JP7512695B2 - ポリエステルコポリマー - Google Patents

ポリエステルコポリマー

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本発明は、ポリエステルコポリマー、とりわけ、生分解性または生体吸収性を発現し得るポリエステルコポリマーに関する。
ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトンあるいはこれらの共重合体に代表される、エステル結合形成性モノマーから製造されるポリエステルは、生分解性あるいは生体吸収性ポリマーとして注目され、例えば、縫合糸等の医用材料、医薬、農薬、肥料等の徐放性材料等、多方面に利用されている。更に、生分解性汎用プラスチックとして容器やフィルム等の包装材料としても期待されている。このような用途に好適に使用するため、柔軟性を向上させた生分解性あるいは生体吸収性ポリマーが数多く報告されている。
例えば柔軟性を向上させる方法として、特許文献1には、カプロラクトンとグリコリド又はラクチドの成分比率を制御することで柔軟性を向上させる方法や、特許文献2にはモノマー配列のランダム性を制御することで柔軟性を向上させる方法が開示されている。
また特許文献3には、分子末端を修飾することで優れた機械強度に影響を与えることなく生分解性を向上させる方法や、特許文献4には、親水性セグメント含有量、分子運動性、結晶性を制御することで優れた生分解性と生体追従性を有するポリエステルコポリマーの合成法が開示されている。
特開平3-269013号公報 国際公開2019/035357号公報 特開2000-143781号公報 国際公開2019/187569号公報
医療機器の中には体内に埋めたり皮膚に貼り付けたりするものもあり、その場合は生体の繰り返しの動きに対して、もとの形状を維持することが求められる。しかしながら特許文献1~4に記載の方法は、柔軟性や生分解性の向上については認められるものの、繰り返しの延伸に対する復元性については言及されておらず、医療用途として用いるためにはさらなる改良が必要であった。
そこで本発明は、繰り返しの延伸に対する優れた復元性を発揮するポリエステルコポリマーを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、以下である。
2種類のエステル結合形成性モノマー残基を主構成単位とし、親水性セグメントを分子鎖中に含まないポリエステルコポリマーであって、
前記2種類のエステル結合形成性モノマーをそれぞれモノマーA、モノマーBとした場合に、モノマーA由来の下式で表される結晶量変化率が0.30~10.00である、ポリエステルコポリマー
結晶量変化率=破断直前まで延伸した時の結晶量/延伸前の結晶量
本発明により、低ヤング率・高引っ張り強度・生分解性または生体吸収性を有し、かつ復元性に優れ、医療用途やエラストマー用途に適したポリエステルコポリマーを得ることができる。
本発明のポリエステルコポリマーは、2種類のエステル結合形成性モノマー残基を主構成単位とするコポリマーである。本明細書においては、当該2種類のエステル結合形成性モノマーを、それぞれ「モノマーA」、「モノマーB」と表現することがある。
「エステル結合形成性モノマー」とは、重合後、モノマー単位がエステル結合で連結しているポリマー、すなわちポリエステルを生じるモノマーを言う。
エステル結合形成性モノマーとしては、ヒドロキシカルボン酸を用いることが好ましい。また、ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシ基とカルボキシル基が分子内脱水縮合した環状化合物であるラクトンや、2分子のヒドロキシカルボン酸の互いのヒドロキシ基とカルボキシル基が脱水縮合した環状化合物であるラクチドも好ましく用いることができる。
ヒドロキシカルボン酸としては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を用いることが特に好ましい。脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられ、特に、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸が好ましい。
乳酸としては、L-乳酸、D-乳酸、及びそれらの混合体を用いることができるが、得られるポリマーの物性や生体適合性の面からは、L-乳酸を用いることが好ましい。モノマーとして混合体を用いる場合、L体の含有率が85%以上であることが好ましく、95%以上である方がより好ましい。
ラクトンとしては、カプロラクトン、ジオキセパノン、エチレンオキザラート、ジオキサノン、1,4-ジオキサン-2,3-ジオン、トリメチレンカーボネート、β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、ピバロラクトン等を用いることができ、特にカプロラクトン、δ-バレロラクトンが好ましい。
ラクチドとしては、乳酸2分子が脱水縮合したジラクチドや、グリコール酸2分子が脱水縮合したグリコリド、テトラメチルグリコリドを用いることができる。
エステル結合形成性モノマーとしては、以上例示したモノマーの誘導体を用いることもできる。
これらのなかでも本発明は、モノマーA及びモノマーBが、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、カプロラクトン、ジオキセパノン、エチレンオキザラート、ジオキサノン、1,4-ジオキサン-2,3-ジオン、トリメチレンカーボネート、β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、ピバロラクトン、ジラクチド、グリコリド、及びテトラメチルグリコリドからなる群より選ばれる化合物であることがより好ましい。そしてモノマーAは、乳酸又はグリコール酸であることが特に好ましく、モノマーBは、カプロラクトン又はδ-バレロラクトンであることが特に好ましい。
本明細書中では、2種類のエステル結合性モノマーのうち、そのモノマー残基のみで構成されるホモポリマーの結晶性が高いものをモノマーA、結晶性の低いものをモノマーBとする。ホモポリマーの結晶性は、次のように示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。
ホモポリマーをアルミニウムPANに採取し、示差走査熱量計(EXTAR 6000;セイコーインスツル株式会社製)でDSC法により下記の条件Aで測定し、融解熱を算出する。単位重量当たりの融解熱が高いほど、結晶性が高いことを意味する。例えばポリ乳酸の単位重量当たりの融解熱を上記方法で求めると、93J/gである。
(条件A)
機器名:EXSTAR 6000(セイコーインスツル株式会社製)
温度条件:25℃→250℃(10℃/min)
標準物質:α-アルミナ

本発明においては、モノマーA残基とモノマーB残基の結晶化率がともに14%未満であることが好ましい。当該結晶化率が14%未満であれば、ヤング率の上昇が抑えられ、医療材料やエラストマー用途に適したポリエステルコポリマーを得ることができる。モノマーA残基とモノマーB残基結晶化率は10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
ここで言うモノマー残基の結晶化率とは、あるモノマー残基のみからなるホモポリマーの単位重量当たりの融解熱と本発明のポリエステルコポリマー中の当該モノマー残基の重量分率の積に対する、本発明のポリエステルコポリマー中の当該モノマー残基の単位重量当たりの融解熱の割合である。すなわち、モノマーA残基の結晶化率とは、モノマーAのみからなるホモポリマーの単位重量あたりの融解熱と本発明のポリエステルコポリマー中のモノマーA残基の重量分率の積に対する、ポリエステルコポリマー中のモノマーA残基の単位重量当たりの融解熱の割合である。モノマーA残基およびモノマーB残基の結晶化率は、それぞれ本発明のポリエステルコポリマーのモノマーA残基もしくはモノマーB残基の中で結晶構造を形成している割合を示す。
特に、モノマーA残基が乳酸残基、モノマーB残基がカプロラクトン残基である場合には、乳酸残基、カプロラクトン残基の結晶化率は14%未満であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。結晶化率は、具体的に下記の方法で求めるものとする。
ポリエステルコポリマーを濃度が5重量%になるようにクロロホルムに溶解させ、その溶液を“テフロン(登録商標)”製シャーレ上に移して、常圧、室温下で1昼夜乾燥させる。これを減圧乾燥させて、ポリエステルコポリマーフィルムを得た。得られたポリエステルコポリマーフィルムをアルミナPANに採取し、示差走査熱量計でDSC法により下記の条件で測定し、温度条件(D)から(E)の測定結果から融解熱を算出する。結晶化率は下記式から算出する。
乳酸残基の結晶化率=(ポリエステルコポリマーの乳酸残基の単位重量当たりの融解熱)/{(乳酸残基のみからなるホモポリマーの単位重量当たり融解熱)×(ポリエステルコポリマー中の乳酸残基の重量分率)}×100(%)
カプロラクトン残基の結晶化率=(ポリエステルコポリマーのカプロラクトン残基の単位重量当たりの融解熱)/{(カプロラクトン残基のみからなるホモポリマーの単位重量当たり融解熱)×(ポリエステルコポリマー中のカプロラクトン残基の重量分率)}×100(%)
機器名:EXSTAR 6000(セイコーインスツル株式会社製)
温度条件:(A)25℃→(B)250℃(10℃/min)→(C)250℃(5min)→(D)-70℃(10℃/min)→(E)250℃(10℃/min)→(F)250℃(5min)→(G)25℃(100℃/min)
標準物質:アルミナ

本明細書において、「モノマー残基」とは、原則として、当該モノマーを含む2種以上のモノマーを重合して得られたコポリマーの化学構造中における、当該モノマーに由来する化学構造の反復単位を言う。例えば、乳酸(CHCH(OH)COOH)と、カプロラクトン(ε-カプロラクトン:下記式)
とを重合して、乳酸とカプロラクトンのコポリマーとした場合、
が乳酸モノマー残基であり、下記式で表される単位がカプロラクトンモノマー残基である。
なお、例外として、モノマーとしてラクチド等の2量体を用いる場合には、「モノマー残基」は当該2量体に由来する2回繰り返し構造のうちの1つを意味するものとする。例えば、ジラクチド(L-(-)-ラクチド:下記式)
とカプロラクトンとを重合した場合、コポリマーの化学構造には、ジラクチド残基として上記式(R1)に示される構造が2回繰り返された構造が形成されるが、この場合にはそのうち1つの乳酸単位を「モノマー残基」と捉え、ジラクチドに由来して「モノマー残基」、すなわち乳酸残基が2つ形成されたと考えるものとする。
2種類のモノマー残基を「主構成単位」とする、とは、当該2種類のモノマー残基数の和が、その他のモノマー残基を含めたポリマー全体に含まれる全てのモノマー残基数の和を100%とした場合に50モル%以上であり、かつそれぞれの残基が、ポリマー全体に含まれる全てのモノマー残基数の和を100%とした場合に20モル%以上であることを意味する。例えば、モノマーA残基とモノマーB残基とを主構成単位とする、とは、モノマーA残基とモノマーB残基の残基数の和が、ポリマー全体に含まれる全てのモノマー残基数の和を100%とした場合に50モル%以上であり、かつモノマーA残基が20モル%以上であり、かつモノマーB残基が20モル%以上であることを意味する。ここで、モノマーA残基、モノマーB残基、その他の残基のモル分率は、核磁気共鳴(NMR)測定により、それぞれの残基に由来するシグナルの面積値より決定できる。例えば、モノマーA残基が乳酸残基、モノマーB残基がカプロラクトン残基である場合には、後述する測定例1に記載の方法で測定することができる。
モノマーA残基とモノマーB残基の和は、前述の定義から、その他のモノマー残基を含めたポリマー全体に含まれる全てのモノマー残基数の和を100%とした場合に50モル%以上であり、75モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。また、モノマーA残基およびモノマーB残基は、同じく前述の定義からそれぞれ20モル%以上であり、30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましい。モノマーA残基およびモノマーB残基の和がポリマー全体の100%である、すなわちモノマーAおよびモノマーBのみからなるポリマーは、特に好ましい態様として挙げられる。
なお、本発明の効果を損なわない限りにおいて、主構成単位を構成する2種類のエステル結合形成性モノマーと共重合し得る別のモノマーを更に共重合させることもできる。このようなモノマーとしては、前述のエステル結合形成性モノマーのうちのさらに別のものを用いることができる。
また、リンカーとして機能するモノマーを共重合させることも好ましい態様である。リンカーとして機能するモノマーとしては、主構成単位を構成する2種類のエステル結合形成性モノマーとは別のヒドロキシカルボン酸や、ジアルコール、ジカルボン酸、アミノ酸、ジアミン、ジイソシアネート、ジエポキシド等が挙げられる。
なお、本明細書においては、エステル結合形成性モノマー以外のモノマーを構成単位に含むことにより、一部にエステル結合以外の結合で連結された構成単位を含むコポリマーも含めて「ポリエステルコポリマー」と表記するものとする。
本発明のポリエステルコポリマーは、生分解性あるいは生体吸収性を有することが好ましい。当業者は、上記例示したモノマーを適宜組み合わせ、また本発明に規定する範囲内においてモノマーの量比を調整することにより、用途に応じて適当な生分解性あるいは生体吸収性を発現するコポリマーを合成することができるであろう。
本発明のポリエステルコポリマーは、親水性セグメントを分子鎖中に含まない。ここでセグメントとは、1種類のモノマー残基が連続して2以上連結した部分を指す。また親水性セグメントとは、セグメントを構成するモノマー残基からなるホモポリマーが水溶性であることを指す。また親水性セグメントを形成するモノマー残基を、親水性モノマー残基という。そのため、本発明のポリエステルコポリマーは、親水性セグメントは分子鎖中に含まないものの、親水性モノマー残基は分子鎖中に含みうる。つまり親水性モノマー残基を含む本発明のポリエステルコポリマーとは、親水性モノマー残基が分子鎖中に存在するものの、それらが隣り合って並ぶことなく分子鎖中に存在する態様を意味する。
ポリエステルコポリマーの全質量100%に対する、親水性モノマー残基の質量比率は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましく、0%であることが最も好ましい。

本発明のポリエステルコポリマーは、下式で表されるモノマーA由来の結晶量変化率が0.30~10.00である。
結晶量変化率=破断直前まで延伸した時の結晶量/延伸前の結晶量
ここで破断直前まで延伸とは、破断伸度に安全係数0.8をかけた伸度までの延伸を指す。破断伸度は引っ張り試験機を用いて、測定例4に記載の方法で求めることができる。
結晶量は、ポリエステルコポリマーフィルムのWAXS測定によって求めることができる。例えばモノマーAが乳酸、モノマーBがカプロラクトンからなるポリエステルコポリマーの場合、結晶量は測定例3に記載の方法で求めることができる。ポリエステルコポリマーのモノマーA由来の結晶量変化率は、復元性を好適な範囲に制御するため、0.30~10.00が好ましく、0.50~8.00がより好ましく、1.00~5.00がさらに好ましい。
本発明のポリエステルコポリマーにおいて、モノマーA残基とモノマーB残基のモル比は、一方のモノマーが過剰に存在するとホモポリマー様の性質に近づくことから、モノマーA残基と前記モノマーB残基の全モル数100%に対する、モノマーA残基のモル比率が20~80%であることが好ましく、30~70%がより好ましく、40~60%がさらに好ましい。
本発明のポリエステルコポリマーは、前述の2種類のエステル結合形成性モノマーをそれぞれ「モノマーA」、「モノマーB」とした場合に下記式で表されるR値が0.45以上0.99以下である。
R=[AB]/(2[A][B])×100
[A]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーA残基のモル分率(%)
[B]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーB残基のモル分率(%)
[AB]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーA残基とモノマーB残基が隣り合った構造(A-B、およびB-A)のモル分率(%)
R値は、2種類のエステル結合形成性モノマー残基、すなわちモノマーA残基およびモノマーB残基を主構成単位とするコポリマーにおける、モノマー残基の配列のランダム性を示す指標として用いられる。例えば、完全にモノマー配列がランダムなランダムコポリマーでは、R値は1となる。また、ブロックコポリマーではR値は0~0.44である。
R値は核磁気共鳴(NMR)測定によって、隣り合う二つのモノマーの組み合わせ(A-A、B-B、A-B、B-A)の割合を定量することで決定でき、具体的には後述する測定例1に記載の方法で測定するものとする。
R値が0.45未満であると、結晶性が高く、コポリマーの成形品は硬くなりヤング率が上昇することがある。一方、R値が0.99を超えると、コポリマー成形品は柔らかくなりすぎ粘着性を示すようになり、取扱性が低下することがある。同様の観点から、本発明において、ポリエステルコポリマーのR値は0.45~0.85または0.50~0.99が好ましく、0.45~0.80または0.50~0.85がより好ましく、0.50~0.80がさらに好ましい。
本発明のポリエステルコポリマーの重量平均分子量は、結晶変化率を好適な範囲に制御するため、100,000~1,000,000が好ましく120,000~750,000がより好ましく、150,000~500,000がさらに好ましい。ポリエステルコポリマーの重量平均分子量は、例えば測定例2に記載の方法で測定することができる。
本発明のポリエステルコポリマーは、一例として、2種類のエステル結合形成性モノマーであるモノマーAおよびモノマーBを、重合完了時においてモノマーA残基とモノマーB残基の和が全残基の50モル%以上、かつモノマーA残基とモノマーB残基がそれぞれ全残基の20モル%以上となるよう配合して重合させるマクロマー合成工程;
前記マクロマー合成工程で得られたマクロマー同士を連結するか、あるいは前記マクロマー合成工程で得られたマクロマー溶液に前記モノマーAおよび前記モノマーBを追添加することによりマルチ化するマルチ化工程;
を有するポリエステルコポリマーの製造方法により製造することができる。
〔マクロマー合成工程〕
マクロマー合成工程では、モノマーAとモノマーBを、理論上重合完了時においてモノマーA残基とモノマーB残基の和が全残基の50モル%以上、かつモノマーA残基とモノマーB残基がそれぞれ全残基の20モル%以上となるよう配合して重合を行う。これにより、モノマーA残基とモノマーB残基を主構成単位とするポリエステルコポリマーが得られるが、本製造方法においてはさらに後述するマルチ化工程を行うため、本明細書においては、本工程により得られるポリエステルコポリマーを「マクロマー」と表現する。
エステル結合形成性モノマーとしては、前述のものと同様のものを用いることができ、好ましい組み合わせ等についても前述の記載に準じる。
2種類のエステル結合形成性モノマー残基を主構成単位とするポリエステルコポリマーを構成するモノマー残基の分布のランダム性は、重合時のモノマーの反応性の違いにより変化する。すなわち、重合時に、当該2種類のモノマーのうち、一方のモノマーの後に、同じモノマーと他方のモノマーが同確率で結合すれば、モノマー残基が完全にランダムに分布したコポリマーが得られる。しかし、一方のモノマーの後にいずれかのモノマーが結合し易い傾向がある場合は、モノマー残基の分布に偏りのあるグラジエントコポリマーが得られる。得られたグラジエントコポリマーは、その分子鎖にそって重合開始末端から重合終了末端にかけてモノマー残基の組成が連続的に変化している。
ここで、モノマーAをモノマーBよりも初期重合速度が大きいモノマーであるとすると、マクロマー合成工程においてモノマーAとモノマーBとを共重合させた場合、モノマーAの後にモノマーAが結合し易い。そのため、合成されたマクロマーにおいては、重合開始末端から重合終了末端にかけてモノマーA単位の割合が徐々に減少する組成勾配をなすグラジエント構造が形成される。すなわち、本工程で得られるマクロマーは、モノマーAとモノマーBとの初期重合速度差により、モノマーA残基とモノマーB残基とが骨格中で組成勾配をなすグラジエント構造を有するマクロマーとなる。すなわち、初期重合速度の異なるモノマーAとモノマーBを本工程で用いることにより、骨格中で組成勾配をなすグラジエント構造を有するマクロマーを得ることができる。このようなマクロマーを、本明細書においては「グラジエントマクロマー」と呼ぶ場合がある。
マクロマー合成工程においては、このようなグラジエント構造を実現するために、開始末端から一方向に起こる重合反応によりマクロマーを合成することが望ましい。このような合成反応としては、開環重合、リビング重合を利用することが好ましい例として挙げられる。
本工程で得られるマクロマーは、最終的に前述のR値を満たすポリエステルコポリマーを製造しやすくするため、ポリエステルコポリマーと同様のR値を有するもの、すなわち、下記式
R=[AB]/(2[A][B])×100
[A]:マクロマー中の、モノマーA残基のモル分率(%)
[B]:マクロマー中の、モノマーB残基のモル分率(%)
[AB]:マクロマー中の、モノマーA残基とモノマーB残基が隣り合った構造(A-B、およびB-A)のモル分率(%)
で表されるR値が0.45以上0.99以下であることが好ましく、0.50以上0.80以下であることがより好ましい。
マクロマー合成工程で合成されるマクロマーの重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上である。また、結晶性を抑え柔軟性を保つためには150,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましい。
〔マルチ化工程〕
マルチ化工程では、マクロマー合成工程で得られたマクロマー同士を連結するか、あるいはマクロマー合成工程で得られたマクロマー溶液にモノマーAおよびモノマーBを追添加することによりマルチ化する。本工程においては、一のマクロマー合成工程で得られたマクロマー同士を連結してもよいし、二以上のマクロマー合成工程で得られた複数のマクロマーを連結してもよい。なお、「マルチ化」とは、これらのいずれかの方法で、モノマーA残基とモノマーB残基とが骨格中で組成勾配を有するグラジエント構造を有する分子鎖が複数繰り返される構造を形成することを意味する。
マルチ化するマクロマー単位の数は2以上であれば良いが、連結数が多いと分子鎖の絡み合いによる引っ張り強度の向上効果が出ることから、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、6以上であることがさらに好ましい。一方、結果的にポリエステルコポリマーの分子量が過度に増大すると、粘度上昇により成形性に悪影響を及ぼす懸念があるため、マクロマー単位の数は80以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。
マクロマー単位の連結数は、マルチ化行程において使用する触媒や反応時間によって調整することができる。マクロマー同士を連結させてマルチ化を行う場合、マクロマー単位の数は、最終的に得られたポリエステルコポリマーの重量平均分子量を、マクロマーの重量平均分子量で除して求めることができる。
本発明のポリエステルコポリマーは、マクロマー単位が直線状に連結した直鎖状ポリマーでも良いし、分岐して連結した分岐鎖状ポリマーであっても良い。
直鎖状のポリエステルコポリマーは、例えば、グラジエントマクロマーの両末端に同様のグラジエントマクロマーを1分子ずつ、末端同士を介して結合させてゆくことで合成できる。
グラジエントマクロマーがヒドロキシル基とカルボキシル基を各末端に有する場合は、末端同士を縮合剤により縮合させることで、マルチ化したポリエステルコポリマーが得られる。縮合剤としては、p-トルエンスルホン酸4,4-ジメチルアミノピリジニウム、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド、塩酸1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’-カルボニルジイミダゾール、1,1’-カルボニルジ(1,2,4-トリアゾール)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウム=クロリドn水和物、トリフルオロメタンスルホン酸(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-(2-オクトキシ-2-オキソエチル)ジメチルアンモニウム、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホ二ウムヘキサフルオロリン酸塩、(7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、クロロトリピロリジノホスホ二ウムヘキサフルオロリン酸塩、ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、3-(ジエトキシホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン-3-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、S-(1-オキシド-2-ピリジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルチウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、O-[2-オキソ-1(2H)-ピリジル]-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、{{[(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデン)アミノ]オキシ}-4-モルホリノメチレン}ジメチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロリン酸塩、1-(クロロ-1-ピロリジニルメチレン)ピロリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、2-フルオロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロリン酸塩、フルオロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸塩等が使用可能である。
また、重合反応がリビング性を有する場合、すなわち重合物の末端から連続して重合反応を開始しうる場合には、重合反応が終了した後のグラジエントマクロマー溶液にモノマーAおよびモノマーBを追添加する操作を繰り返すことで、マルチ化することができる。
あるいは、グラジエントマクロマー同士は、ポリマーの力学的特性に影響を与えない範囲においてリンカーを介してマルチ化しても良い。特に、複数のカルボキシル基および/または複数のヒドロキシ基を有するリンカー、例えば2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を使用すると、リンカーが分岐点となった分岐鎖状のポリエステルコポリマーを合成することができる。
以上のような製造方法により得られるポリエステルコポリマーは、モノマーA残基とモノマーB残基とが、骨格中で組成勾配を有するマクロマー単位が2つ以上連結した構造のコポリマーとなり、これは本発明のポリエステルコポリマーの好ましい態様である。本明細書においては、このような構造を便宜的に「マルチグラジエント」、マルチグラジエント構造を有するコポリマーを「マルチグラジエントコポリマー」と記載する場合がある。
つまり本発明のポリエステルコポリマーはマルチグラジエントコポリマーであることが好ましく、マルチグラジエントコポリマーとしては、モノマーA残基と前記モノマーB残基とが骨格中で組成勾配をなすグラジエント構造を有するマクロマー単位が2つ以上連結した構造を有することが好ましく、3つ以上連結した構造を有することがより好ましい。また、モノマーA残基と前記モノマーB残基とが骨格中で組成勾配をなすグラジエント構造を有するマクロマー単位の連結数の上限としては、80以下であることが好ましく、40以下がより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。
前述の通り、モノマーA残基が乳酸残基、モノマーB残基がカプロラクトン残基であるポリエステルコポリマーは、本発明の特に好ましい態様である。このようなポリエステルコポリマーは、下記のような製造方法により好ましく製造される。
まず、マクロマー合成工程において、触媒の存在下にてジラクチドとε-カプロラクトンを重合させる。ジラクチド、ε-カプロラクトン単量体は、使用前に不純物を取り除くために、好ましくは精製される。ジラクチドの精製は、たとえばナトリウムによって乾燥されたトルエンからの再結晶で可能である。ε-カプロラクトンは、たとえばCaHからN雰囲気下で減圧蒸留によって精製される。
乳酸残基とカプロラクトン残基とを有するマクロマー合成工程の触媒としては、通常のゲルマニウム系、チタン系、アンチモン系、スズ系触媒等のポリエステルの重合触媒が使用可能である。このようなポリエステルの重合触媒の具体例としては、オクチル酸スズ、三フッ化アンチモン、亜鉛粉末、酸化ジブチルスズ、シュウ酸スズが挙げられる。触媒の反応系への添加方法は特に限定されるものではないが、好ましくは原料仕込み時に原料中に分散させた状態で、あるいは減圧開始時に分散処理した状態で添加する方法である。触媒の使用量は使用するモノマーの全量に対して金属原子換算で0.01~3重量%、より好ましくは0.05~1.5重量%である。
乳酸残基とカプロラクトン残基とを有するマクロマーは、ジラクチド、カプロラクトンおよび触媒を、撹拌機を備えた反応容器に入れ、120~250℃、窒素気流下で反応させることにより得ることができる。水を助開始剤として使用する場合は、重合反応に先立って、90℃付近で助触媒反応を行うことが好ましい。反応時間としては2時間以上、好ましくは4時間以上、更には重合度を上げるためにはより長時間例えば8時間以上が好ましい。ただし、長時間反応を行いすぎるとポリマーの着色の問題が生じるため、3~30時間が好ましい。
次に、マルチ化工程において、乳酸残基とカプロラクトン残基とを有するグラジエントマクロマーの末端同士を縮合反応により連結し、マルチ化する。縮合反応の反応温度は10~100℃が好ましく、更に好ましくは20~50℃である。反応時間としては1日以上、更に好ましくは2日以上が好ましい。ただし、長時間反応を行いすぎるとポリマーの着色の問題が生じるため、2~4日が好ましい。
本発明のポリエステルコポリマーは、マクロマー単位が2つ以上連結した構造を有する、ポリエステルコポリマーであって、モノマーA又はモノマーBにおいて、初期重合速度の速い方の速度をV、初期重合速度の遅い方の速度をVとした場合に、マクロマー単位は、1.1≦V/V≦40を満たすモノマーA残基及びモノマーB残基を主構成単位とするポリエステルコポリマーであることが好ましい。1.1≦V/V≦40を満たすモノマーA残基及びモノマーB残基を主構成単位とするポリエステルコポリマーからなるマクロマー単位を2つ以上連結した構造の本発明のポリエステルコポリマーとすることにより、グラジエント構造のマクロマー単位とすることができ、結果として本発明のポリエステルコポリマーがマルチグラジエント構造となるために好ましい。
本明細書中でマクロマーとは、上述のマクロマー合成工程で得られるポリエステルコポリマーを指し、マクロマー合成工程の後に上述のマルチ化工程に用いるためのポリエステルコポリマーであるため、マクロマーと表現する。マクロマー単位とは、ポリエステルコポリマーの分子鎖中において、1つのマクロモノマーからなる部分を指す。例えば、マクロマーが2つ連結してポリエステルコポリマーを形成している場合、そのポリエステルコポリマーはマクロマー単位が2つ連結した構造を有するポリエステルコポリマーである。
また、マクロマー単位における2種類のモノマー残基を「主構成単位」とする、とは、当該2種類のモノマー残基数の和が、その他のモノマー残基を含めたマクロマー単位全体に含まれる全てのモノマー残基数の和を100%とした場合に50モル%以上であり、かつそれぞれの残基が、マクロマー単位全体に含まれる全てのモノマー残基数の和を100%とした場合に20モル%以上であることを意味する。例えば、モノマーA残基とモノマーB残基とを主構成単位とする、とは、モノマーA残基とモノマーB残基の残基数の和が、マクロマー単位全体に含まれる全てのモノマー残基数の和を100%とした場合に50モル%以上であり、かつモノマーA残基が20モル%以上であり、かつモノマーB残基が20モル%以上であることを意味する。ここで、モノマーA残基、モノマーB残基、その他の残基のモル分率は、核磁気共鳴(NMR)測定により、それぞれの残基に由来するシグナルの面積値より決定できる。例えば、モノマーA残基が乳酸残基、モノマーB残基がカプロラクトン残基である場合には、後述する測定例1に記載の方法で測定することができる。
ここで、モノマーA又はモノマーBにおいて、初期重合速度の速い方の速度であるV、初期重合速度の遅い方の速度であるVは、以下の方法で求められる。モノマーAとモノマーBを等モル混合し、必要に応じて溶媒、触媒を添加し、最終的に合成された、あるいは合成しようとするポリエステルコポリマーにおける後述するR値と誤差10%の範囲内で同じR値になるように温度等の条件を調整し重合反応を開始する。重合中の試料から定期的にサンプリングを行い、モノマーAとモノマーBの残量を測定する。残量は、例えば、クロマトグラフィーや核磁気共鳴(NMR)測定で測定する。仕込み量から残量を差し引くことで、重合反応に供されたモノマー量が求められる。サンプリング時間に対して重合反応に供されたモノマー量をプロットすると、その曲線の初期勾配がV、Vである。
このようなモノマーAとモノマーBとを反応させると、重合初期においてモノマーAが重合中のポリマー末端に結合する確率が高い。一方、モノマーAが消費され反応液中の濃度が減少する重合後期においては、モノマーBが重合中のポリマー末端に結合する確率が高くなる。その結果、一方の末端からモノマーA残基の割合が徐々に減少するグラジエントポリマーが得られる。このようなグラジエントポリマーは、結晶性が低くなり、ヤング率上昇も抑えられる。こうしたグラジエント構造が形成されやすくするため、V/Vは、1.3以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。一方、モノマーAとモノマーBの重合速度の差が大きすぎると、モノマーAのみが重合した後にモノマーBが重合したブロックポリマーに近い構造となり、結晶性が高くなってヤング率の上昇を招く場合があることから、V/Vは30以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましく、10以下であることが一層好ましい。
このようなモノマーAとモノマーBの好ましい組み合わせとしては、ジラクチドとε-カプロラクトン、グリコリドとε-カプロラクトン、グリコリドとジラクチド、ジラクチドとジオキセパノン、エチレンオキザラートとジラクチド、ジラクチドとδ-バレロラクトン、グリコリドとδ-バレロラクトンが挙げられる。
本発明のポリエステルコポリマーは、ヒステリシス損失変化率が80%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。ヒステリシス損失とは、測定例4のような引っ張り試験で得られる、変位―応力曲線において、延伸過程と収縮過程で囲まれた面積のことを指し、延伸により失われるエネルギーに相当する。ヒステリシス損失変化率は、測定例4のような引っ張り試験における、2サイクル目と30サイクル目のヒステリシス損失の差を2サイクル目のヒステリシス損失で除した値と定義される。ヒステリシス損失変化率が小さい場合、繰り返しの延伸によるポリマー構造の変化が少ないことを表し、すなわちポリエステルコポリマーが耐久性に優れることを表す。
本発明において成形体とは、目的に応じて従来の方法により種々の形状に成形した物体を指す。例えば、膜状体(メンブラン、フィルム、シート)、板状体(ボード)、棒状体(ロッド)、筒状体(パイプ、チューブ)、糸状体(フィラメント)、網状体(メッシュ)、袋状体、織布又は不織布等が挙げられる。また、医療用成形体とは、医療用途として用いられる上記の成形体である。医療用途としては、縫合糸、人工骨、人工皮膚、創傷被覆材、マイクロカプセル等のDDS分野、組織や臓器の再生用足場材料などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のポリエステルコポリマーは、医療用成形体として好適に用いることができる。つまり本発明の医療用成形体は、本発明のポリエステルコポリマーからなる成形体である。
本発明においてフィラメントとは、上述の通り糸状体、つまり糸状の成形体のことを指す。フィラメントは複数のフィラメントを撚り合わせて1本の糸とするマルチフィラメントや、1本のフィラメントを1本の糸とするモノフィラメントの状態で用いられる。そして本発明のフィラメントは、本発明のポリエステルコポリマーからなるフィラメントである。
また、本発明のポリエステルコポリマーは、3Dプリンター用途にも用いられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(測定例1:核磁気共鳴(NMR)による各残基のモル分率およびR値の測定)
精製したポリエステルコポリマーを重クロロホルムに溶解し、H-NMRにより測定してポリエステルコポリマー中の乳酸モノマー残基及びカプロラクトンモノマー残基の比率をそれぞれ算出した。また、Hホモスピンデカップリング法により、乳酸のメチン基(5.10ppm付近)、カプロラクトンのαメチレン基(2.35ppm付近)、εメチレン基(4.10ppm付近)について、隣り合うモノマー残基が乳酸もしくはカプロラクトンに由来するシグナルで分離し、それぞれのピーク面積を定量した。ε-カプロラクトンの代わりにδ-バレロラクトンを用いた場合、同様に乳酸のメチン基(5.10ppm付近)、バレロラクトンのαメチレン基(2.35ppm付近)、δメチレン基(4.10ppm付近)について、隣り合うモノマー残基が乳酸もしくはバレロラクトンに由来するシグナルで分離し、それぞれのピーク面積を定量した。
それぞれのピーク面積比から、式1の[AB]を計算しR値を算出した。ここで、[AB]は乳酸残基とカプロラクトン残基もしくはバレロラクトン残基が隣り合った構造のモル分率であり、具体的にはA-A、A-B、B-A、B-Bの総数に対するA-B、B-Aの数の割合である。結果を表1、2に示す。
機器名:JNM-ECZ400R(日本電子株式会社製)
Hホモスピンデカップリング照射位置:1.66ppm
溶媒:重クロロホルム
測定温度:室温

(測定例2:ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量の測定)
機器名:Prominence(株式会社島津製作所製)
移動相:クロロホルム(HPLC用)(和光純薬工業株式会社製)
流速:1mL/min
カラム:TSKgel GMHHR-M(φ7.8mmX300mm;東ソー株式会社製)
検出器:UV(254nm)、RI
カラム、検出器温度:35℃
標準物質:ポリスチレン
精製したポリエステルコポリマーをクロロホルムに溶解し、0.45μmのシリンジフィルター(DISMIC-13HP;ADVANTEC社製)を通過させて不純物等を除去した後にGPCにより測定して、ポリエステルコポリマーの重量平均分子量を算出した。結果を表1、2に示す。
(測定例3:広角X線散乱(WAXS)による結晶量の測定)
精製ポリエステルコポリマーを減圧乾燥し、これを濃度が5重量%になるようにクロロホルムに溶解させ、その溶液を“テフロン(登録商標)”製シャーレ上に移して、常圧、室温下で1昼夜乾燥させた。これを50℃で一昼夜減圧乾燥させて、ポリエステルコポリマーフィルムを得た。
得られたポリエステルコポリマーフィルム(厚さ約0.2mm)を短冊状(50mm×5mm)に切り出し、下記条件でWAXS測定を行った。なおフィルムの延伸はAcroEdge社製の小型引っ張り試験機(Stency)を用いて行い、小型引っ張り試験機に設置された未延伸のフィルムと小型引っ張り試験機で破断直前まで延伸されたフィルムのWAXS測定を行い、得られたデータを次のように解析し、モノマーA由来の結晶量を求めた。
得られた散乱像から横軸2θ、縦軸散乱強度のグラフを作成した。配向が見られる像については、もっとも強度が高い部分を含むようにしてグラフを作成した。得られたグラフについてフィッティング解析を行い、各ピークに分割し、モノマーA由来の結晶ピークの面積(強度の高いピークが複数ある場合は総和でも可)をモノマーA由来の結晶量とした。(ただし、同じサンプルを測定した場合でも2θの値はカメラ長によって異なるため、リファレンスサンプルとしてモノマーAのみからなるホモポリマーのフィルムも測定しておいた方がよい。)例えばモノマーAが乳酸の場合、最も強度の高い2θ=10付近のピーク面積を乳酸由来結晶量とした。
測定装置:BL03XUビームライン(Spring-8)
X線波長:0.1nm
得られた結晶量を用いて、下式からモノマーA由来の結晶量変化率を求めた。結果を表1、2に示す。
結晶量変化率=破断直前まで延伸時の結晶量/延伸前の結晶量
(破断直前とは、破断伸度に安全係数0.8をかけた値とした。)

(測定例4:引っ張り試験による破断伸度、復元率、ヒステリシス損失変化率の測定)
精製ポリエステルコポリマーを減圧乾燥し、これを濃度が5重量%になるようにクロロホルムに溶解させ、その溶液を“テフロン(登録商標)”製シャーレ上に移して、常圧、室温下で1昼夜乾燥させた。これを50℃で一昼夜減圧乾燥させて、ポリエステルコポリマーフィルムを得た。
得られたポリエステルコポリマーフィルム(厚さ約0.1mm)を短冊状(50mm×5mm)に切り出し、JIS K6251(2017)に従い下記条件で引っ張り試験を行い、破断伸度、復元率および、ヒステリシス損失変化率を求めた。なお復元率とヒステリシス損失変化率は、破断直前、すなわち破断伸度の0.8倍の伸度までの延伸を30回繰り返し、下式から求めた。結果を表1、2に示す。
また試験片に標線をつける場合には、適切なマーカを用いて、2 本の標線を試験片につけた。標線をつける際には、試験片は引っ張られていない状態とし、試験片の平行部分に対して直角に、かつ、試験片の中央から等距離に、正確、かつ、鮮明に付けた。
機器名:EZ-1kNLX(島津アクセス製)
試験前の標線間距離:10mm
つかみ具間距離:10mm(標線の位置をつかんだ)
引っ張り速度:500mm/min
ロードセル:50N
さらに復元性は、500mm/minの引張速度で、破断直前まで延伸し、引張ひずみを生じさせた(操作1)。そして操作1の後、ただちに(すなわち形状保持時間を0秒として)、500mm/minの速度で引張ひずみを緩和させて、つかみ具間距離を10mmに戻した(操作2)。操作2の後、ただちに(すなわち形状保持時間を0秒として)、前述の操作1及び操作2を再度行った。これを繰り返し、操作1及び操作2を合計で30回行った後、得られたL1、L2の値を用いて、下式から復元性を求めた。結果を表1に示す。
復元率(%)=(L1―L2)/(L1-L0)×100
L0:初期長(試験前の標線間距離)
L1:破断直前まで延伸時のフィルム長(破断直前まで延伸時の標線間距離)
L2:30回延伸を繰り返した後のフィルム長(試験後の標線間距離)
ヒステリシス損失変化率(%)=ΔD/D
D:2サイクル目のヒステリシス損失
ΔD:2サイクル目と30サイクル目のヒステリシス損失の差

<実施例1>
50.0gのL-ラクチド(PURASORB L;PURAC社製)と、39.6gのεーカプロラクトン(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)とを、モノマーとして、0.46gのヒドロキシピバル酸を開始剤として、セパラブルフラスコに採取した。これらをアルゴン雰囲気下とし、5.8mLのトルエン(超脱水)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)に溶解した触媒である0.27gのオクチル酸スズ(II)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を加え、140℃で9.5時間反応させ、粗コポリマーを得た。
得られた粗コポリマーを200mLのクロロホルムに溶解し、攪拌状態にある3000mLのヘキサンに滴下して、沈殿物を得た。沈殿物を50℃で減圧乾燥してマクロマーを得た。
当該マクロマー50gと、触媒である2.9gのp-トルエンスルホン酸4,4-ジメチルアミノピリジニウム(合成品)と、1.2gの4,4-ジメチルアミノピリジン(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を採取した。これらをアルゴン雰囲気下とし、200mLのジクロロメタン(脱水)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)に溶解し、縮合剤である2.4mLのジイソプロピルカルボジイミド(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を添加し、室温で終夜縮合重合させた。
反応混合物を220mLのクロロホルムで希釈し、470mLの0.5M塩酸を添加した後30分間攪拌し、デカンテーションで水層を除去した。その後470mLのイオン交換水を加え、10分間攪拌し、デカンテーションで水層を除去する工程を除去した水層のpHが7になるまで繰り返した。残った有機層を攪拌状態にある2200mLのメタノールに滴下して、沈殿物を得た。この沈殿物を50℃で減圧乾燥して実施例1の精製ポリエステルコポリマーを得た。
<実施例2>
60.0gのL-ラクチド(PURASORB L;PURAC社製)と、31.7gのεーカプロラクトン(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)とを、モノマーとして、0.46gのヒドロキシピバル酸を開始剤として、セパラブルフラスコに採取した。これらをアルゴン雰囲気下とし、5.8mLのトルエン(超脱水)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)に溶解した触媒である0.27gのオクチル酸スズ(II)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を加え、140℃で9.5時間反応させ、粗コポリマーを得た。
得られた粗コポリマーを200mLのクロロホルムに溶解し、攪拌状態にある3000mLのヘキサンに滴下して、沈殿物を得た。沈殿物を50℃で減圧乾燥してマクロマーを得た。
当該マクロマー50gと、触媒である2.1gのp-トルエンスルホン酸4,4-ジメチルアミノピリジニウム(合成品)と、0.87gの4,4-ジメチルアミノピリジン(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を採取した。これらをアルゴン雰囲気下とし、200mLのジクロロメタン(脱水)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)に溶解し、縮合剤である1.7mLのジイソプロピルカルボジイミド(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を添加し、室温で終夜縮合重合させた。
反応混合物を220mLのクロロホルムで希釈し、470mLの0.5M塩酸を添加した後30分間攪拌し、デカンテーションで水層を除去した。その後470mLのイオン交換水を加え、10分間攪拌し、デカンテーションで水層を除去する工程を除去した水層のpHが7になるまで繰り返した。残った有機層を攪拌状態にある2200mLのメタノールに滴下して、沈殿物を得た。この沈殿物を50℃で減圧乾燥して実施例2の精製ポリエステルコポリマーを得た。
<実施例3>
ヒドロキシピバル酸の量を0.17g、p-トルエンスルホン酸4,4-ジメチルアミノピリジニウムの量を3.6g、4,4-ジメチルアミノピリジンの量を0.37g、ジイソプロピルカルボジイミドの量を1.4mLに変更した以外は、実施例1と同様の方法で合成を行い、実施例3の精製ポリエステルコポリマーを得た。
<実施例4>
ヒドロキシピバル酸の量を0.45g、粗コポリマーを得るための反応温度を150℃、p-トルエンスルホン酸4,4-ジメチルアミノピリジニウムの量を2.1g、4,4-ジメチルアミノピリジンの量を0.87g、ジイソプロピルカルボジイミドの量を1.7mLに変更した以外は、実施例1と同様の方法で合成を行い、実施例4の精製ポリエステルコポリマーを得た。
<比較例1>
50.0gのL-ラクチド(PURASORB L;PURAC社製)と、39.6gのεーカプロラクトン(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)とを、モノマーとして、0.036gのオクタノールを開始剤として、セパラブルフラスコに採取した。これらをアルゴン雰囲気下とし、5.8mLのトルエン(超脱水)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)に溶解した触媒である0.27gのオクチル酸スズ(II)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を加え、140℃で24時間反応させ、粗コポリマーを得た。
得られた粗コポリマーを200mLのクロロホルムに溶解し、攪拌状態にある3000mLのヘキサンに滴下して、沈殿物を得た。沈殿物を50℃で減圧乾燥して比較例1のポリエステルコポリマーを得た。
<比較例2>
p-トルエンスルホン酸4,4-ジメチルアミノピリジニウムの量を1.5g、ジイソプロピルカルボジイミドの量を1.2mLに変更した以外は、実施例1と同様の方法で合成を行い、比較例2の精製ポリエステルコポリマーを得た。
<比較例3>
100.0gのL-ラクチド(PURASORB L;PURAC社製)を、モノマーとして、0.46gのヒドロキシピバル酸を開始剤として、セパラブルフラスコに採取した。これらをアルゴン雰囲気下とし、5.8mLのトルエン(超脱水)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)に溶解した触媒である0.27gのオクチル酸スズ(II)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を加え、140℃で9.5時間反応させ、粗コポリマーを得た。
得られた粗コポリマーを200mLのクロロホルムに溶解し、攪拌状態にある3000mLのヘキサンに滴下して、沈殿物を得た。沈殿物を50℃で減圧乾燥してPLAマクロマーを得た。
さらに79.2gのεーカプロラクトン(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を、モノマーとして、0.46gのヒドロキシピバル酸を開始剤として、セパラブルフラスコに採取した。これらをアルゴン雰囲気下とし、5.8mLのトルエン(超脱水)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)に溶解した触媒である0.27gのオクチル酸スズ(II)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を加え、140℃で9.5時間反応させ、粗コポリマーを得た。
得られた粗コポリマーを200mLのクロロホルムに溶解し、攪拌状態にある3000mLのヘキサンに滴下して、沈殿物を得た。沈殿物を50℃で減圧乾燥してPCLマクロマーを得た。
当該PLAマクロマー27.9gと、PCLマクロマー22.1gと、触媒である2.9gのp-トルエンスルホン酸4,4-ジメチルアミノピリジニウム(合成品)と、1.2gの4,4-ジメチルアミノピリジン(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を採取した。これらをアルゴン雰囲気下とし、200mLのジクロロメタン(脱水)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)に溶解し、縮合剤である2.4mLのジイソプロピルカルボジイミド(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を添加し、室温で終夜縮合重合させた。
反応混合物を220mLのクロロホルムで希釈し、470mLの0.5M塩酸を添加した後30分間攪拌し、デカンテーションで水層を除去した。その後470mLのイオン交換水を加え、10分間攪拌し、デカンテーションで水層を除去する工程を除去した水層のpHが7になるまで繰り返した。残った有機層を攪拌状態にある2200mLのメタノールに滴下して、沈殿物を得た。この沈殿物を50℃で減圧乾燥して比較例3の精製ポリエステルコポリマーを得た。
<比較例4>
50.0gのL-ラクチド(PURASORB L;PURAC社製)と、39.6gのεーカプロラクトン(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)とを、モノマーとして、0.46gのヒドロキシピバル酸を開始剤として、セパラブルフラスコに採取した。これらをアルゴン雰囲気下とし、5.8mLのトルエン(超脱水)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)に溶解した触媒である0.27gのオクチル酸スズ(II)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を加え、140℃で9.5時間反応させ、粗コポリマーを得た。
得られた粗コポリマーを200mLのクロロホルムに溶解し、攪拌状態にある3000mLのヘキサンに滴下して、沈殿物を得た。沈殿物を50℃で減圧乾燥してマクロマーを得た。このマクロマーを比較例4の精製ポリエステルコポリマーとした。
実施例1~4及び比較例1~4で得られたポリエステルコポリマーの各種測定結果を表1、2に示す。
なお、表中のモノマーA残基比率とは、モノマーA残基とモノマーB残基の全モル数100%に対する、モノマーA残基のモル比率を示す。
本発明のポリエステルコポリマーの具体的な用途としては、繊維では不織布等、容器としては使い捨てのトイレタリー製品や化粧品、フィルムとしては包装用フィルム、農業用マルチフィルム、テープ類等の利用が考えられる。他にも医療用途として、縫合糸、人工骨、人工皮膚、創傷被覆材、マイクロカプセル等のDDS分野、組織や臓器の再生用足場材料などが考えられる。さらに、その他トナーや熱転写用インキのバインダー等の利用が考えられるが、これらに限定されるものではない。

Claims (11)

  1. 2種類のエステル結合形成性モノマー残基を主構成単位とし、親水性セグメントを分子鎖中に含まないポリエステルコポリマーであって、
    重量平均分子量が440,103~1,000,000であり、
    前記2種類のエステル結合形成性モノマーをそれぞれモノマーA、モノマーBとした場合に、モノマーA由来の下式で表される結晶量変化率が0.30~10.00である、ポリエステルコポリマー。
    結晶量変化率=破断直前まで延伸した時のポリエステルコポリマーのフィルムの広角X線散乱(WAXS)により得られた散乱像から横軸2θ、縦軸散乱強度のグラフを作成した際のモノマーA由来の結晶ピークの面積/延伸前のポリエステルコポリマーのフィルムの広角X線散乱(WAXS)により得られた散乱像から横軸2θ、縦軸散乱強度のグラフを作成した際のモノマーA由来の結晶ピークの面積
  2. 前記モノマーA、モノマーBが、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、カプロラクトン、ジオキセパノン、エチレンオキザラート、ジオキサノン、1,4-ジオキサン-2,3-ジオン、トリメチレンカーボネート、β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、ピバロラクトン、ジラクチド、グリコリド、及びテトラメチルグリコリドからなる群より選ばれる化合物である、請求項1記載のポリエステルコポリマー。
  3. 前記モノマーAが、乳酸又はグリコール酸である、請求項1又は2記載のポリエステルコポリマー。
  4. 前記モノマーBが、カプロラクトン又はδ-バレロラクトンである、請求項1~3のいずれかに記載のポリエステルコポリマー。
  5. ポリエステルコポリマーの全質量100%に対する、親水性モノマー残基の質量比率が5%以下である、請求項1~4のいずれかに記載のポリエステルコポリマー。
  6. 前記モノマーA残基と前記モノマーB残基のみからなる、請求項1~5のいずれかに記載のポリエステルコポリマー。
  7. マクロマー単位が2つ以上連結した構造を有する、ポリエステルコポリマーであって、
    前記モノマーA又は前記モノマーBにおいて、初期重合速度の速い方の速度をVX、初期重合速度の遅い方の速度をVYとした場合に、前記マクロマー単位は、1.1≦VX/VY≦40を満たすモノマーA残基及びモノマーB残基を主構成単位とする、請求項1~6のいずれかに記載のポリエステルコポリマー。
  8. 前記モノマーA残基と前記モノマーB残基の全モル数100%に対する、モノマーA残基のモル比率が20~80%である、請求項1~7のいずれかに記載のポリエステルコポリマー。
  9. 下記式で表されるR値が0.45~0.99である、請求項1~8のいずれかに記載のポリエステルコポリマー。
    R=[AB]/2[A][B]×100
    [A]:モノマーA残基のモル分率(%)
    [B]:モノマーB残基のモル分率(%)
    [AB]:モノマーA残基とモノマーB残基が隣り合った構造(A-B、およびB-A)のモル分率(%)
  10. 請求項1~のいずれかに記載のポリエステルコポリマーからなる医療用成形体。
  11. 請求項1~のいずれかに記載のポリエステルコポリマーからなるフィラメント。
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