JP2014020831A - 混合物試料の属性を識別する方法及び装置 - Google Patents

混合物試料の属性を識別する方法及び装置 Download PDF

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薫 小池
Keiko Hirakawa
慶子 平川
Yokichi Ono
曜吉 大野
Takeshi Asano
健 浅野
Takeshi Moriyama
剛 森山
Hideyuki Morikawa
秀行 森川
Hideki Muraki
秀樹 村木
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Abstract

【課題】被検混合物試料の属性をより高精度、簡便、かつ迅速に識別する。
【解決手段】混合物試料の属性識別装置1は、被検混合物試料と同種で属性の明らかな複数の混合物試料(既知混合物試料)のそれぞれから得られた信号を一つのデータとして処理することによって前記既知混合物試料の特徴を抽出すると共に、前記既知混合物試料の属性毎の特徴に基づいて前記被検混合物試料の属性を識別するための解析指標を設定する解析指標設定部2Aと、前記既知混合物試料のそれぞれから得られた上記信号と同様の方法によって前記被検混合物から得られた信号を一つのデータとして処理することによって前記被検混合物試料の特徴を抽出する特徴抽出部3Aと、前記被検混合物試料の特徴と前記解析指標とを比較する比較部4Aと、前記解析指標と前記被検混合物試料の特徴とを対比可能に出力する出力部5Aと、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、混合物試料を解析(分析)する技術に関し、特に属性の不明な混合物試料(被検混合物試料)の属性を識別する方法及び装置に関する。
従来、生体試料などの混合物試料の解析は、例えば非特許文献1に記載されているように、混合物試料中に含まれる成分を同定・定量することによって行なわれていた。すなわち、従来の混合物試料の解析方法は、解析対象である混合物試料を構成する物質を可能な限り同定し、同定された物質の種類や各物質の量を解析指標としていた。
Psychogios N, Hau DD, Peng J, Guo AC, Mandal R, et al. (2011) The Human Serum Metabolome. PLoS ONE 6(2): e16957. doi:10.1371/journal.pone.0016957
しかし、従来の混合物試料の解析方法では、例えば複数の同種混合物試料において各混合物試料をその属性等に応じて精度よく識別することが困難であるという課題がある。
例えば二つの同種混合物試料が同定・定量の不可能な未知の成分を含む場合、前記従来の解析方法では、未知の成分についての情報が切り捨てられてしまうので、両者の識別に時間と手間がかかる上に、識別の精度が低くならざるを得ない。特に、例えば生体試料(血液、髄液、細胞、組織等)のように、二つの同種混合物試料が同定・定量が不可能な未知の成分を含むと共に構成成分同士が相互作用を示すような場合には、未知の成分についての情報が切り捨てられることに加えて、構成成分同士の相互作用が全く考慮されないので、前記従来の解析方法では、実質的に両者を識別することができない。
そこで、本発明は、同定・定量が不可能な未知の成分を含む混合物試料や構成成分同士が相互作用を示す混合物試料についても、その属性を高精度かつ簡便・迅速に識別することのできる、属性の不明な混合物試料の属性を識別する方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、属性の不明な混合物試料(被検混合物試料)の属性を識別する方法は、前記被検混合物試料と同種で属性の明らかな複数の混合物試料(既知混合物試料)のそれぞれに電磁波や熱を含む所定のエネルギー若しくは化学反応物質を作用させて得られた前記既知混合物試料についての信号又は前記既知混合物試料自体が発する電磁波や熱や振動に基づいて得られた前記既知混合物試料についての信号を一つのデータとして処理することよって前記既知混合物試料の特徴を抽出すると共に、前記既知混合物試料の属性毎の特徴に基づいて前記被検混合物試料の属性を識別するための解析指標を設定する第1の工程と;前記被検混合物試料に前記既知混合物試料同様の前記所定エネルギー若しくは前記化学反応物質を作用させて得られた前記被検混合物試料についての信号又は前記被検混合物試料自体が発する電磁波や熱や振動に基づいて得られた前記被検混合物試料についての信号を一つのデータとして処理することによって前記被検混合物試料の特徴を抽出し、抽出された前記被検混合物試料の特徴と前記解析指標とを比較する第2の工程と;を含む。
本発明の他の側面によると、属性の不明な混合物試料(被検混合物試料)の属性を識別する装置は、前記被検混合物試料と同種で属性の明らかな複数の混合物試料(既知混合物試料)のそれぞれに電磁波や熱を含む所定のエネルギー若しくは化学反応物質を作用させて得られた前記既知混合物試料についての信号又は前記既知混合物試料自体が発する電磁波や熱や振動に基づいて得られた前記既知混合物試料についての信号を一つのデータとして処理することによって前記既知混合物試料の特徴を抽出すると共に、前記既知混合物試料の属性毎の特徴に基づいて前記被検混合物試料の属性を識別するための解析指標を設定する解析指標設定部と;前記被検混合物試料に前記既知混合物試料と同様の前記所定エネルギー若しくは前記化学反応物質を作用させて得られた前記被検混合物試料についての信号又は前記被検混合物試料自体が発する電磁波や熱や振動から得られた前記被検混合物試料についての信号を一つのデータとして処理することによって前記被検混合物試料の特徴を抽出する特徴抽出部と;前記被検混合物試料の特徴と前記解析指標とを比較する比較部と;を備える。
前記方法及び装置によると、前記被検混合物試料から得られた信号や前記被検混合物試料と同種で属性の明らかな複数の混合物試料(既知混合物試料)から得られた各信号をそれぞれ一つのデータとして取り扱うので、例えば多種多様な成分が比較的大きな濃度差を持って存在する生体試料等の混合物試料についても、混合物試料に含まれる成分の種類(未知の成分を含む)や量の影響はもちろん、成分の構造変化の影響や成分間の相互作用の影響についても解析データに包含されることになる。
そして、前記方法及び装置においては、前記既知混合物試料から得られた各信号を一つのデータとして処理した上で、前記既知混合物試料の属性毎の特徴に基づいて前記被検混合物試料の属性を識別するための解析指標を設定し、前記被検混合物試料から得られた信号を一つのデータとして処理して抽出した前記被検混合物試料の特徴と前記解析指標とを比較する。これにより、前記被検混合物試料の属性を容易に識別することができる。このため、前記被検混合物試料を構成する各成分を同定・定量する必要がなく、また、従来技術では解析困難な混合物試料、例えば、同定・定量が不可能な成分を含んでいたり、構成成分同士が相互作用を示したりする混合物試料についても、高精度に、少量で非破壊的・簡便・迅速にその属性を識別することができる。
本発明の第1実施形態による混合物試料の属性識別装置の構成例を示すブロック図である。 第1実施形態による混合物試料の属性識別装置において実施される前記被検混合物試料の属性識別処理のフローチャートである。 混合物試料(ヒト髄液)の1H−NMRスペクトルの一例を示す図である。 前記混合物試料の属性識別装置で作成・出力されるスコアプロットの一例を示す図である。 前記混合物試料の属性識別装置で作成・出力されるスコアプロットの他の例を示す図である。 前記混合物試料の属性識別装置で作成・出力されるスコアプロットの他の例を示す図である。 前記混合物試料の属性識別装置で作成・出力されるスコアプロットの他の例を示す図である。 第1実施形態の変形例に係る混合物試料の属性識別装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態による混合物試料の属性識別装置の構成例を示すブロック図である。 第2実施形態による混合物試料の属性識別装置において実施される前記被検混合物試料の属性識別処理のフローチャートである。 第2実施形態の変形例に係る混合物試料の属性識別装置の構成例を示すブロック図である。
まず本発明の概要を説明する。
本発明の重要な特徴の一つは、混合物試料に対して電磁波や熱を含む所定のエネルギー若しくは化学反応物質を作用させて得られた信号又は混合物試料自体が発する電磁波や熱や振動などに基づいて得られた信号(以下、単に「混合物試料から得られた信号」という)を当該混合物試料に固有の一つのデータとして取り扱う点である。このことは、混合物試料を各構成成分の集合体としてではなく、一つの統合体として扱うことを意味する。
ここで、前記「混合物試料から得られた信号」は、混合物試料を各種の物質分析装置にかけることによって得られた信号、すなわち、各種の物質分析装置の出力信号を含み、前記各種の物質分析装置としては、核磁気共鳴(英語の頭字語はNMR、以下、NMR)分析装置、質量分析装置、クロマトグラフ装置、吸光分析装置及び発光分析装置などが該当する。
本発明では、混合物試料から得られた信号を、当該混合物試料を構成する各成分の合成信号として取り扱うのではなく、当該混合物試料に固有の一つの信号(同時に、一つのデータ)として取り扱う。これにより、例えば多種多様な成分が比較的大きな濃度差を持って存在する混合物試料(例えば、生体試料)について、混合物試料中に含まれる成分の種類(ただし、未知の成分を含む)や量の影響はもちろん、成分の構造変化の影響や成分間の相互作用の影響も解析データに包含されることとなる。
具体的には、混合物試料から得られた信号を一つのデータとして計測し、当該混合物試料の特徴として記録する。まず、属性の明らかな複数の混合物試料(既知混合物試料)について各々計測を行い、得られた各計測データを処理(例えば、パターン認識)してそれぞれの混合物試料が有する属性を定量的かつ客観的に評価する。この結果を当該混合物試料の属性を識別する解析指標とする。次に、属性の不明な混合物試料(被検混合物試料)について同様の評価を行う。そして、被検混合物試料の特徴を前記解析指標と比較することによって当該被検混合物試料の属性を識別する。
一例として「混合物試料A」について説明すると、属性が不明な混合物試料(被検混合物試料)A0の属性を識別する場合には、まず、前記被検混合物試料A0と同種で属性が明らかな複数の混合物試料(既知混合物試料)A1〜Anから得られた各信号を一つのデータとして処理(例えば、パターン認識)することによって、前記既知混合物試料A1〜Anの有する属性、換言すれば、前記被検混合物試料A0を含む前記混合物試料Aの属性を識別するための解析指標を設定する。例えば、属性の明らかな前記既知混合物試料A1〜Anの特徴を抽出し、抽出された特徴を属性毎にグループ化し、グループ化された属性毎の前記既知混合物試料の特徴に基づいて前記解析指標を設定する。この場合において、前記解析指標には、同じ属性の前記既知混合物試料同士が有する共通の特徴(すなわち、各属性に対応する特徴又は各属性を代表する特徴)が含まれる。
次に、被検混合物試料A0から得られた信号を一つのデータとして処理することによって被検混合物試料A0の特徴(前記解析指標と対比させるための特徴)を抽出する。そして、この抽出された被検混合物試料A0の特徴を前記解析指標と比較することによって被検混合物試料A0の属性を判断する。例えば、抽出された被検混合物試料A0の特徴が前記各属性に対応する特徴又は前記各属性を代表する特徴のいずれに最も近いかを判断することによって被検混合物試料A0の属性を識別する。
この結果、本発明は、従来技術では解析困難とされる混合物試料、特に、同定・定量が不可能な成分を含み、及び/又は、成分同士が相互作用を示す混合物試料について、少量で非破壊的・簡便・迅速・高精度にその属性を識別することを可能とする。
上述したように、従来の混合物試料の解析方法は、混合物試料を構成する成分の種類を同定し、個々の成分量を解析指標とする。すなわち、混合物試料を各成分の集合体として取り扱う。
これに対し、本発明は、混合物試料から得られた信号を一つのデータとして取り扱う、すなわち、混合物試料を一つの統合体として取り扱う。また、本発明は、属性の不明な被検混合物試料の属性を識別するために、当該被検混合物試料と同種で属性の明らかな複数の混合物試料(既知混合物試料)から得られた各信号に基づいて解析指標を設定する。これらの点において、本発明は従来の混合物試料の解析方法とは本質的に相違している。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による混合物試料の属性識別装置の構成例を示すブロック図である。この混合物試料の属性識別装置1は、属性の不明な混合物試料(被検混合物試料)の属性を識別するために用いられる。
混合物試料の属性識別装置1は、前記被検混合物試料の属性を識別するための解析指標を設定する解析指標設定部2Aと、前記被検混合物試料の特徴を抽出する特徴抽出部3Aと、前記解析指標と前記被検混合物試料の特徴とを比較する比較部4Aと、前記解析指標と前記被検混合物試料の特徴とを対比可能に出力する出力部5Aと、を含む。
解析指標設定部2Aは、前記被検混合物試料と同種で属性の明らかな複数の混合物試料(既知混合物試料)のそれぞれから得られた信号を一つのデータとして処理することによって前記解析指標を設定する。具体的には、前記既知混合物試料のそれぞれから得られた信号を処理(例えば、パターン認識)することによって前記既知混合物試料のそれぞれの特徴を抽出した上で、属性毎の前記既知混合物試料の特徴に基づいて前記解析指標を設定する。前記特徴の抽出において多変量解析を用いてデータの次元圧縮や集約を行ってもよい。本実施形態において、解析指標設定部2Aは、第1データ変換部21と、多変量解析部22と、第1スコア算出部23と、を有する。
第1データ変換部21は、前記既知混合物試料から得られた各信号を入力し、入力された各信号を多変量データ(例えば、スペクトルデータやヒストグラムデータ)に変換して出力する。なお、本実施形態において、第1データ変換部21は、入力された各信号をヒストグラムデータに変換するものとする。
例えば前記既知混合物試料から得られた各信号がNMR分析装置の出力信号、すなわち、NMR信号(FID信号)である場合には、第1データ変換部21は、入力された各信号に対してNMR解析用ソフトウエア等による通常のNMRデータ処理(フーリエ変換、位相補正、ベースライン補正、ケミカルシフト補正(Reference値設定)、ピーク検出)を行ってNMRスペクトルに変換し、その後、各帯域の信号強度値の分布をヒストグラムデータとして出力する。ここで、前記既知混合物試料から得られた各信号がスペクトルデータ(例えば、前記NMRスペクトルやマススペクトル)である場合には、スペクトル変換に関する処理が省略される。
多変量解析部22は、前記既知混合物試料の多変量データ(ヒストグラムデータ)に対して多変量解析(主成分分析、PLS判別分析(PLS−DA)、SIMCA法など)を行なって、前記既知混合物試料の多変量データを当該既知混合物試料が有する属性毎のデータ群に分離させる合成変量(以下「識別用合成変量」という)を作成する。作成される識別用合成変量の数が特に制限されないが、ここでは二つの識別用合成変量を作成するものとする。作成された識別用合成変量は、第1スコア算出部23及び後述する第2スコア算出部32に出力される。
ここで、多変量解析部22は、前記既知混合物試料の多変量データを比較し、例えば属性間で差がある変量のうちのいくつかをあらかじめ合成し、その後に前記多変量解析を行なうことによって前記識別用合成変量を作成するようにしてもよい。
第1スコア算出部23は、第1データ変換部21から各混合物試料の多変量データを入力すると共に多変量解析部22から前記識別用合成変量を入力し、入力した各混合物試料の多変量データの前記識別用合成変量に対するスコア(以下単に「合成変量値」という)を算出する。なお、第1スコア算出部23で算出されるスコア(合成変量値)には、各混合物試料の多変量データを前記二つの識別用合成変量を用いて表現したデータ(例えば、ベクトルや座標)も含まれる。
そして、解析指標設定部2Aは、第1スコア算出部23で算出された前記既知混合物試料の多変量データの合成変量値に基づいて前記解析指標を設定する。例えば、解析指標設定部2Aは、属性毎の前記既知混合物試料の多変量データの合成変量値に基づいて各属性を代表する代表値(平均、中心座標等)を求め、求めた各属性の代表値を解析指標として設定することができる。なお、解析指標設定部2Aは、第1スコア算出部23で算出された前記既知混合物試料の多変量データの合成変量値の全部又は一部を前記解析指標としてもよい。
特徴抽出部3Aは、前記既知混合物試料から信号を得た方法と同じ方法によって前記被検混合物試料から得られた信号を一つのデータとして処理することよって当該前記被検混合物試料の特徴を抽出する。特徴抽出部3Aは、第2データ変換部31と、第2スコア算出部31と、を有する。
第2データ変換部31は、前記被検混合物試料から得られた信号を入力し、第1データ変換部21と同様に、入力された信号を多変量データ(ヒストグラムデータ)に変換する。すなわち、前記被検混合物試料から得られた信号がNMR信号(FID信号)である場合、第2データ変換部31は、入力された信号に対して前記通常のNMRデータ処理を行ってNMRスペクトルに変換し、その後、各帯域の信号強度値の分布をヒストグラムデータとして出力する。
なお、ここでは第1データ変換部21と第2データ変換部31を別々に設けているが、一つのデータ変換部が第1データ変換部21及び第2データ変換部31として機能するように構成してもよい。
第2スコア算出部32は、第2データ変換部31から前記被検混合物試料の多変量データ(ヒストグラムデータ)を入力すると共に多変量解析部22から前記識別用合成変量を入力し、入力された前記被検混合物試料の多変量データの合成変量値を算出する。この第2スコア算出部32によって算出された合成変量値が前記被検混合物試料の特徴に相当する。ここで、第1スコア算出部23と同様、第2スコア算出部32で算出されるスコア(合成変量値)には、前記被検混合物試料の多変量データを前記二つの識別用合成変量を用いて表現したデータ(例えば、前記二つの識別用合成変量を軸(X,Y)とする座標平面における座標)も含まれる。
なお、ここでは第1スコア算出部23と第2スコア算出部32を別々に設けているが、一つのスコア算出部が第1スコア算出部23及び第2スコア算出部32として機能するように構成してもよい。
比較部4Aは、特徴抽出部3A(第2スコア算出部32)で算出された前記被検混合物試料の多変量データ(ヒストグラムデータ)の合成変量値と解析指標設定部2Aで設定された解析指標とを比較して、その比較結果に基づいて前記被検混合物試料の属性を識別(判別)する。例えば、比較部4Aは、前記被検混合物試料の多変量データの合成変量値がいずれの属性を代表する代表値に最も近いか等を判断することによって前記被検混合物試料の属性を識別(判別)する。
出力部5Aは、比較部4Aによる前記被検混合物試料の属性の識別結果を出力する。また、出力部5Aは、解析指標設定部2A(第1スコア算出部23)で算出された前記既知混合物試料の多変量データの識別用合成変量値、及び特徴抽出部3A(第2スコア算出部32)で算出された前記被検混合物試料の多変量データの合成変量値を入力し、これらを対比可能に出力する
例えば、出力部5Aは、表示部(図示省略)を有し、比較部4Aによる前記被検混合物試料の属性の識別結果を表示する。また、出力部5A、前記二つの識別用合成変量を軸(X、Y)とする座標平面上に前記既知混合物試料の多変量データの合成変量値及び前記被検混合物試料の多変量データの合成変量値をプロットしたスコアプロットを作成し、作成されたスコアプロットを表示する。ここで、前記スコアプロットには、前記既知混合物試料の多変量データの合成変量値の全てがプロットされている必要はなく、そのうちの一部がプロットされていてもよい。
混合物試料の属性識別装置1の利用者等は、出力部5Aから出力された前記被検混合物試料の属性の識別結果を確認することができる。また、前記利用者等は、出力部4Aから出力された前記スコアプロットを確認することにより、例えば被検混合物試料の多変量データの合成変量値がいずれの属性のデータ群に近いか又は属するかを確認することにより、前記被検混合物試料の属性を判断することができる。このように前記利用者等が前記被検混合物試料の属性を判断する場合には、混合物試料の属性識別装置1における比較部4Aを省略することができる。
図2は、本実施形態による混合物試料の属性識別装置1において実施される前記被検混合物試料の属性識別処理を示すフローチャートである。
ステップS1では、前記既知混合物試料から得られた各信号(例えば、NMR信号)を入力する。
ステップS2では、ステップS1で入力した各信号を多変量データ(例えば、ヒストグラムデータ)に変換する。
ステップS3では、前記既知混合物試料の多変量データに対して多変量解析を行ない、前記既知混合物試料の多変量データを、当該前記既知混合物試料が有する属性毎のデータ群に分離させる合成変量(識別用合成変量)を作成する。
ステップS4では、前記既知混合物試料の多変量データの合成変量値を算出する。
ステップS5では、属性毎の前記既知混合物試料の多変量データの合成変量値に基づいて前記被検混合物試料の属性を識別するための解析指標を設定する。
ステップS6では、前記既知混合物試料から前記信号を得た方法と同様の方法によって前記被検混合物試料から得られた信号(例えば、NMR信号)を入力する。
ステップS7では、ステップS2と同様、前記被検混合物試料から得られた信号を多変量データ(例えば、ヒストグラムデータ)に変換する。
ステップS8では、前記被検混合物試料の多変量データの合成変量値を算出する。
ステップS9では、ステップS8で算出された前記被検混合物試料の多変量データの合成変量値とステップS5で設定された解析指標とを比較して前記被検混合物試料の属性を識別(判別)する。
ステップS10では、前記識別用合成変量を軸(X、Y)とする座標平面上に、ステップS4で算出された前記既知混合物試料の多変量データの合成変量値、及び、ステップS8で算出された前記被検混合物試料の多変量データの合成変量値がプロットされたスコアプロットを作成する。
ステップS11では、ステップS9で実施された前記被検混合物試料の属性の識別(判別)結果とステップS10で作成したスコアプロットとを出力する。
(実施例1)
次に、本実施形態の具体的な実施例として混合物試料がヒト脳脊髄液(以下単に「髄液」という)である場合に混合物試料の属性処理装置1が実施する処理について説明する。
ここでは「急性脳症」又は「複雑熱性けいれん」が疑われる新規患者から採取した髄液を属性が不明な被検混合物試料とし、「急性脳症」又は「複雑熱性けいれん」を発症した複数の患者から採取した髄液を被検混合物試料と同種で属性の明らかな複数の混合物試料とする。
まず、前記複数の患者から採取した髄液及び前記新規患者から採取した髄液のそれぞれについて1H−NMR計測を行い、個々の髄液のNMR信号を得る。その後、得られた各髄液のNMR信号を混合物試料の属性識別装置1によって処理する。
解析指標設定部2Aにおいて、第1データ変換部21は、前記複数の患者の髄液のNMR信号について通常のNMRデータ処理を行なって図3に示すような1H−NMRスペクトルに変換した後、各帯域の信号強度値の分布をヒストグラムデータとして出力する。
多変量解析部22は、第1データ変換部21から出力されたヒストグラムデータ、すなわち、前記複数の患者の髄液のヒストグラムデータに対して多変量解析を行なって、当該複数の患者の髄液のヒストグラムデータを、「急性脳症」のデータ群と「複雑熱性けいれん」のデータ群とに分離させる識別用合成変量(例えば、PLS成分)を作成して出力する。
第1スコア算出部23は、第1データ変換部21から出力されたヒストグラムデータ及び多変量解析部22から出力された識別用合成変量を入力し、前記複数の患者の髄液のヒストグラムデータそれぞれの合成変量値を算出する。
そして、解析指標設定部2Aは、第1スコア算出部23で算出された前記複数の患者の髄液のヒストグラムデータの合成変量値に基づいて新規患者から採取した髄液の属性を識別するための解析指標を設定する。
一方、特徴抽出部3Aにおいて、第2データ変換部31は、前記新規患者の髄液のNMR信号について通常のNMRデータ処理を行なって1H−NMRスペクトルに変換し、その後、各帯域の信号強度値の分布をヒストグラムデータとして出力する。
第2スコア算出部31は、第2データ変換部31から出力されたヒストグラムデータ及び多変量解析部22から出力された識別用合成変量を入力し、前記新規患者の髄液のヒストグラムデータの合成変量値を算出する。
比較部4Aは、前記新規患者の髄液のヒストグラムデータの合成変量値と前記解析指標を比較して前記新規患者の髄液の属性を識別する。すなわち、前記新規患者の髄液のヒストグラムデータの合成変量値が「急性脳症」のデータ群と「複雑熱性けいれん」のデータ群のいずれに属するか又は近いかを判断して前記新規患者の髄液の属性を識別する。
出力部5Aは、前記識別用合成変量を軸とする座標平面上に、第1スコア算出部23で算出された前記複数の患者の髄液のヒストグラムデータの合成変量値及び第2スコア算出部32で算出された新規患者の髄液のヒストグラムデータの合成変量値をプロットしたスコアプロットを作成する。そして、比較部4Aによる前記新規患者の髄液の属性の識別結果と、作成されたスコアプロットとをディスプレイに表示する。
図4は、出力部5Aで作成、出力されるスコアプロットの一例を示している。
図4に示すように、適切な識別用合成変量を作成することによって、前記複数の患者から採取した髄液のヒストグラムデータを、「急性脳症」のデータ群と「複雑熱性けいれん」のデータ群とに明確に分離することができる。これにより、混合物試料の属性識別装置1の利用者等は、比較部4Aによる前記新規患者の髄液の属性の識別結果に加えて又は代えて、例えば新規患者から採取した髄液のヒストグラムデータの合成変量値が、いずれのデータ群に属する又は非常に近いかを前記スコアプロットで確認することよって、新規患者の髄液の属性(「急性脳症」であるか「複雑熱性けいれん」であるか)を容易に識別することができる。
なお、前記実施例1では、多変量解析部22が「急性脳症」のデータ群と「複雑熱性けいれん」のデータ群とを分離させる識別用合成変量を作成しているが、これらに加えて「単純熱性けいれん」のデータ群をも分離させる識別用合成変量を作成してもよい。
この場合には、多変量解析部22は、前記複数の患者から採取した髄液のヒストグラムデータに対して多変量解析を行なって「急性脳症」のデータ群、「複雑熱性けいれん」のデータ群及び「単純熱性けいれん」のデータ群を分離させる識別用合成変量を作成するようにすればよい。また、比較部4Aは、前記新規患者の髄液のヒストグラムデータの合成変量値が「急性脳症」のデータ群と「複雑熱性けいれん」のデータ群と「単純熱性けいれん」のデータ群のいずれに属するか又は近いかを判断して前記新規患者の髄液の属性を識別し、出力部5Aは、例えば図5に示すようなスコアプロットを作成する。
このようにすると、混合物試料の属性識別装置1の利用者等は、前記新規患者の髄液の属性が「急性脳症」、「複雑熱性けいれん」及び「単純熱性けいれん」のいずれであるかを容易に識別することができる。
(実施例2)
前記実施例1では、「急性脳症」又は「複雑熱性けいれん」が疑われる新規患者から採取した髄液を属性が不明な被検混合物試料とし、「急性脳症」又は「複雑熱性けいれん」を発症した複数の患者から採取した髄液を被検混合物試料と同種で属性の明らかな複数の混合物試料としている。これに対し、実施例2では、髄膜炎が疑われる新規患者から採取した髄液を属性が不明な被検混合物試料とし、「細菌性髄膜炎」若しくは「ウイルス性髄膜炎」を発症し又は髄膜炎ではないが髄膜炎に類似する症状を有する複数の患者から採取した髄液を被検混合物試料と同種で属性の明らかな複数の混合物試料とする。
この実施例2においては、混合物試料の属性識別装置1の多変量解析部22が「細菌性髄膜炎」のデータ群、「ウイルス性髄膜炎」のデータ群及び「髄膜炎以外」データ群を分離させる識別用合成変量を作成することになる。この場合、比較部4Aは、前記新規患者の髄液のヒストグラムデータの合成変量値が「細菌性髄膜炎」のデータ群、「ウイルス性髄膜炎」のデータ群及び「髄膜炎以外」データ群のいずれに属するか又は近いかを判断して前記新規患者の髄液の属性を識別し、出力部5Aは、例えば図6に示すようなスコアプロットを作成することができる。
したがって、混合物試料の属性識別装置1の利用者等は、前記新規患者の髄液の属性が「細菌性髄膜炎」、「ウイルス性髄膜炎」又は「髄膜炎以外」のいずれであるかを容易に識別することができる。
(実施例3)
前記実施例1,2では、混合物試料の属性識別装置1がNMR信号、すなわち、NMR分析装置の出力信号を処理している。これに対し、実施例3では、混合物試料の属性識別装置1が質量分析(英語の頭字語はMS、以下、MS)装置の出力信号(MS信号、MSデータ)を処理する。この場合には、前記複数の患者から採取した髄液及び前記新規患者から採取した髄液のそれぞれについてMSを行なって、個々の髄液のMS信号(MSデータ)を得る。その後、得られた各髄液のMS信号(MSデータ)を混合物試料の属性識別装置1によって処理する。
ここで、MS装置と前記MS信号(MSデータ)を得る手順について簡単に説明しておく。
MS装置は、試料導入部、イオン化室、分析部、検出部、記録部等を含む。イオン化法としては、電子衝撃イオン化(EI)法、化学イオン化(CI)法、フィールドデソープション(FD)法、二次イオン化(SIMS)法、速原子衝突(FAB)法、matrix-assisted laser desorption ionization(MALDI)法、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法等を用いればよい。また、分析部は、二重収束質量分析計、四重極型質量分析計、飛行時間型質量分析計、フーリエ変換質量分析計、イオンサイクロトロン質量分析計等が用いられる。
前記MS信号(MSデータ)を得る手順は、例えば以下のとおりである。
まず混合物試料をあらかじめ特殊な化学修飾をした基板に結合させる。洗浄により、捕捉されなかった他のペプチド等を除く。その後、基板上に捕捉されたペプチドをMALDI-TOF-MS、SELDI-TOF-MSなどを用いた質量分析によって分析し、ペプチドのピークの質量数とピーク強度を計測する。ここで、SELDIとはチップ表面の化学官能基や固定化された分子を利用して、試料中から特定の性質を有する分子をチップ上に捕捉し、その後にレーザーを照射することにより捕捉された分子の脱離・イオン化を行う方法をいう。また、SELDI-TOF-MSは、例えば特表2005-509173に記載の方法に従って行うことができる。質量分析の前にトリプシンなどの特定のタンパク質分解酵素によってすべてペプチドに分解してもよい。これらの計測からタンパク質及び部分ペプチドの質量分析ピーク(質量スペクトル)とピークパターン(質量スペクトルパターン)を前記質量分析信号(質量分析データ)として得る。なお、前記プロテインチップとしては、例えばSELDI-TOF MSを利用したProteinChip SELDI System(バイオ・ラッドラボラトリーズ株式会社)を利用することができる。
具体的に、この実施例3においては、ProteinChip SELDI System(バイオ・ラッドラボラトリーズ株式会社)を用いて前記髄液の質量分析(MS)を行なった。チップはQチップ(strong anion exchange surface)を用いた。各髄液を50 mM Tris-HCl, pH 8.0で10:1に希釈し、60分間、チップ上で固着後、pH8の洗浄バッファー(50 mM Tris-HCl, pH 8.0)で洗浄後、乾燥、energy absorbing molecule (EAM)として飽和シナピン酸, 50%アセトニトリル、5% トリフルオロ酢酸を用いた。
測定には外部標準としてhuman angiotensin I (1296.5 Da), Fibrinopeptide B (1570.6 Da), porcine Dynorphin A [209-225] (2147.5 Da), human ACTH[1-24] 2933.5 Da, human β-endorphin [61-91] 3465.0 Da, bovine insulin (5733.6 Da),bovine Ubiquitin (8564.8 Da), bovine cytochrome-C (12230.9 Da), bovine superoxide dismutase (15591.4 Da), equine myoglobin (16951.5 Da), bovine β-lactogloburin A (18363.3 Da), horseradish peroxidase (43240.0 Da), bovine albumin (66410 Da), chicken conalbumin (77490.0 Da) bovine IgG (147300.0 Da)を用いた。得られたデータをProteinChip Data Manager software version 3.0 (Bio-Rad).のExport Raw SpectraのプログラムによりCSVファイルにて抽出した。
図7は、混合物試料の属性識別装置1が前記髄液のMS信号(MSデータ)を処理した場合に、出力部5Aで作成、出力されるスコアプロットの一例を示している。図7に示すように、NMR信号を処理した場合(図4)と同様、前記複数の患者から採取した髄液のヒストグラムデータを、「急性脳症」のデータ群と「複雑熱性けいれん」のデータ群とに明確に分離できることが確認された。したがって、この実施例3においても、混合物試料の属性識別装置1の利用者等は、新規患者の髄液の属性が「急性脳症」であるか「複雑熱性けいれん」であるかを容易に識別することができる。
なお、前記実施例1−3は、いずれも混合物試料が髄液である場合のものであるが、他の混合物試料(特に、生体試料)についても同様に適用することができることはもちろんである。
(第1実施形態の変形例)
以上説明した実施形態では、混合物試料の属性識別装置1が、すべての処理を実施しているが、複数の装置によって実施するようにしてもよい。例えば、混合物試料の属性識別装置が、解析指標設定部2Aに代えて、外部の装置(データベース等)から前記解析指標等を取得する解析指標取得部6Aを有する構成としてもよい。このような混合物試料の属性識別装置の一例を前記実施形態の変形例として以下に説明する。ここで、前記実施形態による混合物試料の属性識別装置1と共通する構成要素については同じ符号を付し、同じ符号が付された構成要素の基本的な機能は同じであるものとする。
図8は、前記実施形態の変形例に係る混合物試料の属性識別装置10の構成例を示すブロック図である。図8に示すように、混合物試料の属性識別装置10は、データベース7Aから解析指標を取得する解析指標取得部6Aと、被検混合物試料の特徴を抽出する特徴抽出部3Aと、解析指標取得部6Aの取得した解析指標と特徴抽出部3Aで抽出された被検混合物試料の特徴とを比較する比較部4Aと、前記解析指標と前記被検混合物試料の特徴とを対比可能に出力する出力部5Aと、を含む。
解析指標取得部6Aは、例えば混合物試料の属性識別装置10の利用者(オペレータ等)から入力された被検混合物試料の種類情報(例えば、被検混合物試料が「髄液」である旨の情報)に基づいてデータベース7Aにアクセスし、データベース7Aから当該被検混合物試料についての識別用合成変量及び解析指標を取得して保存する。
ここで、データベース7Aには、前記実施形態における解析指標設定部2Aと同様の方法によってあらかじめ混合物試料の種類毎に作成・設定された「識別用合成変量」及び「解析指標」が混合物試料の種類に対応付けられて格納されている。そして、解析指標取得部6Aがデータベース7Aにアクセスすることによって、データベース7Aに格納された所望の混合物試料についての識別用合成変量及び解析指標を入手できるように構成されている。
特徴抽出部3Aは、前記被検混合物試料から得られた信号を入力すると共に、解析指標取得部6Aから当該被検混合物試料についての解析指標を入力する。そして、特徴抽出部3Aは、第2データ変換部31で前記被検混合物試料から得られた信号をヒストグラムデータに変換した後、第2スコア算出部32で前記被検混合物試料のヒストグラムの合成変量値を算出する。
比較部4Aは、特徴抽出部3Aの第2スコア算出部32で算出された前記被検混合物試料のヒストグラムデータの合成変量値を入力すると共に、解析指標取得部5Aから当該被検混合物試料についての解析指標を入力し、両者を比較して前記被検混合物試料の属性を識別する。
出力部5Aは、比較部4Aによる前記被検混合物試料の属性の識別結果を出力する。また、出力部5Aは、特徴抽出部3Aの第2スコア算出部32で算出された前記被検混合物試料のヒストグラムデータの合成変量値と、解析指標取得部6Aの取得した当該被検混合物試料についての解析指標とを対比可能に出力する。
ここで、データベース7Aから取得される(データベース7Aに格納された)前記解析指標は、前記識別用合成変量を軸(X、Y)とする座標平面上に設定された各属性に対応する領域情報を含むことができる。
このようにデータベース7Aを利用して被検混合物試料についての識別用合成変量及び解析指標を取得するようにすると、混合物試料の属性識別装置10をより簡単かつ低コストで製造できると共に、複数の属性識別装置10が共通の解析指標を用いることができるので非常に便宜である。また、より多くのデータに基づく識別用合成変量や解析指標の作成や更新も容易に行なえるので、解析指標の精度(すなわち、属性識別の精度)も向上する。
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態による混合物試料の属性識別装置の構成例を示すブロック図である。第1実施形態による混合物試料の属性識別装置1と同様、この第2実施形態による混合物試料の属性識別装置20も、属性の不明な混合物試料(被検混合物試料)の属性を識別するために用いられる。
本実施形態による混合物試料の属性識別装置20は、図9に示すように、前記被検混合物試料の属性を識別するための解析指標を設定する解析指標設定部2Bと、前記被検混合物試料の特徴を抽出する特徴抽出部3Bと、前記解析指標と前記被検混合物試料の特徴とを比較する比較部4Bと、前記解析指標と前記被検混合物試料の特徴とを対比可能に出力する出力部5Bと、を含む。
解析指標設定部2Bは、前記被検混合物試料と同種で属性の明らかな複数の混合物試料(既知混合物試料)のそれぞれから得られた信号を一つのデータとして処理することによって前記解析指標を設定する。具体的には、前記既知混合物試料のそれぞれの特徴を抽出した上で、属性毎の前記既知混合物試料の特徴に基づいて前記解析指標を設定する。本実施形態では前記特徴の抽出に周波数(スペクトル)解析又は時間周波数解析を用いており、解析指標設定部2Bは、第1周波数解析部25と、第1時間周波数解析部26と、選択部27と、を有する。
第1周波数解析部25は、前記被検混合物試料と前記既知混合物試料のそれぞれから得られた信号を入力し、入力された各信号に対して周波数(スペクトル)解析を行なって前記被検混合物試料と前記既知混合物試料の特徴を抽出する。
第1時間周波数解析部26は、前記被検混合物試料と前記既知混合物試料のそれぞれから得られた信号を入力し、入力された各信号に対して時間周波数解析、例えばウェーブレット解析を行なって前記被検混合物試料と前記既知混合物試料の特徴を抽出する。
ここで、第1周波数解析部25と第2時間周波数解析部26は、選択部27によっていずれかが選択されるように構成されており、混合物試料の属性識別装置1Bの利用者は、選択部27を介して、例えば前記既知混合物試料から得られた各信号がNMR信号(FID信号)のように時間情報を含む場合には第1時間周波数解析部26を選択し、前記既知混合物試料から得られた各信号がスペクトルデータのように時間情報を含まない場合には第1周波数解析部25を選択することができる。
そして、解析指標設定部2Bは、第1周波数解析部25で抽出された前記既知混合物試料の特徴又は第1時間周波数解析部26で抽出された前記既知混合物試料の特徴を入力し、属性毎の前記既知混合物試料の特徴に基づいて前記解析指標を設定する。解析指標設定部2Bは、例えば属性毎の前記既知混合物試料の特徴の平均(平均ベクトル)を前記解析指標として設定することができる。設定された解析指標(例えば、属性毎の前記既知混合物試料の特徴の平均)は、比較部4B及び出力部5Bに出力される。
特徴抽出部3Bは、前記既知混合物試料から前記信号を得た方法と同様の方法によって前記被検混合物試料から得られた信号を一つのデータとして処理することよって当該被検混合物試料の特徴を抽出する。特徴抽出部3Bは、第2周波数解析部35と、第2時間周波数解析部36と、選択部37と、を有する。
第2周波数解析部35は、前記被検混合物試料から得られた信号を入力し、入力された信号に対して周波数(スペクトル)解析を行なって、前記解析指標と対比させるための前記被検混合物試料の信号の特徴を抽出する。なお、ここでは第1周波数解析部25と第2周波数解析部35を別々に設けているが、一つの周波数解析部が第1周波数解析部25及び第2周波数解析部35として機能するように構成してもよい。
第2時間周波数解析部36は、前記被検混合物試料から得られた信号を入力し、入力された信号に対して時間周波数解析、例えばウェーブレット解析を行なって、前記解析指標と対比させるための前記被検混合物試料から得られた信号の特徴を抽出する。なお、ここでは第1時間周波数解析部26と第2時間周波数解析部36を別々に設けているが、一つの時間周波数解析部が第1時間周波数解析部26及び第2時間周波数解析部36として機能するように構成してもよい。
また、第2周波数解析部35と第2時間周波数解析部36は選択部37によっていずれかが選択されるように構成され、解析指標設定部2Bにおいて第1周波数解析部25が選択されている場合には、特徴抽出部3Bにおいても第2周波数解析部35が選択され、解析指標設定部2Bにおいて第1時間周波数解析部26が選択されている場合には、特徴抽出部3Bにおいても第2時間周波数解析部36が選択されるようになっている。
比較部4Bは、特徴抽出部3Bで抽出された前記被検混合物試料の特徴と解析指標設定部2Bで設定された解析指標(例えば、属性毎の前記既知混合物試料の特徴の平均)とを比較し、その比較結果に基づいて前記被検混合物試料の属性を識別(判断)する。比較部4Bは、例えば、前記被検混合物試料の特徴と各属性の前記既知混合物試料の特徴の平均との距離を算出し、算出された距離が最も短い属性を前記被検混合物試料の属性と判断する。比較部4Bによる前記被検混合物試料の属性の識別結果は、出力部5Bに出力され、例えば後述する表示部53を介して出力される。
出力部5Bは、特徴抽出部2Bで抽出された前記被検混合物試料の特徴と解析指標設定部2Bで設定された解析指標(例えば、属性毎の前記既知混合物試料の特徴の平均)とを対比可能に出力する。本実施形態において、出力部5Bは、第1周波数変換部51と、第2周波数変換部52と、表示部53と、オーディオ出力部54と、を有する。
第1周波数変換部51は、前記被検混合物試料の特徴及び前記解析指標(例えば、属性毎の混合物試料の特徴の平均)を可視領域(可視域の信号)に周波数変換する。第1周波数変換部51は、第1周波数解析部25で抽出された属性毎の前記既知混合物試料の特徴に基づいて設定された解析指標、及び、第2周波数解析部35で抽出された前記被検混合物試料の特徴が入力される。
第2周波数変換部52は、前記被検混合物試料の特徴及び前記解析指標(例えば、属性毎の前記既知混合物試料の特徴の平均)を可聴領域(可聴域の信号)に周波数変換する。第2周波数変換部52には、第1時間周波数解析部26で抽出された属性毎の前記既知混合物試料の特徴に基づいて設定された解析指標、及び、第2時間周波数解析部36で抽出された前記被検混合物試料の信号の特徴が入力される。
表示部53は、比較部4Bによる前記被検混合物試料の属性の識別結果を表示する。また、表示部53は、第1周波数変換部51から出力された前記被検混合物試料の特徴及び前記解析指標(例えば、属性毎の前記既知混合物試料の特徴の平均)をそれぞれ固有の色画像として出力(表示)する。
オーディオ出力部54は、第2周波数変換部52から出力された前記被検混合物試料の特徴及び前記解析指標(例えば、属性毎の前記既知混合物試料の特徴の平均)をそれぞれ固有の音として出力する。
混合物試料の属性識別装置1Bの利用者等は、表示部53に表示された、比較部4Bによる前記被検混合物試料の属性の識別結果を確認することができる。
また、前記利用者等は、表示部53に表示された前記被検混合物試料の特徴に対応する色画像と前記解析指標の色画像(すなわち、前記既知混合物試料が有する各属性に対応する色画像)とを比較することにより、例えば、前記被検混合物試料の特徴に対応する色画像がどの属性に対応する色画像に近いかを判断することにより、前記被検混合物試料の属性を識別することができる。
あるいは、前記利用者等は、オーディオ出力部54から出力された前記被検混合物試料の特徴に対応する音と前記解析指標の音(すなわち、前記既知混合物試料が有する各属性に対応する色音)とを比較することにより、例えば、前記被検混合物試料の特徴に対応する音がどの属性に対応する音に近いかを判断することにより、前記被検混合物試料の属性を識別することができる。
ここで、解析指標設定部2B及び特徴抽出部3Bが、前記既知混合物試料のそれぞれから得られたRAW形式の信号や前記被検混合物試料から得られたRAW形式の信号(例えば、NMR(FID)信号)を「Audacity」等の汎用の形式変換ソフトウエアによって非圧縮オーディオフォーマット(例えば、WAV形式)のデータに変換するようにしてもよい。
このように非圧縮オーディオフォーマットのデータに変換すると以下のような利点がある。
汎用の信号処理技術(信号解析ソフトウエア)によって前記既知混合物試料のそれぞれから得られた信号や前記被検混合物試料から得られた信号の解析・処理が可能になる。
汎用の信号再生ソフトウエアによってオーディオ信号での出力や色画像での出力ができる。
また、汎用の信号処理技術は高度に成熟しており、例えばサンプル中に含まれる不純物や溶媒に由来する信号や外来のノイズ除去なども容易に行なうことができるので、解析精度を向上させることも可能である。
図10は、本実施形態による混合物試料の属性識別装置20において実施される被検混合物試料の属性識別処理を示すフローチャートである。
ステップS21では、前記被検混合物試料と同種で属性の明らかな前記既知混合物試料から得られた各信号(例えば、NMR信号やNMRスペクトルデータ)を入力する。
ステップS22では、ステップS21で入力した各信号に対して周波数解析又は時間周波数解析を行なって前記既知混合物試料の特徴を抽出する。
上述したように、前記前記既知混合物試料から得られた各信号が時間情報を含まない場合(例えば、NMRスペクトルデータである場合)にはステップS21で入力した各信号に対して周波数解析を行ない、前記既知混合物試料から得られた各信号が時間情報を含む場合(例えば、NMR信号(FID信号)である場合)にはステップS21で入力した各信号に対して時間周波数解析を行なう。
ステップS23では、ステップS22で抽出された各混合物試料の特徴に基づいて、より具体的には属性毎の前記既知混合物試料の特徴に基づいて、前記解析指標を設定する。
ステップS24では、前記既知混合物試料から前記信号を得た方法と同様の方法によって前記被検混合物試料から得られた信号(例えば、NMR信号やNMRスペクトルデータ)を入力する。
ステップS25では、ステップS22と同様、前記被検混合物試料から得られた信号に対して周波数解析又は時間周波数解析を行なって前記解析指標と対比させるための前記被検混合物試料の特徴を抽出する。
ステップS26では、ステップS25で抽出された前記被検混合物試料の特徴とステップS23で設定された前記解析指標とを比較して前記被検混合物試料の属性を識別(判別)する。
ステップS27では、前記被検混合物試料の特徴及び前記解析指標を可視領域又は可聴領域に周波数変換する。
ステップS28では、前記被検混合物試料の特徴及び前記解析指標をそれぞれ固有の色画像又は固有の音として出力する。
(第2実施形態の変形例)
ここで、本実施形態による混合物試料の属性識別装置20についても前記第1実施形態の変形例と同様にデータベースを利用した構成とすることができる。このような混合物試料の属性識別装置30を本実施形態の変形例として以下に説明する。なお、前記実施形態による混合物試料の属性識別装置20と共通する構成要素については同じ符号を付し、その基本的な機能は同じであるものとする。
図11は、前記第2実施形態の変形例に係る混合物試料の属性識別装置30の構成例を示すブロック図である。図10に示すように、混合物試料の属性識別装置30は、データベース7Bから解析指標を取得する解析指標取得部6Bと、前記被検混合物試料の特徴を抽出する特徴抽出部3Bと、解析指標取得部6Bの取得した解析指標と特徴抽出部3Bで抽出された前記被検混合物試料の特徴とを比較する比較部4Bと、前記解析指標と前記被検混合物試料の特徴と対比可能に出力する出力部5Bと、を含む。
解析指標取得部6Bは、混合物試料の属性識別装置30の利用者(オペレータ等)から入力された前記被検混合物試料の種類情報(例えば、前記被検混合物試料が「髄液」である旨の情報)に基づきデータベース7Bにアクセスし、データベース7Bから当該前記被検混合物試料についての解析指標を取得する。
ここで、データベース7Bには、前記実施形態における解析指標設定部2Bと同様の方法によってあらかじめ混合物試料の種類毎に作成・設定された解析指標が混合物試料の種類に対応付けられて格納されている。そして、解析指標取得部6Bがデータベース7Bにアクセスすることによって、データベース7Bに格納された所望の混合物試料についての解析指標を入手できるように構成されている。
特徴抽出部3Bは、前記被検混合物試料から得られた信号を入力し、入力された信号に対して周波数(スペクトル)解析又は時間周波数解析を行なって前記被検混合物試料の特徴を抽出する。
比較部4Bは、特徴抽出部3Bで抽出された前記被検混合物試料の特徴を入力すると共に、解析指標取得部5Bから当該前記被検混合物試料についての解析指標を入力し、両者を比較して前記被検混合物試料の属性を識別する。
出力部5Bは、比較部4Bによる前記被検混合物試料の属性の識別結果を出力する。また、出力部5Bは、特徴抽出部3Bで抽出された前記被検混合物試料の特徴と、解析指標取得部6Bの取得した当該被検混合物試料についての解析指標とを対比可能に出力する(色画像又は音として出力する)。
ところで、本発明は、コンピュータを含む装置又はコンピュータを含むシステムが、前記各実施形態の各機能や各処理を実現する(コンピュータ)プログラムを実行することによって、前記各実施形態と同等の機能が実現される場合も含む。この場合、前記コンピュータプログラムは、記録媒体やネットワークなどを介してコンピュータに供給される。
すなわち、前記各実施形態における各機能や各処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム及びこれを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明に含まれる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、混合物試料の属性を高精度に、簡便かつ迅速に識別できる画期的な分析技術であり、様々な分野における混合物試料の分析技術として適応可能である。
特に医療分野においては、本発明を利用することで新しい検体検査法または画像診断法を実現し得る。実際、発明者らは以下のような混合物試料(生体試料)についても本発明が適用できることを確認している。
・細胞の種類の識別(骨髄組織由来幹細胞及び脂肪組織由来幹細胞の識別)
・薬剤の感受性の識別(白血病細胞の薬剤感受性株及び耐性株の識別)
・腫瘍再発の予測(手術時摘出材料を用いた髄膜腫の予後予測)
・細胞を用いた病態研究(ラット腸管上皮細胞のストレス負荷による代謝変化)
・薬剤投与後の組織代謝の変化(麻酔薬の種類によるラット脳及び肝臓内代謝変化の相違)
・成長ホルモン分泌不全児における成長ホルモン投与前後での体内の代謝変化(尿を用いた1H−NMRによる解析)
また、医療分野以外においても、例えば産業用各種モニタリング装置・分析機器・検出器(化学製品製造・食品加工・水処理などにおける異常検出、プロセス監視など)への適用や食品の検査及び開発、植物の育種、高分子化学などへの適用も期待できる。
更に、複数の物質分析装置(核磁気共鳴分析装置、質量分析装置、クロマトグラフ装置、吸光分析装置及び発光分析装置など)から得られた信号を組合せて解析することにより微細な属性の違いも解析できる。
1,10,20,30…混合物試料の属性識別装置、2A,2B…解析指標設定部、3A,3B…特徴抽出部、4A,4B…比較部、5A,5B…出力部、6A、6B…解析指標取得部、7A,7B…データベース、21…第1データ変換部、22…多変量解析部、23…第1スコア算出部、25…第1周波数解析部、26…第1時間周波数解析部、27…選択部、31…第2データ変換部、32…第2スコア算出部、35…第2周波数解析部、36…第2時間周波数解析部、37…選択部、51…第1周波数変換部、52…第2周波数変換部、53…表示部、54…オーディオ出力部

Claims (21)

  1. 属性の不明な混合物試料(被検混合物試料)の属性を識別する方法であって、
    前記被検混合物試料と同種で属性の明らかな複数の混合物試料(既知混合物試料)のそれぞれに電磁波や熱を含む所定のエネルギー若しくは化学反応物質を作用させて得られた前記既知混合物試料についての信号又は前記既知混合物試料自体が発する電磁波や熱や振動に基づいて得られた前記既知混合物試料についての信号を一つのデータとして処理することによって前記既知混合物試料の特徴を抽出すると共に、前記既知混合物試料の属性毎の特徴に基づいて前記被検混合物試料の属性を識別するための解析指標を設定する第1の工程と、
    前記被検混合物試料に前記既知混合物試料と同様の前記所定エネルギー若しくは前記化学反応物質を作用させて得られた前記被検混合物試料についての信号又は前記被検混合物試料自体が発する電磁波や熱や振動に基づいて得られた前記被検混合物試料についての信号を一つのデータとして処理することによって前記被検混合物試料の特徴を抽出し、抽出された前記被検混合物試料の特徴と前記解析指標とを比較する第2の工程と、
    を含む、方法。
  2. 前記第2の工程は、前記被検混合物試料の特徴と前記解析指標とを対比可能に出力することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の工程は、
    前記既知混合物試料についての信号を多変量データに変換すること、
    変換によって得られた前記既知混合物試料の多変量データに対して多変量解析を行なって前記既知混合物試料の多変量データを属性毎のデータ群に分離させる合成変量を作成すること、
    前記既知混合物試料の多変量データの前記合成変量に対するスコアを算出し、属性毎のスコアに基づいて前記解析指標を設定すること、を含み、
    前記第2の工程は、
    前記被検混合物試料についての信号を多変量データに変換すること、
    変換によって得られた前記被検混合物試料の多変量データの前記合成変量に対するスコアを算出すること、
    算出された前記被検混合物試料の前記合成変量に対するスコアを前記解析指標と比較すること、を含む、
    請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記第2の工程は、前記合成変量を軸とする座標上に、前記既知混合物試料の多変量データの前記合成変量に対するスコアの一部又は全部と、前記被検混合物試料の多変量データの前記合成変量に対するスコアとがプロットされたスコアプロットを出力すること、を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第1の工程は、
    前記既知混合物試料についての信号に対して周波数解析又は時間周波数解析を行なって前記既知混合物試料の特徴を抽出すること、
    属性毎の前記既知混合物試料の特徴に基づいて前記解析指標を設定すること、を含み、
    前記第2の工程は、前記被検混合物試料についての信号に対して周波数解析又は時間周波数解析を行なって前記被検混合物試料の特徴を抽出すること、
    抽出された前記被検混合物試料の特徴を前記解析指標と比較すること、を含む、
    請求項1又は2に記載の方法。
  6. 前記第1の工程及び前記第2の工程は、
    前記被検混合物試料と前記既知混合物試料についての信号を可視領域又は可聴領域に周波数変換すること、
    周波数変換された前記被検混合物試料と前記既知混合物試料についての信号を色画像又は音として出力すること、を含む、
    請求項5に記載の方法。
  7. 前記第1の工程及び前記第2の工程は、
    前記被検混合物試料と前記既知混合物試料についての信号が時間情報を含まない場合に、前記被検混合物試料と前記既知混合物試料についての信号に対して前記周波数解析を行なう一方、
    前記被検混合物試料と前記既知混合物試料についての信号が時間情報を含む場合に、前記被検混合物試料と前記既知混合物試料についての信号に対して前記時間周波数解析を行なう、
    請求項5又は6に記載の方法。
  8. 前記被検混合物試料についての信号と前記既知混合物試料についての信号は、核磁気共鳴分析装置、質量分析装置、クロマトグラフ装置、吸光分析装置及び発光分析装置を含む各種の物質分析装置の出力信号である、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
  9. 前記物質分析装置の出力信号を複数組み合わせて解析を行う、請求項8に記載の方法。
  10. 前記被検混合物試料と前記既知混合物試料が同種の生体試料であり、
    前記属性が疾患又は症状である、
    請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
  11. 属性の不明な混合物試料(被検混合物試料)の属性を識別する装置であって、
    前記被検混合物試料と同種で属性の明らかな複数の混合物試料(既知混合物試料)のそれぞれに電磁波や熱を含む所定のエネルギー若しくは化学反応物質を作用させて得られた前記既知混合物試料についての信号又は前記既知混合物試料自体が発する電磁波や熱や振動に基づいて得られた前記既知混合物試料についての信号を一つのデータとして処理することによって前記既知混合物試料の特徴を抽出すると共に、前記既知混合物試料の属性毎の特徴に基づいて前記被検混合物試料の属性を識別するための解析指標を設定する解析指標設定部と、
    前記被検混合物試料に前記既知混合物試料と同様の前記所定エネルギー若しくは前記化学反応物質を作用させて得られた前記被検混合物試料についての信号又は前記被検混合物試料自体が発する電磁波や熱や振動に基づいて得られた前記被検混合物試料についての信号を一つのデータとして処理することによって前記被検混合物試料の特徴を抽出する特徴抽出部と、
    前記被検混合物試料の特徴と前記解析指標とを比較する比較部と、
    を備えた、装置。
  12. 前記被検混合物試料の特徴と前記解析指標とを対比可能に出力する出力部をさらに備えた、請求項11に記載の装置。
  13. 前記解析指標設定部は、
    前記既知混合物試料についての信号を多変量データに変換する第1変換部と、
    前記既知混合物試料の多変量データに対して多変量解析を行なって前記既知混合物試料の多変量データを属性毎のデータ群に分離させる合成変量を作成する多変量解析部と、
    前記既知混合物試料の多変量データの前記合成変量に対するスコアを算出する第1スコア算出部と、を有し、
    前記第1スコア算出部で算出された属性毎のスコアに基づいて前記解析指標を設定し、
    前記特徴抽出部は、
    前記被検混合物試料についての信号を多変量データに変換する第2変換部と、
    前記被検混合物試料の多変量データの前記合成変量に対するスコアを前記被検混合物試料の特徴として算出する第2スコア算出部と、を有する、
    請求項11又は12に記載の装置。
  14. 前記出力部は、前記合成変量を軸とする座標上に、前記既知混合物試料の多変量データの前記合成変量に対するスコアの一部又は全部と、前記被検混合物試料の多変量データの前記合成変量に対するスコアとがプロットされたスコアプロットを出力する、請求項13に記載の装置。
  15. 前記解析指標設定部は、前記既知混合物試料についての信号に対して周波数解析又は時間周波数解析を行なって前記既知混合物試料の特徴を抽出し、属性毎の前記既知混合物試料の特徴に基づいて前記解析指標を設定し、
    前記特徴抽出部は、前記被検混合物試料についての信号に対して周波数解析又は時間周波数解析を行なって前記被検混合物試料の特徴を抽出する、
    請求項11又は12に記載の装置。
  16. 前記出力部は、前記被検混合物試料と前記既知混合物試料についての信号を可視領域又は可聴領域に周波数変換し、周波数変換された前記被検混合物試料と前記既知混合物試料についての信号を色画像又は音として出力する、請求項15に記載の装置。
  17. 前記解析指標設定部及び前記特徴抽出部は、
    前記被検混合物試料と前記既知混合物試料についての信号が時間情報を含まない場合に、前記被検混合物試料と前記既知混合物試料についての信号に対して周波数変換を行なう一方、
    前記被検混合物試料と前記既知混合物試料についての信号が時間情報を含む場合に、前記被検混合物試料と前記既知混合物試料についての信号に対して時間周波数解析を行なう、請求項15又は16に記載の装置。
  18. 前記被検混合物試料についての信号と前記既知混合物試料についての信号は、核磁気共鳴分析装置、質量分析装置、クロマトグラフ装置、吸光分析装置及び発光分析装置を含む各種の物質分析装置の出力信号である、請求項11〜17のいずれか一つに記載の装置。
  19. 前記被検混合物試料と前記既知混合物試料が同種の生体試料であり
    前記属性が疾患又は症状である、
    請求項11〜18のいずれか一つに記載の装置。
  20. 請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  21. 請求項20に記載のコンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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