走行環境認識部21dは、IPU21cで画像処理された基準画像データと比較画像データとを読込み、その視差に基づいて両画像中の同一対象物を認識すると共に、その距離データ(自車両Mから対象物までの距離)を、三角測量の原理を利用して算出して、前方、及び周辺の走行環境情報を認識する。
この走行環境情報から取得する対象物としては、自車両Mが走行する車線(走行車線)の道路形状(左右を区画する区画線、区画線間中央の道路曲率[1/m]、及び左右区画線間の幅(車線幅))、前方停止線、交差点、信号機、信号現示(点灯色、矢印信号等)、道路標識、及び前方障害物(横断歩行者、自転車、電柱、電信柱、駐車車両等)が含まれており、これらを周知のパターンマッチング等の手法を用いて認識する。尚、走行環境情報は、ステレオカメラと共に、又はステレオカメラに代えて、超音波センサ、ミリ波レーダ、ライダー(LIDAR;Light Detection and Ranging)等から取得するようにしてもよい。或いは、これらと単眼カメラとを組み合わせて取得するようにしても良い。
この前方走行環境情報は、走行制御ユニット11で読込まれる。走行制御ユニット11の入力側には、更に、ハンドルの周囲に配置されて車線中央維持(ALK:Active Lane Keep)制御機能と追従車間距離制御(ACC:Adaptive Cruise Control)機能とからなる運転支援制御をON/OFFさせる運転支援スイッチ22、運転者のアクセルペダルの踏込み量を検出するアクセル開度センサ23、運転者のブレーキペダルの踏込みを検出してON動作するブレーキスイッチ24、車速を検出する車速センサ25等のセンサ、スイッチ類が接続されている。
PS_ECU12は、出力側に電動パワーステアリング(EPS)モータ32が接続されている。このEPSモータ32は、PS_ECU12からの駆動信号に対応するアシストトルクをステアリング軸に付加するものである。
BK_ECU13は、出力側にブレーキアクチュエータ33が接続されている。このブレーキアクチュエータ33は、後述するように、各車輪6(左前輪6fl、右前輪6fr、左後輪6rl、右後輪6rr)に設けられたブレーキ部7(左前ブレーキ部7fl、右前ブレーキ部7fr、左後ブレーキ部7rl、右後ブレーキ部7rr)に対して供給するブレーキ液圧を所定の配分比にて配分することが可能となっている。各ブレーキ部7にブレーキ液圧が印加されると、各ブレーキ部7は、ブレーキ液圧に応じた摩擦制動力を発生させる。これにより、各車輪6の回転が所定の制動力配分比にて規制され、自車両Mが強制的に減速される。
E/G_ECU14は、出力側に図示しない電子制御スロットル(ETC)に設けられたスロットルアクチュエータ34が接続されている。この電子制御スロットルは、エンジンのスロットルボディに取付けられている。スロットルアクチュエータ34は、スロットル弁に連設されており、E/G_ECU12からの駆動信号によりスロットル弁を開閉動作させることで、走行時の車速を調整する。
上述した走行制御ユニット11は、運転支援スイッチ22がONの場合、カメラユニット21で検出した自車両M前方の走行環境情報に基づいて、区画線間中央を目標進行路として設定する。そして、走行制御ユニット11は、自車両Mが目標進行路と実際に進行している進行路との横位置差分に基づき、該横位置差分を収束させるための目標操舵角を求めてPS_ECU12に出力し、ALK制御を実行させる。
また、走行_ECU11は、走行時において、BK_ECU13、E/G_ECU14に対して、制御信号を出力してACCを実行させる。すなわち、走行_ECU11は、カメラユニット21の走行環境認識部21dが先行車を検出した場合、設定車間距離を維持した状態にて自車両Mを先行車に追従させる追従制御を行う。さらに、走行_ECU11は、渋滞時等において先行車が停止した際には自車両Mを先行車に追従して停止させる追従停止制御を行う。一方、走行_ECU11は、先行車が検出されない場合、運転者が設定した車速(セット車速)にて自車両Mを走行させる定速走行制御を行う。
また、運転支援スイッチ22がOFFの場合、走行_ECU11による運転支援装置(ALK制御、ACC)は解除される。従って、PS_ECU12は、運転者がハンドルに加える操舵トルクを、図示しないトルクセンサで検出し、当該操舵トルクをアシストするアシストトルクを求め、このアシストトルクに対応するEPSトルクを設定して、EPSモータ32を駆動させる。また、E/G_ECU14はアクセル操作に従った駆動信号をスロットルアクチュエータ34に出力して、運転者の意思に沿った走行を実現させる。
また、カメラユニット21の走行環境認識部21dが前方に障害物を検出し、回避することが困難な場合、走行_ECU11は、運転支援スイッチ22のON/OFFに拘わらず、自車両Mが障害物に到達する時間に対応した所定の制御信号をBK_ECU13に出力する。これにより、BK_ECU13は、各ブレーキ部7に対してブレーキアクチュエータ33からのブレーキ液圧を供給し、各ブレーキ部7に制動力を発生させて、衝突を回避し、若しくは衝突被害を軽減させる(プリクラッシュブレーキ制御)。
ところで、ブレーキアクチュエータ33は、例えば、図3に示すように、ブレーキ液圧発生部41に接続されたブレーキ液圧回路42によって主要部が構成されている。
ブレーキ液圧発生部41は、マスタシリンダ44と、マスタシリンダ44に取付けられたリザーバタンク45と、マスタシリンダ44にブレーキブースタ46を介して連設されているブレーキペダル47と、を有する。リザーバタンク45には、圧力媒体(オイル)が貯留されている。また、ブレーキペダル47がオペレーティングロッド48を介してブレーキブースタ46に連設されている。
ブレーキ液圧発生部41のマスタシリンダ44は、車両の各車輪6fl,6fr,6rl,6rrに設けられたホイールシリンダ38fl,38fr,38rl,38rrに、ブレーキ液圧回路42を介して連通されている。
このブレーキ液圧回路42は、第1の液圧回路52と第2の液圧回路53の二系統の液圧ラインで構成されている。本実施形態によるブレーキ液圧回路42は、第1の液圧回路52と第2の液圧回路53とが車両Mの対角方向に交差して配管されたクロス配管(X配管)方式である。すなわち、本実施形態のブレーキ液圧回路42において、第1の液圧回路52は車両Mの一方の対角方向に配置された左前輪6fl及び右後輪6rrのホイールシリンダ38fl,38rrに接続され、第2の液圧回路53は車両Mの他方の対角方向に配置された右前輪6fr及び左後輪6rlのホイールシリンダ38fr,38rlに接続されている。
なお、第1の液圧回路52と第2の液圧回路53とは同一の構成であるため、以下においては適宜同符号を付して説明を簡略にする。また、以下のブレーキ液圧回路52,53の構成を説明するに際しては、便宜的に、マスタシリンダ44からブレーキキャリパのホイールシリンダ38fl,38fr,38rl,38rr側への流れを基準に、マスタシリンダ44側を上流、ホイールシリンダ38fl,38fr,38rl,38rr側を下流として説明する。
マスタシリンダ44には、第1,第2の給排ポート44a,44bが設けられており、この各給排ポート44a,44bに、各液圧回路52,53を構成する第1の液路L1の上流が接続されている。また、第1の液路L1の下流が第2の液路L2の中途に接続されている。第2の液路L2はその上流側が蓄圧手段としての低圧アキュムレータ54に接続されている。
また、第2の液路L2の下流側が第3の液路L3、第4の液路L4に分岐接続されている。さらに、各液路L3,L4の下流が、各車輪6fl,6rr(6frr,6rl)に設けたブレーキキャリパを動作させて、各車輪6fl,6rr(6frr,6rl)にブレーキ力を発生させるホイールシリンダ38fl,38rr(38fr,38rl)に接続されている。
一方、第3、第4の液路L3,L4の中途に、第5、第6の液路L5,L6の上流が接続されている。これらの第5、第6の液路L5,L6の下流が第7液路に接続されており、この第7の液路L7の下流が低圧アキュムレータ54に接続されている。
第1の液路L1にゲートインバルブ55が設けられ、また、第2の液路L2の第1の液路L1よりも下流に液圧ポンプ56が介装されている。さらに、第1、第2の液圧回路52,53の各液圧ポンプ56が共通の電動モータ57に接続されている。
各液圧ポンプ56,56の駆動軸は、各液圧ポンプ56,56が発生させる液圧の脈動を互いに逆位相とするようにモータ57に接続されている。モータ57は、BK_ECU13から入力される制御信号(ブレーキ液圧指示値)に基づいて駆動制御される。この場合、モータ57は、基本的には、大きな制動力(ブレーキ液圧)を必要とする高速走行からの制動時において高速で駆動され、さほど大きな制動力(ブレーキ液圧)を必要としない低速走行からの制動時において低速で駆動される。
また、ゲートインバルブ55の上流側の第1の液路L1と液圧ポンプ56の下流側の第2の液路L2とが第8の液路L8を介してバイパス接続されており、この第8の液路L8にバイパスバルブ58が介装されている。さらに、第2の液路L2の第8の液路L8よりも下流に第1のブレーキ液検知手段59a(第2のブレーキ液検知手段59b)が介装されている。このブレーキ液検知手段59a(59b)は、例えば、第2の液路L2に作用するブレーキ液の液圧を検出する液圧センサ等である。更に、第3、第4の液路L3,L4に加圧バルブ60,61が介装され、第5、第6の液路L5,L6に減圧バルブ62,63が介装されている。
これら各バルブ55,58,60~63は、例えば、電磁ソレノイドバルブであり、BK_ECU13からの駆動信号に従って切換え動作される。なお、本実施形態において、例えば、バイパスバルブ58及び加圧バルブ60,61はノーマルオープンの電磁ソレノイドバルブによって構成され、ゲートインバルブ55及び減圧バルブ62,63はノーマルクローズの電磁ソレノイドバルブによって構成されている。
すなわち、走行_ECU11からBK_ECU13に制御信号が入力されていないノーマル状態では、電動モータ57は停止しており、従って、液圧ポンプ56も停止されている。このノーマル状態において、ゲートインバルブ55が閉弁され、バイパスバルブ58が開弁されている。これにより、運転者がブレーキペダル47を踏み込むと、マスタシリンダ44において発生したブレーキ液圧が、第2の液路L2から第3,第4の液路L3,L4に対してそのまま供給される。
一方、走行_ECU11からBK_ECU13に制御信号が入力されている自動ブレーキの作動状態では、電動モータ57が駆動され、従って、液圧ポンプ56も駆動される。すなわち、BK_ECU13は、走行_ECU11から入力される制御信号(例えば、目標減速度)に応じた回転数にて電動モータ57を駆動制御する。さらに、この自動ブレーキの作動状態において、BK_ECU13は、ゲートインバルブ55を開弁させ、バイパスバルブ58を閉弁させる。これにより、マスタシリンダ44において加圧された圧力媒体、或いは、リザーバタンク45からそのまま供給された圧力媒体が、油圧ポンプ56を経由することにより所定のブレーキ液圧まで加圧された後、第2の液路L2から第3,第4の液路L3,L4に対して供給される。
このようなノーマル状態及び自動ブレーキの作動状態において、第1,第2のブレーキ液検知手段59a,59bがブレーキ液圧を検出すると、BK_ECU13は、加圧バルブ60,61及び減圧バルブ62,63の駆動制御を行い、前後輪間の制動力(ブレーキ液圧)の配分比を所定の配分比となるように制御する。
この場合において、BK_ECU13は、車両Mが設定車速Vth(例えば、Vth=10km/h)よりも大きな速度による走行中に車両Mを制動するときの制動力の前後配分比と、設定車速Vth以下の車速による走行中に車両Mを制動するときの制動力の前後配分比とを異なる態様にて制御する。
具体的には、車両Mの車速Vが設定車速Vthよりも大きな車速での走行中に車両Mの制動を行う場合、BK_ECU13は、例えば、予め設定された第1の前後配分比にて、制動力(ブレーキ液圧)の前後配分比を可変制御する。すなわち、BK_ECU13は、予め設定された要求減速度(ブレーキ液圧)に対する制動力の前後配分比を示すマップ等を参照して制動力の前後配分比を設定する。そして、BK_ECU13は、設定した前後配分比に応じて、加圧バルブ60,61及び減圧バルブ62,63の駆動制御を行う。この前後配分比は、基本的には前輪側の制動力が後輪側の制動力よりも大きくなるように設定されており、さらに、要求減速度(ブレーキ液圧)が大きくなるほど前輪側の制動力が後輪側の制動力よりもより偏重されるように設定されている。
一方、車両Mの車速Vが設定車速Vth以下の車速での走行中に車両Mの制動を行う場合、BK_ECU13は、各対の車輪6fl,6fr,6rl,6rrに発生させる制動力の前後配分比が、第2の前後配分比となるように制動制御を行う。この第2の前後配分比は、対角方向に配置された前後の車輪6fl,6rr(6fr,6rl)の制動によって車両Mにそれぞれ発生させるヨーモーメントを差し引き(相殺)させることが可能な配分比であり、車両Mの諸元により求められる固定値である。
具体的に説明すると、例えば、図4,5に示すように、X配管方式のブレーキ液圧回路42では、第1,第2の液圧回路52,53において互いに逆位相となるブレーキ液圧の脈動により、各車輪6fl,6fr,6rl,6rrをばね要素するヨー振動が発生する。このヨー振動は、ブレーキ液圧の脈動周波数が所定の周波数(例えば、6Hz程度)となったとき、共振により増幅される。
このようなヨー振動を抑制するための対策として、対角方向に配置された前後の車輪6fl,6rr(6fr,6rl)が制動によって車両Mに対して同時に発生させるヨーモーメントを相殺させることが考えられる。すなわち、ヨー振動を抑制するためには、例えば、図6に示すように、対角方向に配置された前後の車輪6fl,6rr(6fr,6rl)が制動によって車両Mにそれぞれ発生させるヨーモーメントを、以下の(1)式の関係とし、相殺(一致)させればよい。
'・L=F'・L …(1)
ここで、(1)式において、Lは車両Mの重心Cから前輪の接地点までの距離、Lは車両Mの重心Cから後輪の接地点までの距離、F'は車両Mの重心Cと前輪の接地点とを結ぶ直線に対する前輪制動力Fの垂直成分(分力)、F'は車両Mの重心Cと後輪の接地点とを結ぶ直線に対する後輪制動力Fの垂直成分(分力)である。この(1)式を変形すると以下の(2)式となる。
'=F'・(L/L) …(2)
また、前輪制動力Fの作用方向と分力F'の作用方向とのなす角度をθ、後輪制動力Fの作用方向と分力F'の作用方向とのなす角度をθとすると、以下の(3)、(4)式を得ることができる。
=F'/cosθ …(3)
=F'/cosθ …(4)
また、前輪側のトレッドをd、後輪側のトレッドをd、車両Mの重心Cから前輪までの前後距離をy、車両Mの重心Cから後輪までの前後距離をyとすると、以下の(5)、(6)式を得ることができる。
cosθ=(d/2L) …(5)
cosθ=(d/2L) …(6)
さらに、(2)~(6)式を(1)式に代入し、変形すると、以下の(7)式を得ることができる。
=F'・(L/L)・(1/cosθ
=F・cosθ・(L/L)・(1/cosθ
=F・(d/2L)・(L/L)・(2L/d
=(d/d)・F …(7)
以上の式から、対角方向に配置された前後の車輪6fl,6rr(6fr,6rl)が制動によって車両Mにそれぞれ発生させるヨーモーメントを相殺させるためには、前輪制動力Ffと後輪制動力Frとが、(7)式の関係を満たせばよいことが分かる。
そこで、本実施形態において、BK_ECU13は、第2の前後配分比として、上述の(7)式の関係を満たす前後配分比(前後輪のトレッド比に基づく前後配分比)を設定する。このように、本実施形態において、BK_ECU13は、制動制御手段としての機能を有する。
次に、BK_ECU13において実行されるブレーキ液圧の前後配分制御について、図7に示すブレーキ液圧の前後配分制御ルーチンのフローチャートに従って説明する。このルーチンは、設定時間毎に繰り返し実行されるものである。
ルーチンがスタートすると、BK_ECU13は、ステップS101において、走行_ECU11からの制御信号としてACC等による要求減速度が入力されているか否かを調べる。
そして、ステップS101において、要求減速度が入力されていないと判定した場合、BK_ECU13は、そのままステップS105に進む。
一方、ステップS101において、要求減速度が入力されていると判定した場合、BK_ECU13は、ステップS102に進み、ゲートインバルブ55を開弁させるとともに、バイパスバルブ58を閉弁させる。
続くステップS103において、BK_ECU13は、ブレーキ液圧指示値を算出する。このブレーキ液圧指示値は、例えば、現在入力されている要求減速度と、現在第1,第2のブレーキ液検知手段59a,59bにおいて検出されているブレーキ液圧と、に基づいて算出される。すなわち、例えば、運転者によるブレーキペダル47の踏込操作によって第1,第2の液圧回路52,53にブレーキ液圧が発生している場合、BK_ECU13は、要求減速度に対応するブレーキ液圧と、現在第1,第2のブレーキ液検知手段59a,59bにおいて検出されているブレーキ液圧と、の差分に基づいてブレーキ液圧指示値を算出する。
そして、ステップS103からステップS104に進むと、BK_ECU13は、算出したブレーキ液圧指示値に応じたモータ回転数にてモータ57を駆動制御した後、ステップS105に進む。
ステップS101或いはステップS104からステップS105に進むとBK_ECU13は、第1,第2のブレーキ液検知手段59a,59bの検出結果に基づいて、現在、第1,第2の液圧回路52,53にブレーキ液圧が発生しているか否かを調べる。
そして、ステップS105において、ブレーキ液圧が発生していないと判定した場合、BK_ECU13は、そのままルーチンを抜ける。
一方、ステップS105において、ブレーキ液圧が発生していると判定した場合、BK_ECU13は、ステップS106に進み、現在の車速Vが設定車速Vth(例えば、10km/h)以下であるか否かを調べる。
そして、ステップS106において、車速Vが設定車速Vthよりも大きいと判定した場合、BK_ECU13は、ステップS108に進み、加圧バルブ60,61及び減圧バルブ62,63に対する駆動制御を通じて、第1の前後配分比に基づくブレーキ液圧の配分制御を行った後、ルーチンを抜ける。すなわち、BK_ECU13は、予め設定されたマップ等を参照して、現在の要求減速度(ブレーキ液圧)に対する制動力(ブレーキ液圧)の前後配分比を設定し、設定した前後配分比に基づく加圧バルブ60,61及び減圧バルブ62,63に対する駆動制御を行った後、ルーチンを抜ける。
一方、ステップS106において、車速Vが設定車速Vth以下であると判定した場合、BK_ECU13は、ステップS107に進み、加圧バルブ60,61及び減圧バルブ62,63に対する駆動制御を通じて、第2の前後配分比に基づくブレーキ液圧の配分制御を行った後、ルーチンを抜ける。すなわち、BK_ECU13は、上述の(7)式に基づく制動力の前後配分比を設定し、設定した前後配分比に基づく加圧バルブ60,61及び減圧バルブ62,63に対する駆動制御を行った後、ルーチンを抜ける。
このような実施形態によれば、対角方向に配置された前後の車輪6fl,6rr及び6fr,6rl毎にブレーキ液圧を供給可能な2系統の液圧ライン(第1,第2の液圧回路52,53)を有し、且つ、前記各車輪6fl,6fr,6rl,6rrに対してそれぞれ独立したブレーキ液圧を供給可能なブレーキ液圧回路42を備えた車両Mにおいて、設定車速以Vth下での走行中に車両Mを制動するとき、BK_ECU13は、各車輪6fl,6fr,6rl,6rrに発生させる制動力の前後配分比が、前記対角方向に配置された前記前後の車輪6fl,6rr及び6fr,6rlが制動によって車両Mにそれぞれ発生させるヨーモーメントを相殺させる配分比となるようにブレーキ液圧の配分制御を行うことにより、車体の大幅な設計変更を伴うことなく、適正な液圧ポンプ56の回転数にて、極低速での走行中に制動を行った際のヨー共振を抑制することができる。なお、制動力の前後配分比が車両Mにそれぞれ発生させるヨーモーメントを相殺可能な程度であればよく、制動力の前後配分比完全一致のみを示すものではない。
すなわち、設定車速Vth以下の車速Vでの走行中に第1の前後配分比にて制動制御を行った場合には、ブレーキ液圧の躍動周波数が所定の周波数となった際にヨー振動の共振が発生し得るが(図8(b)参照)、第2の前後配分比にて制動制御を行うことにより、ヨーモーメントの発生自体を抑制することができ、ヨー振動の共振を抑制することができる(図8(a)参照)。
なお、第2の前後配分比によるブレーキ液圧の配分制御は極低速での走行時において限定的に実行されるものであり、このような低速での制動時には、車両Mの荷重移動も極めて小さいため、車両Mの適切な制動を維持することができる。
ここで、上述の実施形態において、各制御ユニット11~14、及び、走行環境認識部21dにおけるプロセッサの全部若しくは一部の機能は、論理回路あるいはアナログ回路で構成してもよく、また各種プログラムの処理を、FPGAなどの電子回路により実現するようにしてもよい。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、走行_ECU11からの要求減速度が入力されていない場合にはブレーキ液圧の脈動が発生しないため、設定車速Vth以下においても第1の前後配分比によるブレーキ液圧配分制御を行うことも可能である。
1 … 運転支援装置
6 … 車輪
6fl … 左前輪
6fr … 右前輪
6rl … 左後輪
6rr … 右後輪
7 … ブレーキ部
7fl … 左前ブレーキ部
7fr … 右前ブレーキ部
7rl … 左後ブレーキ部
7rr … 右後ブレーキ部
11 … 走行_ECU
12 … PS_ECU
13 … BK_ECU
14 … E/G_ECU
21 … カメラユニット
21a … メインカメラ
21b … サブカメラ
21c … IPU
21d … 走行環境認識部
22 … 運転支援スイッチ
23 … アクセル開度センサ
24 … ブレーキスイッチ
25 … 車速センサ
32 … EPSモータ
33 … ブレーキアクチュエータ
34 … スロットルアクチュエータ
38fl … 左前ホイールシリンダ
38fr … 右前ホイールシリンダ
38rl … 左後ホイールシリンダ
38rr … 右後ホイールシリンダ
41 … ブレーキ液圧発生部
42 … ブレーキ液圧回路
44 … マスタシリンダ
44a … 第1の給排ポート
44b … 第2の給排ポート
45 … リザーバタンク
46 … ブレーキブースタ
47 … ブレーキペダル
48 … オペレーティングロッド
52 … 第1の液圧回路
53 … 第2の液圧回路
54 … 低圧アキュムレータ
55 … ゲートインバルブ
56 … 液圧ポンプ
57 … モータ
58 … バイパスバルブ
59a … 第1のブレーキ液検知手段
59a … 第1のブレーキ液検知手段
59b … 第2のブレーキ液検知手段
60,61 … 加圧バルブ
62,63 … 減圧バルブ
L1 … 第1の液路
L2 … 第2の液路
L3 … 第3の液路
L4 … 第4の液路
L5 … 第5の液路
L6 … 第6の液路
L7 … 第7の液路
L8 … 第8の液路

Claims (3)

  1. 車両の対角方向に配置された前後の車輪毎にブレーキ液圧を供給可能な2系統の液圧ラインを有し、且つ、前記各車輪に対してそれぞれ独立したブレーキ液圧を供給して制動力を発生可能なブレーキ液圧回路と、
    設定車速以下での走行中に前記車両を制動するとき、前記各車輪に発生させる前記制動力の前後配分比が、前記対角方向に配置された前記前後の車輪が前記制動力によって前記車両にそれぞれ発生させるヨーモーメントを差し引きさせる配分比となるように前記ブレーキ液圧の配分制御を行う制動制御手段と、を備えたことを特徴とする車両の制動力制御装置。
  2. 前記制動力の前後配分比は、前輪の前記制動力をF、後輪の前記制動力をF、前輪のトレッド幅をd、後輪のトレッド幅をdとしたとき、前記ブレーキ液圧の配分制御によって前記前後の車輪に発生する前記制動力が、
    =(d/d)・F
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の車両の制動力制御装置。
  3. 追従車間距離制御機能を備えた前記車両に搭載され、
    前記制動制御手段は、前記追従車間距離制御機能によるブレーキの作動時に、前記ブレーキ液圧の配分制御を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の制動力制御装置。
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