JP7514789B2 - ウイルス由来タンパク質検出方法、マススペクトル処理装置及び質量分析システム - Google Patents

ウイルス由来タンパク質検出方法、マススペクトル処理装置及び質量分析システム Download PDF

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Description

本発明は、ウイルス由来タンパク質検出方法、マススペクトル処理装置及び質量分析システムに関し、特に、質量分析を利用してウイルス由来のタンパク質を検出する方法に関する。
特許文献1にはウイルス診断方法が記載されている。その方法では、ウイルス由来のタンパク質がタンパク質分解酵素で切断され、これにより生じたペプチドに対する質量分析により質量情報(マススペクトル)が得られている。ペプチドの質量情報をデータベース中の各質量情報と比較することにより、ウイルスが同定されている。データベース中の各質量情報は、個々のペプチドの理論的質量(つまり計算質量)により構成されている。
特許文献2にはタンパク質同定方法が記載されている。その方法でも、タンパク質がタンパク質分解酵素で切断され、これにより生じたペプチドに対する質量分析によりマススペクトルが得られている。そのマススペクトルがデータベース中の各マススペクトルと比較されている。データベース中の個々のマススペクトルを構成する各ピークは、各ペプチドの理論的質量を表すものである。特許文献2には、プリカーサーイオンのマススペクトル及びプロダクトイオンのマススペクトルの両方を取得し、それらに基づいてタンパク質を同定することも記載されている。
特許文献3に記載されたタンパク質同定方法は、液体クロマトグラフ及び質量分析計を用いて、タンパク質を同定するものである。タンパク質の同定に際し、タンパク質データベースが利用されている。タンパク質データベースに基づいて各ペプチドの理論的質量が算出されている。
既知の組成及び構造を有するタンパク質をin Silicoで切断することにより、各ペプチドの理論的質量を求め得るが、その場合、各ペプチドの理論的質量は強度情報を伴うものではない。それ故、理論的質量に基づいてスペクトル比較を行う方法においては、スペクトルパターンの比較までを行えない。
なお、タンパク質から生じたペプチド群のマススペクトルをデータベース中の各マススペクトルと比較してタンパク質を同定する手法はペプチドマスフィンガープリンティング法(PMF法)とも呼ばれている。
特表2011-521255号公報 特許第4922819号明細書 特表2007-538260号公報
被検者から採取した検体に特定タンパク質が含まれている場合であっても、その量は微量であり、検体中には多くの夾雑物が含まれている。検体マススペクトルにおいて、特定タンパク質に由来するペプチドピーク群の強度は小さくなり、それらは多数の大きな夾雑物ピークに埋もれがちになる。そのような状況において、検体中における特定タンパク質の同定を簡便に精度良く行える方法の実現が要望されている。
本発明の目的は、特定ウイルスに由来する特定タンパク質を簡便にかつ精度良く検出することにある。
本発明に係るウイルス由来タンパク質検出方法は、細胞培養による増殖過程を経た特定ウイルスから抽出された特定タンパク質に対してタンパク質分解処理を適用し、これにより標本溶液を調製するウイルス処理工程と、前記標本溶液に対して質量分析を実施し、これにより標本マススペクトルを取得する標本マススペクトル取得工程と、被検者から得た検体に対してタンパク質分解処理を適用し、これにより検体溶液を調製する検体処理工程と、前記検体溶液に対して質量分析を実施し、これにより検体マススペクトルを取得する検体マススペクトル取得工程と、前記標本マススペクトル中の標本ピークごとに、前記標本マススペクトルと前記検体マススペクトルとの間でピーク比較を行うことにより、前記検体中に前記特定タンパク質が含まれているか否かを判定する判定工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る質量分析システムは、細胞培養による増殖過程を経た特定ウイルスから抽出された特定タンパク質に対してタンパク質分解処理を適用することにより調製された標本溶液に対して質量分析を実施し、これにより標本マススペクトルを取得する標本マススペクトル取得手段と、被検者から得た検体に対してタンパク質分解処理を適用することにより調製された検体溶液に対して質量分析を実施し、これにより検体マススペクトルを取得する検体マススペクトル取得手段と、前記標本マススペクトル中の標本ピークごとに、前記標本マススペクトルと前記検体マススペクトルとの間でピーク比較を行うことにより、前記検体中に前記特定タンパク質が含まれているか否かを判定する判定手段と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、特定ウイルスに由来する特定タンパク質を簡便にかつ精度良く検出できる。
第1実施形態に係るウイルス由来タンパク質検出方法を示す図である。 標本スペクトルと検体スペクトルを示す図である。 標本ピークリストと検体ピークリストを示す図である。 標本処理過程を示すフローチャートである。 検体処理過程を示すフローチャートである。 第2実施形態に係るウイルス由来タンパク質検出方法を示す図である。 第3実施形態に係るウイルス由来タンパク質検出方法を示す図である。 第3実施形態に係るマススペクトル比較を示す図である。 第4実施形態に係るウイルス由来タンパク質検出方法を示す図である。 第4実施形態に係るマススペクトル比較を示す図である。 第1実施形態の変形例を示す図である。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)実施形態の概要
実施形態に係るウイルス由来タンパク質検出方法は、ウイルス処理工程、標本マススペクトル取得工程、検体処理工程、検体マススペクトル取得工程、及び、判定工程を有する。ウイルス処理工程では、細胞培養による増殖過程を経た特定ウイルスから抽出された特定タンパク質に対してタンパク質分解処理が適用され、これにより標本溶液が調製される。標本マススペクトル取得工程では、標本溶液に対して質量分析が実施され、これにより標本マススペクトルが取得される。検体処理工程では、被検者から得た検体に対してタンパク質分解処理が適用され、これにより検体溶液が調製される。検体マススペクトル取得工程では、検体溶液に対して質量分析が実施され、これにより検体マススペクトルが取得される。判定工程では、標本マススペクトル中の標本ピークごとに、標本マススペクトルと検体マススペクトルとの間でピーク比較が行われ、これにより検体中に特定タンパク質が含まれているか否かが判定される。
上記構成によれば、増殖過程を経たウイルスから標本溶液が調製され、その標本溶液から標本マススペクトルが取得される。標本溶液中のウイルス濃度を高め、あるいは、標本溶液中の夾雑成分の濃度を非常に低くすることにより、信頼性の高い標本スペクトルを取得できる。標本スペクトルは記憶部に登録される。検体スペクトルを標本スペクトルと比較する際には、標本スペクトル中の標本ピークが基準となる。つまり、検体スペクトル中において、個々の標本ピークの質量電荷比(以下、場合により単に「質量」ともいう。)と同じ質量電荷比を有する検体ピーク(対応ピーク)があるか否かが調査される。これにより、検体スペクトル中において多数の強大な夾雑ピークが存在していても、それらにあまり影響されずに、ピーク比較を行うことが可能となる。ピーク比較においてピーク群間で強度パターンの比較を行うことも可能となる。このように、上記構成によれば、ウイルス由来タンパク質を簡便に且つ高精度に同定することが可能となる。また、検体溶液調製工程において、手間及び時間のかかる特別な工程(例えば細胞培養)を実施する必要がない、という利点を得られる。
実施形態において、判定工程には、標本ピークリスト作成工程、検体ピークリスト作成工程、及び、比較工程が含まれる。標本ピークリスト作成工程では、標本マススペクトルから標本ピークリストが作成される。検体ピークリスト作成工程では、検体マススペクトルから検体ピークリストが作成される。比較工程では、標本ピークリストと検体ピークリストとの間でピーク比較が行われる。
実施形態において、判定工程では、標本ピークリスト中の標本ピーク群の強度パターンと検体ピークリスト中の比較対象ピーク群の強度パターンとの間で類似度が演算される。類似度に従って検体中における特定ウイルスの有無が判定される。標本ピーク群に対応する検体ピーク群の強度に基づいて、特定ウイルスの定量が行われてもよい。
実施形態に係るウイルス由来タンパク質測定方法は、夾雑ピークリストを事前に作成しておく夾雑ピークリスト作成工程と、比較工程の実行に先立って夾雑ピークリストに基づいて検体ピークリスト中の夾雑ピークを除去する夾雑ピーク除去工程と、を含む。
検体ピークリスト中の夾雑ピークを除去(又は低減)した上で、ピーク比較を行えば、夾雑ピークの影響を除外又は低減できる。夾雑ピークの除去が検体マススペクトルに対して実施されてもよい。その場合においても、結果として、検体ピークリストから夾雑ピークが除去されることになる。夾雑ピークを生じさせた化合物の質量が既知である場合、夾雑ピークに基づいて、検体ピークリストに対して質量校正を行ってもよい。具体的には、夾雑ピークが生じた質量と既知の質量との差を用いて、各検体ピークの質量を校正してもよい。質量校正後、夾雑ピークが除去される。夾雑ピークの除去後に検体ピークリストの質量校正を行うことも可能である。
実施形態に係るウイルス由来タンパク質検出方法は、夾雑ピークリストを事前に作成しておく夾雑ピークリスト作成工程と、比較工程の実行に先立って夾雑ピークリストに基づいて標本ピークリスト中の特定の標本ピークを処理する標本ピーク処理工程と、を含む。
標本ピーク群の中に、夾雑ピークの質量に近い質量を有する標本ピーク(近似標本ピーク)が含まれている場合、近似標本ピークを除去又は低減し、これにより特定の夾雑ピークの影響を除去又は低減するものである。ピーク比較に際しては標本ピークが基準となる。誤認や誤判定の可能性が低減されるよう標本ピークリストの内容が操作される。標本マススペクトルに含まれる近似標本ピークが処理されてもよい。その場合においても、結果として、標本ピークリスト中の近似標本ピークが処理されることになる。
実施形態において、夾雑ピークリストにおける夾雑ピークは、特定タンパク質以外のタンパク質であって生体に含まれ得るタンパク質に由来するペプチドピークである。検体の採取に際して、特定タンパク質以外のタンパク質(夾雑タンパク質)も採取され得る。そこから生じる夾雑ペプチドピークを事前に特定しておくものである。
実施形態においては、ウイルス処理工程では、タンパク質分解処理を含む第1処理が適用された第1標本溶液、及び、第1処理とは異なる処理であってタンパク質分解処理を含む第2処理が適用された第2標本溶液が調製される。標本マススペクトル取得工程では、第1標本溶液に対応する第1標本マススペクトル、及び、第2標本溶液に対応する第2標本マススペクトルが取得される。検体処理工程では、第1処理が適用された第1検体溶液、及び、第2処理が適用された第2検体溶液、が調製される。検体マススペクトル取得工程では、第1検体溶液に対応する第1検体マススペクトル、及び、第2検体溶液に対応する第2検体マススペクトルが取得される。判定工程では、第1標本マススペクトルと第1検体マススペクトルとの間でピーク比較が行われ、且つ、第2標本マススペクトルと第2検体マススペクトルとの間でピーク比較が行われる。
第1処理と第2処理が異なるため、第1標本マススペクトルと第2標本マススペクトルとの間で相違が生じる。それと同様の相違が第1検体マススペクトルと第2検体マススペクトルとの間で生じ得る。上記構成によれば、比較する情報量を増やして特定タンパク質の同定精度をより高められる。
実施形態において、標本マススペクトル取得工程では、更に、タンデム質量分析法に従って、標本マススペクトルの中から選択された標本ピークごとに標本プロダクトイオンマススペクトルが取得される。検体マススペクトル取得工程では、更に、タンデム質量分析法に従って、選択された標本ピークごとに検体プロダクトイオンマススペクトルが取得される。判定工程では、更に、選択された標本ピークごとの標本プロダクトイオンマススペクトルと、選択された標本ピークごとの検体プロダクトイオンマススペクトルとが比較される。
実施形態において、標本マススペクトル取得工程では、標本溶液から時間的に分離された複数の標本溶液成分に対して質量分析が実施され、これにより複数の標本溶液成分に対応する複数の標本マススペクトルが取得される。検体マススペクトル取得工程では、検体溶液から時間的に分離された複数の検体溶液成分に対して質量分析が実施され、これにより複数の標本マススペクトルに時間的に対応する複数の検体マススペクトルが取得される。判定工程では、複数の標本マススペクトルと複数の検体マススペクトルとが比較される。
実施形態に係るウイルス由来タンパク質検出方法において、少なくとも判定工程はマススペクトル処理装置において実行される。マススペクトル処理装置の概念には、コンピュータ、質量分析装置、及び、質量分析システムが含まれる。
実施形態に係る質量分析システムは、標本マススペクトル取得手段、検体マススペクトル取得手段、及び、判定手段を有する。標本マススペクトル取得手段は、細胞培養による増殖過程を経た特定ウイルスから抽出された特定タンパク質に対してタンパク質分解処理を適用することにより調製された標本溶液に対して質量分析を実施し、これにより標本マススペクトルを取得する。検体マススペクトル取得手段は、被検者から得た検体に対してタンパク質分解処理を適用することにより調製された検体溶液に対して質量分析を実施し、これにより検体マススペクトルを取得する。判定手段は、標本マススペクトル中の標本ピークごとに、標本マススペクトルと検体マススペクトルとの間でピーク比較(例えばピーク強度パターン比較)を行うことにより、検体中に特定タンパク質が含まれているか否かを判定する。
標本マススペクトル取得手段及び検体マススペクトル取得手段は、以下に説明する質量分析部及びマススペクトル生成部に相当する。判定手段は、以下に説明するマススペクトル処理部に相当する。
(2)実施形態の詳細
図1には、第1実施形態に係るウイルス由来タンパク質検出方法が示されている。その方法には、ウイルス処理工程10、検体処理工程12、質量分析工程、及び、マススペクトル処理工程、が含まれる。
質量分析工程及びマススペクトル処理工程を実施するために質量分析システム14が利用される。質量分析システム14は、質量分析部16及びマススペクトル処理部18を有する。質量分析部16により質量分析工程が実施され、マススペクトル処理部18によりマススペクトル処理工程が実施される。本願明細書では、場合により、測定対象ウイルスを特定ウイルスと称し、特定ウイルス由来のタンパク質を特定タンパク質と称する。
ウイルス処理工程10は、検体処理工程12に先立って実施される。特定ウイルス20が細胞に接種され、その後、細胞培養22が実施される。細胞培養22により特定ウイルスが増殖する。特定ウイルスを含む溶液に対して、濃縮、夾雑物除去、不活性化等の処理が実施された上で、標本溶液の調製が実施される(符号24を参照)。その際には、タンパク質分解酵素(消化酵素)26が用いられ、特定タンパク質から多数のペプチドが生成される。質量分析対象となる標本溶液28はペプチド溶液である。
検体処理工程12においては、最初に、被検者から検体が採取される(符号30を参照)。続いて、検体を含む検体溶液の調製が実施される(符号32を参照)。その際には、上記のタンパク質分解酵素26が用いられ、検体中の個々のタンパク質から多数のペプチドが生成される。質量分析対象となる検体溶液34もペプチド溶液である。
質量分析部16は、イオン源36、質量分析器38、及び、検出器40を有する。イオン源36は、例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI:Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization)に従うソフトなイオン源である。他のイオン化法に従うイオン源が用いられてもよい。質量分析器38は、例えば、飛行時間型質量分析器である。他の質量分析法に従う質量分析器が用いられてもよい。イオン源36において、各ペプチドがイオン化され、これにより生じたイオンが質量分析器38へ送られる。質量分析器において、各イオンが有する質量電荷比(m/z)の大きさに従う飛行時間を経て、各イオンが検出器40に到達して検出される。飛行時間ごとのイオン強度(イオン量)を示す信号がマススペクトル処理部18へ送られる。
マススペクトル処理部18は、情報処理装置としてのコンピュータにより構成される。それにはプログラムを実行するプロセッサ(CPU)が含まれる。図1においては、プロセッサが発揮する複数の機能が複数のブロックにより表現されている。
マススペクトル生成部46は、質量分析部16から出力された信号(標本溶液測定信号、検体溶液測定信号)に基づいてマススペクトルを生成する。マススペクトルにおける横軸はm/z軸であり、縦軸はイオン強度軸である。
具体的には、標本マススペクトル取得工程の実行時において、マススペクトル生成部46により、特定ウイルスに由来する特定タンパク質の組成を示す標本マススペクトルが生成される。検体マススペクトル取得工程の実行時において、マススペクトル生成部46により、検体に含まれるタンパク質等の組成を示す検体マススペクトルが生成される。判定工程において、以下に説明する、ピーク検出部48、夾雑ピーク除去部52、及び、判定部56が機能する。
ピーク検出部48は、標本マススペクトルに含まれるピークを検出する処理を実行し、これにより標本ピークリスト49を生成する。標本ピークリスト49は、標本ピークリスト記憶部50に登録される。また、ピーク検出部48は、検体マススペクトルに含まれるピークを検出する処理を実行し、これにより検体ピークリスト51を生成する。検体ピークリスト51は、図示の構成例では、夾雑ピーク除去部52へ送られている。
夾雑ピーク除去部52は、夾雑ピークリスト記憶部54に記憶された夾雑ピークリストに基づいて、検体ピークリスト51中に含まれる1又は複数の夾雑ピークを除去するものである。夾雑ピークの除去に代えて、夾雑ピークのレベルが抑圧されてもよい。夾雑ピークの質量が既知である場合、夾雑ピークが生じた質量と既知の質量の差を用いて、質量校正を行ってもよい。例えば、標本ピークリスト49中の各ピークの質量が校正されてもよい。
特定ウイルスを有しない被検者から採取された検体(比較検体)に対して上記の検体処理を適用して検体溶液(比較検体溶液)を調製し、その質量分析を行うことにより、夾雑マススペクトルが生成される。それに対するピーク検出により夾雑ピークリストを構成し得る。夾雑ピークリストが夾雑ピークリスト記憶部54に登録される。
夾雑ピークリストの作成に際しては、特定ウイルスを有していない多数の被検者から多数の比較検体を採取し、それらに基づいて多数の夾雑ピークリストを取得することが望まれる。それらの統合又は平均化により、登録される夾雑ピークリストを生成し得る。夾雑ピークリストは、生体が有しているタンパク質(特定タンパク質以外のタンパク質)を反映したものとなる。個々の夾雑ピークは、特定タンパク質の同定の妨げとして働くので、それが事前に除去される。夾雑ピーク除去後の検体ピークリスト53が判定部56に送られる。夾雑ピークによる影響があまりないような場合、夾雑ピーク除去部52を除外してもよい。
判定部56は、標本ピークリスト記憶部50から読み出された標本ピークリスト57に基づいて検体ピークリスト53を比較、評価、分析するモジュールである。具体的には、標本ピークリスト57を構成する個々の標本ピークごとに、検体ピークリスト53中に標本ピークの質量電荷比と同じ質量電荷比を有する検体ピーク(対応ピーク)が存在するか否かを判定している。標本ピーク数がm個の場合、閾値m1以上の対応ピーク数が特定された場合に、検体中の特定タンパク質の存在が判定されてもよい。m1として任意の数値を指定でき、例えば、k1を係数として、m1=m×k1によりm1が決定されてもよい。その場合、k1に対して、例えば、0.5~1.0の範囲内の任意の数値が与えられてもよい。もっとも、mが1の場合には、対応ピークの有無が特定タンパク質の存否を決定することになる。
特定タンパク質(換言すれば特定ウイルス)の同定に関し、標本ピークリストを構成する標本ピーク群と、検体ピークリスト中の対応ピーク群(標本ピーク群に対応する検体ピーク群)との間で、ピーク強度パターンが比較されてもよい。その場合、コサイン類似度を用いる判定法が用いられてもよい。また、標本ピーク群のイオン強度比を基準として定められた判定範囲内に、対応ピーク群の強度比が入っているか否かを判定してもよい。標本ピーク群と対応ピーク群の間の類似度に基づいて、特定タンパク質の同定がなされてもよい。対応ピークの強度又は対応ピーク群の強度に基づいて特定タンパク質の定量が行われてもよい。
表示器60には、判定結果が表示される。その場合、特定タンパク質又は特定ウイルスの有無(陽性/陰性)が表示されてもよい。類似度に基づいて陽性の可能性が数値として表示されてもよい。
以上説明したウイルス由来タンパク質検出方法によれば、信頼性の高い標本ピークリストを構成する各標本ピークを基準として、検体マススペクトル中における対応ピークの有無が調査されるので、検体ピークリスト中に少なからずの夾雑ピークが含まれていても、その影響を受け難く、特定タンパク質の判定精度を高められる。検体ピークリストに対して事前に夾雑ピークの除外処理を適用すれば、夾雑ピークの影響をより受け難くなり、特定タンパク質の検出精度をより高められる。
図2において、(A)は標本マススペクトルを示している。そこには、ノイズに相当する多数のピークが含まれ、同時に、標本ピーク群64が含まれている。標本ピーク群64は、特定タンパク質から生成されたペプチド群に相当するピーク群である。標本ピーク群64は、図示の例では、標本ピーク64A,64B,64Cにより構成される。閾値62を用いた閾値処理により、ノイズに相当する多数のピークが除去される。
図2において、(B)は検体マススペクトルを示している。そこには、多数の夾雑ピーク及び対応ピーク群66が含まれる。対応ピーク群66は、特定ウイルスから生じたものであり、標本ピーク群64に対応するものである。図示の例では、対応ピーク群66は、対応ピーク66A,66B,66Cにより構成される。それらはいずれも小さく、多数の夾雑ピークに埋もれている。
標本マススペクトルと検体マススペクトルとを単純に比較した場合、類似度が低くなってしまう。これに対し、実施形態では、検体マススペクトル中において、標本ピーク64A,64B,64Cごとに、同じ質量電荷比を有する対応ピーク66A,66B,66Cが存在するか否かが個別的に精査されるため、夾雑ピークの影響を受け難い。対応ピーク66A,66B,66Cの調査に際しては、標本ピーク64A,64B,64Cの質量電荷比を中心として、一定の調査範囲が定められてもよい。
図3には、標本マススペクトルから生成された標本ピークリスト68、及び、検体マススペクトルから生成された検体ピークリスト70が示されている。図示の例では、標本ピークリスト68は、複数の標本ピークに対応した複数のレコード71により構成される。個々のレコード71は、ピーク番号72、質量電荷比74、及び、強度76を示す情報を有している。検体ピークリスト70も、複数の検体ピークに対応した複数のレコード78により構成される。個々のレコード78は、ピーク番号80、質量電荷比82、及び、強度84を示す情報を有している。
ピーク比較に際しては、個々の標本ピークの質量電荷比が参照され、検体ピークリスト70において、同じ質量電荷比を有する対応ピークの存否が調査される(符号88を参照)。図示の例では、対応ピーク群が符号86で示されている。上述したように、対応ピークを調査するに際しては、標本ピークの質量電荷比を中心として一定の調査範囲90が定められてもよい。標本ピーク群の強度パターンと対応ピーク群の強度パターンとが比較されてもよい。強度パターンは、複数のピーク強度の並び又は分布に相当する。
図4には、ウイルス処理工程を含む一連の処理がフローチャートとして示されている。S10では、特定ウイルスが接種された細胞が培養される。これよりウイルスが増殖する。S12では、特定ウイルスを含む溶液に対して濃縮処理等が適用される。S14では、特定ウイルスを含む溶液に対して特定タンパク質を抽出する処理が適用され、続く、S16では、タンパク質分解酵素を用いて特定タンパク質がペプチドに断片化される。これによりペプチド溶液としての標本溶液が調製される。
標本溶液が標本試料として質量分析される。すなわち、S18において標本試料がイオン源にセットされ、標本試料がイオン化される。S20では、標本試料に対して質量分析が実行され、これにより標本マススペクトルが生成される。S22では、標本マススペクトルから標本ピークリストが作成される。S24では、標本ピークリストが登録される。標本ピークリストは、複数の被検者から得た複数の検体を検査する場合に共用され得る。
図5には、検体処理工程を含む一連の処理がフローチャートとして示されている。S30では、被検者から検体が採取される。S32では、検体を含む溶液に対して夾雑物を除去する処理や濃縮処理が適用される。S34では、検体を含む溶液に対してタンパク質を抽出する処理が適用され、S36では、タンパク質分解酵素を用いてタンパク質がペプチドに断片化される。これによりペプチド溶液としての検体溶液が調製される。
検体溶液が検体試料として質量分析される。すなわち、S38において検体試料がイオン源にセットされ、検体試料がイオン化される。S40では、検体試料に対して質量分析が実行され、これにより検体マススペクトルが生成される。S42では、検体マススペクトルから検体ピークリストが作成される。
S44では、標本ピークリストと検体ピークリストとが比較される。その際には、個々の標本ピークが基準とされ、標本ピークごとに、それに対応する対応ピークが存在するか否かが調査される。それらの調査結果から特定タンパク質の存否が判定され、その判定結果が表示される。第1実施形態において、S16で用いるタンパク質分解酵素とS36で用いるタンパク質分解酵素は同じものである。タンパク質修飾条件も同じである。なお、S44において、複数の標本ピークの強度パターンと複数の検体ピークの強度パターンとが比較されてもよい。その場合に2つの強度パターン間で類似度を演算し、類似度の大小によって、特定タンパク質の存否が判定されてもよい。
図6には、第2実施形態に係るウイルス由来タンパク質検出方法が示されている。なお、図6において、図1に示した要素と同様の要素には同一符号を付し、その説明を省略する。このことは図7以降の各図においても同様である。
ウイルス処理工程100には、標本溶液調製工程24Aが含まれる。標本溶液調製工程24Aには、2系統の処理が含まれ、すなわち、第1処理条件102Aに従う処理と、第2処理条件102Bに従う処理とが含まれる。第1処理条件102Aに従う処理の結果として標本溶液28Aが調製され、第2処理条件102Bに従う処理の結果として標本溶液28Bが調製される。
第1処理条件と第2処理条件は互いに異なっている。例えば、第1処理条件には第1のタンパク質分解酵素の使用が含まれ、第2の前処理条件には、第1のタンパク質分解酵素とは異なる第2のタンパク質分解酵素の使用が含まれる。タンパク質修飾条件、タンパク質抽出条件、等を異ならせることも考えられる。
標本溶液28Aの質量分析104により標本マススペクトル106Aが生成され、標本溶液28Bの質量分析104により標本マススペクトル106Bが生成される。標本マススペクトル106A及び標本マススペクトル106Bにより、標本マススペクトルセット106が生成される。標本マススペクトルセット106に基づいて、第1標本ピークリスト及び第2標本ピークリストからなる標本ピークリストセットが生成される。
一方、検体処理工程102には、標本溶液調製工程32Aが含まれる。標本溶液調製工程32Aには、上記同様に、2系統の処理が含まれ、すなわち、第1処理条件102Aに従う処理と、第2処理条件102Bに従う処理とが含まれる。第1処理条件102Aに従う処理の結果として検体溶液34Aが調製され、第2処理条件102Bに従う処理の結果として検体溶液34Bが調製される。
検体処理工程102における第1処理条件102Aは、ウイルス処理工程100における第1処理条件102Aと基本的に同一である。検体処理工程102における第2処理条件102Bは、ウイルス処理工程100における第2処理条件102Bと基本的に同一である。ここでは、ウイルス特有の処理、及び、検体特有の処理は、各処理条件には含まれない。
例えば、標本溶液28A及び検体溶液34Aを調製する際には、いずれも同じ第1のタンパク質分解酵素が使用され、標本溶液28B及び検体溶液34Bを調製する際には、いずれも同じ第2のタンパク質分解酵素が使用される。標本溶液28A及び検体溶液34Aを調製する際に、いずれも同じ第1のタンパク質修飾条件が適用され、標本溶液28B及び検体溶液34Bを調製する際に、いずれも同じ第2のタンパク質修飾条件が適用されてもよい。
検体溶液34Aの質量分析108により検体マススペクトル110Aが生成され、検体溶液34Bの質量分析108により検体マススペクトル110Bが生成される。検体マススペクトル110A及び検体マススペクトル110Bにより、検体マススペクトルセット110が生成される。検体マススペクトルセット110に基づいて、第1検体ピークリスト及び第2検体ピークリストからなる検体ピークリストセットが生成される。
第2実施形態においても、対応関係にある標本ピークリストと検体ピークリストの間において、標本ピークごとにピーク比較が実施される。具体的には、第1標本ピークリストと第1検体ピークリストとの間において第1標本ピークごとに第1対応ピークの存否が調査され、第2標本ピークリストと第2検体ピークリストとの間において第2標本ピークごとに第2対応ピークの存否が調査される。それらの調査結果を総合することにより、検体中における特定タンパク質の有無が判定される。上記のように、対比する2つのピークリスト間で強度パターンが比較されてもよい。
第1標本ピークリストを構成する第1標本ピーク群と第1検体ピークリスト中の第1対応ピーク群との間で第1類似度が演算され、第2標本ピークリストを構成する第2標本ピーク群と第2検体ピークリスト中の第2対応ピーク群との間で第2類似度が演算され、第1類似度及び第2類似度の平均値を総合類似度114として演算してもよい。総合類似度114の大きさから特定タンパク質の同定がなされてもよい。更に、第1対応ピーク群の大きさ及び第2対応ピーク群の大きさから特定タンパク質の定量がなされてもよい。
図7には、第3実施形態に係るウイルス由来タンパク質測定方法が示されている。ウイルス処理工程及び検体処理工程については図示省略されている。質量分析システム14Aは、質量分析部16A及びマススペクトル処理部18Aを有する。質量分析部16Aは、タンデム分析法に従う構成を備えており、具体的には、イオン源36A、第1質量分析器116、コリジョンセル118、第2質量分析器120、及び、検出器40Aを有している。
第1質量分析器116及び第2質量分析器120は、それぞれ、例えば四重極型質量分析器であり、マスフィルタとして機能する。コリジョンセル118内には中性ガスが充満しており、そこにおいて入射イオンの衝突誘起解離(CID)が生じる。すなわち、第1質量分析器116を通過したイオン(プリカーサーイオン)がガス原子又はガス分子と衝突して解離し、これにより複数のフラグメントイオンが生じる。それらに対して第2質量分析器120により質量分析が実施される。
標本溶液28の測定時には、まず、第1質量分析器116及び検出器40Aが使用され、標本マススペクトル(標本プリカーサーイオンマススペクトル)が取得される。その上で、標本マススペクトルに含まれる個々の標本ピークが有する質量電荷比が特定される。続いて、特定された質量電荷比が第1質量分析器116に順次設定され、標本ピークごとに標本プロダクトイオンマススペクトルが生成される。その際には、第1質量分析器116、コリジョンセル118、第2質量分析器120、及び、検出器40Aが機能する。1つの標本プリカーサーイオンマススペクトルごとに、通常、複数の標本プロダクトイオンマススペクトルが取得される。それらは標本マススペクトル群を構成する。標本マススペクトル群から標本ピークリスト群が生成され、それらが標本ピークリスト群記憶部50Aに登録される。
上記同様の測定が検体溶液34に対して実施される。その際においては、第1質量分析器116に対して、各固有ピークの質量電荷比が順次設定される。これにより、1つの標本プリカーサーイオンマススペクトル、及び、複数の標本プロダクトイオンマススペクトルからなる検体マススペクトル群が取得される。それらから検体ピークリスト群が生成される。判定部56Aにおいては、標本ピークリスト群と検体ピークリスト群とが比較される。その際には、標本ピークごとに、対応関係にある標本ピークリストと検体ピークリストの間でピーク比較が実施される。ピーク比較結果を総合することにより、特定タンパク質の有無が判定される。
図8には、第3実施形態において取得される標本マススペクトル群124及び検体マススペクトル群126が示されている。標本マススペクトル群124は、標本プリカーサーイオンマススペクトル128と、そこに含まれるN個の標本ピークに対応するN個の標本プロダクトイオンマススペクトル130-1~130-Nと、により構成される。検体マススペクトル群126は、検体プリカーサーイオンマススペクトル132と、N個の標本ピークに対応するN個の検体プロダクトイオンマススペクトル134-1~134-Nと、により構成される。標本マススペクトル群124及び検体マススペクトル群126の間で類似度が演算され、類似度に基づいて検体中における特定タンパク質の有無が判定される。
図9には、第4実施形態に係るウイルス由来タンパク質測定方法が示されている。ウイルス処理工程及び検体処理工程については図示省略されている。質量分析システム14Bは、質量分析部16B、マススペクトル処理部18B、及び、質量分析部16Bの前段に設けられた液体クロマトグラフ(LC)140を有する。質量分析部16Bは、イオン源36B、質量分析器38B、及び、検出器40Bを有している。
標本溶液28の質量分析に際しては、液体クロマトグラフ140に対し、標本溶液28が導入される。これにより、時間的に分離された複数の標本溶液成分が生成され、それらが質量分析部16Bへ順次導入される。質量分析部16Bにおいては質量分析が繰り返し実行され、標本マススペクトル列が生成される。それには、複数の標本溶液成分に対応する複数の標本マススペクトルが含まれる。
複数の標本マススペクトルの取得に際しては、TICC(トータルイオンカレントクロマトグラム)上に生じる個々のピークが特定される。個々のピークにより、保持時間軸上における個々の標本溶液成分の出現時間が特定される。複数の標本溶液成分に対応する複数の標本マススペクトルから複数の標本ピークリスト(標本ピークリスト列)が生成される。標本ピークリスト列が標本ピークリスト列記憶部50Bに登録される。
検体溶液30の質量分析に際しては、液体クロマトグラフ140に対し、検体溶液34が導入される。これにより、時間的に分離された複数の検体溶液成分が生成され、それらが質量分析部16Bへ順次導入される。質量分析部16Bにおいては質量分析が繰り返し実行され、検体マススペクトル列が生成される。それには、複数の標本溶液成分の出現時間に対応した複数の検体マススペクトルが含まれる。時間的に選別された複数の検体マススペクトルから複数の検体ピークリスト(検体ピークリスト列)が生成される。
判定部56Bにおいて、標本ピークリスト列と検体ピーク列とが比較される。その際には、対応関係にある標本ピークリスト及び検体ピークリストの間で、標本ピークごとに対応ピークの存否が調査される。それらの調査の結果を総合することにより、検体中に特定タンパク質が含まれているか否かが判定される。
図10には、第4実施形態において取得される複数の標本マススペクトル148及び複数の検体マススペクトル157が示されている。標本TICC142は、標本溶液から生成されたものであり、検体TICC144は、検体溶液から生成されたものである。それらの横軸は保持時間軸であり、それらの縦軸はTIC(トータルイオンカレント)軸である。
標本TICC142には複数の標本溶液成分に対応する複数のピーク150が含まれる。各ピークの頂点、中心又は重心から各ピークの出現時間154が特定される。各出現時間は、基本的に、各標本ピークに対応する。複数のピークに基づいて、複数の標本マススペクトル148が選択される。標本TICC142上において、ピークごとに積算期間156を設定し、その積算期間内において複数の標本マススペクトルが積算されてもよい。
一方、検体TICC144には、複数の検体溶液成分に対応する複数のピーク158が含まれる。標本TICC142に基づいて特定された複数の出現時間154に基づいて、複数の標本ピークに対応する複数の検体マススペクトル157が生成される。具体的には、図10の右側に示されている保持時間軸上において、複数の出現時間154に対応する複数のサンプリング時間162が特定され、個々のサンプリング時間に対応する検体マススペクトルが選択される。その際、上記同様に、出現期間ごとに積算期間164を設定し、その積算期間内において、複数の検体マススペクトルが積算されてもよい。
判定工程においては、選択された複数の標本マススペクトルに基づく標本ピークリスト列と、選択された複数の検体マススペクトルに基づく検体ピークリスト列と、が比較される(符号166を参照)。比較結果に基づいて特定タンパク質の有無が判定される。
図11には、第1実施形態の変形例が示されている。マススペクトル処理部18Aにおいて、ピーク検出部48と標本ピークリスト記憶部50との間に夾雑ピーク除去部52Aが設けられている。ピーク検出部48で生成された検体ピークリスト51はそのまま判定部56へ送られている。夾雑ピーク除去後の検体ピークリストが判定部56へ送られてもよい。
夾雑ピーク除去部52Aは、夾雑ピークリスト記憶部54に記憶された夾雑ピークリストに基づいて、標本ピークリストに含まれる特定の標本ピークに対して除去又は低減を行うものである。特定の標本ピークは、例えば、いずれかの夾雑ピークの質量電荷比に近接する質量電荷比を有する近似標本ピークである。近接とみなす条件がユーザーにより指定されてもよい。
近似標本ピークが標本ピークリストに含まれている場合、検体ピークリスト中における夾雑ピークを対応ピークとして誤認してしまう可能性が高くなる。そこで、そのような近似標本ピークを事前に除去又は低減しておくものである。標本ピークリストを構成する標本ピークの個数が多い場合に上記変形例を適用するのが望ましい。
(3)実施例
実施例を説明する。実施例において、特定ウイルスはSARS-CoV-2ウイルスである。以下の説明において、比率はいずれも重量%である。
まず、ウイルス処理を含む一連の処理について説明する。細胞基材となるVeroE6/TMPRSS2細胞の細胞シートに、維持培地として5%ウシ胎児血清含有Dulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM)を使用して、SARS―CoV-2ウイルスを接種し、5%炭酸ガス存在下、37度で3日間培養し、SARS-CoV-2ウイルス培養液を調製した。培養液回収時に、不活化剤β-プロピオラクトンを、終濃度0.05%で添加し、4度で3日間静置し、不活化SARS-CoV-2ウイルス培養液を調製した。不活化SARS-CoV-2ウイルス培養液を、ポール社製l00kDa限外ろ過膜を用いて濃縮し、20~60%のショ糖、及びl00mM塩化ナトリウムを含む、l0mmol/Lトリスヒドロキシメチルアミノメタン-1mmol/Lエチレンジアミン緩衝液(pH7.5)によってなる密度勾配溶液に重層し、4度条件下、86,000×gで3時間遠心した後に、40%ショ糖濃度に分布したウイルス画分を回収した。ウイルス画分を、4度条件下、181,000×gで2時間遠心して沈殿とし、キシダ化学社製高速液体クロマト用蒸留水に懸濁して、精製不活化SARS-CoV-2ウイルス液を調製した。
なお、SARS-CoV-2ウイルス培養液、不活化SARS-CoV-2ウイルス培養液、及び、精製不活化SARS-CoV-2ウイルス液から、キアゲン社製QIAamp Viral RNA Mini KitによってRNAを抽出し、タカラバイオ社製定量逆転写リアルタイムPCR定量キットOne Step PrimeScript RT-PCR Kit、及び、タカラバイオ社製SRS-CoV-2検出用プライマ一・プロープセットPrimer/Probe Set(2019-nCoV)を用いて、ウイルス量を計測した。
10コピーのSARS-CoV-2ウイルス溶液に、等量の5%ラウリル硫酸ナトリウムを含む100mmol/L炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液と、1/5量の12%リン酸水溶液を加え、タンパク質を抽出した。ウイルス由来タンパク質抽出液に、6倍量の100mmol/L炭酸水素トリエチルアンモニウムを含む90%メタノールを加え、タンパク質を変性させた。エーエムアール社製のS-Trapたんぱく質前処理カートリッジにウイルスたんぱく質変性溶液を加え、3,500×gで3分間遠心し、カートリッジの固相にたんぱく質を吸着させた。ロシュ社製のシーケンスグレード修飾トリプシンを固相に添加し、37度で2時間静置して、たんぱく質を消化した。50mmol/L炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液、0.2%ギ酸水溶液、0.2%ギ酸を含む50%アセトニトリル水溶液で、ペプチドを溶出し、溶出液を遠心濃縮器で乾固した。残渣を0.1%トリフルオロ酢酸水溶液に溶解し、ミリポア社製のZipTipC18を用いて脱塩した。α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸をマトリックスに用い、脱塩後の溶液をMALDI-TOF/MS測定用の金属プレートに塗布した。JEOL社製のMALDI-TOF/MS(SpiralTOF-plus)を用いて、ペプチドの質量を測定した。得られたマススペクトルからピークの質量情報の抽出し、データベース検索(MASCOTサーチ)を行い、ウイルスのタンパク質由来のペプチドを選別した。また、タンパク質濃度を変えてマススペクトル取得を行うことで、データベース検索ではアサインされなかったウイルスのタンパク質由来のペプチドを決定した。それらペプチドイオンの質量およびマススペクトルの強度パターンを記録した(標本ピークリストの登録)。
次に、検体処理を含む一連の処理について説明する。鼻腔用滅菌スワブを鼻腔から挿入し、鼻咽頭部を数回こすった。採取の終わったスワブの採取部分を滅菌水等に入れ、採取物を浮遊させた。その浮遊液を検体とした。検体に等量の20mmol/Lリン酸ナトリウム緩御夜(pH7.5)を加えて混合した後、サイティバ社製の陽イオン交換樹脂を添加し、25度で45分間振盪し、夾雑物を樹脂に吸着させた。フィルターを用いて樹脂を除去後、ポール社製300kDa限外ろ過カートリッジを用いてウイルスの濃縮と夾雑物の除去を行った。濃縮液に、等量の5%ラウリル硫酸ナトリウムを含む100mmol/L炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液と1/5量の12%リン酸水溶液を加え、タンパク質を抽出し、上記手法と同様に酵素消化を行った。酵素消化物に含まれるペプチドをMALDI-TOF/MSで検出し、検体マススペクトルを取得した。検体マススペクトルから検体ピークリストを生成し、検体ピークリストと登録された標本ピークリストと比較した。
標本ピークリスト中において基準とする標本ピークが1つである場合、検体ピーク中において標本ピークに対応する対応ピークの有無により陽性か陰性かを判定した。標本ピークリスト中において基準とする標本ピークが複数ある場合、複数の標本ピークの強度パターンと複数の対応ピークの強度パターンとの間で類似度が演算され、一定の類似度が得られた場合に陽性と判定した。
10 ウイルス処理工程、12 検体処理工程、14 質量分析システム、16 質量分析部、18 マススペクトル処理部、28 標本溶液、34 検体溶液、36 イオン源、38 質量分析器、46 マススペクトル生成部、48 ピーク検出部、50 標本ピークリスト記憶部、56 判定部。

Claims (12)

  1. 細胞培養による増殖過程を経た特定ウイルスから抽出された特定タンパク質に対してタンパク質分解処理を適用し、これにより標本溶液を調製するウイルス処理工程と、
    前記標本溶液に対して質量分析を実施し、これにより標本マススペクトルを取得する標本マススペクトル取得工程と、
    被検者から得た検体に対してタンパク質分解処理を適用し、これにより検体溶液を調製する検体処理工程と、
    前記検体溶液に対して質量分析を実施し、これにより検体マススペクトルを取得する検体マススペクトル取得工程と、
    前記標本マススペクトル中の標本ピークごとに、前記標本マススペクトルと前記検体マススペクトルとの間でピーク比較を行うことにより、前記検体中に前記特定タンパク質が含まれているか否かを判定する判定工程と、
    を含むことを特徴とするウイルス由来タンパク質検出方法。
  2. 請求項1記載のウイルス由来タンパク質検出方法において、
    前記判定工程は、
    前記標本マススペクトルから標本ピークリストを作成する標本ピークリスト作成工程と、
    前記検体マススペクトルから検体ピークリストを作成する検体ピークリスト作成工程と、
    前記標本ピークリストと前記検体ピークリストとの間で前記ピーク比較を行う比較工程と、
    を含むことを特徴とするウイルス由来タンパク質検出方法。
  3. 請求項2記載のウイルス由来タンパク質検出方法において、
    前記判定工程では、前記標本ピークリスト中の標本ピーク群の強度パターンと前記検体ピークリスト中の対応ピーク群の強度パターンとの間で類似度が演算される、
    ことを特徴とするウイルス由来タンパク質検出方法。
  4. 請求項2記載のウイルス由来タンパク質検出方法において、
    夾雑ピークリストを事前に作成しておく夾雑ピークリスト作成工程と、
    前記比較工程の実行に先立って前記夾雑ピークリストに基づいて前記検体ピークリスト中の夾雑ピークを除去する夾雑ピーク除去工程と、
    を含むことを特徴とするウイルス由来タンパク質検出方法。
  5. 請求項2記載のウイルス由来タンパク質検出方法において、
    夾雑ピークリストを事前に作成しておく夾雑ピークリスト作成工程と、
    前記比較工程の実行に先立って前記夾雑ピークリストに基づいて前記標本ピークリスト中の特定の標本ピークを処理する標本ピーク処理工程と、
    を含むことを特徴とするウイルス由来タンパク質検出方法。
  6. 請求項4又は5記載のウイルス由来タンパク質検出方法において、
    前記夾雑ピークリストにおける夾雑ピークは、前記特定タンパク質以外のタンパク質であって生体に含まれ得るタンパク質に由来するペプチドピークである、
    を特徴とするウイルス由来タンパク質検出方法。
  7. 請求項2記載のウイルス由来タンパク質検出方法において、
    既知の質量を有する夾雑ピークを事前に特定しておく工程と、
    前記比較工程の実行に先立って前記夾雑ピークに基づいて前記検体ピークリストの質量校正を行う工程と、
    を含むことを特徴とするウイルス由来タンパク質検出方法。
  8. 請求項1記載のウイルス由来タンパク質検出方法において、
    前記ウイルス処理工程では、タンパク質分解処理を含む第1処理が適用された第1標本溶液、及び、前記第1処理とは異なる処理であってタンパク質分解処理を含む第2処理が適用された第2標本溶液が調製され、
    前記標本マススペクトル取得工程では、前記第1標本溶液に対応する第1標本マススペクトル、及び、前記第2標本溶液に対応する第2標本マススペクトルが取得され、
    前記検体処理工程では、前記第1処理が適用された第1検体溶液、及び、前記第2処理が適用された第2検体溶液、が調製され、
    前記検体マススペクトル取得工程では、前記第1検体溶液に対応する第1検体マススペクトル、及び、前記第2検体溶液に対応する第2検体マススペクトルが取得され、
    前記判定工程では、前記第1標本マススペクトルと前記第1検体マススペクトルとの間で前記ピーク比較が行われ、且つ、前記第2標本マススペクトルと前記第2検体マススペクトルとの間で前記ピーク比較が行われる、
    ことを特徴とするウイルス由来タンパク質検出方法。
  9. 請求項1記載のウイルス由来タンパク質検出方法において、
    前記標本マススペクトル取得工程では、更に、タンデム質量分析法に従って、前記標本マススペクトルの中から選択された標本ピークごとに標本プロダクトイオンマススペクトルが取得され、
    前記検体マススペクトル取得工程では、更に、前記タンデム質量分析法に従って、前記選択された標本ピークごとに検体プロダクトイオンマススペクトルが取得され、
    前記判定工程では、更に、前記選択された標本ピークごとの標本プロダクトイオンマススペクトルと前記選択された標本ピークごとの検体プロダクトイオンマススペクトルとが比較される、
    ことを特徴とするウイルス由来タンパク質検出方法。
  10. 請求項1記載のウイルス由来タンパク質検出方法において、
    前記標本マススペクトル取得工程では、前記標本溶液から時間軸的に分離された複数の標本溶液成分に対して質量分析が実施され、これにより前記複数の標本溶液成分に対応する複数の標本マススペクトルが取得され、
    前記検体マススペクトル取得工程では、前記検体溶液から時間的に分離された複数の検体溶液成分に対して質量分析が実施され、これにより前記複数の標本マススペクトルに時間的に対応する複数の検体マススペクトルが取得され、
    前記判定工程では、前記複数の標本マススペクトルと前記複数の検体マススペクトルとが比較される、
    ことを特徴とするウイルス由来タンパク質検出方法。
  11. 請求項1記載のウイルス由来タンパク質検出方法において用いられるマススペクトル処理装置であって、前記判定工程を実行するマススペクトル処理装置。
  12. 細胞培養による増殖過程を経た特定ウイルスから抽出された特定タンパク質に対してタンパク質分解処理を適用することにより調製された標本溶液に対して質量分析を実施し、これにより標本マススペクトルを取得する標本マススペクトル取得手段と、
    被検者から得た検体に対してタンパク質分解処理を適用することにより調製された検体溶液に対して質量分析を実施し、これにより検体マススペクトルを取得する検体マススペクトル取得手段と、
    前記標本マススペクトル中の標本ピークごとに、前記標本マススペクトルと前記検体マススペクトルとの間でピーク比較を行うことにより、前記検体中に前記特定タンパク質が含まれているか否かを判定する判定手段と、
    を含むことを特徴とする質量分析システム。
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