JP7518401B2 - 電力制御システム、負荷装置、制御方法および情報処理装置 - Google Patents

電力制御システム、負荷装置、制御方法および情報処理装置 Download PDF

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Description

本開示は、電力制御システム、負荷装置、制御方法および情報処理装置に関する。
太陽光発電や風力発電等、発電装置の導入の拡大に伴い、電力系統の電路における電圧上昇が問題となっている。
特許文献1には、交流系統と需要家の連携点の力率を算出するための状態量に基づいて、交流系統と需要家の力率を所定力率以上とするために必要なインバータの出力する無効電力を算出し、インバータを制御することで、力率を所定の値以上に保つことが記載されている。
特許文献2には、複数の太陽電池に設けられる複数のインバータについて、対応する太陽電池が発電量低下状態である第1のインバータの力率を低くし、発電量低下状態でない第2のインバータの力率を高くすることで、太陽光発電システム全体の発電電力の低下を抑制することが記載されている。
特開2020-182276号公報 特許第6713237号公報
電路の電圧上昇の抑制のため、発電装置から電路への無効電力の供給を制御し、電路の力率が予め定められた値になるように制御する場合がある。この場合、例えば太陽光発電における晴天時のように発電量が大きくなる機会において、電路への有効電力の供給が制限されるため、最大量の発電が行われず、発電機会を損失することになる。
本開示は、発電装置から電路への無効電力の供給のみで、電路の力率を制御する場合に比べ、発電機会の損失を抑制することを目的とする。
本開示の電力制御システムは、電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置による、当該電路への無効電力の供給を制御する制御手段と、を備える。この場合、発電装置から電路への無効電力の供給のみで、電路の力率を制御する場合に比べ、発電機会の損失を抑制する。
ここで、前記負荷装置は、前記電路に分散して配置された複数の負荷装置であり、前記制御手段は、前記供給情報に応じて、前記複数の負荷装置による前記電路への無効電力の供給を制御して良い。この場合、複数の負荷装置を制御の対象にすることで、1つの負荷装置のみを制御の対象にする場合に比べ、力率の制御の自由度が向上する。
また、前記電路において、前記発電装置が電力系統に連系する系統連系点と、前記複数の負荷装置が当該電力系統に接続される箇所とは異なることとして良い。この場合、系統連系点とは異なる箇所に接続される負荷装置を制御の対象にすることで、同じ箇所に接続される負荷装置のみを制御の対象にする場合に比べ、力率の制御の自由度が向上する。
さらに、前記複数の負荷装置は、前記発電装置に前記系統連系点を介して接続される前記電力系統上の配電線と、変圧器を介して接続されて良い。この場合、発電装置と同じ配電線に接続される複数の負荷装置を制御の対象にすることで、異なる配電線に接続される負荷装置を制御の対象にする場合に比べ、制御の精度が向上する。
また、前記負荷装置は、前記電路上において、前記発電装置が電力系統に連系する系統連系点と同じ箇所で当該電力系統に接続される複数の負荷装置であり、前記制御手段は、前記取得手段により取得された前記供給情報に応じて、前記複数の負荷装置による、前記電路への無効電力の供給を制御して良い。この場合、発電装置の系統連系点と同じ箇所に接続される複数の負荷装置を制御の対象にすることで、異なる箇所に接続される負荷装置を制御の対象にする場合に比べ、制御の精度が向上する。
また、前記負荷装置の前記補償電力供給手段は、当該負荷装置である自装置における皮相電力の調整が可能であり、前記供給情報に応じて前記電路への無効電力の供給をさせる場合に、当該補償電力供給手段による当該自装置における皮相電力の調整を制限させて良い。この場合、自装置における皮相電力を調整するとともに、電路に供給するための無効電力を確保することができる。
また、前記負荷装置は、コンデンサを電圧源として、無効電力を供給可能な前記補償電力供給手段を備えて良い。この場合、二次電池を電圧源として無効電力を供給する場合に比べ、負荷装置の寿命の低下を抑制する。
さらに、前記取得手段は、前記電路の皮相電力に係る電路情報を取得し、前記制御手段は、前記電路情報に応じて、前記負荷装置による前記電路への無効電力の供給を制御して良い。この場合、電路情報に係わらず負荷装置による無効電力の供給を制御する場合に比べ、力率の制御の精度が向上する。
さらにまた、前記電路情報は、前記電路のうち、前記発電装置が電力系統に連系する系統連系点を介して当該発電装置と接続される配電線から分岐し、当該系統連系点に至る電路の電路情報であって良い。この場合、系統連系点毎に電路の力率の制御が行われ、制御の精度が向上する。
また、前記制御手段は、前記電路について予め定められた力率と前記供給情報とに応じて、前記負荷装置による当該電路への無効電力の供給を制御して良い。この場合、予め定められた力率に係わらず制御する場合と比べ、力率の制御の精度が向上する。
また、前記制御手段は、前記負荷装置について予め定められた条件に応じて、前記発電装置による前記電路への無効電力の供給を制御して良い。この場合、制御手段が負荷装置のみを制御する場合に比べ、力率の制御の自由度が向上する。
さらに、前記制御手段は、前記負荷装置の位置について予め定められた条件および前記発電装置の位置について予め定められた条件に基づいて、当該発電装置による前記電路への無効電力の供給と、当該負荷装置による無効電力の供給との関係を制御して良い。この場合、発電装置および負荷装置の位置に係わらず制御する場合に比べ、力率の制御の精度が向上する。
また、前記取得手段は、前記負荷装置から前記発電装置までの電路における当該負荷装置により供給される無効電力の損失に係る損失情報を取得し、前記制御手段は、前記損失情報に応じて、前記負荷装置が前記電路へ供給する無効電力を制御して良い。この場合、損失情報に係わらず制御が行われる場合に比べ、力率の制御の精度が向上する。
他の観点から捉えると、本開示の負荷装置は、電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給する補償電力供給手段と、を備える。この場合、発電装置から電路への無効電力の供給のみで、電路の力率を制御する場合に比べ、発電機会の損失を抑制する。
他の観点から捉えると、本開示の制御方法は、電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得する取得工程と、前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置による、当該電路への無効電力の供給を制御する制御工程と、を備える。この場合、発電装置から電路への無効電力の供給のみで、電路の力率を制御する場合に比べ、発電機会の損失を抑制する。
他の観点から捉えると、本開示の情報処理装置は、他装置との間の情報の送受信を制御する制御部を有し、前記制御部は、電力を発電し、電路に供給する前記発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得し、前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置に、当該電路への無効電力の供給を指示する指示情報を送信する。この場合、発電装置から電路への無効電力の供給のみで、電路の力率を制御する場合に比べ、発電機会の損失を抑制する。
他の観点から捉えると、本開示の負荷装置は、電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報に基づいて、当該電路への無効電力の供給を指示する指示情報を受け付ける受付手段と、前記受付手段が受け付けた前記指示情報に応じて、前記電路に無効電力を供給する補償電力供給手段と、を備える。この場合、発電装置から電路への無効電力の供給のみで、電路の力率を制御する場合に比べ、発電機会の損失を抑制する。
また、負荷装置は、受電した電力を変換する変換手段と、前記変換手段に変換された電力を消費して温度または湿度の調整を行うヒートポンプ手段と、を有し、前記補償電力供給手段は、コンデンサを電圧源として前記変換手段の受電経路に無効電力を供給して良い。この場合、負荷装置の複雑化が抑制される。
本実施形態が適用される電力制御システムを含む、電力供給システムの全体構成の例を示す図である。 本実施形態に係る制御装置および管理サーバのハードウェア構成の例を示す図である。 太陽光発電装置のハードウェア構成の例を示す図である。 空気調和装置のハードウェア構成の例を示す図である。 本実施形態に係る太陽光発電装置、空気調和装置、制御装置、および管理サーバの機能構成の例を示す図である。 電路管理テーブルの例を示す図である。 機器管理テーブルの例を示す図である。 太陽光発電装置、空気調和装置、制御装置、および管理サーバの動作例を示すシーケンス図である。 制御装置における、必要量の算出に係る動作例を示すフローチャートである。 制御装置における、担当機器の決定に係る動作例を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して実施の形態(「実施形態」と呼ぶ。)について説明する。
[電力供給システム1000]
図1は、本実施形態が適用される電力制御システム1を含む、電力供給システム1000の全体構成の例を示す図である。
図1の例において、電力供給システム1000は、発電所91を含む電力系統90と、機器群N(N1,N2,N3,N4,N5)と、電力制御システム1とを含んでいる。
(電力系統90)
電力系統90は、発電所91を備え、発電と需要家への電力の供給とを行うシステムである。図1の例では、電力系統90には、発電所91、供給側変電所92、送電線93、配電線930(930b,930c)、電圧調整装置94、受給側変圧器95(95d,95e,95f,95g,95g,95h)、引き込み線96(96d,96e,96f,96g,96g,96h)、配電用変電所97が設けられている。
なお、配電線930に対し、発電所91の位置する側を「供給側」、供給側とは異なる側を「受給側」と呼ぶ場合がある。
発電所91は、電力系統90において配電される電力を発電する設備である。この例においては、発電所91は、引き込み線96に接続される機器(後述)よりも大きな電力を発電する。より詳しくは、発電所91は、送電線93、配電線930および引き込み線96に接続される設備および機器の中で最も大きな電力を発電する。
発電所91としては例えば、火力発電所、水力発電所、風力発電所、太陽光発電所、地熱発電所、原子力発電所、揚水発電所等が挙げられる。
供給側変電所92は、発電所91からの電圧を変換して出力する。より詳しくは、供給側変電所92は、受給側変圧器95よりも供給側に設けられた1または複数の変電所であり、設置された変圧器により印加された電圧を変換して出力する。供給側変電所92に設置される変圧器としては、発電所91からの電圧を27.5万V~50万Vの電圧に変換する変圧器、27.5万V~50万Vの電圧を15.4万Vに変換する変圧器、15.4万Vの電圧を6.6万Vに変換する変圧器、6.6万Vの電圧を2.2万Vに変換する変圧器等が挙げられる。
送電線93は、供給側変電所92からの電圧が印加されて生じる電流が流れる線路である。送電線93は配電用変電所97に接続される。配電用変電所97は、例えば2.2万Vの電圧を6600Vに変換する。配電線930は、配電用変電所97からの電圧が印加されて生じる電流が流れる線路である。電流は配電用変電所97から配電線930へと流れる。図1の例では、配電用変電所97は2本の配電線930b,930cに接続されている。
電圧調整装置(SVC:Static Var CompensatorもしくはSTATCOM)94は、配電線930の電圧を調整する。より具体的には、電圧調整装置94は、配電線930の電圧を検出し、検出した電圧が予め定められた範囲でない場合に、この電圧が予め定められた範囲に収まるように、電圧を調整する。
なお、図1の例では、2本の配電線930b,930cに対応して、それぞれの電圧を調整する2つの電圧調整装置94が設けられている。
配電線930は、配電用変電所97に接続されて配電用変電所97からの電流が流れる線路である。図1の例では、2本の配電線930b,930cが設けられ、各配電線930に電圧を変更する配電用変電所97を介して送電線93からの電流が流れる。
また、各配電線930は複数の受給側変圧器95に接続され、電流は各受給側変圧器95へ流れる。図1の例では、配電線930bが受給側変圧器95d,95e,95fに接続され、配電線930cが受給側変圧器95g、95hに接続されている。
受給側変圧器95は、配電線930からの電圧を変換して出力する。より詳しくは、受給側変圧器95は、供給側変電所92よりも受給側に設けられた1または複数の変圧器であり、印加された電圧を変換して出力する。受給側変圧器95としては、6600Vの電圧を100Vまたは200Vに変換する変圧器等が挙げられる。また受給側変圧器95は、柱上変圧器であってもよいし、需要家側で6600Vの電圧を100Vまたは200Vに変換する受電設備でもよい。
引き込み線96は、受給側変圧器95からの電圧が印加されて生じる電流が流れる線路である。図1の例では、引き込み線96d,96e,96f,96g,96hは、受給側変圧器95d,95e,95f,95g,95hのそれぞれに接続されており、各引き込み線96には、各受給側変圧器95からの電圧の印加により生じる電流が流れることになる。
以上説明したように、電力系統90では、発電所91からの電力が供給側変電所92にて変換され、送電線93および配電用変電所97および配電線930を介して各受給側変圧器95へ分岐する。そして、分岐した電力は、受給側変圧器95にて変換され、引き込み線96を介して接続先の機器群Nへ供給される。このようにして、電力系統90による発電所91から各機器群Nへの配電が行われる。
ここで、送電線93、配電線930および引き込み線96は、何れも、本実施形態に係る電路の一例である。以降、本明細書では、これらを纏めて「電路」と呼ぶ場合がある。
送電線93、配電線930および引き込み線96には、各電路の皮相電力に係るパラメータを検出する電路センサ6(6a,6b,6c,6d,6e,6f,6g,6h)が取り付けられている。なお、皮相電力に係るパラメータとは、皮相電力に影響を及ぼすパラメータである。皮相電力に係るパラメータとしては、例えば、皮相電力、有効電力、無効電力、電流、電圧、力率の他、予め定められた期間における皮相電力量、有効電力量や無効電力量等が挙げられる。皮相電力に係るパラメータは、電路の皮相電力に係る電路情報の一例である。
また、電路センサ6は、例えば、予め定められた時間ごとに、皮相電力に係るパラメータを検出する。予め定められた時間は限定されないが、例えば60秒である。そして、電路センサ6は、検出したパラメータと電路を識別するための電路識別情報とを、制御装置10(後述)へ送信する。
なお、電路センサ6が検出するパラメータは、1種類に限定されない。電路センサ6は、上記したパラメータのうち複数種類を検出しても良く、検出した複数種類のパラメータを含む情報を、制御装置10へ送信しても良い。また、電路センサ6に検出されるパラメータは、電路センサ6毎に同じ種類のパラメータであっても良いし、電路センサ6毎に異なる種類のパラメータであっても良い。
(機器群N)
機器群Nは、共通の引き込み線96を介して電力系統90に接続する機器の纏まりである。言い換えると、ある機器群Nに属する1または複数の機器は、共通の引き込み線96を介して電力系統90に連系する。図1の例では、5つの機器群N1,N2,N3,N4,N5を示し、各機器群Nには、太陽光発電装置3や空気調和装置4、蓄電装置5が属している。例えば、機器群N1には、2つの太陽光発電装置3と3つの空気調和装置4とが属しており、これらの機器は共通の引き込み線96dを介して電力系統90に連系する。なお、機器群N3には1つの太陽光発電装置3のみが属するように、機器群Nは1つの機器により構成されていても良い。
機器群N内の各機器は、1の需要家が所有するものであっても、複数の需要家が所有するものであっても良い。また、異なる機器群Nに属する複数の機器を、1の需要家が所有していても良い。
ここで、引き込み線96において機器群Nが接続される点、言い換えると、機器群Nに属する機器が電力系統90に連系する点を、系統連系点Pと呼ぶ。なお、機器群N毎の系統連系点Pについて、区別が必要な場合は、機器群Niと同じ番号iを付して系統連系点Piと呼ぶ。例えば、機器群N1に属する太陽光発電装置3および空気調和装置4は、系統連系点P1にて電力系統90に連系する。
なお、図1の例では、機器群N内の各機器は、系統連系点Pから枝分かれする機器接続線7を介して、引き込み線96に接続されている。系統連系点Pは、機器群N内の機器接続線7が引き込み線96に接続する点として捉えることもできる。
太陽光発電装置3は、太陽光等の光エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電する機器である。本実施形態に係る太陽光発電装置3は、発電所91よりも小さな電力を発電する。この「小さな電力を発電する」とは、太陽光発電装置3が単位時間当たりに発電できる電力の最大値が、発電所91が単位時間当たりに発電できる電力の最大値よりも小さいことを指し、太陽光発電装置3の発電する電力が、常に、発電所91の発電する電力よりも小さくなることを指すものではない。
太陽光発電装置3は、機器接続線7を介し、発電した電力を機器群N内の空気調和装置4または蓄電装置5に供給することができる。また、太陽光発電装置3は、機器接続線7を介し、発電した電力を電路に供給することができる。本実施形態に係る太陽光発電装置3は、発電した電力を電路に供給する発電装置の一例である。
本実施形態に係る太陽光発電装置3は、自装置を識別するための機器識別情報と、電源の状態を示す情報と、自装置にて発電した電力を示す情報と、電路へ供給する有効電力を示す情報と、電路へ供給する無効電力を示す情報と、電路へ供給可能な無効電力の大きさを示す供給能力の情報とを、発電装置情報として予め定められた時間毎に管理サーバ20(後述)へ送信する。予め定められた時間は限定されないが、例えば60秒である。
なお、発電装置情報に含まれる、電源の状態を示す情報、発電した電力を示す情報、電路へ供給する有効電力を示す情報、および電路へ供給する無効電力を示す情報は、何れも、太陽光発電装置3から電路への電力の供給に係る供給情報の一例である。
空気調和装置4は、機器接続線7を介して受給した電力を消費し、温度または湿度を調整するヒートポンプ手段(図4を用いて後述)を備える機器である。なお、「温度または湿度を調整する」とは、空気調和装置4が、温度または湿度の何れか一方のみを調整することと、温度および湿度の両方を調整することとを含んでいる。
また、空気調和装置4は、制御装置10からの指示に応じ、機器接続線7を介して電路へ無効電力を供給する。本実施形態に係る空気調和装置4は、電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置の一例である。
蓄電装置5は、機器接続線7を介して受給した電力を蓄え、ユーザからの要求に応じて蓄えた電力を供給する機器である。蓄電装置5は、リチウムバッテリ等の二次電池(蓄電池)(不図示)を含み、この二次電池の充電および放電によって、電力の供給が可能になっている。蓄電装置5は、二次電池を補償電力供給手段として、制御装置10からの指示に応じ、機器接続線7を介して電路へ無効電力を供給する。本実施形態に係る蓄電装置5は、補償電力供給手段を備えた負荷装置の一例である。
本実施形態に係る空気調和装置4または蓄電装置5は、自装置を識別するための機器識別情報と、電源の状態を示す情報と、稼働状況を示す情報と、電路へ供給している無効電力を示す情報と、供給能力の情報とを、負荷装置情報として予め定められた時間毎に管理サーバ20(後述)へ送信する。予め定められた時間は限定されないが、例えば60秒である。
なお、負荷装置情報には、空気調和装置4または蓄電装置5における供給能力を、推定または算出し得る情報が含まれていれば良く、上記の例に限定されない。
グループGは、同じ機器群Nに属する機器のうち、補償電力供給手段を備える機器の纏まりである。各グループGについて、区別が必要な場合には、図1において符号G1,G2,G4で示すように、機器群Niと同じ番号iを付してグループGiと呼ぶ。例えば、グループG1は、機器群N1に属する機器のうち、補償電力供給手段を備える3つの空気調和装置4により構成される。
なお、図1の例では、空気調和装置4のみで構成されるグループGを示しているが、グループGは、蓄電装置5を含んでも良く、蓄電装置5のみで構成されても良い。
(電力制御システム1)
図1に示すように、電力制御システム1は、制御装置10と、管理サーバ20とを備えている。
本実施形態が適用される電力制御システム1は、太陽光発電装置3や空気調和装置4、電路センサ6から取得した情報に応じて、空気調和装置4または蓄電装置5の補償電力供給手段による電路への無効電力の供給を制御する。
制御装置10は、空気調和装置4または蓄電装置5に対し、電路への無効電力の供給に係る指示を行い、各機器から電路への無効電力の供給を制御する情報処理装置である。本実施形態では、制御装置10は、管理サーバ20を介して太陽光発電装置3の発電装置情報を取得し、電路センサ6から皮相電力に係るパラメータおよび電路識別情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、電路への無効電力の供給が必要か否かを判定し、無効電力の供給が必要と判定した場合に、電力系統90に接続された機器に対して無効電力の供給を指示する。
管理サーバ20は、太陽光発電装置3から受信した発電装置情報や、空気調和装置4または蓄電装置5から受信した負荷装置情報を管理し、制御装置10からの要求に応じて管理している情報を送信する情報処理装置である。
その他、本実施形態に係る管理サーバ20は、制御装置10が空気調和装置4または蓄電装置5に無効電力の供給を指示した場合に、指示の内容を制御の履歴として管理する。
制御装置10や管理サーバ20は、例えば、コンピュータにより実現される。また、制御装置10および管理サーバ20は、それぞれ単一のコンピュータにより構成しても良いし、複数のコンピュータによる分散処理により実現しても良い。また、クラウドコンピューティングにより提供される仮想的なハードウェア上にて実現しても良い。
さらに、本実施形態では、制御装置10と管理サーバ20とが別体の装置として実現されるが、制御装置10および管理サーバ20が一体の装置として実現されても構わない。
本実施形態では、制御装置10と、管理サーバ20、電路センサ6、太陽光発電装置3、および空気調和装置4とは、ネットワーク(不図示)を介して接続されている。また、管理サーバ20と、太陽光発電装置3、および空気調和装置4とは、ネットワークを介して接続されている。各装置間を接続するネットワークは、情報の送受信を可能にするものであれば限定されず、有線通信や無線通信、または電力線通信(PLC:Power Line Communication)であって良い。また、各装置間は、複数のネットワークや通信回線、中継装置等を介して接続されて良い。
ここで、太陽光発電装置3により発電される電力が小さい場合には、仮に発電した電力の略すべてを有効電力として電路へ供給し、力率が100%に近付いたとしても、電路の電圧上昇は小さい。反対に、太陽光発電装置3により発電される電力が大きい場合には、仮に発電した電力の略すべてを有効電力として電路へ供給し、力率が100%に近付くと、電路の電圧上昇が大きくなる。したがって、少なくとも太陽光発電装置3により発電される電力が大きい場合には、電路の力率を制御して電圧上昇を抑制する必要がある。
本実施形態が適用される電力制御システム1は、太陽光発電装置3からの発電装置情報に基づいて、太陽光発電装置3、空気調和装置4および蓄電装置5による電路への無効電力の供給を制御する。そして、各機器から供給された無効電力により、電路の力率を制御する。
[各装置のハードウェア構成]
(制御装置10および管理サーバ20)
図2は、本実施形態に係る制御装置10および管理サーバ20のハードウェア構成の例を示す図である。
なお、本実施形態においては、共通の図面を用いて、制御装置10と管理サーバ20とが同様のハードウェア構成を備えるものとして説明するが、制御装置10と管理サーバ20とは、異なるハードウェア構成を備えていても良い。
図示するように、制御装置10および管理サーバ20は、CPU(Central Processing Unit)10aと、ROM(Read Only Memory)10bと、RAM(Random Access Memory)10cと、記憶部10dと、通信部10e(通信インタフェース)とを備えている。この他、制御装置10および管理サーバ20には、キーボードやマウス等の情報の入力に用いられる入力部、液晶ディスプレイ等の表示部を有しても良い。これらの各機能部は、バス10fに接続され、このバス10fを介してデータの授受を行う。
ROM10bおよび記憶部10dは、CPU10aにより実行されるプログラムを記憶する。CPU10aは、ROM10bや記憶部10dに記憶されているプログラムを読み出し、RAM10cを作業エリアにして実行する。
本実施形態では、CPU10aがROM10bや記憶部10dに記憶されているプログラムを実行することにより、制御装置10および管理サーバ20の各種機能が実現される。
(太陽光発電装置3)
図3は、太陽光発電装置3のハードウェア構成の例を示す図である。
本実施の形態に係る太陽光発電装置3は、情報処理装置30と、発電装置31とを含んで構成されている。
図示するように、情報処理装置30は、CPU30aと、ROM30bと、RAM30cと、記憶部30dと、通信部30e(通信インタフェース)とを備えている。また、これらの各機能部は、バス30fに接続されている。情報処理装置30のハードウェア構成は、上記した制御装置10および管理サーバ20(図2参照)と同様であるので、各機能部に同じ名称を付して詳細な説明を省略する。
発電装置31は、電力変換部31aと、発電部31bと、機器接続線7(図1参照)に接続された電力供給路31cとを備えている。
発電部31bは、いわゆるソーラーパネルと接続箱とを含む機能部であり、受光した光エネルギーを直流の電力に変換し、蓄積する。そして、電力変換部31aは、いわゆるパワーコンディショナであり、発電部31bが蓄積した直流の電力を交流の電力に変換して、電力供給路31cへ供給する。電力供給路31cに供給された電力は、機器接続線7を介して機器群N内の空気調和装置4または蓄電装置5に供給される。また、電力供給路31cに供給された電力は、機器接続線7を介して電路に供給される。
電力変換部31aは、情報処理装置30からの制御信号(図5を用いて後述)に応じて、発電部31bからの直流を交流に変換した有効電力とともに、無効電力を出力することができる。より詳しくは、情報処理装置30からの制御信号に応じた大きさの無効電力を出力することができる。ここで、電力変換部31aが取り込み可能な電力は、電力変換部31aの容量に応じた上限が存在する。したがって、電力変換部31aは、制御信号に応じた大きさの無効電力の出力を確保しつつ、取り込む電力が上限以下となるように、有効電力の変換および出力を制限する。このように、本実施形態に係る太陽光発電装置3においては、電路へ無効電力を供給する際に、電路への有効電力の供給が制限される。
(空気調和装置4)
図4は、空気調和装置4のハードウェア構成の例を示す図である。
本実施の形態に係る空気調和装置4は、情報処理装置40と、ヒートポンプ装置41とを含んで構成されている。
図示するように、情報処理装置40は、CPU40aと、ROM40bと、RAM40cと、記憶部40dと、通信部40e(通信インタフェース)とを備えている。また、これらの各機能部は、バス40fに接続されている。情報処理装置40のハードウェア構成は、上記した制御装置10および管理サーバ20(図2参照)と同様であるので、各機能部に同じ名称を付して詳細な説明を省略する。
ヒートポンプ装置41は、補償電力供給手段の一例であるAF(アクティブフィルタ:Active Filter)41aと、変換手段の一例である電力変換部41bと、ヒートポンプ手段の一例である調整部41cと、機器接続線7(図1参照)に接続された受電経路41dとを備えている。
調整部41cは、環境の空気の温度または湿度を調整する。調整部41cには、受給した電力を用いて動作するモータを内蔵した圧縮機(不図示)および熱交換器(不図示)が設けられている。圧縮機内に内蔵されているモータは回転運動を圧縮部に伝達し、圧縮部で冷媒を圧縮する。圧縮されて圧力と温度が共に高くなり、液化した冷媒は、熱交換器に送られて、熱を外気に放熱する。これにより、環境の空気の温度または湿度が調整される。
電力変換部41bは、インバータ(不図示)およびコンバータ(不図示)を有する。電力変換部41bは、受電経路41dを介して受給した電力を、インバータおよびコンバータを用いて、特定の電圧および周波数の電力に変換する。特定の電圧および周波数とは、調整部41cに設けられている圧縮機に内蔵されたモータの動作に必要な電圧および周波数である。電力変換部41bは、変換した電力を調整部41cに供給し、調整部41cを動作させる。
AF41aは、受電経路41dに対して、電力変換部41bと電気的に並列に接続され、受電経路41dに電力を供給することで、受電経路41dにおける皮相電力を調整する。このように、AF41aは、自装置における皮相電力を調整することができる。また、AF41aは、情報処理装置40からの制御信号(図5を用いて後述)に応じて、電路へ無効電力を供給する。AF41aは、本実施形態に係る補償電力供給手段の一例である。なお、本実施形態に係るAF41aは、電路への無効電力の供給に際し、自装置における皮相電力の調整を制限することで、電路に供給するための無効電力を確保しても良い。
また、AF41aは、電圧源としてのコンデンサを含んで構成される回路(不図示)を備えている。このコンデンサおよび回路は容量を有し、充電および放電によって無効電力の供給が可能になっている。
本実施形態では、情報処理装置40のCPU40aにより、空気調和装置4における各種の演算処理が実行されるものとして説明する。しかしながら、他の実施の形態においては、ヒートポンプ装置41のAF41aが機能部としてのCPUを備え、このCPUにより各種の演算処理が実行されても良い。
ここで、CPU10a,30a,40a(図2~4参照)によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)、光記録媒体(光ディスク等)、光磁気記録媒体、半導体メモリ等のコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、各装置へ提供される。また、実行されるプログラムは、インターネット等の通信手段を用いて、各装置へ提供されても良い。
[各装置の機能構成]
図5は、本実施形態に係る太陽光発電装置3、空気調和装置4、制御装置10、および管理サーバ20の機能構成の例を示す図である。
なお、図5では、説明のため、電力制御システム1および機器群N1に属する各機器の他、機器群N1への配電を行う引き込み線96dと、引き込み線96dに取り付けられた電路センサ6dとを示している。
(制御装置10)
制御装置10は、通信処理部101と、必要量算出部102と、担当決定部103と、分担決定部104と、指示作成部105と、課金決定部106とを備えている。
通信処理部101は、通信部10e(図2参照)を介して他装置との情報の送受信を行う。通信処理部101は、取得手段の一例であり、管理サーバ20に対して太陽光発電装置3の発電装置情報を要求し、取得する。また、通信処理部101は、管理サーバ20に対して空気調和装置4または蓄電装置5の負荷装置情報を要求し、取得する。さらに、電路センサ6から、対象となる電路の皮相電力に係るパラメータおよび電路識別情報を取得する。なお、図5の例では、電路センサ6dから引き込み線96dの情報を取得する場合の例を示しているが、本実施形態に係る通信処理部101は、電力系統90上のすべての電路センサ6から情報を取得可能になっている。
その他、通信処理部101は、指示作成部105が作成した指示情報を、宛先となる各機器へ送信する。また、指示作成部105が作成した指示情報および指示に際し取得した電路センサ6からの情報を、管理サーバ20に送信する。
必要量算出部102は、電路への無効電力の供給が必要か否かを判定し、供給が必要な場合に、供給が必要な無効電力の大きさ(「必要量」と呼ぶ場合がある。)を算出する。より詳しくは、必要量算出部102は、電路センサ6から取得した情報を管理しており、管理している情報と管理サーバ20から取得した太陽光発電装置3の発電装置情報に基づいて、対象となる電路への無効電力の供給が必要か否かを判定する。そして、無効電力の供給が必要と判定された場合に、管理している情報および発電装置情報に基づいて、必要量を算出する。
ここで、図6を用いて、必要量算出部102により管理される情報について、具体的に説明する。ここでは、電路センサ6から、皮相電力に係るパラメータとして、対象となる電路の有効電力、無効電力、皮相電力、力率の現在値を取得した場合を例にして説明する。
図6は、電路管理テーブルT1の例を示す図である。
本実施形態に係る必要量算出部102は、予め登録された電路に係る情報と、電路センサ6から取得した情報とを、電路識別情報によって電路毎に紐づけ、電路管理テーブルT1として管理する。なお、図6では、電路管理テーブルT1の1列目「電路識別情報」に示すように、電路識別情報の例として、各電路に取り付けられた電路センサ6の符号(6a,6b,6c,6d,6e,6f,6g,6h)を記載している。
本実施形態に係る必要量算出部102には、電路に係る情報として、電路識別情報と、電路の位置情報と、電路の力率の目標値と、電路に供給される有効電力の上限値と、電路に供給される無効電力の上限値と、電路に供給される電流の上限値とが、予め登録されている。
電路に係る情報は例えば、制御装置10に直接入力されることで登録されて良い。また例えば、電力系統90の管理者が利用するコンピュータシステム等から、通信により取得され、登録されても良い。
電路の位置情報は、対象となる電路の電力系統90における位置を示す情報である。本実施形態では、図6において電路管理テーブルT1の2列目「位置/接続先機器群」に示すように、電路の位置情報として、その電路に対し受給側において何れの機器群Nが接続されるかを示す情報を用いている。例えば、電路識別情報「6a」で示される送電線93(図1参照)は、受給側において機器群N1,N2,N3,N4,N5に接続される電路として識別される。また、電路識別情報「6b」で示される配電線930bは、受給側において機器群N1,N2,N3に接続される電路として特定され、電路識別情報「6d」で示される引き込み線96dは、受給側において機器群N1に接続される電路として特定される。なお、電路の位置情報は、対象となる電路の位置を示す情報であれば限定されず、異なる情報を用いても良い。例えば、制御装置10に、電力系統90のマップデータを登録しておき、このマップデータにおける電路または取り付けられた電路センサ6の座標を電路の位置情報として用いても良い。また例えば、送電線93は配電用変電所97を介して配電線930b,930cに接続され、配電線930bは引き込み線96d,96e,96fに接続される、というように、電路間の接続関係を電路の位置情報として用いても良い。
力率の目標値は、例えば電力系統90の管理者(電力の供給者)によって、各電路について予め定められた、力率の制御を行う場合の目標値であり、電路について予め定められた力率の一例である。
図6の例では、電路管理テーブルT1の7列目「力率目標値[%]」に示すように、すべての電路の力率の目標値が一律に90%に定められているが、電路毎に異なる値が定められていても構わない。
有効電力の上限値は、例えば電力系統90の管理者(電力の供給者)によって、各電路について予め定められた、供給される有効電力の上限となる値である。有効電力の上限値は例えば、電路への有効電力の供給と電圧上昇との対応から定められる。より詳しくは、供給される有効電力が上限値を超える場合に、電圧上昇による問題が発生する、または、電圧上昇の影響が許容できなくなるものとして、有効電力の上限値が定められる。
図6の例では、電路管理テーブルT1の8列目「有効電力上限値[kW]」に示すように、電路毎に1500~7500kWに定められているが、すべての電路について同じ値が定められていても、異なる値が定められていても良い。
無効電力の上限値および電流の上限値は、有効電力の上限値と同様に、管理者等によって各電路について予め定められた、供給される無効電力または電流の上限となる値である。
ここで、力率と有効電力および無効電力との関係から、無効電力の上限値は、電路の力率の目標値および有効電力の上限値に応じて決定できる。したがって、無効電力の上限値は、予め登録された有効電力の上限値および力率の目標値に基づいて、制御装置10が算出するものとしても良い。反対に、制御装置10は、予め登録された無効電力の上限値および力率の目標値に基づいて、有効電力の上限値を算出しても良い。
また、皮相電力と有効電力および無効電力との関係から、皮相電力の上限値が決定できる。そして、この皮相電力の上限値を、電路の電圧で割ることにより、電流の上限値が決定できる。したがって、電流の上限値は、有効電力の上限値、無効電力の上限値および電路の電圧に基づいて、制御装置10が算出するものとしても良い。
図6の例では、電路管理テーブルT1の3~6列目において、電路センサ6から取得した情報のうち、対象となる電路の皮相電力に係るパラメータが管理されている。より詳しくは、3列目「有効電力[kW]」は電路に供給されている有効電力の大きさ、4列目「無効電力[kvar]」は電路に供給されている無効電力の大きさ、5列目「皮相電力[kVA]」は電路に供給されている皮相電力の大きさ、6列目「力率現在値[%]」は電路の力率の現在値に対応する。
このように、本実施形態に係る必要量算出部102は、電路管理テーブルT1によって、予め登録された電路に係る情報と、電路センサ6から取得した情報とを、電路毎に管理する。
必要量算出部102における必要量の算出について説明する。
詳細は図9を用いて後述するが、本実施形態に係る必要量算出部102は、管理サーバ20から取得した発電装置情報に基づいて、電路の力率の制御が必要か否かを判定し、力率の制御が必要と判定された場合に、必要量が0であるか否かを判定する。そして、必要量が0でない(無効電力の供給が必要)と判定された場合、必要量算出部102は、以下に示す式(1)に基づいて、必要量を算出する。式(1)では、力率の制御の対象となる電路(「対象電路」と呼ぶ場合がある。)における力率の目標値をF[-]、対象電路に供給される有効電力をP[W]、対象電路に供給される無効電力をQ[var]で示している。この式(1)が成立する場合に、電路の力率が目標値Fを満たすことになる。
Figure 0007518401000001
担当決定部103は、電路への無効電力の供給を担当する機器を決定する。より詳しくは、担当決定部103は、負荷装置情報および発電装置情報に基づいて、電力系統90に接続された機器の無効電力の供給能力を把握する。そして、把握した供給能力に基づいて、何れの機器を無効電力の供給の担当とすれば、必要量算出部102が算出した必要量を確保できるかを判定し、無効電力の供給を担当する機器を決定する。以降、無効電力の供給を担当する機器として決定された機器を、「担当機器」と呼ぶ場合がある。
詳細は図10を用いて後述するが、本実施形態に係る担当決定部103は、電力系統90に接続された太陽光発電装置3、空気調和装置4および蓄電装置5すべてを候補として、担当機器を決定する。この際、担当決定部103は、空気調和装置4、蓄電装置5等の負荷装置について予め定められた条件に応じて、担当機器を決定する。
分担決定部104は、無効電力の供給について、担当機器の分担を決定する。より詳しくは、分担決定部104は、担当決定部103により決定された担当機器毎に、供給を指示する無効電力の大きさを決定する。
なお、分担決定部104による分担の決定については、詳細を後述する。
指示作成部105は、電路への無効電力の供給を指示する指示情報を作成する。より詳しくは、指示作成部105は、担当決定部103が決定した担当機器のそれぞれを宛先として、分担決定部104が決定した大きさの無効電力の供給を指示する指示情報を作成し、通信処理部101に送信させる。
課金決定部106は、各機器から電路への無効電力の供給に係る課金を決定する。課金決定部106は例えば、無効電力の供給の対象となった電路の位置や、電路に接続された機器を所有する需要家の情報等に基づいて、無効電力の供給に係る課金先を決定する。また例えば、制御装置10からの指示により、各機器が電路へ供給した無効電力の大きさ、無効電力を供給した回数等に基づいて、課金先への課金額を決定する。
なお、課金に係る処理が不要である場合には、課金決定部106を設けなくとも良い。
(管理サーバ20)
管理サーバ20は、通信処理部201と、機器情報管理部202と、履歴管理部203と、課金決定部204とを備えている。
通信処理部201は、通信部10e(図2参照)を介して他装置との情報の送受信を行う。通信処理部201は、太陽光発電装置3からの発電装置情報や、空気調和装置4または蓄電装置5からの負荷装置情報を受信し、機器情報管理部202に管理させる。また、制御装置10からの要求に応じて、機器情報管理部202の管理する発電装置情報や負荷装置情報等の情報を送信する。さらに、制御装置10から指示情報等を受信する。
その他、通信処理部101は、電力系統90の管理者等からの要求に応じて、履歴管理部203が管理する履歴情報(後述)を管理者等の端末へ送信しても良い。
機器情報管理部202は、電力系統90に接続された機器の情報(「機器情報」と呼ぶ場合がある。)として、太陽光発電装置3から受信した発電装置情報と、空気調和装置4または蓄電装置5から受信した負荷装置情報とを管理する。より詳しくは、機器情報管理部202は、発電装置情報および負荷装置情報を機器毎に管理し、制御装置10からの要求に応じて取り出して、通信処理部201に送信させる。
図7を用いて、機器情報管理部202により管理される機器の情報について、具体的に説明する。
図7は、機器管理テーブルT2の例を示す図である。
本実施形態に係る機器情報管理部202には、電力系統90に接続された機器に係る情報が、機器毎に予め登録されている。そして、この予め登録された情報と、受信した発電装置情報および負荷装置情報とを、機器識別情報によって紐づけ、機器管理テーブルT2として管理する。なお、図7では、機器管理テーブルT2の1列目「機器識別情報」に示すように、機器識別情報の例として、機器の符号h(=3,4,5)と、所属する機器群Ni(=1,2,3,4,5)の番号iと、アルファベットj(=a,b,c)とを用いた文字列h-i-jを記載している。
本実施形態に係る機器情報管理部202には、電力系統90に接続された機器に係る情報として、機器識別情報と、機器の位置情報と、機器の所属するグループGの情報と、需要家識別情報とが、予め登録されている。
機器の位置情報は、電力系統90における機器の位置を示す情報である。本実施形態では、図7において機器管理テーブルT2の2列目「位置/所属機器群」に示すように、機器の位置情報として、その機器が所属する機器群Nの情報が用いられている。機器の位置情報は、対象となる機器の位置を示す情報であれば限定されず、異なる情報を用いても良い。例えば、制御装置10に、電力系統90のマップデータを登録しておき、このマップデータにおける機器の座標を機器の位置情報として用いても良い。また例えば、接続されている引き込み線96の情報や、系統連系点Pの情報等を、機器の位置情報として用いても良い。
需要家識別情報は、機器を所有する需要家を識別するための情報である。図7の例では、機器管理テーブルT2の10列目「需要家識別情報」に示すように、5の需要家が番号C1,C2,C3,C4,C5により識別されている。
機器管理テーブルT2の4~9列目においては、各機器の発電装置情報または負荷装置情報から取り出した情報が管理されている。
機器管理テーブルT2の4列目「電源」は、各機器の電源の状態を示す情報に対応し、電源が入っている機器では「ON」、電源が入っていない機器では「OFF」として管理されている。また、機器からの発電装置情報または負荷装置情報が取得できなかった場合や、電源の状態を示す情報として機器が故障している旨を取得した場合には、機器が故障状態であることを示す「Error」として管理する。なお、機器が故障状態であることが予め登録されている場合にも、同様に「Error」として管理する。
機器管理テーブルT2の5列目「稼働状況[kW]」は、負荷装置情報に含まれる、稼働状況を示す情報に対応する。図7の例では、稼働状況を示す情報として、空気調和装置4における電路から受給し消費している有効電力の大きさと、蓄電装置5における電路から受給し蓄えている有効電力の大きさとが用いられている。
また、機器管理テーブルT2の6列目「発電状況[kW]」は、発電装置情報に含まれる、太陽光発電装置3が発電した電力を示す情報に対応し、7列目「有効電力供給[kW]」は、発電装置情報に含まれる、太陽光発電装置3が発電し電路へ供給する有効電力を示す情報に対応する。
さらに、機器管理テーブルT2の8列目「無効電力供給[kvar]」は、発電装置情報または負荷装置情報に含まれる、各機器が電路へ供給している無効電力を示す情報に対応する。図7の例では、何れの機器も無効電力の供給を行っておらず、「無効電力供給[kWvar]」の欄はすべて0になっている。
機器管理テーブルT2の9列目「供給能力[kVA]」は、発電装置情報または負荷装置情報に含まれる、各機器の供給能力の情報に対応する。なお、本実施形態においては、供給能力の情報が各機器から取得されるものとして説明するが、制御装置10や管理サーバ20において、各機器の稼働状況や機器の備える容量等の情報に基づいて算出または推定されても良い。
このように、本実施形態に係る機器情報管理部202は、機器管理テーブルT2によって、予め登録された機器に係る情報と、各機器から取得した情報とを、機器毎に管理する。
履歴管理部203は、制御装置10から受信した指示情報を、無効電力の供給に係る制御の履歴として管理する。より詳しくは、履歴管理部203は、指示情報と、指示の前後において制御装置10が電路センサ6から取得した情報とを、制御装置10から受信して、制御の履歴として管理する。
なお、制御装置10にて同様の履歴管理部を備え、制御の履歴を管理しても良い。また、履歴の管理が不要である場合には、履歴管理部203を設けなくとも良い。
課金決定部204は、電力系統90における需要家への課金を決定する。課金決定部204は例えば、電力系統90に接続され管理サーバ20に登録された機器毎に、電力の受給の状況等に基づいて、機器を所有する需要家への課金額を決定する。
なお、課金に係る処理が不要である場合には、課金決定部204を設けなくとも良い。
(太陽光発電装置3)
太陽光発電装置3は、情報処理装置30により実現される機能構成として、通信処理部301と、信号生成部302と、情報管理部303とを備えている。
通信処理部301は、通信部30e(図3参照)を介して他装置との情報の送受信を行う。通信処理部301は、情報管理部303にて管理している自装置の発電装置情報を、管理サーバ20へ送信する。また、制御装置10から指示情報を受信する。
信号生成部302は、制御装置10から受信した指示情報に基づいて、発電装置31に対する制御信号を生成する。より詳しくは、信号生成部302は、指示情報により指示された大きさの無効電力を、電力供給路31cへ供給するように制御する制御信号を生成し、発電装置31に送信する。
情報管理部303は、自装置に係る情報を管理する。より詳しくは、情報管理部303は、機器識別情報と、電源の状態を示す情報と、自装置にて発電した電力を示す情報と、電路へ供給する有効電力を示す情報と、電路へ供給している無効電力を示す情報と、供給能力の情報とを管理する。そして、予め定められた時間毎に、発電装置情報として管理サーバ20に対して送信する。
なお、情報管理部303が管理する情報のうち、電源の状態を示す情報、自装置にて発電した電力を示す情報、電路へ供給する有効電力を示す情報、電路へ供給している無効電力を示す情報、供給能力の情報のように、経時で変化する情報については、予め定められた更新時間毎に更新が行われる。予め定められた更新時間は、発電装置情報を管理サーバ20に送信する予め定められた時間よりも短いことが良く、例えば10秒である。
(空気調和装置4)
空気調和装置4は、情報処理装置40により実現される機能構成として、通信処理部401と、信号生成部402と、情報管理部403とを備えている。
通信処理部401は、通信部40e(図4参照)を介して他装置との情報の送受信を行う。通信処理部401は、情報管理部403にて管理している自装置の負荷装置情報を、管理サーバ20へ送信する。また、制御装置10から指示情報を受信する。
信号生成部402は、制御装置10から受信した指示情報に基づいて、ヒートポンプ装置41に対する制御信号を生成する。より詳しくは、信号生成部402は、指示情報により指示された大きさの無効電力を、AF41aから受電経路41dへ供給するように制御する制御信号を生成し、ヒートポンプ装置41に送信する。
情報管理部403は、自装置に係る情報を管理する。より詳しくは、情報管理部403は、機器識別情報と、電源の状態を示す情報と、稼働状況を示す情報と、電路へ供給している無効電力を示す情報と、供給能力の情報とを管理する。そして、予め定められた時間毎に、機器装置情報として管理サーバ20に対して送信する。
なお、情報管理部403が管理する情報のうち、電源の状態を示す情報、稼働状況を示す情報、電路へ供給している無効電力を示す情報、供給能力の情報のように、経時で変化する情報については、予め定められた更新時間毎に更新が行われる。予め定められた更新時間は、機器装置情報を管理サーバ20に送信する予め定められた時間よりも短いことが良く、例えば10秒である。
なお、図5では空気調和装置4の機能構成を示したが、蓄電装置5や他の補償電力供給手段を備えた負荷装置(以下、「蓄電装置5等の負荷装置」と呼ぶ場合がある。)においても、電路への無効電力の供給に係る機能構成は同様であり、通信処理部と、信号生成部と、情報管理部とを有する。そして、蓄電装置5等の負荷装置は、負荷装置情報の管理および管理サーバ20への送信と、制御装置10からの指示情報の受信および指示情報に基づく制御信号の生成とを行う。
[各装置の動作]
(無効電力の供給の制御)
次に、図8を用いて、太陽光発電装置3、空気調和装置4、制御装置10、および管理サーバ20の動作について説明する。
図8は、太陽光発電装置3、空気調和装置4、制御装置10、および管理サーバ20の動作例を示すシーケンス図である。
ここでは主に、電路への無効電力の供給の制御に係る動作について説明する。なお、蓄電装置5(図1参照)における電路への無効電力の供給に係る動作は、空気調和装置4と同様であるので、ここでは空気調和装置4のみを示している。また、太陽光発電装置3および空気調和装置4を1つずつ示しているが、電力系統90に接続された機器すべてにおいて同様の動作が行われる。
空気調和装置4は、管理サーバ20に対し、予め定められた時間毎に負荷装置情報を送信する(S801)。また、太陽光発電装置3は、管理サーバ20に対し、予め定められた時間毎に発電装置情報を送信する(S802)。
管理サーバ20は、受信した負荷装置情報および発電装置情報を、機器情報として管理する(S803)。より具体的には、機器管理テーブルT2を更新して管理する。
制御装置10は、予め定められた時間毎に、電路センサ6から電路の情報を取得する(S804)。電路の情報を取得すると、制御装置10は、管理サーバ20に対し機器情報を要求する(S805)。
管理サーバ20は、制御装置10からの要求に応じて、最新の機器情報を送信する(S806)。より詳しくは、機器管理テーブルT2にて管理している情報を、機器情報として送信する。
制御装置10は、無効電力の必要量を算出する(S807)。より詳しくは、制御装置10は、発電装置情報に基づいて、電路の力率の制御が必要か否かを判定する。そして、電路の力率の制御が必要と判定された場合に、発電装置情報および電路の情報に基づいて、必要量が0であるか否かを判定する。必要量が0でないと判定された場合には、発電装置情報および電路の情報に基づいて、必要量の算出を行う。
ここで、電路の力率の制御が必要でないと判定された場合、または、力率の制御が必要だが必要量が0であると判定された場合には、電路への無効電力の供給の制御に係る動作を終了し、S801に戻る。
なお、S801~S806の動作は、この順に限定されるものではなく、少なくともS807にて必要量の算出を行うまでに、制御装置10が発電装置情報と電路の情報とを取得していれば良い。
必要量を算出すると、制御装置10は、無効電力の供給の担当機器を決定し(S808)、担当機器の分担を決定する(S809)。より詳しくは、本実施形態に係る制御装置10は、電路の情報、発電装置情報および負荷装置情報に基づいて、担当機器と分担とを決定する。
担当機器を決定すると、制御装置10は、担当機器に指示情報を送信して、無効電力の供給を指示する(S810)。図8では、太陽光発電装置3および空気調和装置4の両方が、担当機器として決定され、指示を受けた場合の例を示している。また、図8では、1つの空気調和装置4に対して無効電力の供給を指示する動作例を示しているが、複数の空気調和装置4が担当機器として決定された場合には、複数の空気調和装置4に対して指示が行われる。太陽光発電装置3についても同様である。
指示を受けた太陽光発電装置3および空気調和装置4は、指示に応じ無効電力を供給する(S811,S812)。より詳しくは、指示情報により指示された大きさにて、電路へ無効電力を供給する。
制御装置10は、再び、電路センサ6から電路の情報を取得する(S813)。そして、S810にて送信した指示情報と、S804,S813にて取得した電路の情報とを、管理サーバ20に送信する(S814)。言い換えると、実施した無効電力の供給の制御の内容と、制御の前後における電路の情報とを、管理サーバ20に送信する。
管理サーバ20は、受信した指示情報および電路の情報を、制御の履歴として管理する(S815)。
以上説明した動作により、制御装置10による必要量の算出と、担当機器および分担の決定と、担当機器への指示とが行われ、担当機器から電路への無効電力の供給が制御される。そして、制御装置10からの指示を受けた担当機器により、電路への無効電力の供給が行われ、電路の力率が制御される。
(必要量の算出)
図1,6,7および図9を用いて、必要量の算出に係る制御装置10の動作について説明する。ここでは、制御装置10が、電路センサ6から電路の情報を取得し、管理サーバ20から機器情報を取得した後の動作(図8におけるS807時点の動作)について説明する。
図9は、制御装置10における、必要量の算出に係る動作例を示すフローチャートである。
先述したように、本実施形態に係る制御装置10の必要量算出部102(図5参照)は、電路の力率の制御が必要か否か、および、必要量が0であるか否かを判定した上で、必要量の算出を行う。
必要量算出部102は、管理サーバ20から受信した機器情報に基づいて、力率の制御が必要か否かを判定する(S901)。より具体的には、電路へ供給する有効電力が予め定められた閾値を超える太陽光発電装置3(以下、「対象の太陽光発電装置3」と呼ぶ場合がある。)が、存在するか否かを判定する。対象の太陽光発電装置3が存在せず、電路の力率の制御は不要と判定した場合(S901にてNO)は、必要量の決定に係る動作を終了する。対象の太陽光発電装置3が存在し、電路の力率の制御が必要と判定した場合(S901にてYES)は、S902に進む。
ここで、予め定められた閾値が1000kWであるとする。機器管理テーブルT2を参照すると、太陽光発電装置3-1-bの有効電力供給の値が1600kWであり、予め定められた閾値1000kwを超えている。したがって、S901の判定はYESとなる。
電路の力率の制御が必要と判定された場合、必要量算出部102は、対象電路を特定する(S902)。本実施形態では、電路の位置情報と、対象の太陽光発電装置3の位置情報とに基づいて、太陽光発電装置3に対し供給側に位置する電路を、対象電路の候補とする。そして、電路管理テーブルT1から有効電力の上限値を取り出し、候補となった電路に供給される有効電力が上限値を超えるか否かを判定する。そして、上限値を超えた電路を、対象電路として特定する。
機器管理テーブルT2より、太陽光発電装置3-1-bは機器群N1に属している。また、電路管理テーブルT1より、機器群N1に対し供給側に位置する電路は、送電線93、配電線930b、引き込み線96dである。したがって、この例では、送電線93、配電線930b、引き込み線96dが対象電路の候補となる。図6,7を参照すると、引き込み線96dに対し受給側に位置する機器群N1において、太陽光発電装置3(3-1-a,3-1-b)の有効電力供給の合計は500+1600=2100kWであり、引き込み線96dの有効電力の上限値1500kWを超える。同様に、配電線930bに対し受給側に位置する機器群N1,N2,N3において、太陽光発電装置3の有効電力供給の合計は3700kWであり、配電線930bの有効電力の上限値4500kW以下である。また、送電線93に対し受給側に位置する機器群N1,N2,N3,N4,N5において、太陽光発電装置3の有効電力供給の合計は5300kWであり、送電線93の有効電力の上限値7500kW以下である。したがって、この例では、引き込み線96dが対象電路として特定される。
対象電路が特定されると、必要量算出部102は、必要量が0であるか否かを判定する(S903)。より具体的には、電路管理テーブルT1から、対象電路の皮相電力に係るパラメータと力率の目標値とを取り出して、太陽光発電装置3が発電した有効電力を対象電路に供給した場合に、力率が目標値を超えるか否かを判定する。
このように、本実施形態に係る必要量算出部102は、対象電路の皮相電力に係るパラメータと、太陽光発電装置3が発電し電路へ供給する有効電力の情報とに基づいて、必要量の算出を行い、各機器から電路への無効電力の供給を制御する。これにより、皮相電力に係るパラメータに係わらず各機器の無効電力の供給を制御する場合に比べ、力率の制御の精度が向上する。
必要量算出部102は、対象電路の力率が目標値を超えない場合には、必要量が0である(S903にてYES)と判定し、必要量の決定に係る動作は終了する。反対に、対象電路の力率が目標値を超える場合には、必要量が0でない(S903にてNO)と判定し、S904に進む。
図6,7の例では、引き込み線96dには、無効電力の供給は行われていない。したがって、太陽光発電装置3が発電した有効電力を供給すると、引き込み線96dの力率が100%となり、目標値90%を超えるため、S903の判定はNOとなる。
必要量が0でないと判定されると、必要量算出部102は、必要量を算出する(S904)。より具体的には、S902で特定された電路のそれぞれについて、電路の情報および機器情報を用い、式(1)に基づいて必要量を算出する。
引き込み線96dには、機器管理テーブルT2に示すように、太陽光発電装置3-1-a,3-1-bから合計2100kWの有効電力が供給される。また、電路管理テーブルT1に示すように、引き込み線96dの力率の目標値は90%(0.9)である。そして式(1)において、有効電力P=2100kW,力率の目標値F=0.9を代入すると、無効電力Q=1017kvar(小数点以下切り捨て)となる。これにより、無効電力の必要量が1017kvarと算出される。
以上の動作により、必要量の算出は終了する。
このように、本実施形態に係る必要量算出部102は、太陽光発電装置3が発電し電路へ供給する有効電力の情報に基づいて、必要量を算出し、各機器から電路への無効電力の供給を制御する。なお、太陽光発電装置3が発電し電路へ供給する有効電力の情報に代えて、太陽光発電装置3が発電した有効電力の情報に基づいて制御を行っても良い。また、太陽光発電装置3が設置された場所の天候や太陽光発電装置3の受光部分の面積、輻射計により測定された太陽光の強度等の情報を用いて、太陽光発電装置3が発電する有効電力を推定し、その推定結果の情報に基づいて制御を行っても良い。これらの情報は何れも、供給情報の一例である。
(担当機器の決定)
図1,6,7および図10を用いて、制御装置10における担当機器の決定について説明する。ここでは、制御装置10が、図9に示す動作により必要量の算出を行ったものとして、その後の動作について説明する。なお、図9の説明に際し用いた例と同様に、対象の太陽光発電装置が太陽光発電装置3-1-b、力率の制御の対象となる電路が引き込み線96dであり、算出された必要量は1017kvarであるとして説明する。
図10は、制御装置10における、担当機器の決定に係る動作例を示すフローチャートである。
なお、図10において、空気調和装置4と蓄電装置5とを区別せずに「負荷装置」として記載している。
制御装置10の担当決定部103(図5参照)は、まず、対象の太陽光発電装置3と同じ機器群Nに所属する負荷装置の供給能力を算出する(S1001)。より詳しくは、担当決定部103は、機器情報に基づいて、対象の太陽光発電装置3と同じ機器群Nに所属する空気調和装置4および蓄電装置5を特定し、供給能力の総和を算出する。
ここで、対象の太陽光発電装置3-1-bは、機器群N1に所属している。機器管理テーブルT2を参照して、同じ機器群N1に所属する空気調和装置4-1-a,4-1-b,4-1-cの供給能力はそれぞれ、50,80,60kVAである。したがって、機器群N1に所属する負荷装置の供給能力は、190kVAと算出される。
同じ機器群Nに所属する負荷装置の供給能力が算出されると、担当決定部103は、算出された供給能力が必要量以上であるか否かを判定する(S1002)。供給能力が必要量以上である場合(S1002でYES)は、S1010に進み、加算した負荷装置を担当機器に決定する。供給能力が必要量以上でない(供給能力が必要量よりも小さい)場合(S1002でNO)は、S1003に進む。
ここで、機器群N1に所属する負荷装置の供給能力は190kVAであり、必要量1017kvarよりも小さい。したがって、この例では、S1002の判定はNOとなり、S1003に進むことになる。
担当決定部103は、対象の太陽光発電装置3とは異なる機器群Nのうち、最も近い機器群Nの負荷装置の供給能力を加算する(S1003)。なお、最も近い機器群の特定は、例えば、機器の位置情報に基づいて行われる。
この例では、機器群N1に最も近い機器群N2の負荷装置の供給能力が加算される。具体的には、機器群N1に所属する負荷装置の供給能力190kVAに対し、機器群N2に所属する空気調和装置4-2-a,4-2-bの供給能力80,0kVAが加算され、供給能力は270kVAと算出される。
最も近い機器群Nの供給能力が加算されると、担当決定部103は、再び、供給能力が必要量以上であるか否かを判定する(S1004)。供給能力が必要量以上である場合(S1004でYES)は、S1010に進み、加算した負荷装置を担当機器に決定する。そして、分担決定部104により担当機器毎の分担が決定され(S1011)、担当機器に供給が指示されて(S1012)、担当機器の決定に係る動作は終了する。供給能力が必要量以上でない(供給能力が必要量よりも小さい)場合(S1004でNO)は、S1005に進む。
ここで、供給能力は270kVAであり、必要量1017kvarよりも小さい。したがって、この例では、S1004の判定はNOとなり、S1005に進むことになる。
担当決定部103は、次に近い機器群Nの負荷装置の供給能力を加算する(S1005)。なお、次に近い機器群の特定は、例えば、機器の位置情報に基づいて行われる。
この例では、機器群N2の次に機器群N1に近い、機器群N3には負荷装置が含まれないため、0kVAが加算され、供給能力は270kVAと算出される。
供給能力が算出されると、担当決定部103は、再び、供給能力が必要量以上であるか否かを判定する(S1006)。供給能力が必要量以上である場合(S1006でYES)は、S1010に進み、加算した負荷装置を担当機器に決定する。供給能力が必要量以上でない(供給能力が必要量よりも小さい)場合(S1006でNO)は、前回加算した機器群Nが電力系統90における最後の機器群Nであるか否かを判定する(S1007)。言い換えると、電力系統90に接続されたすべての機器群Nについて、加算が終了したか否かを判定する。最後の機器群Nである場合(S1007でYES)は、S1008に進む。最後の機器群Nでない場合(S1007でNO)は、S1005に戻り、最後の機器群Nとなる(S1007でYESとなる)までS1005~S1007の工程を繰り返す。
ここで、機器群N3の負荷装置を加算した時点での供給能力は270kVAであり、必要量1017kvarよりも小さい。したがって、この例では、S1006の判定はNOとなり、S1007に進むことになる。そして、機器群N3は最後の機器群Nではないため、S1005に戻り、次に近い機器群N4の空気調和装置4-4-a,4-4-b,4-4-cの供給能力50,50,0kWが加算され、供給能力は370kVA(<1017kvar)と算出される。同様に、機器群N5の蓄電装置5-5-aの供給能力170kVAが加算され、供給能力が540kVAと算出される。そして、供給能力が必要量1017kvarよりも小さく、最後の機器群Nである(S1006にてNOかつS1007にてYES)と判定される。
最後の機器群Nであると判定されると、担当決定部103は、太陽光発電装置3の供給能力を加算する(S1008)。そして、算出した供給能力が、必要量以上であるか否かを判定する(S1009)。なお、図10では記載を省略するが、太陽光発電装置3の供給能力の加算は、負荷装置の供給能力の加算と同様に、対象の太陽光発電装置3と同じ機器群Nから順に行われる。より詳しくは、同じ機器群N、最も近い機器群N、次に近い機器群N、…、最後の機器群Nの太陽光発電装置3が順に加算され、各機器群Nが加算される度に供給能力が必要量以上であるか否かの判定が行われる。そして、何れかの機器群Nを加算した時点で供給能力が必要量以上となった場合(S1009でYES)、S1010に進み、加算した負荷装置および太陽光発電装置3を担当機器に決定する。
この例では、機器群N1,N2に所属する太陽光発電装置3-1-a,3-1-b,3-2-a,3-2-bの供給能力200,100,150,200kVAが加算された時点で、供給能力が1190kVAとなり、必要量1017kvar以上となる。したがって、S1010にて、機器群N1~N5に所属する負荷装置すべてと、機器群N1,N2に所属する太陽光発電装置3とが担当機器として決定されることになる。
なお、最後の機器群Nに所属する太陽光発電装置3を加算しても、供給能力が必要量以上でない場合(S1009でNO)、担当決定部103は、すべての太陽光発電装置3および負荷装置を担当機器として決定する(S1013)。そして、分担決定部104は、すべての担当機器に対し、供給可能な最大量での無効電力の供給を指示する(S1014)。これにより、無効電力の必要量に対し供給能力が不足する場合であっても、電路の力率が目標値により近い値となる。
上記した例では、対象の太陽光発電装置3-1-bと同じ機器群N1に所属する空気調和装置4-1-a,4-1-b,4-1-cが、担当機器として決定されている。言い換えると、電力制御システム1は、太陽光発電装置3-1-bが電力系統90に連系する系統連系点P1と同じ箇所で電力系統90に接続される空気調和装置4-1-a,4-1-b,4-1-cに対し、電路へ無効電力を供給するように制御している。これにより、系統連系点P1とは異なる箇所に接続される空気調和装置4または蓄電装置5に無効電力を供給させる場合に比べ、力率の制御の精度が向上する。
また、上記した例では、対象の太陽光発電装置3-1-bと異なる機器群N2に所属する空気調和装置4-2-a,4-2-bが、担当機器として決定されている。言い換えると、電力制御システム1は、太陽光発電装置3-1-bが電力系統90に連系する系統連系点P1と異なる箇所で電力系統90に接続される空気調和装置4-2-a,4-2-bに対し、電路へ無効電力を供給するように制御している。これにより、系統連系点P1と同じ箇所に接続される空気調和装置4または蓄電装置5のみを制御の対象とする場合に比べ、力率の制御の自由度が向上する。なお、空気調和装置4-2-a,4-2-bは、太陽光発電装置3-1-bに系統連系点P1を介して接続される配電線930bと、受給側変圧器95eを介して接続される。これにより、異なる配電線、例えば配電線930cに接続される空気調和装置4または蓄電装置5を制御の対象にする場合に比べ、力率の制御の精度が向上する。
さらに、空気調和装置4の優先度は、蓄電装置5の優先度より高くすることが良い。蓄電装置5は、電路への無効電力の供給を行う度に、充電と放電とを繰り返すことになるため、充電放電回数が増えることになる。ここで、蓄電装置5が備える二次電池(蓄電池)の寿命は、充電放電回数によって定まる。したがって、蓄電装置5による電路への無効電力の供給の回数が増え、二次電池(蓄電池)の充電放電回数が増えると、蓄電装置5の寿命が短くなる。これに対し、二次電池(蓄電池)とは異なる手段によって電路への無効電力の供給を行う負荷装置、例えば空気調和装置4のようにコンデンサおよび回路の容量によって無効電力の供給を行う負荷装置では、二次電池(蓄電池)により無効電力の供給を行う負荷装置に比べ、充電放電回数が寿命へ及ぼす影響が小さい。言い換えると、空気調和装置4による電路への無効電力の供給の回数が増えても、空気調和装置4の寿命への影響は小さい。したがって、本実施形態においては、空気調和装置4の優先度を、蓄電装置5の優先度より高くすることが良い。
さらにまた、上記した例では、すべての空気調和装置4および蓄電装置5の供給能力を加算しても必要量を確保できない場合のみ、太陽光発電装置3の供給能力が加算されるようになっている。言い換えると、担当機器の決定に関し、空気調和装置4または蓄電装置5の優先度が、太陽光発電装置3の優先度よりも高くなっている。先述したように、本実施形態に係る太陽光発電装置3において、電路へ無効電力を供給する際には、電路への有効電力の供給が制限される。上記した例のように、機器の種類に応じた優先度を設け、空気調和装置4または蓄電装置5の優先度を、太陽光発電装置3の優先度よりも高くすることで、優先度を設けない場合に比べ、太陽光発電装置3による有効電力の供給が制限され難くなる。
付言すると、本実施形態が適用される電力制御システム1は、すべての空気調和装置4および蓄電装置5の供給能力を加算しても必要量を確保できないことに応じて、太陽光発電装置3による電路への無効電力の供給を制御する。これにより、負荷装置のみを制御する場合に比べ、力率の制御の自由度が向上する。なお、すべての空気調和装置4および蓄電装置5の供給能力を加算しても必要量を確保できないことは、負荷装置について予め定められた条件の一例である。
なお、上記の例において、機器の種類に応じた優先度を設けなくとも良い。例えば、対象の太陽光発電装置3-1-bが電力系統90に連系する系統連系点P1に対し、何れの箇所に各機器が接続されるかのみに応じて、担当機器を決定しても良い。
また、各機器に付された需要家識別情報に応じた優先度を設けても良い。より詳しくは、対象の太陽光発電装置3と同じ需要家が保有する太陽光発電装置3、空気調和装置4または蓄電装置5の優先度を上げても良い。例えば、機器管理テーブルT2を参照すると、上記の例における対象の太陽光発電装置3-1-bは、需要家識別情報C1によって識別される需要家により所有されている。この場合、需要家識別情報C1が付された機器(機器群N1,N4に所属する機器)の優先度を、他の機器(他の機器群N2,N3,N5に所属する機器)の優先度よりも高くして、担当機器を決定して良い。
また、各機器の供給能力に応じた優先度を設けても良い。例えば、供給能力の大きい機器では優先度を高くし、反対に、供給能力の小さい機器では優先度を低くしても良い。このように、供給能力に応じた優先度を設けて担当機器を決定することで、供給能力に係わらず担当機器を決定する場合に比べ、より少ない数の機器で電路の力率を調整できる。
さらに、供給能力に代えて、各機器の稼働状況または発電状況に応じた優先度を設けても良い。例えば、稼働状況または発電状況の値が高い機器の優先度を、稼働状況または発電状況の値が低い機器の優先度よりも高くして、担当機器を決定しても良い。
(分担の決定)
次に、図1,6,7を参照しつつ、制御装置10における担当機器の分担の決定について説明する。ここでは、対象電路が引き込み線96dであり、担当機器が、機器群N1~N5に所属するすべての負荷装置および太陽光発電装置3に決定された場合を例にして説明する。
先述したように、分担決定部104は、必要量算出部102により算出された必要量を確保するにあたり、供給を指示する無効電力の大きさ(「指示値」と呼ぶ場合がある。)を、担当機器毎に決定する。
分担決定部104は例えば、各担当機器と対象電路との位置に応じて、分担を決定しても良い。より詳しくは、対象電路との位置が近い担当機器の指示値が、位置が遠い担当機器の指示値よりも大きくなるように、分担を決定しても良い。または、対象電路に最も近い担当機器から順に、供給能力により定まる上限を指示値として分担を決定していき、対象電路に最も遠い担当機器のみ上限よりも低い指示値となるようにしても良い。なお、この位置とは、電気的な接続における位置のことを指し、位置が近い/遠いとは、電気的な接続の距離が短い/長いことを指す。
例えば、対象電路である引き込み線96dに対し位置が近い空気調和装置4-1-a,4-1-b,4-1-cの指示値は大きくなる。反対に、位置が遠い太陽光発電装置3-5-aや蓄電装置5-5-aの指示値は小さくなる。この例においては、空気調和装置4-1-aの指示値と太陽光発電装置3-5-aの指示値との関係は、各機器の位置に応じて決定されることになる。より詳しくは、対象電路に対し、空気調和装置4-1-aの位置が太陽光発電装置3-5-aの位置よりも近いこと(負荷装置の位置について予め定められた条件の一例)に応じて、空気調和装置4-1-aの指示値が大きくなり、太陽光発電装置3-5-aの位置が空気調和装置4-1-aの位置よりも遠いこと(発電装置の位置について予め定められた条件の一例)に応じて、太陽光発電装置3-5-aの指示値が小さくなる。このように、負荷装置の位置に係る条件および発電装置の位置に係る条件に応じて無効電力の供給を制御することで、各機器の位置に係わらず制御する場合に比べ、力率の制御の精度が向上する。
例えば、分担決定部104は、先述した機器の種類に応じた優先度、需要家識別情報に応じた優先度、供給能力に応じた優先度、稼働状況または発電状況に応じた優先度を用いて、分担を決定しても良い。より具体的には、優先度の高い担当機器の指示値が、優先度の低い担当機器の指示値よりも大きくなるように、分担を決定しても良い。また、優先度の高い担当機器から順に、供給能力により定まる上限を指示値として分担を決定していき、優先度の最も低い担当機器のみ上限よりも低い指示値となるようにしても良い。
[制御方法]
上記した実施形態は、空気調和装置4から電路への無効電力の供給を制御する制御方法としても理解される。より詳しくは、本実施形態は、太陽光発電装置3による電路への電力の供給に係る供給情報を取得する取得工程と、供給情報に応じて、空気調和装置4または蓄電装置5による電路への無効電力の供給を制御する制御工程と、を備える制御方法と捉えることができる。
[変形例等]
(電力制御システム1の数)
上記した実施形態においては、電力制御システム1が制御装置10および管理サーバ20を1つずつ備える場合について説明したが、制御装置10や管理サーバ20の数は限定されない。電力制御システム1には、2つ以上の制御装置10や管理サーバ20が設けられていても良い。例えば、制御装置10と管理サーバ20とが、機器群N毎に設けられていても良い。なお、電力制御システム1が複数の制御装置10や管理サーバ20を含む場合には、各装置間はネットワークにより接続され、互いに情報の送受信が可能なシステムとして構成される。
(負荷装置の他の例)
上記した実施形態においては、補償電力供給手段と変換手段とヒートポンプ手段とを備える負荷装置の一例として、空気調和装置4を用いる場合について説明した。変換手段とヒートポンプ手段とを備える負荷装置としては、他に、内部の温度を調和するショーケース、冷蔵機、冷凍機、給湯器等、HVAC(Heating Ventilation and Air Conditioning)システムに用いられる機器が挙げられる。このようなヒートポンプ手段を備える負荷装置は、補償電力供給手段として利用可能なAF41aおよび変換手段として利用可能な電力変換部41b、またはこれらに類する機能部を備えており、補償電力供給手段および変換手段を新たに取り付けなくても良い。したがって、ヒートポンプ手段を備えない機器に比べ、負荷装置の複雑化が抑制される。
ただし、負荷装置は、ヒートポンプ手段を備えるものに限定される訳ではなく、例えば照明装置や表示装置等、電力系統90に接続されて用いられる各種の機器を用いることができる。
また、先述した通り、蓄電装置5のように二次電池(蓄電池)によって補償電力供給手段を実現する負荷装置では、電路への無効電力の供給の回数が増えると、寿命が短くなる。したがって、負荷装置の補償電力供給手段は、二次電池(蓄電池)とは異なる手段により実現されることが良く、例えば空気調和装置4のAF41aのようにコンデンサを電圧源として実現されると良い。これにより、電路への無効電力の供給に伴い負荷装置の寿命が短くなることを抑制できる。
(発電装置の他の例)
上記した実施形態では、引き込み線96dよりも受給側に接続された太陽光発電装置3を用いる場合について説明したが、太陽光発電装置3は、より供給側に接続されていても構わない。例えば、所謂メガソーラー発電装置として、大規模な発電と電力の供給とを行うものであって良い。また、発電装置は、太陽光発電によるものに限定されず、風力発電や水力発電、地熱発電、バイオマス発電等の各種の再生可能エネルギーによる発電装置を用いても構わない。
なお、上記した実施形態では、発電所91が、電路に接続される設備および機器の中で最も大きな電力を発電するものとして説明した。言い換えると、太陽光発電装置3等の発電装置が発電所91よりも小さな電力を発電するとした。しかしながら、発電装置が発電する電力の大きさは、限定されるものではなく、例えば発電装置が発電所91よりも大きな電力を発電するものであっても良い。また、発電装置は、発電所91にて発電を行い、送電線93に供給する機器や設備であっても良い。
(力率の目標値)
上記した実施形態においては、予め定められた力率の一例である力率の目標値に基づいて、必要量の算出が行われ、各機器から電路への無効電力の供給が制御されるものとして説明した。しかしながら、制御装置10による無効電力の供給の制御は、少なくとも供給情報に基づいて行われるものであれば良く、予め定められた力率を用いなくても良い。ただし、予め定められた力率と供給情報とに基づいて、負荷装置による無効電力の供給の制御を行うことにより、予め定められた力率に係わらず制御する場合と比べ、力率の制御の精度が向上する。
(損失情報)
無効電力は、各機器から供給されて対象電路に到達するまでの間に、経路のインピーダンス、抵抗、途中に接続された負荷等の影響で、損失する場合がある。そこで、制御装置10は、対象電路までの経路における無効電力の損失に係る損失情報を取得し、この損失情報に基づいて、電路への無効電力の供給を制御しても良い。例えば、図1の例において、空気調和装置4-2-aから引き込み線96dに対し無効電力の供給を行う場合、機器接続線7や引き込み線96e、受給側変圧器95d,95e、配電線930bを含む経路における損失が生じる可能性がある。制御装置10の分担決定部104は、この経路に係る損失情報を取得し、経路での損失を加味して、空気調和装置4-2-aへの指示値を決定しても良い。
なお、損失情報は、経路における損失を算出または推定し得る何らかの情報であれば良く、経路となる配電線の長さや太さ、変圧器の種類や負荷の大きさ等であって良い。
(担当機器の決定および分担の決定)
上記した実施形態においては、各機器の位置等に基づいて、電力系統90に接続されたすべての機器の中から担当機器が決定されるものとして説明した。他の実施形態においては、電力系統90に接続された機器の一部または全部が予め指定されており、指定された機器を担当機器とする構成としても良い。
また、上記した実施形態においては、各機器の位置等に基づいて、各担当機器への指示値が決定されるものとして説明した。他の実施形態においては、各担当機器への指示値が予め定められていても良い。例えば、すべての担当機器への指示値が一律に定められていて良い。また例えば、機器毎に、各機器が担当機器に決定された場合の指示値が予め定められていても良い。
(対象電路の特定)
上記した実施形態においては、力率の制御の対象となる対象電路は、対象の太陽光発電装置3に対し供給側の電路を候補として、電路に紐づく太陽光発電装置3の供給する有効電力の合計と、電路の有効電力の上限値とにより特定された。他の実施形態においては、電路について予め定められた電圧の閾値を設け、その電圧の閾値を超えている電路を対象電路として特定しても良い。そして、無効電力の必要量を算出し、特定した電路に紐づく発電装置や負荷装置を担当機器として、無効電力の供給を分担させても良い。
また、対象電路の要件を満たす電路が複数存在する場合には、より供給側の電路を優先して、対象電路として特定しても良い。
さらに、電路に紐づく発電装置の供給する有効電力の合計が予め定められた閾値を超えた場合に、その電路を候補として、対象電路の特定を行っても良い。対象電路の特定は例えば、上記した電路の有効電力の上限値や電圧の閾値に基づいて行われる。有効電力の合計の予め定められた閾値は例えば、電路に紐づく発電装置が電路に出力可能な電力の最大値である連系出力の合計に、特定の比率(例えば90%)をかけた値である。
また他の実施形態として、対象電路は、対象の発電装置が紐づく引き込み線96に特定し、特定した引き込み線96の有効電力と目標の力率から必要量を算出し、特定した電路に紐づく発電装置や負荷装置を担当機器として、無効電力の供給を分担させても良い。
(制御手段を備える負荷装置)
上記した実施形態においては、負荷装置とは別体の制御装置10が、負荷装置に対して無効電力の供給を指示する場合について説明した。他の実施形態においては、制御装置10と負荷装置とが一体に構成されていても良く、負荷装置の備える情報処理装置によって制御装置10の各種機能が実現されても良い。例えば、電力系統90における何れかの空気調和装置4の情報処理装置40により、各機器および自装置に対する無効電力の供給の指示が行われても良い。また、管理サーバ20と負荷装置とが一体に構成されていても良く、例えば情報処理装置40により、発電装置情報および負荷装置情報が管理されていても良い。さらに、制御装置10、管理サーバ20および負荷装置のすべてが一体に構成されていても良い。言い換えると、制御装置10や管理サーバ20は、1つの空気調和装置4の情報処理装置40の内部に実現されても良い。電力を発電し、電路に供給する発電装置による、電路への電力の供給に係る供給情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された供給情報に応じて、電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置による、電路への無効電力の供給を制御する制御手段とを実現するためには、空気調和装置4の内部に制御装置10と管理サーバ20を実現して、太陽光発電装置3との連携を実施することがもっとも簡単な構成と成り得る。
また、制御装置10や管理サーバ20は、太陽光発電装置3の情報処理装置30の内部に実現されても良い。
なお、上記で説明した各構成は、上記した実施形態および変形例に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。言い換えると、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解される。
例えば、各構成の一部を省略したり、各構成に対して他の機能を付加したりしても良い。説明した複数の構成例について、一の構成例に含まれる構成と他の構成例に含まれる構成とを入れ替えたり、一の構成例に含まれる構成を他の構成例に付加したりしても構わない。
1…電力制御システム、3…太陽光発電装置、4…空気調和装置、5…蓄電装置、6,6a,6b,6c,6d,6e,6f,6g,6h…電路センサ、10…制御装置、20…管理サーバ、10a,30a,40a…CPU、41…ヒートポンプ装置、41a…AF、90…電力系統、91…発電所、93…送電線、95,95d,95e,95f,95g,95h…受給側変圧器、96,96d,96e,96f,96g,96h…引き込み線、930,930b,930c…配電線

Claims (22)

  1. 電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置による、当該電路への無効電力の供給を制御する制御手段と、を備え
    前記制御手段は、前記負荷装置による前記電路への無効電力の供給について予め定められた条件に応じて、前記発電装置による当該電路への無効電力の供給を制御する、電力制御システム
  2. 前記制御手段は、前記負荷装置の位置について予め定められた条件および前記発電装置の位置について予め定められた条件に基づいて、当該発電装置による前記電路への無効電力の供給と、当該負荷装置による無効電力の供給との関係を制御する、請求項記載の電力制御システム。
  3. 電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置による、当該電路への無効電力の供給を制御する制御手段と、を備え、
    前記負荷装置の前記補償電力供給手段は、当該負荷装置である自装置における皮相電力の調整が可能であり、前記供給情報に応じて前記電路への無効電力の供給をさせる場合に、当該補償電力供給手段による当該自装置における皮相電力の調整を制限させる、電力制御システム。
  4. 電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置による、当該電路への無効電力の供給を制御する制御手段と、を備え、
    前記取得手段は、前記電路の皮相電力に係る電路情報を取得し、
    前記制御手段は、前記電路情報に応じて、前記負荷装置による前記電路への無効電力の供給を制御する、電力制御システム。
  5. 前記電路情報は、前記電路のうち、前記発電装置が電力系統に連系する系統連系点を介して当該発電装置と接続される配電線から分岐し、当該系統連系点に至る電路の電路情報である、請求項記載の電力制御システム。
  6. 電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置による、当該電路への無効電力の供給を制御する制御手段と、を備え、
    前記取得手段は、前記負荷装置から前記発電装置までの電路における当該負荷装置により供給される無効電力の損失に係る損失情報を取得し、
    前記制御手段は、前記損失情報に応じて、前記負荷装置が前記電路へ供給する無効電力を制御する、電力制御システム。
  7. 電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給する補償電力供給手段と、を備え、
    前記補償電力供給手段は、自装置における皮相電力の調整が可能であり、前記供給情報に応じて前記電路への無効電力の供給をさせる場合に、当該自装置における皮相電力の調整を制限させる、負荷装置。
  8. 電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給する補償電力供給手段と、を備え、
    前記取得手段は、前記電路の皮相電力に係る電路情報を取得し、
    前記補償電力供給手段は、前記電路情報に応じて、前記電路に無効電力を供給する、負荷装置。
  9. 前記電路情報は、前記電路のうち、前記発電装置が電力系統に連系する系統連系点を介して当該発電装置と接続される配電線から分岐し、当該系統連系点に至る電路の電路情報である、請求項記載の負荷装置。
  10. 電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給する補償電力供給手段と、を備え、
    前記取得手段は、自装置から前記発電装置までの電路における当該自装置により供給される無効電力の損失に係る損失情報を取得し、
    前記補償電力供給手段は、前記損失情報に応じて、前記電路へ無効電力を供給する、負荷装置。
  11. 電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得する取得工程と、
    前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置による、当該電路への無効電力の供給を制御する制御工程と、
    前記供給情報に応じて前記補償電力供給手段に前記電路への無効電力の供給をさせる場合に、自装置における皮相電力の調整が可能である当該補償電力供給手段による当該自装置における皮相電力の調整を制限させる制限工程と、
    を備える制御方法。
  12. 電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得する第1取得工程と、
    前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置による、当該電路への無効電力の供給を制御する第1制御工程と、
    前記電路の皮相電力に係る電路情報を取得する第2取得工程と、
    前記電路情報に応じて、前記負荷装置による前記電路への無効電力の供給を制御する第2制御工程と、
    を備える制御方法。
  13. 前記電路情報は、前記電路のうち、前記発電装置が電力系統に連系する系統連系点を介して当該発電装置と接続される配電線から分岐し、当該系統連系点に至る電路の電路情報である、請求項12記載の制御方法。
  14. 電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得する第1取得工程と、
    前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置による、当該電路への無効電力の供給を制御する第1制御工程と、
    前記負荷装置から前記発電装置までの電路における当該負荷装置により供給される無効電力の損失に係る損失情報を取得する第2取得工程と、
    前記損失情報に応じて、前記負荷装置が前記電路へ供給する無効電力を制御する第2制御工程と、
    を備える制御方法。
  15. 他装置との間の情報の送受信を制御する制御部を有し、
    前記制御部は、
    電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得し、
    前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置に、当該電路への無効電力の供給を指示する指示情報を送信し、
    前記負荷装置の前記補償電力供給手段は、当該負荷装置である自装置における皮相電力の調整が可能であり、前記指示情報に応じて前記電路への無効電力の供給をさせる場合に、当該補償電力供給手段による当該自装置における皮相電力の調整を制限させる、情報処理装置。
  16. 他装置との間の情報の送受信を制御する制御部を有し、
    前記制御部は、
    電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得し、
    前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置に、当該電路への無効電力の供給を指示する指示情報を送信し、
    前記電路の皮相電力に係る電路情報を取得し、
    前記電路情報に応じて、前記負荷装置に前記指示情報を送信する、情報処理装置。
  17. 前記電路情報は、前記電路のうち、前記発電装置が電力系統に連系する系統連系点を介して当該発電装置と接続される配電線から分岐し、当該系統連系点に至る電路の電路情報である、請求項16記載の情報処理装置。
  18. 他装置との間の情報の送受信を制御する制御部を有し、
    前記制御部は、
    電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報を取得し、
    前記供給情報に応じて、前記電路に無効電力を供給可能な補償電力供給手段を備えた負荷装置に、当該電路への無効電力の供給を指示する指示情報を送信し、
    前記負荷装置から前記発電装置までの電路における当該負荷装置により供給される無効電力の損失に係る損失情報を取得し、
    前記損失情報に応じて、前記負荷装置に前記指示情報を送信する、情報処理装置。
  19. 電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報に基づいて、当該電路への無効電力の供給を指示する指示情報を受け付ける受付手段と、
    前記受付手段が受け付けた前記指示情報に応じて、前記電路に無効電力を供給する補償電力供給手段と、を備え、
    前記指示は、前記電路への無効電力の供給を制御する制御手段による指示であり、
    前記補償電力供給手段は、自装置における皮相電力の調整が可能であり、前記指示情報に応じて前記電路への無効電力の供給をさせる場合に、当該自装置における皮相電力の調整を制限させる、負荷装置。
  20. 電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報に基づいて、当該電路への無効電力の供給を指示する指示情報を受け付ける受付手段と、
    前記受付手段が受け付けた前記指示情報に応じて、前記電路に無効電力を供給する補償電力供給手段と、を備え、
    前記指示は、前記電路への無効電力の供給を制御する制御手段による指示であり、
    前記指示情報は、前記供給情報、および、前記電路の皮相電力に係る電路情報に基づいて、当該電路への無効電力の供給を指示する情報である、負荷装置。
  21. 前記電路情報は、前記電路のうち、前記発電装置が電力系統に連系する系統連系点を介して当該発電装置と接続される配電線から分岐し、当該系統連系点に至る電路の電路情報である、請求項20記載の負荷装置。
  22. 電力を発電し、電路に供給する発電装置による、当該電路への電力の供給に係る供給情報に基づいて、当該電路への無効電力の供給を指示する指示情報を受け付ける受付手段と、
    前記受付手段が受け付けた前記指示情報に応じて、前記電路に無効電力を供給する補償電力供給手段と、を備え、
    前記指示は、前記電路への無効電力の供給を制御する制御手段による指示であり、
    前記指示情報は、前記供給情報、および、自装置から前記発電装置までの電路における当該自装置により供給される無効電力の損失に係る損失情報に基づいて、当該電路への無効電力の供給を指示する情報である、負荷装置。
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